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2022/08/3

令和4年8月 環境生活委員会 「北海道百年記念塔について」

この質問は、前定例会で成立している記念塔の解体予算がまもなく入札に掛かり、9月の第三回定例会で承認される運びとなっていることを受けて、これまで展開されてきた市民運動の次なる動きに歩みを合わせる質問内容となっています。

この質問を以て、一旦は議会議論として節目を迎えたことになります。

この後は市民運動の動きを見据えながら、必要に応じた議会活動につなげて参ります。

 

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A,北海道百年記念塔について

 

以前の当委員会質問の際にお願いしていた北海道百年記念塔の現状視察を、去る7月3日に行うことができました。

当日は、道議会議員有志や関係者、建築や構造の専門家と記念塔内外の隅々を確認させていただくことが出来ました。

まずは、当日炎天下の中お付き合い頂きました職員の皆さんに感謝申し上げます。

そこで、この視察の結果に基づきまして、先の建築や構造の専門家の皆さんと報告会を開催し、去る2月に3回に渡って行われた説明会での質問と回答を見直したところであります。この質問では、その内容について幾つか質問させて頂きたいと思います。

 

①適切な維持管理について

最初に、適切な維持管理について伺います。

道は、2月10日の説明会で「今の技術で塔を保全確保し、安全性を保つことは可能だったはずですが、まともなメンテナンスを行わず、あえて塔の劣化が進むとわかっていながら放置したのは何故ですか」との質問に対して、「道といたしましては、施設・設備の耐用年数や老朽化に応じた修繕を行うなど、塔の所有者として適切な維持管理に務めてきたところ」と回答されています。

これは逆説的な質問になるのですが、適切な維持管理を施してこなかったから発錆が進行し解体やむ無しと考えたならまだしも、施していたが解体やむ無しとされるのでは本末転倒です。例え、道が、後者を選んだ場合でも良好な状態を保つことができなかった過失や不作為を問われてしまいます。

果たして道は、適切な維持管理をしてきたのでしょうか。改めて伺っておきます。

 

<答弁>

 塔の維持管理についてでございますが、建築家など専門家の方々からは、塔の構造上、外板周辺部の錆の進行と剥落につきまして、「その程度を軽減する処置はとれるにしても、完全に防止することは困難」との指摘を受けているところでございます。

 道では、これまで塔の老朽化に関する状況調査の結果に基づきまして、中長期的視点に立った保守管理計画を策定した上で、施設・設備の耐用年数や老朽化の状況に応じた修繕を行うなど適切な維持管理に努めてきたものの、専門家の方々からのご指摘のとおり、錆や腐食の進行など、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。

 

<指摘>

いま答弁を頂いたように、それでも道は、適切に維持管理してきたと主張されています。

これは、適切な維持管理に努めても、良好な状態を保てなかったと道は主張していることになります。誠に不可解な状態です。真偽のほどは議会議論を超えて、別の場所での議論にお任せしたいと思います。

②解体を決めた時期について

次に、解体を決めた時期について伺います。

道は、平成23年に策定した維持管理計画で塔の解体を提案されています。そして、平成25年の維持管理計画で事実上の解体計画を示していると承知しています。

一方で、平成29年の維持管理計画の策定では、維持管理に28億円が必要なことを示されました。

文化振興課が公表している資料によると、平成24年を最後に維持管理に必要とされてきた防錆措置を中止されています。これは先ほど時系列を述べたものと合致していません。

「本来の老朽化」と「維持管理の懈怠(けたい)により生じた老朽化」は別なのであります。

いつの段階で北海道百年記念塔の解体が検討されるようになったのか、誰が言い出したのかを明らかにしてください。

 

<答弁>

 議論の経過についてでございますが、道では、北海道命名150年を迎えるにあたり、百年記念施設の継承と活用につきまして、有識者による検討会の設置を含め、幅広にご意見を伺ったところ、老朽化が進んでいる記念塔のあり方に関しましては、様々な考え方があったことから、専門家の知見も伺いながら検討を行ったところでございます。

 その結果、塔の構造上、老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、利用者の安全確保や将来世代への負担軽減等の観点から、解体もやむを得ないと判断し、平成30年9月に「ほっかいどう歴史・文化・自然「体感」交流空間構想」の素案を策定し、環境生活委員会にご報告申し上げたところでございます。

 なお、23年度の調査報告書におきまして、今後も維持管理をしていくのか、解体をするのか、記念塔のあり方について検討する時期にきているとの提案を受けたことから、25年度におきましては、保守管理計画の策定に加えまして、解体撤去する場合の費用等を把握するため、調査を実施したものでございます。

 

<指摘>

ドーコンさんなのですね…。

この点については、この後の質問でも出てきますが、とても重要なポイントになってきますので、当時のドーコンの担当者から聴取したいことがあります。問い合わせ窓口を調査しておいてください。

 

③維持管理の事実確認について

次に、維持管理の事実確認をさせていただきます。

道は、今年6月15日に発出された公文書不存在通知書の中で「平成24年度及び平成25年度、平成27年度から令和4年度までは日常の巡回警備を除き、定期点検を実施しておらず、定期点検の点検簿等の文書は作成していない」と回答されています。

これを読み返せば、平成24年度から維持管理はしていないと判断することができます。

この点は間違いありませんか、お伺いしておきます。

 

<答弁>

 塔の維持管理の状況についてでございますが、道では、塔の内部や周辺状況の確認のため、日常的な指定管理者による巡回や職員による点検を実施してきているところでございます。

 また、塔の修繕等につきましては、平成24年度以降も実施しておりまして、塔への立入禁止措置を講じた26年以降は、専門業者による調査結果に基づきまして、緊急的に補修が必要な箇所の修繕を優先して行うとともに、塔の解体方針の決定後におきましても、必要に応じて点検・補修を行ってきたところでございます。

 

<指摘>

この点は、非常に微妙な内容だと言えます。

道は、通知書では「点検簿」が無いと回答したと答弁しています。修繕はしてきたとも答弁されました。当該問合せの主旨を違えて回答されていることになりませんか。

如何にも不親切だと思います。私は、改めて請求を行っていただかなくてはいけないと捉えています。道は、誠実に対応されるように要求しておきます。

④維持管理費の適正さについて

次に、維持管理費の適正さについて伺います。

平成29年の報告書に記載がある「経常措置」に不可解な項目があります。この「経常措置」には5年サイクルで繰り返す措置と10年サイクルで繰り返す措置を合算して、年で割り返したものと承知しています。

では、「外部ルーバー下端見切板の腐食改修」が全体の27%にあたっていますが、「原状維持管理計画実施経費内訳」を見ると、全部で43あるユニットを毎年9個ずつ更新し、5年で更新することになっています。

納得できないのは、この5年更新を50年間繰り返すことになっている事です。何故50年間同じ金額なのでしょうか。5年で更新が終わるならば、6年目からは経常措置費が減額されなければいけません。

もし示されている通りなら、わざわざ5年で腐食する部材を選んで取り付けることになってしまいます。おかしいですね。

同様に、「踊り場の腐食旧床の撤去」についてもなぜ50年間繰り返さなければならないのでしょうか。

道が示した50年間の維持管理費が過剰に計上されてしまう一因を示したところです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 今後の維持管理費についてでございますが、専門家に委託して行った調査報告書におきましては、「外部ルーバー下端見切板」及び「踊り場の床」は、5年で全箇所を一巡する必要があるものとされておりますが、当該箇所は、塔の開口部にあり、直接、雨水等にさらされるため、錆の発生や腐食が早く進行する箇所であること、また、錆止め剤の塗替時期が5年程度であることから、適切であると考えているところでございます。

 また、経費につきましては、部材の設置時期等を勘案しながら、更新を行うものとして積算をしておりますが、部材を更新せず、改修で対応する場合におきましても、取り外しや腐食箇所の切断・除去、溶接補強や錆止め剤の塗布等の処理が必要となるため、更新する場合と同程度の経費を要する見込となっておりまして、今後の維持管理費が過大に積算されているものではないと認識をしているところでございます。

 

<指摘>

実は、この答弁の内容に驚きはありません。

今後50年間の維持管理費が過大であることは論を待つことなく明らかであるのに、道は、過大に積算されていないと繰り返します。

明確に指摘しておきます。委託業者による維持管理費は過大でした。付け加えると解体費との差が大きいことを印象付けるための道具にされている印象が否めません。

この質問では、その一因しか取り上げていませんが、洗い出せばきりがないことを宣言しておきます。

⑤錆片の正体について

次に、錆片の正体について伺います。

道は、先の説明会に寄せられた質問の回答の中で「塔内部において相当量の錆片の堆積や外板ルーバー下端見切板に腐食による穴や鉄板の浮きが確認されたため、専門業者による緊急調査を実施した結果、更なる錆片の落下や部材の剥離・落下も懸念されたことから、公園利用者の安全確保のため、塔内部への立ち入りを禁止したところです」と回答されています。

また「平成26年7月に実施した塔内部の定期点検において、ボルトの緩みや各階の梁等の上部に相当量の錆片の堆積が認められ、これらの修復、除去作業において、大きいもので約10cm程度の錆片の落下や、開口部下部の鉄製の見切板に、錆による穴あきや浮きが確認されたところです。落下した錆片の一つひとつについて、正確な個数や大きさは把握していませんが、記念塔内部への立ち入り禁止措置を講じた以降においても、巡回時等に、塔の内部や周辺に錆片の堆積が確認されており、また、平成30年の台風第21号の通過による一部部材の落下や、令和3年6月の暴風雨による外壁の一部剥離などの被害が生じています」と回答されています。

この度の記念塔視察でも、多くの錆片を確認することができました。しかし、専門家からは危険な錆片ではないと聴取できているところなのです。むしろ50年経過した記念塔は、成りに健全な状態であるとさえ聞かされたところです。

この度の専門家の皆さんが同行されて明らかになった状態は、全く手の入らなくなった平成24年度以降放置されていたのにも関わらず、このような診断となったところです。

これは大きな齟齬であることが明らかです。まずは、いつ誰が危険と判断されたのか明らかにして下さい。そして今回の視察内容と比較検証しなくてはならないと考えています。

道の見解と併せてお聞きします。

 

<答弁>

 塔の状況に対する認識についてでございますが、平成8年9月頃から塔の周辺地上部で錆片が確認されたことから、道では、その原因究明と対策を講じるため、9年度に建築の専門家等で構成されます日本建築学会北海道支部に調査を依頼したところでございます。

 その結果、錆片は塔の外板に使用している耐候性高張力鋼板の縁の部分が腐食をし、剥離落下しているものであり、剥離した錆片が地上に落下・飛散するため、一般来訪者に危害を及ぼす恐れがあると指摘をされたことから、11年度に外部パネル接合部の錆片除去など大規模な改修を実施したところでございます。

 また、26年には、塔の内部におきまして、相当量の錆片の堆積や腐食による穴あき等が確認されたため、塔内部への立ち入りを禁止するとともに、専門業者による緊急調査を実施したところ、錆片や部材の落下も懸念されたことから、必要な修繕を行ったところでございます。

 

<指摘>

今の答弁によれば、平成9年に危険と判断された発錆は、令和4年、実に25年経過した今、平成11年の大規模修繕の後、平成29年まで施された効果が功を奏したのか、近年7年は放置されてきたにも関わらず、今回視察に参加された建築や構造の専門家によって危険ではないと診断されているのです。この差は何なのでしょうか。決して無視することは出来ない現実です。

ここまでの矛盾は、別の意図さえ感じ取ることができます。

この点も、真偽のほどは議会議論を超えて、別の場所での議論にお任せしたいと思います。

 

⑥記念塔の老朽化について

次に、記念塔の老朽化について伺います。

道は、先の説明会の回答で「記念塔は、長く道民の皆様に親しまれてきており、道としては、その保存・活用について。様々な専門家の方々の知見を伺うとともに、道民の皆様からのご意見を踏まえ、慎重に検討を重ねてきましたが、塔の構造上、今後の老朽化の進展を完全に防ぐことは難しく、塔からの錆片や部材の落下の危険性も排除できないため、公園を利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減の観点から、解体もやむを得ないと判断したものであり、開拓の歴史を否定するものでも、歴史を改ざんするものでもありません」と回答されています。

また「ご提案のあった公園化につきましては、維持管理費用を費やしてもなお塔の老朽化を防ぐことは困難なことや、錆片や部材の落下などが続いている状況を踏まえると、人的被害をはじめ、塔の周辺に影響を及ぼす危険度が増しているものと認識しており、採用することは難しい」と回答しています。

果たして、この回答は適切だったのでしょうか。

今回の視察を通じて確認できたことは、5年以上放置されている状況を加味しても錆片で危険が生じることは考えにくく、視察者の歩行に支障をきたすということは虚偽の説明であると言わざるを得ません。放置状態が続いているにしては、塔は成りに健全であって危険があるとは判断できません。それは、今回同行して頂いた建築や構造の専門家の皆さんも同意見であるのです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 塔の現状に対する認識についてでございますが、老朽化による錆片の落下等が確認されたことから、道では、公園を利用される方々の安全を確保するため、平成26年以降、塔内部への立ち入りを禁止するとともに、必要に応じて緊急的な点検・修繕などを行ってきたところでございますが、その後におきましても、30年の台風第21号による一部部材の落下や昨年6月の暴風雨では、外壁の一部が剥離するなど、錆片や部材の落下などが続いている状況にございます。

 こうした現状を踏まえますと、人的被害をはじめ、周辺地域に影響を及ぼす危険度が増しているものと認識をしておりまして、公園を利用する方々の安全確保の観点からは、解体もやむを得ないとした判断を変更する状況にはないものと認識をしているところでございます。

 

<指摘>

ある程度、北海道という行政機関を知る立場としては「判断を変更する状況にはない」と答弁されてしまうことを予想は出来ました。残念ではありますが、議会議論の限界ですね。

やはり議会議論を超えた鈴木知事の大英断か、もしくは別の場所での議論にお任せしなければならないようです。

⑦外板接合部について

次に、外板接合部について伺います。

道は、先の説明会の質問に対し「塔の現状について、設計・施工の専門業者による調査結果については…(中略)…外板部については「水湿に触れたまま乾燥する機会の少ない箇所での錆の進行でトラブルが発生している。外板部と縁アングルの接合面、縁アングル相互の接合面、塔体内部の凹凸部に顕著な発錆が認められ、特に接合部の発錆は外板の変形や接合面の破断を伴って、更に進行すれば、外板の剥離、落下を招く危険性がある」とされているところです。尚、記念塔は鉄骨造であり、その耐用年数は50年となっています。」と回答しています。

先日の視察において、外板自体の錆の進行を確認することは出来ましたが、接合部を見る限り50年経過した成りの状態であり、健全であることを確認しています。

同行して頂いた建築・構造の専門家の皆さんにも同意して頂いておりますが、先に聞いた錆片しかり、この外板接合部も含めて、実際の危険性と乖離していることは明らかです。言わば、解体しなければならないと目論む道が「道民や議会に説明する理由」として誇張したものであると考えています。これは、今回視察した画像を含めた資料の中で再確認して頂くことも可能です。

当時、道が依頼した専門家とは誰ですか。その方達と今回視察に参加して頂いた建築・構造の専門家の皆さんとの見解の乖離をどう受け止めますか。

更に踏み込んでお聞きすると、道が依頼した専門家の中に、当時、道から説明された内容にただ同意しただけと回答している専門家もいらっしゃるとお聞きしています。この点は、今後経緯が明らかにされることと思われます。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 塔の外板部分の状況についてでございますが、塔の構造上、外板と縁アングルや縁アングル相互は溶接により接合されておりますが、断続的な溶接となっているため、部分的に隙間が開いているところでございます。

 気温や日射による熱により外板が膨張し、溶接の破断や外板がたわむことで隙間が広がる状況にあり、塔の内外の気圧差や強風の影響などによりまして、この隙間に雨水が浸入をすることで、錆が発生している状況にございます。このことにつきましては、塔の完成から10年後の昭和55年度に、建築の専門家である日本建築学会北海道支部が実施をした調査において既に指摘されておりまして、以降、平成2年、9年、13年に同支部が実施した調査や平成23年、25年、29年及び令和3年に株式会社ドーコンが実施した調査においても、繰り返し塔の問題点として指摘されているところでございます。

 これらの指摘に加えまして、道では、平成28年度以降、塔の保存・活用の可能性も含めて検討するため、専門コンサルや外板の素材メーカー、建築の専門家や有識者の方々の知見を伺い、道議会でのご議論も踏まえまして、慎重に検討を重ねてきた結果、公園を利用する方々の安全確保等の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。

 なお、道では、塔の視察に参加された方々の見解につきまして、その内容を承知していないところでございます。

 

<指摘>

この質問でのポイントは二つあります。

一つは、道が、誇張した内容で道民や議会に説明してきたと考えられること。二つは、道が依頼した専門家の中に、当時、道から説明された内容にただ同意しただけと回答している専門家もいらっしゃることです。

道との議論はすれ違ったままですが、これらも無視が出来ない内容です。

これも別の場所での議論にお任せしなければならないようです。

 

⑧内部構造について

次に、内部構造について伺います。

先日の視察において、内部構造には微塵も危険を感じることはありませんでした。

そもそも記念塔では、7年以上、内部の防錆措置は行われていません。それでも著しい老朽化の進行は感じることはありませんでした。放置状態が続いているにしては、塔は健全であり、危険があると感じることは出来ませんでした。

道は、老朽化を完全に防げないことを解体の理由にしています。それは「老朽が進んでいない」ので「完全に防げない」ことを理由にせざるを得なかったのではないでしょうか。

道の見解を伺います。

そもそも、平成23年度の主体鉄骨防錆措置は、記念塔維持管理の一丁目一番地であるに違いありません。しかし、平成26年度には、錆片の蓄積が確認されたからと言って、主体鉄骨防錆措置を取り止めてまで立入禁止の「階段踊り場の床の改修」と「ルーバー下端見切り板の改修」を優先しています。このことがどう「公園利用者の安全確保」につながるのでしょうか。

しかも、踊り場改修は平成14年度から、見切り板は平成24年度から行われています。

これらの道の回答は明らかに虚為であると言えるでしょう。

そして繰り返しになりますが、6月15日の公文書不存在通知書によって、平成24年からは維持管理をしていないことが公文書によって証明されているのです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 記念塔内部の状況等についてでございますが、令和3年度に実施をいたしました設計・施工の専門業者による調査結果におきましては、主体鉄骨部は、著しい損耗は見受けられない一方で、外板部につきましては、新たな箇所で穴あきが確認されるなど、平成29年の調査以降、錆や腐食が進んでいるとされており、塔の老朽化は着実に進行しているものと認識しております。

 また、道では、平成23年度及び25年度に策定した保守管理計画に基づきまして、修繕を行うこととしておりましたが、26年には、塔内部において、踊場床から落下したと思われる相当量の錆片の堆積や、外部ルーバー下端見切板に腐食による穴あき等が確認され、錆片の落下による被害の発生が懸念されたことから、塔内部及び周辺への立ち入りを禁止するとともに、専門業者による緊急調査を実施したところでございます。

 調査の結果、錆片の塔内外への落下に加えまして、見切板全体の剥離・落下も懸念されたため、道といたしましては、公園を利用される方々の安全確保が何より重要との考えに基づき、緊急に修繕が必要な箇所を特定した上で、「踊場旧床撤去・改修」と「外部ルーバー下端見切板改修」を優先して実施したところでございます。

⑨地方財政法について

次に、地方財政法について伺います。

地方財政法第八条には「地方公共団体の財産は、常に良好の状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない」と示しています。

これまで質問してきた内容を踏まえた上で、一定期間放置されてしまったとしても総合的に健全であると判断することができ、北海道の財産である「北海道百年記念塔」の解体は、地方財政法第八条に対する明確な違反であったと判断できます。

道の見解を伺います。

 

 

<答弁>

 記念塔の管理についてでございますが、地財法第8条は、地方公共団体の財産の管理、運用の原則を規定したものであり、公有財産等は、善良なる管理者の注意をもって管理すべきとされているところでございます。

 記念塔に関し、道では完成から10年を経過した昭和55年度以降、概ね10年ごとに専門家の方々による老朽化の状況調査を実施し、以後、10年間の保守管理計画を策定した上で、老朽化した箇所の修繕や改修工事を実施してきたところでございます。

 また、平成4年度にはエレベーターの更新など約2億300万円の内部改修を行いますとともに、11年度には、外部の錆片の除去など約3億4,500万円の外部改修を行ったところでございます。

 道といたしましては、こうした施設・設備の耐用年数や老朽化の状況に応じた修繕を実施するなど、必要な維持管理に努めてきており、法の趣旨に抵触するものではないと考えております。

 

⑩記念塔の未来について

次に、記念塔の未来について伺います。

委員の皆さんもご承知のように、記念塔解体の予算は成立してしまっています。

しかし、そこに至る議会への経過説明の中で齟齬が生じていることは明らかであり、直近で行われた記念塔の視察でつぶさに確認することが出来ました。

ここで皆さんに承知していただきたいことは、道民への説明ばかりではなく、議会説明時においても、現状とは異なる状態で説明され、解体に向け画策されたシナリオに準じて手続きされてきた結果として、今日があるのだと私は捉えているのです。

北海道百年記念塔がある未来を想像してみてください。私たちの子孫の時代に「北海道開拓」の象徴として存在する記念塔の未来をです。

道は、解体の理由として、「未来の世代に対する負担の軽減」と「公園利用者の安全確保」を挙げています。

皆さんも考えてみてください。今後50年の維持管理費を必要以上に仮定し、それと比較し前回増額までされた解体費用を示し、導き出した結果として「解体」の道を選択させてきたのです。

よくよく考えれば、第三の道として「現状のまま保存する」という、最も「現在と未来の世代に対する負担の軽減」と「公園利用者の安全確保」を実現させる方法を避けていると捉えることが出来るのです。

道が、この方法を検討から外した理由は、老朽化と「完全」に止められない為と承知しています。

しかし、先達が記念塔に願いを込めた想いを受け止め、それを次代へと引き継ぐ責務がある私たちが、現状と異なる理由をまとわせて解体しようとしているのです。

「完全な状態を維持し続ける」か「解体する」の選択なのではなく、「50年経過した成りに現状維持していく」という選択肢を加えて検討し直すことが必要です。

私は、一番費用が掛からず、未来の世代に対する負担軽減ばかりでなく、公園利用者の安全確保が可能な策は、現状維持であると判断しているのです。

その具体策を検討し道民に提示するためには、時間が必要です。数年とは言いません。現在の予算措置に影響がない程度の範囲で、専門家を含む道民からの新提案を待って欲しいとお願いしているのです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 記念塔のあり方についてでございますが、道では、塔のあり方の検討にあたり、その保存・活用の可能性につきまして、「自然に朽ち果てるのに委ねる手法」等も含め、道民の皆様からのご意見や、様々な専門家、有識者の方々の知見をお伺いし、道議会でのご議論もいただきながら、時間をかけ、慎重に検討を重ねてきたところであります。

 その結果、塔の構造上、外板の全面張り替えなど抜本的な対策を講じなければ、今後の老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を利用する方々の安全確保や将来世代の負担軽減の観点から、解体もやむを得ないとの判断に至ったところでございます。

 錆片や部材の落下が続いている状況を踏まえますと、人的被害をはじめ、塔の周辺に影響を及ぼす危険度が増しているものというふうに認識をしており、塔の所有者でございます道の責任として、塔を現状のまま維持し、安全性の問題を先送りすることは困難と考えているところでございます。

 

<指摘>

今回の一連の質問と答弁が、委員会の皆さんにどのように受け止められたのか興味があります。

どれ一つとして噛み合ってはおらず、私は、生産的ではない事を承知しています。

だからこそ、時折指摘してきましたが、議会議論を超えた鈴木知事の大英断を促すために、別の場所での議論にお任せしなければならないようですと繰り返してきました。

北海道百年記念塔の解体工事の準備が着々と進められている今、「完全な維持管理」でもなく「解体」でもない、真の意味での「現在と将来世代への負担軽減」と「公園利用者の安全確保」を満足させることの出来る第三の道を提案していきたいと考えています。

残念ですが、当委員会で議論を尽くしても変更できないことは承知しました。

赤レンガ庁舎がそうであるように、将来に渡り、北海道百年記念塔が北海道開拓の先達に対する感謝と未来への期待を表現する存在として在り続けることを渇望して、この質問を終わります。

ありがとうございました。