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2017/12/7

平成29年北海道議会第4回定例会 一般質問 「新エネルギー導入の加速化について」

A,新エネルギー導入の加速化について

 

 まず、新エネルギー導入の加速化について伺います。

 道では、平成12年9月に「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」を制定し、平成28年3月に「北海道省エネルギー・新エネルギー促進行動計画(第Ⅱ期)」を策定して、 省エネルギーの促進や新エネルギーの開発・導入を加速させるための施策を展開していると承知しています。

 新エネルギーに関しては、太陽光や風力などの導入が進んでいるものと、地熱やバイオマスなど導入の拡大が期待される状況にあるもの、更に発電のみに留まらず熱エネルギーやエネルギー発生時の副産物も含めて地域内循環を目指した新エネルギーの導入拡大の取り組みが重要です。

 私たちは、脱原発の視点に立ち、道内における自立的に確保できる新しいエネルギーの利用拡大を定めた前出の促進条例に基づいて、新エネルギー王国を早期のうちに実現させなければなりません。

 北海道電力による平成25年6月と平成26年11月の二度に渡る電気料金の値上げによって、さらに北海道全体で約530億円にのぼる電力賦課金を支払わされていることが加わることは、中小企業・小規模事業者の収益を圧迫するばかりではなく、直接的に道民の暮らしに打撃を与えることになっているのであり、地域から資金を流出させるのではなく、地域に資金を循環させるエネルギーの地産地消の取組みを進めることが重要です。

 

    北海道内の新エネルギーの導入について

最初に、北海道内の新エネルギーの導入について伺います。

現在、今年で3年目になる国によるエネルギー基本計画の見直しが行われていると伺っております。新たなマスタープランが出来上がることになります。

その中でも、大震災を契機とした原子力発電の新たな取り組みや、地球温暖化防止の観点からの化石燃料による火力発電への依存縮小などによって、再生可能エネルギーの取り扱いが注目されています。

 いまだ発展途上にある再生可能エネルギーについては、政策の助けもあって活用が進んではいるものの、再生可能エネルギー固定価格買取制度、いわゆるFIT制度の買取価格が下がる局面に入っていて、議論がされているものと承知しています。そのFIT制度について、一般木質バイオマス向けの買取価格に入札制度を導入することについて大筋で一致したと報道されていました。

 そのような中で、道は、北海道内の太陽光・風力・地熱・バイオマス等の様々な可能性を含んだ新エネルギーの導入状況についてどのように把握しているのか、それらについての将来の目標を数値化できているのか、伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの導入状況などについてでありますが

 

本道における平成27年度の新エネルギーの導入状況は、発電設備容量は、

244万9,000キロワット、発電電力量は、67億7,500万キロワットアワー、

熱利用量は、1万3,979テラジュールとなっている。

 

道では、「省エネ・新エネ促進条例」に基づき、行動計画を策定し、

新エネルギーの導入拡大に向けた取組を進めているところであり、

行動計画において、エネルギーの地産地消や大型プロジェクトの実現などにより、

平成32年度までに導入を目指す新エネルギーの数値目標を設定するとともに、

送電インフラの整備や、開発が長期にわたる地熱開発に関する地域の

合意形成などの条件整備を進めることにより達成すべき目標を掲げ、

その実現に取り組んでいるところ。

 

    再生可能エネルギー資源の賦存量について

次に、再生可能エネルギー資源の賦存量について伺います。

高橋知事は、常々に「北海道は再生可能エネルギーの宝庫です。新エネルギー関係で道外の企業に協力いただくと同時に、地産地消を推進していきます。北海道電力にも理解を求めていきます。」と明言されています。私も、この点は全くの同感であり、更なる導入加速化を実現していかなければならないと考えています。

では、道は、どこまで導入・推進していくことができるのかを把握しているのでしょうか。

太陽光や風、更に地熱源、バイオマスに至っては、家畜糞尿、木質資源、廃棄物等々と新エネルギーを生み出すための原材料の範囲は多岐に渡ります。

これまで、道が頼ってきた賦存量の認識に対して、現存する可能な限り正しい賦存量の把握が必要となります。正しい賦存量に対して、道が目指す目標を導入し、それに見合う政策を早期のうちに示すべきです。

 

高橋知事が、再生可能エネルギーの宝庫と表現する私たちの北海道に、一体それぞれにどれくらいの賦存量があるのかを明らかにしたことはあるのでしょうか、また、その内のどれ位を利活用していこうとしているのでしょうか、そして、正しい賦存量の可能性を十分に活かしきることが出来るようにどのような政策を実行してきたのでしょうか、伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの賦存量などについてでありますが

 

国では、現時点での科学的知見をもとに地域ごとの賦存量を示しており、

道では、この調査をもとに、本道に賦存する新エネルギーの量を

「省エネ・新エネ促進行動計画」の中で示すとともに、利用可能なポテンシャルを

最大限に活かすことにより達成すべき導入目標をエネルギー種別ごとに掲げ、

新エネルギーが主要なエネルギー源の一つとなるよう道民理解の促進や取組の

推進を担う人材の育成、段階に応じた支援など、新エネルギーの導入拡大に

向け取り組んできたところ。

 

道としては、現在の行動計画の計画期間が平成32年度までであることから、

本道の新エネルギー資源を取り巻く状況をしっかりと把握しながら、

「行動計画」の見直しを行う必要があると考えている。

 

    木質資源の利活用について

次に、再生可能エネルギーの活用の中でも木質資源の利活用について伺います。

私は、第三回定例会の予算特別委員会で「林業・木材産業の成長産業化について」の質問をさせていただきました。その中で、私たちの北海道が、土地面積の約7割が森林に覆われており、国内の森林面積の約1/4を占めるなど、広大な森林を有していること、この森林資源を有効に活用し、林業・木材産業の成長化を図ることを確認し、競争力の強化を図ることで成長産業化を急がなければならないと共有できたものと承知しています。

なかでも、木質チップの需要は相変わらず高く、輸入木質チップに頼らざるを得ない現状は決して望ましいことではありません。

木質チップが不足している現状は深刻です。木質チップが不足しているという現状は、非常に偏った環境であると言えると考えています。

そこには、森林を育むために種苗を植える人、樹木を日々管理し切り出す人から始まり、それを使った製材や間伐材などの未利用材の活用など木材産業に携わる方々、これらを運搬する方々に至るまでの様々な課題が存在していることが明らかになっています。

そのような中で、林業・木材産業関連団体からは、利用促進策として、林地未利用材の効率的な集荷・チップ等への加工、木質バイオマスエネルギー利用施設等の整備に対する支援強化、更に林地未利用材の搬出・運搬経費に対する支援強化など具体的に陳情が寄せられています。

 

北海道が、再生可能エネルギー大国を目指す時に、近年盛んになってきている木質バイオマス発電の振興を実現させていくための政策が必要になってきます。

特に発電事業について伺いますが、現在の木質チップの供給状況はどのようになっているのでしょうか、北海道内で生産し得る木質チップの賦存量をどのように把握し、林業・木材産業の成長化を実現させた上で、どこまで供給可能量の拡大を目指しているのか、その将来の目標は明確になっているのでしょうか、伺います。

 

<答弁>

木質チップの供給量などについてでありますが

 

本道において、紙の製造に利用されないチップや、森林内に残された未利用の

木材など木質バイオマスは、平成28年度では、発電施設の燃料などに

44万立方メートルが供給されている。

 

道内の森林では、間伐などに伴い、毎年、100万立方メートルを超える未利用の

木材の発生が見込まれていることから、本年3月に策定した森林づくり基本計画に

おいて、38年度に、木質バイオマスエネルギーの原料として未利用の木材を

69万立方メートル供給することとしている。

 

道としては、こうした本道に賦存する豊富な森林資源を最大限に活用するため、

森林内の路網整備や高性能林業機械の導入を促進するなど、木質バイオマスの

安定供給を通じた林業・木材産業の成長産業化に取り組んでまいる考え。

 

    下川町の木質バイオマス活用について

次に、下川町の木質バイオマス活用について伺います。

下川町における木質バイオマスの利活用は、全道はもとより、全国的にも注目される取り組みとなっていて、地産地消を理念とする姿勢は評価に値するものと考えています。

先の報道によりますと、町が来年度に着工を目指していた官民による木質バイオマス熱電併給事業計画を断念することになったと承知しています。事業規模の大きさや町外からの原料調達が懸念されたことが理由とのことであります。下川町長は、町の木質バイオマス事業は拡充させていく方針に変わりなく、改めて事業計画を策定し、地域活性化を目指したいとの趣旨のコメントを出されております。

このポイントは、地産地消と事業規模であると考えています。単純に北海道と下川町を並列して比較や検討することはできませんが、新エネルギーを導入し加速化させ、地域の活性化を実現させていかなければならない時に、その理念を置き忘れることは許されず、自らの状況を冷静に診断し、可能性を見極めて、将来に渡っての道筋を明らかにすることは、官民が連携して取り組む事業の公共性と、最大限の活力を生み出すことが出来る施策であると思うのです。

道は、先の促進行動計画の中で、課題の一つとして、地域での取り組みを加速させるために足腰の強い事業主体の育成が不可欠であると表していますが、それこそが道の役割であると私は考えています。

また、知事は、本定例会の我が会派の代表格質問でエネルギー政策について質問されたことに対して、地域の特性や資源を効果的に活用した取組を支援することや、エネルギーの地産地消の取組を全道各地に広げ、暮らしの豊かさの実現や経済の活性化につなげていくと答弁されているのです。

知事は、これらの取り組みをどのように捉えた上で、北海道の新エネルギー導入の加速化をどのように実現させていこうとされているのか、その為にこれまで質問させていただいたような必要とされる施策をどのように加速化させていくことを考えているのか、見解を伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの導入拡大についてでありますが

 

エネルギーは暮らしと経済の基盤であり、身近な地域で自立的に確保できる

さまざまなエネルギー資源を最大限に活用し、活力ある地域社会の実現に

寄与していくことが重要。

 

道としては、エネルギーの地産地消の促進や地熱、風力といった資源の活用を

進めることにより、新エネルギーの導入を一層促進していくことが必要と考えており、

「新エネルギー導入加速化基金」を活用し、先駆的な地産地消のモデルづくりを

支援するとともに、その成果を活用した取組を全道各地に広げるほか、

市町村などの取組の段階に応じたきめ細やかな支援を行うなど地域や企業の

皆様と連携しながら、道内に豊富に賦存する新エネルギーのポテンシャルが

最大限に発揮されるよう取組を進め、地域経済の活性化につなげてまいる。