この質問は、第三回定例会の予算特別委員会で行ったものです。
一般質問で扱った「人口減少」を知事部局毎に深堀するものです。
これは「終わりなき課題」であり、容易に結論が出るものでもありません。
常に、前へ前へと推し進めなければならないし、何か一つの取組みで解決するものではなく、国民や道民一人ひとりが汗を流さなければならない課題であると考えています。
いつか誰かが解決してくれる課題ではないのであります。
全ては、私たちの大切な子どもたちに対する責務なのであります。
北の元気玉、このお役を与えられている限りにおいて、全力で取り組む覚悟であります。
—————————————————————————
⑤人口減少について
この質問は、本定例会一般質問の答弁をベースに質問をさせていただきますので、ご承知おき下さい。
戦後80年、高度経済成長期を経て、私たちの暮らしぶりは大きく変わってきました。それ自体は歓迎すべきことではありますが、一方で、日本人らしさや社会の基礎でもある家族の在り方さえ変えられてきてしまっていることを、私は憂いている一人でもあります。
それは、すべからく避けられないことも承知していることではありますが、そのような価値観が変わってしまったことも、人口減少の一つの要因であることは間違いないことなのでしょう。
日本の社会が成熟してきた中で、教育密度の上昇は著しく、個別具体に国民が求める教育は変質をしてきました。教育行政もそれに応えるべく、様々に施策を展開してこられたことは言うまでもありません。
(一)教育政策等の方針について
最初に、私は、年少人口の減少を教育政策の範疇で考える前提として、人口拡大期と人口縮小期の教育政策や施策の内容は自ずと異なると考えています。道の認識を教えてください。
<答弁>(教育政策課長)
人口動向を踏まえた教育政策についてでございますが、人口が増加していた時期には、経済発展を支えるために上質で均質な労働者の育成が社会の要請として学校教育に求められ、「正解の暗記」の比重が大きかったと捉えられる一方で、社会構造が変化した現代においては、それぞれの子どもに合った個別最適な学びと探究的な学習等を通じた多様な他者との協働的な学びの一体的な充実等を通して、個性に応じた学びを引き出し、一人一人の資質・能力を高めていくことが重要となっております。
いずれにいたしましても、道教委としましては、予測できない未来に向けて自ら社会を創り出していく「持続可能な社会の創り手」を育むため、次の世代を担う子どもたち一人一人の力を最大限に引き出す、令和の時代に即した教育行政を推進する必要があると考えております。
(指摘)
今の答弁では、教育の政策施策は変わってきたと受け止めることはできました。これまでの80年、そしてこれからの50年、縮小期におけるそれについて大いに議論をしていきたいと思う訳であります。
(二)人口減少局面での影響について
この後はお答えいただいた前提を加味した上で、人口減少の局面における教育政策と施策の内容の再構築が必要ではないかという観点から、以下、個別に質問をさせていただきます。
では、超長期に及ぶ子どもの数をどのように認識されているのかを教えてください。それが、現在見込んでいる子どもの数より少なく展開された場合に、どんな影響が起きると捉えているのかの見解を伺います。
<答弁>(教育政策課長)
子どもの将来推計についてでございますが、道教委においては、高校配置計画の策定のため今後9年間の中学校卒業者数の推計を行っておりますが、道の人口減少問題への対応にあたり、人口の将来見通しなどを示す「人口ビジョン」においては、国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研の推計を踏まえ、いくつかの仮定の下で総人口や高齢者人口割合の見通しを示しているものの、年少人口については示されていないものと承知をしております。なお、社人研が令和5年に公表した地域別将来推計人口では、今後、本道のすべての自治体で0歳~14歳人口は概ね一貫して減少するとされておりまして、少子化が加速することにより、学校の統廃合や小規模校化、学校単位での部活動が維持困難になるなどの課題が一層深刻になるものと認識をしております。
(指摘)
教育庁として、これほどに大切な予測値を把握しようとしてこなかったことに驚いているところであります。公開するかどうかは別として、自ら調査予測をしておく必要に迫られることになると考えるのであります。政策の質や量、その分母となる数について追求されるように強く求めておきます。この点についても今後の議論の大きなポイントとなることと思います。
(三)機会の確保ついて
次に、一般質問では、優先事項として機会と質の環境整備に努めると答弁をして頂いたところでもあります。まず、機会の確保について伺います。想定以上の人口減少の局面において、機会の確保とは、何がポイントとなるのでしようか。これまで展開されてきた機会の確保のための政策や施策とは何が変わると想定されているのか、見解を伺います。
<答弁>(教育政策課長)
学びの機会の確保についてでございますが、道教委では、少子化に伴う生徒数の減少により、生徒が遠距離通学等となる際の、通学や下宿に係る費用支援を行うほか、遠隔授業を実施するなど、全ての子どもたちが、地域や家庭の経済力などの状況にかかわらず、質の高い教育を受けることのできる環境の整備に努めております。
道教委といたしましては、より少子化が進んだ場合であっても、様々なニーズを有する子どもたちの多様な学びの機会を確保し、全ての子どもが一定水準の教育を保障されることが重要と考えております。
(指摘)
機会の確保においては、誰もが教育を受けられる機会の確保は必要です。しかし、どのようなものなのか、縮小期にあってはこれから議論される必要があると思います。拡大期のそれと同じである必要はないのです。一定水準という言葉が出てきました。これは均一という意味ではありませんし、最低水準であることが守られるならば、あとは受ける側、子ども側の希望や選択によっても変わるものだと思います。縮小期においては、それが常識になると考えます。
(四)質的向上について
次に、質的向上について伺います。想定以上の人口減少の局面においての質の向上とは、何がポイントとなるのでしょうか。これまで展開されてきた質の向上のための政策や施策とは何が変わると想定されているのか、見解を伺います。
<答弁>(教育政策課長)
質の高い教育についてでございますが、人口減少下において、学校の小規模校化が進む中でも、学校教育においては、多様な考えに触れ切磋琢磨する機会を確保することや、資質能力の高い教員による教科指導を担保するなど、質の高い教育を受けるための環境を整備することが重要です。
このため、例えば、ICTを活用するなどして複数校が連携した授業を実施し、児童生徒が互いの考えを伝え合い、多様な考えを理解できるような学習集団の形成を図ったり、遠隔授業により、専門的な知識と指導力を持った教員が生徒の学習ニーズに応じた授業を展開したりするなどしておりまして、今後とも、社会情勢の変化に対応しながら、知・徳・体のバランスの取れた質の高い教育を受けられるよう、教育環境の整備に取り組んでまいります。
(五)教員の数について
次に、教員の数について伺います。まず、適正な数をどのように定めているのでしょうか。生徒数との相関関係についての見解も教えていただきます。また、それらによって何を目指しているのかの見解をお聞きします。
教員の数については、様々な文献を調べてみると、教員不足の議論が先行している現状だと認識をしています。現職教員の年齢分布と子どもの減少とのバランスを見定めておくことが必要です。教員に限らず全国的に人手不足が顕著となっている中で、教育行政の思うが儘に教員を充足することが想像し難くなっていることは明白であります。教育庁として教員のなり手の不足を認識されている今、想定以上に子どもの数はまだ減るのに、まだ増やすおつもりなのでしょうか。見解を伺います。
<答弁>(総務政策局長)
教員数についてでございますが、公立学校の教員数につきましては、教育水準の維持向上を目的として「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」等におきまして、児童生徒数を基に編制した学級数等に応じて教員数を算定するように規定されておりますことから、道教委においても、法律に準拠して、各学校ごとの教員数を決定しております。
人口減少に伴い、教員のなり手不足などが懸念されますが、道教委としては、毎年度の学級数等に応じた教員を配置するとともに、少人数指導の推進など、全ての子どもたちが質の高い教育を受けることができる環境の整備に努めてまいります。
(指摘)
教員の数については、色々と見方はあるのだと思います。一つのデータとして1950年、教員1人に対して生徒46人であったもの、これはただ生徒数を教員数で割っただけでありますけれども、2020年には教員1人に対して、生徒10.6人というデータもあります。忙しさばかりが議論されている印象ではありますが、縮小期においての教員の数は、その不足分を臨時採用で賄っていることによる軋轢を今後生むことになると思うのです。これも十分な予測と議論が必要です。教員の数が多ければ質の高い教育が実現できるとは単純に言い切れないと思うからこその質問でもあります。これも後にポイントとして議論してまいりたいと思います。
(六)学校施設等の継続について
次に、義務教育学校や高等学校の統廃合や小規模化について伺います。これまでは、地域内の子どもの減少が見込まれる都度、統廃合や小規模化が検討されてきたと承知をしております。想定以上の人口減少を目の前にした私たちには、新たな学校の在り方が問われているのだと思うのです。
じわりじわりと真綿で首を絞められるように、学校の存続の危機が迫ることは地域にとって余りに残酷なのであります。私は、新たな前向きな選択があってもいいのではないかと考えるのです。ほぼ必ずやってくるその時を待つのではなく、他の選択肢の準備を今から進めておくことはできないのでしょうか。教育庁がモデルケース想定をして検討しておくことで、新たな選択肢を地域に示すことができます。見解を伺います。
<答弁>(教育部長)
学校の教育機能の維持についてでございますが、少子化に伴う児童生徒数が減少する中にありましても、地域と一体となって子どもたちを育む取組を推進し、地域の教育機能の維持向上を図ることが重要でありますことから、将来を見据えた高校づくりを地域とともに考える圏域協議の仕組みを構築するとともに、生徒の学習ニーズや地域創生の観点に立った教育機能の維持向上を図る高校配置の在り方を検討しているところでございます。
道教委といたしましては、今後も長期的に人口減少が見込まれる中、社会情勢や教育環境の変化、地域が抱える今日的な教育課題等に的確に対応してまいります。
(七)大綱や推進計画と人口減少の関係について
次に、大綱や推進計画と人口減少の関係についても伺っておきます。
これらについては、中期計画を繰り返し策定されてきたものと承知をしております。確かに中期程度で修正を加えていくことで現実味を増していく手法もあるかとは思いますが、想定以上の人口減少が見込まれる中で、それでは間に合わない、もっと局面に合わせた政策施策を展開することで、行政資源の効果的な活用を期待することができます。見解を伺います。
<答弁>(教育長)
今後の政策展開等についてでございますが、従来の知識や経験のみでは将来を見通すことが難しい時代にあって、道教委といたしましては、予測できない未来に向けて自ら社会を創り出していく「持続可能な社会の創り手」を育むため、教育推進計画等に基づき、各般の取組を進めております。
教育行政に取り組むにあたりましては、関係する計画等に基づくことはもとより、人々の生活に大きな影響を与えたコロナ禍において、子どもたちの学びを止めないために教育DXを着実に進めながら学びの在り方の変容に対応してまいりましたように、今後とも、社会情勢の変化に機動的に対応しながら次の世代を担う子どもたち一人一人の力を最大限に伸ばしていけるよう、引き続き本道教育の発展に努めてまいります。
(指摘)
この質問を作るにあたり色々調べてみると、実は、人口減少における学校制度や教育形態については、様々に研究されていることを知りました。この度の一般質問でも、人口減少を憂慮すべき課題と認識していると答弁していただいております。しかし、私は、課題を認識する段階はとうに過ぎていて、この課題にどう向き合い、どう取り組むのかを道民に示し、自治体や地域と共に準備どころか行動に移しても良い段階にまで時は進んでいると考えます。もはや人口減少は止まることを知りません。いびつな人口分布がもたらす社会のひずみが悲鳴を上げ始めています。
先に述べた、教育庁が憂慮すべき課題と認識できているのなら、策を講じなければなりません。どんな策を打ち出すのかを明らかにしていかなければならないのです。教育には、質と共に量も必要なのです。質でかわすことでは足りていないと考えています。今だからこそ、国家観や北海道観、愛国心や郷土愛の醸成に取り組む必要があるのです。子どもたちに、しっかりと託すことが必要なのです。その意味において、私は、戦後80年教育の総括が必要だと考えもおります。
今後の大綱や推進計画などでも、今後の議論をさせていただける観点が十二分に検討されていることを期待し、注視していくことを申し添え、質問を終わります。