
この質問は、9月11日の環境生活委員会で行われています。
私、道見やすのりは、今期は環境生活委員会から外れておりますので、同僚議員に質問していただいております。
道は、「新たなモニュメント」のデザインについても、北海道百年記念塔の解体手続きと同様に、適切な段取りを経ずにデザインの決定を押し切ろうとしています。
今回の質問の答弁についても、ほとんど噛み合わない状態であることは痛恨の極みです。
然るに、第三回定例会の予算特別委員会において、私自身が質問させて頂き、先人の開拓の労苦に対する感謝と未来の道民に対する期待の想いを正しく伝承していく為の論点を明確にして参りたいと考えています。
しかし、新しいモニュメントのデザインについては、有識者懇談会で9月末には決定されてしまう見込みとされています。
まして、その候補について寄せられた数多くの道民の意見の公開を、デザイン決定後に公開するという道の姿勢は、道が繰り返して使う「丁寧な対応」には程遠く、道とってのみ都合の良く曲解した諸手続きを容認することは出来ないのです。その他にも到底理解できない点が多く、とても見過ごすことは出来ません。
私は、今となっては、誰が北海道百年記念塔の解体を望み、誰が新たなモニュメントに込める思いを整えていくのかさえ判らなくなってしまっていると捉えています。
残念ながら、北海道百年記念塔の塔体は解体されてしまいました。
その失った塔が担ってきた役割は大きく、その代替えとしての「新しいモニュメント」が担う公的役割を、私たちは未来の世代に正しく伝承しなければなりません。
決して手を緩めることなく、あるべきを道に問い正して参ります。
是非ご注視頂きますようにお願い致します。
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一 百年記念塔の解体跡地に設置する新たなモニュメントのデザインについて
昨年末から公募されていた「新たなモニュメント」のデザイン等については、先の委員会報告にもあったように、有識者懇談会の一次審査によって6作品が選定されていることを承知しています。
今回の質問では、この選考過程における疑念について明らかにすることで、選考スケジュールについて、一旦立ち止まることを提案するものであります。
(一)新たなモニュメントについて
最初に、新たなモニュメントについて伺います。
そもそも北海道百年記念塔は、当時の先人によって、特定人物の顕彰に限定せず開拓の先人に対し感謝と慰霊のまことを捧げるためや、将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う総意を込めた思いが込められている塔であることを、道は早くも失念されているようです。
新しいモニュメントの設置目的に「互いの多様性を認め合う共生を表現し、未来へとつながる北海道を象徴するもの」とありますが、何を新たに目指しているのか不明です。
改めてお聞きします。道は、新たなモニュメントのデザインに何を期待されているのでしょうか。見解を伺います。
<答弁>(文化振興課長)
新たなモニュメントについてでございますが、百年記念塔建設当時の考えや、百年記念塔に親しみを抱いてくれた方々の思いを引き継ぐとともに、互いの多様性を認め合う共生を表現し、百年記念塔を発展的に継承した未来へとつながる北海道を象徴することを目的に設置することとしておりまして、そのデザインにつきましては、今日の北海道を築き上げてきた先人たちへの感謝と畏敬の念を表すとともに、互いの多様性を認めながら支え合う共生を基礎に、未来へとつながる北海道を象徴することをコンセプトとしたところでございまして、このコンセプトに沿ったモニュメントを中心とする賑わいある広場の整備が推進されることを新たに期待しているところでございます。
<指摘>
設置目的の中にある「互いの多様性」についてですが、一方の想いや主張を表現するだけでは何も生み出すことはできません。
既に、百年記念塔がその意を表現していたことは論を待ちません。
新しいモニュメントのデザインにおいては、百年記念塔に込められた思いを継承することのできるデザインでなければならないことは明白です。
私は、道が打ち出す新たな目論見が成就し、地域一帯が活性化することを大いに期待をしております。
(二)モニュメント設置に関する懇談会について
次に、モニュメント設置に関する懇談会について伺います。
一次審査を通過された6作品についての情報非公開が多すぎで、報道等を通じて発表されたとはいえ、道民はもとより、議会にとっても適切な判断をするに事足りない状態であることは明らかです。
例えば、スケジュールが3ヶ月遅れた理由については如何でしょうか。
更に、一次通過作品の詳細が一切非公開である理由が全く理解できません。
募集要項によると、寸法等の情報は明らかになっています。正に、道が意図的に隠す理由が疑念となっていることが判ります。
また、8月末までに寄せていただいた道民意見の公開が無い理由は何ですか。
道の説明によると、個人情報の保護等と議会に説明し公開を回避されていますが、新たなモニュメントが担う公的使命を考えるときに、道のこれらの対応は、深い疑念を抱かざるを得ません。
改めて、それらの理由について説明を求めます。
<答弁>(文化振興課長)
一次審査結果の公表などについてでございますが、モニュメントデザインに係る一次審査につきましては、デザインの募集終了後、要件等の確認を経て、本年4月24日に「モニュメント設置に関する懇談会」による審査を行ったところでありますが、様々な考えに基づく作品の応募がありましたことなどから、丁寧な審査を行い、7月19日に開催した懇談会におきまして、一次審査通過の6作品を選定したところでありまして、その審査結果の公表におきましては、懇談会での議論を踏まえ、それぞれの通過作品に対する懇談会の有識者意見や応募者から提出のあったコンセプトなどの情報を公表したところでございます。
なお、道民意見の募集結果につきましては、今後開催予定である懇談会による最終審査の結果と合わせ10月に予定されております本委員会に報告後、道のホームページ等で公表することとしているところでございます。
<指摘>
委員の皆さんや道民の皆さんにおかれましては、先ほどの答弁でおわかりいただけるように、質問している4点において議論がかみ合っておりません。道にはまともな答弁をする気が無いようにも見受けられます。
道が丁寧な審査を心がけたいなら、今回の質問で要求している点において、道民や議会に対して丁寧さに欠ける諸手続に、全く同意ができません。
寸法や材質、その他選定に必要な情報をあえて隠すことは、道の別な意図を感じ取らざるを得ません。
寄せられた道民の意見を、懇談会による選定後に公開する選択については論外です。この点一つをとっても、その順番を逆にすることで生み出す結果の持つ意味は大きく変わってしまいます。今回の質問では、まさしくそれを道が意図的に操作したがる根拠の一つと捉えております。
それらの意見を道民や有識者懇談会の皆さんに把握していただいた上で、デザインを選定することは必然でしょう。
有識者懇談会の皆さんには、先人や多くの道民の意を込めたデザインの選定に努めていただく必要があります。
何のためのデザイン選定であるか、すっかりと迷子になってしまっているのではないでしょうか。道には、その自覚が欠けていることを強く指摘しておきます。
(三)予算等について
次に、先ほどの質問に関連する質問となりますが、一次通過作品についての予算等について伺います。
道は、6作品についての詳細について一切公開をしていません。これは選考過程における恣意的な情報の隠ぺいであると強く断定せざるを得ません。
それらについての寸法や材質、予算、そして作者の背景やデザインに込めた意味合い等を明らかにされた上で、道民の意向を広く受け止めることができる作品である必要があります。予算がデザイン選考基準の一つとなっていない理由を教えてください。
そもそも北海道百年記念塔を設計された故井口健先生の込めた思いを継承されていなくてはならない、新たなモニュメントの設計者としてその解釈をどう継承されたかを、私たちが明確に受け止めることができるように設えなければなりません。
また、気になるのは、募集要項の中で「安全性や設置費用、維持管理上の観点から、モニュメントデザイン等の一部を変更する場合がある」と明記されています。
これは、この質問冒頭で触れた北海道百年記念塔の意義と新たなモニュメントのデザイン者の込めた想い等を踏みにじる行為そのものと言えるでしょう。重ねるならば、道が隠そうとしている意図のままに、デザインや規模を操ることができることになってしまいます。
何故そのようなことになるのか、今回の募集基準の曖昧さが招いた代物であると断定できます。
道は、今からでも一次審査を通過された応募者に対して、予算関係の情報提供を求める必要があります。それは、有識者懇談会のメンバーも必要とする情報であるはずですし、何よりも製作・設置をする道の最大の関心事項であるからだと考えています。
道の見解を伺います。
<答弁>(文化振興課長)
新たなモニュメントに係る予算についてでございますが、この度の募集においては、モニュメントのデザインを募ることとし、コンセプトを踏まえたデザインを幅広く募集したところでございます。
懇談会において、製作や維持管理に係る費用を参考として把握したいとの意見がありましたことから、一次審査を通過した応募者に対し、情報提供を求めたところでございます。
新たなモニュメントの製作等に係る予算につきましては、モニュメントデザイン選定後、安全性や設置費用、維持管理上の観点を踏まえながら、検討していくこととしております。
<指摘>
今の「予算については、デザイン選定後に安全性や設置費用、維持管理上の観点を踏まえて検討する」という答弁は、不誠実極まりないことに気づかれていますでしょうか。
外構を含めた新たなモニュメントについては、前述のとおりに大きな大志を込められたものでなくてはいけないのであり、道の恣意的な意図によって曲解された産物を未来に対して継承していかなければならない可能性が大きいことは、余りに道にとって都合が良すぎる執行とはならないでしょうか。
他の事例を含めて、北海道150年の歴史に対する昨今の道の不敬については、目に余るものがあります。今一度、自戒の念をもって行政執行に当たっていただきたいものです。
(四)今後のスケジュールについて
次に、今後のスケジュールについて伺います。
8月の報告によれば、今月下旬にはデザイン案の決定が為されることとなっています。
これは、これまでに質問してきた理由から性急過ぎではないでしょうか。何故、早急にしているのでしょうか。
今回質問させていただいた内容を含め、選考そのものを在るべき姿に修正するためにも、9月下旬の決定は延期することを求めます。
考えてみれば、そもそも昨年末に道が公表したスケジュールからは、既に3ヶ月遅延している状態です。これが示すとおりリスケジュールは不可能ではありません。
懇談会メンバーはもとより、広く道民に必要な情報が開示・補足されなければなりません。
要求どおりにリスケジュールしたとしても、そもそも交流空間構想の全体工程に何ら影響のある提案ではございません。
特に、必要情報の完全公開と募集要項にはない「予算」についての考察が必要であり、欠かすことはできません。必要ならば予算については、外部委託して概算であったとしても算出してもらうことは非常に有益であり、それこそが真に丁寧な審査と評価できる理由となるでしょう。
改めて伺います。9月下旬のデザイン案の決定を見送り、今回の質問で明らかにした適切な情報提供が可能となるようにリスケジュールを行ってください。
道の見解を伺います。
<答弁>(環境生活部長)
モニュメントデザインの選定についてでありますが、モニュメントデザインにつきましては、令和4年12月から本年3月まで、デザイン案の公募を行い、応募のありました22作品につきまして、2回にわたり「モニュメント設置に関する懇談会」を開催いたしまして、7月に一次審査通過の6作品を選考したところであり、その結果について8月の本委員会で報告をさせていただいたところであります。
この度、8月に1ヵ月かけて実施した道民の皆様からの意見募集を終えましたことから、今後開催する懇談会におきまして、今回の委員会の御議論について情報提供し、最終審査を経て、決定・公表できるよう、適切に対応してまいります。
<指摘>
9月下旬の決定についての延期の提案については、適切に対応してまいるということで、その提案は受け入れるつもりがないように受け止められます。
この不手際について、この選考の過程ですね、議会からの指摘に対しても不誠実に執行を強行する様に見受けられますし、褒められたものではないと思います。手続き一つ、その順番を間違えただけで、後に生み出す結果の意味合いは大きく変わってしまいます。
しかし、この場で一つ一つ不満を述べても、らちがあかないようです。
本件に関しては、予算特別委員会や知事総括を通じながら諸々について明らかにして参りたいと思います。是非、受けていただきたいと思います。
だとしても、デザイン案の決定後の議論となってしまいます。次の段階では、決定されたデザイン案の撤回と、選定に必要な情報を公開した上でのデザイン案再選定の要求となってしまいます。道が強行する以上、仕方ないことと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
振り返れば、北海道百年記念塔解体の成功体験が、今の道の強硬な執行手段を選択させる基となっているとさえ自戒しているところです。
今回の質問は、同僚議員によってまとめられたものとなっていますが、予算特別委員会のみならず今後の委員会や予算決議の場においても、道に対して求めていくものは何ら変わりがありません。
全ては、先人や未来の道産子を含めた北海道民の活力のためです。
道政の執行上、以前の方針や先輩方の執行に対して変更が極めて困難であることを承知はしております。しかし、これから北海道が必ず迎える幾多の困難に対して立ち向かわなければならない、今を生きる私たちにとって、その暗黙のルールは手かせ足かせにしかならないことが多いことを知らなければなりません。
決して過去の否定ではありません。限られた資源を最大限に発揮しつつ、護るべきは護り、変えるべきは恐れず、私たちが未来の道民に対して最大限の責務を果たしてまいりましょう。
道職員皆さんの実りある今後の行政執行に期待して、この質問を終わります。
昨年再開させて頂いた親睦パークゴルフ大会を、来る9月16日土曜日に開催させて頂きます。
多くの皆さまのご参加をお待ちしております。よろしくお願い致します。
詳しくは、下記添付資料をご覧いただくか、弊所までお問い合わせください。
この質問は、四年の任期を与えて頂いた最後の質問として、環境生活委員会で行いました。
多くの同志と共闘させて頂いていることに感謝を申し上げながら、目指す北海道百年記念塔の存続に向けて「春の戦い」でも訴えて参りたいと覚悟しています。
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【北海道百年記念塔について】
本質問にあたっては、令和4年10月3日に、道民が原告、北海道を被告として、札幌地方裁判所に行政訴訟が提起されていることから、その内容そのものについて触れることは致しませんし、答弁を求めることも致しません。
しかし、道は、係争中であっても、令和4年10月には解体に着手しており、更に、厳冬期にも関わらず解体の予定を大幅に前倒しして解体を急ぐ道の姿勢は奇異に映ります。
そこで、幾つかの質問を行います。
①建物解体撤去等差止請求事件について
最初に、建物解体撤去等差止請求事件について伺います。
現在、本事件は、第二回口頭弁論迄を終え、3月28日に予定されている中間判決が待たれる状況となっています。
道は、北海道百年記念塔について、これまで「道の考えを丁寧に説明する」と詭弁を繰り返してきましたが、それでも司法の場に判断を仰ぐことになってしまった事態について、道の見解を伺っておきます。
<答弁>
百年記念塔についてでございますが、道といたしましては、塔のあり方について、平成28年以降、道民の皆様からのご意見はもとより、様々な専門家・有識者の方々の知見を伺うとともに、道議会でのご議論もいただきながら、時間をかけ、慎重に検討が重ねられてきたと考えておりまして、そうした状況を踏まえ、道議会におきましても、解体に係る予算や工事請負契約の締結について、議決をいただいてきたところでございます。
塔の解体に関し、訴えの提起など、様々な意見があることは承知しておりますが、公園を利用される方々の安全確保が何より重要であり、解体もやむを得ないと判断した考えに変わりはございません。以上でございます。
②仮の差止めの申立てについて
今の答弁には、申し上げたいことが山ほどあるんですけれども、後にまとめます。
次に、仮の差止めの申立てについて伺います。
解体が進む危機的状況を鑑みて、2月24日には、仮の差止めの申立てが行われています。
一般的に考えられることとしては、訴訟の対象となった工作物を躍起になって解体を進める道の姿勢は、決して許されるものではありません。否応なしに他意を疑ってしまいます。
北海道百年記念塔は、既に建設から50年以上が経過し、北海道の歴史的文化的財産を形成するものの一つとなっていて、少なくとも道民にとっては重要な歴史的文化的な価値を有していることに議論の余地はありません。
一般の工作物とは異なり、再生が不可能なものであることは明白です。
道は、何を理由として北海道百年記念塔の解体を、そうまでして急ぐのでしょうか。
見解を伺います。
<答弁>
記念塔の解体工事についてでございますが、道では、3月1日に、札幌地方裁判所を通じて、塔の解体工事の仮の差止めを求める申立書を受理したところでございます。
解体工事につきましては、昨年10月14日に締結をした工事請負契約において、令和6年5月までを工期として、各種工事の工程が組まれており、これまで計画どおり工事が進められているものと承知をしております。
③井口健氏のコメントについて
この質問の前に、一言添えておきます。
3月1日の新聞報道等で明らかになりましたが、北海道百年記念塔の設計者である井口健氏が、去る1月14日午後5時34分、札幌市内の病院にてご逝去されています。享年84歳でいらっしゃいました。
北海道百年記念塔が、ご先祖様に対する北海道の開拓の労苦への感謝と未来の発展への期待の想いを込めた記念塔であること、北海道の開拓の象徴として、北海道のアイデンティティとして在り続けた記念塔であることを、ここに改めて感謝と敬意を表し、そんな想いを表した記念塔を設計していただいた故井口健先生に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
さて、道は、これまで、北海島百年記念塔の解体について、記念塔の設計者である故井口健氏の同意を得たと説明してきました。それは議会手続きの中でもそうでしたし、これまでの住民説明会等でもそうでした。これは私自身が聴いていたことですから間違いありません。
しかし、井口先生は生前にそんなことは伝えていないと表明していましたし、その想いを記録に遺されています。
故人に対する名誉の為にも、この点について改めて事実関係を確認させていただきます。
道は、故井口健先生の生前、記念塔の解体の同意を得ていませんね。
尚、この点については、当該裁判の論点にはなっていないので質問させて頂いています。
事実を曲げてでも、議会や道民に虚偽の説明を繰り返してきた理由を伺います。
<答弁>
設計者である井口氏への対応についてでございますが、道では、井口氏に対して、平成29年以降、塔の現状や議論の経過を丁寧に説明するとともに、今後のあり方などに関し、直接、お会いし、ご意見を伺ったほか、令和2年6月には、塔の内部の現状もご覧いただいたところであります。
井口氏からは、形状を大幅に変更する残し方は容認できない、モニュメントとして維持し、自然に委ねるのが本来の姿とのご意見や防水対策の難しさなど、様々なご意見を頂戴したところでございます。
道では、こうした井口氏への対応に関し、道議会や道民の皆様への説明会において、説明を行っていますが、委員ご指摘のように、塔の解体に関し、井口氏から同意を得たと説明したことはございません。
<再質問>
いまの答弁によると、道は、故井口健先生から解体の同意を頂いていないと認めたことになります。その解釈でいいですね。
また、議会議論過程での説明については、私自身が故井口健先生の同意は頂いていると説明を受けています。私自身が説明を受けているのですから、これ以上の証人はいません。
この解釈をはじめとした議会議論における道の説明には、様々な虚偽が含まれており、私は、これによって議会がミスリードされてしまったと考えています。
特に、この点は、故人となられた井口健先生の名誉のためにも譲ることは出来ません。
見解を伺います。
<答弁>
井口氏への対応に関する説明についてでございますが、道では、これまで、塔の解体に関し、井口氏から同意を得たと説明したことはございません。
④北海道百年記念塔の価値について
次に、北海道百年記念塔の価値について伺います。
昭和45年9月2日、昭和天皇皇后両陛下ご臨席の下、内閣総理大臣等の政府要人が出席され、記念塔竣工式典が行われ、当時の町村知事は、約1500名の参列者の前で「ただ今寄贈下さいました北海道百年記念塔壱基謹んで受納いたします。この記念塔建立の趣意を体して最善の管理と運営に万全を期してまいる所存でありますことをお誓い申し上げお礼の言葉といたします。」と述べられているのです。
繰り返します。町村知事は、北海道百年記念塔建立の趣意が顕彰されるべく最善の管理と運営に万全を期すと誓約したのであります。
私は、鈴木知事と現役の幹部の皆さん、北海道庁職員の皆さんに問い正したいのです。
いつから心変わりされてしまったのですか。いつこの誓約を反故にすることにしたのですか。
今を生きる道民の皆さんだけではなく、道民であられた私たちのご先祖様の皆さんとの約束を平気で破ることが出来るのですか。
北海道百年記念塔の歴史的文化的な不変の価値を認めるのは、原告の皆さんも、道の皆さんも一緒のはずです。
道の見解を伺います。
<答弁>
記念塔に対する認識についてでございますが、塔は、建設以来50年以上にわたり、先人に対する感謝と躍進する北海道のシンボルとして親しまれてきたものと認識しております。
塔の歴史的、文化的価値は否定しないものの、その構造上、今後の老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を
利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減等の観点から、解体もやむを得ないと判断したものでございます。
⑤部分的に逸失してしまった北海道百年記念塔について
次に、部分的に逸失してしまった北海道百年記念塔について伺います。
これは、仮定に基づく質問になりますので、道は答弁しにくいのかもしれません。
道は、既に解体工事を強行して、半年が経過しようしています。最近確認したところによると裾部のコルテン鋼のパネルを剥ぎ、部分的に足場を掛けている状態だと承知しています。
では、当該裁判にて解体中止の判決が出たならば、道は、北海道百年記念塔の逸失してしまった部分について、道民・国民に対してどのように責任を負うことになるのでしょうか。
繰り返しになりますが、北海道百年記念塔が持ち合わせる重要な歴史的文化的な価値を、どのように修復されると考えているのでしょうか。
まさか想定していないだとか、無理ですとか答弁されることはないと思いますが、危機管理的に考察しても、道が選択した解体開始の強硬策は、この点において致命的な欠落が明らかです。
更に、解体を強行した理由の一つに、議会議論を含めた行政手続きに落ち度はないと鈴木知事を含めて道は表明されていますが、故井口健先生に関する質問で明らかにした通り、その齟齬がいくつも明らかになりつつあることが事実です。この他の矛盾点、特に、議会への説明について、事実と異なる説明を重ねて導き出した北海道百年記念塔解体手続きであることが、今後、司法の手によって明らかにされることでしょう。
道は、北海道百年記念塔の逸失してしまった部分について、道民・国民に対してどのように責任を負うことを想定していますか。見解を伺います。
<答弁>
今後の対応についてでございますが、道では、このたびの裁判におきまして、塔の解体もやむを得ないと判断をいたしました道の考え方が認められるよう、主張をしているところでございますが、今後、仮に差止請求が認められた場合には、判決の内容を精査し、顧問弁護士などの意見も踏まえた上で、適切に対応してまいる考えでございます。
<指摘>
今の答弁では、大切な部分が欠落しています。
例えば、この道議会庁舎を何らかの理由で解体したとしても、その再構築は可能です。しかし、北海道百年記念塔を傷付けてしまえば、元に戻すことは不可能であることは明らかです。それは、私たちが、開拓の歴史を否定することは出来ないからなのです。
だから、私たちは、この質問を通して提起しているのです。
だから、私たちは、原告の主張が通った場合に、この半年余りの道の無理強いについてどう責任をとるのかと聞いているのです。
何故急ぐのですか、何故事実を曲げてまで、議会や道民に誤った説明を繰り返すのですか。
元に戻すことが出来ないと判っているからこそ、住民訴訟が提起されたならば歩みを止めるものなのではないのですか。
それが、公平公正を普段から謳う行政としての在るべき姿なのではないでしょうか。
そこには、うがった見方をしてしまうほどに疑義の念を感じざるを得ません。本心を隠し、継ぎはぎの説明を重ねたとしても、北海道の先人に対する労苦と感謝を否定する不敬な立ち居振る舞いを通そうとすることはまかり通らないのであります。
本来ならば、ここは再質問として、議論を深めるべきところではありますが、冒頭更には本質問で踏み込み過ぎた点があることも認めなければなりません。今後の訴訟の成り行きなどを注視しながら、今後の議会議論に繋げて参ることを申し上げて、この質問を終わります。ありがとうございました。
2,ゼロカーボン北海道の実現について
今回の質問は、本定例会一般質問のうち、本委員会に関わる設問を、委員会質問に回した分となります。よろしくお願いいたします。
私は、道が、11月16日に、ゼロカーボン北海道の実現に向けて、令和5年度国の施策及び予算に関する提案・要望を関係省庁に行われたことを承知しています。
この質問では、ゼロカーボン北海道の実現についての要望・提案の内容に基づいた質問をさせていただきます。
①地域が地域が地域が行う脱炭素の取組みへの支援の考え方について
まず、地域が行う脱炭素の取組みへの支援の考え方について伺います。
この提案・要望では、脱炭素の取組みを通じて、国内地域経済活動の活性化につなげることが重要だとされています。一方で、バイオマスなどの地域資源を活用した取組みなど、市町村が行う脱炭素に向けた取組について支援策を拡充することも併記されています。
支援については、補助金やその拡充も大切なことではありますが、地域経済活動の活性化につなげるのであれば、補助金によるそれよりも、民間の活力や資金の注入の方が規模も効果も高いことは明らかです。
だとすると、補助金やその拡充と同時に、否、むしろそれらよりも先行し手厚く、参入の障壁となる規制等を取り除く施策の実現に取組むことが必要です。
どうやって民間企業に取組んでもらうのか、そのインセンティブも含めた発信を明らかにする役割が、行政側にはあるのです。
果たして、現在の道の考え方に、これらについての具体的な施策があるのでしょうか。
残念ながら、それらの諸施策にまで話が及ぶと、この質問では時間が足りなくなってしまいます。それらについては、力強い民間活力の導入のために、行政には見えていないであろう取り除く必要がある「障壁」や「規制」については、今後の議会議論で引き続き取り上げて参ることをお伝えしておきます。
まずは、総論としてゼロカーボン推進監の考え方を伺っておきます。
<答弁>
脱炭素の取組への支援についてでございますが、道では、再エネの最大限の活用、吸収源対策の取組推進などにつきまして、支援の拡充や規制緩和などを国に要望するとともに、省エネ・新エネ設備の導入に対する低利の融資制度や金融機関と連携した金利優遇などにより、事業者の取組を支援してきております。
また、経済団体等からのアドバイスも受け、今年度、中小企業向けに費用対効果を含めた脱炭素取組事例集を作成・配布するなどの取組を行ってきております。
今後とも経済・産業団体や事業者の声を丁寧にお聞きしながら、ゼロカーボン推進局が、庁内各部局、振興局や市町村、関係機関や意欲ある事業者の結節点としての役割を担い、必要な制度改善や新たな関係性の構築促進を図り、ゼロカーボン北海道の実現に向けて、官民が一体となって取組を進められるよう努めてまいります。
<再質問>
いま推進監から答弁して頂いたところですが、私がこの質問で問うているのは「何が障壁や規制となっていることを道側から知る必要がある」ということなのです。
また、知るという点についても待っていては話になりません。2030年や2050年と期限を切ったのは道側なのです。よって、道側から知りにいかなくてはいけないのです。
今回の答弁では、雰囲気を掴むことは出来ましたが、限られた時間の中で知りにいくには、部内で、具体的な対象者や団体、もしくはその施策が組み立てられていても良い位なのです。
この再質問で、その対象者や団体を答弁させるには性急過ぎる感がありますので、この趣旨に沿った形で、私たちと相手方を模索し、施策に組み上げては如何でしょうか。
推進監の見解を伺います。
<答弁>
取組の支援についてでございますが、事業者の方々に脱炭素の取組を一層進めていただくためには、経済・産業団体や事業者の方々が抱える課題を的確に捉え、必要な施策を講じていくことが重要と認識してございます。
関係部局はもとより、幅広い関係者とも連携しながら、事業者の方々等の声を能動的に収集し、施策づくりに努めてまいりたいと思います。
②地域が行う脱炭素の取組みへの支援の手法について
次に、前の質問で支援の考え方について伺ったところですが、この質問では支援の手法について伺っていきます。
この要望・提案では関連して「脱炭素先行地域」について触れられています。
既に5地域の選定が実現しているところですが、本道から多数の地域が選定されるように支援することとしています。
この点においては、既に、道は、全ての市町村にエントリーされるように促していますが、一方では、市町村毎に多くの課題を抱えエントリーしきれていない現実があるのだと推察しています。
それは、「地域の課題」や「地域内エネルギーの自立」と脱炭素が上手く結びつけられていないこと、言わばビジネスモデル化が出来ていないことや、そもそも市町村における資金をはじめ知見や人材の不足が大きく影響しているものと考えられます。
やはりここでも民間活力や資金の導入が鍵となるに違いありません。
更に、市町村単独で取組むには限界がきており、飛び地を含めた広域自治体での取組みが、そして民間活力や資金の導入が力強い推進に結びつくことが容易に想定できます。
この「脱炭素」の取組みは、その地域の「稼ぐ力」に直結するのです。そして「稼ぐ力」こそが、その地域の元気となり得るのです。
道は、それらを実現することができるように、各地域の「地域の課題」や「地域のニーズ」のリスト化と「民間の技術や欲求」のマッチングをさせる役割を担うことが必要です。
私は、道には、このマッチング機能を整備することの決断が欠かせないと信じています。
道の見解を伺います。
<答弁>
民間活力の活用への支援についてでございます。民間事業者との協働や地域間連携は、脱炭素を進める上で重要な要素と考えておりまして、環境省においても、第3回脱炭素先行地域の選定に向けては、こういった項目をより重視していくものと承知しております。
道では、地域特性に応じた脱炭素の取組をサポートするために、市町村の課題やニーズを踏まえ、農業・観光などの分野別の将来イメージや具体の取組、事業実施に活用できる支援策などを提示しました支援ツールを作成し、各市町村に提供しているところでございます。
また、北海道地方環境事務所と協力しまして、脱炭素の取組を進めたい市町村と技術やノウハウを持つ企業との「地域脱炭素マッチング会」を開催してきているところでございますが、今後、このような情報共有やビジネス参画につながる機会を増やしていくことで、先生ご指摘のような市町村と知見を有する民間事業者等をつなぐ役割を一層果たすことができるように取り組んでまいりたいと思います。
<指摘1>
この質問についても、一問目の再質問と同様に雰囲気を掴むことは出来ましたが、道が知り集めた「市町村の課題やニーズ」と民間の技術と資金をマッチングさせる具体的手段について、その姿が答弁からは見えてきません。
道が知り集めた「市町村の課題やニーズ」をどのように民間へ知らしめるのか、国内は基より世界にパートナーを求めていく必要があるのです。
この点において、施策が必要です。今後この趣旨に則した素晴らしいプランが示されることを期待しておきます。
<指摘2>
今回取り上げている「ゼロカーボン北海道」の実現については、既に各会派によって多くの議会議論が重ねられてきていることを承知しています。知事をはじめとした推進監や理事の皆さんが、国との連携を模索しながら苦労されていることを知っているからこそ、如何にして、北海道により馴染み、他の都府県よりも優位に立ち回ることが出来るのかを工夫しなければいけないのだと考えるところです。
一般質問でも述べたところでありますが、「脱炭素化」は地域間競争そのものです。そのキーワードは、「分散」と「稼ぐ力」と「マッチング」なのです。
そして、その主役は、「市町村」と「民間」でなければならないのです。それらに同意して頂けた時に、道としての役割は自ずと明らかになってくるのです。
それは、旧態依然とした国とのつなぎ役なのではありませんし、まして補助金等の配布役でもありません。
私たちには、主役の理解者として立ち居振る舞うことが求められているに違いありません。
私たちは、拡大期とは異なり、縮小期に突入している日本の広域自治体として、求められる役割を果たさなければならないのだと確信しています。
道庁の皆さんが想像する以上に、民間の皆さんは「障壁」と「規制」に苦しんでいます。
これまで公平公正を担保するために整えられてきたそれらは、ゲームチェンジの局面では、「障壁」と「規制」となって立ちはだかっているのです。
そのままの環境で「ゼロカーボン北海道」を唱えても、背中を押しながら足を引っ張っているのも同然なのではないでしょうか。
私は、何も全てを撤廃せよと要請している訳ではありません。
「ゼロカーボン北海道」という国を挙げての新しいゲームが始まったのですから、それに見合うルールを加えるのではなく、整え直すことが必要不可欠であることを知ってほしいのであります。
目的は「脱炭素化」なのです。
道は、何が「障壁」と「規制」となっているのかを知る努力を怠らないでください。
刻々と進化する技術に感性を張り巡らせながら、自らが築き上げきたルールと照らし合わせて、効率的に掲げた目標に到達できるように、「市町村」や「民間」の手先となって働いてください。
「プレーヤー」は、「市町村」や「民間」です。
子供たちの世代にも元気な北海道を実現させるために、今一層の努力を惜しむことなく滅私奉公していただきますように強く要請しておきます。
今後も、このテーマにおいては議論を積み重ねていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
2,ゼロカーボン北海道の実現について
次の質問では、ゼロカーボン北海道の実現について伺います。
私は、知事が、11月16日に、ゼロカーボン北海道の実現に向けて、令和5年度国の施策及び予算に関する提案・要望を関係省庁に行われたことを承知しています。
昨年6月に知事が宣言された「ゼロカーボン北海道」については、挑戦的と受け止められており、国や市町村等と連携を深めながら、未だ手探り状態ではありますが、全庁挙げての挑戦であることは言うまでもありません。その先頭に立つ鈴木知事には、力強く指揮を執っていただくことを期待しております。
この質問では、それら要望・提案の内容に基づいて質問をさせていただきます。
①本道の本道の特性を活かした実証実験の実施について
最初に、本道の特性を活かした実証実験の実施について伺います。
道は、様々な再生可能エネルギーや分散型エネルギーリソースを活用した効率的な電力システム・水素サプライチェーンの構築などの実証事業の実施を継続・拡充することを要望・提案しています。
本道には179の市町村があり、それぞれが取組むには、無理と無駄が伴ってしまうことを懸念しています。時に数は力ですが、同時に逸失にも繋がってしまいます。
ここでも道の活躍の場があるのです。マッチングさせる役割を担うことが必要です。
これらの意味合いで、道は、具体的にどんな事をしてきたのか、どんな事を見込んでいるのでしょうか。
道の見解を伺います。
<答弁>
再エネを活用した実証事業などについてでありますが、道では、再エネの活用に関する市町村のニーズを一元的にお聞きするワンストップ窓口を設けるとともに、市町村が抱える課題の解決に向けて、専門人材の派遣やノウハウを有する企業とを結びつける取組を行ってきたほか、必要に応じて関係市町村や事業者との調整役を担うなどし、本道のポテンシャルを活かした実証事業の誘致に取り組んできたところ。
これらの取組により、例えば、市町村施設への太陽光発電のPPAモデルの導入や再エネを活用した水素製造に関する事業可能性調査が実現するなど、一定の成果が得られており、道としては、引き続き、市町村や事業者等のニーズを把握し、再エネ活用や実証事業がより多く具体化できるよう、積極的に支援してまいる。
②苫小牧地域におけるCCUS実証事業プロジェクト等の着実な実施について
次に、CCUS実証事業等の実施について伺います。
私は、先の道外視察等を通じて、道内の各設備で分離・回収された二酸化炭素が「資源」であることを気付かされました。それは、カーボンリサイクルを実践する上で欠かせないことであることを知り、活用させるサイクルに嵌め込めば、十分に経済活動の一翼を担わせることが可能であることを学んだのです。
これは、正に行政の仕事なのだと考えるに至っております。
発生させてしまった「副産物」を効率的に「エネルギー」に転換させることは、無駄の排除であり、それは電気エネルギーを生み出す際に発生する「熱エネルギー」を活用させようとしている今と変わりないことなのだと考えることが出来ます。
この意味合いで、道としての取組みを伺うと共に、今後の展望について見解を伺います。
<答弁>
CCUSの取組についてでありますが苫小牧地域では、二酸化炭素の回収・貯留を行う大規模実証事業をはじめ、カーボンリサイクルの拠点化に向けた調査や火力発電所における二酸化炭素分離・回収技術の検討などが行われており、道では、これまで、国に対し実証事業等の着実な実施を要望するとともに、「苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会」に参画するなどして、事業者との情報交換を行ってきた。
国は、2030年までのCCS事業化を目標とするロードマップを年内にも取りまとめることとしており、道としては、国の検討状況を注視するとともに、地域や関係者との調整を行うなどして、道内における二酸化炭素を資源として活用するCCUSの事業化が進むよう、取り組んでまいる考え。
③農林水産業における脱炭素化の推進について
次に、農林水産業における脱炭素化の推進について伺います。
実は、私の印象によれば、農林水産業と脱炭素化は相性の悪い組み合わせだと捉えているのです。
それは、農林水産省と経済産業省等の縦割り行政の副作用であると理解していて、目的である脱炭素化に取組むにあたり、既に膨大に予算が投じられている農林水産業界に、後追いで経済産業省予算を投じようとしても高い壁がそびえたっていることを経験しているからでもあります。
現場で様々に挑戦的な取組みが重ねられることは重要であり、それらを支援していくことは勿論のこと、高い障壁を取り除く、もしくは特区的な行政による工夫を以てして壁を崩していく努力が必要なのだと考えています。
繰り返しになりますが、目的は「脱炭素化」です。
道は、その障壁を理解するところから始めなければなりません。現場から聴き集めていかなければなりません。その障壁を崩すことが出来たときに、効率的な「脱炭素化」が実現するのであって、その地域の活力が増すことにつながると考えます。
これらの意味合いで、道は、どのような事をしてきたのでしょう。そしてどんな事を見込んでいるのでしょうか。
道の見解を伺います。
<答弁>
農業分野の脱炭素化についてでありますが、農業は、光合成による農産物の生産を通じ、CO2削減に大きく寄与している一方、化石エネルギーの使用や飼料、肥料の使用などによりCO2も排出しております。
このため、道では、本道農業が「ゼロカーボン北海道」の実現に寄与するとともに、将来にわたって、持続的に発展していくため、家畜ふん尿を利用したバイオガス発電や農業用水による小水力発電など、再生可能エネルギーの導入を図ってきたほか、スマート農業の導入や基盤整備による効率的な農業の展開により、CO2排出量の削減に取り組んできたところであり、今後とも、地域のニーズや課題などを把握し、昨年3月に農政部内に設置した「温室効果ガス削減対策等ワーキングチーム」において、国に対して必要な対策を提案するなど、現場の声に適切に対応しながら、脱炭素化の取組を推進してまいります。
<指摘>
最初に、農林水産業における脱炭素化の推進について指摘します。
私は、この質問で、農政部が取り組んできた内容を一面的に伺ったのではなく、農政部すら気付いていない障壁が沢山あることを自覚して頂く必要があると説いているのです。
その障壁、特に農政部側からの工夫こそが、大きな成果をもたらすことになると確信しているのであります。
国の政策の代行者としてではなく、道自身が当事者としての職責を果たすことが求められています。
これらの点については、今後の予特等で取り上げていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
④環境・エネルギー分野での技術・製品開発等への支援の充実
次に、技術・製品開発等への支援の充実について伺います。
北海道の地域特性を活かした技術力やノウハウを掘り起こすと共に、これらに向けた取組みを地域経済の好循環に繋げるために、中小企業等への支援を充実させると要望・提案されています。
これも繰り返しになってしまいますが、民間の資金や活力に期待せざるを得ないのが現実です。
予算が限られるばかりではなく縮小していくことが避けられないこれからの行政の役割は、補助金や支援金を配ることではなくなるのです。
資金を伴う脱炭素の意識が高い民間の参入を促し、取組み易くするための障壁を取り除き、域内に限らず広く世界から知見を集めて提供していく「マッチング」が欠かせなくなるのだと確信しています。
行政自らが、前向きで野心的な中小企業等と力を合わせてビジネスモデルを創り出していくことが必要となるのです。
道の見解を伺います。
<答弁>
環境・エネルギー分野における支援についてでありますが環境関連産業を食や観光に続く成長産業の一つとし、地域経済の好循環に結びつけていくためには、省エネルギーや新エネルギーの開発・導入の取組と併せ、マーケティングや技術・製品開発、販路拡大などを、道をはじめ、産業界や研究機関、地域等が連携して支援することを通じ、道内企業の参入を促進することが重要と認識。
このため、道では、製品開発等に対する補助金に加え、国内外の最新動向を道内企業に紹介するビジネスセミナーや課題解決に向けた専門家による相談会の開催、多くの関連事業者が集まる全国的な展示会への出展支援など、さまざまな取組により、マッチングの機会を提供しており、今後とも、環境関連産業への参入が進むよう、総合的な支援に取り組んでまいる。
⑤地方公共団体の温室効果ガス排出量の算定への支援について
次に、地方公共団体の温室効果ガス排出量の算定への支援について伺います。
この点においても繰り返しになってしまいますが、道内市町村には資源が不足しています。あれもこれもと取組むこと自体が無理となってきているのです。ただでさえ人口は減り、予算と人手が不足するばかりです。
よって、排出量の算定自体を「稼ぐ力」に直結する仕組みとして創り出さなければいけないのではないかと考えています。
それは、例えば「自治体間排出権取引市場」の創設です。
様々に自然エネルギーが賦存する北海道であることを有利に働かせるならば、排出権の設定は時局に合った政策となり得ます。市場を民間に置くのか、知事会内に置くのか、どの省庁に所管して頂くのかによりますが、鈴木知事が提唱する政策として検討して頂くことは出来ませんか。これも行政発の「ビジネスモデル」の創出です。
知事の見解を伺います。
<答弁>
ゼロカーボン北海道の実現に関し、まず温室効果ガス算定への支援についてでありますが、地域の脱炭素の取組を進める際の課題の一つには、市町村の人材や専門知識の不足が挙げられることから、道では本年、市町村の排出量の算定方法や削減目標の設定などに係る市町村職員向け勉強会を開催してきているところであります。
道としては、今後、市町村向けの研修機会の一層の充実に努めるとともに、排出削減と経済の好循環にも資する手法であるJ-クレジット制度の活用を道内自治体等に広く働きかけるほか、本道の強みである豊かな自然環境と再生可能エネルギーを最大限活用した排出削減の取組によって、経済的効果も高められるよう、議員の皆様のご意見も踏まえ、将来のニーズや技術の進展も見据えながら、様々な方策を検討してまいります。
⑥再生可能エネルギーの導入拡大に向けた電力基盤の増強と支援措置の拡充について
次に、電力基盤の増強と支援措置の拡充について伺います。
言うまでもなく、北海道における系統連系の脆弱さは致命的です。
道は、要望・提案の中で、着実な整備を進めるとともに、特定の地域に偏らない費用負担の下で新たな海底送電ケーブルの整備の早期着工を明言されています。
私は、この方向性には異論はありません。
但し、付け加えて頂きたい視点があるのです。それは、エネルギーの自立化の展開です。
広大な北海道における発電及び送配電ネットワークは、国策によって著しくいびつな仕組みとなってしまっています。
高度経済成長の局面では、それが効率的であったのかもしれません。
しかし、脱炭素が声高に唱えられて久しく、技術革新も著しい現在にあっては、広大さや寒冷さが強みとなる仕組みで整え直していくことが必要なのだと考えています。
平常時にその地域で使うエネルギーは、その地域で創り出すことが活力の源となり得ます。使う以上に創り出したエネルギーを域外に売ることで、その地域の活力の上乗せが可能となります。
北海道胆振東部地震による大災害に見舞われた私たちは、非常時電源の確保に舵を切りました。それは応急処置にしかなり得ません。
この「脱炭素化」の局面と電力基盤の増強を見込むときに、地域毎マイクログリッド化が視野に入り、既存技術で十分に対応できることも分かっているのです。
これを単独市町村に取組ませると、まちの中心部にある役場等の公共施設のマイクログリッド化を実現したと歓喜しています。それでは不十分です。
私たちには、民間との連携を強化し、その資金と活力を活かした政策・施策が必要です。エネルギーの自立化は、脱炭素化における「基本の基」となることを知らなければなりません。それらのアイディアは、現場に在るのです。
何度でも繰り返します。行政の役割は、もはや補助金や支援金の配布業務ではありません。
むしろ、障壁となる規制の撤廃や知見とノウハウの蓄積による民間と広域自治体とのマッチングの方が主力となる時代に突入していることを知ってください。
地域エネルギー自立化についての知事の見解を伺います。
<答弁>
地域マイクログリッドについてでありますが電力インフラの強靱化を図る方策として、地域にある再エネなどを一定規模のエリアで面的に活用する分散型エネルギーシステムの構築が期待されており、その実現のためには、技術面や経済性などの課題を解決していく必要があると承知。
このため、道としては、地域で導入が可能なシステムとして、平時は地域の再エネを有効活用しつつ、系統からも電力供給を受け、災害など非常時には独立して電力を供給できる「地域マイクログリッド」の構築に向けて、事業環境の整備と支援策の拡充を国に要請するとともに、民間事業者のノウハウも積極的に取り込みながら、セミナー等による情報提供や専門家による助言、計画策定から設備導入までの各段階に応じた支援を行うなど、市町村と事業者が連携した地域の取組を後押ししてまいる。
⑦北海道地域PPSの実現について
次に、北海道地域PPSの実現について伺います。
私は、先の第1回定例会において企業局への質問で、北海道地域PPSを提案し、鈴木知事からは期待している旨の答弁を頂いたところであります。
これは、北海道企業局が作る自然エネルギーを道庁自身が使用し、余剰分を販売するために北海道地域PPSを設立させる提案でした。これは政策的にもコスト的にも相容れることの出来る提案として理解しています。
その後は、所管する部署が北海道企業局なのか、経済部なのか、環境生活部なのか明確にならないまま試行錯誤が続いているのが現状です。
今回の質問の端々に出てくる「ゼロカーボン北海道の実現」に向けて、多くの市町村と民間事業者に、これらの取組みを推進して頂かなくてはいけない段階にあっては、この点において道が躊躇している様は、はっきり言って滑稽でしかありません。
道が、「ゼロカーボン北海道」を実現しようとしているならば、その取組み量について選り好みをしている場合ではありません。何が不都合なのかこれを機会に示して頂くことも可能です。しかし、不都合が無いのであれば、早急に検討を始める責務があるのです。
不作為と受け取られても致し方ない程でもあります。
道は、新しい仕組みを創り出さなければなりません。エネルギーで稼ぎ、他を支えることで住民サービスを充実させていくことが可能です。
知事の見解を伺います。
<答弁>
再エネ電力の供給と調達についてでありますが企業局で発電する再エネ電力を道有施設などで活用することについては、これまで、小売電気事業者と実現上の課題について検討を重ねてきたが、道内全域に及ぶ施設での電力需要と企業局からの発電供給を同時同量にするための需給調整の実施、安価で安定した調整電源の確保といったさまざまな課題が明らかになってきたところ。
道としては、引き続き、事業者等から情報収集を行うなどして、小売電気事業者への入札を発電側と需要側のそれぞれで実施する従来の方法と比べて、価格面でのメリットがあり、技術面の課題も含め実現可能で持続的な手法について研究してまいる。
<指摘>
次に、北海道地域PPSの実現について指摘します。
この施策の実現は、道にとって、道民にとって、メリットが大きく、ゼロカーボン北海道の実現に向けた訴求効果は絶大です。昨今の市場価格が高騰する中で、電力小売り会社が苦慮する状況とは、そもそも環境が異なります。
今回、情報収集を行うとお答えいただきましたが、どの部局が行うのか判然としません。
既に、民間技術で対応可能であることは判明しているのです。
また、今回、不都合があるのかを問いましたが、無いと答えるのであります。
ならば、道庁挙げて取り組むことが必要なのです。戸惑っている場合ではありません。
知事の決断を伴った適格な部局によって、早期に準備着手されるように強く要請しておきます。
⑧地域との関わりが深い再エネの導入促進と固定価格買取制度の運用について
次に、地域との関わりが深い再エネ導入促進について伺います。
私に言わせれば、再エネの導入については、その地域との連携程度によって買取価格が変動する制度があってもいいと考えています。
確かに、設備費の多寡によって買取価格が変動する現制度もあって然るべきものであることを理解しています。
しかし、これから地域に根差した再エネの導入を促進し、その地域の元気の源としていく必要がある未来に対しては、そう考えることも可能だと思うのです。
「地域の課題」を燃料とした再エネの導入とその地域内でのエネルギー消費、余剰分の域外への販売がセットとなって組まれる制度の創設を提案します。
しかしながら、固定価格買取制度は国の制度であります。道からの提案として取り扱っていただくことが必要です。
知事の見解を伺います。
<答弁>
固定価格買取制度についてでありますが国では、いわゆるFIT制度において、一定分野の再エネ事業に入札制度を導入するとともに、市場価格に連動した価格で買い取るFIP制度の導入により、再エネの自立化を促している中、エネルギーの地産地消や強靱化に資するよう、自家消費や地域一体的な活用を促す地域活用要件が設定され、要件を満たす小規模な電源は、あらかじめ決められた固定価格で買い取るFIT制度を選択することが引き続き可能となっている。
こうした動向を踏まえ、道としては、国に対し、地域の関係者のエネルギー地産地消の取組意欲を損なわないよう、地域の実情に応じたFIT制度の運用を要望しているところであり、今後とも、地域の課題を踏まえ、積極的に対応してまいる。
<指摘1>
次に、「温室効果ガス排出量の算定の支援」や「地域との関わりが深い再エネ導入促進」について指摘します。
実は、今回の指摘全体に共通して言えることは、ゼロカーボン北海道の実現に向けては、道自身がゲーム・メーカーやゲーム・チャンジャ―、そしてそれらのルール・メーカーになることが重要であることです。
私たちは、得意気に、資源エネルギー源の宝庫であることを自負し、より多くの再生可能エネルギーを生み出していくことを自覚しているのです。
であるならば、北海道が新たなゲームを提唱し、有利に運用していく資格があるのだとも考えています。
特に、系統連携の脆弱さが顕著な北海道において、マイクログリッドによる地域の活性化が急がれています。
制度内運用の拡大か、新制度の提案は、実現させなければならない政策と言えることでしょう。
知事には、この点を過ぎるほどに意識して頂くことで、新しい局面に導いて頂かなければなりません。
私たちは、既定路線によって搾取される北海道を歓迎することはあり得ません。
地方創生政策がそうであったように、新エネルギー政策も、地域間競争であることは明らかです。
新エネルギーを創り出す側が有利に立ち回ることの出来る仕組みを整えていかなければなりません。
市場原理では、有利なカードを保有する側にルールを決める権利があるとされています。新エネルギー産業において、北海道で有利に立ち回ることが出来るように、諸政策を組み立てていく必要があります。
私たちは、それが出来る立場にいることを捨てることは出来ないのです。
これらの点についても、後の予特等で取り上げて参りたいと考えています。よろしくお願いいたします。
<指摘2>
2050年、私の見立てによれば、北海道の人口は300万人を割り込みます。
道は、様々な統計などから、合計特殊出生率を1.8に戻すことが出来たならば、条件付きで420万人程度と見込みますが、昨今の人口動態統計などをみれば、それが甘い見込みであることは明白です。
この点において、ゼロカーボン北海道が宣言した2050年までに人口が今の4割程度も減ってしまうと仮定するならば、カーボン・ニュートラルを目指すことは、そう困難ではないのかもしれません。
しかし、私たちは、それを目指し選択することはあり得ないのです。
例え避けられない人口減少、少子高齢化が現実のものとなったとしても、経済的に衰退させることを避けるために、道は、私たちは、目指す目的を共有し、必要な選択していかなければならないのだと決意していると理解しています。
私は、鈴木知事に、未来に向けて元気な北海道を経営して頂く為に、今回の質問で何度も示したキーワードである「分散」と「稼ぐ力」そして「マッチング」を核とした政策・施策の展開を強く要望しておきます。
これで、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
1,知事の北海道観について
①知事の北海道観について
最初の質問は、知事の北海道観についてであります。
知事が一期目を満了されようとしているこの段階で、私からの視点ではありますが、率直に感じたことを質問にまとめてみました。
北海道庁のみならず、北海道民を率いた鈴木知事にとってのこの四年間は、これまで経験されてきた公務員や首長のそれとは比較にならない程に規模は広く職責は重く、想像を絶する圧力との闘いであったことは容易に想像ができます。
立候補に際して掲げられた公約を中心として、この四年の間、執行されてきた鈴木知事の胸中を察するに、その喜怒哀楽は筆舌に尽くし難いものであったことでありましょう。
特に、この三年もの間、私たちは新型コロナウィルス感染症との闘いを尽くしてきたのであり、その最前線で指揮を執られてきた知事にとっては、決して気の休まることのない戦いの連続であったと承知しており、本当に頭の下がる思いでしかありません。
しかし、四年前に、ご自身の意思で立候補を決意され、多くの道民の支持を得て北海道知事に就任されたのでありますから、それらの労苦は言わば運命であったとして、あなたと家族の今後の人生の糧としていただくしかないのであります。
今後益々、今と未来の北海道民の為に、皆さんが期待する以上に職責を果たして頂きたいと渇望する者の一人であります。
よって、私は、この質問で、鈴木知事を批判しようとするものではありません。
それは、四年経った今でも地域を廻ると多くの道民から「直道さんを応援してあげてよ」と声を掛けられることからも、道民の意思を重く受け止めることが出来ます。
一方で、私は、これまでの四年間が知事として満点であったのかというと決してそうではないと考えているのであり、それは私たちが指摘するまでもなく、知事ご自身が振り返り、虚心坦懐に思いを巡らせればいいと思うのであります。
全ては、今と未来の北海道民の為に、それら北海道の発展と北海道民の安寧や健康の為に全身全霊で尽くして頂くことを実行することでしか、その期待に応えることは出来ません。
だからこそ、私は、どうしても鈴木知事に加えていただかなければならない視点があるのだと考えているのです。
それは、北海道の今と未来を担う知事として、様々を判断される時に何を大切にされているのか、北海道の在り様を、言わば「北海道観」を共有していただかなければならないのだと考えています。
北海道は言うまでもなく開拓の歴史の上に今があるのです。それはこの150年の歴史に限ることではありません。先史以来、北の大地が在ることを真正面から受け止めて頂きたいのであります。
鈴木知事は、判っていると受け止められているのかもしれませんが、私はそうではないと考えています。
私たちの先人が積み重ねてきた汗や涙、その全ての労苦の上に、今を生きる私たちは住み暮らすことが出来ているのであります。
誰もが旅してみたい、旨いものを食べてみたいと思って頂ける北海道は、今を生きる私たちだけが創り上げたものではないのです。連綿と開拓の歴史を切り拓いてきた先人が一つ一つ積み重ねてきた結果であることが間違いないのであります。
私が、この質問で鈴木知事に問いたいことは、北海道の遺伝子を、DNAをご自身の内側へ、心身の奥の奥へ織り込んで頂くことが必要です。知事の北海道観をお示しください。
<答弁>
・今日の北海道は、額に汗し、道を拓き、暮らしを支えてきた先人の英知と努力、進取と挑戦の精神により、築き上げられたものであり、これまで先人が大切に守り、懸命に培ってきた本道の揺るぎない価値は、現在においても色あせるものではなく、一層輝きを増しているものと考える
・豊かなふるさと北海道を、次の世代に引き継いでいくためにも、雄大な自然環境や独自の文化、日本の食料自給などを支える農林水産業、さらには、再生可能エネルギーといった大切な財産を、しっかりと守り、磨き上げ、その価値を高めていくことが重要と考える
②道民に向ける北海道観の発信について
次に、そんな北海道観の発信について伺います。
私は、そんな視点を加えて、これからの職務執行に邁進して頂きたいと願っているのです。
どうしても抽象的な表現になってしまいますが、北海道の開拓の歴史に感謝し、期待する未来の北海道を元気にする為に、第二の北海道の開拓に果敢に挑戦する知事の姿と思いを明らかにしていただきたいのであります。
知事という職は、道産子でなければならないという決まりはありません。
むしろ、まちづくりで引用される言葉である「よそ者・若者・馬鹿者」でしか変えられない北海道があることにも期待をするところでもあるのです。
だからこそ、そのバトンを渡された鈴木知事が、次の知事へバトンを渡すその時まで、決して欠かすことの出来ない北海道の遺伝子を携えた知事であって欲しいのです。
北海道は、これから激動の時代を否応なしに迎えることになります。
驚くほどに人口が減り、伴って生産力や消費力、経済力が減衰していくことになります。
今を生きる私たちには、私たちがそうしていただいたように、より元気な北海道を子どもたちに繋いでいく責任があるのです。
避けることが出来ないと判っているからこそ、いまのうちに手を施す必要があるのであり、その不都合な現実から目を逸らすことなく未来の北海道の元気の種を蒔き、挑戦的に育てていく責務が私たちにはあるのだと信じています。
時に、既得権者との衝突も避けることは出来ないでしょう。トンネルからの正しい出口がこちらだと示したとしても、変化を望まず、腰が重く、付いてこない私たちを叱咤しなければいけない場面だってあることでしょう。
私は、鈴木知事にそんな荒療治をやってのける役割を果たしていく為には、今この時の北海道が在るのは、その開拓の歴史を正しく理解し、誇るべきその遺伝子を、北海道観を携えた知事としての熱い思いが必要になるのだと訴えているのです。
この機会にこの質問に対する答弁というよりかは、道民に広く呼び掛けて頂きたいのであります。
そして、それは赤レンガ文学で飾られた言葉なのではなく、鈴木知事ご自身の言葉で522万余の北海道民に、そしてこれから生まれてくる道産子に向けてメッセージを発信して欲しいのであります。よろしくお願い致します。
<答弁>
・私は、東京都職員であった26歳の時に、夕張市への派遣に手を挙げ、市職員、そして市長として計10年間、夕張の再生に取り組んできた
・そうした経験と持てる力の全てを注ぎ、先頭に立って、本道が直面する課題に果敢に挑戦していくという決意の下、知事選に出馬し、これまで、知事として、道民の皆様の思いを背負い、できるだけ地域に赴き、様々な声を受け止めながら、道政の推進に全身全霊を傾けてきた
・私としては、これまで幾多の困難を克服しながら、今日の北海道を築いてきた先人の思いを胸に抱き、そして、次の世代にしっかりと引き継いでいけるよう、道民の皆様とともに、強い意志と行動力によって、現下の難局を乗り越え、心豊かに暮らせる活力あふれる北海道の実現に向けて、残された任期、日々、全力で取り組んでまいる
この質問は、道民の方から寄せられたご意見を基にして、質問にまとめさせていただきました。
私たちが暮らす北海道は、大自然と共生することでその魅力を存分に発揮できる魅力的な地域だと言えます。
そこには、私たちの暮らしと同時に、野生動物の暮らしが営まれています。
その間の軋轢を上手く調整する現場の最前線にいらっしゃるのが、狩猟者の皆さんです。
その狩猟者の皆さんが、必ず取得される狩猟免許について寄せられたご意見が以下の質問骨子となっています。
その質問に対して、道も早速取り組むと明言されています。
私たちの暮らす北海道が、より魅力的な地域として発展出来るように、北の元気玉 道見やすのり は、働いて参ります。
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【狩猟免許試験について】
それでは、狩猟免許試験について伺います。
狩猟免許は、狩猟をしようとするものが受けなければならない免許です。それは、都道府県知事が狩猟免状を交付して免許を行うことになっています。
これは、免許制によって、狩猟行為における密猟の防止や野生動物の保護を目的としていることを承知しています。
この免許の交付、試験及び更新並びに申請窓口の免許に係る手続きは、都道府県の事務となっていて、免許の許可及び実施の主体は都道府県知事となっています。
因みに、免許の効力は日本全国に及び、狩猟の際は狩猟を行う場所に属する都道府県ごとに別途、狩猟者登録が必要であります。
調べてみると、2020年時点で狩猟免許取得者は約20万人とされていて、狩猟者登録をした者は約14万人であることから、「ペーパーハンター」状態の取得者が多数存在していることが判っています。
①狩猟免許受験状況について
最初に、狩猟免許受験状況について伺います。
北海道の狩猟免許試験については、コロナ禍前で、全道の振興局別に年に4回、会場ごとに最大100名程度が受験されていて、特に希望者の多い石狩地域内においては、2回実施するなど対応されていたとお聞きしています。
しかし、コロナ禍によって感染防止の観点から受験環境に配慮が求められるようになった令和2年度からは、受験環境が手探り状態となって、その回数や受験可能人数にも大きな制約が伴ったと承知しています。
コロナ禍前後で受験環境にどのような変化があったのかについて伺います。
<答弁>
狩猟免許試験の状況についてでございますが、コロナ禍前の令和元年度は、各振興局での定員を各回最大100名として、全道で延べ26回、試験を実施し、757名が受験されました。
一方、令和2年度は、感染拡大防止の観点から、会場定員を抑え、全道で延べ27回、試験を実施し、628名の定員に対し、対前年度比で約200名減の558名が受験されました。
令和3年度は、感染状況も踏まえながら、延べ30回、定員については164名増の792名としたところ、令和元年度と同程度の762名が受験され、また、本年度は、延べ31回、定員を前年度よりも更に拡大し、868名としたところでございます。
②コロナ禍後の受験環境について
次に、コロナ禍後の受験環境について伺います。
いまの答弁にあったように、令和2年度以降の受験機会は非常に狭き門となってしまったようです。石狩地方を例にとると、コロナ禍前は年に2回で計200名程度の受験枠がありましたが、コロナ禍後は年に3回で計60名程度の受験枠へと縮小されています。本年度は年に5回で計200名程度の受験枠に戻っていますが、一回当たりの受験枠は40名程度であり、受験希望者のニーズに応えきれているのか不明なのです。
道は、コロナ禍後の受験環境の状況、並びに受験希望者のニーズに応えられているのか、どのような認識であるのかを伺います。
<答弁>
受験環境などについてでございますが、コロナ禍にあった令和2年度においては、感染拡大防止対策として、密集、密接を回避するため、一つの会場での定員を抑えながら試験を実施したものの、令和3年度以降は、感染拡大防止を図りながら、コロナ禍前の試験状況に戻すことを念頭に、受験希望者の利便性も踏まえつつ、試験回数や定員の増加に取り組んできたところでございます。
一方で、会場によっては、定員を超える申込みがあった場合、受験をお断りし、他の振興局又は、別の試験日での受験をお願いするといった場合もあり、結果として受験を希望される方にご不便をおかけすることもあったものと考えております。
③受験申込方法について
次に、狩猟免許試験申込方法について伺います。
実は、先日、私のところに石狩地方にお住いの方から連絡がありました。
その内容は、この狩猟免許試験の申込方法についての提案でした。
その方がおっしゃるには、受験の為に申込みをしているが、受付開始日の開始時刻に30分以上もリダイアルをさせて、少ない枠を奪い合うような状況が続いていることでした。
ご存知のように、北海道では熊・鹿など鳥獣の被害が多く、その迅速な駆除が期待されているところです。
一方で、その駆除を行う為に必要な狩猟免許の発行業務で著しい前時代的な方法がとられており、狩猟に関わりたい者にとって大きな障壁となっているとのご指摘でありました。
10月13日は、第4回狩猟試験申込石狩会場の受付期間初日となっていて、石狩振興局の担当部署で9時から受付開始とのことで、前述の方は9時に電話を始め、延々と話し中が続き、電話が通じたのは9時半過ぎ、その時点で定員の40名に達していて、申し込みは出来ないと伝えられたそうです。こんなことが毎回続くそうです。これは改善の余地がありそうですね。
狩猟の現場でも高齢化が課題となっていて、若手が求められる中にあっては、現役で仕事をされている方が、特定の朝の午前9時から離席して電話を掛け続けることが難しいことであることを、我々は知らなければなりません。
先ほども述べましたが、コロナ禍においては、道の担当部署の皆さんによって手探り状態が続いていることは承知しています。どうやら、これまでの状態を維持しなくてはいけない理由も無さそうですね。
前述の道民の方からの提案によれば、電話による申し込みの代わりに電子メールによって受け付けて、抽選によって受験者を絞れば、リダイアルを繰り返す必要は無くなります。
電子メールをお使いにならない方には、郵送等の道を当面は残しておけば良いでしょう。
結果発表は、後日、道のホームページで行えば済むことです。
また、手段を変えた副産物として、申し込みを電子メール等に変えることで、申し込み総数を把握できることになり、そのニーズや申込者の年齢傾向等を把握することが可能となります。多少の超過ならば人数枠を増やすことも可能でしょう。正に、これが親切な行政サービスと言えるのでしょう。
それだけではありません。振興局を含めた道庁職員の業務改善効率化も可能です。
メールの受信先を本庁一括で行い、全体調整を逐次行うことが可能となります。それらをデータ化していけば、翌年度以降に向けた受験の会場や人数の収縮に役立てることが可能です。
いま一度振り返れば、道庁にとって野生鳥獣の管理については、自然が相手なだけに苦慮するところだと思いますし、道庁職員だけで施策を実現できるはずはありません。多くの道民、今回の場合は狩猟者の皆さんに協力を仰ぎながら実施していかなければならないはずです。その狩猟に関わりたいと希望される皆さんを支援していくためにも、その入口となる狩猟免許試験の環境改善に努める必要があると断言しておきます。
道は、この度のご指摘を受けて、どのように、どの時期から改善されるお考えなのか伺います。
<答弁>
狩猟免許試験についてでございますが、道では、これまで、より幅広い方々が試験を受験できますよう、実施回数の拡大に加え、農閑期や日曜日における実施など受験者の都合に可能な限り配慮いたしますとともに、コロナ禍におきましては、感染拡大防止のため、各会場の定員を抑える一方で、回数を増やすことで、定員数の確保などに取り組んできたところでございます。
こうした中、都市部など一部の会場では、希望日などに受験できない状況も生じておりますことから、受験を希望される方の人数や世代などの傾向を把握をし、それらのデータを今後の施策に活かせるよう、申込み方法の見直しを含め、実施方法には改善の余地があるものと認識をしてございます。
このため、他都府県の実施状況や道民の方からのご提案内容なども参考としながら、まずは、今年度、感染状況も踏まえながら定員数の拡大など対応可能な対策に着手いたしますとともに、来年度の試験に向けましては、申込み方法の見直しを速やかに検討するなど、受験環境の改善に取り組んでまいります。
④鳥獣保護と有害鳥獣駆除の未来について
最後に、北海道における鳥獣保護と有害鳥獣駆除の未来について伺っておきます。
私たちは、北海道において自然と共生すること、特に野生鳥獣との共生については大きな課題が山積されていることを承知しています。外来種駆除のみならず、人的被害や経済被害を伴う野生鳥獣との軋轢は、一筋縄ではいかないことを私たちは大きな予算を投じながら経験してきました。
それは、課題であると同時に、魅力でもあるからだと私は考えています。
駆除という視点では、狩猟者の皆さんの協力が欠かせません。
魅力という視点では、観光資源としての大自然の保護ということになるのでしょう。
北海道に暮らす私たちは、適正な数の野生鳥獣と共生していくことが必要です。
何れの場合も、この課題については、道職員だけで解決できるものではありません。
保護と駆除、このバランスを保ちながら、有効に利活用されていくことは欠かすことが出来ないのです。
道として、道民は基より国民参加を促した鳥獣保護と有害鳥獣駆除の未来について伺うと共に、今回質問させていただいた環境改善について、部長にも一言触れて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
<答弁>
狩猟免許試験についてでございますが、道では、これまで、より幅広い方々が試験を受験できますよう、実施回数の拡大に加え、農閑期や日曜日における実施など受験者の都合に可能な限り配慮いたしますとともに、コロナ禍におきましては、感染拡大防止のため、各会場の定員を抑える一方で、回数を増やすことで、定員数の確保などに取り組んできたところでございます。
こうした中、都市部など一部の会場では、希望日などに受験できない状況も生じておりますことから、受験を希望される方の人数や世代などの傾向を把握をし、それらのデータを今後の施策に活かせるよう、申込み方法の見直しを含め、実施方法には改善の余地があるものと認識をしてございます。
このため、他都府県の実施状況や道民の方からのご提案内容なども参考としながら、まずは、今年度、感染状況も踏まえながら定員数の拡大など対応可能な対策に着手いたしますとともに、来年度の試験に向けましては、申込み方法の見直しを速やかに検討するなど、受験環境の改善に取り組んでまいります。
<指摘>
今回寄せられた提案は、実に有益なものであると捉えて質問させていただきました。
受験希望者の満足につながるのみならず、申込者と道職員ともに手続きの省力化、更にそのデータの積み重ねによって、今後の政策施策への反映によって適切な担い手育成への寄与が期待されます。まさにDX効果が期待できるのだと思います。
早速取り組んで頂けるとの事ですので、感謝すると共に今後より期待したいと思います。答弁に留まることなく、来年度から形にして頂くことを約束して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
この質問は、第三回定例会開会前日の12日に開催された委員会での質問になります。
前回の委員会で質問し持ち越した内容についての質問です。
しかし、道からの答弁は全く前進の無いものであるだけではなく、明らかに虚偽を重ねる内容が散見され、議事録に残る質問答弁としては不誠実なものであるとさえ考えています。
勿論それらを見過ごすつもりはありません。
この北海道百年記念塔の非生産的な議論については、委員会議論の場を離れて、判断を仰ぐことになると知っています。
それを承知して頂き、今回の質問答弁をご一読いただくと、本件に関する道の姿勢がよく理解できることと思われます。
取り急ぎ議事録を公開して、情報提供とさせていただきます。
広く道民の皆さんの関心こそが、北海道百年記念塔の存続に掛かっているのです。
何卒お見守りいただくだけではなく、皆さんの声を発信して頂けますようにお願いいたします。
よろしくおねがいいた
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一 北海道百年記念塔について
それでは早速、百年記念塔について、6日の委員会で質問させていただき、持ち越した点他について伺ってまいります。
(一)意見交換会について
8月31日の「日本の尊厳と国益を護る会」の視察後の意見交換会を非公開としたのが、道であるのか、護る会であるのかについてであります。道は、護る会側だと答弁されておりますが、私の調べによりますと道側であります。もう一度伺います。非公開と申し入れたのはどちらなのか、見解を伺います。
(文化振興課長)
意見交換についてでございますが、この度の意見交換は、自由民主党の現職国会議員からなります「日本の尊厳と国益を護る会」の主催により行われるものでありますことから、参加が見込まれるとされました国会議員以外の一般の方々のお立場やその参加の趣旨について、予め、確認させていただいたところでございますが、道から非公開とするよう要請した事実はございません。
当日は、主催者の意向に基づきまして、国会議員及び関係する方々による塔の視察及び意見交換が行われたものと認識をしているところでございます。
(再質問)
質問を重ねます。
私が、護る会側の方からお聞きしたところによりますと、30日の夜、電話連絡で交わした打合せの中で、道側からの非公開と、その際に、非公開と非公表の言葉の文意にまで議論が言及し、話に至ったというところまで、説明をしていただいた状況であります。この点につきまして、局長の見解を伺います。
(文化局長)
意見交換についてでございますが、参加が見込まれるとされた国会議員以外の一般の方々のお立場や参加のご趣旨について、確認をさせていただいたところでございますが、道から、非公開とするよう要請した事実はございません。
当日は、主催者の意向に基づき、国会議員及び関係する方々による塔の視察及び意見交換が行われたものと認識しております。
(指摘)
道は、あくまでも護る会側が非公開にしたと言い張るわけでありますね。その旨受け取りましたし、委員会議事録にも残ることでありますので、これの白黒に関しましては、委員会ではつかないと判断することになりますが、私からもお話を申し上げているように、先方は道だと説明をしているわけですから、明らかにここに矛盾が生じます。このことをどう受け止めるかということでありますので、これは道民の皆様にご判断をいただくしかありませんし、これがどちらだからどうというお話ではありませんが、この後に質問する内容に関わることでありますので、はっきりさせるというよりも、道としてそのように主張するものが、我々というか、護る会側はそうは受け取っていないということを明言しておいて、この質問を終わることといたします。
(二)議事録について
次に、議事録について伺います。
私は、前回の委員会質問で議事録の作成を依頼しました。それに対して、道は、主催が護る会側であることを理由に、確認を取ると答弁されました。
私は、その質問の時点で護る会側の意向が了解であることを聞き取っておりましたので申し添えたところであります。その後、道が確認した意向はどのようなものでありましたか。
また、9月6日には護る会の第二弾が視察をされ、同様に意見交換が開催されていることを承知しております。その意見交換会は、同様の質問の繰り返しなのではなく、一回目の意見交換会の内容を踏まえた上で発展的で生産的な質問であったとお聞きしております。その二回目の議事録も作成してください。依頼をいたします。
よもや再び確認を取ると答弁されることはないと思いますが、お節介ながらこの点についても、私が了解であることの意向を確認済であります。
道が確認した意向の内容、一回目と二回目の議事録の作成完了日と合わせてお伺いをいたします。
(文化振興課長)
この度の意見交換の議事録についてでございますが、この度の意見交換は、「日本の尊厳と国益を護る会」の主催により行われましたことから、委員からお話しのございました議事録の取扱いにつきましては、主催者側にご連絡し、現在、検討いただいているところでございます。
(再質問)
道は、この点について答弁する気はないようですね。論点がかみ合っておりませんし、この点に関して、事前の意見交換で具体的に指摘しておりますけれども、それに対して意見交換を打ち切るという手段にでるわけでありますので、全く好意的に受け取ることができません。
確認した内容についても、今、答弁をいただいておりませんし、完了日についての答弁もありません。局長に再答弁を求めます。
(文化局長)
意見交換の議事録に関しまして、再度のご質問でございますけれども、道といたしましては、この度の意見交換は、「日本の尊厳と国益を護る会」の主催により行われましたことから、議事録の取扱いにつきましては、主催者側にご連絡し、現在、ご検討いただいているところでございます。
(再々質問)
委員の皆様も、今の答弁をどう受け取るかにもよりますが、文化振興課長が答弁した内容と同じものを繰り返すわけですね。私、より具体的に質問をしております。確認した意向の内容を教えてくださいと。前回の委員会質問の答弁の時も、確認するとおっしゃったわけですから、確認した結果を教えてくれと言っているわけなので、それについての局長の答弁をいただきたい。及び一回目と二回目の議事録作成の完了日を教えてくださいと言ってるわけですから、言及しないのも問題があると思いますが、いかがなものですか。
(文化局長)
重ねてのご質問でございますけれども、道の方からは、「日本の尊厳と国益を護る会」へご連絡し、現在、内容について確認するということでご返事をいただいておりますが、日程についてご返事をいただいておりません。
(再々々質問)
私の聞く力が足りていないのか、今の質問に答えていただいているという意識が生まれてこないですね。
作っていいのかどうかの確認を取っていただいた結果を教えてくれと言ったものに対して、了解されたものなのかどうなのかを教えていただきたいし、ここまで質問、答弁を繰り返してもあれですから、効率的にお話しするならば、一回目の議事録の作成が済んでいることは、物理的に確認をしておりますから、二回目を作って出すのがいつになるのかという、日程をお聞きしているのでありまして、答弁のピントを合わせないのはどうか思いますが、いかがでしょうか。
(文化局長)
意見交換の議事録についてでございますが、この度の意見交換は、「日本の尊厳と国益を護る会」の主催により行われたものでございますことから、道が作成するものではないと考えており、主催者のご判断をいただくことと考えております。日程についても、主催者側のご判断と思っております。
(阿知良委員長)
道見委員に申し上げます。同じ質問で4回答弁しておりますけれども、質問内容、答弁内容が変わりないので、かみ合っていないと判断します。したがって、違う観点から質問していただけるようお願いします。
(指摘)
委員長ありがとうございます。委員長のおっしゃるとおりでございまして、道にも答えるつもりがなく、故意にポイントをずらしてくるというのが、この委員会の皆さんの貴重な時間を使わせていただくことに耐え忍ばないというか、大変申し訳ないのでございます。
ポイントが明らかになったところで、最後にこの質問に対しては指摘を加えるところでありますが、議事録を作っていいのかどうかというポイントに関しては、前回の質問の中でも、今回の質問の中でもお話しているように、確認はとれているものを、道はあえて明確にさせない。一回目に作っているものに対して、二回目を作ればいいだけなのに、また趣旨の違う答弁をされるというのはですね、道がお得意とするところの、道の考え方を丁寧に説明するというポイントと明らかに異なる部分でありますので、ご指摘を申し上げるところであります。
(三)副知事発言の真意について
第二回意見交換会における副知事の発言の真意について伺いたいと思います。
報告によると、第二回意見交換会の中で、副知事が「北海道百年記念塔を壊して欲しいという意見があったのか」という主旨の質問に対して、「そういう認識は持っていない」と回答されていて、護る会側も私たちも大変驚いたところでもあります。
壊して欲しいと言われてもいないのに、壊すことにしたとは謎かけのような事態なのであります。この場合、道が壊すことを決めるに至る主な理由は「安全確保」と「将来世代への負担軽減」とお聞きしています。もちろん、これも私たちは詭弁だと主張しているのでありますが、その理由に至る「一体誰が壊せと言い出したのか」が明確にならないことになります。
ちなみに、道である訳はないのであります。道が言い出し、道が調べて解体に至るなんて道理が通ることはありません。
しかし、副知事は、道は壊して欲しいと依頼を受けたことがないとの意を回答されているので、あえてその発言の真意を伺っておきたいと思います。
これは事実確認だけでありますので、このへんにとどめておきましょう。
(文化振興課長)
意見交換の内容についてでございますが、先日の意見交換におきましては、出席された国会議員の方から、記念塔につきまして、「危険だから解体して欲しい」といった趣旨の署名の提出や要望書の提出があったかどうかのご質問がございまして、これに対し、「これまで解体を希望する旨の署名や要望書の提出はない」旨をお答えしたものでございます。
(四)記念塔の価値について
最後に、北海道百年記念塔の価値について伺います。
道は、その意見交換会の中で「文化財としての意義を認める」と発言されているとお聞きしました。
これは、北海道百年記念塔の有形文化財としての価値を認めているという意味であるのかの見解を伺っておきます。
(文化振興課長)
記念塔についてでございますが、建造物について、登録有形文化財となる基準は、原則といたしまして、建設後50年を経過し、国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないもの、のいずれかに該当するものとされているところでございます。
各建造物が、これらの基準に該当するか否かにつきましては、国の文化審議会の答申を受けた上で、文部科学大臣が、文化財登録原簿に登録することとなっており、道といたしましては、その見解をお示しすることは難しいものと考えているところでございます。記念塔につきましては、その歴史的、文化的な意味合いを否定するものではなく、公園を利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減等の観点から、保存・活用することは難しく、解体もやむを得ないと判断させていただいたところでございます。
(指摘)
この議論そのものが、議会の手を離れ他の場に移ろうとしている今、大変残念ではありますが、例えば、今日の委員会に向けての意見交換をする中にあっても、途中でそれを打ち切ってまで委員会に持ち込む姿勢というのは私として歓迎は全くできません。このことは、今の道の姿勢や思考を読み解くことができると考えるのであります。再三再四、道の考え方を丁寧に説明すると、道の考え方という部分にいろいろと意見してきたこともありますけれども、道の本音というか、胸の内に考えるポイントというのがこういうかたちで見えてくるのだなと思うところであります。
今日の委員会でも報告されたところであり、いよいよこの定例会に入札の承認案件として上がってくるものでもありますので、プロセスとして進んでいく中で、社会によってどう影響されていくのかを十分注視してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
この質問は、昨日6日に行ったものです。
去る8月31日に「日本の尊厳と国益を護る会」の山田幹事長はじめメンバーの皆さまが、北海道5区選出の和田義明代議士の案内の下で北海道百年記念塔を視察され、その後の意見交換会が非公開とされた点について質問しています。
私には、非公開とする理由で思い当たる節は、都合の悪い場面を見せたくない、又は聞かせたくない位しか理由が思い当たらず、しかも当日その場で言い渡されていることから、今回の委員会質問で質したところです。
しかし、その答弁内容は極めて不誠実であり、事実と異なる内容となりました。
これは、道による北海道百年記念塔への想いが滲み出たものと推察します。
非公開を申し出たのは、国会議員側だと説明する道と、それを言いだしたのは道だと説明する議員事務所…
どうやら事実は、道が申し入れていると私は判断しています。
しかし、委員会答弁では、国会議員側だと道は言い張ります。
委員会答弁ですよ…、これは看過できません。
よって、12日に予定されている第三回定例会前日委員会の場で、再度質問いたします。
また、議事録公開についても、都合の悪い部分があるから非公開にしたのでしょうから、その内容について公開するのが筋です。
幸い国会議員側からは了承を得ていますので、道側は国会議員側に確認後直ちに議事録を作成するのでしょう。
この点についても次の委員会で再度質問致します。
皆さんもお気づきでしょうが、こんな小さな点についてでさえ右往左往しなれけばいけないのが「北海道百年記念塔」解体問題なのです。
予算が議会を通過し、過日に入札も整い、10月7日には承認されてしまう状況です。
これを議会内で止める手立ては、残念ながら既にありません。
よって着工されてしまう前に起こさなければならない「手続き」があるのです。
万全を期すために働いて参ります。
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一 北海道百年記念塔について
私からは、北海道百年記念塔についての質問ですが、本来であれば、前回の質問で全て終わっていたはずですが、混沌とした部分が出てまいりましたので、端的に数点お伺いいたします。
(一)意見交換について
8月31日に「日本の尊厳と国益を護る会」の国会議員団が百年記念塔を視察されております。これは報道されたお話でもありますが、その視察後に行われた道との意見交換が非公開とされているわけでありますが、その理由を伺っておきます。
(文化振興課長)
意見交換の開催についてでございますが、この度の意見交換は、「日本の尊厳と国益を護る会」が主催したものでございまして、参加者や公開・非公開などの開催方法につきましては、主催者において決定したものでございます。
(再質問)
今の答弁を道の正式なコメントとして受け取るわけですが、私が追加で先方の事務所に問合せしたところ、はっきりと道の局長からその旨の申し入れがあったと回答を得たところでありますので、この点に関しましては局長から答弁を求めます。
(文化局長)
この度の意見交換につきましては、主催者であります「日本の尊厳と国益を護る会」の所属議員に加えまして、国会議員以外の方も何名か参加されたところでございます。道といたしましては、その方のお立場や意見交換に参加する趣旨などを確認させていただいたところでございます。その後、主催者におきまして、参加者を決定したところでございます。
(指摘)
この委員会の場では、道の言い分及び私がお聞きした内容というものを明らかにさせていただいたということになります。何が正しかったのかを、この後追加で様々な調査をしながら明らかにしたいと考えているところでありますので、よろしくお願いいたします。
(二)意見交換の議事録の公開について
次の質問に移ります。
意見交換について非公開にされたということでありますので、議事録を作成して公開していただきたいと思いますが、見解を伺います。
(文化振興課長)
議事録の作成についてでございますが、この度の意見交換につきましては、「日本の尊厳と国益を護る会」が主催したものでございまして、議事録の作成等につきましては、主催者において判断されるものと認識しております。
(再質問)
今の答弁を受けた形で、道がどのような発言をしたのか、しっかりと議事録を作成するように要求します。質問部分に関しましては箇条書きで十分だと思われますので、どのようなことを聞かれ、道がどう答えたのかの部分を、しっかりと可能な限り正確に作成して、公開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(文化振興課長)
ただいまの委員のご要望につきましては、先方にもお伝えし、必要に応じて、今後の対応について検討してまいりたいと思います。
(再々質問)
ありがとうございます。すでに先方の許可をいただいております。道に作成していただきたいと依頼しておきます。答弁をお願いします。
(文化振興課長)
私どもの方でも先方に確認させていただき、対応について検討してまいります。
(指摘)
ありがとうございます。そうしましょう。その際に、1問目で質問した、非公開にした理由やどちらが申し入れているのかに関しても、道の方でしっかり先方事務所と打合せし、どういう結果になったのかを報告していただきますよう、厳にお願いしておきます。以上です。
この質問は、前定例会で成立している記念塔の解体予算がまもなく入札に掛かり、9月の第三回定例会で承認される運びとなっていることを受けて、これまで展開されてきた市民運動の次なる動きに歩みを合わせる質問内容となっています。
この質問を以て、一旦は議会議論として節目を迎えたことになります。
この後は市民運動の動きを見据えながら、必要に応じた議会活動につなげて参ります。
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A,北海道百年記念塔について
以前の当委員会質問の際にお願いしていた北海道百年記念塔の現状視察を、去る7月3日に行うことができました。
当日は、道議会議員有志や関係者、建築や構造の専門家と記念塔内外の隅々を確認させていただくことが出来ました。
まずは、当日炎天下の中お付き合い頂きました職員の皆さんに感謝申し上げます。
そこで、この視察の結果に基づきまして、先の建築や構造の専門家の皆さんと報告会を開催し、去る2月に3回に渡って行われた説明会での質問と回答を見直したところであります。この質問では、その内容について幾つか質問させて頂きたいと思います。
①適切な維持管理について
最初に、適切な維持管理について伺います。
道は、2月10日の説明会で「今の技術で塔を保全確保し、安全性を保つことは可能だったはずですが、まともなメンテナンスを行わず、あえて塔の劣化が進むとわかっていながら放置したのは何故ですか」との質問に対して、「道といたしましては、施設・設備の耐用年数や老朽化に応じた修繕を行うなど、塔の所有者として適切な維持管理に務めてきたところ」と回答されています。
これは逆説的な質問になるのですが、適切な維持管理を施してこなかったから発錆が進行し解体やむ無しと考えたならまだしも、施していたが解体やむ無しとされるのでは本末転倒です。例え、道が、後者を選んだ場合でも良好な状態を保つことができなかった過失や不作為を問われてしまいます。
果たして道は、適切な維持管理をしてきたのでしょうか。改めて伺っておきます。
<答弁>
塔の維持管理についてでございますが、建築家など専門家の方々からは、塔の構造上、外板周辺部の錆の進行と剥落につきまして、「その程度を軽減する処置はとれるにしても、完全に防止することは困難」との指摘を受けているところでございます。
道では、これまで塔の老朽化に関する状況調査の結果に基づきまして、中長期的視点に立った保守管理計画を策定した上で、施設・設備の耐用年数や老朽化の状況に応じた修繕を行うなど適切な維持管理に努めてきたものの、専門家の方々からのご指摘のとおり、錆や腐食の進行など、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。
<指摘>
いま答弁を頂いたように、それでも道は、適切に維持管理してきたと主張されています。
これは、適切な維持管理に努めても、良好な状態を保てなかったと道は主張していることになります。誠に不可解な状態です。真偽のほどは議会議論を超えて、別の場所での議論にお任せしたいと思います。
②解体を決めた時期について
次に、解体を決めた時期について伺います。
道は、平成23年に策定した維持管理計画で塔の解体を提案されています。そして、平成25年の維持管理計画で事実上の解体計画を示していると承知しています。
一方で、平成29年の維持管理計画の策定では、維持管理に28億円が必要なことを示されました。
文化振興課が公表している資料によると、平成24年を最後に維持管理に必要とされてきた防錆措置を中止されています。これは先ほど時系列を述べたものと合致していません。
「本来の老朽化」と「維持管理の懈怠(けたい)により生じた老朽化」は別なのであります。
いつの段階で北海道百年記念塔の解体が検討されるようになったのか、誰が言い出したのかを明らかにしてください。
<答弁>
議論の経過についてでございますが、道では、北海道命名150年を迎えるにあたり、百年記念施設の継承と活用につきまして、有識者による検討会の設置を含め、幅広にご意見を伺ったところ、老朽化が進んでいる記念塔のあり方に関しましては、様々な考え方があったことから、専門家の知見も伺いながら検討を行ったところでございます。
その結果、塔の構造上、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、利用者の安全確保や将来世代への負担軽減等の観点から、解体もやむを得ないと判断し、平成30年9月に「ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想」の素案を策定し、環境生活委員会にご報告申し上げたところでございます。
なお、23年度の調査報告書におきまして、今後も維持管理をしていくのか、解体をするのか、記念塔のあり方について検討する時期にきているとの提案を受けたことから、25年度におきましては、保守管理計画の策定に加えまして、解体撤去する場合の費用等を把握するため、調査を実施したものでございます。
<指摘>
ドーコンさんなのですね…。
この点については、この後の質問でも出てきますが、とても重要なポイントになってきますので、当時のドーコンの担当者から聴取したいことがあります。問い合わせ窓口を調査しておいてください。
③維持管理の事実確認について
次に、維持管理の事実確認をさせていただきます。
道は、今年6月15日に発出された公文書不存在通知書の中で「平成24年度及び平成25年度、平成27年度から令和4年度までは日常の巡回警備を除き、定期点検を実施しておらず、定期点検の点検簿等の文書は作成していない」と回答されています。
これを読み返せば、平成24年度から維持管理はしていないと判断することができます。
この点は間違いありませんか、お伺いしておきます。
<答弁>
塔の維持管理の状況についてでございますが、道では、塔の内部や周辺状況の確認のため、日常的な指定管理者による巡回や職員による点検を実施してきているところでございます。
また、塔の修繕等につきましては、平成24年度以降も実施しておりまして、塔への立入禁止措置を講じた26年以降は、専門業者による調査結果に基づきまして、緊急的に補修が必要な箇所の修繕を優先して行うとともに、塔の解体方針の決定後におきましても、必要に応じて点検・補修を行ってきたところでございます。
<指摘>
この点は、非常に微妙な内容だと言えます。
道は、通知書では「点検簿」が無いと回答したと答弁しています。修繕はしてきたとも答弁されました。当該問合せの主旨を違えて回答されていることになりませんか。
如何にも不親切だと思います。私は、改めて請求を行っていただかなくてはいけないと捉えています。道は、誠実に対応されるように要求しておきます。
④維持管理費の適正さについて
次に、維持管理費の適正さについて伺います。
平成29年の報告書に記載がある「経常措置」に不可解な項目があります。この「経常措置」には5年サイクルで繰り返す措置と10年サイクルで繰り返す措置を合算して、年で割り返したものと承知しています。
では、「外部ルーバー下端見切板の腐食改修」が全体の27%にあたっていますが、「原状維持管理計画実施経費内訳」を見ると、全部で43あるユニットを毎年9個ずつ更新し、5年で更新することになっています。
納得できないのは、この5年更新を50年間繰り返すことになっている事です。何故50年間同じ金額なのでしょうか。5年で更新が終わるならば、6年目からは経常措置費が減額されなければいけません。
もし示されている通りなら、わざわざ5年で腐食する部材を選んで取り付けることになってしまいます。おかしいですね。
同様に、「踊り場の腐食旧床の撤去」についてもなぜ50年間繰り返さなければならないのでしょうか。
道が示した50年間の維持管理費が過剰に計上されてしまう一因を示したところです。
道の見解を伺います。
<答弁>
今後の維持管理費についてでございますが、専門家に委託して行った調査報告書におきましては、「外部ルーバー下端見切板」及び「踊り場の床」は、5年で全箇所を一巡する必要があるものとされておりますが、当該箇所は、塔の開口部にあり、直接、雨水等にさらされるため、錆の発生や腐食が早く進行する箇所であること、また、錆止め剤の塗替時期が5年程度であることから、適切であると考えているところでございます。
また、経費につきましては、部材の設置時期等を勘案しながら、更新を行うものとして積算をしておりますが、部材を更新せず、改修で対応する場合におきましても、取り外しや腐食箇所の切断・除去、溶接補強や錆止め剤の塗布等の処理が必要となるため、更新する場合と同程度の経費を要する見込となっておりまして、今後の維持管理費が過大に積算されているものではないと認識をしているところでございます。
<指摘>
実は、この答弁の内容に驚きはありません。
今後50年間の維持管理費が過大であることは論を待つことなく明らかであるのに、道は、過大に積算されていないと繰り返します。
明確に指摘しておきます。委託業者による維持管理費は過大でした。付け加えると解体費との差が大きいことを印象付けるための道具にされている印象が否めません。
この質問では、その一因しか取り上げていませんが、洗い出せばきりがないことを宣言しておきます。
⑤錆片の正体について
次に、錆片の正体について伺います。
道は、先の説明会に寄せられた質問の回答の中で「塔内部において相当量の錆片の堆積や外板ルーバー下端見切板に腐食による穴や鉄板の浮きが確認されたため、専門業者による緊急調査を実施した結果、更なる錆片の落下や部材の剥離・落下も懸念されたことから、公園利用者の安全確保のため、塔内部への立ち入りを禁止したところです」と回答されています。
また「平成26年7月に実施した塔内部の定期点検において、ボルトの緩みや各階の梁等の上部に相当量の錆片の堆積が認められ、これらの修復、除去作業において、大きいもので約10cm程度の錆片の落下や、開口部下部の鉄製の見切板に、錆による穴あきや浮きが確認されたところです。落下した錆片の一つひとつについて、正確な個数や大きさは把握していませんが、記念塔内部への立ち入り禁止措置を講じた以降においても、巡回時等に、塔の内部や周辺に錆片の堆積が確認されており、また、平成30年の台風第21号の通過による一部部材の落下や、令和3年6月の暴風雨による外壁の一部剥離などの被害が生じています」と回答されています。
この度の記念塔視察でも、多くの錆片を確認することができました。しかし、専門家からは危険な錆片ではないと聴取できているところなのです。むしろ50年経過した記念塔は、成りに健全な状態であるとさえ聞かされたところです。
この度の専門家の皆さんが同行されて明らかになった状態は、全く手の入らなくなった平成24年度以降放置されていたのにも関わらず、このような診断となったところです。
これは大きな齟齬であることが明らかです。まずは、いつ誰が危険と判断されたのか明らかにして下さい。そして今回の視察内容と比較検証しなくてはならないと考えています。
道の見解と併せてお聞きします。
<答弁>
塔の状況に対する認識についてでございますが、平成8年9月頃から塔の周辺地上部で錆片が確認されたことから、道では、その原因究明と対策を講じるため、9年度に建築の専門家等で構成されます日本建築学会北海道支部に調査を依頼したところでございます。
その結果、錆片は塔の外板に使用している耐候性高張力鋼板の縁の部分が腐食をし、剥離落下しているものであり、剥離した錆片が地上に落下・飛散するため、一般来訪者に危害を及ぼす恐れがあると指摘をされたことから、11年度に外部パネル接合部の錆片除去など大規模な改修を実施したところでございます。
また、26年には、塔の内部におきまして、相当量の錆片の堆積や腐食による穴あき等が確認されたため、塔内部への立ち入りを禁止するとともに、専門業者による緊急調査を実施したところ、錆片や部材の落下も懸念されたことから、必要な修繕を行ったところでございます。
<指摘>
今の答弁によれば、平成9年に危険と判断された発錆は、令和4年、実に25年経過した今、平成11年の大規模修繕の後、平成29年まで施された効果が功を奏したのか、近年7年は放置されてきたにも関わらず、今回視察に参加された建築や構造の専門家によって危険ではないと診断されているのです。この差は何なのでしょうか。決して無視することは出来ない現実です。
ここまでの矛盾は、別の意図さえ感じ取ることができます。
この点も、真偽のほどは議会議論を超えて、別の場所での議論にお任せしたいと思います。
⑥記念塔の老朽化について
次に、記念塔の老朽化について伺います。
道は、先の説明会の回答で「記念塔は、長く道民の皆様に親しまれてきており、道としては、その保存・活用について。様々な専門家の方々の知見を伺うとともに、道民の皆様からのご意見を踏まえ、慎重に検討を重ねてきましたが、塔の構造上、今後の老朽化の進展を完全に防ぐことは難しく、塔からの錆片や部材の落下の危険性も排除できないため、公園を利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減の観点から、解体もやむを得ないと判断したものであり、開拓の歴史を否定するものでも、歴史を改ざんするものでもありません」と回答されています。
また「ご提案のあった公園化につきましては、維持管理費用を費やしてもなお塔の老朽化を防ぐことは困難なことや、錆片や部材の落下などが続いている状況を踏まえると、人的被害をはじめ、塔の周辺に影響を及ぼす危険度が増しているものと認識しており、採用することは難しい」と回答しています。
果たして、この回答は適切だったのでしょうか。
今回の視察を通じて確認できたことは、5年以上放置されている状況を加味しても錆片で危険が生じることは考えにくく、視察者の歩行に支障をきたすということは虚偽の説明であると言わざるを得ません。放置状態が続いているにしては、塔は成りに健全であって危険があるとは判断できません。それは、今回同行して頂いた建築や構造の専門家の皆さんも同意見であるのです。
道の見解を伺います。
<答弁>
塔の現状に対する認識についてでございますが、老朽化による錆片の落下等が確認されたことから、道では、公園を利用される方々の安全を確保するため、平成26年以降、塔内部への立ち入りを禁止するとともに、必要に応じて緊急的な点検・修繕などを行ってきたところでございますが、その後におきましても、30年の台風第21号による一部部材の落下や昨年6月の暴風雨では、外壁の一部が剥離するなど、錆片や部材の落下などが続いている状況にございます。
こうした現状を踏まえますと、人的被害をはじめ、周辺地域に影響を及ぼす危険度が増しているものと認識をしておりまして、公園を利用する方々の安全確保の観点からは、解体もやむを得ないとした判断を変更する状況にはないものと認識をしているところでございます。
<指摘>
ある程度、北海道という行政機関を知る立場としては「判断を変更する状況にはない」と答弁されてしまうことを予想は出来ました。残念ではありますが、議会議論の限界ですね。
やはり議会議論を超えた鈴木知事の大英断か、もしくは別の場所での議論にお任せしなければならないようです。
⑦外板接合部について
次に、外板接合部について伺います。
道は、先の説明会の質問に対し「塔の現状について、設計・施工の専門業者による調査結果については…(中略)…外板部については「水湿に触れたまま乾燥する機会の少ない箇所での錆の進行でトラブルが発生している。外板部と縁アングルの接合面、縁アングル相互の接合面、塔体内部の凹凸部に顕著な発錆が認められ、特に接合部の発錆は外板の変形や接合面の破断を伴って、更に進行すれば、外板の剥離、落下を招く危険性がある」とされているところです。尚、記念塔は鉄骨造であり、その耐用年数は50年となっています。」と回答しています。
先日の視察において、外板自体の錆の進行を確認することは出来ましたが、接合部を見る限り50年経過した成りの状態であり、健全であることを確認しています。
同行して頂いた建築・構造の専門家の皆さんにも同意して頂いておりますが、先に聞いた錆片しかり、この外板接合部も含めて、実際の危険性と乖離していることは明らかです。言わば、解体しなければならないと目論む道が「道民や議会に説明する理由」として誇張したものであると考えています。これは、今回視察した画像を含めた資料の中で再確認して頂くことも可能です。
当時、道が依頼した専門家とは誰ですか。その方達と今回視察に参加して頂いた建築・構造の専門家の皆さんとの見解の乖離をどう受け止めますか。
更に踏み込んでお聞きすると、道が依頼した専門家の中に、当時、道から説明された内容にただ同意しただけと回答している専門家もいらっしゃるとお聞きしています。この点は、今後経緯が明らかにされることと思われます。
道の見解を伺います。
<答弁>
塔の外板部分の状況についてでございますが、塔の構造上、外板と縁アングルや縁アングル相互は溶接により接合されておりますが、断続的な溶接となっているため、部分的に隙間が開いているところでございます。
気温や日射による熱により外板が膨張し、溶接の破断や外板がたわむことで隙間が広がる状況にあり、塔の内外の気圧差や強風の影響などによりまして、この隙間に雨水が浸入をすることで、錆が発生している状況にございます。このことにつきましては、塔の完成から10年後の昭和55年度に、建築の専門家である日本建築学会北海道支部が実施をした調査において既に指摘されておりまして、以降、平成2年、9年、13年に同支部が実施した調査や平成23年、25年、29年及び令和3年に株式会社ドーコンが実施した調査においても、繰り返し塔の問題点として指摘されているところでございます。
これらの指摘に加えまして、道では、平成28年度以降、塔の保存・活用の可能性も含めて検討するため、専門コンサルや外板の素材メーカー、建築の専門家や有識者の方々の知見を伺い、道議会でのご議論も踏まえまして、慎重に検討を重ねてきた結果、公園を利用する方々の安全確保等の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。
なお、道では、塔の視察に参加された方々の見解につきまして、その内容を承知していないところでございます。
<指摘>
この質問でのポイントは二つあります。
一つは、道が、誇張した内容で道民や議会に説明してきたと考えられること。二つは、道が依頼した専門家の中に、当時、道から説明された内容にただ同意しただけと回答している専門家もいらっしゃることです。
道との議論はすれ違ったままですが、これらも無視が出来ない内容です。
これも別の場所での議論にお任せしなければならないようです。
⑧内部構造について
次に、内部構造について伺います。
先日の視察において、内部構造には微塵も危険を感じることはありませんでした。
そもそも記念塔では、7年以上、内部の防錆措置は行われていません。それでも著しい老朽化の進行は感じることはありませんでした。放置状態が続いているにしては、塔は健全であり、危険があると感じることは出来ませんでした。
道は、老朽化を完全に防げないことを解体の理由にしています。それは「老朽が進んでいない」ので「完全に防げない」ことを理由にせざるを得なかったのではないでしょうか。
道の見解を伺います。
そもそも、平成23年度の主体鉄骨防錆措置は、記念塔維持管理の一丁目一番地であるに違いありません。しかし、平成26年度には、錆片の蓄積が確認されたからと言って、主体鉄骨防錆措置を取り止めてまで立入禁止の「階段踊り場の床の改修」と「ルーバー下端見切り板の改修」を優先しています。このことがどう「公園利用者の安全確保」につながるのでしょうか。
しかも、踊り場改修は平成14年度から、見切り板は平成24年度から行われています。
これらの道の回答は明らかに虚為であると言えるでしょう。
そして繰り返しになりますが、6月15日の公文書不存在通知書によって、平成24年からは維持管理をしていないことが公文書によって証明されているのです。
道の見解を伺います。
<答弁>
記念塔内部の状況等についてでございますが、令和3年度に実施をいたしました設計・施工の専門業者による調査結果におきましては、主体鉄骨部は、著しい損耗は見受けられない一方で、外板部につきましては、新たな箇所で穴あきが確認されるなど、平成29年の調査以降、錆や腐食が進んでいるとされており、塔の老朽化は着実に進行しているものと認識しております。
また、道では、平成23年度及び25年度に策定した保守管理計画に基づきまして、修繕を行うこととしておりましたが、26年には、塔内部において、踊場床から落下したと思われる相当量の錆片の堆積や、外部ルーバー下端見切板に腐食による穴あき等が確認され、錆片の落下による被害の発生が懸念されたことから、塔内部及び周辺への立ち入りを禁止するとともに、専門業者による緊急調査を実施したところでございます。
調査の結果、錆片の塔内外への落下に加えまして、見切板全体の剥離・落下も懸念されたため、道といたしましては、公園を利用される方々の安全確保が何より重要との考えに基づき、緊急に修繕が必要な箇所を特定した上で、「踊場旧床撤去・改修」と「外部ルーバー下端見切板改修」を優先して実施したところでございます。
⑨地方財政法について
次に、地方財政法について伺います。
地方財政法第八条には「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない」と示しています。
これまで質問してきた内容を踏まえた上で、一定期間放置されてしまったとしても総合的に健全であると判断することができ、北海道の財産である「北海道百年記念塔」の解体は、地方財政法第八条に対する明確な違反であったと判断できます。
道の見解を伺います。
<答弁>
記念塔の管理についてでございますが、地財法第8条は、地方公共団体の財産の管理、運用の原則を規定したものであり、公有財産等は、善良なる管理者の注意をもって管理すべきとされているところでございます。
記念塔に関し、道では完成から10年を経過した昭和55年度以降、概ね10年ごとに専門家の方々による老朽化の状況調査を実施し、以後、10年間の保守管理計画を策定した上で、老朽化した箇所の修繕や改修工事を実施してきたところでございます。
また、平成4年度にはエレベーターの更新など約2億300万円の内部改修を行いますとともに、11年度には、外部の錆片の除去など約3億4,500万円の外部改修を行ったところでございます。
道といたしましては、こうした施設・設備の耐用年数や老朽化の状況に応じた修繕を実施するなど、必要な維持管理に努めてきており、法の趣旨に抵触するものではないと考えております。
⑩記念塔の未来について
次に、記念塔の未来について伺います。
委員の皆さんもご承知のように、記念塔解体の予算は成立してしまっています。
しかし、そこに至る議会への経過説明の中で齟齬が生じていることは明らかであり、直近で行われた記念塔の視察でつぶさに確認することが出来ました。
ここで皆さんに承知していただきたいことは、道民への説明ばかりではなく、議会説明時においても、現状とは異なる状態で説明され、解体に向け画策されたシナリオに準じて手続きされてきた結果として、今日があるのだと私は捉えているのです。
北海道百年記念塔がある未来を想像してみてください。私たちの子孫の時代に「北海道開拓」の象徴として存在する記念塔の未来をです。
道は、解体の理由として、「未来の世代に対する負担の軽減」と「公園利用者の安全確保」を挙げています。
皆さんも考えてみてください。今後50年の維持管理費を必要以上に仮定し、それと比較し前回増額までされた解体費用を示し、導き出した結果として「解体」の道を選択させてきたのです。
よくよく考えれば、第三の道として「現状のまま保存する」という、最も「現在と未来の世代に対する負担の軽減」と「公園利用者の安全確保」を実現させる方法を避けていると捉えることが出来るのです。
道が、この方法を検討から外した理由は、老朽化と「完全」に止められない為と承知しています。
しかし、先達が記念塔に願いを込めた想いを受け止め、それを次代へと引き継ぐ責務がある私たちが、現状と異なる理由をまとわせて解体しようとしているのです。
「完全な状態を維持し続ける」か「解体する」の選択なのではなく、「50年経過した成りに現状維持していく」という選択肢を加えて検討し直すことが必要です。
私は、一番費用が掛からず、未来の世代に対する負担軽減ばかりでなく、公園利用者の安全確保が可能な策は、現状維持であると判断しているのです。
その具体策を検討し道民に提示するためには、時間が必要です。数年とは言いません。現在の予算措置に影響がない程度の範囲で、専門家を含む道民からの新提案を待って欲しいとお願いしているのです。
道の見解を伺います。
<答弁>
記念塔のあり方についてでございますが、道では、塔のあり方の検討にあたり、その保存・活用の可能性につきまして、「自然に朽ち果てるのに委ねる手法」等も含め、道民の皆様からのご意見や、様々な専門家、有識者の方々の知見をお伺いし、道議会でのご議論もいただきながら、時間をかけ、慎重に検討を重ねてきたところであります。
その結果、塔の構造上、外板の全面張り替えなど抜本的な対策を講じなければ、今後の老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を利用する方々の安全確保や将来世代の負担軽減の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。
錆片や部材の落下が続いている状況を踏まえますと、人的被害をはじめ、塔の周辺に影響を及ぼす危険度が増しているものというふうに認識をしており、塔の所有者でございます道の責任として、塔を現状のまま維持し、安全性の問題を先送りすることは困難と考えているところでございます。
<指摘>
今回の一連の質問と答弁が、委員会の皆さんにどのように受け止められたのか興味があります。
どれ一つとして噛み合ってはおらず、私は、生産的ではない事を承知しています。
だからこそ、時折指摘してきましたが、議会議論を超えた鈴木知事の大英断を促すために、別の場所での議論にお任せしなければならないようですと繰り返してきました。
北海道百年記念塔の解体工事の準備が着々と進められている今、「完全な維持管理」でもなく「解体」でもない、真の意味での「現在と将来世代への負担軽減」と「公園利用者の安全確保」を満足させることの出来る第三の道を提案していきたいと考えています。
残念ですが、当委員会で議論を尽くしても変更できないことは承知しました。
赤レンガ庁舎がそうであるように、将来に渡り、北海道百年記念塔が北海道開拓の先達に対する感謝と未来への期待を表現する存在として在り続けることを渇望して、この質問を終わります。
ありがとうございました。
3月23日に北海道百年記念塔の解体についての質問をさせていただきました。
この記事を投稿している3月24日、第一回定例会閉会日には、議場にて解体関連予算が「賛成多数」で議決されてしまいます。
しかし、解体中止に向けて活動は継続させて頂きますし、長期戦になる見込みの本活動については、それぞれに活動されている国民・道民の皆さんの熱量を束にしていく必要がある段階へと入っていくことになります。
今の私たちが北海道と共にあることをご先祖の皆さんに感謝・慰霊し、その感謝を未来の子孫たちに期待と共に繋いでいく「象徴」としての北海道百年記念塔に対して、責任を果たして参りたいと思います。
解体については、下記の質問にあるように北海道と北海道教育委員会が提訴されたところですし、聞き及ぶところによれば、この動きは後を追うように続くものと承知しております。
引き続きご支持頂けますようにお願い申し上げます。
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北海道百年記念塔について
(一)説明会の議事録について
北海道百年記念広場の整備等に関する説明会の議事録について、道は、説明会開催時点で、一週間程度で全ての質問に対して公開することを明言されておりました。
第一回目が2月9日に開催されて、議事録の公開が2月22日、第二回目が2月10日に開催されて議事録は3月16日、第三回目は2月14日に開催されて議事録はまだ未公開となっています。開催日には未回答であった分も含めた議事録の公開を約束している道にとって、本日現在でも公開されていない状態は「丁寧な対応」とは言い難いと断言できます。
第三回目の公開スケジュールをお示しください。
<答弁>
(文化振興課長)
質疑への対応についてでございますが、道では、これまで、記念塔解体の判断に至った考え方や解体後の広場整備の方向性をお示しした「交流空間構想」につきまして、様々な機会を通じて説明し、広くご意見を伺ってきたところでございますが、改めて、2月9日から3回に渡り、オンラインによる説明会を開催し、合計109名の方々に、ご参加いただいたところでございます。
参加された皆様からは、記念塔に関しまして、これまでの道の維持管理や道民の皆様への周知のあり方、新たなモニュメントに係る費用や今後の進め方など多岐にわたり、ご質問、ご意見をいただいたところでございます。
時間の関係上、その場でお答えできなかったご質問に対しましては、後日回答を作成し、参加された方々にメールでお知らせした上で、ホームページに掲載することとしておりまして、これまで第2回目までの72件を公開し、現時点で回答をお示しできていない第3回目の質疑応答314件につきましては、3月29日を目途にお示しできるよう鋭意作業に取り組んでいるところでございます。
(指摘)
議事録の公開にあたっては、説明会参加者はもとより、報道や一部の道民が高い関心を持って待ち望んでおります。それは議事録公開という事実だけに留まらず、道として答えにくいであろう質問に対して、どのような回答を寄せてくるのかについて、ただならぬ関心をお持ちであるからと承知しております。
まずは、回答漏れのないように、そして1日も早い回答をお願いしておきます。故意に回答を避けることは、不作為として残りますので、ご留意をいただきたいと思います。
(二)説明会の開催について
前回の質問でもお聞きしましたが、2月に開催された説明会がWEB開催であったことや、その説明会の告知が十分でなかったことから、仕切り直した説明会の開催を多くの道民から要望されております。これは、道もWEB開催での説明会時に触れている点でもあります。リアルでの説明会開催の日程や規模感などについて、見通しの見解を伺います。
(文化振興課長)
道民の皆様などへの説明についてでございますが、先月開催した説明会につきましては、当初、会場にお集まりいただく方式での開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの感染状況に鑑みまして、オンラインでの開催としたところでございます。
道といたしましては、まずは、説明会の資料や会議録、質疑に対する回答につきまして、道のホームページで公開するなど、道の考え方をご理解いただくよう努めるとともに、今回、参加できなかった方々をはじめとする道民の皆様から寄せられる問い合わせの状況や新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえ、必要に応じて対応を検討してまいる考えでございます。
(指摘)
リアル開催での説明会については、開催の検討に留まることなく、開催する前提で準備に入っていただきたいと強く要望しておきます。今月21日には、新型コロナウイルス感染症によるまん延防止重点措置も解除されております。一日も早い開催告知を始めていただくよう、そして、今度こそ広く多くの道民が開催を知ることができる方法で、告知していただけるよう、併せて要請しておきます。
さらに、その説明会では、道の考え方を理解していただく説明会なのではなく、参加者から寄せられた質問に向き合う説明会であることを要求しておきます。
また、これも前回の質問で要請していた点ですが、記念塔の視察は必ず実現させますので、準備のほど、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
(三)「近代化遺産である百年記念塔の偉功遺産としての地位保全の確認宣言請求」について
私の手元に3月11日に届いた訴状によると、3月9日付けで、「近代化遺産である百年記念塔の偉功遺産としての地位保全の確認宣言請求」が札幌地方裁判所で受理されております。
まずは、この事実についての見解を伺います。
(文化振興課長)
訴えの提起についてでございますが、ただ今ご質問のあった事項につきましては、本日現在、道では、裁判所からの訴状は受け取っておらず、受理の状況やその内容などについて、承知していないところでございます。
(四)北海道百年記念塔の登記について
次に、北海道百年記念塔の登記について伺います。先ほどお伺いした訴状の中で、百年記念塔の底地は道の所有地でありますが、記念塔そのものは未登記であることが記載されております。これは事実でしょうか。見解を伺います。
(文化振興課長)
記念塔の登記についてでございますが、先ほどもお答え申し上げたとおり、裁判所からの訴状は受け取っていないことから、その内容は承知しておりませんが、記念塔は、「工作物」に該当することから、不動産登記は行っていないところでございます。
(再質問)
改めて伺います。今となってはそれが道の弱点にさえなっていると見ているところですが、当時は登記する必要がなかったと判断してのことなのでしょうか。それとも登記をし忘れたことが発覚してしまったので、先ほどの答弁に至ると受け止めてよろしいのでしょうか。当時登記を済ませる必要があったと考えているのか、見解を伺います。
(文化局長)
記念塔の登記についてでございますが、記念塔は、「工作物」に該当いたしますことから、建設当時の不動産登記法に基づきまして、適切に取り扱ったものと考えております。
(五)北海道百年記念塔の所有者について
いま未登記であることが答弁されたところでもありますが、道は、記念塔の所有者たり得ないと理解することもできると思います。1970年に竣工した時点で、建設期成会が広く寄付を募り、道の事業から切り離して竣工されたものであることから、所有権不詳とされ、収去明渡しの債務名義でもなければ、道単独で撤去することは非合法であると、その訴状の中では明記されているところであります。この点について道の見解を伺います。
(文化振興課長)
記念塔の所有権についてでございますが、記念塔は、当時、建設主体となりました「北海道百年記念塔建設期成会」から道の規則で定められた手続きに則りまして、寄附の申し込みを受けて、受納し、公有財産台帳に記載した上で、維持管理してきたものでございまして、道が所有権を保有しているものと認識しております。
(指摘)
先ほどの訴状の中では、この他にも様々に史実と並んで、道の瑕疵と不作為が指摘されているところとなっていて、明日にでも議決されようとしている解体予算案に、数多くの疑義が突きつけられていると捉えることができると思います。これらの事実の真偽は、公正な裁判で明らかになっていくものと承知しておりますが、実は前述の説明会で数多くの質問が寄せられた質問の中には、同様の趣旨のものが存在していることを、私達は知らなければならないと思います。この点については、今後の委員会質問の中で明らかにしていく考えでありますので、ご承知おきください。
ちなみに私は、所有者が道とは言い切れないと捉えているところであります。今答弁にあった公有財産台帳に記載されていたとはいえ、未登記であったことも事実だと思います。私は、公有財産台帳が登記に取って代わることを聞いたことがありません。言うなれば、自分の財産目録に書いてさえあれば、所有権を主張できることがまかり通るならば、権利関係をいかようにでも操れることになってしまいます。だからこそ、公的に認められた不動産登記という方法が存在している訳であります。これらの点がまさに争点となって裁判が行われると承知しております。成り行きを見守りたいと思います。
また、この訴状では、被告として北海道教育委員会も記名されているところです。同様に、今回の質問の中であげれば項目にキリがありません。この点については、後の議会議論の中で取り扱っていきたいと考えているところであります。
(六)北海道百年記念塔の新聞報道について
3月12日付の新聞報道によると、北海道百年記念塔の解体着手について某団体の会長が「当然の判断。塔建設の背景に何があるのかよく考えて欲しい」と発言されていることが明記してあります。
道は、この「背景に何がある」と理解しているのか、見解を伺います。
(文化振興課長)
記念塔に関する報道についてでございますが、ご指摘の新聞報道につきましては承知しておりますが、発言の趣旨については把握していないところでございます。
(指摘)
先述の訴状では、多様な北海道開拓先人のご尽力に対し慰霊のまことを捧げるは、末裔として当然の義務ですらあり、何も一部種族だけがメモリアル化される縁は史実上には全く無いのであると記載されております。
この北海道百年記念塔が、「開拓の先人に対し感謝と慰霊のまことを捧げ、将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う道民の総意を込めた記念塔」として存してきた以上は、北海道独自の文化財として、維持管理されて当然のことなのであることを申し上げておきます。
またこの期に及んで知らぬふりを決め込む道は褒められたものではありません。偏向した政策に肩入れする様は、他の政策と比べても不自然であることは明らかであります。分かっていてあえて、僕も僕でありますが、答弁を避ける道も道であると思うのであります。そんなタブーを作り出してしまったというのは健全な北海道の元気に繋がりません。お互いに戒めていかなければいけないと考えるわけであります。
(七)北海道百年記念塔の解体予算について
明日の第一回定例会で、北海道百年記念塔の6億4千万円超の解体予算が議決されようとしています。情勢を鑑みると賛成多数で議決されるものと推察しています。これは、ただただ私の力の至らなさを悔いるばかりであります。
しかし、本日の質問で展開したように、今後の道民活動や開催される説明会、そして訴訟などを通じ、北海道百年記念塔の在り方については、議論が継続されるものと考えております。
道は、この状況をどのように捉えているのか、最後に見解を伺いいたします。
(文化局長)
記念塔に関しまして、今後の対応についてでありますが、道では、塔のあり方について、平成28年度以降、様々な分野の専門家や有識者の方々のご意見を伺うとともに、道民ワークショップや出前講座、アンケート調査などを通じまして、道民の皆様から寄せられた様々な意見を踏まえながら、時間をかけ、慎重な検討を進めてきたところでございます。
また、解体の判断に至った考え方や解体後の跡地を含む今後の広場整備の方向性をお示しした「交流空間構想」につきましても、先月開催しました説明会を含め、様々な機会を通じて説明し、広くご意見を伺ってきたところでございます。
道といたしましては、記念塔に対する皆様の思いやご意見を真摯に受け止めながら、今後とも道の考え方について、ご理解いただけるよう努めてまいります。
(指摘)
またここでも、道の考え方について理解いただけるよう努めてまいるが出てまいりました。この点は違うということをはっきり断言しておきます。
道は、道民の考え方を理解しなければならない立場にあるのです。答弁が強すぎます。私はこれまでたくさんの課題を明示し、瑕疵や不作為を明らかにしていくことで、道がとってきた手続きの脆弱を示していく考えであります。
私にも、大きな流れの変化がすぐそこまで迫ってきていることを聞かされているところであります。道のみなさんも真の意味で慎重に誠実に事に当たっていただきたいと要望します。
もう一つ指摘を加えます。
前回質問時にも申し添えた点でありますが、本件を担当されてる道の職員の皆さんにおかれては、本当にご苦労ご心労を掛けてしまっているとお見舞い申し上げるところでもあります。
私は、北海道百年記念塔の取り扱いについては、過去の行政プロセスの中で手続きが進み、今日を迎えていることを十分に承知をしているところでもあります。
しかし、本日ここに「北海道開拓先人に対する感謝と慰霊のまことを捧げ、将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う道民の総意を込めた記念塔」の未来を想う時に、胸が焼かれる思いであり、今を生きる者として、先人のみならず子孫に対して、すべきことの使命を思い知らされるところなのであります。
これまで質問の中で判明していることは、「交流空間構想」等の中で道から説明されてきた北海道百年記念塔の解体の経緯については齟齬があり、意図的に時系列を違わせることによって解体推進に都合良く書き換えさせられてしまっていたのではないかという疑義なのであります。
明日、解体予算は成立してしまうこととなるでしょう。しかし、今後明らかにされる史実と事実を基にして、各委員のみなさまをはじめ、それぞれの地区を代表する各派議員として、本件に向き合い、先人と子孫に対して恥ずかしくないご判断を賜るよう願って止まないところであります。
3月11日に行われた一般質問で、鈴木直道知事に質問させて頂いた<内容>と<答弁>です。
世界から多くの観光客にお越しいただくことが、即ち北海道の元気に直結することは、この二年の間の新型コロナウィルス感染症との闘いを通して、皆さんも肌身で感じたのではないかと捉えています。
地域が元気になる手段の一つとして、この機会を上手に活用していただけるように設えたいと思い、質問に至りました。
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C,アドベンチャートラベル・ワールドサミットについて
アドベンチャートラベルワールドサミットについて伺います。
2020年12月に北海道での開催が正式決定し、その後準備されてきたATWSは、新型コロナウィルス感染症の拡大防止の観点から、2021年5月にはバーチャルでの開催が発表となりました。その後の2021年9月には、改めて2023年に北海道での開催が内定し、関係者の期待がつながったものと承知しています。
これらは、「農業」「エネルギー」に加えて「観光」を三本柱として掲げる私たちの北海道にとって、今後の戦略に適った取り組みであり、官民挙げて取り組むべき政策・施策なのだと確信しています。そこで、知事に幾つか伺うと共に提案しておきたいと思います。
①アドベンチャートラベル・ワールドサミット2021について
最初に、ATWS2021について確認しておきます。
先に述べたように9月のATWS2021はバーチャル開催となってしまいましたが、開催された結果等はこれまでの質問で明らかにさ れていることと承知していますが、その総括は行われているのでしょうか。またその公開についての予定を教えてください。
<答弁>
アドベンチャートラベル・ワールドサミット2021の総括についてでありますが、昨年バーチャル開催されたサミットにおいては、欧米豪を中心に多くの国から、旅行会社やメディア関係者、観光関係団体など617名が参加し、北海道のアドベンチャートラベルのコース等をバーチャルで体験していただくとともに、各種講演や分科会のほか、旅行会社同士のオ ンライン商談会や、参加者とメディアのオンライン交流会などが実施されたところでございます。 サミット開催時に発信した映像については、主催 者や参加者から高い評価を得たところであり、2023年サミットのリアル開催につながったところであります。これらの実施結果につきましては、本年春に予定している実行委員会の総会で報告するとともに、 ホームページでも公表することとしております。
②アドベンチャートラベル・ワールドサミット2023について
ATWS2023について伺います。
開催結果や総括等を受けて、私たちのATWS2023への期待はより高まるものと容易に推測できます。
開催までの一年半で、ATWS2021の準備工程を繰り返すのでは二度開催する意味がありません。順調な開催を期待しているのではありません。私たちは、より効果の高い開催を期待しているのです。知事の見解を伺います。
<答弁>
アドベンチャートラベル・ワールドサミット2023に向けた準備についてでありますが、道では、来年のサミットまでの時間を有効に活用し、本道のアドベンチャートラベルをリアルに体感し、感動いただけるよう、一年を通じたコンテンツの磨き上げや北海道全域での魅力あるツアーコースの造成のほか、アドベンチャートラベルに対応した新たなガイド制度の検討を進めているところであります。私としては、2023年に再び北海道でサミットが開催されるというチャンスを最大限活かし、全道域で機運の醸成を図るとともに、サミットの主催団体と緊密な連携を図りながら、アドベンチャートラベルが本道の観光の主要な柱の一つとなるよう加速的に準備を進めてまいります。
③道内エクスカーションについて
次に、ATWS2023の参加者に提供される道内エクスカーションについて伺います。
事前に伺ったところによると、ATWS2021の参加者に提供される予定だった道内エクスカーションは、サミット開催前に行われるプレサミットアドベンチャー(PSA)15コースと、サミットの初日に開催されるデイオブアドベンチャー(DOA)29コースであると伺っています。
いずれもアドベンチャートラベル・トレードアソシエーション(ATTA)の審査を経て提供されるものと承知しています。
ATWS2023の参加者に提供されるPSAとDOAは、ATWS2021のメニューの継続となるのかを伺います。その44コースについての概要と道内での選定経緯、また誰が企画したコースであるかを含めて教えてください。
<答弁>
道内エクスカーションについてでありますが、ATWS2021においては、サミットの前に希望者を対象に4泊から5泊のツアーとして開催されるプレサミットアドベンチャーを15コース、サミット参加者が全員、初日に体験する、デイオブアドベンチャーを29コース造成したところでございます。これらのコースは、旅行会社が道内各地域を回り、ガイドの皆様などとも相談しながら造成した旅行商品の中から、実行委員会で審査・選定の上、サミットの主催団体であるアドベンチャートラベル・トレードアソシエーションの審査を経て決定したものでございます。 ATWS2023の開催に当たりましては、ATWS2021で造成されたコースを基本としながら、改めて、主催団体の意向も踏まえ、商品の追加や既に造成されている商品 画したコースであるのかを含めて教えてください。 の変更などして対応してまいる方向でございます。
④地域発のエクスカーションについて
道内エクスカーションの在り方について伺います。
ATWS2023の参加者に提供されるエクスカーションは基より、多くの参加者に情報提供されるメニューの創出と共有が必要だと思うのです。道内津々浦々や四季折々に満喫できるアドベンチャートラベルの情報を提供することが必要です。
そこで、道が自治体や地域の観光協会に呼び掛けて、その地域に存するアドベンチャートラベルのコンテンツを、ATTA基準で磨き上げる取組みを主導し展開することを提案します。旅行商品の開発という意味でもあり、その地域の住民に改めて受け入れる覚悟を求めるものでもあると捉えています。
北海道では、余りに当たり前で、時に畏怖の念を抱かざるを得ない「自然」そのものが、私たちに活力を与え元気にすることを再認識することが出来ます。
道の見解を伺うと共に、知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
<答弁>
地域発のエクスカーションについてでありますが、本道は雄大で豊かな自然はもとより、縄文遺跡群やアイヌ文化などの地域資源、さらには、多様なアクティビティを楽しむ環境が整っており、道内各地を訪れなければ体験することができない魅力あるコンテンツを有しているアドベンチャートラベルの適地であると認識をしております。このため、道では、アドベンチャートラベルとして求められる高い顧客ニーズに応えることができるコンテンツの発掘や磨き上げを道内自治体の皆様などとも連携して取り組んでいくとともに、一年を通じた全道各地の魅力ある商品造成を支援し、本道の魅力を世界に売り込む絶好の機会であるATWS2023の場において、世界各国のバイヤーやメディアに向けた道内各地の魅 力を余すことなく紹介する動画を発信するなどして積極的にプロモーションをしてまいります。
3月11日に行われた一般質問で、鈴木直道知事に質問させて頂いた<内容>と<答弁>です。
札幌丘珠空港の利活用については、北海道の活力源としての効果が明確になっているにも関わらず、北海道も札幌市も行政手続きのペースが遅く、いや遅すぎて参ってしまう状態です。
これまで以上に、議員活動を通しながら『北海道の元気』のために働いて参ります。
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B,札幌丘珠空港について
札幌丘珠空港について伺います。
札幌丘珠空港については、これまでに会派を問わず多くの質問が重ねられてきたことと承知しています。それらは、いずれにしろ道が果たす役割や滑走路の延長であったり、道内に限らず東日本における防災拠点としての活用であったり、北海道の活力の喚起に向けた方向性の質問であったと捉えています。
私は、これらを「まちづくり」の視点で捉えて質問してきたところでありますが、北海道の人口が驚くほどに減っていくことが明確になっている現時点において、更に新型コロナウィルス感染症の流行が収まりきらぬ現時点において、札幌丘珠空港の活用についての議論が停滞していることを危惧している者の一人として、以下、本定例会の予特と関連させて質問させていただきます。
①国との議論について
最初に、国との調整について伺います。
現時点における札幌丘珠空港の整備計画については、国との間においてどのような内容で進められているのか伺います。そして、その到達度合いはどの程度と見込んでいるのでしょうか。
特に、2030年に札幌オリパラの開催を目指す私たちにとっては、残されている時間には限りがあるのです。
道の責任において行われなければならない国との調整の範囲、言い換えれば札幌市との役割分担を、道はどのように自覚しているのかについて伺っておきます。
<答弁>
丘珠空港の利活用についてでありますが、現在、札幌市では、丘珠空港の利活用のあり方を示す「丘珠空港の将来像(案)」の来年度中の公表に向けまして、国との協議や航空会社など関係者へのヒアリングを進めているものと承知しております。道では、北海道における航空ネットワークや空港の目指す姿を明らかにした「北海道航空ネットワークビジョン」において、丘珠空港の役割を「道内各地の経済・医療・防災を支える航空ネットワークを実現するもの」としており、その利活用等について、これまでも札幌市と連携し、様々な取組を進めてきたところであります。 今後、札幌市における「丘珠空港の将来像」の内容を踏まえ、道としても、全道的な視点から、丘珠空港の一層の利活用と機能強化に向けて、引き続き、 札幌市と緊密に連携を図りながら、着実に取り組んでまいります。
②道が目指す札幌丘珠空港の姿について
私が過去の質問で繰り返し主張してきたことは、札幌丘珠空港は、人口減少を主因とする将来の北海道の活力の減少を埋め合わすだけの主な源となり得るものであります。
私は、道として期待は寄せるものの、その主管が札幌市に存する為に、出過ぎた考えが避けられてきたことに地団駄を踏んでいます。
札幌丘珠空港がどうあれば、北海道の視点で北海道の活力に繋げることが出来るのかを札幌市と共有出来ているのでしょうか。
道として期待する札幌丘珠空港の「仕掛け」を札幌市に示すことが必要です。知事の見解を伺います。
<答弁>
次に、丘珠空港の目指す姿についてでありますが、丘珠空港は、札幌都心に僅か6kmという地理的優位性から、「北海道航空ネットワークビジョン」において、経済・医療・防災など、道民の皆様の生活を支える役割を果たしていくこととしており、今後、空港機能の強化等を推し進めることで、様々な航空路線やビジネスジェットの就航などが期待され、幅広い階層による交流人口の拡大に資する空港となる潜在力を有していると考えております。
道としては、今後、札幌市が地域住民の皆様等との意見交換を行いながら取りまとめる予定の「丘珠空港の将来像」を踏まえた上で、丘珠空港が、国際拠点空港である新千歳空港を補完し、北海道経済を牽引する空港となるよう、引き続き、市と連携を図りながら、必要な取組を着実に進めてまいります。
<指摘>
丘珠空港の質問について指摘を加えます。 私は、丘珠空港の活用によって北海道の活力を創出していくことを目論むにあたり、国と道と札幌の役割は自ずと異なるものと考えております。その中でも、道には航空ネットワークビジョンを用いて、具体的な夢を示していただかなくてはなりません。その航空ネットワークビジョンで示す内容で、国に理解を求め、札幌市にはそれらを可能とする丘珠空港を作り上げていただかなくてはならないのであります。あくまでも、大志を語り上げる北海道でなくてはならないと思うのであります。その大志を語ることができるのは、未来を語る知事だけなのであります。しかし、その航空ネットワークビジョンの中の丘珠空港の取り扱いはほんの一部でしかなく、全く満足できるものとなっていないのが現実です。活力ある北海道の未来を示した目指す姿とはなっていないのであります。どうして国や札幌市に理解を求めることができるのでしょうか。 私には、道に何がそうさせているのか理解することができません。腰が引けているのは札幌市ばかりだと思っていましたけれども、実は道もそうなのかもしれないのでありま す。特に、2030札幌オリパラを目指す私たちは、このナショナルイベントをきっかけとして丘珠空港 の整備を実現させていかなければなりません。残すところ8年となっています。待ったなしです。私に言わせれば、これまでの行政プロセスが遅すぎて苦 虫噛みつぶす思いであります。そのような意味で今回の質問に対する道の姿勢は残念でありません。私は航空ネットワークビジョンが「仕掛け」とするならばその改訂を今後、議会議論の中で強く求めていくこととなりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
3月11日に行われた一般質問で、鈴木直道知事に質問させて頂いた<内容>と<答弁>です。
この質問は、北の元気玉が7年前に当選させていただいた当初より取り組んできている課題です。
エネルギー問題は、私たちの暮らしと切っても切れない関係にあり、昨今の国際情勢の不安定さからも注目される課題となっています。
地域の課題を「燃料」にして、地域内で創り出された「新エネルギー」を、地域内で消費する。
余剰する程に新エネルギーを創出して、地域外に売り出すことで、地域内に「富(活力)」を呼び込む。
これが、北の元気玉が皆さんにお約束した「北海道を元気にする」提案です。引き続き取り組んでまいります。
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A,企業局の行財政改革について
最初に、企業局の行財政改革について伺いたいと思います。
振り返れば、私は、平成30年の第四回定例会において、企業局に対して「新エネルギー導入の加速化について」質問を行いました。簡単にまとめるならば、より積極的に事業展開を図るべきと提案し、「稼ぐ企業局」となり得るための挑戦的な取り組みについての質問でありました。その答弁の内容では、強く同意して頂けたものと承知しております。
それから3年経過した今、その進捗を確認させて頂くと共に、改めてより具体的な質問を提案含めて行いたいと思います。
①進捗に進捗について
最初に、前回の質問に対しての進捗を確認させて頂きます。
その答弁の中で、「稼ぐ企業局」となり得るために、情報収集や調査研究に取り組むことや、また公営企業管理者からは、新たな事業に取り組むことについても言及して頂いたところです。まずは、それらの進捗状況について伺います。
<答弁>
(公営企業管理者)
新たな事業展開に向けた企業局の取組についてでございますが、企業局では、持続可能な経営基盤の確保と財政マネジメントの強化を図るため、令和2年度に中長期的な経営指針となる経営戦略を策定し、その方策の一つとして、新たな再生可能エネルギーの導入に向けて積極的に取り組むこととしているところであります。
これまで、企業局の強みである発電分野では、全道各地にある新たな水力発電の候補地の調査をはじめ、道内における事例を踏まえて、木材や家畜排泄物を活用したバイオマス発電などについて検討し、経済性の評価や課題の抽出を行ってきたところであります。
引き続き、大学や道総研等と連携し、太陽光など様々な電源開発について調査研究を進め、知見を蓄積しながら、こうした取組がゼロカーボン北海道の実現につながるよう、新たな事業の可能性を見極め、対応していく所存でございます。
②「稼ぐ企業局」について
次に、「稼ぐ企業局」について伺います。
「稼ぐ企業局」になる為にも、自らの強みと弱みは冷静に分析しておくことが必須です。
企業局は、公共性と公益性を求められながらも経済性を発揮しなけれけばならないと考えています。それは、単純に利益の最大化を目指すことが目的ではないと承知しています。
しかし、私は、さまざまな危機に対応しながらも道財政への負担から脱却し、逆に寄与出来る程のチャンスが正にいま到来しているのだと考えています。
企業局は、自身の強みと弱みをどのように分析しているのでしょうか。
自らの強みを伸ばしていくことは、民間企業にとって避けることの出来ない、絶え間ない努力なのであります。時に弱みを切り離していくことさえ避けられないことがありますが、公共性と公益性を求められる企業局にとってはタブーであることとなります。
よって、弱みを凌駕する強みを持つこと、強みを如何に自覚して伸ばしていかなければならないかは、とても重要な選択であることは間違いありません。
企業局は、自らの強みと弱みをどのように自覚し分析しているのかを公営企業管理者に伺います。
<答弁>
(公営企業管理者)
企業局経営の考え方についてでありますが、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー導入といった社会的要請のもと、シューパロ発電所等での固定価格買取制度、いわゆるFITの適用により、企業局における電気事業は、収益の面で安定した経営が保たれていると認識をしております。
こうした状況のもと、ゼロカーボン北海道に向けた新エネルギーの導入を加速するうえでの企業局の役割を果たすため、改修計画や経営リスクを見据えながら、電気事業で得られた収益の一部を道の一般会計へ繰り出し、道内の再生可能エネルギーのさらなる導入拡大などに充てており、今後も、道の施策を積極的に後押しすることとしてまいります。
企業局としましては、「経済性の発揮」や「公共の福祉の増進」という公営企業の基本原則を堅持しつつ、新たな事業への挑戦なども含め、経営の安定化に向け不断に取り組むことが重要な視点だと考えております。
③企業局の長期借入金等について
次に、企業局の長期借入金等について伺います。
頂いた資料によると、工水部門の未処理欠損金は、平成18年度の資産処分に伴う特別損失処理等の影響が大きかったものの、昨年度までに繰越欠損金が5億程度にまで減少しているそうです。言い換えれば、身軽になった工水部門として平成23年度には黒字化を達成していると示して頂きました。しかし、その名の通り資産を失っていることに他なりません。
確かに会計上の処理としては健全化を実現しつつあるところではありますが、工水部門と電気部門にこれから到来する施設の老朽化や設備更新に伴う膨大な費用を捻出していく為には、一難去ってまた一難といった状況なのではないかと推察しています。
更に、工水部門の長期借入金に至っては、令和2年度決算時で48億円程の未返済額が残り、そのうち近年では電気事業会計からの借り入れを繰り返す状況となっていることは深刻であり、放置できるものではありません。
企業局として、長期借入金の返済についてどのような見通しとなっているのか伺います。
<答弁>
(公営企業管理者)
工業用水道事業の長期借入れについてでありますが、産業構造や社会経済情勢の変化による工水需要の減少に伴い、工水事業は一般会計や電気事業会計からの借入を余儀なくされており、厳しい経営状況となっているところでございます。
一般会計からの借入れについては、工水3地域のうち、今後数年間で苫小牧工水の債務返済が完了するほか、石狩工水についても、新規契約による収益の増加により、借入金の返済が令和7年度から開始できるものと見込んでいるところでございまして、また、電気事業会計からの借入についても、3工水全てにおいて、計画的に返済しております。
企業局としましては、今後とも、立地が進むエネルギーや食品関連分野などへの需要開拓を精力的に進めまして、経営基盤を強化することとともに、施設の計画的な老朽更新などに努めながら、地域経済を支える重要なインフラとして、その役割を果たしてまいります。
④企業局が作り出す新エネルギーについて
次に、企業局が電気事業で作り出している新エネルギーについて伺います。
頂いた資料によると、電気事業で作り出している販売電力量は、平成30年度には3億5761万9千kwhに上るそうです。そのうち非FIT適用となっている分は59%の2億1223万8千kwhです。令和2年度は2億9919万2千kwhに上るそうです。そのうち非FIT適用となっている分は65%の1億9527万1千kwhです。
水力発電である以上、その年の降雪量や降雨量に大きく影響されることは避けられませんが、概ね3億kwhの新エネルギーを販売していると判断することが出来ます。
企業局は、このうち4割を国のFIT制度を活用して有利に売電していると承知しています。しかし、これは期間に限りがある制度です。
ここで提案したいのは、非FIT分にあたる6割程度の発電量についてです。
企業局は、非FIT分については、電力の小売り全面自由化に伴い、一般競争入札によって売電してきました。その売電単価は、令和4年3月までは10.65円/kwhで、令和4年4月から2年間は13.46円/kwhで販売することが決まっています。
企業局の水力発電の発電原価が9円/kwh程度とお聞きしていますから、一見すると採算は合っているように見受けられます。
しかし、「稼ぐ企業局」を目指すのであれば、利益の最大化を目論むことが必要です。
私が、総務部に問い合わせして、知事部局や教育庁、警察本部が使う電力量を調べて頂いたところによると、知事部局551施設の直近3年間の総計平均で7190万kwhを16億1448万円掛けて消費していて、教育庁269施設では総計平均が4530万kwhを10億966万円掛けて消費していて、警察本部799施設では総計平均が2735万kwhを5億7630万円掛けて消費しているのです。金額については、施設毎の入札等により単価は相違しますが、3年間の平均合計で、1619施設が1億4455万kwhを32億44万円掛けて消費することになっています。
先ほど申し上げた通り、企業局の販売電力量のうち非FIT適用となっている分が2億kwh程度となっているので、全てを十分に賄えるだけの電力を生み出していることになります。
更に、電力システム改革における小売りの全面自由化に沿った形で、企業局の販売価格がその時々の入札価格以上であることを見込み、道として買取る価格が入札価格以下であることが担保できれば、双方の経済的有利性を確保することが可能になります。残りの分もダムが所在する自治体を中心に販売することが出来れば、無駄なく消費することが可能です。
但し、託送料等の費用が発生することを考慮しながら検討することを含めた企業局による経営戦略の見直しが必要となります。
因みに、本庁と赤レンガ、議会庁舎の電気調達契約は、令和2年度がkwhあたり18.2円、令和3年度が16.41円となっていることからも、十分に検討するに値する環境は整っていることが判ります。
北海道庁関係の全ての施設を、新エネルギーによって運営させることが出来るのは、ゼロカーボン北海道を掲げる私たちにとってはあるべき姿となるのではないでしょうか。
この取組みは、企業局の経営戦略上は基より、道の施策方針にも合致したものと言えるでしょう。知事と公営企業管理者の見解を伺います。
<答弁>
(知事)
再エネ由来電力の調達についてでありますが、道では、事務・事業に伴い生じる温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比50%削減する目標を設定しており、その達成に向けて、現在、再エネ由来電力の調達手法や再エネ設備の導入などについて検討を進めているところであります。
企業局が発電する再エネ電力を道有施設で活用することは、更なるCO2排出削減と、電気料金の削減にもつながる可能性がある一方、庁舎などでの電力需要と企業局からの発電供給を同量にするための需給調整が必要となるなど、様々な課題があると考えております。
今後、企業局と一体となって道有施設での活用検討を進め、北海道にとって貴重な企業局の再エネ電力が削減目標の達成につながることを期待しているところであります。
(公営企業管理者)
道有施設への電力供給についてでありますが、FITが適用されていない発電所の電力については、国の電力システム改革による小売全面自由化に伴い、令和2年度から一般競争入札により、小売電気事業者に対し売電しており、最大収益の確保に努めているところでございます。
この電力を道有施設に売電することは、ゼロカーボン北海道のモデルとなり得る取組であるとともに、道有施設の電気料金を軽減する手立てとなるその一方で、企業局の発電量と道内全域に及ぶ約1,600の施設において複雑で高度な受給量の調整が小売電気事業者に求められるなど、様々な課題もあることと承知をしております。
今後におきましては、小売電気事業者とのヒアリングとあわせ、関係機関からご意見を伺う場を設置し、道有施設への売電も含め、実効性ある様々な有効活用の方法について検討してまいります。
⑤経営戦略について
次に、経営戦略について伺います。
以前の質問でも触れていますが、道財政の逼迫が続く現下にあっては、企業局の負債は勿論のこと前向きな投資についても、企業局自身が稼ぎ出して積極的に返済や投資をしていくことが必要なのです。勢い余って道財政の改善そのものに寄与することでさえ可能だと考えています。私たちは、どれだけ稼ぎ出すことが必要なのかを知る必要があります。
世界では、私たちが想像するより遥かに進んだ技術が次々に生み出されています。
ゼロカーボン北海道を目指す私たちにとって、全国に自然エネルギー源の宝庫であることを宣言する私たちにとっても、この分野における優位的立場を保ち北海道の活力を創出していくことは絶対命題でもあると考えています。
現行の経営戦略を決して批判するものではありませんが、より野心的で重層的な戦略を展開していくことが必要です。
先に触れた長期借入金の返済や設備更新等の膨大な資金調達等を可能にする為には、返済バランスの調整と稼ぎ出す必要額の明確化させた上で、その差が前向き投資に充てられるものと承知しています。
現経営戦略は、令和2年度からの10年間を示したものと承知していますが、時に見直しは付き物であることから、これらの要素を含んだものに直ちに改定していくことが必要です。公営企業管理者の見解を伺います。
<答弁>
(公営企業管理者)
経営戦略の見直しについてでありますが、現在、道におきましては、「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて、「地球温暖化防止条例」の改正や「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」の見直しなどに全庁を挙げて取り組む中にあって、本道の豊かな水資源を活用したクリーンなエネルギーを供給する企業局の役割は、これまで以上に大きくなるものと認識をしております。
企業局としましては、今後とも、令和2年度からスタートした経営戦略のもと、持続可能な経営基盤の強化を図るとともに、新たな電源開発の可能性を探る取組やコロナ禍における本道経済の動向など社会情勢の変化を踏まえ、脱炭素化といった時流をとらえた先導的役割を果たすよう、経営戦略のブラッシュアップについて検討してまいります。
⑥経営戦略室の新設について
次に、経営戦略室の新設について提案します。
これまで伺ってきた点や提案させていただいたように、野心的に「稼ぐ企業局」となる為には、現時点での強みである電気事業の拡大が必須です。
しかし、やみくもに事業拡大を急いでも、公営企業としての役割を果たすことは出来ません。単純に利益を生み出せば良いだけではない責務がそこには在るものと考えています。
それは電気事業に留まることなく、道総研や民間企業と共に世界から先進的な技術の取り込みを模索し、道内外に導入される事業のコンサルタント的役割を果たすことで権利金を獲得することも十分に可能となります。
更に、世界の先進的な情報や過去の取り組みの成功例や失敗例を収集し、シンクタンク的な機能を持ち合わせることで、企業局自身や自治体や民間企業が今後取り組む企業活動の力強い根拠や支援につながると考えられます。
ゼロカーボン政策が華やかし今、自然エネルギー源の宝庫を自称するからこそ北海道がとれる立ち位置なのではないかと信じています。
私は、このような基礎的活動と共に稼ぎ出さなければならない利益をシュミレーションしたり、事業計画を立案し上申する部署が必要だと提案させていただきます。
企業局は、「工水事業部門」と「電気事業部門」を抱えるのですから、横断的に検討を重ねられるように、また道総研や民間企業と協働して世界の新技術情報に敏感になる為に、公営企業管理者直轄での経営戦略室の創設を提案します。また、先に質問した通り、この構想は道庁全体の財政やエネルギー政策に資するものでありますので、知事部局からも人材を集めた全庁横断的な組織づくりを検討すべきだと考えています。
知事と公営企業管理者の見解を伺います。
<答弁>
(知事)
企業局との連携についてでありますが、道では、「ゼロカーボン北海道」の実現に向け、国内随一のポテンシャルを有する再生可能エネルギーなど本道の強みを活かし、脱炭素化に向けた様々な取組を展開することとしており、そうした中で、水力やバイオマス、太陽光など、本道の豊富なエネルギー資源の利活用や調査研究を進める企業局の果たす役割は非常に大きいものと考えております。
これまでも企業局が有するノウハウや知見を全庁的に活用する観点から、庁内関係部局で構成するプロジェクトチームへの参画や、人事面での交流を行ってきたところであり、今後とも、企業局において、再生可能エネルギーの導入促進に向けた体制づくりが進むよう、より一層連携を深めてまいります。
(公営企業管理者)
組織体制の強化についてでありますが、企業局ではこれまで、電力システム改革や産業構造の変化の荒波の中で、電気事業や工業用水道事業の安定経営のため、施設の計画的な管理運営や新たな需要開拓に取り組むとともに、地域の再生可能エネルギーの導入に向けて、「アドバイザー制度」や「小水力モデル事業」などを通じ、道内市町村への側面支援により、脱炭素化を後押ししてきたところでございます。
「ゼロカーボン北海道」を旗印に大きく舵が切られる中で、今後とも事業の安定経営に努めるとともに、地方公営企業法の基本原則のもと、「稼ぐ」という視点を持ちながら、しっかりと収支見通しを定め、収益性のある新たな事業についても積極的に検討を行ってまいります。
こうした取組の実現に向けて、企業局としては、経営の専門家や関係する団体、企業との意見交換をはじめ、議員のご提案のように、庁内関係部局との連携強化を図りながら、企業局内に企画調整ポストを新設するなど、組織の充実に努めてまいります。
⑦知事の決断について
最後に、知事の決断について伺います。
道財政への貢献についてこれまで提案してきたように、企業局には「稼ぐ企業局」となり得るために野心的な改革を求めています。
「経営戦略室」の立上げを通じて企業局の稼ぐ力を高めると共に、生み出された収益を道の一般会計に繰り入れることで、道庁全体で、より効果的な事業を生み出し、道財政の健全化にもつなげていくことが可能だと考えています。
道では、「行財政改革の基本方針」を定め、2025年までの収支対策や財政健全化の目標を掲げていますが、企業局の収益を活用することにより、財政改革を一層加速すべきと考えます。
知事の挑戦的な英断を期待して見解を伺います。
<答弁>
(知事)
今後の財政運営についてでありますが、電気事業会計においては、平成29年度からその収益の一部を一般会計へ繰り出し、道内の再生可能エネルギー導入拡大の推進などに寄与してきているところであり、今後とも、企業局と庁内関係部局がより一層連携し、電気事業の収益を活用しながら、引き続き、ゼロカーボン北海道の実現に向けた取組を進めていくことが重要であると考えています。
こうした中、この度、改訂を予定している「行財政運営の基本方針」においても、更なる歳入の確保のほか、民間資金の積極的な活用などによる政策財源の確保に取り組むこととしているところであり、道としては、ゼロカーボン北海道をはじめとした政策展開にも適切に対応していくことができるよう、財政の健全化に向けた取組を進めてまいります。
令和4年2月24日の環境生活委員会で「北海道百年記念塔の説明会について」の質問を行いました。
北海道百年記念塔の解体については、現在の私は「解体反対」の立場を取らせて頂いています。
北海道の開拓に関わられた全ての先人への感謝と、北海道の未来を担う子供たちへの期待を込めた開拓記念塔を解体することは避けなければなりません。
特に、先日、道によって開催された説明会を通して、道による瑕疵や不作為を整理していくことによって、最悪の事態への収拾を図りたいと考えています。
残念ながら北海道議会自民党会派では、北海道百年記念塔解体に賛成している議員が多く孤軍奮闘中ではありますが、会派内有志と共に活動中でございます。
更には、ほとんどの道民が北海道百年記念塔の解体を知らないという惨憺たる状態であることも判明しております。
北海道議会議員の一人として、その責務を果たしてまいります。
よろしくお願いいたします。
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(一)説明会について
早速ですが、幾つか質問をしてまいります。先日開催された北海道百年記念広場の整備等に関する説明会について伺います。
私はこの説明会の2月9日に参加させていただきました。ZOOMでのWEB開催となりましたが、他の開催日も含めた参加人数や、寄せていただいた意見等の傾向について教えてください。
(文化振興課長)
説明会の開催結果についてでございますが、道では、記念塔解体の判断に至った考え方や解体後の跡地を含みます今後の広場整備の方向性をお示しした「交流空間構想」につきまして、これまで様々な機会を通じて説明を行い、広くご意見を伺ってきたところでございますが、改めて、道の考え方を説明する場として、2月9日から3回に渡り、オンラインによる説明会を開催したところでございます。
説明会への参加人数につきましては、それぞれ定員100名に対しまして、1回目が32名、2回目が26名、3回目が51名となっており、合計109名の皆様に貴重な時間を割いていただき、ご参加をいただいたところでございます。
参加された皆様からは、塔の解体に関しまして、これまでの道の維持管理や道民の皆様などへの周知のあり方、また、新たなモニュメントに係る費用や今後の進め方などについてのご質問のほか、塔の存続を求めるご意見などをいただいたところでございます。
(二)説明会の開催方法について
次にですが、この説明会の内容についてでございます。この説明会に参加した私の率直な感想は、道としては、北海道百年記念広場の整備等について説明し、道の考え方を通したかったのでしょうが、寄せられた質問のほとんどが、百年記念塔の維持管理や解体についての質問であって、道が目論んだものとは相違していたと受け止めております。
以前の私からの質問で、何度も丁寧に説明すると答弁し、約束していただいたところではありますが、開催したアリバイが残っただけであり、とても丁寧に対応したとは受け止めておりません。それは寄せられた質問の主旨と異なる回答が目立ち、さらに都合が悪いと目される質問に回答しないといった有様です。これが丁寧な対応と言えるはずがありません。
道も想定していなかったと思われる量の質問が寄せられて、終了時間が迫る頃には、私から「回答しきれない質問に対しての対応について」質問をするといった事態になった程であります。その質問に対する道の回答として、後日全ての質問に対して、回答をホームページで公開する約束をすることになったと承知をしております。
今回の説明会は、コロナ禍の影響を理由にして、ZOOMによるテレビ会議方式で開催されています。参加者からの質問はチャット形式によって寄せられ、道からの回答は映像と音声によって返されました。しかし、音声が正常に聞き取れない事による苦情も多く寄せられたところです。それは私には滑稽にさえ映っていましたし、これでは開催の意義は満足させられないと受け取っておりました。
道による以前の説明によりますと、この説明会は、当初予定ではリアル開催の設定になっていたと承知しております。しかし、今後の感染症流行の状況を踏まえながら、Web開催になったと説明をされております。今後、具体的にはどのように丁寧に対応していくことを想定されているのか、寄せられている意見や質問に対して丁寧に対応することを、改めて確約していただきたいと思います。見解を伺います。
(文化振興課長)
道民の皆様などへの説明についてでございますが、この度の説明会につきましては、当初、札幌市など3カ所で会場にお集まりをいただく方式での開催を予定をしておりましたが、新型コロナウイルスの感染状況に鑑みまして、オンラインでの開催とさせていただいたところでございます。
参加された皆様からは、記念塔の解体に関するご質問やご意見に加えまして、説明会の開催方法についてもご意見をいただいたところでございます。道といたしましては、まずは今回の説明会におけるご意見に対する資料や会議録を道のホームページで公開するなど、道の考え方について丁寧にご説明をし、ご理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。
(再質問)
質問を重ねます。私はですね、今の答弁では不十分であると受け止めております。この3回の説明会で果たし切れていない道の役割を、改めてリアル開催の説明会によって丁寧に対応することが必要だと考えております。また、道は、道の考え方を丁寧に説明すると繰り返しますが、先程の答弁の中にありましたけれども、道の考え方を説明する場と道は位置づけていてですね、事の本質がそこにないということはですね。道民から寄せられている意見や質問に丁寧に対応することが必要なんです。道民から寄せられている意見や質問によって、道の案を検証し、公表することが必要となります。リアル開催の確約と、丁寧に対応する内容についての見解を求めます。
(文化局長)
重ねてのお尋ねでございますが、道民の皆様への説明についてでございますけれども、会場にお集まりいただく方式での開催につきましては、今回の説明会でのご意見や、道民の皆様から寄せられる問い合わせの状況、それから新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえまして、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
(指摘)
私はリアル開催の確約を求めた訳でありますが、必要に応じて検討ということが何にあたるのか。これは日本語の解釈上の話でもあるし、道庁内の不文律というか、解釈によっても異なるところだとは思いますが、今後、質問を進めるにあたって、いかにこのリアル開催のですね、必要性が高まってくるのかということを、道にはしっかりと受け止めていただいて、開催を調整し、実行していただきたいと要請をしておきます。
(三)会議録等の公表について
次に道が約束した議事録の話です。3回の説明会で数多く寄せられた質問に対して、時間制限によって回答できなかった分も含めて、1週間程度の後に議事録を公開されると説明会の中で道は約束をされました。
実は、参加者による議事録は、3回目に開催された14日夕方の2日後にはウェブ上で公開されておりました。今週の月曜日には道が作成した一部が手元に届いたところではありますが、いまだ半分以上の質問に回答出来ていない状態でありました。これはウェブ開催、覆面開催の弊害と解釈するしかありません。
質問の中には、道にとって回答し難い内容のものも見受けられると考えております。また、説明会内で約束していただいている全ての質問に回答し公開するには、今しばらく時間を要するものと感じているところでもあります。
道は、道の考え方を知らしめる場としてしか今回の説明会を位置付けていないのではないでしょうか。要するに、寄せられる意見を受け止める考えなど最初から無かったのではないでしょうか。いわばガス抜きです。実は、あえて具体的な指摘はしませんが、その意図を道の発言の端々から感じることが出来ていると私は捉えています。
この度に寄せられた質問に対して、道はどのように対応していくお考えですか。また、遅れている議事録の公開について、期限や公開場所を明示いただきたいと思います。見解を伺います。
(文化振興課長)
説明会におけるご質問等への対応についてでございますが、今回の説明会の資料及び会議録につきましては、道のホームページで公開するとともに、時間の関係で、その場でお答えできなかったご質問に対しましても、回答を作成の上、公開してまいる考えでございます。
今日現在、各回の会議録及び第1回目の質疑応答につきましては、説明会に参加された方々にメールでお知らせした上で、ホームページに掲載しているところでございまして、第2回目及び第3回目の質疑応答につきましても、できる限り早急に回答を作成の上、同様に順次、公開してまいる考えでございます。
塔の存続を願う方々の思いや主張に対しましては真摯に受け止めながら、今後とも道の考え方について、ご理解いただけるよう、道民の皆様からの問い合わせなどに対して、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
(指摘)
今、答弁の中にあったメールでお知らせいただいたというのは、私も第1回目に参加したわけでありますので、そのメールを受け取ったわけでありますが、道のホームページ上で公開されるといっても、巨大な道のホームページマップというかエリアではありますので、探しきれないことが考えられますので、メールでお知らせいただいたというのは、非常にありがたかったと感じております。2回目、3回目の質疑応答分に関してもですね、同様に対応願いたいと思います。
また、今回公開される議事録については、公開され次第、民間の手によって検証されることになると承知しております。検証された回答を基にして、改めて整理された意見と質問が寄せられることになるとお聞きしています。今後の委員会で、それらを基にした質問をさせていただくことになりますので、承知おきください。
(四)解体費の増額について
次に、道が計上しようとしている解体工事費等について伺います。
以前提出された資料やこの説明会によれば、解体工事費は7億2千万円程となっています。当初予算の4億4千万円と比較しても1.64倍です。更に前回の質問で、更なる増額が見込まれることも道は認めております。このままでは、この増額は認められるものではありません。この増額によって維持管理費との差は縮まるなど、道が解体の根拠としてきた根本が崩れているのだと理解しています。それらの具体的な指摘が、今回の説明会内で寄せられた意見等の中にも多く存在しています。その中には、目を疑うような内容のものもあったと捉えております。
前回の質問の際に別の委員からも指摘されましたとおり、承認されてしまった点については覆しようのない事なのかもしれません。しかし、私は、今回の説明会によって提示された質問内容が、議会に報告されていた内容と現実が大きく異なっている点や解体予算の大幅な増額と今後の更なる増額見込みなどについて、それらの状況は大きく変わっているものと理解しています。
この度の令和4年度予算として計上されようとしている解体工事費等についての道の見解を伺います。
(文化振興課長)
解体工事費についてでございますが、平成29年の調査につきましては、塔の内側に足場を設置し、解体を進めることといたしておりました。本年度に実施した実施設計の結果につきましては、塔の老朽化の状況に鑑みまして、工事に伴う落下物による被害を防止するため、作業工程を細分化し、塔の外側にも足場を設置して解体を進めることとしたことや、平成29年以降の労務・資材単価の上昇などによりまして、解体工事費が増加したところでございます。
(指摘)
実は、この質問を練り上げている最中に、本日の委員会に報告されている北海道百年記念塔解体費が、限度額を6億300万円とされていて、4千326万9千円のみを計上されていることを知ったところです。これはどういった意図なのかと考えておりますが、委員会内において報告のみということになっておりますので、指摘に留めますが、いずれにしても、私は、限度額増額についての承認を同意することは出来ません。明言をしておきます。
(五)寄せられた質問について
これまで、道は、一貫して「安全性の確保」と「将来世代の負担軽減」の観点で解体理由として議会に説明してきました。しかし、今回の説明会に寄せられた質問の中で、幾つも無視できない内容のものが存続しておりますので、その一部を検証してみたいと思います。
例えば…、
1 老朽化の原因について
第二回の説明会で寄せられた質問に対して、道は「塔の所有者として適切な維持管理に努めてきた」と繰り返し回答しております。この点は、そもそもおかしな回答となっていて、適切な維持管理に努めれば、腐食等の不具合は防げる又は進行を遅らすことができるものなのであり、道が提案している解体案は、この根本からずれていると断言できます。見解を伺います。
(文化振興課長)
塔の老朽化の原因についてでございますが、専門家の方々からは、塔の構造上、外板周辺部の錆の進行と剥落につきまして、その程度を軽減する処置はとれるにしても、完全に防止することは困難との指摘を受けており、道では、これまで、専門業者による調査結果に基づきまして、保守管理計画を策定し、錆の除去や防錆措置など計画的な維持管理に努めてきたものの、錆や腐食の進行など、老朽化の進行を完全に防ぐことは、難しいものと認識しております。
(指摘)
これは、禅門答ではないのですから、この度の道の答弁では承服しかねます。私は、形あるものは壊れることくらいは承知しております。しかし、それを計画的な維持管理によって長寿命化することが道の責務なのであって、不十分な維持管理を棚に上げておいて、それを理由に解体すると手続きを進める道には瑕疵があるものと考えております。この議論は、別の機会に取り上げてみたいと思います。
2 道民への周知について
道は、百年記念塔の解体について、どの程度の道民が知っているものと捉えているでありましょうか。説明会の質問によると、ごく限られた方しか周知されていないと捉えることができます。当該地元の住民でさえ、学校関係者でさえ、解体そのものをご存じないケースが多すぎます。例えば、町内会長がご存じでも町内会員が知らない、学校長が知っていても教師や生徒が知らないといったような場合です。
記念塔の建立経緯や塔に込められた開拓の感謝と思いを顧みると、道民の理解が少ない中で計画を推進することには同意できず、道議会の同意を得たことがこれにあたると道が捉えているならば、道議会議員が多くの道民に知らせる義務を果たしきれていないことが原因となります。道は、今後どのように周知を進める考えなのでしょうか。どの程度まで周知が進めれば、道民の理解を得られたと判断するつもりなのでありましょうか。
道が、こうしてまで進めたい計画であることはこれまでの立ち振る舞いで理解しておりますから、周知が進まない原因は道にあると言わざるを得ません。見解を伺います。
(文化振興課長)
道民の皆様への周知についてでございますが、道では、記念塔を含む百年記念施設のあり方に係る検討を行うにあたりまして、その議論の経過も含め、多くの道民の皆様に幅広く周知の上、ご意見をいただくことが必要と考えておりまして、道のホームページへの掲載はもとより、「交流空間構想」の策定にあたりましては、検討会議の開催の都度、報道発表を行うなど、周知に努めた結果、新聞やテレビなどで取り上げていただいたところでございます。
また、道民ワークショップや出前講座の開催、アンケート調査の実施などを通じまして、道民の皆様のご意見を伺うとともに、「交流空間構想」を策定する際には、その内容につきまして、北海道商工会議所連合会などの経済団体や北海道市長会、町村会をはじめとする各自治体、地元の市役所や区役所に加えまして、地元町内会の方々や記念塔を校歌・校章に用いている学校に対しましては、それぞれのご都合を伺いながら、可能な限り直接、お会いし、記念塔の解体もやむを得ないとした方針につきまして、説明を行ってきたところでございます。
道といたしましては、今後におきましても、様々な機会を通じまして塔の解体の判断に至った道の考え方につきまして、ご理解いただくよう努めてまいる考えでございます。
(指摘)
道が行ってきた周知のための方策が十分なものであったとは言い難いと考えております。要するに目的と手段が入れ違ってしまっております。
今、道が答弁した方策を行ったから十分な周知ができたと答弁すること自体が詭弁です。答弁にもあったとおり「塔の解体の判断に至った道の考え方についてご理解いただくように努める」といった立場をとるうちは、この問題は解決する訳がありません。
塔の解体の判断に至った道の考え方についてご理解いただくよう努めるために、丁寧な対応をいくら繰り返しても、この問題は解決しないのであります。まずは、十分な周知を行うために、どんな方策をとらなければならないかを真剣に考えていただきたいと強く要請しておきます。
3 道民への効果的な周知方法について
道がこれまでに行った周知案について、どうして周知が進まないと考えているのでしょうか、伺います。その周知を満足させるために、具体的にどのような方策をとる考えなのかも伺っておきます。
(文化振興課長)
道民の方々への周知方法についてでございますが、道政を進める上では、様々な情報をタイムリーに発信をし、広く道民の皆様からのご理解とご協力を得ることが不可欠でありますことから、道といたしましては、ホームページや報道への情報提供などを通じまして、幅広く情報をお伝えできるよう取り組んでいるところでございます。
こうした中、平成30年12月に発表いたしました交流空間構想につきましては、道民ワークショップの開催や大学への出前講座のほか、全道各地から参加が見込まれる行事と連携をしたアンケート調査の実施、さらには、道のホームページを活用し、広く意見を募集するなど、道民の皆様にご理解いただけるよう取り組んできたところでございます。
また、構想策定後の一昨年の6月には、老朽化した記念塔の現状を認識していただくため、報道機関とともに、塔の存続を求める団体の方々からのご要望による視察を実施をし、この様子については、多くの新聞やテレビで大きく取り上げられたことから、報道を通じまして、道民の皆様に塔の現状を相当程度認識をいただけたものと考えているところでございます。
道といたしましては、今後、新たなモニュメントの設置や百年記念広場の整備に関する情報につきましても、道の広報媒体等を積極的に活用しながら、地元住民の方々はもとより、道民の皆様への効果的な周知について鋭意取り組んでまいる考えでございます。
(再質問)
量的に必要な道民の周知を獲得し、仮に過半以上の賛同が得られるならば、道の考え方にも正当性は帯びてくると思います。しかし、実際には満足な周知も得られぬままに、道の考え方を周知したと都合良く解釈する姿は、褒められたものではありません。それを道民に見抜かれてしまっているのだと私は捉えております。
さらに、今の答弁の中で、最後に「道としては、新たなモニュメントの設置などの情報について周知を進めていく」これはですね、答弁として悪質だと思います。私が伺っているのは、その正当性、道がこれまでとってきた解体案についての根拠とされてきたことに対しての疑義を説明会等によってつきつけられているものに対し、どのように答弁、回答しながら、多くの道民の皆様に理解を求めるように周知をするということをしているのであって、論点がかわされていると思います。見解を伺います。
(文化局長)
道民の皆様への周知に関しての重ねてのお尋ねでございますけれども、道といたしましては、今後、記念塔の解体の判断に至った考え方も含めまして、新たなモニュメントの設置や百年記念広場の整備に関する情報につきまして、道の広報媒体等を積極的に活用し、道民の皆様への周知に鋭意取り組んで参ります。
(指摘)
まあ、同じ内容の答弁の繰り返しなんでしょうね。このまま、答えてください、道の考え方についての説明の周知、もう行ったり来たりでありますので、まとめに入りますけれども、いずれにしても、道が説明したくない解体に至る考え方を理路整然とまとめると、多くの質問や意見がそこに寄せられているわけですから。そこについての議論をかわし、道の考え方、交流空間構想をつくります、新しいモニュメントをつくります、という説明でつきとおすということに対し、非常に違和感を覚えるところでありますので、今後の委員会質問等で明確にしていきたいと考えるところであります。
4 アンケート結果について
第3回目の質問の中に、平成30年4月から6月の施設利用者に行われたアンケートによると、存続して欲しいとの回答が59%であったとのことです。これを以て道民の意思と断言することはもちろん出来ませんけれども、過半であることは事実です。道はこの道民の意思に「丁寧に対応した」とは言えません。見解を伺います。
(文化振興課長)
アンケート調査の結果についてでございますが、道では、「交流空間構想」の策定に当たりまして、百年記念施設の利用状況を把握するとともに、記念塔の存続などについて、道民の皆様から幅広くご意見を伺うため、アンケート調査を実施したところでございます。
百年記念施設を利用される方々におきましては、記念塔の存続を希望する意見が多く、一方で、全道の社会人及び大学生に対するアンケート調査では、解体もやむを得ないとする意見が多いなど、道民の皆様の間には様々な考え方があったところでございます。
このため、道といたしましては、塔の安全性につきまして、専門家の方々の知見も伺いながら、検討を行いましたが、最終的に、塔の構造上、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を利用される方々の安全確保などの観点から、解体もやむを得ないと判断したところでございます。
(指摘)
今の答弁で明確になったことは、道は道民の意思はさておいて、専門家による知見と安全確保の観点から判断したとおっしゃるのであります。この点については、この後に質問する項目など、後日の委員会等において反証をしていきたいと考えております。
5 維持管理について
第3回の質問によると少なくとも平成29年度から維持管理費を掛けなくなったと指摘されています。維持管理費が極端に少なくなったのは平成22年度からという質問もありました。これは施設管理者としての単純な瑕疵に違いありません。見解を伺います。
(文化振興課長)
記念塔の維持管理についてでございますが、道では、塔の完成から10年を経過した昭和55年以降、概ね10年ごとに専門家の方々によります老朽化の状況調査を実施するとともに、以後10年間の保守管理計画を策定した上で、老朽化した箇所の修繕や老朽化の状況に応じた大規模な修繕を行うなど、塔の所有者として必要な維持管理に努めてきたところでございます。
なお、ボルトの緩みや錆片落下が確認をされ、塔の立入禁止措置を講じた平成26年以降につきましては、専門業者による調査結果に基づきまして、緊急的に補修が必要な箇所の修繕を優先して行うとともに、塔の解体方針の決定後におきましても、必要な点検・補修を行ってきたところでございます。
(指摘)
この点に関しては意見交換時に示していただいた資料によって、維持管理費を掛けていない訳ではないことを確認をしております。しかし、何に費やしたのかまでは確認をしてはおりませんが、平成30年に488千円、令和元年に242千円 とんで令和3年度に420千円という実績は健全な維持管理に努めた証とは言えない金額だと受け止めています。
それまでの4,200千円から21,800千円に比べても明らかです。この点についても民間による検証を待つこととします。
6 建築家からの提案等について
第3回の質問によると、北海道百年記念塔の未来を考える会は建築士有志の皆さんで組織された会と承知をしております。いわば、専門家です。重ねるならばボランタリーベースの会です。
道はこの会から知事あてに3度の公開質問状を受け取っています。さらに、十数名の建築士さんによって塔内の視察も行われていて、「塔は健全」、「外皮は熟成」として、大修繕は不要であり、維持管理についての提案を受けております。
しかし、回答を避けております。避け続ける理由と回答を求めます。見解を伺います。
(文化振興課長)
建築家の方々からのご提案などについてでございますが、ご指摘の内容につきましては、一昨年の11月に道の方に提出をされました公開質問状の中で述べられております「塔は健全である、大規模改修の必要性はない」との記述を指しているものと考えているところでございます。
この主張に関します道の考え方につきましては、既に同年6月の公開質問状に対する道からの回答の中で、「平成29年度に民間事業者に委託して行った維持管理に関する調査におきまして、主体鉄骨部は、最低限必要な状態を維持継続している一方で、塔体については、常に過酷な環境下にあるため、経年とともに、二次部材の腐食、溶接の破断、錆片、錆粉等の不具合が進行すること、不測の落下事故を完全に防ぐことは不可能に近い」との調査結果をお示ししながら、回答させていただいたところでございます。
また、こうした状況から、記念塔存続をさせ、今後とも維持管理を行う場合には、定期的な保守管理の費用に加えまして、大規模改修に要する費用がかかる、との調査結果につきましても併せてお示しし、その必要性についてお答えをさせていただいたところでございます。
(再質問)
今の答弁の中で、指摘の内容は「一昨年の11月に道に出された」というふうにおっしゃった後、「同年6月の公開質問状に対する」というふうにお答えいただいていると思いますが、時系列的にちょっとおかしいような気がするのですが、これでよろしいのでしょうか。
(文化局長)
時系列的には答弁させていただいたとおりで、11月の公開質問状の前にいただいている公開質問状の中で、時期が6月になりますが、お答えをさせていただいているということです。
(再々質問)
3回質問されている中の、2回目3回目とか、1回目2回目ということで理解しました。
道はいずれにしても、この百年記念塔の未来を考える会の質問と要望に真摯に答えていかなければなりません。この春には、新たな専門家による塔内外の視察と診断を受ける必要があると思います。現状、隠す必要は全く考えられないので、場合によっては有効な案が提案されることもあるでしょう。当然ですが、私も含め、有志でご同行したいと考えております。この未来を考える会からは改めて10階以上の視察に含めても申出があったところでありますが、この開催を約束していただきたいと思いますが、見解を伺います。
(文化局長)
記念塔内部への視察などについてでございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、道では、塔の老朽化の現状や解体の判断に至った考え方をご理解いただけるよう、存続を求める2つの団体の方々からのご要望を受けまして、一昨年の令和2年6月に報道機関15社の方々とともに普段立入ができない記念塔内部の現状をご覧いただいたところでございます。
この視察の結果を受けまして、令和2年11月に北海道百年記念塔の未来を考える会の皆様方から提出のあった公開質問状に対しましては、先ほど答弁をさせていただいたとおり、平成29年度の調査結果をお示ししながら、道の考え方につきましてお答えをさせていただいたところでございます。
現在、記念塔はエレベーターが使用できないことに加えまして、錆や腐食の進行に伴う錆片などが視察者の歩行に支障をきたす可能性があるなど、安全性を十分に確保することが難しい状況にありますことから、再度の視察の実施につきましては、慎重な対応が必要と認識しているところでございます。
(再々々質問)
この件も「視察させてください」「危険です」の繰り返しでは、話が収まるところに収まりません。いずれにしても、私たち道議会議員の立場で視察の実行をすることは可能だと考えておりますので、その場合に、考える会の皆さん、要するに建築士・専門家の皆さん、同行いただくスタイルは、申し入れ、実現実行させていただこうと考えておりますので、そのつもりでいてください。
先日の報道で知ったところでありますが、この塔を設計された井口健さんがインタビューに答えていらっしゃって、「道民の意思が最終的に正常な情報を与えられた上で判断されたことについては、その決定について僕はそうですかわかりました、と素直に受け止める」とおっしゃっております。これは一昨日放送された部分です。
しかし、私は、道民はとても正常な情報を与えられたと思っておりません。井口健さんに、まさにこの台詞「最終的に正常な情報を与えられた上で判断されたことについて」と言わしめてしまう環境が、今あるのだと思っております。このことについて、道はどのように受け止めていらっしゃるのか伺います。
(文化振興課長)
記念塔に関する情報についてでございますが、道といたしましては、記念塔のあり方の検討にあたりましては、様々な分野の専門家・有識者のご意見や、道民の皆様から寄せられた様々なご意見を踏まえた上で、十分に時間をかけ、慎重に検討を重ねるとともに、議論の経過や、塔の解体もやむを得ないと判断した考え方、安全性に係る専門家の方々のご意見や今後の維持管理費などにつきまして、広く公開をするとともに、様々な機会を通じて説明に努めてきたところでございます。
なお、塔の設計者の井口様に対しましては、塔の現状や議論の経過をご説明するとともに、今後のあり方などに関してご意見を伺うことが必要であると考えまして、平成29年以降、5回にわって直接、お会いし、道の考え方をご説明し、ご意見を伺ってきたところでございます。
(指摘)
道民に対しても、井口健さんに対しても、道の考え方は変わっていないと今の答弁ではっきりわかりました。ただ、これまでの質問、さらには今回の3回の説明会等々によって、道が様々に検討されてきた専門家だとか、道民を含めて、様々な意見、質問の都合のいいとこだけ取り上げて、だから、安全確保と将来世代に対する負担軽減という観点で解体するに至ったとおっしゃっている。
一方、説明会を中心に寄せられていることは、全てを正確な情報を明らかにした上で、その判断に至れないということをおっしゃる道民の方々が多くいるいうことなのであって、これはもう道が態度を変えていただくしか解決がないのかもしれません。
一連の質問で申し上げているように、公平な専門家による判断と、必要十分な道民の意思によって、記念塔の今後のあり方を模索する必要があると私は申し上げているのであり、道がこれ以上面倒を見れないと言うのであれば、民間による存続を含めた検討を行う時間が必要だと考えております。
7 道の立場について
ここに挙げていた質問はごく一部でありまして、冒頭でお話を聞いたように300以上の質問が寄せられているものに対して、道がその説明の中で答えたものが6、70くらいしかありませんし、そういった状況の中ではですね、道から公開される説明会の議事録を精査することによって具体にそれぞれを理解していくことができるんだと考えております。その中で、道の過失や不作為が明確になっていく点が多いと私は受け止めていて、今後の北海道百年記念塔のあり方が議論される中で、道の解体推進の立場が揺らいでくると私は想定をするわけであります。見解を伺います。
(文化局長)
道の立場についてでございますが、記念塔につきましては、昭和45年の完成後、建設主体の「北海道百年記念塔建設期成会」から道に寄贈されたものでございまして、その後、道は所有者として、完成から10年を経過した昭和55年以降、概ね10年ごとに専門家の方々による老朽化の状況調査を実施し、以後、10年間で修繕など対応すべき事項と費用を示した保守管理計画を策定した上で、老朽化した箇所の修繕や改修工事を計画的に実施してきたところでございます。
こうした中、平成2年に実施いたしました老朽化の状況調査の結果に基づきまして、平成4年にエレベーターの更新など約2億300万円の内部改修を行いますとともに、平成9年の調査結果に基づきまして、平成11年には、外部パネル接合部に係る錆片の除去など約3億4,500万円の外部改修を行ったところでございます。
道といたしましては、こうした施設・設備の耐用年数や老朽化の状況に応じた大規模な修繕を行うなど、所有者として適切な維持管理に努めてきたところでございまして、ご指摘されるような道の不作為などはないものと考えております。
(指摘)
この説明会に寄せられた質問の回答は終わることを知りません。それほどまでに多くの質問が寄せられて、道からはごく一部の回答に留まり、残された回答が公開されることによって、その検証は今後深められることと考えています。
また、寄せられた多くの質問主旨に噛み合わない紋切り型の回答を重ねる姿は、丁寧な対応と言えるはずがないのであります。
道が今後向き合わなければならない事態は困難の連続であることが想定されます。この点については、道と民間双方からの今後の報告を待ちたいと思います。
(六)解体工事費の報道について
令和4年度の予算の取り扱いについて伺います。この質問については予定していたものではなかったのですが、今月17日の報道を受けて避けられないものと考え、加えて質問をします。
私が、北海道百年記念塔の解体予算について説明を求めると、知事査定前であることを理由に断られ、今回の質問に引用しようと詳細を求めても、今回の委員会には報告であることを理由に委員会資料の数値を引用することを断られている始末であります。しかし、
17日の報道によるリークによって、それらの前提が踏みにじられたと受け止めております。どの部署がリークしたのかについては言及を避けますが、この所業は議会軽視でしかなく、道側と報道側に強く自制を求めるものであります。さらに、先程の報告によると、その一部の予算計上でしかなく、その意図を深読みせざるを得ないと不信感を抱いてしまっております。
環境生活部長に伺います。情報管理とルールの厳格化を庁内及び報道に徹底してください。必要に応じた厳格な対応を求めます。見解を伺います。
(環境生活部長)
記念塔に関する報道についてでございますが、この度の報道につきましては、道が報道機関に対しまして、令和4年度予算案の資料を配布する時点より前に掲載されたものでございまして、報道機関がどのような方法で情報を入手したかは承知していないところでございます。
いずれにいたしましても、道といたしましては、道民の皆様のご理解を得ながら道政を進めていくためには、必要な情報を適時適切にお伝えすることが重要であるとともに、政策形成過程における情報がされることにより、道民の皆様の誤解や混乱につながることは回避すべきであると考えておりまして、道議会における丁寧なご議論をいただくためにも、職員が、改めて、その重要性を十分認識するとともに、業務に関する厳格な情報管理の徹底に努めてまいる考えでございます。
(指摘)
環生部長のお立場でどこまでご答弁を頂けるものかと案じたわけでありますけれども、庁内はもちろんのこと、その良きパートナーとしてあるはずの報道との関係については、お互いの信頼がなければ成り立たないということを前提にすると、このルールが厳格に保たれるということが必要になる。先んじてというか、アクセルをふかして報道体制をとるというのも理解できないことではありませんけども、そこには道民に対する正確な情報の提供というのも同時に必要となりますので、その裏というか深い意味のところもきちんと理解した上での報道体制というものを要求していただきたいと要望しておきます。
(指摘)
最後に指摘を加えます。この度の3度にわたる説明会に対応された職員の皆さんには、勝手ながら慰労の意を表したいと考えております。津波のように寄せられる質問や罵詈雑言に対し、制限された問答の範囲の中で、職員の皆さんが精一杯に対応されたものと伺うことができるのであります。さらには諸計画の中から使える文言が限られる中で、それでも精一杯対応しようとしていた姿は、その説明会で、パソコンの反対側、私の方からも感じることができました。しかし、残念ながら道民の立場からは、それを「丁寧な対応」と受け取ることは出来ないのです。
北海道百年記念塔が持つ開拓精神溢れる先人への感謝と未来に向けた私たちの決意は、解体という一択の方針で邁進する道に対して、厳しい態度で向き合うだけのエネルギーをもたらしています。
道は、この件について、本当の意味での丁寧な対応を果たさなければなりません。議会に、道民に対して公開しきれなかった情報を含めて、示し直さなければならないと考えています。一事不再理というレベルではありません。都合の悪い情報を隠蔽して議会や道民にミスリードをしてきた現実を自戒する必要があります。しかし、これにはトップである鈴木知事の決断が必要となります。必要とあらばこの決断をした前知事に伺う必要もあるのかもしれません。その責務を職員の皆さんが背負う必要はないと考えております。
私は、今一度道民による事実の検証を行うことが欠かせず、それでも解体やむ無しと結論付けたならば、それを受け入れる覚悟であります。だからこそ、道には丁寧な対応を求めているのであります。本件が法廷の場に持ち込まれたり、不幸な住民運動に発展することを望んではいません。くれぐれもよろしくお願いいたします。
この質問は、第四回定例会前日委員会に引き続き行った質問になります。
実施設計が完了し、年明けに解体予算が計上され、令和4年第二回定例会で解体工事発注が議会承認されるスケジュールが見込まれています。
今のところ、私たちに残された時間は「ほぼ半年」ということになります。
更に検討を重ねていく為にも、出来得ることを戦略的に練り上げて行動していくことが必要となります。
ご地元の皆さんと連携することも必要です。
引き続き深堀しながら活動して参ります。
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一 北海道百年記念塔について
言うまでもなく北海道百年記念塔は、昭和43年11月に北海道開道百年を記念して着工されております。それは、昭和46年4月から一般公開され、道内に限らず国内外からの来訪者に親しまれてきました北海道のシンボルとなっています。特筆すべきは、当時の先人によって、特定人物の顕彰に限定せず開拓の先人に対し感謝と慰霊のまことを捧げるためや、将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う総意を込めた記念塔という思いが込められていることであります。この他、塔の根元にアイヌと和人の全ての先人への慰霊と感謝を込めたアイヌ文様を壁面に施した石積みのモニュメントを設置する案も存在したと聞きますが、予算不足を理由に実現しなかったとされております。時は流れ、平成29年11月には、百年記念施設の継承と活用に関する考え方が取りまとめられ、平成30年12月に『ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想』が決定されるまで、様々に検討が重ねられてきたことは周知の事実であります。しかし、その後も「北海道百年記念塔」の存続に対しては、賛成と反対の双方の立場から市民運動が展開されていることは、皆さんもご存じのことかと思われます。そのような中で先日の環境生活委員会で、解体に向けた実施設計が取りまとめられたことを受けて報告がなされたところです。これらを受けて以下数点質問をさせていただきます。
(一)道の立場について
先人の思いを込めて建設された「北海道百年記念塔」を解体することについて、道の立場をお示しください。特に、解体が決定された以降に賛否が道民から示されていますが、検討を重ねてきた道として、この動きにどのように影響を受けているのか、応えているのかについても言及していただきたいと思います。
(文化振興課長)
記念塔のあり方についてでございますが、記念塔は、先人に対する感謝と躍進北海道のシンボルといたしまして、これまで約50年間にわたり、道民の皆さまに親しまれてきたところでございますが、老朽化の進行によりまして、錆片の落下等が確認されましたことから、道では、専門家の方々の知見も伺いながら、その保存・活用の可能性も含め、様々な観点から検討を重ねてきた結果、塔の構造上、今後の老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。
また、塔の存続を求める団体の方々から、署名や質問状の提出があるなど、塔の解体に関しまして、地元住民の方々の思いや様々な意見があることは承知しており、道といたしましては、質問状への回答などにおきまして、その都度、丁寧に対応させていただくとともに、報道機関やこうした団体の方々に、塔の現状をご覧いただいたほか、地元町内会や記念塔を校歌・校章に用いている学校に直接お伺いをし、改めて、「交流空間構想」でお示しした内容について説明するなど、道の考え方をご理解いただけるよう、できる限り丁寧な対応に努めてきたところでございまして、今後とも、様々なご意見に対しまして、丁寧に対応してまいる考えでございます。
(二)維持管理について
道は、前回の委員会で現時点での解体する場合の概算の工事費とあわせて、維持管理させていく場合の試算も公開をしています。
維持管理については、これまでの46年間に掛けてきた約9億円に対して、今後50年間に30億円程度と想定しています。「これまで」と「これから」の対比の金額差が余りに大き過ぎます。過去にも大規模修繕は行われていて、単純にコストを解体の理由とするには片手落ちです。解体の決め手とされた修繕しきれなくなったとする排水対策を中心とした理由を、今後50年の維持管理費にどのように見積もったのかの詳細を教えてください。一体、今後の維持管理について、どのような内容で想定された見積もりとなっているのでしょうか。行政にありがちな過剰なものとはなっていませんか。それは過不足のないものであると判断できるものなのでしょうか。それを誰が判断できるものなのでしょうか。見解を伺います。
(文化振興課長)
維持管理費についてでございますが、道では、実施設計の結果を公表するにあたりまして、「交流空間構想」の中で明記しておりました、今後50年間の維持管理費につきましても、別途、設計・施工の専門業者に調査を委託し、その結果につきまして、あわせてお示ししたところでございます。この調査を受託しました株式会社ドーコンにおきましては、塔の施工者である伊藤組土建株式会社と合同で、検討委員会を設置し、専門的な知見に基づき調査が実施されたものと認識しているところでございます。
今後50年間の維持管理費の内訳といたしましては、早期に措置すべき経費、5年又は10年サイクルで経常的に措置すべき経費、塔の外部及び内部の大規模修繕に要する経費、エレベーターの修繕に要する経費となっておりまして、このうち、委員ご指摘の排水対策につきましては、外板接合部の錆遅延措置として、塔外部の大規模修繕の中で、目地の塗装・補強工事を行うこととしているものと認識をしているところでございます。
(指摘)
今、答弁いただいたところではありますが、指摘を加えておきます。道は実施設計会社と当時の建設会社が検討委員会を設置して調査を実施させた内容を根拠としております。この委員会が官と認識できるものなのか、民と認識できるのか、今は不明ではありますが、行政にありがちな過剰な見積もりであるのかを判断する必要があると考えます。そもそも基準が異なっているのではないかと考えているからです。検討委員会に求めた内容と存続を希望する皆さんが求める内容の比較が必要であると考えられます。道が将来世代に負担を残さないとする解体の根拠の大きな一つについて根拠が定かとはなっていません。一方で存続させるとしても誰が存続させるのか、あと何年存続させるのか、最後に誰が解体をさせるのか、そのときの解体費用は誰が用意するのかなど、存続させるとしても明確にしておかなければならない課題は山積しています。それらは簡単に判断できるものではありません。むしろこれらを将来世代に残すことの方が無責任だと思うのであります。道は与えられる限りの中で、残される時間の限りに賛否両論に向き合う必要があるのです。解体の結論ありきのこれまでの対応は決して褒められたものではありません。道が示してきた維持管理の年数設定と維持管理メニューについては、しかるべき検討の上で基準を公開して再検討を求めることになります。ご承知おき願います。
(三)建物解体費増額の理由と見通しについて
解体費については、平成29年調査時には4.4億円、今回の実施設計時には7.2億円と想定されています。1.64倍です。主な増加理由として解体方法の変更や各撤去数量の増加等が挙げられておりました。
この解体費の設定は、解体費を比較されることでコストが対比されていて、より多額の費用が必要であるからこそ解体が妥当とされてきた向きが感じられます。であるならば、解体費の増額は、維持管理費との差を縮めることに直結し、コスト効果による有利性は減少してしまいます。まして、維持管理費の幅を50年間としていることから、コスト対比として適切であるのかに疑義が残ります。道は、この度の増額の理由についてどう捉えているのか、また、今後の資材や人件費高騰などの影響から、どの程度の更なる解体費の増額を見込んでいるものなのか、見解を伺います。
(文化振興課長)
解体工事費についてでございますが、平成29年の調査におきましては、塔の内側に作業用の足場を設置し、解体を進めることとしていたところでございますが、工事に伴う落下物による被害を防止するため、作業工程を細分化するとともに、塔の内側に加えて、外側にも足場を設置して解体を進めることとしたことや、公園を利用される方々の利便性を勘案し、工事用道路の位置を変更したこと、さらには、平成29年以降、労務・資材単価が上昇していることなどによりまして、解体工事費が増加したところでございます。
現在、予算計上に向けて、更なる経費の圧縮を図るべく、外構工事の見直しなど、工事内容や金額の精査を行っており、現時点におきまして、更なる増額は見込んでいないものの、引き続き、社会情勢の変化などを注視してまいる考えでございます。
(四)存続の方法について
一方では、存続させるにもあまりに多くの課題を抱えることは、さきほども申し上げたように明白です。さきほど伺った、修繕しきれなくなったとする排水対策をはじめとして、形あるものはいつか朽ちるという自然の摂理とも言うべき、さきほどの繰り返しになるけれども、一体、いつまで存続させる考えなのかなどの存続前提の立場での検討が十分ではなかったと思うのです。存続させるにしても、手法は維持管理だけではないはずだと思います。
道は、存続を訴える団体や道民の方々から「存続させよ」との要望を聴くに留まることなく、具体的な存続計画を伺うなど、丁寧に対応し、解体した場合と対比した上で疑問を解消していく必要があると考えています。道として、解体前提で議論を進めてきたならば、冒頭に申し上げた、開拓の先人に対し感謝と慰霊のまことを捧げるためや将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う道民の総意を込めた記念塔、という思いを完全に踏みにじるものでしかないということになります。道が想定した今後50年間の維持管理とは別の方法があって良いと考えているのですが、道の見解を伺います。
(文化局長)
これまでの検討などについてでございますが、道では、塔のあり方の検討にあたりまして、道民ワークショップの開催や専門家の方々からの意見聴取、アンケート調査の実施、さらには、パブリックコメントなどを通じまして、道民の皆様からご意見を伺う中で、塔の危険要因を取り除く提案など、様々な考え方があったことから、塔を保存・活用する可能性について、専門家の方々の知見も伺いながら、「交流空間構想」でお示しをした「展望室への立入を可能とする場合」や「モニュメントとして維持する場合」に加え、「外壁の素材を変更する方法」や「低層部のみ保存する方法」、「自然に朽ち果てるのに委ねる方法」などにつきましても検討したところでございます。
最終的に、塔の構造上、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を利用される方々の安全確保などの観点から、解体もやむを得ないとの判断に至り、こうした道民の皆様から寄せられたご意見や検討経過も含めて、「交流空間構想」の案を議会にご報告を申し上げ、多くのご議論をいただいたところでございます。
道といたしましては、塔の解体に関して、地元住民の皆様の思いや建築の専門家の方々の考えなど、様々なご意見があることは承知をしており、解体の判断に至った道の考え方や北海道の歴史・文化と今日の北海道を築き上げてきた幾多の先人の思いを引き継ぎ、お互いの多様性を認め合う共生の立場で、未来志向に立った将来の北海道を象徴する役割を担う新たなモニュメントを整備することにつきまして、今後、地元を含め道民の皆様に説明をさせていただく考えでございます。
(再質問)
ちょっと角度を変えて質問をしたいと思います。日本国内を始め世界には塔とされるものが様々ある訳でありますが、鉄骨もしくはその鉄骨に類するもので現存された建築物が、50年も保てないというものに対して、道としてどう考えているのか、どう自己評価をされているのかを伺いたいと思います。
例えば、国内であれば東京タワー、1958年ですね、もう63年経っております。スカイツリーができてもなお解体の話などは出てまいりません。通天閣、これも地域の象徴として親しまれている塔でありますが、
1956年、これも65年が経過しております。世界に目を向ければ、エッフェル塔などは1889年ですから、132年経過している訳であります。これに対して百年記念塔は、50年というところを一つの節目として解体の検討に入った。これはですね、言い過ぎなのかもしれませんが、管理者の過失も問われて当たり前というような状況なのではないでしょうか。
さきほども申し上げました、自己評価をどのようにされているのかをまずお聞かせください。
(文化局長)
道といたしましては、これまで維持管理計画を策定いたしまして、その中で適切に管理を行ってまいりましたが、雨水が浸入し、溜まりやすく、水分に触れたままで乾燥する機会の少ない箇所において、錆や腐食が進行するなど、錆片の落下等を招いているものとされているところでございまして、そういった現況がありますけれども、道としては、これまでも管理計画に基づいて実施をしてきた、というところでございます。
(再々質問)
それは違いますね。私が申し上げているのは、国内もしくは世界に様々に塔がある中で、それぞれ適切に維持管理をしてきた立場の中で、そのように親しまれてきた。一方で、今おっしゃった理由は、言うなれば適切に管理をしてこなかったとの説明をされていることであって、自己評価を伺った訳ですから、至ってなかったと、認めていただくしかないと思います。
結果として、今答弁していただいた事象が存在することは承知しています。それを違うと言うつもりはありません。しかし、それを50年間招いてきた道は、管理者として問われるべき問題を見過ごして、スルーしてこの議論を進めていく訳にはいかないと思う訳ですがいかがでしょうか。
(文化局長)
専門家の方々の知見を伺いながら維持管理計画を策定し、それに基づき、繰り返しになりますけれども、管理を行ってきたということでございまして、そういった中で、さきほども申し上げましたが、雨水の浸入ですとか、そういった要素で錆等が進行している、というような状況でございます。
(再々々質問)
まあ、なかなかこの場でお認めになれないという状況なんだろうと想定いたします。お伝えしたいのは、何もこの場で道の責任を明らかにして、解体を阻止しようなどという、そんな浅はかなことを考えているのではなくて、寄せられた意見に対して、解体を決定し、様々な構想を整えながら、進んできたものに対して、それでもなお、クラウドファンディングを募りながら道民への意見広告であるとか、大きな動きが存在するものに対し、道が目をそらして進めることは許されない、はばかれると考える立場から、この点に関して、ちゃんと道として、さきほど一問目でも答弁されたところではあるけれども、丁寧に対応すると言っている以上、丁寧に対応しないことは今後許されないことということを明確にしておきたいと思うのですが、いかがですか。
(環境生活部長)
塔の存続に関するご意見などにつきましてでございますけれども、道といたしましては、さきほどもご説明させていただいておりますが、様々なご意見をいただいております。その中で私どもといたしまして、その回答などにつきましては、その都度回答させていただいているつもりでございますが、今後におきましても、様々なご意見があると思いますので、そういった思いに関しましては、丁寧に対応させていただきたいという考えでございます。
部長にまでご答弁をいただきましたので、もう、それを信用するしかありません。くれぐれも宜しくお願いします。
(五)更なる検討の必要性について
先ほど伺った存続方法の聴取や検討を含めた賛否双方の主張を慎重に検討するためには時間が必要となります。道は、存続を希望する方々だけではなく、解体推進を希望する方々の考え方も把握する必要があると思います。私は、個人的に存続を希望する立場ではありますが、極めて間違った認識の中で、当時の記念塔に思いを馳せた先達を愚弄することは絶対に許すことが出来ません。今後も何度でも繰り返しますが、今を生きる私たちは、お爺ちゃんやお婆ちゃん、父さんや母さん、開拓に関わられてこられた全てのご先祖様の労苦によって、このような文化的で衛生的な暮らしを営むことができていることを忘れてはならないのではあります。それを子孫に繋ぐ責務があると考えます。それが150年以上にわたる北海道の開拓の歴史なのであります。それを否定することを理由として、北海道百年記念塔を解体させることは出来ません。今一度、存続や解体、その他の方法も含めて検討する時間を確保したいと考えているところであります。
ならばどのような方法が考えられるのか、存続させるにしても感情で無計画に委ねることも無責任過ぎると考えております。解体させるにしても、これまで述べてきたような先達の思いを何らかのモニュメントで代替出来る訳もなく、その大志を継承しつつ、決して捻じ曲げられた誤認によって解体を容認することは出来ません。その何らかに込める思いは、先達の大志と共に、北海道の未来人に正しく伝わらなくてはなりません。
道には、第三の道を探る選択肢を含めた謙虚に慎重に検討する時間を確保する必要があると考えておりますが、見解を伺います。
(環境生活部長)
記念塔に関する今後の対応についてでございますが、道におきましては、保存・活用の可能性も含めまして、様々な観点から検討するために、専門家や有識者の方々の知見を伺ってきたところでございますが、その構造上、今後の老朽化の進行を完全に防いでいくことは難しく、平成29年のあり方検討以降、塔の老朽化の状況などにつきまして、広くお示しするとともに、道議会でのご議論も踏まえまして、慎重に検討を重ねてきた結果、公園利用の方々の安全確保或いは将来世代の負担軽減の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。
道としましては、記念塔の解体に関する道民の皆様のご意見を真摯に受け止めつつ、解体の判断に至ったこうした考え方ですとか、周辺広場の活用の方向性などにつきまして、地元の方々をはじめ、道民の皆様への説明の場を設けるなどして、道の考え方をご理解いただけるよう努めるとともに、公園を利用する方々の安全確保が何より重要との考えの下、塔の老朽化の状況はもとより、現在精査を進めている解体経費の内容、さらには先人の方々の思いを継承する手法などにつきまして、様々な要素を総合的に勘案しまして、適切に対応していく考えでございます。
(再質問)
質問を重ねます。今回、道と意見交換をする中で、どうしてもお互い歩み寄れなかった点があります。それは、寄せられる意見に向き合う姿勢であります。これまで質問してきたことで明らかのように、道が安全性や各予算の根拠について揺らいできたことは明らかなことでありますし、加えて道民から寄せられている賛否に対して決して丁寧に対応してきたとは言えないと受け止めております。それは、先ほどもありましたが今後行うとしている説明会で道の考え方を理解していただく場としてしか位置付けていない答弁から明らかであります。道民に対して責任を果たす覚悟は道にないのでしょうか。道は、なぜそれほどまでに解体にこだわるのでしょうか。解体しなければならない理由が先ほど挙げたような老朽化なり、安心安全以外に何かあるんではないでしょうか。それは何なんでしょうか。見解をお聞かせください。
(文化局長)
記念塔に関する今後の対応などに関する重ねてのご質問でございますけれども、塔の周辺広場の活用の方向性につきましても、今後設けることとしております説明の場におきまして、地元住民の皆様はもとより、他の地域の皆様にも、時間を確保しながら丁寧に説明をさせていただくことになりますけれども、道の説明に関して、参加者の方々から発言があった場合には、その発言を真摯に受け止めてまいりたいと考えております。
(再々質問)
これは意見交換の中でも言いましたが、説明会というものは決して道のアリバイ作りの場であってはならないと思うのであります。道の考え方を説明する場ではなくて、寄せられる意見に対して道が向き合うかというのが大切なのであって、これまでそれをしてこなかったものに対して今後進んでいくスケジュールの中で行う説明会でそれが果たせることを約束してほしいわけです。今の質問の冒頭でも申し上げました。道側との意見交換をするの中でどうしてもお互い歩み寄れなかった点がそこです。道のこれまでの考え方を説明する場というのはいわばもう不要です。寄せられた意見に対して向き合う場として説明会を設けていただけるならば、大歓迎でありますし、今までの質問の中で重ねてきた、例えば解体費用の今後の上昇というか、様々な理由に対して増加される見込みのあるものについてどうしていくのか。更には維持管理のコストがどうして50年なのか。50年である必要はないわけでありますから、その金額差について、差が無くなっていくときにどうするのか。一方、存続するにしても先ほど申し上げたような、どのくらい残すのか。形あるものはいつか壊れるわけでありますから、誰が解体するのか。様々にその疑問が残っている中で、しっかりと道として向き合うということを申し上げているわけでありますから、この趣旨においてちゃんと説明会を実施していただけるという約束をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
(環境生活部長)
記念塔に関します今後の対応についてでございますけれども、この度の実施設計の内容ですとか、周辺広場の活用の方向性などにつきましては、今後設けることとしております説明の場におきまして、道民の皆様に丁寧に説明させていただく考えであります。その際、参加者の方々から発言があった場合には真摯に受け止めながら、「交流空間構想」の推進に取り組んでまいる考えでございます。
(再々々質問)
今部長から答弁をいただいた内容を素直にそのまま受け取ると、道の考え方を説明する説明会だという説明です。もし意見が寄せられたら丁寧に対応する、その丁寧に対応する部分が私が先ほど言った寄せられた意見に対してしっかりと向き合っていくいう意味合いなのかどうかの確認をさせてください。
(環境生活部長)
記念塔に関する様々なご意見に関してでございますけれども、道といたしましては、これまでも様々に寄せていただいておりますご意見に関しまして真摯に対応してきたつもりでございます。今後におきましても、そういった対応で向き合ってまいりたいと考えております。
(再々々々質問)
水掛け論ぽくなってくるのでどこかで区切りを付けなければなりませんけれども、これまで対応してきたものにも問題があると先ほどから申し上げておりますので、そのように対応していくというのは、いわば拒否にしか受け取れない。要するに残された時間の中でもそれらの意見に向き合うことすら拒否する道の態度は問題だと思いますけれども、完全にこれはここで決着を付けておかなければならないといいますか、行われるはずの説明会、若しくはそれまでに寄せられるものに対して向き合う覚悟を求めているわけでありますから、重ねてその点に関して要望しますがいかがでしょうか。
(環境生活部長)
記念塔に関します様々なご意見に対する対応についてでございますけれども、繰り返しの答弁で大変恐縮でございますが、私どもといたしましては、これまで寄せていただいております様々なご意見に対しまして、可能な限り丁寧に対応してきたつもりでございます。引き続き、そうした対応をとっていきたいと考えてございます。
(指摘)
これまでもお話ししてきたように、中々合意を得られないというか、担保がとれない質問と答弁になっているものと受け止めております。この局面における百年記念塔の安心・安全が解体の免罪符になるわけもありませんし、道が示してきた根拠が一つ一つ別の考え方に移っていく中で、どう捉えるのかというのが、色んな潮目だとか、我が自民党の会派も含めて、今後様々な動きがでてくるであろう中においては、これは未来のことで断言はしませんけれども、道の皆さんにも、しっかりとそれに向き合っていただきたい。道の皆さんから寄せられる様々な意見、議会の中の議論も含めて、道がこれまでとってきたものの、継続が解体につながるということは絶対に避けなければならないと考えているものであります。
皆さんは先日、机上配布された文書をご覧になられたでしょうか。あえて特定はしませんけれども。私に言わせれば、誤認著しく、恩讐の先にある解体は未来に禍根を残すものになってはいけないと考えているし、それを主張される方々にも言い分はあると思うのです。しかし、道は、それを代弁する必要はありません。あくまでの第三者であるべきです。過去の否定に加担する必要はないと考えております。私は、多様性とは、他方の否定からでは何も始まらないと信じていますし、共生とは、否定からでは何も生まれないと信じております。
今後、第二回定例会あたりに、解体発注への決裁等が行われてくることになると思いますけれども、少なくともその間にも議論を進めていかなければならないと考えておりますし、必要によってはそれ以上の時間をかけてでも補完をしていかなければならない課題であると私は考えています。必要なことは、排除ではありません。共生であるべきです。一方を否定する選択は、北海道と未来人に残すべき文化ではないと考えております。
この質問については、地元の方々と連合しながら継続していきます。地元の方々の意思に反したものにする考えはございません。時に知事にも直接答弁をしていただく機会を得なければならないと考えていますので、よろしくお願いいたします。
この質問は、先日配布された資料(下部に添付)を基にして行いました。
「開拓記念塔」の実施設計が完了したことをにより、来年上程される解体予算の根拠となるものです。
今後も慎重に議論を重ねていくためには、更なる時間が必要だと考えるに至りました。
以下に、11月29日に開催された環境生活委員会での質問と答弁内容を公開させていだきます。
北海道百年記念塔の解体工事に係る実施設計の結果について
(一)これまでの対応について
解体をめぐっては、様々な議論が続いていることは承知しております。
それは、先の一般質問等でも取り上げられていることであります。
そこで、今回の結果の報告があったことを受けて、数点質問をさせていただこうと思います。
まず、最初に、道として解体の方針を打ち出し、準備を進めてきたところでありますが、この間寄せられた道内外からのご意見等にどのようなものがあり、それを道がどのように捉えているのか、教えてください。
<答弁>(文化局長)
記念塔の存続活動をされている団体の方々からは、これまでも存続を求める署名や質問状の提出がありまして、道では、質問状が提出される都度、交流空間構想でお示しした考え方をご理解いただけるよう、公園を利用される方々の安全確保や将来世帯への負担軽減などの観点から解体もやむを得ないと判断したことなどにつきまして、繰り返し回答をさせていただくとともに、昨年6月には、設計者の井口氏も参加いただきまして、普段立入ができない、記念塔内部の現状をご覧いただいたところでございます。
こうした中、本年6月に存続を願うプロジェクトが、意見広告を出すためのクラウドファンディングを行い、10月にその意見広告が掲載されるといった活動があったことを把握しているところでございます。
道といたしましては、記念塔の解体に関して、地元住民の皆様の思いや、建築の専門家の方々の考え方など、様々なご意見があることは承知しており、今後とも、様様な機会を通じまして、道の考え方についてご理解いただけるよう、努めてまいる考えでございます。
(二)解体工事費の増加への対応について
今回の結果によると、解体費用に関しては、予算ベースで1.64倍、それは今後さらに増えると考えるのが自然なのだと思います。
解体と維持の差が縮まるばかりと捉えるわけですが、これは道が主張してきたコスト面での根拠が弱まっていくことに繋がってしまうのだと思います。
これは金額のみではなく効果も同様だと考えます。
また、なぜ対比が50年という尺なのか、そこに私は様々に考えを巡らせてしまうわけです。
この費用増に対して、どう捉えていくのか、どこまでの増額を許容していくものなのか、考え方を教えてください。
<答弁>(文化局長)
工事費に関してでございますけれども、道では、今回の実施設計の結果を基に、今後、工事内容及び金額を精査することとしているところでございます。
道といたしましては、地元住民を含め、道民の方々に今後とも、公園を安全かつ安心してご利用いただくためには、利用者の安全確保が何よりも重要であり、記念塔の老朽化の状況や工事内容の精査、更には先人の思いを継承いたします未来志向のモニュメントの設置など、様様な要素を総合的に勘案し、対応してまいる考えでございます。
急な質問の通告にも関わらずお受けいただきましたことについて感謝を申し上げたいと思うのですが、いずれにしても、なぜ、例えば維持が行政でなければいけないのか、今後、今日の質問をさせていただいた内容を含めて、改めて終日委員会で議論させていただこうと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【エゾシカの捕獲について】
エゾシカの捕獲について、以下数点質問させていただきます。
言うまでもなく、北海道内におけるエゾシカ生体数の管理は、共存共生への第一歩となります。
直近の調査によると、道内には、67万頭生息しているとされていて、東部に32万頭、西部に35万頭、それとは別枠で南部に3~15万頭と推定されています。
交付金の対象となる捕獲については、農水省や環境省等の交付金を活用して市町村単位で取り扱われていますが、実質地元の猟友会次第となっていて、部外者にとって極めてハードルが高いものとなっています。越境を含めた区域外からの参画は実質困難となっています。
しかし、それは捕獲が許可されている道内における有資格者の高齢化や猟友会自体の会員数の減少などが大きく影響していて、ニーズとの乖離は大きいものと承知しています。
①捕獲関連交付金について
最初に、エゾシカの計画的な捕獲に対する交付金の状況を伺います。
<答弁>
エゾシカの捕獲に関する交付金の状況についてでございますが、捕獲関連の交付金の総額は、令和元年度から前年度比で増加しておりまして、令和2年度は、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金事業で、約7万7千頭捕獲し、約5億4千4百万円、環境省の指定管理鳥獣等捕獲事業などで、835頭捕獲し、約6千4百万円、また、道の地域づくり総合交付金事業では、交付金額は約4千8百万円で、捕獲頭数につきましては、市町村独自の捕獲事業への支援に加え、一部国の交付金事業への上乗せ分もありますため、延べ頭数となりますが、約6万5千頭でございました。
②市町村の交付状況について
次に、道内179市町村の交付状況はどのようになっているのか伺います。
<答弁>
市町村の交付状況についてでございますが、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金事業によりますエゾシカの緊急捕獲対策に関し、令和2年度、道内の市町村の交付金の「エゾシカ管理計画」における地域別の執行状況は、東部地域では、捕獲数は約4万頭で、総額で約2億5千9百万円、西部地域では、捕獲数は約3万5千頭で、総額で約2億6千9百万円、南部地域では、捕獲数は約2千頭で、総額で約1千5百万円となっておりまして、東部及び西部地域に比べ、南部地域では、捕獲、交付金とも少ない状況にございます。
昨今では胆振や南部地域における生息数が増加の一途であることを現場で耳にしています。それは、単純に増加数と捕獲数のバランスが取れていないことが主因であると容易に想像できます。
③南部地域の実態調査について
そこで、南部地域の実態調査について伺います。
4年前にも当委員会で質問してある点ですが、南部地域における生息数は、調査方法の確立が困難であることを理由に、おおよその推定値扱いでしかありません。
その後に調査方法の確立が為されることなく、生息数の増加を許してきた現実があります。結果として、エゾシカ行政が目指す姿と実態の乖離が大きくなってきています。
これ以上の放置は許されるものではありません。
道は、南部地域における生息実態数の調査方法の確立を急ぎ、計画的な捕獲数の設定を行う必要があります。見解を伺います。
<答弁>
南部地域の捕獲目標についてでございますが、道内では、平成30年に発生いたしました狩猟死亡事故に伴う狩猟規制などの影響により、捕獲数が伸びませんでした。
捕獲目標の設定に必要となる推定生息数は、ライトセンサス調査の目撃数や捕獲数などにより算出いたしますが、エゾシカの捕獲数が伸びなかったことに伴い、推定値の精度が低くなったものと考えているところでございます。
道では、各種調査結果や捕獲実績などを踏まえて、南部地域の目標数を徐々に上げ、現在、6千頭に設定し、対策を進めておりますが、今後更に、推定生息数の精度を上げるためには、有識者の方々の御意見もいただきながら、補足調査の方法などについての検討を進める必要があると考えているところでございまして、こうしたことを踏まえ、道といたしましては、地域の実情に即した捕獲目標について、可能な限り早い時期に設定できるよう、取り組んでまいる考えです。
<指摘>
いま答弁を頂いたところですが、一点指摘を加えておきます。
実は、冒頭に述べましたが、道内に生息するエゾシカの生息総数は67万頭ではありません。別枠になっている南部地域を加えた82万頭と表現しても決して間違いではないのです。
この数のインパクトは決して少なくはなく、調査方法の確度を理由に別枠にしてきたことによって、南部地域のエゾシカの生息数の激増を見過ごしてきたことは否めません。
「可能な限り早い時期」と答弁を頂きましたが、現実はさほど待てる状況ではないことを道は知る必要があります。
早々に対策会議の関係者にこの意向をお伝えして、直近の対策会議で南部地域の総数の設定を行うことが必要です。再来年とは言わず来年の猟期開始の頃には示して頂けるように要請しておきます。
④市町村の捕獲交付金申請等について
次に、市町村の捕獲交付金申請等について伺います。
先の二番目の質問で伺った内容を基にすると、特に南部地域における市町村の取組みを三番目の質問にある実態調査を根拠として適正な捕獲を継続する必要があり、道は、該当市町村に対して国の交付金を活用しながら捕獲数を維持する為の協議助言していかなければならないと考えています。同時に市町村は、地元猟友会に限ることなく、狩猟や有害捕獲を行う有資格者の活用を広く実現させなければなりませんし、一方で、市町村は計画上の捕獲数を十分なだけ確保する必要があり、それらは、誰がどのように行うことになるのか伺います。また、道は何にどのような立場で関わっていくことになるのか明確にしてください。
<答弁>
捕獲等に関する有資格者の活用についてでございますが、鳥獣被害防止総合対策交付金に関しましては、市町村が設置する対策協議会が交付金の受け皿となり、地元ハンターを中心に体制を構築し、捕獲を実施しておりますが、外部の有資格者を参画させて、捕獲サポート体制を構築することについても同交付金の支援対象とされているところです。
市町村におきましては、エゾシカの捕獲を円滑に推進するため、地元の農業関係者や捕獲協力者の理解の基に見回りや追い払い、わな・緩衝帯設置などの役割分担について調整を行っているために、外部有資格者の活用を進める場合は、地元関係者と十分な調整を図る必要があるものと考えます。
現在、道では、全市町村に対しまして、これまでの実績を上回る目標を示し、来年度事業の捕獲目標を増やすよう、協力要請しているところでございます。
また、今後、高齢化や過疎化によりまして、地域の捕獲従事者の不足が想定されるために、振興局の鳥獣対策協議会を通じ、外部有資格者の活用も含めまして、捕獲体制の充実を図る方法を市町村に積極的に周知するとともに、南部地域など被害の拡大が懸念される地域におけるエゾシカ対策の着実な推進に取り組んでまいる考えです。
<指摘>
ここでも指摘を加えます。先ほどもお話ししましたが、南部地域の生息数の激増を鑑みると、南部地域における市町村の有害捕獲数の設定が不足していることが主因であると考えられます。増加数と捕獲数のバランスが著しく取れていないのです。完全に後手にまわってしまっています。
それは、道や振興局による積極的な周知だけで解決できる課題ではないと承知しています。
エゾシカ行政の考え方が、市町村毎に異なる状況にあっては、数の相談だけに留まらない支援が必要です。今一度南部地域におけるエゾシカ行政のあり方については精査していただく必要があると考えています。この点を強く要請しておきます。
⑤エゾシカ行政の今後について
次に、エゾシカ行政の今後について伺います。
私たちは、古い過去にエゾシカを乱獲し生息数の著しい減少を招いています。その後の保護政策等を経て今に至るのですが、生息数の管理だけではなく、狩猟したり有害捕獲されたエゾシカ肉の利活用を同時に推進することができるように施策を講じなければなりません。
道のエゾシカ行政の、これまでと、今後の受け止めについて、部長の見解と抱負を伺います。
<答弁>
エゾシカ対策についてでございますが、エゾシカにつきましては、過去の保護政策に伴う生息数の増加を受けまして、市町村、関係機関との協力体制を築きながら、捕獲対策を推進した結果、平成23年度をピークに減少傾向を示しておりましたが、30年に発生した狩猟事故に伴う銃猟規制などの影響により、捕獲数が減少し、昨年度、再び上昇に転じたところでございます。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、エゾシカ肉の需要にも影響が生じておりますことから、捕獲と有効活用を進めることが喫緊の課題と認識しております。
道といたしましては、今後とも、市町村への的確な情報提供や助言などを行い、連携を強化し、捕獲の推進や人材の育成に努めますとともに、道内外の飲食店などにおける、安全・安心な食材としてのエゾシカ肉の消費拡大や、ペットフード、皮革製品などの幅広い分野での利用を含め、ポストコロナも視野において、認証施設数の増加や需要の拡大に向けた取組を進めるなど、捕獲と有効活用の両面からエゾシカ対策の一層の推進に取り組んでまいる考えです。
<指摘>
最後に、一点お伝えしておきます。
この質問については、一年後位に改めてお聞きしたいと考えています。
一年後にお聞きした際には、生息数や捕獲数、特に南部地域については、積極的な利活用の手応えが実感できる答弁を返して頂けるように実務にあたって頂けますようにお願いしておきます。
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
この質問は、コロナとの闘いに見通しがつかない中であっても、将来の北海道の成長を担保していく為に、道の海外事務所等の戦略・戦術を整えていかなければなせないとの想いから、鈴木直道知事に質したものです。
海外事務所に赴任している道職員や現地スタッフの仕事は、普段から道民の皆さんの目に届かぬ活動ではありますが、日々懸命に汗して働いていることを承知しています。
益々活躍して頂く為にも、今後とも最大限に応援してまいりたいと考えています。
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【 道の海外事務所等について 】
次に、道の海外事務所等について伺います。
道は現在、海外事務所4か所を開設しているほか、職員を派遣している在外公館やジェトロ、道内金融機関の海外拠点が5か所あり、これらに9名の道職員と2名の民間派遣者、7名の現地事業スタッフを配置していると承知しています。
これらの海外事務所と駐在所を最前線として、道内経済や地域社会の活性化を図るため、「世界の中の北海道」として道が中長期的に進むべき将来の方向性を「めざす姿」として明らかにし、道内の行政、企業・団体、道民の皆様と協力・共有しながら、世界の活力を取り込んでいかなければなりません。
特に、昨年から新型コロナウィルス感染症と闘いに苦しむ私たちは、インバウンドを取り込んだ観光産業の展開の見直しを強いられ、改めて国内や道内の観光客の重要さを思い知ることになったと承知しています。
しかし、引き続き海外からの観光客の取り込みなど観光業のみならず道内産品の輸出を目論む私たちが、人口減少に伴う経済規模の縮小が避けられない北海道にとって、海外、特に人口急増に伴い経済発展を続けるアジア各国の消費力に期待を寄せることは避けることが出来ない流れであると考えています。
その最前線として活躍が期待される海外事務所と駐在所については、これまでさまざまに議論されてきたことを承知しています。
それらを踏まえた上で、以下に伺って参ります。
①道の海外事務所等の現状について
最初に、海外事務所と駐在所の現状について伺います。
世界が、新型コロナウィルス感染症と闘う今日現在、海外事務所と駐在所については、道職員や駐在所スタッフがどのように配置され、ているのか、どのような活動を行っているのか、現在の活動内容と共に予算執行状況を伺います。
<答弁>
海外事務所等の活動状況についてでありますが、海外事務所等の職員は、これまで、派遣先の国や地域の感染状況等を踏まえ、昨年2月から4月にかけて帰国し、現地の事業スタッフと連携しながら道内で活動を続け、外国人の入国禁止措置の解除後、6月から順次、駐在地に渡航し、現地での活動を再開してきたところ。
現在、海外事務所等では、感染症の拡大により、現地での移動やイベント等の開催に制約がある中、道内観光地からのライブ配信や、小売店・飲食店と連携したフェアの開催など、北海道への関心を高める事業を実施しているほか、現地バイヤーと道内企業の仲介や、渡航できない企業に代わって商談会で商品説明を行うなど、本道の魅力発信や道産品の販路開拓に取り組んでおり、事務所運営費予算は、旅費を除き概ね執行予定となっているところ。
②コロナ禍における役割について
次に、コロナ禍における役割について伺います。
昨年来、世界が闘ってきた新型コロナウィルス感染症ですが、最中にあっても、道内経済や地域社会の活性化を図るため、「世界の中の北海道」として海外事務所と駐在所が担う役割は変わっていません。むしろ、ピンチはチャンスと唱える知事にとって、このタイミングから立て直しを目論み、コロナ収束後に備えてコロナ禍における戦略を整えておく必要があると考えています。
最近の報道によると、世界ではワクチン接種が進んでいて、ウィズコロナの状況にある私たちにとってのコロナ克服は、もう目の前のことなのかもしれません。そうであってほしいとさえ願っています。
だとすると、「世界の中の北海道」として海外戦略の立て直しを、この段階で打ち出す必要に迫られていて、その最前線である道の海外事務所等の役割について、知事の見解と展望を伺います。
<答弁>
海外事務所等の役割についてでありますが、海外との経済交流の促進に向け、道では、重点とする地域に職員が駐在し、行政機関や企業との人脈形成、現地情報の収集、事業活動へのサポートといった駐在ならではの役割を果たしており、海外との往来が困難な状況にある中、その必要性は一層高まっていると認識。
現在、情報通信技術を用いたコミュニケーションが急速に普及しているといった変化も踏まえ、道としては、こうした技術を積極的に活用し、これまでは対面を前提に困難だった案件についても、人脈を提供し、言語や商慣習の違いをサポートしているところであり、これまで以上に海外事務所等が、海外と道内各地の中継点となり、新たな経済交流の促進につながるよう、取組を進めてまいる。
③コロナ収束後の施策展開について
次に、コロナ収束後の施策展開について伺います。
コロナ後といっても、新型コロナウィルス感染症の根絶は出来ないものと承知していますし、感染症との闘いが人類の歴史であるといっても過言でないことを知った私たちにとっては、海外戦略をどのように描いていくかが問われているのだと考えています。
先ほど申し上げたように、感染症の流行如何に関わらず、世界の活力を取り込まなければならない北海道にとって、海外事務所と駐在所の役割については、臨機応変に戦術を組み直さなければならない施策であると考えられます。
私は、そろそろコロナ後の海外戦略について準備を整えなければならない時期であると考えますし、その検討にあっては、コロナ以前の体制に戻すことが大切なのではなく、より積極的な展開が必要であると考えている一人であります。
世界が委縮したこの災禍に、共に縮むのではなく、世界をリードする北海道である為の政策や施策を展開することによって、世界の消費を取り込むことの出来る体制を、その最前線である海外事務所と駐在所に担っていただくことの出来る体制を敷いて頂きたいと考えています。人員のみならず予算面に至るまで強化させる必要があります。
知事には、海外事務所について、新たな目標設定と共に人員配置や予算設定を充実するなど積極的な施策展開を求めます。知事の見解を伺います。
<答弁>
海外事務所等の今後の取組についてでありますが、本道経済の発展に向けては、感染症の収束後も見据え、道産品の海外販路拡大や外国人観光客の誘致、海外からの投資受入れなどを促進し、海外の成長力を取り込むことが求められており、その最前線で活動する道の海外事務所等の役割は大変重要と考えている。
このため、道としては、輸出拡大やインバウンドの再獲得に向け、本道の食や観光などの魅力発信に加え、道産品を扱う海外ECサイトの紹介のほか、北海道に関心がある現地企業の発掘と、貿易や投資の商談の仲介など、海外事務所等の独自の施策を積極的に展開するとともに、多くの海外拠点を持つジェトロや金融機関との連携を一層強化し、現地でのノウハウやネットワークを互いに活用しながら、成長が見込まれるアジアや欧米などの国や地域において、新たな市場や需要の開拓に取り組んでまいる。
この質問は、初当選以来、北の元気玉が「新エネルギー導入の加速化」について取り組んできた成果について鈴木知事に質したものです。
①地域産業の課題を解決しながら地域内で「再生可能エネルギー燃料」を作り出す。
②地域内で発熱電を行い、作り出した電気や熱を地域内で消費する。
③地域内で消費する分には、富を囲い込める。(流出しない)
④更に、再生可能エネルギー事業の実証試験等を呼び込みやすい政策を展開し、地域内に事業を誘致する。(雇用が生まれる)
⑤伴って地域内で消費する以上の再生可能エネルギーを作り出すことが可能となり、その分は域外に売ることが可能となる。
⑥地域外に売った再生可能エネルギーは、その地域に富を呼び込むものとなる。
これらを可能にする技術が「マイクログリット」なのです。
このマイクログリッド技術を、道自らが推進させることに舵を切ることによって、系統接続が脆弱であるが故に進まなかった
新エネルギー導入の加速化を推進させることが可能となるのです。
北の元気玉は今後も積極的に取り組み、道民の皆さんに安価で安定した「再生可能エネルギー」を使った暮らしをお届けします。
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エネルギー政策による北海道の活力の創出について
最初に、エネルギー循環型社会システムの実現が急がれる視点から、この質問をさせていただきます。
道は、昨年3月に、2050年までにゼロカーボンの実現を宣言し、更に2030年に目指す姿を具体化させています。それが、次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定であります。
新エネルギー導入の加速化については、前知事の段階から取組まれてきているものであり、それらを一層推進させていく為の道程を明らかにしているものと承知しています。
私は、これまで一般質問等の機会を通じて提案してきたところでありますし、国や道が目指す姿に同意できるものではありますが、その手段としての政策・施策が不十分であることを議論させていただいて参りました。
そこで、今回は、次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定が進むこのタイミングで、知事に質問させていただきます。
行動計画では、目指す姿の実現へ向けた「3つの挑戦」を明らかにしています。それぞれについて課題を明らかにし、達成へ必要な行政の取組みを加えて頂けるように要請させて頂きます。
①多様な地産地消の展開について
はじめに、多様な地産地消の展開について伺います。
エネルギーの多様性や循環型社会システムの構築を活かすためには、その地域でのマイクログリッド技術を確立することが必須です。それは、域内経済の自立と強化に直結します。
また、道内に限らず系統接続の脆弱性によって不自由を極めている事業環境を改善していく為には、系統インフラの整備も欠かせませんが、同時にマイクログリッドの実現による地産地消のエネルギー環境を整えることの方が、自然災害等による非常時電源確保の実体に即したものとなり得るのです。広範な送配電線網のデメリットを目の前に突き付けられたのが、2018年北海道胆振東部地震によるブラックアウトの経験だったのではないでしょうか。
これまでに何度も主張してきていますが、非常時電源の確保に躍起になるよりも、マイクログリッドの実現によって事業環境整備を推進することの方が、理に適っていることに議論の余地はありません。
道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。
<答弁>
マイクログリッドについてでありますが、道は、次期「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」において、さまざまな新エネルギー等を活用し、地域単位でエネルギーの需給を管理し、活用する、需給一体型の分散型エネルギーシステムの構築・展開を促進することとしており、構築にあたっては、災害時を含めた電力の安定的な確保とともに、これまで域外に流出していた資金を地域内で循環させ、経済の活性化につなげていくことが重要と認識。
このため、道としては、取組を進める上で課題となっている電力の制御技術の高度化や発電設備の立地手続きの迅速化などについて、国に対応を要望するほか、地域におけるマイクログリッドのモデル形成に向けて、計画づくりを支援し、その成果を全道に普及するなど、地域における多様な地産地消の取組を促進してまいる考え。
②「エネルギー基地北海道」の確立に向けた事業環境整備について
次に、「エネルギー基地北海道」の確立に向けた事業環境整備について伺います。
自然エネルギー源の賦存量が豊富な北海道では、さまざまな先進技術の取り込みと実証試験地としての体制整備、特区化を見込んだ政策展開が必要となります。
しかも、道内のいずれかに集積すれば良いものではなく、地域の特性を活かし、且つ地元産業の課題解決をセットにしながら、各所で実施されることが必要であると考えています。
これらの実現へ向けた厄介なポイントは、様々な規制や担当する知事部局が横断してしまう民間事業者にとっての不自由なのであります。特に、新エネルギー事業にとっては、経済部と農政部、水産林務部、時に環境生活部、カウンターパートとしての登場部署や人物が多過ぎます。既に、その産業界にとっては常識である法律や条例、規制や規則も、産業界を跨いだ新技術の確立のためには、障害でしかないことが多々見受けられるのです。
よって、さまざまな先進技術の取り込みと実証試験地としての体制整備、北海道の特区化を実現させることで、それらの障害を調整することができる環境が整うことになります。実証地はそれぞれであるべきですが、調整機関は集積させることが可能です。
道の役割は、調整機関と民間事業者が取組む事業の実現へ向けたバックアップなのであり、既に存在する規制の適応に腐心することではないのです。
道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、ここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。
<答弁>
エネルギー関連プロジェクトの誘致などについてでありますが、次期「行動計画」においては、本道の豊かな新エネルギー資源を最大限活用し、道内はもとより、国に電力を供給し、地域経済の好循環に結び付けていくため、「エネルギー基地北海道」の確立に向けた取組を進めることとしている。
このため、道では、本道の特性を活かした、風力発電や水素関連などの、大規模新エネルギー開発プロジェクトや国や企業などの実証事業の誘致、受入を進め道内企業に先端技術を普及していくとともに、実証事業に必要となる制度面の課題を解消するため、国に対し、規制の緩和を提案、要望していくほか、新たに、新エネルギー導入に関するワンストップ窓口を設置し、庁内関係部局が連携して、課題や要望に対応する体制を強化してまいる考え。
③省エネ促進・新エネの開発の導入と一体となった環境関連産業の振興について
次に、省エネ促進・新エネの開発の導入と一体となった環境関連産業の振興について伺います。
言うまでもなく、広大な北海道においては、その地域や根付いている産業の特性を活かした展開を欠かすことは出来ません。更に、民間事業者のみならず、自治体や地域住民の理解と協力は、定着と継続が必要なこの取組みには不可欠なのであります。
特に新エネルギーの世界では、日進月歩で技術開発が続いていて、私たちの国や地域に提案され、採用されたとしても、製造・設置・稼働した段階では、更なる新技術が生み出されていることは日常茶飯事であるのが実態です。
道は、広大な北海道であるからこそ、積極的に世界の新技術の取り込みに挑戦し易い環境を整備して、民間事業者を支援していく必要があります。
環境関連産業の振興を実現させなければならないのであるならば、道として、民間事業者と協力しながら、新旧技術のデータベース化とその経過と結果、地域のニーズの把握を行い、マッチングや事業推進支援を行わなければならないと確信しています。
これまで、経済部では、自治体が取り組む北海道新エネルギー導入加速化基金をはじめとする施策を講じてきましたが、いずれも自治体ベースとなっていて民間事業者にとっては使い勝手が悪く、技術の進歩に追い付くことの出来ない状況となってしまっています。
道の支援とは、補助金ばかりなのではなく、部局を横断できるフレキシブルさと規制の突破なのであり、もはや道自身では気付きづらく、事業者等からの要請を受付け、解決させていくことが望まれる支援となり得るのです。
道には、このような場を提供する必要があると考えていますが、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、更にここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。
<答弁>
環境関連産業の振興についてでありますが、環境関連産業は、従来の省エネルギー、新エネルギー設備に加え、地域マイクログリッドの構築に資するデジタル制御技術といった先端技術の開発などにより、今後の市場の拡大が期待される産業であり、省エネや新エネの開発・導入と、国内外からの投資や道内企業の参入などによる環境関連産業の振興を一体的に推進し、地域経済の好循環につなげていくことが重要と認識。
このため、道としては、省エネや新エネに関連する企業の投資や立地を促すほか、道総研などとも連携し、新たに、企業や自治体が抱える新エネ導入に関する課題や要望に対応するワンストップ窓口を設置し、道内各地における新エネを利用した取組の状況に加え、技術相談や支援制度などに関する情報提供を行い、事業化につなげていくとともに、環境関連事業に取り組む企業に対し、構想段階から技術開発、販路拡大まで総合的に支援するなどして、企業の皆様の声に耳を傾けながら、環境関連産業の振興に取り組んでまいる。
④目指す姿の実現によるエネルギーの主力産業化について
次に、目指す姿の実現によるエネルギーの主力産業化について伺います。
このマイクログリッドの技術の確立は、系統接続の脆弱性によって不自由を極めている北海道にとって、飛躍的な新エネルギー導入の加速を実現させることにつながります。
マイクログリッドの技術のほとんどは、該当する地域内の電流と電圧を制御する技術といっても過言ではありません。現在では、北海道電力が道内を一括して制御している状態ですが、その地域を独立させて制御することが出来るならば、道内のいずれの地域でも系統接続することが可能になると承知しております。
更に、FITによる売電は、設備資金の償却に大きく貢献する制度となっていますが、例えFIT制度を利用しなくとも、その地域で長期間にわたって売電できるマイクログリッドであれば、道内で販売される電気料金並みの価格を実現することが可能です。
まさしく地産地消であり、地域に根ざした産業との連携が可能であり、域内経済の強化に直結させることが出来る、目指す姿の実現がそこにはあるのです。
更に、売熱を組み合わせることによって、発電のみであれば投入したエネルギーの3割弱しか電気に変換することはできませんが、排熱とされていた6割程度の発熱を有効利用することで売電価格を低減させれば、循環型社会システムの完成を成し得ることが可能です。
現在、系統接続が出来ない道内のほとんどの地域では、結果として新エネルギーを発熱として利用することしか出来ない有様です。それは、あまりに非効率です。
これら北海道の系統接続の充実を待たずして推進できる技術が、マイクログリッドということだと確信しています。道こそが、率先してマイクログリッド技術の確立に舵を切るべきです。それらを確立させたうえで、エネルギーの主力産業化を実現させるべきと考えます。
道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、またもや、ここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。
<答弁>
新エネルギーの活用に向けた技術開発等についてでありますが、マイクログリッドを含む需給一体型エネルギーシステムの構築に向けては、地域特性に応じた新エネを活用した発電や、それに伴う熱の有効利用はもとより、デジタル技術を活用して電力の需要と供給を双方向で調整するといった新たな技術の開発や、太陽光発電や蓄電池などの分散型エネルギーリソースの家庭や事業所への導入促進が必要。
このため、道総研では、木質バイオマスや温泉熱など未利用資源を活用したエネルギーの地産地消に関する技術開発や利用モデルの構築などに取り組んでいるほか、道としても、環境関連産業への参入を希望する企業の技術開発を支援するとともに、来年度新たに、家庭や事業所に向け、分散型エネルギーリソースの導入メリットを調査・PRすることとしており、地域特性に応じた需給一体型エネルギーシステムの構築と展開を促進してまいる。
⑤国内の地域新電力の取組みについて
最後に、国内の地域新電力の取組みについて伺います。
マイクログリッド技術による国内における地域新電力の取組みについては、地方自治体が主体となった地域PPSは現在30ヶ所程度が立ち上がっていて、検討されている自治体に至っては86ヶ所であると報じられています。国の意向を踏まえると、全国で100ヶ所程の地域PPS事業が立ち上がる見込みと承知しています。
この地域PPSは、新エネルギーの導入を加速化させるばかりか、電気料金等として地域外に流出している富の一部を地域内に留めるためのダム機能となるべく設立され、得られる利益相当分は、地域振興は基より、人口減少対策など公益的な事業に還元させていくことが可能です。官と民の中間のポジションを取りながら、その時々に合った地域課題に柔軟且つ民間ならではのスピード感をもった取組みを推進させていくことが出来るとされています。
これらは既に確立されている技術であり、自然エネルギー源の宝庫であることを謳ってきた私たち北海道にとっては、これまで実現できていないことが滑稽にさえ映る有り様だと考えています。
道は、地域の新エネルギーを集約して、まずは地域に提供し消費できるようにし、消費以上に生産された新エネルギーを域外にもたらすことによって「富」を獲得する取り組みを、知事と道が先頭に立って、導入し易い環境を整えていく必要があると考えています。
知事。私たちは、既に待ったなしの状態に突入している人口減少や、コロナ禍で痛み尽くしている地域経済の立て直しの為に、即効性の高い政策と施策を次々に投じていかなければならないのです。
次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定によって目指す姿を示すことも必要ではありますが、これまで質問してきたように、概念的な構想に留まるステップは、とうに過ぎているのではありませんか。
次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定と同時に、既に全国で散見されている具体な事例を積極的に取り込み、賦存する自然エネルギー源を最大限に活用した北海道ならではの新エネルギー事業の振興と、それに地域PPSを組み合わせての推進が欠かせないのです。
私たちは、エネルギー政策による北海道の活力の創出を実現させなければならないのです。 知事の決断を求めます。見解を伺います。
<答弁>
地域における新エネルギーの活用についてでありますが、道では、新エネ導入加速化基金などを活用し、市町村が実施するエネルギー地産地消の先駆的なモデルとなる取組への支援に取り組んでいるところ。
このうち稚内市や上士幌町では、地域新電力会社を設立し、地域資源を活用した電力を地域内に供給することで、雇用創出などを図る取組が進められている。
道としては、引き続き、こうしたエネルギー地産地消の先駆的なモデルとなる取組を支援するほか、取組から得られるノウハウのコーディネーター派遣による普及などを通じて、他の地域での課題解決につなげるとともに、来年度新たに、関係部局が連携しながら、地域が主体となって取り組む新エネ導入の掘り起こしを行うなどして、エネルギーの地産地消の取組を全道に広げ、地域経済の好循環を実現してまいる。
脱炭素社会の実現に向けては、どうしてもパラダイムシフトを変えていく必要があると考えています。言い換えるならば、既得権益にどのように横串しを刺して組み替えていくかであって、それこそが行政の役割なのであり、それが何であるのか、何を求められているのか、推進する上での不自由さを明らかにし解決していくことが重要なポイントとなるに違いありません。しかも、それらの場の提供にコストが掛かるものではないのです。
しかし、その働き掛けは、残念ながら既得権者側からは出てくることはありません。
これは、ゼロカーボン宣言を果たした鈴木知事だからこそ取り組むことの出来る政策であるに違いありません。
このエネルギーの主力産業化は、北海道にとっても、その地域にとっても決して避けることの出来ない人口減少に立ち向かう大きな原動力となり得ます。
広域でありながら系統連系が脆弱な北海道だからこそ、日進月歩で進む発熱電技術開発に遅れを取ることなく、マイクログリッド技術による循環型社会システムによる域内経済の底上げを実現させることの出来る政策・施策に仕上げて、素早く講じて頂けるように強く要請して、この質問を終わります。
この質疑につきましては、本日付け地元紙で取り扱われた内容となります。
是非皆さまにご覧いただき、記事として取り扱われることになった経緯と顛末に注目頂きたいと願うところです。
記事にある「訂正」とは、「甘やかしている」という表記を『より適切な言葉で言い換える』という意味であり、その真意や狙いが変わるものではありません。
北の元気玉「道見やすのり」は、己の主義主張に基づいて質問・質疑するのであって、マスコミの取り扱われ方への配慮は一切しておりません。
一方で、私の質問・質疑の内容に対する賛否・ご意見やご助言について大歓迎ですので、ブログやSNS等を通じてお寄せいただきますようにお願いいたします。
最後に改めて明言させていただきますが、私は「正しい」アイヌ文化の認識を実現し、文化振興を通じたアイヌの人々の自立を促す政策に舵を切りきるべきだと考えている立場です。
アイヌ文化の消滅を望んでいる訳でなければ、「正しい」文化振興施策を止めるものでもありません。
これまで約60年もの間に、約120億円もの金額を投入して展開してきた施策の効果を明らかにし、温く継続させることを善しとしない主張です。
多くの皆さんにご覧いただきご理解いただければ大変うれしいことでありますし、今後共に国や道に、そしてアイヌの人々に対して提案を続けていきたいと覚悟しておりますことを申し述べておきます。
北の元気玉、今日も一日、「ウガイ・手洗い・たっぷり栄養補給、余裕があるなら笑って暮らす」を実践して働いて参ります。
何卒よろしくお願いいたします。
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一 北海道アイヌ政策推進方策について
(一)アイヌ政策の効果について
それでは、機会をいただきましたので、方策についての質疑をさせていただきます。最初に、アイヌ政策の効果についてお聞きをしておきます。
道は、生活向上の名の下に、生活保護受給率の低下や進学率の向上等の施策を約60年続け、約120億円を費やしながら、どれだけの効果があったのか、客観的な道の見解を伺っておきます。
(アイヌ政策課長)
生活向上施策についてでありますが、道では、道内のアイヌの人たちの生活の実態を把握するため、市町村やアイヌ協会のご協力をいただきながら、昭和47年から8回にわたり「北海道アイヌ生活実態調査」を実施し、アイヌの人たちの生活向上施策の推進に努めてきたところでございます。
直近に実施いたしました平成29年の調査におきましては、生活保護率につきましては千分率で現していますが、昭和47年の115.7パーミルが36.1パーミルとなっております。また、高校の進学率につきましては41.6%から95.1%に、昭和54年で8.8%であった大学等への進学率は33.1%となっております。
このように、アイヌの人たちの生活は改善傾向にございますが、アイヌの人たちが居住する調査対象市町村全体との比較におきましては、依然として格差が見られるところであり、新たな方策に関する地域のアイヌの人たちとの意見交換におきましても、修学への補助など生活向上施策を求める声も多かったところでございます。
(指摘)
今の答弁の意味を汲みますと、継続していくということなのでしょうね。なお効果が足りないということであるならば、先ほど伺った60年、120億続けてきた政策の効果としては、非常に薄いというか、長きにわたり続けてもこの状態であるという解釈ができるのかと思います。
紆余曲折がありながら継続してきて、到達できない計画や目標に対して、これからも同じ調子で継続をしていくということは、むしろ拡大していこうとしていること自体に無理があるというふうにも理解をいたします。
まだ尚、差別があるから改善できていないというので、継続をするというロジックからは、支援のスパイラルから抜け出せない、いや、抜け出したくない思惑が、アイヌの人々や道に見え隠れしているのではないでしょうか。
(二)アイヌ政策の基準について
次の質問に移ります。政策による現状と基準について伺っておきます。
道の見解によると、これまでの効果は出ているということでもありますが、その効果は至って客観的でなければならず、バイアスの掛かった恣意的な調査などを根拠として政策を展開し続けることは、今の時世で認められるわけがないのであります。しかし、長きにわたり、国や道がそれらに頼ってきたことは事実です。その効果が、誰がどうやって把握をしてきたのか。その効果は一定基準が満たされるまで続けるのか。その基準とは何を指すのか、道の見解を伺っておきます。
(アイヌ政策課長)
アイヌ生活実態調査についてでございますが、生活の状況や教育、課税の状況などにつきまして、アイヌの人たちが居住する市町村が実施する市町村調査及び地区調査、それから、家族や所得の状況、アイヌ文化や帰属意識、差別の状況などについて、アイヌの人たちに直接伺う世帯調査及びアンケート調査により実施をしております。
道におきましては、この実態調査の結果や、国における政策の動向、アイヌの人たちからの意見などを踏まえまして、今後のアイヌ政策の検討を進めているところであり、アイヌの人たちの生活実態は、道民一般との比較においては依然として格差が見られることから、引き続き施策を推進する必要があるものと考えております。
(指摘)
道の主張とですね、道の見解と私の意見の相違ということがここで明らかになっているわけでありますけれども、60年続けてきて、なお縮まらないという政策が問題だというのであって、そもそもアイヌ政策が不要であると、私は述べているわけではありません。
その方法というものを見直すきっかけに、このウポポイ
が、そしてこの施策推進法が資していかなければならないというお話を申し上げているのであって、格差、格差と強調する道にあっては、この政策を続けなければいけない理由を一生懸命探しているにすぎないと私は受け取っているのであります。
(三)未来志向の意味について
次の質問に移ります。人の使う言葉の意味について伺っておきます。これまでの政策を受けて、アイヌ施策推進法からも使われることになった「未来志向」という言葉では、何をこれは意味をするものなのか、今一度、確認をします。
この表現は、いかにも抽象的で、互いに都合よく解釈できる妥協の言葉でしかないと考えますが、今一度明確な見解を伺います。
(アイヌ政策推進局長)
未来志向によるアイヌ政策についてでございますが、道では、昨年策定した「北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針」におきまして、「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図り、全ての道民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」ことを目標としているところでございます。
道といたしましては、この目標の実現に向けまして、新たな方策では、これまでの生活向上に加えまして、民族としての誇りの源泉であるアイヌ文化の振興や、これらを活かした地域の活性化、産業や観光の振興などを含め、アイヌ施策を総合的に推進してまいる考えでございます。
(指摘)
今の答弁からは、誠にきれいな赤レンガ文学を聞いているわけでありますけれども、その真意は、妥協の産物でしかないと私は受けとめるわけであります。
せっかく、この未来志向というのは前向きな言葉であるわけですから、改めて、その意味、真意について、明確にできるよう、いや、明確にできるというよりは、国に、国民に、道民に、そしてアイヌの人々にとって必要である言葉として位置付けられるように国や関係者と議論を重ねていただきたいと思うところであります。
(四)アイヌ文化の未来について
次に、アイヌ文化の未来について、伺っておきます。
道は、アイヌ文化をどうしたいのか、私は、この5年間、環境生活委員会等で皆さんと意見交換を含めて機会を重ねてきたところではありますが、未だ、その真意を受けとめていることができません。
質問の最後に、監の見解を伺います。
(アイヌ政策監)
アイヌ文化の振興についてでございますが、アイヌ文化は、アイヌの人たちの民族としてのアイデンティティの基盤であり、本道にとってかけがえのない財産でもございます。
こうしたアイヌ文化の伝承や振興を図ることは、アイヌの人たちの社会的・経済的地位の向上はもとより、多様な文化の発展、本道経済や地域の活性化にとっても、大変重要なことと考えてございます。
このため、道といたしましては、アイヌの人たちが受け継いできた文化の保存・伝承や普及・啓発を促進いたしますとともに、アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターでございますウポポイをはじめ、道内各地域の活動が活性化するよう、国や市町村、関係団体などと連携しながら、より一層のアイヌ文化振興に取り組んでまいる考えでございます。
(指摘)
最後に、指摘を加えておきたいと思います。
今回、この質問をさせていただくに当たり、どのような形で質問を行えばいいのか、非常に悩みました。その表現、一つ一つ、様々に悩みながら、当たり障りのない言葉を選ぶのではなく、その真意、実態について、さらには、この環境生活委員会において、いかにこの国の政策と道の政策、さらには道民の意識、アイヌの方々の意識、これを前向きに、未来志向に、真の意味での未来志向という意味に向けていくためにどうしたらいいんだろうということを考えたのであります。
ただ、どうしてもその根底にある様々な不都合、こういうものが邪魔をして、質問に対する答弁を道庁の皆さんからいただくことができなかったり、さらには、私自身も萎縮してしまうというか、遠慮してしまう。言ってみれば、忖度をしてしまうような場面にも出会うわけであります。
この機会に、国と道、さらには当事者の皆さんにお伝えをしておきたい、申し上げておきたいことがあります。
アイヌ文化を利権と化してはいけないと思うのです。群がる勢力の目的を慎重に見抜かなければいけないのだと思います。実は、アイヌの人々を甘やかしているのは、国であり、道であり、そしてアイヌの人々自身なのではないでしょうか。
アイヌ文化を私たち日本国民が、地域の宝の一つとして伝承をし、アイヌの人々も、私たちも正しく文化の振興を図らなければなりません。このまま利権としか扱われないのであれば、アイヌ文化の末路は消滅でしかないのであります。これは断言できます。
確かに、過去に不幸な歴史があったのかもしれません。
それを御旗に利権の確保に努めても、生活の向上にはつながりません。それは60年続けていても今のようなありさまなのでありますから、事実なのだと私は判断します。
先ほどの報告にあった地域意見交換会の内容を伺っても、前向きなものとはほとんど見受けることができません。
今なお、欲しがる、まさしくこの状態が今なのだと判断することができます。
私たちの日本において、アイヌ政策は既にタブー視されている領域でもあります。今回の質問では、アイヌの人々が先住民であるとかないとか、差別があるとかないとかを取り上げて考えるつもりはありませんでした。なぜならば、その時点で前向きな政策、未来志向な政策として前進させることでしか、共生が実現できないからであります。
これからの日本では、国民と道民と、アイヌの人々が、力を合わせてアイヌ文化振興に努めることを通して、アイヌの人々の地位向上と経済的な豊かさをもたらす基盤を自ら整えていかなければならないのです。
これまでの政策に新たに加えられた文化振興施策を、生活向上施策とともに推進させるのではなく、文化振興を通して生活向上を実現させる覚悟を携えていただきたいとお願いしているのであります。そのためには、さらなる力強い文化振興施策が必要であることを理解することはできます。
道におかれては、国に追従することでしか展開できない政策だけではなく、真の意味で政策の実現を目指さなくてはなりません。
道には、このような考えがあることを必ず検討会議の場で示していただくとともに、私自身も引き続き正しいアイヌ政策のあり方について提案していくことを約束し、今回の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
(広田委員)
手続き的にどういうふうするのかというのはあるのですけれども、もしよろしければ、今、副委員長の御質問の中でですね、アイヌ民族を甘やかしているという、その表現は削除していただきたいと思います。お取りはからい、委員長にお願いいたします。
(荒当委員長)
理事会で諮ることにいたします。質問を進めていいですか。
(広田委員)
はい。委員長にお任せして。
(荒当委員長)
はい。
四,動物衛生検疫協定について
外務省の発表によると、日本産牛肉の対中輸出を再開することで、両国政府は、25日、「動物の衛生及び検疫における協力に関する日本国政府と中華人民共和国との間の協定」(以下、日中動物衛生検疫協定)に署名したと発表しています。
中国は、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生を受けて、2001年から輸入を禁止してきました。再開されると、20年振りとなり、国内は基より道内の畜産農家にとっても朗報と言えます。
① 動物衛生検疫協定について
まず、この動物衛生検疫協定とは、どのようなものであるのでしょうか。これまでどのような協議を経て本協定の署名に至っているのかについても教えて下さい。
<答弁>
動物衛生検疫協定についてでございますが、外務省の公表によりますと、本協定は、国境を越えた動物疾病の管理における、日中間の協力強化を通じ、動物及び動物由来の製品の安全な取引を促進することを目的として締結されたものでございます。
協定の締結により、牛肉などの畜産物の対中輸出解禁に向けた両国間の調整の加速化が期待されますとともに、両国における疾病の発生等について、相互に情報を提供することが規定されており、より確実な水際検疫体制の構築に寄与するものと認識をしております。
なお、協議経過につきましては、平成30年12月6日に第1回政府間交渉を開催して以降、これまで3回の交渉を重ね、平成31年4月14日の日中ハイレベル経済対話におきまして、日中両国政府が合意に至り、令和元年11月25日に署名されたと承知をしております。
② 他国との協定締結状況について
今回は中国政府との協定ですが、他国との実績はあるのでしょうか。過去に類似の協定等が結ばれた事例について教えて下さい。
<答弁>
他国との協定締結実績についてでございますが、農林水産省に確認したところ、動物の衛生及び検疫における協力に関する協定につきましては、中国以外の国と類似の協定等が締結された事例はないと聞いているところでございます。
③ 他国との協定締結へ向けて
本協定は対中国との協定ですが、他国との協定に至るには、どのようなか課題が存在し、どのような対応や協議が必要で、どの位の時間を要するものであるのか、見解を伺います。
<答弁>
他国との協定締結についてでございますが、農林水産省によりますと、日中動物衛生検疫協定は、食肉等の安全な取引を促進するため締結したとのことであり、中国以外の国と締結した実績はございませんが、このたびの例では、第1回の政府間交渉から署名に至るまで、約1年を要しているということでございます。
④ 本協定が道内に与える影響について
道は、この協定が道内の畜産農家に与える影響についてどのように捉えているのでしょうか。見解を伺います。
<答弁>
畜産農家に与える影響についてでございますが、本協定の締結により、牛肉をはじめとした畜産物の対中輸出の解禁に向けた両国間の調整が始まり、様々な協議などを経て、将来的に中国への輸出が可能となれば、道産牛肉等の輸出拡大に大きく寄与することが期待されまして、畜産農家をはじめ関連産業に大きな経済波及効果があるものと認識してございます。
⑤ 道の必要な対応について
本協定を受けて、道は、国や道内の事業者に対して、どのような対応が必要となってくるのか、来年度予算措置を含めた対応について見解を伺います。
<答弁>
必要な対応についてでございますが、農林水産省に確認したところ、本協定により対中輸出が解禁に至るまでには、今後、中国が我が国のBSE・口蹄疫の禁止令を解除した上で、両国による食品衛生に関する評価や、と畜場などの施設の認定、輸出に関する条件や証明書の様式に関する協議等を行う必要があると聞いているところでございます。
道では、今後、両国間の交渉の状況を注視しながら、輸出が可能となった際には、速やかに輸出が開始できるよう、必要な対応を検討してまいる考えでございます。
⑥ 道内のこれまでの実績について
道内では、本年10月、香港向け道産牛肉輸出のための肉処理施設の認定が行われたと承知しています。その経緯と本協定の違い、更に、取扱実績量や見込量等について教えて下さい。
<答弁>
香港向けの牛肉輸出施設についてでございますが、香港へ牛肉を輸出するためには、香港食物環境衛生署との協議により厚生労働省が策定をいたしております「対香港輸出牛肉の取扱要綱」に基づき、と畜場等について、国の認定を受ける必要があります。
道内におきましては、この認定を受けるため、帯広市内で、と畜場を運営しております事業者が本年8月に申請を行い、10月3日に牛肉の香港輸出が可能な施設として道内で初めて認定を受けたところでございます。
現在、厚生労働省では、実際の輸出開始に必要となる香港からの登録通知を待っているところでありますが、今後、事業者における道産牛肉の輸出が円滑に進んでいくよう、道としては、輸出に必要となる衛生要件の確保や食肉衛生証明書の発行等に努めてまいる考えでございます。
⑦ 道内で対応可能な種について
特筆すべきは、本協定には、家畜のみならず鳥獣類や野生の動物も含まれていることです。道内での対応種は多いと見込まれます。牛肉のみならず、どのようなものが見込まれることになるのか伺います。
<答弁>
本協定の対象についてでございますが、本協定の対象は、動物及び動物由来の製品とされ、動物は、家畜、家きん、鳥獣類、野生の動物など、動物由来の製品は、肉、原皮、いわゆる皮だとか、内蔵などが定義されてございまして、牛肉をはじめ、豚肉、羊の肉、鶏肉、エゾシカ肉などが該当するものと考えられてございます。
⑧ ジビエ対応への課題について
海外におけるジビエ需要については旺盛なニーズが期待されるところです。
特に、エゾシカの場合の課題について、どのような対応が必要になると具体的に想定されるのか、見解を伺います。
<答弁>
エゾシカ肉の輸出についてでございますが、道では、これまで、エゾシカの有効活用を推進するため、高度な衛生管理を行うエゾシカ肉の処理施設を認証する制度を創設し、安全・安心の確保に取り組んできたところでございます。
エゾシカを食肉として輸出するためには、相手国との合意や安全性を確認するための手続きが必要となりますが、現段階では具体的な手続き等が国から示されていない状況にありまして、今後、こうした所要の環境が整い、輸出が可能となった場合には、本道独自の衛生管理基準に基づいて処理されたエゾシカ肉の販路拡大に繋がることも期待できますことから、道としては、今後、国の動向を注視しながら、エゾシカ肉のブランド向上に努めてまいる考えでございます。
⑨ 道の期待と意欲について
道として、今後、道産食品輸出の拡大へ向けて、中国のみならずアジアや欧米、世界へと市場を拡大していく必要があります。
しかし、協定は政府間交渉であるために、道の一存では何も進めることが出来ません。道は、国の働き掛けや海外マーケットへの直接的なアプローチについて、今後の展望をどのように見込んでいるのか、道の期待と意欲について見解を伺います。
<答弁>
道産農畜産物等の輸出の拡大についてでございますが
先月、日本と中国の両政府は、「日中動物衛生検疫協定」に署名し、今後、動物衛生や食品衛生などの協議が進められ、牛肉などの畜産物の輸出環境が整えられることが見込まれております。
道では、「第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略」におきまして、牛肉や米などを重点品目として位置付けており、新たに米国向け輸出可能施設が認められた牛肉については、米国でのテスト販売やベトナムでの商談会の開催、昨年、中国向け輸出の精米施設等が登録された米につきましては、中国や香港、米国などでのプロモーションや商談会の開催など、販路拡大に取り組んでおります。
道といたしましては、今後とも、国家間交渉に基づく相手国の規制の撤廃等について国に要請してまいるほか、重要な輸出先国として期待される中国などにおきまして、今後、畜産物の輸出が可能となる好機を想定し、円滑な輸出に向けた取組を先んじて進めるなど、関係団体や輸出関連企業等との連携のもと、北海道の認知度を高め、新たな市場を開拓するために、海外におけるプロモーションや商談会を積極的に開催しながら、一層の輸出拡大に努めてまいります。
<指摘>
ありがとうございました。一連の質問としては、これで終わりなんですが、最後にまた指摘をさせていただきます。実は今回質問することとなりました、この日中の動物衛生検疫協定、この存在を知ったのはごくごく最近でありまして、11月25日に協定署名と、このほぼ当日にですね、存在を知ることになりました。このときに驚いたわけであります。もちろん、中国というですね、14億の胃袋に対して、私たちの安心で安全な牛肉を、さらには、様々な動物と規定される様々な食品を輸出できるようになるということは、非常に大きな私たちにとっての希望、期待となるからであります。これまで様々なですね、道内業者の皆さんが挑戦しようとしてきても、実現できなかったことであります。もちろんこれは対中ということでありますが、今後、アジアに、先ほども申し上げましたけれども、欧州に、牛肉をはじめとする様々な動物を、エゾシカをはじめとする様々なジビエをですね、輸出をしていく環境を整える、これが私たちにとっての活路であると信じますので、お願いをしたいところでありますし、ひとつ気になるのはですね、答弁の最中に国の動きを注視してまいるということがたくさん出てまいりました。私はですね、注視では不足だと思うんですね。道のみなさんには、積極的で、いや、もっと前のめりでできることは今からどんどんと取り組んでまいることが必要なんだと思います。国の予算がつかなければ、道が動けない、これはナンセンスであります。予算ならば取りに行けばいい、どうしても必要なものであればですね、民間とタッグを組みながらPRをしていくことは可能であります。先手を打って、先の先を打ってですね、125億のまずは達成を、その先を、その先の道をですね、道民に示していただきたいと思うところであります。ありがとうございました。
三 収入保険について
次に、収入保険についてですが、
今年は、台風15号や19号、21号の本州上陸などにより、全国各地で大きな農業被害が発生しており、現在もその復旧に向けて、懸命な作業が進められています。
幸い本道では、台風等による大きな農業被害もなく、天候にも恵まれたこともあり、農作物の作柄は概ね良好となっています。
農業は、自然災害や天候などによる収穫量の減少だけでなく、農産物の需給状況などによる価格変動の影響も受けることから、国は、新たに収入保険制度を創設し、農業共済制度と併せて、農業者のリスク軽減を図ることとしています。
9月の農政委員会でも、我が会派の同僚議員が収入保険について伺いましたが、改めて、収入保険制度の現状について、何点か伺います。
(一)収入保険の加入状況について
今年1月から受付が始まった収入保険制度について、本道の加入状況はどのようになっているのか、全国の状況と併せて伺います。
<答弁>
収入保険の加入状況についてでありますが、農林水産省は、本年10月に、8月末現在における収入保険の加入実績について、都道府県別に、青色申告者数を基に設定された「加入推進目標」、「加入実績」、目標に対する「加入割合」をそれぞれ公表したところでございます。
それによりますと、本道は、6,440経営体の目標に対して、1,360経営体が加入し、割合が21パーセント、全国では10万経営体の目標に対して、22,543経営体が加入し、割合が23パーセントとなっております。
(二)都府県における状況について
全国の状況について、都府県別に見ると、どのような地域で加入実績が高くなっているのか、また、その要因は、どのようなところにあると分析しているのか、伺います。
<答弁>
都府県における加入実績などについてでありますが、農林水産省の発表では、愛媛県が、2,000経営体の目標に対して実績が1,389経営体で割合が69パーセントと最も高く、次に青森県が、2,580経営体の目標に対して実績が1,627経営体で割合が63パーセント、次に島根県が、910経営体の目標に対して実績が519経営体で57パーセントとなっております。
次いで、秋田県、大分県の順となっております。
農林水産省によりますと、加入率の高い要因としまして、愛媛県や青森県にあっては、収入保険の方が果樹共済よりも補償割合が有利であること、島根県、秋田県や大分県にあっては、今年度の共済掛金が上昇し、収入保険に割安感が出たことを挙げております。
(三)他制度からの移行と品目別加入状況について
これまでの共済制度やナラシ対策などから、収入保険に移行している状況はどのようになっているのか、また、収入保険の品目別の加入状況はどうなっているのか、伺います。
<答弁>
他制度からの移行状況等についてでありますが、農林水産省が公表した本年4月末現在の移行件数は、ナラシ対策からが7,811件、果樹共済からが4,573件、野菜価格安定制度からが4,427件、畑作物共済からが2,588件となっております。
また、本年8月末現在の品目別の加入状況は、米が14,494件、野菜が10,503件、果樹が6,856件、豆類が3,057件、麦類が2,974件、花きが1,253件などとなっております。
(四)本道の加入実績の受け止めについて
安定した農業経営を進めていく上で、収入保険を有効に活用していく必要があると考えます。
制度発足1年目ですが、本道の加入実績を、道は、どのように受け止めているのか、伺います。
<答弁>
加入実績の受け止めについてでございますが、本道においては、加入経営体数が1,360と全国で三番目に多い一方、目標に対する加入実績の割合は21パーセントと、全国平均の23パーセントとほぼ同水準となっております。
本道では、共済制度やナラシ対策などの類似制度への加入率が高く、加えて、昨年は災害による共済金の支払を受けたことで、様子見となった農業者も多かったと考えられているところでございます。
引き続き、農業者が適切な制度を選択できるよう、収入保険の周知を進めていく必要があると考えております。
(五)加入の促進に向けて
9月の農政委員会では、「農業者が無保険の状態とならないよう、様々な機会を捉えて、共済制度を含めて、収入保険の周知に努める」との答弁がありましたが、その後、加入促進に向けて、どのような取組を行ってきたのか、伺います。
<答弁>
加入促進に向けたこれまでの取り組みについてでございますが、収入保険に関心が高かった道央・道南地域において収入保険の周知を効果的に進めるため、本年10月から11月にかけて、空知、石狩、後志、檜山、上川の各振興局において、道と農業共済組合及び北海道農業共済組合連合会との意見交換を実施し、道から共済組合に対し必要な情報提供を行うとともに、園芸施設共済とセットで収入保険の周知を行うとしたところでございます。
また、これと併せ、収入保険を選択した農業者から、加入理由などの聞き取り調査を実施するとともに、各振興局や普及センターの職員に対し、収入保険の見直し内容などの情報共有を行ってきたところでございます。
(六)今後の対応について
自然災害による農業被害や、農産物等の需給緩和等による価格変動など、農業者の経営リスクを軽減するためには、収入保険は重要な制度であると認識しており、積極的な制度周知と普及を図っていくことが重要と考えます。
道では、今後、収入保険の加入促進に向けて、どのように対応していく考えなのか、所見を伺います。
<答弁>
今後の対応についてでございますが、収入保険は、品目の枠にとらわれずに、自然災害による収入減少だけでなく、価格低下なども含めた様々なリスクによる収入減少を補てんする保険でございまして、近年、災害への備えの重要性が増す中で、収入保険の積極的な理解を図っていく必要があると認識をしてございます。
国は本年9月、補償金額を小さくする代わりに、掛金の安いタイプを追加する見直しを行った中で、道といたしましては、まずは収入保険への関心が高かった道央・道南地域への重点的・効果的な普及推進活動を行い、それ以外の地域につきましても、収入保険に係る最新の動向を情報提供するなど、農業者が無保険の状態とならないよう、引き続き、様々な機会をとらえ、関係機関・団体と連携をいたしまして、共済制度を含めて、収入保険の周知に努めますととともに、北海道農業共済組合連合会などと情報交換を行いながら、必要に応じて、制度の充実などを国に求めてまいりたいと考えてございます。
二 農畜産物等の輸出拡大について
次に、農畜産物等の輸出拡大についてですが、
道では、第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略に基づき、2023年までに道産食品の輸出額を1,500億円、そのうち農畜産物・農畜産加工品の輸出額を125億円とする目標を掲げ、現在、輸出拡大に向けて取組を進めています。
TPP11や日EU・EPAの発効、日米貿易協定の締結などグローバル化が進展していく中で、本道農業の生産力や競争力を高めながら農畜産物等の積極的な輸出拡大を図っていくことが重要と考えますので、今後の取組などについて、以下、伺います。
(一)農畜産物等の輸出の現状について
今年の農畜産物等の輸出実績はどのような状況なのか、品目別に伺います。また、主な国別・地域別への輸出実績についても、併せて伺います。
<答弁>
本年度の輸出実績の状況についてでありますが、2019年の上半期の農畜産物等の輸出額は16億4千万円となっており、米や日本酒の輸出額が伸びたことによりまして、2018年と比べて1億9千万円増加したところでございます。
品目別では、台湾、米国、シンガポールを中心に輸出している長いもは、収量が平年をやや下回ったことから、前年と比べ、8千万円減少の6億4千万円、米は、香港、米国、台湾、ベトナムなどに加えまして、昨年、輸出向け精米工場等が登録され、10月以降、道内港から中国への輸出が開始されたことなどによりまして、前年と比べ、1億1千万円増加の2億2千万円、日本酒は、香港での日本酒の需要が拡大し、輸出量が大きく伸びたことによりまして、前年と比べ、5千万円増加の1億6千万円、ミルク等は、香港などへのLL牛乳の輸出量が伸びたことにより、前年と比べ、4千万円増加の4億7千万円、牛肉は、シンガポール、ベトナムに加え、一時停止していましたアラブ首長国連邦向けの輸出が再開したことなどによりまして、前年と比べ、2千万円増加の3千万円となったところでございます。
また、主な輸出先である国や地域では、香港が7億1千万円、次いで、台湾が3億4千万円、米国が2億8千万円、シンガポールが1億7千万円、中国が1億円となっております。
(二)輸出拡大に向けた道や産地の取組について
道では、農畜産物等の輸出目標125億円の達成に向けて、今年度、どのような取組を進めているのか、特に、輸出に取り組む産地づくりへの支援を行っていると聞いていますが、そのような地域では、どのような取組が行われているのか、併せて伺います。
<答弁>
輸出拡大に向けた取組についてでありますが、道では、米・日本酒・青果物・牛肉を重点品目に設定し、品目ごとに様々な取組を実施しており、米については、中国における展示会への出展やレストランでの個別商談会の開催、日本酒につきましては、フランスや香港における展示会や商談会への参加、青果物につきましては、台湾における高級スーパーや百貨店での店頭プロモーションや、輸送の効率化に向けた実証試験、牛肉につきましては、ベトナムにおける調理方法の工夫による試食商談会の開催などに取り組んでいるところでございます。
さらに、関係団体と連携しまして、千葉県で開催されました国内最大級の輸出商談会であります「日本の食品 『輸出EXPO』」における北海道ブースの出展や、台湾からのバイヤーの招へいなどを実施しているところでございます。
また、道では、長いもの輸出量の拡大に向けた新品種の導入や輸送時の品質保持のための包装資材の開発、米の輸出用多収品種の研究や、玄米調製施設の改修、相手国に応じた牛肉の処理加工施設の整備や販路開拓に向けた調査など、輸出に意欲的な産地の取組を支援しているところでございます。
(三)台湾での農畜産物等のPR活動について
道では、先日、道内のJA関係者などとともに、台湾で道産農畜産物のPR活動等を行ったとのことですが、具体的にどのような取組を行ってきたのか伺います。
これまでも、台湾には、本道を含め多くの都道府県から様々な農畜産物が輸出されており、輸出相手国としては成熟国とも考えられますが、今後の輸出拡大に向けて、どのような課題があり、どう対応していこうと考えているのか、併せて伺います。
<答弁>
台湾における輸出拡大に向けた取組についてでございますが、台湾は、本道の農畜産物等の輸出額の3割を占めます重要な輸出相手国でございますことから、道では、平成28年度から台湾におきまして、量販店などでの販売促進活動や高級スーパーにおけます常設売り場の設置、百貨店におけます北海道フェアの開催などを行ってきたところでございます。
こうした中、台湾におきましては、残留農薬基準などの検疫条件や輸出手続きへの対応、さらには、国内外の産地との競争が激しいことが課題となってございます。
道といたしましては、こうした課題に対応いたしまして、道産農畜産物等の輸出を拡大するため、輸出規制の撤廃や緩和を国に要請しますとともに、プロモーションや商談会の開催によりまして北海道の安全・安心な農畜産物のさらなるPRに努め、輸出に取り組む産地を支援してまいります。
(四)新興産地等のPR活動について
道内の産地では、農畜産物等の輸出拡大に向けて、様々な取組が進んでいますが、輸出の取組を始めたばかりの新興の産地からは、地元産品の海外への売り込みを行おうとしても、単独では、勝手がわからずに厳しい状況があるとの声も聞かれます。
今回の台湾でのPR活動では、世界中の輸出入のバイヤーが一同に集まるイベントが開催されるとの情報をキャッチして参加したと聞いていますが、このことは、台湾だけでなく、世界中から食のプロが集結する一大イベントであり、こうしたイベントに、道内産地が結集して出展するなどの取組を進めることが、新興産地の輸出拡大のきっかけにもなると考えます。
今後、このようなイベントなどにおいて、産地の関係者と連携してPR活動を行っていくことが、農畜産物等の輸出拡大に向けた重要な取組と考えますが、道の見解を伺います。
<答弁>
産地と連携した輸出拡大の取組についてでありますが、新たに輸出に取り組もうとする産地におきましては、海外から求められるニーズや市場動向、検疫条件や輸出手続、輸出事業者など、様々な情報の把握が不可欠なことから、道では、国の事業などを活用して、輸出診断に基づく専門家によるアドバイスや、必要な情報の提供を行っているところでございます。
道としましては、今後とも、関係団体や輸出関連企業等と連携し、国内外で開催される展示会や商談会、販路開拓に向けたプロモーションなど様々な機会に意欲的な産地が参加できますよう、輸出に取り組みやすい環境を整えてまいります。
(五)今後の対応について
台湾を始め、中国へのコメや、米国への牛肉の輸出など、新たな市場や品目が拡大している中で、一層の輸出拡大に向けて、相手国となる様々な国や地域の文化、食生活などの状況をしっかりと見極めながら、チャレンジしていくことが重要と考えます。
農畜産物等の輸出目標125億円の達成に向けて、今後、どのように取組を推進していく考えなのか、所見を伺います。
<答弁>
輸出拡大に向けた今後の取組についてでございますが
日本とは異なる食文化や食習慣を有する諸外国への道産農畜産物等の輸出拡大に向けましては、その国々の嗜好に合った品目を選択して、その品目の特性を活かした調理方法や食べ方の周知と併せたプロモーションなどを実施することがさらなる需要の創出につながるものと認識してございます。
このため、道では、「第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略」におきまして、米や青果物、牛肉、日本酒を重点品目として位置付けており、例えば、米については、炊飯方法の実演による商談会を開催するなどし、 国ごと、品目ごとに市場ニーズを分析し、ターゲットを絞りながら戦略的に輸出の拡大に取り組んでおります。
道といたしましては、今後とも、関係団体や輸出関連企業等と連携をし、展示会や商談会などによりまして、世界から信頼される北海道ブランドの認知度を高めながら、海外市場を積極的に開拓してまいる考えでございます。
<指摘>
この質問に関しては、指摘を加えさせていただきます。
これらの問題は、台湾が、わりと出てきましたが、台湾に限った課題ではないと捉えてはおりますが、今回の質問について、理事者と意見交換をする中で、2023年まで道産食品の輸出額を1,500億円にすると、そのうち農畜産物・農畜産加工物の輸出額を125億円にする目標であるとのことは伺っております。
申し上げておきたいことは、例えば、この125億円の内訳をどの国に、何をどれだけ輸出する戦略をとっていくのか、いわゆるセグメントされた目標額を設定しなければならないということであります。
さらに言うと例えば、私たちの北海道は台湾からどれだけの台湾産食品を輸入し、農畜産物・農畜産加工物の輸入を行っているのかと問い合わせたところ、把握ができていないとのことでもありました。
輸出・輸入は、商売でもあります。それは等価でなくても相互交流であることは間違いありません。
観光客数を伸ばそうと期待する時に、さらには道産食品輸出を伸ばそうと期待する時に、一方的な増進のみを見込むことは無理があり、摩擦や軋轢を生んでしまうことに繋がります。
それは歴史が教えてくれることであります。
まずは、相手を知ること。その国から、地域からどれくらいの人と物が流れ混んでいるのかを相互に行き来があるのかを把握することが欠かせません。
その上で、何をどれだけ伸ばしていくのか国家間や地域間で相互に売り込んでいくことが必要です。
そのために必要な手立ては、戦術は千差万別であります。
ただ125億円分の輸出をしたいとPR等を重ねれば、実現すると信じることは、自己中心的な妄想でしかありません。
行政として自制してしまったり、自ら一線を画してしまうことは、攻める行政が求められる未来にとって足かせにしかならないのであります。
同時に、国内には、46都府県が存在し、それらは競合先であることを意味します。
地域間競争を勝ち抜いていかなければならず、そのような中でも北海道が優位性を保っていることに議論を待ちません。
だからこそ、道内の生産体制、相手国等の状況、情勢の変化を敏感に察知し、適宜、的確に後押ししていなければならないのです。
道は受け身であってはいけません。
これまでの行政手法に満足することなく、可能な限り、民間感覚で政策を推進していかなければ、目標の達成はおろか、その先の道を道民に示していくことはできません。
セグメントとされた個別目標に対して、必要な手段を講じることができるように国や民間そして相手国や地域と交流を深めながら、力を合わせて、元気あふれる北海道を実現して欲しいと強く要請をしておきます。
一 日米貿易協定について
はじめに、日米貿易協定についてですが、
日米貿易協定による本道農業への大きなダメージが危惧されることから、今定例会でも、我が会派では、一般質問で道の対応等を伺ってきましたが、新たな国際環境の下で、本道の基幹産業である農業が持続的に発展していくためには、対策の一層の強化が必要なことから、今後の対応などについて、以下、伺います。
(一)影響試算について
道は、日米貿易協定に係る影響試算において、関税削減に伴い生産額は減少するものの、国内対策の効果を見込み、生産量は維持されるとしています。
国でも同様の表現をしていますが、何故、生産量が維持されることになるのか、改めてその考え方を伺います。
<答弁>
生産量の維持についてでありますが、道が行いました影響試算では、産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業などの体質強化対策により、生産コストの低減や品質向上による国産の需要を確保することができ、牛・豚マルキンなどの経営安定対策により、価格下落に対しても所得が確保されることで、生産量が維持されると見込んだところであります。
(二)道の要請について
日米貿易協定により、国が「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂する方針を示したことを受けて、道は、関係団体とともにオール北海道で要請を行ったところですが、大綱の改訂に向けて、どのような点を重視して要請を行ったのか、伺います。
<答弁>
国への要請についてでありますが、道では、総合的なTPP等関連政策大綱の改訂に向け、日米貿易協定の合意による影響などについて、丁寧な説明を求めるとともに、農業の再生産を可能とする万全な対策として、体質強化対策、経営安定対策、TPP11協定の見直しを国に要請したところであります。
具体的には、体質強化対策として、 畜産クラスター事業や産地パワーアップ事業をはじめ、多様な担い手の育成、スマート農業の推進など、農業の生産基盤の強化に向けた対策の充実、輸出の拡大に向けた環境の整備、国産ナチュラルチーズ対策などの農林水産物等の競争力の強化を、また、経営安定対策として、牛・豚マルキンや加工原料乳補給金制度、畑作物の直接支払交付金などの対策の適切な運用を、さらに、牛肉、豚肉、ホエイのセーフガードが適切に発動されるよう、TPP11協定の修正をそれぞれ求めたところでございます。
(三)牛肉のセーフガードについて
牛肉のセーフガードについては、2020年度の発動基準数量が24.2万トンと、昨年度の米国からの輸入実績を下回る水準となった一方で、TPP11のセーフガード発動基準数量は、米国を含むTPPの数量のままであり、実質的には、豪州などからの輸入増に歯止めが効いていない状況と考えます。
道は、どのような認識でいるのか、伺います。
<答弁>
牛肉のセーフガードについてでありますが、日米貿易協定の合意により、米国産牛肉の輸入急増に対するセーフガードが措置された一方、TPP11協定に基づくセーフガードの発動基準数量が、米国を含むTPP協定と同じであり、実質的に発動しづらい状況でありますことから、TPP11協定の修正が必要と認識しております。
このため、道では、10月下旬に実施した総合的なTPP等関連政策大綱改訂に関する要請や、11月下旬に実施した、国の農業政策に関する提案において、セーフガードが適切に発動されるよう、TPP11協定の修正を要請してきたところでありまして、今後とも、適時適切に国に求めてまいります。
(四)牛肉生産への影響について
道が行った日米貿易協定の影響試算では、とりわけ米国産牛肉と肉質面で競合するホルスタイン種などの乳用種への影響が大きくなっています。
本道でもこれからは、他府県の主産地に負けない、国内外から高い評価が得られるような和牛の生産拡大に取り組んでいく必要があると考えます。
道では、和牛の生産振興をどのように考えているのか、伺います。
<答弁>
和牛の生産振興についてでございますが、本道は、和牛の飼養頭数では、鹿児島県や宮崎県に次ぐ、第3位の産地でございまして、府県に子牛を販売する、いわゆる、素牛供給地域としての役割を果たすとともに、近年は、国内外において和牛の需要が高まる中、北海道ブランドとしての牛肉生産の取組を進めてきたところでございます。
こうした中、このたびの日米貿易協定におきましては、米国向け牛肉の輸出枠が拡大されたほか、先月25日には、日中間で動物衛生検疫協定が署名をされるなど、今後、牛肉の輸出機会が拡大していくものと承知しております。
道では、これまでも、令和7年度を目標年とする「第7次北海道酪農・肉用牛生産近代化計画」に基づきまして、和牛の生産振興に向けて、優良な種雄の造成や繁殖雌牛の確保、飼養管理技術の向上などに取り組んできたところであり、今後も引き続き、関係団体・機関と一体となりまして、更なる和牛の生産振興を図りながら、本道の和牛の主産地としての確固たる地位の確立に努めてまいります。
(五)畑作農業の課題について
今回の日米貿易協定では、道の試算で生産減少額が大きいとされた牛肉や乳製品など、畜産・酪農への対応ばかりがクローズアップされていますが、日米貿易協定だけでなく、既に発効しているTPP11や日EU・EPAにおいて、小麦を始め、畑作物についても関税削減による生産額の減少といった影響があると試算されており、輪作を基本とする本道の畑作農業への影響が懸念されます。
道では、こうした情勢を踏まえ、本道の畑作農業が抱える課題をどのように認識しているのか、伺います。
<答弁>
本道の畑作農業の課題についてでありますが、日米貿易協定など、国際化が進展する中、実需者のニーズに即した高品質な畑作物の安定生産が課題となっているほか、地域におきましては、農業の担い手不足や高齢化が進行し、労働力不足が深刻化しております。
また、本道の畑作の安定的な生産に不可欠な輪作を構成します畑作4品につきましては、小麦や大豆の作付面積が増加する一方、これらに比べ、労力を必要とするてん菜や馬鈴しょの作付が減少傾向にありますことから、バランスのとれた輪作体系を維持することが課題となっております。
(六)畑作農業の推進方策について
適正な輪作体系を維持しながら、土地資源を活かした本道の畑作農業が、今後とも持続的に発展していけるよう、道として、どのように取り組んでいくのか、伺います。
ドローンによる農薬散布など、スマート農業の積極的な導入による省力化の推進のほか、排水対策などの農業基
<答弁>
畑作農業の振興についてでございますが、本道の畑作農業は、我が国の食料の安定供給とともに、地域の産業と結びつきながら、雇用や経済を支える基幹産業として重要な役割を果たす一方、国際化への対応や労働力不足など、多くの課題を抱える中で、関係機関・団体が一体となって、これらを克服し、国内外に競争力のある生産体制を構築することが必要と考えてございます。
このため、道では、国の「産地パワーアップ事業」や「畑作構造転換事業」などを効果的に活用しながら、てん菜や馬鈴しょの大型移植機や収穫機の導入をはじめ、トラクターの自動操舵や
盤整備の推進、さらには、実需者が求める品質を確保するため、新たな品種や技術の開発・普及などを総合的に推進し、実需者ニーズに即した生産や適正な輪作体系の維持・確保を基本に、本道畑作農業の持続的な発展に取り組んでまいります。
(七)財源問題について
日米貿易協定の影響で、関税等の削減・撤廃により、関税等を財源とする牛・豚のマルキン事業や、小麦など畑作物の経営所得安定対策などが、今後、安定的に講じられるかどうか懸念されるところです。
今回の協定の締結で、どの程度の関税等の減少が見込まれるのか、また、道は、これにどのように対応していく考えなのか、伺います。
<答弁>
関税等の減少についてでありますが、国においては、日米貿易協定の合意内容の最終年度における我が国の関税収入減少額等を機械的に試算しており、それによりますと、農産品については1,020億円、麦のマークアップについては208億円、それぞれ減少することとされたところであります。
一方、国は、現行の総合的なTPP等関連政策大綱におきまして、農林水産分野の対策の財源については、将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が削減することにも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する、としておりまして、道としましては、今後とも、対策に必要な予算の確保を、国に求めてまいります。
(八)今後の対応について
日米貿易協定により、農畜産物については更なる交渉が行われる可能性があることから、一般質問では、再協議に関する道の認識と対応について伺い、「国は、今後の再協議については、自動車、自動車部品を想定しており、それ以外は農林水産品を含め想定していない」との答弁でした。
しかし、一部の報道では、米議会下院が開催した公聴会で、農業団体から、米や乳製品の市場開放が不十分であり、追加交渉の対象とするよう求める声が相次いだことが報じられるなど、予断を許さない状況にあります。
道は、今後の日米交渉の行方にどう対応していくのか、また、新たな国際環境の下での持続的な発展に向けて、どのように取り組んでいく考えなのか、伺います。
<答弁>
今後の対応についてでありますが、日米貿易協定の合意により、グローバル化が一層進展する中、本道の基幹産業である農業が、いかなる環境下においても、その再生産を確保し、持続的に発展していくことが何よりも重要であります。
このため、道といたしましては、今後の日米間の交渉状況を注視しながら、国に対し、交渉に関する丁寧な情報提供と必要な国境措置の確保を求めてまいります。
また、関税の削減・撤廃の影響は、長期に及ぶ中で、農業者は将来に不安を抱えていることから、道といたしましては、協定の発効による影響を継続的に把握し、引き続き、国に対し、必要な対策と予算の確保を適時適切に求めていくとともに、改訂される総合的なTPP等関連政策大綱に基づく体質強化や、経営安定に向けた施策も効果的に活用しながら、農地や営農施設、農畜産物の集出荷施設等の生産基盤の計画的な整備、多様な担い手の育成・確保、生産性を高め、省力化を進めるスマート農業の推進、北海道のブランド力を活かした米や牛肉等の輸出の拡大など、生産力と競争力の一層の強化に努め、多様な担い手が将来に希望をもち、安心して営農に取り組み、次の世代に引き継いでいける北海道農業の確立に力を尽くしてまいります。
この件については、既にFacebook等で公開してきた内容です。
この度、鈴木知事や山岸道警本部長とも共有させていただくことになりました。
野党は基より、現場で加勢する「専門家」を自称する輩とも対峙していく覚悟です。
何も乱暴なことは致しません。法治国家として、毅然と対処していくのみです。
※更に、近日中に動画による質問&答弁も試みたいと考えています。乞うご期待。
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C,アイヌ総合政策の推進について
次に、アイヌ総合政策の推進について伺います。
この件につきましては、先の環境生活委員会で触れましたが、道警察本部にも関わることでありますので、改めて一般質問とさせていただき、知事と道警本部長から見解を伺います。
この事件は、9月1日に、紋別市内藻別川で、道の許可を得ずにサケを数十匹採捕した事件が発生したと報道されています。その場で道の職員が中止を求めましたが、紋別アイヌ協会の畠山会長が、9月1日午前5時頃に違反行為に及んだと承知しています。
① 事実関係他について
最初に、事実関係他についてお聞きします。
当日は、オホーツク総合振興局の職員がその場に居て中止を求めているとお聞きしています。昨年は、道警に協力を求め、立会って頂き、中止を求めて採捕が行われなかったと聞いています。その意味からも意図的であり、同一人物によって繰り返されている点からも、この密漁犯行は悪質であると言わざるを得ません。
道警が把握しているこれまでの経緯と、密漁犯行を未然に防ぐ意味から何故今年は道職員に同行することができなかったのかを、また、今回は既に道から告発を受けているとされていますので速やかな対応を求めます。道警本部長の見解を伺います。
<答弁> 道警本部長
・昨年の対応
道からの協力要請に基づき、警察官が現場に赴き、
法令に違反するサケ・マスの採捕がまさに行われようとするのを認めたことから、
その予防のため関係者に必要な警告を発し、
違反行為の発生を未然に防いだもの。
・本年の対応
道と対応策を繰り返し協議し、
伝統的な儀式に関連する行為であることから、まずは、
行政指導により、特別採捕許可の申請が行われることが
望ましいと判断し、道職員に同行しなかったもの。
② 再発防止について
次に、再発防止について伺います。
紋別アイヌ協会の畠山会長は、認められてもいない「先住権」や「自己決定権」を振りかざし、特別採捕の申請を拒否して、その場で密漁犯行に及んだと聞いています。
これは、権利云々の前に、身勝手な行動であり、国内のアイヌの人々やアイヌ施策推進法の成立に関わった方々にとっても迷惑であると断ずることが出来る密漁犯行であると言わざるを得ません。
私は、来年以降の密漁犯行を防いでいく為にも、今回の事案については厳正に対処していただかなくてはいけませんし、一方で、アイヌ施策推進法に則った特別採捕の申請については、柔軟な対応を検討する必要もあると考えます。
今回の件をどのように受け止め、またどのように対応していく考えであるのか、知事に伺います。また、密漁犯行の再発を防止するため、どのように取り組む考えなのか、道警本部長に伺います。
<答弁> 道警本部長
・来年以降の対応
これまでの経緯を踏まえつつ、
道を始めとする関係機関との連携を図り、
行政指導では違反行為を予防できないおそれがある場合
には、警察としても早めの指導や警告を行い、
道職員と共に特別採捕許可の申請を促すなど、
違反行為の未然防止に努めてまいる。
<答弁> 知事
・河川内におけるサケマスの採捕は、法や規則で禁止。
・アイヌ文化の伝承等を目的とする採捕は、特別採捕許可で認めている。
・今回、再三の指導にも関わらず、採捕行為に及んだことは、誠に残念。
・道としては、アイヌ施策推進法の主旨を踏まえ、
採捕が円滑に行えるよう検討しているところ。
・今後とも、申請が適切に行われるよう関係者に対し働きかけるなど、
道警と連携して再発防止に努めてまいる。
この質問は、未来の私たちにとって「新・エネルギー革命」とも言える大きなテーマとなっています。
その事実に気付いて頂ければ幸いです。
この課題についても、皆さんとお約束している「北海道の元気」の為に、必ずや実現させていきたいと決意しています。
※更に、近日中に動画による質問&答弁も試みたいと考えています。乞うご期待。
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B、家畜排せつ物の利用促進について
次に、北海道家畜排せつ物利用促進計画について伺います。
農水省の畜産統計や畜産物流統計、そして、道による第7次北海道酪農・肉用牛生産近代化計画などを見ると、北海道については、飼育農家戸数は減少しているものの、飼育農家の大規模化によって飼育頭数は増加傾向にあるとされています。基より、北海道が国内に向けて担うその役割は決して少ないものではなく、農業立国を目指す私たちは、効率的な大規模化を実現し「稼ぐ農業」を実現させていかなければなりません。
そのような中で、北海道家畜排せつ物利用促進計画が平成28年3月に策定され、令和3年3月には次期の見直しを予定していて、令和2年度に検討を行うと承知しています。
① 道内の状況について
最初に、道内において飼育頭数が増加するということは、自ずとその排せつ物の増加が必然であり、その処理については適切な有効活用と循環利用が求められます。
その発生量の将来見込みについて伺います。
<答弁>
・平成30年における道内の家畜排せつ物の年間発生量は、
約2千万トンと推計され、その9割が牛由来。
・道内の家畜の飼養頭羽数は、今後とも微増で推移すると見込まれる。
・家畜排せつ物の発生量についても、微増していくと見込まれる。
・一方、1戸当たりの飼養頭羽数は、
経営規模の拡大に伴い、着実に増加していることから、
排せつ物の戸当たりの発生量は増加するものと見込まれる。
② 家畜種別排せつ物の処理状況と課題について
次に、その処理状況と課題について伺います。
道内の家畜、いわゆる乳用牛、肉用牛、豚そして鶏、家畜種別によって排せつ物の適切な処理方法や利用促進に向けた課題は異なります。道は、これまで以上に生産性を高めた利用促進を実現させていかなければなりません。道によると、現段階で家畜排せつ物の量的処理や処理技術等について困っている状況にはないと聞かされておりますが、現場からは決してそのような状況ではないと聞かされるところです。
家畜種別排せつ物の処理状況と課題について伺います。
<答弁>
・道内において発生する家畜排せつ物のうち、
約9割を占める牛では、堆肥や液肥として、農地に還元されているが、
近年、バイオガスプラントにより
電気や熱に変換して活用する動きもみられ、
平成29年度は、発生量の6%程度が利用されている。
・豚では、堆肥化や浄化処理など、鶏では、肥料等として利用。
・家畜排せつ物の課題としては、牛では、1戸当たりの飼養頭数が増加し、
排せつ物の処理量も増えていることから、
堆肥舎など既存の処理施設の容量不足や、
未熟な堆肥のほ場への散布が見られること、
また、豚では悪臭の発生などがある。
③ たい肥センターについて
次に、たい肥センターについて伺います。
道内の地域によっては、たい肥センターが設置され、排せつ物の有効な利用促進が進められているとお聞きしています。たい肥センターが設置されることになる理由と、それらの現状や課題について伺います。
<答弁>
・道内では、畜産農家と耕種農家が連携を図り、
主に市町村やJAが中心となって、
家畜排せつ物や稲わら、麦かんなどを原料に、
良質な堆肥を効率的に生産する堆肥センターが、
平成29年3月現在、51カ所で設置。
・堆肥センターでは、畜産農家や、耕種農家が堆肥を利用し、
地力の増進を図っているが、
施設の経年劣化による修繕費の負担増や従業員の不足、
農家の離農等に伴い、計画どおり、堆肥の原料が集まらない
などといった課題がある。
④ 本計画の見直しについて
次に、計画の見直しについて伺います。
家畜排せつ物のエネルギー利用促進に向けては、道内市町村や各地の農協、農家の皆さんと情報を共有すると共に、新たな技術開発や導入を実現させていかなければなりません。
特に、家畜排せつ物を「廃棄物」としてではなく、「生産物」として付加価値化させるこによって、農業経営のコストとしてではなく、農業収入源の一つとして対応させていかなければなりません。
既にこれまで取られてきたたい肥化支援の各施策や補助金によって、農業関係者のたい肥化への依存は大きいものとなっていて、エネルギー利用へ振り向けられる関心は薄く、更に、これまでの計画内で触れられているエネルギー利用についての部分は極僅かであるに過ぎません。それらが、これら有効活用拡大の障壁となっていることは事実です。
道が掲げる新エネルギー導入の加速化を推進させていくことにより、道内における農業収益力強化の有効策として、家畜排せつ物のエネルギー利用促進は欠かすことができないものとなるに違いありません。
本計画のエネルギー利用についての積極的な見直しと検討に向けた考え方を伺います。
<答弁>
・道が平成28年3月に策定した本計画は、
国の基本方針等を踏まえ、
家畜排せつ物の管理の適正化や利用促進に向けた
基本的な考え方や推進方向を明らかにしたもの。
令和7年度までの10年間を計画期間。
・計画においては、家畜排せつ物の利用目標の一つとして、
「エネルギーとしての利用の一層の促進」を掲げており、
道内各地でバイオガスプラントによる
エネルギー利用の取組が進められている中で、
来春に改定が予定されている国の基本方針を踏まえつつ、
道としても今後の対応を検討してまいる。
⑤ エネルギー利用の積極的な支援について
この計画によると家畜排せつ物については、たい肥化とエネルギー利用の両立による適正な処理と利用が求められています。しかし、道内では発生量に対して6%程度しかエネルギー利用が実現しておらず、現在、道が掲げる新エネルギー導入の加速化の観点からも、そこに期待される可能性は大きなものがあると見込めます。
計画の中で、規模の拡大によって処理施設の容量が不足し、応急的な対策を余儀なくされている状況がみられるとしているように、圃場の限界に留まらず高齢化や労働力不足なども相まって、たい肥化するにも限界があることを承知しています。
これまで処理高度化施設などへの支援によって適切な処理によるたい肥化を実現してきたように、これからはエネルギー利用に向けた積極的な支援を充実させることにより、発生量の増加が見込まれる排せつ物に対して、生産性が高い有効利用を推進させなければいけません。
知事の見解を伺います。
<答弁>
・近年、畜産農家では、1戸当たりの飼養頭羽数の増加に伴い、
家畜排せつ物の発生量が増えており、
地域からは、貴重な有機質資源やエネルギー源となる
排せつ物の有効活用を図るための支援が求められている。
・道では、良質な堆肥の生産や適切な施肥管理、
地域の実情に応じたエネルギーとしての
一層の利活用を図るとともに、国に対しては、
堆肥舎やバイオガスプラントなどの施設整備等に必要な
予算の確保などについて要請。
・今後とも、家畜排せつ物の有効活用を積極的に推進しながら、
環境負荷の少ない持続可能な酪農・畜産の確立に努めていく。
この課題については、予算特別委員会は基より、引き続き議論を重ねていくことになりました。皆さんに未来であっても事実をお伝えしながら、私たちが携えなければならない覚悟について、朝街頭など様々な機会を通じてお伝えして参ります。
※更に、近日中に動画による質問&答弁も試みたいと考えています。乞うご期待。
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A,人口減少がもたらす危機について
最初に、北海道が直面している、人口減少がもたらす危機について伺います。
この質問は、「北海道人口ビジョン」及び「北海道創生総合戦略」によって示されている将来に渡る北海道の姿について、人口動態の捉え方次第では、北海道庁は基より、時に民間企業をも巻き込んだ諸計画に、大きな影響を与えるものとなり、その振れ方によっては、私たちや子供たち、未来に対して余りに大きな衝撃をもたらすことになると考え、知事にお伺いするものです。
敢えて言葉を選ばなければ、この危機の放置は、道内179自治体の存続を危ぶみ、北海道自身の破たんを容認しているとさえ受け取ることができるのです。
よって、以下に幾つか質問をさせていただきながら、私たちが覚悟しなければならない現実を整理した上で、新しい知事に、今後必要な政策及びその見直しを促すものとします。
なお、この質問のベースとなっているのは、本年7月に北海道経済同友会と北海道二十一世紀総合研究所が取りまとめられた「エビデンスから北海道の未来を~北海道経済白書に向けて~」であることを冒頭に紹介しておきます。
皆さんもご承知のように、北海道は、全国一早い人口減少による生産・需要の減少や国際的な観光地としての環境整備、あるいは広域での総合交通体系整備などの課題が山積しています。
特に、戦後に高度経済成長を遂げることができた先人と私たちは、拡大基調によって舵取りしてきたことを、それこそ拡大や成長によって幾つもの世界規模の危機を乗り越えてきたことを、成功体験として記憶しています。
しかし、これまで、先人と私たちが経験してきた成功体験とは大きく異なる現象によって、想像を遥かに上回る社会構造の混乱が既に始まっているのです。そんな縮小基調の中での舵取りがとれだけの痛みを伴い、目先の安易な選択に陥ってしまっていることが、将来に続く子孫たちに、計り知れない重荷を残していくことになるのかを覚悟しなければなりません。
最初に、現在の北海道のエビデンスを俯瞰しておくと、北海道の人口は、528万6千人(2000年対比93%、以下同様)、合計特殊出生率は、1.27(103%)、生産年齢人口は、58.3%(77%)、高齢化率は、30.7%(164%)、総生産額は、19兆181億円(92%)とされています。
僅か20年の変化としては、決して少なくないものと言えることが判ります。
① 人口動態の危機について
まずは、人口動態の危機について伺います。
私は、6年前に初めて朝の街頭に立って以来、北海道の人口が、驚くほどに急激に減ってしまうと訴えています。僅か25~30年の間に、北海道の人口は300万人を切ってしまうさえと訴えています。200万人以上の減少です。実に札幌市1つ分以上の減少です。人数が減るということは、伴って私たちの生産力が、消費力が、経済力が失われていくことを意味します。いわゆる「北海道の元気」が失われてしまうのです。
知事は、北海道の人口減少の現実をどのように捉えているのでしょうか。
維持することを目指すということではなく、現実をどう捉えているのかお聞きします。
<答弁>
・急速に進行する人口減少は、道政が直面する最大のピンチであり、
・様々な産業における担い手の確保
・消費の縮小
・地域交通の維持
・税収減による住民サービスの低下
など、幅広い分野において大きな影響を及ぼすもの
・地域社会の存亡にも関わる大変深刻な状況
② 諸計画の危機について
次に、諸計画の危機について伺います。
道が描く人口の未来像については、2040年には、人口を460~450万人を維持すると「北海道人口ビジョン」等で私たちに示しています。
同時に、そのレポートの中では、社人研が示す419万人という数値を引用することで、ある意味では計画自体に幅を持たせたいのだと、私は推測しています。
では、社人研説を用いて、2040年に419万人、2060年に308万人と覚悟した場合に、道が示してきた諸計画に与える影響はどれ程のものになるのでしょうか。
道が策定してきた諸計画について、社人研ベースの予想値も採用しているのか、その場合の影響はどれほどであるものか、主だった計画で構いません。その差異をお示しください。
<答弁>
・人口ビジョンでは、
2040年に「460万人から450万人の人口を維持する」との
人口の将来見通しと合わせて、
国の推計による2040年に419万人になるとの数値を示す
・各種計画においても、
国の推計を計画策定の基礎資料として取り入れていることから、
その影響はないものと考え
・そうした中、道としては、道民をはじめ、幅広い分野の方々と連携し、
人口減少対策を進めていく
・「460万人から450万人の人口を維持する」という
長期的な展望を現実のものとするよう、
人口の動向を注視しながら、創生総合戦略を推進
③ 必要な覚悟の危機について
次に、必要な覚悟について伺います。
決して避けられない少子化や高齢化は、昨日今日唱えられ出したものではなく、実は30年以上前から様々に説かれてきたことなのです。
しかし、時の為政者が有効な手立てを取ってこなかったのが事実です。私は、目の前の痛みを避けて、未来へと先送りしていただけと捉えています。
この春に新しく就任された知事には、明るく元気で夢や希望の持てる北海道の姿を示して頂くことも必要ですが、それでも未来を生きる子孫の為に相当の覚悟で道民に対して勇気を以って真実を語り、道民全体の覚悟を以って経営資源の<選択と集中>を断行し、未来に渡って勝ち残ることのできる北海道を創り上げていく義務があるのです。知事は、これからの道民の姿をどのように描いていらっしゃるのでしょうか。知事の見解を伺います。
<答弁>
・人口ビジョンにおいて、今後、有効な対策を講じない場合として、
2040年に本道の人口は419万人になるとの国の推計を示す
・全市町村の約半数が、現在の人口の6割以下になるという厳しい分析結果も提示
・次期創生総合戦略の策定にあたり、
・人口減少を巡る環境が依然として厳しい状況にあることを
改めて、道民の皆様とその危機感を様々な機会を通じて共有しながら、
人口減少に立ち向かう
・先人が幾多の困難に挑み乗り越えてきたように、
ひるむことなく勇気を持って「挑戦」
・将来にわたり安心して暮らし続けることのできる北海道づくりに全力で取り組む
④ 道都札幌市の危機について
次に、札幌市の危機について伺います。
先のレポートによると、札幌市の人口減少は独特であり、異質であると分析されています。札幌市の総人口は、まもなくピークを迎え、今後40年かけて減少する見込みとなっています。道内からの流入が続くと同時に、若者の流出が続くことで、2040年には極めて危機的な高齢化に陥ってしまうとされています。
更に、生産年齢人口が52.2%(2000年対比70%)と著しく落ち込み、北海道全体よりも経済・産業活動や雇用環境に大きな影響を及ぼすことになることが判っています。
実に40%を超える高齢化率と、2000年対比で2.6倍もの高齢者数となる現実は、有業率が示すように税収の深刻で大幅な減収を意味し、加えて医療介護費を含む義務的経費等によって、財政状況は危機的状況に陥るとさえ考えられています。
この予測を札幌市がどう捉えているのかは知る由もありませんが、先のレポートでは、札幌市の主力産業の市場は札幌市を含む北海道であり、札幌市を除く北海道の衰退が札幌市経済を直撃してしまう北海道の人口動態を踏まえると、外で稼げる食と観光や情報通信の成長を促すことが必要と論じています。
そのような状況であっても、札幌市が牽引役であることは変わりありません。北海道全体が運命共同体であることは変わらないのであります。
知事は、道市懇等で、相関関係にある札幌市と協力しながら、人口減少に立ち向かう術を、どのような政策を以ってこの難局に対峙しようとしているのか、見解を伺います。
<答弁>
・本道の人口の3分の1以上を占める札幌市との連携は大変重要
・これまでも、
・女性活躍の推進
・首都圏等からの移住
・UIターンの促進
・海外拠点によるアジアマーケットの開拓
など、連携した取組を進めてきたが、
札幌市と道、市町村が連携を更に緊密にして、
北海道全体の魅力を高めていく必要がある
・次期総合戦略の骨子案において、人口減少対策に関する札幌市との連携強化を盛り込み、
例えば、
・大学生や企業人材の交流
・生産から消費に至る経済活動
などを通じ、札幌市と道内各地域とのつながりを深めるといった観点
・具体的な連携方策等について、市と危機感を共有し、協議・検討
⑤ 将来税収の危機について
次に、将来税収の危機について伺います。
先のレポートでも示されているように…、
A,総人口の減少が大きく加速し、今の2倍のペースとなること、
B,年少人口が少なくなり、出生数の向上が非常に重要となること、
C,生産年齢人口が今後20年で82万人減少すること、
とされていて、これらはいずれも今後の産業・経済活動、雇用環境、社会保障に大きな影響を及ぼすことになると論じています。
1996年にピークを迎えた道内総生産20.9兆円は、このところ17~19兆円で推移しています。国レベルでは拡大を続けている現状からすると、全国に比べて回復が遅れていると評価することが出来ます。
更に、2040年には11兆円まで減少すると見込まれています。これは衝撃的な未来の姿なのであります。
そして、これはそのまま税収の減少を意味し、税収が2010年対比で2040年で64%、2060年で45%にまで悪化してしまうことが想定されています。道財政の環境悪化による諸計画の見直しが直ちに必要になることを自覚されています。交付金等による穴埋めは帳尻合わせの絵空事に過ぎないのです。収入が減る以上は将来に渡って支出を「増やせ」「廻せ」は通用しません。縮小の痛みは現実です。これまでの延長で図られる諸政策なのではなく、2040年以降の着地点を見据えた産業シフトの移行、言わば力点や支点を偏向させた諸政策の見直しが必要になってくると考えています。
道の見解を伺います。
<答弁>
・生産年齢人口が減少する本道
・高齢化の進展に伴う非就業者の増加等により、税収が大幅に減収となる一方、
・人口一人あたりの医療費、介護給付費の増加
など、行財政を取り巻く環境が更に悪化することが懸念
・こうした厳しい制約の下で、今後の施策の推進にあたっては、
労働生産性の向上等を図るため、
・AI、IoTや自動運転といったSociety5.0の実現に向けた未来技術の活用や、
・外需の取り込み
など、人口減少にも対応しうる本道の特性を生かした取組が重要
⑥ 数値設定の危機について
次に、数値設定の危機について伺います。
これまで質問してきたことからも、目指す姿を示すことも必要ですが、厳しい現実を道民に示していくことが必要です。
よって、これからの政策決定に用いられる人口設定を始めとした諸数値は、ダブルスタンダードであっても良いのではないでしょうか。縮小基調の中で必要なのは、目指す姿と同時に、「最小達成義務」なのではないかと考えます。道の見解を伺います。
<答弁>
・道では、5年を期間とする総合戦略において、
現状の数値を基準とした各種の数値目標やKPIを設定して取組を進めてきている
・こうした短中期的な見地から設定した数値目標の達成に向け、
毎年度、進捗状況を検証しつつ臨機に必要な見直しを行い、各般の取組を着実に進める
⑦ 必要な政策と見直しの危機について
次に、必要な政策と見直しの危機について伺います。
先のレポートでは、北海道が元気になるために欠かせない絶対条件は、域際収支の改善であると唱えています。それは、他地域に先んじて結果を残すことが出来ている農業、観光、エネルギー等の分野をより成長産業化していくことであるとしています。
これらについては、道によって既に十分に取り組まれてきた産業でもあり、とられてきた政策を推進させていくことは言うまでもありません。
しかし、人口減少と高齢化が想定以上に進んでしまう中で、就業者数の減少は顕著に進んでしまいます。持続的な経済成長を図っていくためには、道内総生産が就業者数と労働生産性に分解できるのであるから、労働生産性の改善が急務であると指摘されているのです。特に、小売り、運輸や建設、そして北海道の戦略産業である観光業の労働生産性の改善が必要であるとしています。
更に、現在、域際収支が大きなマイナスとなっているのは、輸出産業の集積・生産力が全国に比べて見劣りすることが大きな要因となっていて、道外・海外から稼げる産業の発掘、育成、強化が永続的な課題となります。
こうした中で、訪日外国人観光客の急増による道内での消費増加により、サービス輸出は著しく増加しています。そのまま域際収支の改善、道内総生産の増加に寄与しているのです。
道内においては、域際収支に拘った政策の展開によって、民間投資を喚起および呼び込むための戦略的な取組みが、北海道にとって喫緊の課題であると断言できます。
圏域外から稼ぎ出す力である域際収支は、そのまま地方創生の活性を計るバロメーターであるといっても過言ではありません。
知事は、北海道の域際収支の改善についてどのように考えているのでしょうか。
これまでの質問を通しながら、知事が捉えている危機感についてと、その危機に立ち向かう為に必要な政策とその見直しについての展望と見解を伺います。
<答弁>
・本道の強みである食や観光、エネルギーなどの地域資源を活かした産業振興や
インバウンドによる消費拡大など域際収支の改善に寄与する地域経済の活性化
・人口減少下においても、将来にわたり、心豊かに幸せに暮らし続けられる地域の実現
を見据えることも必要
・私としては、
・人口減少が地域に与える様々な課題への対応について道民の皆様と
その危機感をしっかりと共有
・道内179市町村とのスクラムを一層強化
・ 北海道を応援してくださる多くの方々の力も取り込みながら、
北海道創生の実現に向け、全力で取り組む
この質問は、アイヌ施策推進法の適切な実現とウポポイ年間来場者100万人の実現について議論させていただいたものです。
100万人の質問については、開設まで1年を切る中で、その効果を広げていくために避けて通れない「受益者」としての責務について問うと共に、一方で、現実的な目標設定を探る努力も怠ることは出来ないという思いからまとめてみました。
本件につきましては、引き続き注目して参ります。
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【北海道のアイヌ施策の推進について】
まず、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」、以下「アイヌ施策推進法」と言いますが、今年の四月に成立しています。
私は、この質問によって、このこと自体に主義や持論を持ち込む気はありません。
しかし、アイヌ施策推進法によって示された幾つかの点については、関連して道の施策に大きく影響すると考えられることから、以下の質問によって議論を進めたいと思います。
A,アイヌ施策推進法について
アイヌ施策推進法の成立に基づいて、「北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針」が定められています。先の委員会で説明され、パブコメが実施されました。
パブコメに寄せられた内容を読むと、実に多様な意見が寄せられていることに安心さえ覚えるところです。
先に示された素案によると、全ての道民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目標としています。
よって、アイヌだけの、アイヌだけによる、アイヌだけの為の新法でないことは明白です。
「相互」、言うなれば、日本国民としてお互いに人格と個性を尊重して共生していくことを目指したものと言えます。
① 「アイヌの人々」について
最初に、アイヌの人々について伺います。
アイヌの人々という定義が曖昧であるが故に、その対象は常にあやふやです。過去の委員会質問等で、その数についても議論してきたとこでありますが、急激に減り続けている実体を不都合として、これまでその表現に苦慮してきたことは明白です。そもそもアイヌ協会が認定することになっている「アイヌの人々」という過程が不適切なのであります。
アイヌの人々の数が減る一方であるのに対して、自らがアイヌであることを自覚しない日本国民を含めた「存在しているはず」の数を対象としたアイヌ施策の推進には、無理と無駄が生じます。
道は、アイヌ施策推進法の成立を契機として、国に対してアイヌ協会に頼らない「アイヌの人々」の精度の高い調査や特定を求めることが必要だと考えます。見解を伺います。
<答弁>
アイヌの人たちの実態把握についてでございますが、道では、道内のアイヌの人たちの生活の実態を把握するため、市町村やアイヌ協会のご協力をいただきながら、昭和47年から8回にわたり、「アイヌ生活実態調査」を実施し、アイヌの人たちの生活向上施策などの推進に努めてきたところでございます。
また、この度のアイヌ施策推進法の審議にあたっては、衆参両院において、アイヌの人々が北海道のみならず全国で生活していることを踏まえて、施策の充実に努めることや、施策の推進に当たっては、アイヌの人々の実態等の把握に努めることなどが附帯決議されており、国の基本方針にも、その旨が盛り込まれているところでございます。
道では、これまで、国に対しまして総合的な施策の推進を求めてきたところであり、今後におきましても、法の目的である共生社会の実現に向けて、国が主体となった先住民族施策としての総合的なアイヌ施策が一層推進されるよう求めてまいる考えでございます。
<指摘>
これまで行われてきた実態調査については、北海道アイヌ協会等の聞き取りが中心となっていて、客観的な調査であるとは言い切れません。むしろバイアスが掛かった調査となってしまうことは、これまで指摘した通りです。アイヌ施策推進法の成立を契機に、未来志向の政策展開を実現していくためには、肝心なところが偏向するのは許されることではないと考えます。決して出来ない相談ではありません。国に対して強く求めていくことを改めて要望しておきます。
② 未来志向について
次に、未来志向という捉え方について伺います。
これまで長きに渡り、アイヌ文化振興法等によって、アイヌの人々に対しては、生活支援や進学支援、生活全般に渡る施策を展開してきました。
しかし、その効果や成果は限定的であり、今回の「アイヌ施策推進法」へと繋がってきたのだと認識しています。
また、生活支援や進学支援については、国民の平均と比較して足りていないことが、繰り返し主張されてきたところでありますが、もはや優遇や配慮に過ぎることが逆差別につながっている段階へと入っていることが憂慮されていることも事実です。
地域によっては、アイヌ民族の意向が十分に反映されていないとの批判があるとお聞きしていますが、自立の可否が問われているとも言える「アイヌ施策推進法」にあっては、地域振興や産業振興などを含めて未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進することが強調されていると考えています。
道が想定している「未来志向」のアイヌ施策とは何を指しているのか、見解を伺います。
<答弁>
未来志向によるアイヌ政策についてでございますが、道では、「北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針(案)」におきまして、「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての道民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」ことを目標としたところでございます。
道といたしましては、道方針に定める目標の実現に向け、アイヌの人たちの生活向上施策や、本道にとってかけがえのない財産であるアイヌ文化の振興、さらには、将来にわたって輝き続ける北海道の実現に向けて、全道各地域の活性化、産業・観光振興などにも軸足を置いて、総合的なアイヌ施策の推進を図ってまいる考えでございます。
③ 道の方針や市町村の施策推進地域計画について
次に、道の方針や市町村の施策推進地域計画について伺います。
過去の委員会質問等で繰り返してきているように、私は、アイヌ文化の振興は、国や道、自治体が諸手を挙げて取り組むべきものであると考えています。アイヌ文化の振興を通じて、北海道や各地域が「北海道らしさ」を強みとして、観光産業のみならず、まちの元気に仕立て上げることが効果の高い一手であると考えているからでもあります。
アイヌの人々も色々です。アイヌ協会等を通じて新法制定まで努力を積み重ねてきた方もいらっしゃれば、アイヌ協会とは一線を画して活動を続けられる方もいらっしゃいます。いまだ差別を感じて不自由されている方もいれば、そもそも自覚のない方もいらっしゃるものと容易に推定されます。
北海道150年、否、それ以前からの北の大地には、私たちのご先祖様が連綿と繋がれてきた歴史が存在しています。
アイヌ施策推進法が制定された今となっては、アイヌの人々であろうとなかろうと、日本国民として、北海道道民として、活力あふれる元気な北海道の未来ために、新法を通じて何が出来るのか、その覚悟が問われているものと確信しています。
そのような中で、アイヌ施策推進法では、アイヌ民族の要望のみを尊重するためのものではなく、アイヌ文化をきっかけとして、地域振興や産業振興などを含め未来志向による施策の推進による双方の発展を求めているのでありますから、むしろアイヌ文化振興法では表していなかった部分、即ち、地域振興や産業振興などを通じた様々な取り組みが重要視されるべきだと考えています。本年9月中に取り決められる予定の道の方針や、その後市町村によって策定されるアイヌ施策推進地域計画においては、この点における取組に大きな関心が寄せられています。
そもそも道として、どのように考えているのか、どのように国と共に市町村に関わっていく考えであるのか、見解を伺います。
<答弁>
市町村のアイヌ施策推進地域計画についてでございますすが、アイヌ施策推進法では、市町村の地域計画に記載する事項といたしまして、アイヌ文化の保存・継承やアイヌの伝統等の理解促進、観光振興、産業振興、地域交流や国際交流の促進などの事業を掲げているところであり、道方針(案)におきましても、地域振興や産業振興などを含め未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進することとしております。
道といたしましては、市町村が地域計画に基づく事業を効果的かつ効率的に実施できるよう、市町村との間で情報交換や協議を行うための場を確保し、国や市町村からの情報収集を行い、また、広域相談員を配置し、アイヌの人たちや地域が抱える課題などを伺いながら、地域の実情に応じた、必要な助言や協力を行うなど、本道におけるアイヌ施策の一層の推進に向けて、市町村の取組を支援してまいります。
④ アイヌ協会等の関わり方について
次に、アイヌ協会等との関わり方について伺います。
地域振興や産業振興などを含めた未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進するために使われる交付金や法律の特殊措置については、アイヌ協会等が認定するものでなければならないのかを確認させてください。
北海道内に限らず、日本国内や世界には、アイヌ文化に関わる取組みは多数存在します。むしろ、アイヌ協会等と一線を画して活動する人々の支援に比重を置いて取り組むことが必要だと考えています。企業や地域・個人に至るまで、アイヌ施策推進法の趣旨に沿った多くの取組みがなされることこそが、これまでタブー視されてきた部分にも光が当たり、健全な法の趣旨を実現せしめることに至ることになると確信しています。
この交付金や法律の特例措置について、どのような方針や手続きとなるのかの見解を伺います。
<答弁>
アイヌ政策推進交付金などについてでありますが、アイヌ施策推進法では、総理大臣の認定を受けた地域計画に基づく事業を実施する市町村に対しまして、交付金の交付や、国有林野における林産物の採取、サケの捕獲許可等の配慮など、法律上の特例が定められているところでございます。
また、アイヌ文化の保存・継承などのほか、観光振興や産業振興などの、アイヌ施策の推進に資する事業を実施しようとする者は、市町村に対しまして、地域計画を作成することを提案することができるとされており、今後、市町村によるアイヌ施策が全道各地で積極的に展開され、アイヌ文化の振興や地域の活性化などにつながっていくことが期待されているところでございます。
<指摘>
今の答弁の中で、事業を推進しようとする者とあった「者」の部分ですが、くどいようですが「者」にあたる方々が、アイヌの人たちに限らないことを確認しておきます。
そこには、アイヌの人たちであってもアイヌ協会の非会員であったり、全国の企業・地域・個人が様々に、アイヌ文化を活用した事業について、その方の地元自治体を通じて事業を展開できることとなっていると理解しています。
私に言わせるならば、日本国民が、アイヌ文化を活用した健全な地域振興策に取り組む時に、地元自治体と協力して交付金を活用することができる、と理解することが出来るのです。
ここで、あるアイヌの方のご意見を抜粋して紹介します。
僕は、アイヌ政策の恩恵は受けていません。アイヌ協会の会員じゃないので、何の恩恵も受けません。でも、それが僕なので、恩恵は受けなくても、アイヌ文化を今の社会にリリースし共に共存したいと行動しています。道も国もアイヌを鍛えるべきです。(中略)差別だ何だと訴えて集まって来るだけです。(中略)補助金は生きたまま人を殺します。生きたまま死んでいるアイヌに僕はなりたくない。僕は日本社会の中で、補助金も無しで、ちゃんとアイヌとして、個人として、社会に必要とされ、生きていきたいだけです。アイヌ文化は北海道の社会でキチンと使われていないのです。まだ使える文化になっていない。だから関わる人たちが苦しむのです。僕は北海道のみんなに必要とされる、アイヌ文化のリリースをどうするか考えています。そんな僕なので、アイヌ政策には全く興味がないのです。アイヌ協会の人たちの為の政策です。僕はこれから、誰にも縛られないで、今を生きるアイヌとして、怒りでも恐れでもなく生きていけます。
これは実に重い言葉です。アイヌ協会の皆さんは基より、アイヌ行政に関わる私たちは、真摯に受け止めなければならない言葉だと考えます。
私たちは、何かをはき違えてしまっているのだと感じています。残念ながらその実態を鮮明にすることは出来ていませんが、今回のアイヌ新法の制定によって、一歩でもその実態に近づいていくことを、そして、アイヌ新法が目指す共生社会の実現を果たして参りたいと思うのです。道並びに道議会においても、タブーを恐れずに目標の実現に向けた取り組みが成されることを強く要望しておきます。
B,年間来場者100万人の実現について
次に、ウポポイの年間来場者100万人の実現について伺います。
この質問については、過去に三度、三年に渡り行ってきましたが、残念ながら時間を費やしただけであって、実感できる成果に辿り着けていないと地団駄を踏んでいるところです。
2020年4月24日まで1年をきる中、多くの課題と向き合っている現実を自覚しながらも、行政の限界を感じざるを得ない状態となっています。
① 年間来場者100万人の定義について
最初に、年間来場者100万人の定義について伺います。
これまでの質問で、明確にできていなかった、明確に答弁してこられなかった点です。
年間来場者100万人の対象範囲はどこになるのでしょうか。そして、それは2021年以降も継続されることになるのでしょうか。簡潔な見解を伺います。
<答弁>
来場者目標についてでありますが、目標の考え方につきまして、国に確認したところ、国立アイヌ民族博物館と国立民族共生公園からなる、いわゆる中核区域のほか、慰霊施設への来場者数を想定しているところでございます。
また、ウポポイはアイヌの人々による歴史・伝統・文化等の継承・創造の拠点となるほか、国内外の人々のアイヌに関する理解を促進するための施設でもあることから、開業年度のみならず、翌年度以降も、より一層多くの方々にお越しいただきたいとの考えでございます。
② 年間来場者100万人の実現責任について
次に、その実現の責任の所在について伺います。
私は、これまでの質問で、「主体」は国であって、道や自治体は「実体」であることは申し上げてきたところです。
しかし、これまで道は、「国及び道、北海道アイヌ協会など、関係者の協力のもと」に様々な取組が進められるものと認識していることや、「国やアイヌ協会、アイヌ文化財団、地元白老町などと一体となって」取組を進めると答弁されてきました。更には、応援ネットワーク会議やプロジェクトチームの設置によって、100万人の実現を果たすと答えるに留まっています。果たす責任がどこにあるのか、改めて、道の見解を伺います。
<答弁>
ウポポイについてでありますが、ウポポイは、我が国が誇るべきアイヌ文化を国内外の多様な人々へ発信することを通じ、アイヌ文化を復興・発展させる拠点として、また、我が国の将来に向けて、先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化をもつ活力ある社会を築いていくための象徴という、重要な意義を有する国家的プロジェクトとして白老町に整備が進められているところでございます。
ウポポイは、本道にとっても、かけがえのない宝になるものであり、道内各地域のアイヌ文化の振興や観光をはじめとした本道全体の活性化につながるものと認識をしております。
このため、施設の設置者である国や運営主体となるアイヌ民族文化財団はもとより、道や地元白老町、道内自治体や企業・団体など関係機関が目標を共有し、オール北海道で実現に向けて取り組むことが重要と考えており、道といたしましても、広域自治体として、しっかりと役割を果たしてまいる考えでございます。
③ 実現に向けての行動について
次に、実現に向けての行動について伺います。
私が捉えているのは、その実現の責任は、関係する全ての方にあるのです。これは不変の事実です。
よって、道にも責任はあります。むしろ、その責任は少なくないものであると言えます。
その責任を果たすための施策が脆弱過ぎると問い続けてきたのであります。それは、今日現在であっても変わりありません。誠に残念です。
何度も言いますが、行政が出来ることを積み重ねた結果で100万人の実現が出来るならば苦労はしないのです。努力が足りていないと根性論で唱えているのではなく、実現されるための道筋が見当外れであることを訴えているのです。
確かに、2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催年であり、訪日外国人の数が更に伸びることは容易に想像できます。2020年程ではないにしても、その後もこれまで同様に順調に推移することになるでしょう。
しかし、100万人をセグメントした資料を要約すると、訪日外国人旅行者が50万人、国内旅行者が43万人(道内31万人、道外12万人)、修学旅行生が7万人、となります。
残念ながら、これらは期待値です。そうなれば良いな~的なものでしかありません。100万人を埋めるための当て込みでしかないと考えています。
何度も求めている説明は、これらの数値を実現されるに足る行動、営業が成されているか、継続されているかです。
道は、実現させるに足る行動や営業が成されているとお考えですか。それは一体どの組織がどのように展開されているのでしょうか。道の見解と共に、具体的に教えてください。
<答弁>
関係機関の取組についてでありますが、ウポポイのプロジェクトの中心となる国や財団においては、広報や準備に向けた体制強化を図りながら、アクセス道路や駐車場の整備をはじめ、アイヌ語や多言語による展示解説や最新のデジタル技術を活用した魅力あるプログラム開発などの準備を進めているほか、全国的な観点からの広報活動を担っているところでございます。
また、白老町では、インフォメーションセンターをはじめとした観光商業ゾーンの整備や町内の周遊ルートづくりなど、地元として、観光客をおもてなす環境整備を進めているところでございます。
道といたしましては、道内や道外、海外といった市場動向を把握しながら、ターゲットに応じた国内外でのPRや、多様なメディアを通じた情報発信に努め、認知度向上を図っているほか、開業後の具体的な誘客につなげるため、関係機関と連携し、教育旅行の誘致や旅行商品の造成に向けた働きかけ、さらには、JR特急列車の増便やバス路線の開設など、交通アクセスの確保に向けて取り組んでいるところでございます。
今後、より一層の取組の加速が必要と考えていることから、先般、担当局長の設置など庁内の体制強化を図ったところであり、開業までの残された期間、関係機関と連携しながら、全庁一丸となって目標達成に向けて取り組んでまいります。
④ ウポポイの入場料とその範囲について
先日、ウポポイの入場料が公表されました。公園及び博物館の入場料は、大人一般1200円とし、団体や年齢による割引の設定がされるようです。ちなみに、中学生以下は当面無料とされています。
この1200円が高いのか安いのかの議論は別にして、私が注目したのはその範囲です。
「公園及び博物館」とされている入場料の対象範囲は博物館を越えて、周辺のエントランス館、学習館や交流ホールを含んだ公園部分も入場料の対象となっています。
これは、周辺住民等が公園内を散歩したり、気軽に立ち寄る機会の逸失に繋がってしまいます。
私は、博物館に加えて、仙台藩白老元陣屋資料館などへの周遊性を高めた上で1200円に設定する方が、100万人の実現及び継続に大きく寄与するものと考えます。
道は、遅まきながらも国と財団に対して申入れを行う必要があると考えます。
見解を伺います。
<答弁>
周辺観光施設との連携などについてでございますが、来場者の目標達成に向けては、国内外からの誘客はもとより、地域の方々にも足を運んでいただくことが重要と認識しております。
白老町では仙台藩白老元陣屋資料館など観光施設と連携して誘客を図る方策や、地域の方々が気軽にウポポイに訪れることができる方策について検討しているところでございます。
道といたしましても白老町と相談しながら、国や財団と協議してまいりたいと考えております。
⑤ 在るべき姿について
次に、実現に向けた「在るべき姿」について伺います。
これも過去の質問の繰り返しになってしまいますが、私は、対象エリアの拡大と実現可能な数値の設定が必要だと考えています。開設まで1年をきった今となっては、それは急務に違いありません。
対象エリアについては、中核施設のみとせず、慰霊施設や関連区域を含めては如何ですか。せめて近隣宿泊施設や日帰り温泉客を加えることに無理はありません。来場者人数についても、過去のピークが87万2千人であったことは承知していますが、直近来場者数は18万9千人にまで落ち込んでいます。期待値で煽るのではなく、必要な行動を積み上げた結果としての数値を設定する必要があります。
100万人という設定が既に閣議決定を経ていることから、2020年の好環境を考慮すると避けることが出来ない数値設定なのかもしれません。しかし、2021年以降については十分に検討が可能です。また、それに向けての必要な行動の積み重ねも可能です。
年間来場者数の適正化と、その継続性の担保が求められます。そして、受益者としての国、道、そして地元白老町は、それから逃れられない責任があることを自覚し、覚悟するべきです。道の見解を伺います。
<答弁>
今後の取組についてでございますが、国におきましては、ウポポイが公開される次年度以降も継続して、多くの方々に訪れていただくことが大切と考えており、道といたしましても、ウポポイがアイヌ文化の振興はもとより、本道観光や経済活性化に向けた牽引役として、大きな役割を担うものと期待をしているところでございます。
このためには、国内外に向けたPRをはじめ、お越しいただく皆さまに満足いただけるよう、交通アクセスなど受入環境の充実を図るとともに、周辺地域との連携が不可欠と考えているところでございます。
今後、来場される顧客ニーズを的確に把握しながら、おもてなしやプログラムの充実を図るなど、継続して来場されるよう長期的な視点に立った、安定した施設運営につきまして、国や財団に対して働きかけを行っていきますとともに、道といたしましても登別や洞爺湖温泉などの観光地や道内のアイヌ文化、さらには、縄文遺跡やむかわ竜など、本道の魅力ある歴史・文化資源との連携を進め、相乗効果を高めながら、オール北海道で継続した取組を進めてまいる考えでございます。
<指摘>
道は、直ちに、国やアイヌ文化財団、地元白老町、応援ネットワーク会議やプロジェクトチームと協力して、現実的な数値と、それに必要な行動の決定を導き出して、国と協議を開始する必要があると考えます。
言うなれば、ウポポイは、観光立国を標榜する北海道にとって、大きなコンテンツの一つです。その評価の行く末が危ぶまれているこの段階で、指を咥えて眺めている訳にはいきません。なにも楽な道を選ぼうと勧めているのではありません。実現可能な数値に見合う予算しかかけられないことは周知の事実です。国立博物館だからと言って本関連予算執行に取り憑かれ過ぎ、本来の目的を見失うことは許されないのだということを明確にしているだけです。
特に、道と地元白老町にとっては、獲得する予算規模に見合う行動の積み重ねが足りていないと考えています。主体が国だからと言って責任逃れに終始するのではなく、受益者として積極的に必要な行動を積み重ねることが大切です。この点は深く理解していただきたいと切望しています。
言ってしまえば、年間来場者数設定の適正化の後に、アイディア豊富で経験十分な民間に委託してしまうことの方が、余程上積みの期待ができるとさえ思うのであります。
開設まで一年はきってしまいましたが、引き続き関心をもって議論を続けたいと思いますので、何卒よろしくお願い致します。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
先日の報道でもあった通り、9月1日午前5時頃、紋別市内藻別川で、紋別アイヌ協会の畠山会長が違法なサケ採捕を行いました。これは、「アイヌ施策推進法(平成31年4月成立)」によって、アイヌ民族の伝統儀式に使用するための採捕として、特別申請を行えば問題なく採捕して頂くことが出来ることとなっています。
しかし、認められてはいない「先住権」や「自己決定権」を振りかざして密漁犯行に及ぶことは、新法成立を目指し活動して来られた全国に住んでいらっしゃるアイヌの人たちや関係者の皆さんにとって誠に迷惑な事件であると断言できます。
よって、環境生活委員会で取り上げ議論させて頂くこととしました。
この件につきましては、引き続き第三回定例会の一般質問で、北海道警察の対応も踏まえた今後の在るべき姿を導き出したいと考えています。
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A,アイヌ総合政策の推進について
「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」以下「アイヌ施策推進法」としますが、平成31年4月の成立に伴い、これまでの考え方に、新交付金や各種規制緩和、象徴空間への対応などを加えた新法となっていると承知しています。
そのような中で、9月1日に、紋別市内藻別川で、道の許可を得ずにサケを数十匹採捕した事件が発生したと報道されています。その場で道の職員が中止を求めましたが、紋別アイヌ協会の畠山会長が、9月1日午前5時頃に違反行為に及んだと承知しています。
このような事件が発生したことは、アイヌ施策推進法の成立による未来志向の政策を推し進めていかなければならない私たちにとって、誠に残念なことであると言わざるを得ません。
そこで数点お聞きしておきます。
① 事実関係について
最初に、事実関係についてお聞きします。オホーツク総合振興局の職員がその場に居て中止を求めているとお聞きしています。これまでの経緯を教えて下さい。
<答弁>
(サケ・マス)
・ 水産資源保護法、北海道内水面漁業調整規則で
河川など内水面での採捕禁止
・ アイヌ文化の伝承等を目的とする採捕は、
同規則による特別採捕許可で認めている
(紋別アイヌ協会の会長)
・ 河川でのサケ・マスの採捕は、アイヌ民族の権利であると主張
・ 昨年から許可を受けずに、採捕に及ぼうとしていたため、
道は、再三にわたり、許可申請を行うよう指導
・ 9月1日、同会長ほか1名が、道職員の制止を無視し、
河川において、許可を受けずに、サケ・マスを違法に採捕
・ 道では、この違反行為を現認し、同日付けで紋別警察署に告発
<指摘>
この質問の意見交換の中で、「昨年は道警が立会い、中止を求めて採捕が行われなかったと聞いていて、今年はなぜ道職員に同行することができなかったのかと、また、今回は既に道から告発を受けているとされていますが、今後どのように対応されることになるのか」とお聞きしようとしたところ、道警から答弁を拒否されるという誠に遺憾なこととなりました。道警の犯行を見過ごす状況を放置することは出来ません。この件については、第三回定例会の一般質問で取り上げることと致します。
② 「アイヌ施策推進法」上の特別採捕等について
今年4月に成立した「アイヌ施策推進法」において、特別採捕については、特別採捕の申請を行えば、問題なく採捕して頂くことが出来るとされています。
しかし、紋別アイヌ協会の畠山会長は、先住権や自己決定権など認められていない権利をかざして、特別採捕の申請を拒否して、その場で違反行為に及んだと聞いています。
これは、権利云々の前に、身勝手な行動であり、国内ほとんどのアイヌの人々にとっても迷惑であると断ずることが出来る違反行為だと言わざるを得ません。
このケースにおいては、どうあるべきであったのか、「アイヌ施策推進法」に基づく、道の立場からの解釈を伺います。
<答弁>
(アイヌ施策推進法)
農林水産大臣または都道府県知事は、
市町村の地域計画に記載された内水面サケ採捕事業実施のため、
漁業法及び水産資源保護法による許可が必要とされる場合、
当該事業が円滑に実施されるよう適切な配慮をする。
(今回の事案)
・ アイヌ文化の伝承等を目的として行われるサケ・マスの採捕
・ 北海道内水面漁業調整規則による特別採捕の
許可を受けて実施されることが適切
③ 今後の対応について
次に、今後の対応について伺います。
実は、紋別におけるサケの捕獲の違反行為は今年に限ったことではないようです。先ほども述べましたが、昨年は道警が立ち会うことで防止することが出来ましたが、それ以前については定かではありません。
同日、千歳アイヌ協会が行ったアイヌ民族の儀式では、特別採捕の申請が事前に行われており、伝統の漁法でサケの捕獲が実施され、160人もの関係者が集まり、感謝の祈りが奉げられたそうです。
一体、この差は何なのでしょうか。
道及び道警は、紋別アイヌ協会の畠山会長に、今後の無用な違反行為を防ぐために諦めることなく働きかけることが必要です。どのように働き掛けを行うことになるのかを伺います。
更に、「アイヌ施策推進法」の成立には、北海道アイヌ協会が深く関与されています。今回の残念な違反行為について傍観者を決め込んでもらっては困ります。紋別アイヌ協会に限ることなく、道内の各アイヌ協会や各地で伝統の儀式を行う際に、「アイヌ施策推進法」に基づいた諸手続きを取るように周知徹底させる協力を求め、早期に、継続的に実施されるように求めることが必要です。
それぞれに見解を求めます。
<答弁>
・アイヌの伝統的な儀式や漁法の伝承、知識の普及啓発は、
特別採捕許可の目的の一つに位置づけ
(アイヌ文化の伝承等を目的とする採捕)
北海道内水面漁業調整規則による特別採捕許可の
申請を行うよう、引き続き指導
(アイヌ施策推進法に基づく市町村の地域計画に記載される事業)
道アイヌ協会や市町村に対し、必要となる許可手続きを、各地域協会を
はじめとする等に係るアイヌの人たちへの周知について、協力を求めてまいる
<指摘>
今回の事件は、「アイヌ施策推進法」の趣意を翻弄させるものであり、まさに未来志向で取り組もうとする国や道、市町村や関係する企業・地域・個人に対する裏切りとも言える違反行為だと考えています。
一方で、ルールに則った特別採捕の申請については、柔軟な対応を検討する必要もあると考えます。
今回の質問を通じて、北海道アイヌ協会と道内各地アイヌ協会の関係性を知るところとなりましたし、「アイヌ施策推進法」によって目指す姿を邪魔する人たちに、アイヌの人々も居ることを知り、私は誠に残念な思いであります。
私たちは、日本に、北海道に住まう者として、「アイヌ施策推進法」の成立を通して、アイヌ総合政策の推進を実現させなければなりません。
もはや、民族問題としてではなく、地域振興が根底になければ、両者の元気が損なわれていってしまうことになりかねません。
既に、どちらかだけが通ればいいという環境にないことについて、議論の余地はないのです。
「アイヌ施策推進法」にも使われることになった「未来志向」という言葉に、私たちが直面する様々な危機を乗り越えていくために必要な「元気」を含ませなければなりません。
この件につきましては、改めて9日の前日委員会で触れさせていただき、今一度「アイヌ施策推進法」について整理し、優先して取り組むべき課題について議論させて頂きたいと考えています。
これで質問を終わります。ありがとうございました。