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2025/12/5

令和7年 第四回定例会 一般質問 「宿泊税の基金創設について」

 

 

この質問は、来年度導入が決まっている宿泊税の運用について、現在道が策定を進める内容に一石を投じるものとなります。

 ①基金内で「積み立て」を行うことに反対しています。

 ②使途の健全性を担保する手段を整えておく

  →本税は、『法定外目的税』です。 北海道を強くしていくために、

   観光をエンジン装置として整えていく仕掛けの財源が必要となります。

   しかし、この政策を準備する中で「積み立て」し、運用に幅を持たせ

   ようと企てている節が見受けられます。尤もらしい理由を添えて…

   納税者である「北海道民を中心とした観光客の皆さん」のみのために

   なる使われ方を整えておかなければなりません。

 決して「税を使う側」にとって便利な財源である必要はないのです。

孤軍奮闘ではありますが、引き続き道に対して正してまいります。

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二 宿泊税の基金創設について

(道見議員)

道がこれまで導入しようとしてきた宿泊税については、議会でも議論を積み重ねてきたところではありますが、未だ全体として整うには至っていないと認識しているところであります。

私は、これまで観光局から丁寧な説明は受けてはきたものの、いわゆる道の立場を解説されたにすぎず、最適解を模索するものではなかったことは極めて残念であります。

また、私としては基金創設に反対の立場を取っていて、その理由としては第一義として宿泊税を支払っていただく皆さん、そのほとんどを北海道民とする観光客のための使途とはなっておらず、宿泊税を使う立場の都合から使途設計がなされてしまっていること。

さらに、基金を創設し、その中で積み立てを繰り返すように設計されてしまっていることを理由としています。

私は、宿泊税は、納める皆さんのためにのみ使われることが肝心であり、理由は様々でありますが、税を使う立場に都合良くなってしまっている設計について賛成することができないのであります。

また、税収を積み立てることを前提とした運用を繰り返すうちに、様々な理由を持って、もっともらしい理由を携えた税が、その積立基金を狙うことになるに違いありません。

観光局によると、その理由の一つに災害時等の観光振興の手当があるそうですが、それに宿泊税基金の積立をあてにするのは大間違いです。その宿泊税を支払う観光客の皆さんは、その災害等を前提にしていないことは明らかです。

私の考えるところによれば、その運用は税収の全額を翌年度に全て使い切る原則のもと、もし不足等が発生する場合には一般財源等から補充することによって、施策を実行することで積立はしなくても良いこととなるのであります。

私はこのような議論を観光局と繰り返してきましたが、先日の新聞報道で堂々と基金創設をアドバルーン的に公表しています。この点も決して褒められる手段とは言えません。このような既成事実を積み重ねて議論を通そうとすることに賛同できるわけはないのであります。

そこで知事と観光振興監にお聞きをします。

 

(一)宿泊税収の受益者について

(道見議員)

宿泊税収は一体誰のために使われるものなのかを道に伺います。

 

<答弁>(観光振興監)

宿泊税の使途についてでありますが、道宿泊税条例では、地域社会及び本道経済の発展に資する観光の振興を図る施策に要する費用に充てるための宿泊税を課することと規定してございまして、「新税の考え方」では、宿泊税を充当する原則的なルールといたしまして、宿泊者の受益という点で関連性が整理できる施策につきまして、充当することとしてございます。

道としては、宿泊税をご負担いただく宿泊者の方々のニーズを把握した上で、市町村や事業者の皆様と意見交換を行いまして、「宿泊税充当施策の基本的な考え方」案を取りまとめ、お示ししたところでございまして、今後、道議会でのご議論を踏まえ、具体的な宿泊税充当施策が、宿泊税をご負担いただく納税者である宿泊者の方々の理解と納得が得られるよう、検討してまいりたいと考えております。 

 

(二)基金の積み立てについて

(道見議員)

基金創設は百歩譲ったとして、基金に積み立てることはせず、私が提案している翌年度に使い切る運用方針をとることは出来ないのかを道に伺います。

 

<答弁>(観光振興監)

宿泊税充当施策の予算化についてでございますが、道では、先行して宿泊税を導入している道外の他地域に後れを取ることなく、安定的な財源のもと、質・量とも充実した施策を展開し、魅力的な北海道をつくり上げることが、納税者の受益という視点からも、重要であると考えておりまして、令和8年4月からの導入開始を見据え、使途の検討を進めているところでございます。

道としては、こうした考え方に基づき、宿泊税の使途が、

納税者の皆様の理解と納得が得られるものとなるよう、

「基本的な考え方」案でですね、お示しをした取組の方向性をもとに、道議会でのご議論を踏まえ、具体的な施策の検討を深めてまいります。

 

(三)宿泊税収の使途の健全性の担保について

(道見議員)

本税の税収について使途の健全性の持続の担保はどのように図るのかを道に伺います。

 

<答弁>(観光振興監)

 宿泊税の使途の検討についてでありますが、道では、宿泊税充当施策の検討に当たりましては、目的税の性質に鑑み、検討過程における透明性を確保しながら、地域の課題や実態を踏まえた施策展開となるよう取り組むことが重要であると認識してございます。

このため、道では、「新税の考え方」において、納税者となる宿泊者の方々のご意向などを把握した上で、振興局ごとに市町村や事業者の方々との意見交換を行いまして、施策を検討する仕組みをお示ししているところでございます。

道としては、危機対応の検討におきましても、この施策を検討する仕組みによることが必要と考えておりまして、地元市町村や事業者の方々のご意見を伺うことを基本に、宿泊税充当の原則的なルールとの照らし合わせを通じまして、それに基づきまして、施策の客観性を十分意識し、検討を進めた上で、議会ともご議論いただきながら、施策を実施してまいります。

 

(三)-再 宿泊税収の使途の健全性の担保について

(道見議員)

道は議会議論を経ながら使途の健全性を担保しようとしていますが、それは責任転嫁でしかありません。そもそも今回の議論がそうであるように、あくまでも道は道の立場を解説、説明するだけに過ぎず、それを持って健全性を担保することはできないのであります。

もう一度言います。議会議論を通して、道の施策を正そうとしているにもかかわらず、肝心なところを道の立場を解説・説明するだけに終始することで、どうして健全性が担保できるのでしょうか。議論が破綻しています。

知事が道の立場を解説・説明することを議会議論と称す

るのであれば、もはやそれは議論とは呼べません。一体誰のために法定外の税を設けようとしているのか分からなくなります。

そもそも積み立てするから、目的外使途が生まれるのです。災害時など、本来、別途予算から拠出されるべき物まで使うことを道は目論んでいるのであります。

厳に慎まなければなりません。知事は道の立場を解説・説明することで健全性が保てるとお考えなのか改めて伺います。

 

<答弁>(知事)

宿泊税の使途の検討についてでありますが、道では、宿泊税の検討に当たっては、納税者となる宿泊者の方々のご意向などを把握した上で、振興局ごとに市町村や事業者の方々との意見交換を行い、施策を検討する仕組みをお示ししているところであります。

道としては、危機対応の検討においても、この施策を検討する仕組みによることが必要と考えており、地元市町村や事業者の方々のご意見を伺うことを基本に、宿泊税充当の原則的なルールとの照らし合わせを通じ、それに基づき、施策の客観性を十分意識し、検討を進めてまいります。

 

(四)宿泊税の増税について

(道見議員)

宿泊税の増税が視野にあるのかを知事に伺います。

 

<答弁>(知事)

宿泊税の見直しについてでありますが、宿泊税条例では、条例施行後5年ごとに、取組の推進状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしているところでございます。

今後、将来的な見直しにおいては、宿泊税導入後、税をご負担いただく納税者の皆様からの声などをお伺いし、条例の施行状況を勘案しながら、適切に対応してまいります。

 

(四)-再 宿泊税の増税について

(道見議員)

宿泊費や観光振興費、さらにインバウンドの増加などを受けて総費用は上昇していくものであります。その意味では、然るべきタイミングでの増税もあり得ることだと私は考えます。

例えば、東京都の宿泊税は平成14年10月の開始から20年以上経過をいたしました。 現在、値上げや定率制に向けての制度改定を検討中であると伺っております。しかし、不思議なことに、旅館やホテルの業界団体が宿泊税の引き上げを求めているそうであります。宿泊税を集める側が増税を要望するのには違和感を覚えます。天地が逆転してしまっているようです。すっかり税金を使う側になってしまっている調査なのであります。

このことからも、私は、税金を支払う側のためにはなっていない政策だと考えています。使う側のための増税では、納税者に納得していただくことはできません。しかも、それを議会議論によって正当化しようとしても、さすがに未来の議会は黙っていないでしょう。知事は、今後の増税見込みについてどう見込んでいるのか伺います。

 

<答弁>(知事)

宿泊税の見直しについてでありますが、道では、新たな行政需要などといった社会経済情勢の推移等を勘案することとしておりますが、この検討過程においても、納税者の皆様からの声もお伺いしながら、条例の施行状況を勘案しながら、適切に対応してまいります。

 

<指摘>(道見議員)

今回私が伺った、いったい宿泊税は誰のために使われるものなのかについて、私はこう考えています。この税収は納税者のために使われるものであり、納税者とは、納税された宿泊客なのであり、その7割以上を北海道民に頼るのであれば、北海道民を中心とした観光客のためにのみ使われるものだと考えています。

しかし、今の道は、その税収を使う立場の皆さんを中心に使途を組み立て、挙句の果てに、それを安定運用の名のもとに積み立てて、例えば、災害時等に活用すると設計しているのであります。それは、誰のためをはき違えていることにほかなりません。

道は宿泊税に関する議会議論を次の定例会に持ち越すことを表明しました。私は、今回の質問と答弁で、議会議論の意義が根底から覆されるような内容が明らかになったと落胆するばかりであります。この点については、くれぐれも、納税者のためを見失わぬよう、ここからが肝心ですが、そして、あなたたちの後輩にあたる執行者たちに、明快な範を示し、残していただくことができるよう、整えていただきたいと強く要請しておきます。