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2023/09/16

令和5年 第三回定例会 環境生活委員会 前日委員会「百年記念塔の解体跡地に設置する新たなモニュメントのデザインについて」

この質問は、9月11日の環境生活委員会で行われています。

私、道見やすのりは、今期は環境生活委員会から外れておりますので、同僚議員に質問していただいております。

道は、「新たなモニュメント」のデザインについても、北海道百年記念塔の解体手続きと同様に、適切な段取りを経ずにデザインの決定を押し切ろうとしています。

今回の質問の答弁についても、ほとんど噛み合わない状態であることは痛恨の極みです。

 

然るに、第三回定例会の予算特別委員会において、私自身が質問させて頂き、先人の開拓の労苦に対する感謝と未来の道民に対する期待の想いを正しく伝承していく為の論点を明確にして参りたいと考えています。

 

しかし、新しいモニュメントのデザインについては、有識者懇談会で9月末には決定されてしまう見込みとされています。

まして、その候補について寄せられた数多くの道民の意見の公開を、デザイン決定後に公開するという道の姿勢は、道が繰り返して使う「丁寧な対応」には程遠く、道とってのみ都合の良く曲解した諸手続きを容認することは出来ないのです。その他にも到底理解できない点が多く、とても見過ごすことは出来ません。

 

私は、今となっては、誰が北海道百年記念塔の解体を望み、誰が新たなモニュメントに込める思いを整えていくのかさえ判らなくなってしまっていると捉えています。

 

残念ながら、北海道百年記念塔の塔体は解体されてしまいました。

その失った塔が担ってきた役割は大きく、その代替えとしての「新しいモニュメント」が担う公的役割を、私たちは未来の世代に正しく伝承しなければなりません。

 

決して手を緩めることなく、あるべきを道に問い正して参ります。

是非ご注視頂きますようにお願い致します。

 

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一 百年記念塔の解体跡地に設置する新たなモニュメントのデザインについて

 

昨年末から公募されていた「新たなモニュメント」のデザイン等については、先の委員会報告にもあったように、有識者懇談会の一次審査によって6作品が選定されていることを承知しています。

今回の質問では、この選考過程における疑念について明らかにすることで、選考スケジュールについて、一旦立ち止まることを提案するものであります。

 

 

(一)新たなモニュメントについて

最初に、新たなモニュメントについて伺います。

そもそも北海道百年記念塔は、当時の先人によって、特定人物の顕彰に限定せず開拓の先人に対し感謝と慰霊のまことを捧げるためや、将来に向かってたくましい北海道の建設を誓う総意を込めた思いが込められている塔であることを、道は早くも失念されているようです。

新しいモニュメントの設置目的に「互いの多様性を認め合う共生を表現し、未来へとつながる北海道を象徴するもの」とありますが、何を新たに目指しているのか不明です。

改めてお聞きします。道は、新たなモニュメントのデザインに何を期待されているのでしょうか。見解を伺います。

 

<答弁>(文化振興課長)

 新たなモニュメントについてでございますが、百年記念塔建設当時の考えや、百年記念塔に親しみを抱いてくれた方々の思いを引き継ぐとともに、互いの多様性を認め合う共生を表現し、百年記念塔を発展的に継承した未来へとつながる北海道を象徴することを目的に設置することとしておりまして、そのデザインにつきましては、今日の北海道を築き上げてきた先人たちへの感謝と畏敬の念を表すとともに、互いの多様性を認めながら支え合う共生を基礎に、未来へとつながる北海道を象徴することをコンセプトとしたところでございまして、このコンセプトに沿ったモニュメントを中心とする賑わいある広場の整備が推進されることを新たに期待しているところでございます。

 

<指摘>

設置目的の中にある「互いの多様性」についてですが、一方の想いや主張を表現するだけでは何も生み出すことはできません。

既に、百年記念塔がその意を表現していたことは論を待ちません。

新しいモニュメントのデザインにおいては、百年記念塔に込められた思いを継承することのできるデザインでなければならないことは明白です。

私は、道が打ち出す新たな目論見が成就し、地域一帯が活性化することを大いに期待をしております。

 

(二)モニュメント設置に関する懇談会について

次に、モニュメント設置に関する懇談会について伺います。

一次審査を通過された6作品についての情報非公開が多すぎで、報道等を通じて発表されたとはいえ、道民はもとより、議会にとっても適切な判断をするに事足りない状態であることは明らかです。

例えば、スケジュールが3ヶ月遅れた理由については如何でしょうか。

更に、一次通過作品の詳細が一切非公開である理由が全く理解できません。

募集要項によると、寸法等の情報は明らかになっています。正に、道が意図的に隠す理由が疑念となっていることが判ります。

また、8月末までに寄せていただいた道民意見の公開が無い理由は何ですか。

道の説明によると、個人情報の保護等と議会に説明し公開を回避されていますが、新たなモニュメントが担う公的使命を考えるときに、道のこれらの対応は、深い疑念を抱かざるを得ません。

改めて、それらの理由について説明を求めます。

 

<答弁>(文化振興課長)

 一次審査結果の公表などについてでございますが、モニュメントデザインに係る一次審査につきましては、デザインの募集終了後、要件等の確認を経て、本年4月24日に「モニュメント設置に関する懇談会」による審査を行ったところでありますが、様々な考えに基づく作品の応募がありましたことなどから、丁寧な審査を行い、7月19日に開催した懇談会におきまして、一次審査通過の6作品を選定したところでありまして、その審査結果の公表におきましては、懇談会での議論を踏まえ、それぞれの通過作品に対する懇談会の有識者意見や応募者から提出のあったコンセプトなどの情報を公表したところでございます。

 なお、道民意見の募集結果につきましては、今後開催予定である懇談会による最終審査の結果と合わせ10月に予定されております本委員会に報告後、道のホームページ等で公表することとしているところでございます。

 

<指摘>

委員の皆さんや道民の皆さんにおかれましては、先ほどの答弁でおわかりいただけるように、質問している4点において議論がかみ合っておりません。道にはまともな答弁をする気が無いようにも見受けられます。

道が丁寧な審査を心がけたいなら、今回の質問で要求している点において、道民や議会に対して丁寧さに欠ける諸手続に、全く同意ができません。

寸法や材質、その他選定に必要な情報をあえて隠すことは、道の別な意図を感じ取らざるを得ません。

寄せられた道民の意見を、懇談会による選定後に公開する選択については論外です。この点一つをとっても、その順番を逆にすることで生み出す結果の持つ意味は大きく変わってしまいます。今回の質問では、まさしくそれを道が意図的に操作したがる根拠の一つと捉えております。

それらの意見を道民や有識者懇談会の皆さんに把握していただいた上で、デザインを選定することは必然でしょう。

有識者懇談会の皆さんには、先人や多くの道民の意を込めたデザインの選定に努めていただく必要があります。

何のためのデザイン選定であるか、すっかりと迷子になってしまっているのではないでしょうか。道には、その自覚が欠けていることを強く指摘しておきます。

 

(三)予算等について

次に、先ほどの質問に関連する質問となりますが、一次通過作品についての予算等について伺います。

道は、6作品についての詳細について一切公開をしていません。これは選考過程における恣意的な情報の隠ぺいであると強く断定せざるを得ません。

それらについての寸法や材質、予算、そして作者の背景やデザインに込めた意味合い等を明らかにされた上で、道民の意向を広く受け止めることができる作品である必要があります。予算がデザイン選考基準の一つとなっていない理由を教えてください。

そもそも北海道百年記念塔を設計された故井口健先生の込めた思いを継承されていなくてはならない、新たなモニュメントの設計者としてその解釈をどう継承されたかを、私たちが明確に受け止めることができるように設えなければなりません。

また、気になるのは、募集要項の中で「安全性や設置費用、維持管理上の観点から、モニュメントデザイン等の一部を変更する場合がある」と明記されています。

これは、この質問冒頭で触れた北海道百年記念塔の意義と新たなモニュメントのデザイン者の込めた想い等を踏みにじる行為そのものと言えるでしょう。重ねるならば、道が隠そうとしている意図のままに、デザインや規模を操ることができることになってしまいます。

何故そのようなことになるのか、今回の募集基準の曖昧さが招いた代物であると断定できます。

道は、今からでも一次審査を通過された応募者に対して、予算関係の情報提供を求める必要があります。それは、有識者懇談会のメンバーも必要とする情報であるはずですし、何よりも製作・設置をする道の最大の関心事項であるからだと考えています。

道の見解を伺います。

 

<答弁>(文化振興課長)

 新たなモニュメントに係る予算についてでございますが、この度の募集においては、モニュメントのデザインを募ることとし、コンセプトを踏まえたデザインを幅広く募集したところでございます。

 懇談会において、製作や維持管理に係る費用を参考として把握したいとの意見がありましたことから、一次審査を通過した応募者に対し、情報提供を求めたところでございます。

 新たなモニュメントの製作等に係る予算につきましては、モニュメントデザイン選定後、安全性や設置費用、維持管理上の観点を踏まえながら、検討していくこととしております。

 

<指摘>

今の「予算については、デザイン選定後に安全性や設置費用、維持管理上の観点を踏まえて検討する」という答弁は、不誠実極まりないことに気づかれていますでしょうか。

外構を含めた新たなモニュメントについては、前述のとおりに大きな大志を込められたものでなくてはいけないのであり、道の恣意的な意図によって曲解された産物を未来に対して継承していかなければならない可能性が大きいことは、余りに道にとって都合が良すぎる執行とはならないでしょうか。

他の事例を含めて、北海道150年の歴史に対する昨今の道の不敬については、目に余るものがあります。今一度、自戒の念をもって行政執行に当たっていただきたいものです。

 

(四)今後のスケジュールについて

次に、今後のスケジュールについて伺います。

8月の報告によれば、今月下旬にはデザイン案の決定が為されることとなっています。

これは、これまでに質問してきた理由から性急過ぎではないでしょうか。何故、早急にしているのでしょうか。

今回質問させていただいた内容を含め、選考そのものを在るべき姿に修正するためにも、9月下旬の決定は延期することを求めます。

考えてみれば、そもそも昨年末に道が公表したスケジュールからは、既に3ヶ月遅延している状態です。これが示すとおりリスケジュールは不可能ではありません。

懇談会メンバーはもとより、広く道民に必要な情報が開示・補足されなければなりません。

要求どおりにリスケジュールしたとしても、そもそも交流空間構想の全体工程に何ら影響のある提案ではございません。

特に、必要情報の完全公開と募集要項にはない「予算」についての考察が必要であり、欠かすことはできません。必要ならば予算については、外部委託して概算であったとしても算出してもらうことは非常に有益であり、それこそが真に丁寧な審査と評価できる理由となるでしょう。

改めて伺います。9月下旬のデザイン案の決定を見送り、今回の質問で明らかにした適切な情報提供が可能となるようにリスケジュールを行ってください。

道の見解を伺います。

 

<答弁>(環境生活部長)

 モニュメントデザインの選定についてでありますが、モニュメントデザインにつきましては、令和4年12月から本年3月まで、デザイン案の公募を行い、応募のありました22作品につきまして、2回にわたり「モニュメント設置に関する懇談会」を開催いたしまして、7月に一次審査通過の6作品を選考したところであり、その結果について8月の本委員会で報告をさせていただいたところであります。

 この度、8月に1ヵ月かけて実施した道民の皆様からの意見募集を終えましたことから、今後開催する懇談会におきまして、今回の委員会の御議論について情報提供し、最終審査を経て、決定・公表できるよう、適切に対応してまいります。

 

<指摘>

9月下旬の決定についての延期の提案については、適切に対応してまいるということで、その提案は受け入れるつもりがないように受け止められます。

この不手際について、この選考の過程ですね、議会からの指摘に対しても不誠実に執行を強行する様に見受けられますし、褒められたものではないと思います。手続き一つ、その順番を間違えただけで、後に生み出す結果の意味合いは大きく変わってしまいます。

しかし、この場で一つ一つ不満を述べても、らちがあかないようです。

本件に関しては、予算特別委員会や知事総括を通じながら諸々について明らかにして参りたいと思います。是非、受けていただきたいと思います。

だとしても、デザイン案の決定後の議論となってしまいます。次の段階では、決定されたデザイン案の撤回と、選定に必要な情報を公開した上でのデザイン案再選定の要求となってしまいます。道が強行する以上、仕方ないことと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

振り返れば、北海道百年記念塔解体の成功体験が、今の道の強硬な執行手段を選択させる基となっているとさえ自戒しているところです。

今回の質問は、同僚議員によってまとめられたものとなっていますが、予算特別委員会のみならず今後の委員会や予算決議の場においても、道に対して求めていくものは何ら変わりがありません。

全ては、先人や未来の道産子を含めた北海道民の活力のためです。

道政の執行上、以前の方針や先輩方の執行に対して変更が極めて困難であることを承知はしております。しかし、これから北海道が必ず迎える幾多の困難に対して立ち向かわなければならない、今を生きる私たちにとって、その暗黙のルールは手かせ足かせにしかならないことが多いことを知らなければなりません。

決して過去の否定ではありません。限られた資源を最大限に発揮しつつ、護るべきは護り、変えるべきは恐れず、私たちが未来の道民に対して最大限の責務を果たしてまいりましょう。

道職員皆さんの実りある今後の行政執行に期待して、この質問を終わります。