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2024/04/10

令和六年四月 一斉委員会 建設委員会 「空家対策について」

A,空き家対策について

 

空家空き家対策については、先月の委員会等で報告されたところですが、令和5年12月の法改正に伴い、「北海道空き家対策に関する取組方針」の見直しが行われると承知しております。

今回の法改正では、市町村による積極的な対応が可能となり、「空家の発生」から「特定空家」の中間を「管理不全」と位置付け、効果的な空家の悪化防止や活用促進を図ることとなります。

以下、順次お聞きして参ります。

 

①道内の空家の現状と課題について

最初に、道内の空家の実態についてお聞きします。

ここで扱う空家の定義を「居住目的のない空家」、いわゆる別荘などの二次的住宅、賃貸用や売却用の住宅を除くものとし、以後この質問では「空家」と称します。

道は、空家を2018年で約16万戸だったものを、2030年で18万戸程度に抑制することを掲げています。

そこで、今後の対策を施さなければ空家の数はどれ位迄増加をしてしまうと見込んでいるのか教えてください。

その見込んだ空家の数から18万戸を差し引いた数が施策効果と言えますが、それは妥当と言えるものなのでしょうか。

加えて、抑制された18万戸のうちの「札幌市内とそれ以外の空家」の数、更に「所有者不明とされる空家」の札幌市内とそれ以外の数を教えてください。

 

 

<答弁>

 道内の空き家戸数の現状についてでありますが、国では、全国における空き家戸数について、直近のトレンドに基づき、2018年には349万戸であったものが2030年には470万戸程度になると推計しておりまして、国と同様に道内の空き家戸数を推計しますと2018年には15万7千戸であったものが2030年には21万戸程度となり、住生活基本計画において目標としております18万戸程度と比較すると3万戸程度の抑制が見込まれるところでございます。

 2030年におきます札幌市内とその他の市町村の戸数内訳及び所有者不明とされる空き家戸数は把握をしておりませんが、2018年時点の空き家戸数は、札幌市内が4万4千戸、その他市町村が11万3千戸と、札幌市内が全道の約28%を占めているところでございます。

 

<指摘>

指摘を加えておきます。

いま答弁で3万戸を抑制することを明言していることからも、この3万戸を抑制することが可能な施策の展開が必要になることを知らなければいけません。

「空き家を抑制する」ということだけなのではなく、五年間で3万戸以上を抑制することが可能な施策の絶対的行動量が必要なのです。

局の皆さんにおかれましては、この点を十分に意識された有効な仕掛けを配して頂けますようにお願いしておきます。

 

②道が果たす役割について

次に、道が果たす役割についてお聞きします。

空き家対策の主体が市町村であることは言うまでもありませんが、だからと言って道が見守ればいいという課題ではありません。道でなければ果たせない役割を自覚し、市町村と共有して役割を果たさなければいけません。その効果を担保していくのが道の責務だと信じています。

私は、これらの施策を法の目的に照らし、市町村と今回新たに設置を見込む支援法人が活用し易い環境を整えることが道の役割だと考えているところです。

しかし、市町村における人員不足は顕著であり、その具体的な施策については心細い状態であることが見込まれています。

道が想定している役割と施策や展開について教えてください。

 

 

<答弁>

 道が果たす役割についてでありますが、平成27年に策定した「空家等対策に関する取組方針」において、道の役割を国などとの調整連携を行うほか、市町村への支援を行うとともに、広域自治体としての施策を推進することと定めているところでございます。

 このたびの法改正により、空き家の活用や管理等について所有者が相談できる環境が十分でないことや、多くの市町村で空き家対策に取り組む人員が不足していることなどを背景として、空き家の活用や管理に取り組む空家等管理活用支援法人制度が、新たに創設されたところであり道としましては、法改正の趣旨を踏まえ、市町村や関係団体と連携を図りながら、市町村が指定する法人が、効果的な空き家対策を進められるよう取り組んでまいります。

 

③法改正の効果について

次に、法改正の効果について伺います。

国は、今回の法改正により、全国ベースで、a,空家等活用促進区域の指定数を5年間で100地域に、b,空家等管理活用支援法人の指定数を5年間で120法人に、c,市町村の取組みにより管理や除却等された管理不全空家及び特定空家数を5年間で15万物件とすることを掲げています。

道は、この3つの視点について、道内でどのように、またどれ位実現させようとしているのでしょうか。

 

<答弁>

 空き家対策の取組についてでありますが、空家等管理活用支援法人の指定のほか、適切な管理が行われないことで建物の破損や腐朽などがみられる管理不全空家への対応や経済的活動の促進のため重点的に空き家等の活用を図る空家等活用促進区域の指定は市町村が空き家対策を進める上で、有効な取組と認識しております。

 道といたましては、人口世帯の状況や利活用のニーズなど、本道の地域特性を踏まえて、国が掲げる目標や効果について、市町村や関係団体のご意見も伺いながら、本道においてどのように取り組むべきか検討してまいります。

 

 

<指摘>

これも指摘しておきます。

いまの答弁では、数的表示がありませんでした。

国においては、質問中で紹介した具体的数値があるのです。

道におかれては、そう遠くないうちに国が掲げた目標のどれだけを担う考えで取組むのかを、国や市町村、設置される支援法人等と数値を設定し、年々評価されながら継続的に役割を果たされることを要望しておきます。

 

④空家等管理活用支援法人制度について

次に、空家等管理活用支援法人制度について伺います。

道内における支援法人の設置は、まだ無いと承知しています。

前の質問で指摘したように、市町村における人員不足は深刻であり、5年と言う長いようで短い期間内での効果を見込むには、相応の仕掛けが必要であることは自明であります。

ここで期待されるプレーヤーは、「空家等管理活用支援法人」であるに違いありません。

しかし、18万戸程度と見込まれるものの、道内179市町村にそれぞれ設置される程の市場性があるとは考えにくく、18万戸程度と見込む空家の特性や分類、情報提供の在り方や取扱いについては、より積極的な展開が可能となった法改正に見合う取組みが必要だ考えています。

「空家等管理活用支援法人」を指定するのは市町村ですが、先に述べた理由等から道が率先して構想や施策等を示すことが有効であると考えています。

道は、「空家等管理活用支援法人」とは一体どのような姿と規模を見込んでいるのか、道とどのような連携を想定するのか、それらの見解を教えてください。

 

<答弁>

 支援法人についてでありますが、支援法人の担い手は、地域でまちづくりに取り組む団体や、広域的に活動している不動産関係団体のほか、こうした団体が合同で設立する新たな組織などが想定されます。

 市町村における、この制度の活用促進を図るため、道としては、まず、市町村と想定される支援法人の担い手双方のニーズや課題を整理する必要があると考えておりまして、今後、関係団体のご意見も伺いながら、支援法人の指定や効果的な取組の推進に向けた連携のあり方について、検討してまいります。

 

<指摘>

これも指摘を加えておきます。

私は、まずは道のカウンターパートとして一つの全道規模の支援法人が設置され、その下部組織として地域別の支援法人が設置されるのが望ましいと考えています。

この後の質問で各論を展開させていただきますが、広い広い北海道、広いが故に地域事情が異なる空き家の実態を確実に抑制していく為には、連携することで力強い施策展開が必要となると考えるからです。

道内に多くの支援法人が設立され、それぞれの事情のみで展開されてしまうと、効果が薄まってしまうのではないかと危惧しています。

勿論、強制は出来ませんが、だからこそ広域自治体としての道が示す道程が効いてくると考えています。

今回の質問でそこまで言及しませんでしたが、後の委員会議論等で具体的に提案したいと思いますので、よろしくお願いします。

 

 

⑤管理不全について

次に、新たに規定された「管理不全」の状態について伺います。

「空家の発生」から「特定空家」の中間帯を「管理不全」と位置付けられたことは冒頭でお話ししましたが、「管理不全」自体にも濃淡があることが報告されています。

それは、所有者の都合であったり、流通性の大小であったり様々なようです。

様々な理由で社会問題となり得る「特定空家」化を防ぎ、空家の流通性を確保し易くする定義付けなど、管理不全そのものの定義が必要なのではないでしょうか。

これは実に幅広い解釈が伴うこととなり、論点の整理とルール化が必要だとも考えられます。

道独自とまでは言い切りませんが、「管理不全」の価値観の共有が欠かせないと思うのです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 管理の状況に応じた空き家対策についてでありますが、このたびの法改正では、倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある特定空家等に加え、管理が不十分な空き家を管理不全空家として、市町村が所有者等に対して、必要な措置を講じるよう指導・勧告ができることとなったところでございます。

 道では、こうした保安上危険な空き家への適切な対応はもとより、居住目的のない空き家は、良好なストックの段階で住宅市場に流通させ活用を図ることが重要と考えておりまして、法改正の内容を踏まえ、市町村や関係団体などと空き家の活用の可能性や管理の状態に応じた対策の検討を進め、認識の共有を図ってまいります。

 

⑥情報提供の在り方について

次に、情報提供の在り方等について伺います。

空家には、「過去に発生している空家」と「今後発生が見込まれる空家」があり、それぞれに施策展開が異なると考えられます。

空家を抑制するためには、「過去に発生している空家」の評価の促進及び流通性を促す施策と、「今後発生が見込まれる空家」の抑制策が必要です。

ここに欠かせないのが「情報提供」の在り方なのだと考えています。

道や市町村が有する情報を「いつ」「どこに」提供するのか、行政が情報を支援法人に提供する際に必要な所有者の承諾等のルールを検討することが必要です。

端的に言い表すならば、「空家等管理活用支援法人」と「道や市町村」との連携を効果的に実現させる為の施策が必要です。

「空家等管理活用支援法人」の動機付けとして流通性や経済性の確保を担保しなければいけないと考えます。

活用できる「空家」には流通性を、活用し難い「空家」には財産管理人による処分等が必要となります。

情報提供の在り方について、道の見解を伺います。

 

<答弁>

 空き家所有者の情報についてでありますが、空家等管理活用支援法人が、市町村から空き家所有者の名前や住所等の情報提供を受けて、所有者からの相談対応や、空き家の活用・管理などに取り組むことは、空き家等の発生抑制、活用促進に有効と考えておりますが、空き家情報の提供については、事業者団体からも要望がある一方、個人情報など適切な管理が求められる情報も含まれますことから、その取扱いに加え、所有者の特定や同意の取得に関し、市町村の事務的負担となっているといった課題もみられるところでございます。

 道といたしましては、空き家の市場流通を活性化させる観点からも、今後、法人指定を具体的に検討している市町村をモデルとして、支援法人との連携により、早期かつ円滑な情報提供のあり方について検討するなど、支援法人が効果的な空き家対策を進められるよう取り組んでまいります。

 

 

⑦札幌市等都市部との連携について

次に、札幌市等都市部との連携について伺います。

この「空家」対策については、地域毎の事情が余りに違うことが判っています。

広い北海道、避けることの出来ない都市部集中に伴う実態の差を無視して「空家」対策を施すことは、その効果の実現を期待しないことと同義とさえ言い切ることが出来るのです。

特に、札幌市との連携については、その規模も流通性も群を抜いていることと、昨今の千歳市等にみられる経済圏の大きな変化を見過ごした「空家」対策は特筆すべきものとなることが想定されます。

道は、札幌市等都市部との連携について、その実態と目指す姿の見解を伺います。

 

<答弁>

 札幌市などとの連携についてでありますが、空き家の利活用や除却の推進に向けては、例えば都市の規模など地域によっては、空き家の実態や利活用のニーズなどが大きく異なりますことから、それぞれの実情に沿った取り組みを進めていく必要があると認識しております。

 このため、道では、今後、町村部から都市部まで規模に応じた課題に対する意見交換、情報交換を行い、札幌市をはじめとした市町と連携を図ってまいります。

 

⑧協議会設置について

最後に、協議会の設置についての提案です。

これまで質問してきた様々な内容について、道独自もしくは市町村毎に定めていくことは困難であることが予想されます。市町村毎に解釈が異なることは歓迎できません。

しかし、その実態についてつぶさに整理していくことを道や市町村が行うことは現実的ではないと考えています。

そこで提案です。

未だ「空家等管理活用支援法人」が設置されていない北海道だからこそ、それ自身がどんな理念で、組織で、規模で、様々なルールを配していくべきかについて国や業界団体、市町村などが会した協議の場を設置しては如何かと考えています。出来るだけ早期のうちに膝を突き合わせて初来目的を達することの出来る施策と化し、取組みを継続させていく為にも有用ではないかと考えています。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 今後の取組についてでありますが、道内では、住宅市場に流通しない空き家が増加しているほか、人口減少などに伴い、更なる空き家の増加が懸念されていることから、道としては、地域の活性化の観点からも、空き家等への対策は重要であると考えているところであり、昨年12月に空き家等の除却や有効活用の更なる促進を目的として、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正法が施行されたことを踏まえ、本年3月に「空き家等対策に関する取組方針」を見直したところでございます。

 道としては、法改正により創設された空家等活用促進区域や空家等管理活用支援法人制度などの活用を図るため、市町村向けの手引きを今年度に作成するとともに、支援法人の指定促進に向けましては、市町村と支援法人の連携のあり方などについて、国、市町村、事業者団体などと継続的に協議を行う場を今年度、新たに設けて検討を進めることとし、引き続き、空き家対策を着実に進めてまいります。

 

 

今回、空き家対策について質問したところですが、この政策については今日に留まることではありません。これは、決して終わることのない政策に違いなく、主に人口減少が留まることを知らない将来において拡大の一途を辿る「空家」について、後手に廻ることなく施策を打ち続けなければならないと考えているのです。

「空家」を減らすことが出来るのは、行政ではありません。その所有者であり、地域の不動産屋さんであるのです。

道は、その立場において、その動きを支援するために、ニーズを先行して捉えて、施策を打ち出し続けなければならないのです。

その為には、自ら真摯に耳を傾け、国と市町村の狭間に位置し、時に制度を変えるほどの勇気を持たなければいけないと考えています。泥をかぶることもあるでしょう。血を流すことさえあるのかもしれません。

さきほどの答弁で、新たに協議の場を設けて頂けることを約束して頂きました。

北海道の空家の実態と特徴を適切に網羅できる支援法人を目指して、十二分に検討を継続して重ねて頂くことで、空家の対策が進みやすく整うことを期待しています。

私たち議会人も、全力で取り組んでいく覚悟であります。今後の委員会をはじめとし、様々な場面で議論を積み重ねていきたいと思います。

道庁の皆さんにおかれましても、広く今と未来の道民の為に奉仕して頂けることを期待して、この質問を終わります。ありがとうございました。