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2019/09/4

環境生活委員会 令和元年9月一斉委員会 「アイヌ総合政策の推進について」

先日の報道でもあった通り、9月1日午前5時頃、紋別市内藻別川で、紋別アイヌ協会の畠山会長が違法なサケ採捕を行いました。これは、「アイヌ施策推進法(平成31年4月成立)」によって、アイヌ民族の伝統儀式に使用するための採捕として、特別申請を行えば問題なく採捕して頂くことが出来ることとなっています。

しかし、認められてはいない「先住権」や「自己決定権」を振りかざして密漁犯行に及ぶことは、新法成立を目指し活動して来られた全国に住んでいらっしゃるアイヌの人たちや関係者の皆さんにとって誠に迷惑な事件であると断言できます。

よって、環境生活委員会で取り上げ議論させて頂くこととしました。

この件につきましては、引き続き第三回定例会の一般質問で、北海道警察の対応も踏まえた今後の在るべき姿を導き出したいと考えています。

 

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A,アイヌ総合政策の推進について

「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」以下「アイヌ施策推進法」としますが、平成31年4月の成立に伴い、これまでの考え方に、新交付金や各種規制緩和、象徴空間への対応などを加えた新法となっていると承知しています。

 

 そのような中で、9月1日に、紋別市内藻別川で、道の許可を得ずにサケを数十匹採捕した事件が発生したと報道されています。その場で道の職員が中止を求めましたが、紋別アイヌ協会の畠山会長が、9月1日午前5時頃に違反行為に及んだと承知しています。

 このような事件が発生したことは、アイヌ施策推進法の成立による未来志向の政策を推し進めていかなければならない私たちにとって、誠に残念なことであると言わざるを得ません。

 そこで数点お聞きしておきます。

 

   事実関係について

最初に、事実関係についてお聞きします。オホーツク総合振興局の職員がその場に居て中止を求めているとお聞きしています。これまでの経緯を教えて下さい。

 

<答弁>

(サケ・マス)

 ・ 水産資源保護法、北海道内水面漁業調整規則で

   河川など内水面での採捕禁止

 ・ アイヌ文化の伝承等を目的とする採捕は、 

   同規則による特別採捕許可で認めている

 

(紋別アイヌ協会の会長)

 ・ 河川でのサケ・マスの採捕は、アイヌ民族の権利であると主張

 ・ 昨年から許可を受けずに、採捕に及ぼうとしていたため、

  道は、再三にわたり、許可申請を行うよう指導

 ・ 9月1日、同会長ほか1名が、道職員の制止を無視し、

  河川において、許可を受けずに、サケ・マスを違法に採捕

 ・ 道では、この違反行為を現認し、同日付けで紋別警察署に告発

 

 

<指摘>

この質問の意見交換の中で、「昨年は道警が立会い、中止を求めて採捕が行われなかったと聞いていて、今年はなぜ道職員に同行することができなかったのかと、また、今回は既に道から告発を受けているとされていますが、今後どのように対応されることになるのか」とお聞きしようとしたところ、道警から答弁を拒否されるという誠に遺憾なこととなりました。道警の犯行を見過ごす状況を放置することは出来ません。この件については、第三回定例会の一般質問で取り上げることと致します。

 

   「アイヌ施策推進法」上の特別採捕等について

 今年4月に成立した「アイヌ施策推進法」において、特別採捕については、特別採捕の申請を行えば、問題なく採捕して頂くことが出来るとされています。

 しかし、紋別アイヌ協会の畠山会長は、先住権や自己決定権など認められていない権利をかざして、特別採捕の申請を拒否して、その場で違反行為に及んだと聞いています。

 これは、権利云々の前に、身勝手な行動であり、国内ほとんどのアイヌの人々にとっても迷惑であると断ずることが出来る違反行為だと言わざるを得ません。

 このケースにおいては、どうあるべきであったのか、「アイヌ施策推進法」に基づく、道の立場からの解釈を伺います。

 

<答弁>

(アイヌ施策推進法)

  農林水産大臣または都道府県知事は、

  市町村の地域計画に記載された内水面サケ採捕事業実施のため、

  漁業法及び水産資源保護法による許可が必要とされる場合、

  当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をする。

 

(今回の事案)

 ・ アイヌ文化の伝承等を目的として行われるサケ・マスの採捕

 ・ 北海道内水面漁業調整規則による特別採捕の

  許可を受けて実施されることが適切

 

 

   今後の対応について

次に、今後の対応について伺います。

実は、紋別におけるサケの捕獲の違反行為は今年に限ったことではないようです。先ほども述べましたが、昨年は道警が立ち会うことで防止することが出来ましたが、それ以前については定かではありません。

同日、千歳アイヌ協会が行ったアイヌ民族の儀式では、特別採捕の申請が事前に行われており、伝統の漁法でサケの捕獲が実施され、160人もの関係者が集まり、感謝の祈りが奉げられたそうです。

一体、この差は何なのでしょうか。

道及び道警は、紋別アイヌ協会の畠山会長に、今後の無用な違反行為を防ぐために諦めることなく働きかけることが必要です。どのように働き掛けを行うことになるのかを伺います。

更に、「アイヌ施策推進法」の成立には、北海道アイヌ協会が深く関与されています。今回の残念な違反行為について傍観者を決め込んでもらっては困ります。紋別アイヌ協会に限ることなく、道内の各アイヌ協会や各地で伝統の儀式を行う際に、「アイヌ施策推進法」に基づいた諸手続きを取るように周知徹底させる協力を求め、早期に、継続的に実施されるように求めることが必要です。

それぞれに見解を求めます。

 

<答弁>

 ・アイヌの伝統的な儀式や漁法の伝承、知識の普及啓発は、

  特別採捕許可の目的の一つに位置づけ

 

(アイヌ文化の伝承等を目的とする採捕)

  北海道内水面漁業調整規則による特別採捕許可の

  申請を行うよう、引き続き指導

 

(アイヌ施策推進法に基づく市町村の地域計画に記載される事業)

  道アイヌ協会や市町村に対し、必要となる許可手続きを、各地域協会を

  はじめとする等に係るアイヌの人たちへの周知について、協力を求めてまいる

 

 

<指摘>

今回の事件は、「アイヌ施策推進法」の趣意を翻弄させるものであり、まさに未来志向で取り組もうとする国や道、市町村や関係する企業・地域・個人に対する裏切りとも言える違反行為だと考えています。

一方で、ルールに則った特別採捕の申請については、柔軟な対応を検討する必要もあると考えます。

今回の質問を通じて、北海道アイヌ協会と道内各地アイヌ協会の関係性を知るところとなりましたし、「アイヌ施策推進法」によって目指す姿を邪魔する人たちに、アイヌの人々も居ることを知り、私は誠に残念な思いであります。

  私たちは、日本に、北海道に住まう者として、「アイヌ施策推進法」の成立を通して、アイヌ総合政策の推進を実現させなければなりません。

もはや、民族問題としてではなく、地域振興が根底になければ、両者の元気が損なわれていってしまうことになりかねません。

 既に、どちらかだけが通ればいいという環境にないことについて、議論の余地はないのです。

 「アイヌ施策推進法」にも使われることになった「未来志向」という言葉に、私たちが直面する様々な危機を乗り越えていくために必要な「元気」を含ませなければなりません。

 この件につきましては、改めて9日の前日委員会で触れさせていただき、今一度「アイヌ施策推進法」について整理し、優先して取り組むべき課題について議論させて頂きたいと考えています。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。