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2016/01/5

1月 環境生活委員会 「エゾシカの有効活用について」質問させていただきました。 ※新聞記事付

※本質問については、平成28年1月6日付 北海道新聞朝刊 4面で取り上げていただきました。

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【エゾシカの有効活用について】

エゾシカの有効活用が様々に議論されている中、民間では一部の品目で海外輸出が始まっているとお聞きしております。食肉としてのみではなく、エゾシカの有効活用を目指してHACCP対応やブランド化の方向性などを模索している北海道にとっては朗報であると考えられます。これまで国内における有効活用についてのみ議論がされてきましたが、今後、海外輸出の道が拓けていくことになる際には、これまでとは全く異なる環境が生まれてくることが予想されます。よって、北海道が関係団体等と積極的に協議を重ねて、エゾシカのブランド化をより推進していくための環境を整えて、発信する必要があると思うのです。この分野においてアジアを、世界を視野に入れる時、その輸出マーケットはこれまでのそれとは異なり、大きな市場を有し、経済性が高く、取り組み方次第では急拡大が期待されることとなり得ます。

そこで幾つか質問させていただきます。

①まずは、有効活用と保全の両立についてです。

一般社団法人エゾシカ協会のホームページによりますと、明治初頭、北海道開拓使が外貨獲得のために目論んだシカ皮やシカ肉の大量輸出計画は、非常な乱獲を招いたとされています。運悪く豪雪にも見舞われて大量餓死が重なり、エゾシカは一時、絶滅寸前にまで激減したのです。そこで、政府は方針をシカ保護に切り替え、昭和中期まで続く長い禁猟時代が始まります。北海道は1998年には全国に先駆けて「道東地域エゾシカ保護管理計画」を策定。総合的な科学研究に基づいて対策を更新しながら、人間活動とシカとの軋轢を軽減すると共に、シカの安定的な生息水準を確保することになります。新たに海外輸出が本格化することが見込まれるいま、生物多様性の観点からエゾシカの有効活用と保全を両立させることが、本委員会でも度々議論されてきたところでありますが、道の見解を伺います。

<答弁>

今後のエゾシカ対策についてでありますが、エゾシカの絶滅を回避しながら、適正な管理を行い、エゾシカと人間の共生や本堂の豊かな生物多様性の保全とその持続可能な利用を図ることが必要であると考えている。

こうした中、平成22年度からの緊急対策期間における各種施策の実施により、エゾシカの生息数は減少傾向にあるものの、未だ約48万頭という高い水準にあり、引き続き、捕獲対策を進めていくことが収容であると考えている。

道としては、食肉だけではなく、ペットフードとしての利用や角、皮の加工といった活用促進を図るなど、より多くの皆様が貴重な地域資源を最大限活かしていくための取組を進めていくことが重要と考えている。

 

②次に、輸出の現状についてです。

北海道では、エゾシカの海外輸出についての現状を認知・把握されていますか。また食肉・皮・角などを輸出するにあたっての条件など、エゾシカの輸出の現状について、どのようになっているのかを伺います。

 

<答弁>

輸出にあたっての条件などについてでありますが、エゾシカは「と畜場」での処理の対象外となっており、輸出検査に必要な「と畜検査証明書」を取得できないため、エゾシカ肉ゆ加工されていない角や皮などについては、現時点では輸出できない状況。

一方、エゾシカ肉の缶詰・レトルトなどの加工食品については、こうした証明書などが不要のため輸出が可能であり、また、角や皮などの加工品については、伝染病の心配がないことなど、輸入国が求める要件を満たすことにより、輸出が可能と承知しており、角の加工品が輸出された事例もあると聞いている。

なお、これらの輸出量や輸出先などについては、貿易統計などにはエゾシカに関するデータがなく、把握できないところ

 

③次は、利活用率の向上についてです。

12月の環境生活委員会において、我が会派の同僚議員が食肉としての利用状況について質問され、答弁がありましたが、現在、食肉としての活用率は、直近で捕獲数に対して18パーセント程度に留まっているとのことでした。現在では、まだ一部の品目に限られているとお聞きしていますが、海外という大きな市場を相手に輸出による消費拡大が進めば、当然、良質な原材料を確保していく必要が出てきます。その為にたくさん捕獲することも考えられますが、まずはこの活用率を高める枠組みやルールを整えることにより、原材料を確保し、経済性を高めていくことが重要と考えます。聞くところによると、エゾシカ肉をより美味しく食べていただくには、捕獲してから処理するまでの時間を短くすることが大きく影響するとされていて、捕獲現場での何らかの下処理方法の確立やその環境整備等が必要とされているのではないでしょうか。

さらに活用率向上に加えて、食肉以外の活用も含めて、国内のみならず、海外からの需要を高めていくためにも、ハンターさんや食肉処理業者、販売者が一体となってエゾシカの価値を高めていくことが重要であると考えています。 見解を伺います。

<答弁>

有効活用についてでありますが、捕獲したエゾシカを貴重な地域資源として、さらに活用していくためには、食肉のほか、ハムやソーセージなど加工食品やペットフードとしての利用、さらには、角、皮の活用も進めていくことが重要。

このため、道では、ハンターに対して、食肉として利用する上での衛生面の知識に関する普及啓発を行ってきており、また今後、食肉をはじめ、角、皮の活用も可能となるような捕獲技術などをPRするとともに、ハンターと関係する事業者との連携が必要と考えている。

このほかも、食肉処理事業者に対しては、このたび新たに設けた認証制度を踏まえ、より高度な衛生管理に取り組むよう働きかけるとともに、飲食店・販売店や消費者に対しても、認証制度を広く周知して、安全・安心なエゾシカ肉をPRするなど、捕獲から有効活用までの一貫した取組をより一層推進することによりエゾシカの価値を高め、利活用率の向上につなげてまいる考え。

 

④最後に、エゾシカブランドの価値をより高めるためのルールなどについてです。

国内はもちろん、海外を含めると需要量は非常に多くなることが予想され、エゾシカ製品のブランド化に向けては、食肉を含めて幅広い利活用に取り組むためのルール作りが必要ではないかと考えます。仮に輸出が進み、流通が増え、経済性が高まってから対応したのでは遅いのです。

「あるもの」を提供するのではなく、「求められるもの」を提供することが出来て、初めて私たちの目指す北海道ブランドの価値が高まるというものではないでしょうか。

エゾシカ肉をはじめとするエゾシカ製品が求められて、海外輸出も含めてこれから一層需要が拡大した時には、そのニーズに合わせた戦略が必要なのであり、ハンターさんや食肉処理業者などが有効活用を適切に推進していくためのルールやガイドラインのようなものが必要であると考えますが、そのルールはいつ頃までに整える考えであるのかも併せて、道の見解を伺います。

<答弁>

エゾシカの有効活用についてでありますが、エゾシカの食肉処理量は、この五年間で1.6倍の485トンとなるなど、近年、エゾシカ肉の認知度や需要が高まり、ホテルやレストランなどでの料理提供や家庭での消費も増えている中、今後とも、食肉の需要拡大により一層努めることはもとより、角の加工品が輸出された事例もあり、角や皮の活用を進めていくことも必要と考えている。

このため、食肉に関して、今年度、モデル事業として実施している生体長距離輸送による肉質の影響調査や認証制度の導入による衛生管理の充実に加え、皮や角などに関しても、加工する事業者とハンターや食肉処理事業者などの連携により、有効に活用されていくことが望ましいものと考えており、道としても、関係者による協議の場を設け、意見交換を行うなど国内外において、活用されるよう努めてまいる考え。

 

【指摘】

幾つかの質問をさせていただきましたが、それらを踏まえた上で指摘をさせていただきます。

まず、北海道がこれまで取り組んできたエゾシカ対策やブランド価値の創造が功を奏して、その認知はもとより、適正な管理の下で道内におけるエゾシカの生息数は落ち着きをみせているものと考えられます。しかし、今回質問させていただいているように、海外の需要に応えていく上では、その状況は大きく変化していくものと容易に想像できるのであります。これまで何度となく議論を重ねてきた私たちは、このチャンスをどのように捉えるかによって、これまでの取組みを活かしきることが出来るかを問われているといっても過言ではないと考えています。

例えば、捕獲数のみならず捕獲方法などについては、必要な知識と技術が伴った資格者に、現場での下処理作業を衛生的に施すことで、目指す高品質な原材料を確保できるような環境を整えることや、食肉処理施設にあっては肉のみならず、皮や角などについても流通にのせやすい状態に加工しておくことによって経済性を確保することを普及させるなど、道が果たすことのできる役割はまだまだ多く残っていると考えています。

そして、そこにはハンターさんを初めとした食肉処理事業者や皮や角の加工販売者など関係する方々に、何が求められている姿であるのかを共有していただき、協力し合うことで、衛生的に効率的に経済性を高めてエゾシカブランド価値の更なる向上が可能になるものと考えられるのです。

最後の質問では、いつ頃までにルールやガイドラインを整えるお考えであるのかもお聞きしましたが、残念ながらお答えいただくことはできませんでした。

また、これまで度々質問されてきた関連する内容にあっても、当事者の皆さんが「求められている」ものを、道が確保してきたとは言い難いものとなっていることは否めません。

人口減少・人口急減が進行する中で、まさに北海道の元気の源を将来に渡って生み出していく責務がある私たちが、北海道ブランドを最大限に有効活用しなければならない今、このチャンスを逃す訳にはいかないのです。

ここは改めて「求められているもの」を正面から受け止めていただき、それを早急に実現のものとする一方で、生物多様性の見地から保全との両立を可能とすることができるように、道としての役割を果たしていただけるように指摘しておくこととします。

 

以上で私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました

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今回の質問にあたっては、多くの方々に関心を持っていただくことができました。

同様のお考えをお持ちの道民の方が多いことの査証かと思っております。

引き続き調査研究を続けて、道議会で議論を重ねて、「北海道の強み」として確立させて参ります。

よろしくお願いいたします。