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2017/12/6

平成29年北海道議会第三回定例会 予算特別委員会 教育委員会 「幼児教育の振興について」

L,幼児教育の振興について

次に、幼児教育の振興についてですが、先の我が会派の代表質問で幼児教育について伺いましたが、幼児教育の質の向上の取組などについて、もう少し掘り下げて伺ってまいります。

① 幼稚園教育要領の改訂について
本年3月に、幼稚園教育要領や幼保連携型認定こども園教育・保育要領、さらには保育所保育指針が改訂され、同様に改訂された小中学校などの学習指導要領に先行して来年度から実施されることになりましたが、改めて、幼稚園教育要領が改訂された趣旨について伺います。

<答弁>
幼稚園教育要領の改訂についてでありますが、

○ 現行の要領では、幼児の「遊び」を中心とした生活を通して、
 一人一人に応じた総合的な指導を行ってきたところであるが、
 社会状況の変化等による幼児の生活体験の不足等から、
 基本的な技能が身についていなかったり、幼稚園と小学校の接続が
 十分ではないといった課題が指摘されるとともに、
 平成27年度から「子ども・子育て支援新制度」が実施され、
 質の高い幼児教育を提供することが一層求められてきたこと等を踏まえ、
 今般の改訂が行われたものと認識。

○ こうした状況を踏まえ、新しい要領では、
 「健康な心と体」「自立心」や「道徳性・規範意識の芽生え」など
 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を明確化するとともに、
 幼児教育施設と小学校の教員がその姿を共有することにより、
 幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化を図ることを目指しているものと承知。

② 質の向上への対応について
改定の趣旨を踏まえると、幼稚園、保育所、認定こども園を含むすべての幼児教育施設で教育の質を高めていくことが重要です。幼児期の子どもたちが「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に向けて成長し、小学校教育に円滑に繋がることが求められますが、道教委は、幼児教育の質の向上に向けてどのように対応しているのか、伺います。

<答弁>
幼児教育の質の向上についてでありますが、
○ 道教委では、平成28年度からの3年間、
国の「幼児教育の推進体制構築事業」を活用し、幼稚園をはじめとする
すべての幼児教育施設において質の高い教育が受けられるよう
幼稚園教員や保育士等の研修の仕組みや教育内容や指導方法等に
対する指導・助言体制の充実などについて調査研究を行っているところ。

○ このような中、公私立の幼稚園、保育所、認定こども園の関係者、
並びに市町村や学識経験者などで構成する「北海道幼児教育研究協議会」を設置し、
地域の実情や現場のニーズなどについて御議論いただいており、道教委としては、
こうした様々な意見を参考にしながら、教育の質の向上に向けた施策や
体制整備の在り方について検討を進めてまいる考え。

 

③ 調査研究事業について
国のモデル事業を活用して、幼児教育の推進体制を構築するための調査研究が行われておりますが、この調査研究事業を通じて、幼児教育の質の向上のために現在進められている具体的な取り組み、特に、教員や保育士の資質向上などの取り組みについてはどのようなものがあるのか、伺います。

<答弁>
教員や保育士の資質能力の向上についてでありますが、

○ 幼児教育の充実のためには、幼稚園はもとより、保育所、認定こども園など全ての 

 幼児教育施設において、質の高い教育を受けられるようにすることが重要である。
○ このため、道教委では、全ての幼児教育施設の職員等を対象に、
 昨年度から試行的に「幼児教育を語る会」を実施し、
 今年度は小学校の教員も対象に全管内で開催するなど
 幼稚園教育要領等の改訂について理解の促進を図るほか
 幼保小の教員が情報共有し、幼児教育について意見交流する場を設けている。

○ また、要請のあった幼児教育施設に
 「北海道幼児教育相談員」として委嘱した専門家を派遣し、
 要領の改訂等を踏まえた教育課程の見直しや
 特別な配慮を要する乳幼児へのかかわりなどについて
 助言を行う取組を進めているところ。

④ 小学校との連携について
今回の要領等の改訂では、幼児教育施設だけでなく、その後の受入施設となる小学校にも、幼児と児童との交流や障害のある幼児児童との共同学習の機会を積極的に設けるなど、両施設間の連携や協力が求められており、教員等がその趣旨をしっかりと理解し、幼児教育等と小学校教育の円滑な接続を図っていく必要があります。道教委は、このことについてどのように取り組んでいく考えなのか、伺います。

<答弁>
幼児教育施設と小学校との連携についてでありますが、

〇 小学校低学年は、
 幼児教育を通じて身に付けたことを生かしながら教科等の学びにつなぎ、
 児童の資質・能力を伸ばしていく時期であることから、
 幼児教育と小学校教育を円滑に接続することが極めて重要と認識。

〇 このため、道教委では、各小学校が、幼児教育を通して育まれた資質・能力を
 更に伸ばしていくことができるよう、それぞれの地域において
 ・特別な配慮を要する幼児へのかかわり方など
  幼保小の情報交換や引継ぎ体制の構築
 ・教育内容の相互理解を図るための研修の実施など
 一層の連携が大切であると考えている。

〇こうしたことから、来年3月に策定予定の新しい教育計画において、
 幼保小合同の研修会や
 小学校におけるスタートカリキュラムの作成を目標として設定するなど
 幼児教育と小学校教育との円滑な接続のための取組を進めてまいる。

⑤ 基本方針の策定の進め方について
広大な本道においては、幼児教育施設は保育所だけという地域もあり、道内どこに住んでいても質の高い幼児教育を受けられる環境が必要です。教育長は代表質問で、「幼児教育内容の充実や人材育成をはじめとする各種施策を北海道全体で推進するための「仮称・北海道幼児教育振興基本方針」の策定について、知事部局と緊密に連携しながら検討を進める」と答弁されており、今後、基本方針の策定等により教育の質を担保していくことになると考えておりますが、方針の策定について、どのように検討を進めていこうとしているのか、道教委の考えを伺います。

<答弁>
基本方針の策定についてでありますが、

〇子どもたちの健やかな成長のためには、
 幼稚園や保育所など全ての幼児教育施設において
 質の高い教育が受けられ、さらに
 小学校教育へと円滑に接続されることが重要であり、

 そのため、
 ・教員や保育士の資質能力の向上
 ・幼稚園教育要領等の趣旨に基づく教育・保育の実施
 ・幼児教育施設と小学校等との連携
 ・家庭・地域との連携
などがこれまで以上に重要であると認識。

〇道教委としては、こうした考え方の下で、
 広域分散といった本道の特性を踏まえた幼児教育の充実について
 各部横断の連絡会議において議論を行うなど、
 知事部局と緊密に連携するとともに、
 「北海道幼児教育研究協議会」における議論も参考にしながら
 教育内容の充実や人材育成をはじめとする各種施策について
 オール北海道で推進するための基本方針の策定に向けて
 検討を進めてまいる。