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2018/07/5

平成30年 北海道議会第二回定例会 一般質問 「風力発電所建設について」

B,風力発電所建設について

次に、風力発電所建設について伺います。
先の新聞報道によりますと、現在、留寿都村で大規模な風力発電所の計画が進行しています。
当初、伊達市大滝区など周辺4市町村に風車50基を分散設置する計画でしたが、地域住民の反対や期待した風力が出ないとの理由で、本年4月に建設地を留寿都村のみに変更する方針を村に伝えています。
現在、道が推進している「新エネルギー政策」と「観光政策」そして「環境政策」が、それぞれに一歩も譲れない状態に陥った時に、道はどのように関与や判断を行い、将来の道民の元気な暮らしを保とうとするのでしょうか。
環境アセスメントは、環境影響評価法に基づき、事業者によって進められるものですが、一方で道として無関心で居られるはずがありません。環境アセスメント上で道が果たす役割や立場から、何も方針を打ち出せないでいることを甘受することは、道民の利益に反することなのだと捉えています。
特に、大規模な開発行為が伴う事業に関しては、主体となる事業者と自治体が、道や周辺自治体、地域住民や地元商工団体の意を十分に承知しながら推進しなければならないのであり、時に道や周辺自治体は、相反することとなる政策の決断や修正を図らなければならないと考えています。
そこで、知事にお聞きします。

 

① 環境影響評価方法書に係る知事意見について
まず、知事意見について伺います。
昨年、経済産業大臣に提出された知事意見によれば、そのほとんどに環境影響を確実に回避または低減することを求めていて、事業の規模を縮小することや事業計画の見直しを求めています。
これは、前述の通りに伊達市大滝区の風車設置を取り止めたことによって満足させられたことになるのでしょうか。
知事意見によると、当初計画の段階で計画地域全体に対しての適用であるならば、計画地域を留寿都村に限定することで環境影響を回避または低減したことにはならないと判断できます。
この知事意見に対して、経済産業省はどのような審査を行い、当該事業者はどのような対応を行ったのでしょうか。
手続きフロー図によると、事業者は方法書の段階で住民意見をとりまとめることとなっていますが、事業者や留寿都村の説明と周辺自治体や地域住民、地元商工団体の意見が実体と乖離していることが考えられます。見解を伺います。

<答弁>
環境影響評価の手続きについてでありますが

〇留寿都村などにおける風力発電事業については、昨年1月、事業者から道に対し、
 環境調査の範囲や、予測・評価手法等を示した「方法書」が提出され、
 関係市町村長や住民等の意見、さらには学識者で構成される北海道環境影響
 評価審議会での審議を踏まえ、重大な環境影響を回避又は十分低減できない場合は、
 事業計画を見直すこと等を内容とする知事意見を、昨年8月1日付けで経済産業大臣
 に提出したところであり、経済産業省では、学識者による審査を経て、同月末、
 事業者に対し知事意見とほぼ同様の勧告を行ったと承知。

〇現在、事業者は、環境影響に対する事業者側の考え方を示した
 「準備書」の作成中と承知しており、今後、準備書が提出された場合は、方法書と同様、
 関係者の意見や、審議会での審議を踏まえ、環境保全上の観点から、知事意見を提出する考え。

② 道の見解について
次に、道の見解を伺います。
道は、これまで、国の施策に基づいた道内における新エネルギー導入の加速化を推し進めてきています。この見地から、当該計画について、どのような見解をお持ちなのでしょうか。
新エネルギーの種類を問わず施策を推進する立場にあるならば、自治体や地元住民や商工団体との調整を担う役割は、道にもあるものと考えています。
しかし、北海道の中にあって、観光の重要且つ先進、成功地域であるニセコや留寿都であることを鑑みれば、この計画について、その後の影響を想定すれば、手放しで推進の立場をとることができないことは明白です。
道として、粛々と環境アセスメントの手続きを進める補助的立場をとることのみに頼らず、北海道全体の新エネルギー政策の立場から、地域住民や周辺自治体、地元商工団体との情報共有や積極的な関与を果たすことが必要だと考えています。決して無制限無秩序に推し進められるものではないと捉えています。
この問題は、なにもニセコ・留寿都に限ったことではありません。道内のどこにでも起こり得る問題であることは明らかです。
知事は、北海道が新エネルギーの宝庫であることを自負されています。この政策を推進しなければならないことは勿論ですが、同時に観光政策や環境政策と相容れない場合においては、何を優先していくことになるのでしょうか。知事として、どのような立場をとっていく考えであるのかを伺います。

<答弁>
新エネルギーの導入についてでありますが

本道に豊富に賦存する新エネルギーを効果的に活用していくためには、
 地域の自然環境や産業、景観との調和を図るとともに、
 地域住民の理解と協力を得ながら、
 事業を実施することが重要であると考えているところ。

道としては、これまでも、地域の実情や特性に調和した
 取組が行われるよう、許認可手続き、自然環境や社会条件への
 留意点などを記載した新エネの導入マニュアルを策定し、
 市町村等への普及を図るとともに、事業者から構想等の説明を受ける際には、
 関係法令に基づき適切に手続きを行うことはもとより、
 それぞれの地域の状況への配慮、住民や企業に対する
 十分な情報提供や丁寧な説明を求めてきているところであり、
 今後とも地域の環境や産業などと調和した新エネルギーの導入促進を図ってまいる。

【再質問】
それでは、風力発電所建設について、再質問させていただきます。

先ほどは、環境影響評価方法書に係る知事意見についてと、各政策が三すくみに陥った際に、なにを優先することになるのかについてお聞きしました。
しかし、知事は、環境アセスメント上の手続きの流れの説明と、調和できていないのに調和させると答弁するのみに留まっていました。

環境アセスメント上の知事意見を出すにあたり、それが道における賛否の態度を表すものではないことは承知しています。

私は、留寿都村の事例においては、方法書までの段階で、事業者と当該自治体が住民意見を取りまとめた内容と、周辺自治体や地域住民、地元商工団体等の意見が乖離している事実を聞き及び、ここでお伝えしているのです。
これは、少なくとも調和はしていません。
ここでいう乖離とは、賛成反対という双方の意見があるという乖離なのではなく、少なくとも道が承知しておかなければならない事実があると言った方が正しいのかもしれません。

これを防ぐ手立てとしては、環境影響評価手続きとは別に、道として道の責務を果たすこと、道として、事業者や当該自治体だけではなく、周辺自治体や地域住民、地元商工団体の声に真摯に耳を傾けること、客観的に事実を把握しておく必要があるのではないでしょうか。
しかし、今の知事部局の縦割りでの仕事には限界があって、それぞれが精一杯に職責を果たしてはいても、カバーしきれない部分が出来てしまうことは、これまでにも様々な議論で指摘されてきた通りです。

そこで提案です。関係部局と事業者や市町村等が情報を共有する場を設けては如何でしょうか。それは、事業可否を判断する場である必要もなければ、常設である必要もありません。道の責務を果たすために関係者へ積極的な関与をするために、調和を図るために、情報共有を、在るべき姿を、新エネ導入マニュアルの実践を、事業者や市町村等と共に検証や共有ができるように努めなければなりません。丁寧な行政運営が必要であると思うのです。
なにもすべての新エネルギー事業について実施する必要もありません。環境アセスメントが必要な規模の場合にのみ行えばいいのです。

そこで、もう一度、知事にお聞きします。
「環境政策」と「観光政策」と「新エネルギー政策」が三すくみとなってしまった場合には、何を優先させることになるのでしょうか。
調和させるための私からの提案を含めて、知事の見解を伺います。

<答弁>
新エネルギーの導入についてでありますが

〇本道に豊富に賦存する新エネルギーの効果的な活用に向けては
 地域の実情や特性を踏まえ関係者の理解と協力を得ながら、事業を実施することが重要。

〇道としては、庁内の関係部局からなる連絡会議を開催し、
 市町村を通じて把握した道内各地域における
 新エネルギー導入に関する情報を共有するとともに、
 計画の円滑な推進に向けて、地域の関係者へ
 環境アセスメントを含めた必要な情報提供やアドバイスを行うほか、
 事業者に対しては地域への十分な情報提供はもとより、
 丁寧な説明を行うよう求めるなど、地域の環境や産業などと調和した新エネルギーの導入が
 図られるよう取り組んでまいる。