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2016/12/12

平成28年度第四回定例会 予算特別委員会 「スポーツ産業における観光政策の課題について」

本定例会の一般質問で「北海道スポーツコミッション事業の実現について」を知事に質問させていただいた関連で、12月9日、予算特別委員会にて経済部に質問させていただきました。

 

本事業においては、国土交通省所管の観光庁と文部科学省所管のスポーツ庁と横断的に連携を実現させなければいけません。

 

道庁内においては、経済部と環境生活部に渡る協力を引き出す必要が出てきます。

 

今後、北海道でスポーツ産業を成長産業として参るために、如何にして政策を組み立てていくと良いのかの議論を深めていきたいと考えています。

 

北の元気玉 道見やすのり

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A,スポーツ産業における観光政策の課題について

 

本件については、一般質問で、その概念や道の取組みについて答弁していただいたところでありますが、この予算特別委員会では、スポーツをスポーツ産業として新成長産業と捉えることができるように、その仕掛けづくりと環境整備について議論を深めたいと思います。

 

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 まずは、現状認識についてです。

 道においては、昨年、新たにスポーツ庁が創設されこと、更に2020東京オリ・パラや2026札幌冬季オリ・パラに向けた、国の方針と連動した組織改編を行ったものと承知しております。

 しかし、実のところ、本事業の可能性は想像以上に大きなものであり、国に追従して取り組んでいるレベルでは、道が固有する魅力を如何なく発揮し切ることが出来るとは言えないのではないでしょうか。

 

政府は、日本の名目GDPを600兆円へと成長させる今後の取組みの中で、観光政策を起爆剤としながらも、スポーツ市場規模を2015年時点で5.5兆円であったところから、まずは2020東京オリ・パラを契機に、更にはそれ以降もスポーツ産業を活性化して日本の基幹産業へと成長させることで、2025年時点には15兆円へと拡大させるとしています。

 スポーツ庁におかれては、現時点であっても、スポーツ政策・スポーツ観光等々と、まだまだ今後の戦略を模索中なのであるそうです。

そして、スポーツ関連予算が2016年度は324億円、2017年度要求額で402億円と費やすことで、スポーツによる地域経済の活性化を実現させようとしているのです。

 地方自治体のスポーツ政策への取組みは、「域外から多くの人を呼び込み、地域経済の活性化には最も有効な手段」として位置付けられているところです。

 だからこそ私は、スポーツ産業の振興、スポーツコミッションの推進が、北海道の優位性を活かした「地方創生」活性化のチャンスとなり得ると確信したところなのです。

 しかし、スポーツ庁と観光庁が取り組むスポーツ産業に沿った受け皿が、地方自治体側に未だ整っていないように見えています。

 

    道と観光庁とスポーツ庁の連携によるスポーツ産業の創出について

次に、道と観光庁とスポーツ庁の連携の実現について伺います。

道が、新設されたスポーツ庁をどう位置付けて連携しようとしているのかについて一般質問でお聞きしましたが、更に観光庁との連携を加えた、それらの中間に位置していて、国も成長産業として推し進めている「スポーツ産業の創出」を経済部としては、どう受け止めているのか、見解を伺います。

 

<答弁>

スポーツ関連産業の振興についてでありますが

 

  2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定などを契機に、

  スポーツを通じた地域や経済の活性化への期待が高まっており、

  国においては、スポーツ産業の成長産業化に向け、

 

  スポーツツーリズムの推進や、

  健康、食、観光など

  本道が強みを発揮できる分野とスポーツとの融合による

  新市場の創出などに取り組む方針であるものと承知。

 

 〇 道では、地域経済の強化に向け、

  国内外からの観光客の誘致促進はもとより、  

  ヘルスケアビジネスの普及促進や

  機能性食品の開発・販路拡大の支援、

 

  スポーツ関連製品の開発支援などにも取り組んでいるところであり、

  国の動きは、本道経済の活性化に資するものと期待しており、

  今後とも、その動向も注視しながら、関連産業の振興を図ってまいる。

 

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    スポーツツーリズムについて

スポーツツーリズムとは、<域内に滞在して、スポーツやレクリエーション、健康増進などの、「観る」「する」「支える」「育てる」を行うとともに、地域文化に触れながら地域住民との交流を深め、旅行価値を高める観光行動>とされています。

それを支えるスポーツコミッションをどう活用するのかは、「スポーツツーリズムの推進」のために必要な“ワンストップ窓口”であり、地域毎に必要になってきます。

 

スポーツで国内や世界という域外から人を呼び込む戦略として考えられる効果は、

1, 新たなまちづくり構想

2, 新ビジネスの創業

3, インフラ整備の推進

4, 地域の受け入れ体制の強化

5, 人材の確保と育成

6, 外貨の獲得

7, 地域の活性化

8, 税収の増加

の実現が期待されます。

 

 そして、目指す経済効果サイクルが、

1, 地域住民が自治体に税金を払う

2, 自治体は、スポーツ事業やスポーツ施設への投資を行う

3, 地域外の人の流入が増加する

4, 地域内での消費誘導効果が発生する

5, 地域の収入増と雇用増に直結する

6, 自治体の収入増が実現する

と回り出すこととなるのです。

 

普通に聞いていても、これらがスポーツ振興であるのか、観光振興であるのか、明確な線引きが難しくなってきているのではないでしょうか。

 まさに道政において、担当する部署が環境生活部なのか、経済部なのか、明確に区別できなくなっているのが現状ではないかと感じているところなのです。

 

 経済部観光局から眺める「スポーツツーリズム」とは、一体どのように映っているものなのでしょうか、見解をお聞かせください。

 

<答弁>

 スポーツツーリズムについてでありますが

 

  自然環境の豊かな北海道は、四季を通じて、

  健康やスポーツに最適な地域であることから、

  スポーツを通じた観光の取組は、

 

  国内観光客の需要の喚起と消費の拡大に寄与するとともに、

  スポーツという新たなモチベーションを持った訪日外国人旅行者を

  取り込むためにも大変効果があるものと認識。

 

  このため、道では、観光振興機構と連携し、

  登別洞爺地域や札幌、釧路におけるサイクリングの環境整備、

  上士幌町などが実施するウォーキングツアーなど、

  スポーツを活用した誘客に取り組む地域を支援するとともに、

 

  スキー、ゴルフ、サイクリングなどを楽しむことを目的とした

  外国人観光客を誘致するため、メディアや旅行会社の招聘や、

  海外での商談会や旅行博でのPRなどを行っているところであり、 

 

     地域や関係機関との連携を強め、地域の特性を生かした

  スポーツツーリズムを促進するよう、働きかけてまいる考え。

 

    道が担う使命について

2013年9月、2020オリンピック・パラリンピック東京大会が決定されました。

以来、地域でのスポーツによる活性化の報道記事掲載が増えてきました。日本のスポーツが成長産業へと影響し出している証左とも言えます。

これは地方都市にとっては、新たなチャンスが生まれたとも言えるのです。

 東京2020を契機とするスポーツ政策実行の最大のチャンスなのです。今しかありません。3年後を見据えた新たなまちづくりに市民の理解を得られるかが問われています。

 

北見市で行われているラグビー合宿でさえ20年以上取り組まれてきた結果によって「今」の優位性が保たれているものと考えています。

それらでさえ更に優位なスポーツ産業として昇華させるためには、単独市町村で取り組んでいた「点」の事業から、地域という「面」で支援や活性化させる事業へと、更に都府県との情報交換や協力関係の構築を実現させていくことが、道の使命だと考えています。

 

そして、「点」を支える「面」としての受入環境整備、即ち周辺自治体と地域住民による「食と観光」の観点から支援をしていくことができるのか、道として、スポーツコミッションの実現へつなぐことができるのではないでしょうか。見解を伺います。

 

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<答弁>

「食と観光」の観点からの取組についてでありますが

 

  スポーツ合宿の誘致を促進するためには、合宿を検討している

  チームや団体の皆様に、スポーツの適地としての優位性や

  地域の熱意を知っていただくとともに、

 

  安全で安心な食や地域の多彩な観光資源など、

  本道の魅力を発信していくことが重要。

 

  このため、スポーツ合宿が盛んなオホーツク総合振興局では、

  国内外のメディアや合宿誘致候補チームメンバーの招聘といった

  誘致活動はもとより、

  各市町村の特色ある食や観光の情報を発信しているほか、

 

  北見市においては、合宿に訪れている方々への、

  カーリングなどの体験メニューをはじめとした観光情報の紹介や

  地域との交流など、地域を訪れた方々の

  余暇を楽しむ取組が進められているところ。

 

  道としては、引き続き関係部局はもとより、地域や

  スポーツ関係者と連携して、こうした取組の拡大を図り、

  スポーツ合宿の誘致を促進してまいる。

 

    スポーツツーリズムの推進に必要な人材について

力強いスポーツツーリズムの推進のためには、適正な機能を持ち合わせるスポーツコミッションの活用が欠かせません。これは切っても切れない関係なのです。

観光庁MICE地域経済波及効果の簡易測定モデルによると、オホーツクエリアにおけるスポーツ合宿の経済波及効果は、約45億円とされていて、合宿延べ人数は約5万4千人なのだそうです。このエリアにおいては、比較的「面」として広域圏で連携した受け入れ態勢が整っていると言えるのだと思います。

観光庁でも「スポーツ観光人材育成」を推進していて、この動きは全国の大学でも新たに「スポーツビジネス・スポーツマネジメント学部」の新設が増えているそうです。それによって同時に専任講師や生徒募集も開始されていて、現実的にこの分野での人材が足りていないことは容易に想定できます。

正しく、一般質問でも行った「キーマンとサポート人材」について、経済部の視点からも育成支援が急務と考えています。

新しい次元を以ってスポーツを考えていかなければなりません。新発想で制度を活用し、道として「推進に必要な人材」を確保・育成していく為に何ができるとお考えなのか、見解を伺います。

 

<答弁>

観光人材の育成などについてでありますが

 

  観光を本道のリーディング産業として発展させていくためには、

地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域の魅力を生かしたブランディングや

  文化、スポーツなど多岐にわたる分野と観光を結びつけ、

 

  コーディネートできる知識や能力を備えた人材が

  必要とされているところ。

 

 〇 このため、道では、地域の観光リーダーの育成や、

  観光面でのマーケティングやマネージメントなどの知識や能力を

  備える研修を行うなど、地域の観光産業の舵取り役を担う人材の

  育成に向けた取組を進めてきたところであり、

 

今後はよりスポーツツーリズムの推進も視野に入れ、

地域の強みを生かした観光地経営に求められる人材の育成・確保に

努めてまいる。

 

    新成長産業化に向けて

観光庁所管のスポーツツーリズム推進会議では、スポーツビジネス専門家の獲得や育成を急務としています。

全国では、宮崎・鹿児島や沖縄が先進的にこれらの事業に取り組み、成果を挙げています。

 札幌市においては、札幌国際プラザ内に「さっぽろグローバルスポーツコミッション」を設立していて、経済観光局とスポーツ局の連携によって、道と連携しながら、新たなスポーツツーリズムマーケットの創出を実現しようとしています。

 しかし、札幌市も既に位置付けているように、札幌市のみでは効果にも限りがあるとされていて、道と札幌市の連携のみならず、そこに道内市町村が加わって初めて北海道が持つ潜在的な能力を発揮できるとしているのであります。

 

 東京2020、北海道・札幌2026をゴールにしている今の設定の仕方では、スポーツ産業を成長産業とするキッカケにはなり得ても、持続的に続く北海道の活性化へとつなげていくことはできません。

 

 スポーツ産業を「稼ぐ」ことのできる成長産業として支援していくにあたって、道は、北海道が持ち得る潜在的な能力を発揮させていくために、スポーツツーリズムをとりまとめる必要があると考えています。見解を伺います。

 

<答弁>

スポーツツーリズムによる観光振興策についてでありますが

 

  道では、観光のくにづくり行動計画において、

  四季を通じた豊富な観光資源など本道の優位性を活かした

  ゴルフやサイクリング、スキーなど、

 

  スポーツをテーマとした新しいツーリズムを促進することとしており、

  滞在型や通年化に向けた観光地づくりや、

  国際的なスポーツイベントを含むMICEの誘致に努めてきたところ。

 

  道としては、来年度に行う次期計画等の策定にあたっては、

  スポーツツーリズムの推進に必要とされる

  地域連携や人材の育成・確保などさまざまな取組について、

  

  国や市町村、スポーツに携わる関係者の意見を伺うなどして、

  さらなる観光施策への反映について検討してまいる。

 

    合宿の実態と波及効果について

現在、北海道観光客の消費額は、国内からの旅行で一人当たり7~8万円程度、海外からの旅行で一人当たり15万円程度とされています。

しかし、北海道運輸局企画観光部の実態調査によれば、7日以上という期間面で、20万円以上という消費面で、リピートの実現も含めて、スポーツ合宿の方が経済効果は高いとされています。しかも夏冬通して優位性が確保できていると分析されているのです。

更に、道内外から年間25万人以上もの合宿が行われているとの報告があります。

 直接地方に乗り入れていくために地方空港の活性化にもつながっている空港もあります。

道は、スポーツ合宿を地域において観光振興策と捉えて取り組んでいくことで、どのような効果を生み出すことができると認識しているのか、伺います。

 

<答弁>

スポーツ合宿の観光面での効果についてでありますが

 

  スポーツ合宿は、「スポーツ」で地域に人を呼びこみ、

  練習以外の時間で、地域の方々と交流したり、

食や観光を楽しんでいただくなど、地域の活性化が期待できるところ。

 

  道が実施した「市町村におけるスポーツ合宿の実態調査」

  によると、平成26年度のスポーツ合宿の参加延べ人数は、

  約29万人で、そのうち消費単価の高いとされる

  道外からの方々が約11万人となっていることに加え、

 

  一般的な観光客よりも長く滞在する傾向にあることから、

  合宿を通じて本道を訪れた方々が、道内各地で、

  観光消費をしていただくことは、

  地域への一定の経済効果をもたらしているものと考えており、

 

  国内有数のスポーツチームが合宿する際の応援ツアーの造成なども

期待されるところ。

 

    北海道のスポーツコミッションについて

今回提案している組織には、決して片手間ではない専門家チームが不可欠です。自治体単独での組織では無理があると判断しています。

 

イベント誘致では、人脈とネットワーク機能が・・・、

観光連携では、スポーツツーリズム機能が・・・、

広報/PR、講演では、広告代理店機能が・・・、

宿泊移動支援では、旅行代理店機能が・・・、

合宿誘致運営支援では、スポーツマネジメント機能が必要となってきます。

 

これらトータルのサポートを必要とするスポーツコミッション事業では、

道と市町村の連携を実現し、

各種協会との連携を実現し、

国は基より世界戦略が必要となり、

これらは、正しく道の役割であると言えるのです。

 

あくまでも目的は地域振興や地方創生であり、手段が観光を含んだスポーツ産業となるのです。

 

スポーツコミッション事業が整うことによって期待できる経済効果は、

1, 市町村の過疎化対策

2, 市町村の広域ネットワークの形成

3, 地方のインフラ整備

4, 持続可能なビジネスの展開 などが挙げられます。

 

スポーツコミッションにおいては、文部科学省のスポーツ庁と国土交通省の観光庁、双方の支援を仰ぎながら事業の推進が実現します。

もはや既存の庁内組織や「北海道オリパラの会」だけでは応えきれない、可能性を併せ持ったスポーツ産業の将来性を実現していくための、私が考える「スポーツコミッション北海道」の姿は、庁外に、官民と道内市町村とが連携された独立組織を設置して、期待に応えることのできる能力を備えることが必要だと思うのです。

 そこで経済部として、力強く「スポーツツーリズムの推進」を成し遂げていくために必要であると考えられる政策と、それに挑まれる経済部長の覚悟をお聞かせください。

 

<答弁>

スポーツツーリズムの振興についてでありますが

 

  スポーツを通じた観光振興を進める上では、

  道の観光担当部局とスポーツ担当部局とが

  密接に連携・協力することはもとより、国や市町村、

  地域や民間の関係者などとの幅広い連携が必要と考える。

 

  このため、道としては、関係者間での情報共有や協力体制を

  強化しながら、スポーツを切り口とした国内外からの

  交流人口の拡大や、スポーツ先進地としてのブランドイメージの

  定着に努めていくほか、合宿誘致につながる

 

  食と観光を充実させる取組や地域文化の魅力発信、

  滞在時に余暇を楽しむことができる

  満足度の高い受入環境の整備などを図ってまいる。