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2023/03/7

令和5年 第一回定例会 終日委員会 環境生活委員会 「北海道百年記念塔について」

この質問は、四年の任期を与えて頂いた最後の質問として、環境生活委員会で行いました。

多くの同志と共闘させて頂いていることに感謝を申し上げながら、目指す北海道百年記念塔の存続に向けて「春の戦い」でも訴えて参りたいと覚悟しています。

 

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【北海道百年記念塔について】

 

本質問にあたっては、令和4年10月3日に、道民が原告、北海道を被告として、札幌地方裁判所に行政訴訟が提起されていることから、その内容そのものについて触れることは致しませんし、答弁を求めることも致しません。

しかし、道は、係争中であっても、令和4年10月には解体に着手しており、更に、厳冬期にも関わらず解体の予定を大幅に前倒しして解体を急ぐ道の姿勢は奇異に映ります。

そこで、幾つかの質問を行います。

 

 

①建物解体撤去等差止請求事件について

最初に、建物解体撤去等差止請求事件について伺います。

現在、本事件は、第二回口頭弁論迄を終え、3月28日に予定されている中間判決が待たれる状況となっています。

道は、北海道百年記念塔について、これまで「道の考えを丁寧に説明する」と詭弁を繰り返してきましたが、それでも司法の場に判断を仰ぐことになってしまった事態について、道の見解を伺っておきます。

 

<答弁>

 百年記念塔についてでございますが、道といたしましては、塔のあり方について、平成28年以降、道民の皆様からのご意見はもとより、様々な専門家・有識者の方々の知見を伺うとともに、道議会でのご議論もいただきながら、時間をかけ、慎重に検討が重ねられてきたと考えておりまして、そうした状況を踏まえ、道議会におきましても、解体に係る予算や工事請負契約の締結について、議決をいただいてきたところでございます。

 塔の解体に関し、訴えの提起など、様々な意見があることは承知しておりますが、公園を利用される方々の安全確保が何より重要であり、解体もやむを得ないと判断した考えに変わりはございません。以上でございます。

 

②仮の差止めの申立てについて

今の答弁には、申し上げたいことが山ほどあるんですけれども、後にまとめます。

次に、仮の差止めの申立てについて伺います。

解体が進む危機的状況を鑑みて、2月24日には、仮の差止めの申立てが行われています。

一般的に考えられることとしては、訴訟の対象となった工作物を躍起になって解体を進める道の姿勢は、決して許されるものではありません。否応なしに他意を疑ってしまいます。

北海道百年記念塔は、既に建設から50年以上が経過し、北海道の歴史的文化的財産を形成するものの一つとなっていて、少なくとも道民にとっては重要な歴史的文化的な価値を有していることに議論の余地はありません。

一般の工作物とは異なり、再生が不可能なものであることは明白です。

道は、何を理由として北海道百年記念塔の解体を、そうまでして急ぐのでしょうか。

見解を伺います。

 

<答弁>

 記念塔の解体工事についてでございますが、道では、3月1日に、札幌地方裁判所を通じて、塔の解体工事の仮の差止めを求める申立書を受理したところでございます。

 解体工事につきましては、昨年10月14日に締結をした工事請負契約において、令和6年5月までを工期として、各種工事の工程が組まれており、これまで計画どおり工事が進められているものと承知をしております。

 

 

③井口健氏のコメントについて

この質問の前に、一言添えておきます。

3月1日の新聞報道等で明らかになりましたが、北海道百年記念塔の設計者である井口健氏が、去る1月14日午後5時34分、札幌市内の病院にてご逝去されています。享年84歳でいらっしゃいました。

北海道百年記念塔が、ご先祖様に対する北海道の開拓の労苦への感謝と未来の発展への期待の想いを込めた記念塔であること、北海道の開拓の象徴として、北海道のアイデンティティとして在り続けた記念塔であることを、ここに改めて感謝と敬意を表し、そんな想いを表した記念塔を設計していただいた故井口健先生に、謹んで哀悼の誠を捧げます。

さて、道は、これまで、北海島百年記念塔の解体について、記念塔の設計者である故井口健氏の同意を得たと説明してきました。それは議会手続きの中でもそうでしたし、これまでの住民説明会等でもそうでした。これは私自身が聴いていたことですから間違いありません。

しかし、井口先生は生前にそんなことは伝えていないと表明していましたし、その想いを記録に遺されています。

故人に対する名誉の為にも、この点について改めて事実関係を確認させていただきます。

道は、故井口健先生の生前、記念塔の解体の同意を得ていませんね。

尚、この点については、当該裁判の論点にはなっていないので質問させて頂いています。

事実を曲げてでも、議会や道民に虚偽の説明を繰り返してきた理由を伺います。

 

<答弁>

 設計者である井口氏への対応についてでございますが、道では、井口氏に対して、平成29年以降、塔の現状や議論の経過を丁寧に説明するとともに、今後のあり方などに関し、直接、お会いし、ご意見を伺ったほか、令和2年6月には、塔の内部の現状もご覧いただいたところであります。

 井口氏からは、形状を大幅に変更する残し方は容認できない、モニュメントとして維持し、自然に委ねるのが本来の姿とのご意見や防水対策の難しさなど、様々なご意見を頂戴したところでございます。

 道では、こうした井口氏への対応に関し、道議会や道民の皆様への説明会において、説明を行っていますが、委員ご指摘のように、塔の解体に関し、井口氏から同意を得たと説明したことはございません。

 

 

 

<再質問>

いまの答弁によると、道は、故井口健先生から解体の同意を頂いていないと認めたことになります。その解釈でいいですね。

また、議会議論過程での説明については、私自身が故井口健先生の同意は頂いていると説明を受けています。私自身が説明を受けているのですから、これ以上の証人はいません。

この解釈をはじめとした議会議論における道の説明には、様々な虚偽が含まれており、私は、これによって議会がミスリードされてしまったと考えています。

特に、この点は、故人となられた井口健先生の名誉のためにも譲ることは出来ません。

見解を伺います。

 

<答弁>

 井口氏への対応に関する説明についてでございますが、道では、これまで、塔の解体に関し、井口氏から同意を得たと説明したことはございません。

 

④北海道百年記念塔の価値について

次に、北海道百年記念塔の価値について伺います。

昭和45年9月2日、昭和天皇皇后両陛下ご臨席の下、内閣総理大臣等の政府要人が出席され、記念塔竣工式典が行われ、当時の町村知事は、約1500名の参列者の前で「ただ今寄贈下さいました北海道百年記念塔壱基謹んで受納いたします。この記念塔建立の趣意を体して最善の管理と運営に万全を期してまいる所存でありますことをお誓い申し上げお礼の言葉といたします。」と述べられているのです。

繰り返します。町村知事は、北海道百年記念塔建立の趣意が顕彰されるべく最善の管理と運営に万全を期すと誓約したのであります。

私は、鈴木知事と現役の幹部の皆さん、北海道庁職員の皆さんに問い正したいのです。

いつから心変わりされてしまったのですか。いつこの誓約を反故にすることにしたのですか。

今を生きる道民の皆さんだけではなく、道民であられた私たちのご先祖様の皆さんとの約束を平気で破ることが出来るのですか。

北海道百年記念塔の歴史的文化的な不変の価値を認めるのは、原告の皆さんも、道の皆さんも一緒のはずです。

道の見解を伺います。

 

<答弁>

 記念塔に対する認識についてでございますが、塔は、建設以来50年以上にわたり、先人に対する感謝と躍進する北海道のシンボルとして親しまれてきたものと認識しております。

 塔の歴史的、文化的価値は否定しないものの、その構造上、今後の老朽化の進行を完全に防ぐことは難しく、公園を

利用される方々の安全確保や将来世代への負担軽減等の観点から、解体もやむを得ないと判断したものでございます。

 

 

⑤部分的に逸失してしまった北海道百年記念塔について

次に、部分的に逸失してしまった北海道百年記念塔について伺います。

これは、仮定に基づく質問になりますので、道は答弁しにくいのかもしれません。

道は、既に解体工事を強行して、半年が経過しようしています。最近確認したところによると裾部のコルテン鋼のパネルを剥ぎ、部分的に足場を掛けている状態だと承知しています。

では、当該裁判にて解体中止の判決が出たならば、道は、北海道百年記念塔の逸失してしまった部分について、道民・国民に対してどのように責任を負うことになるのでしょうか。

繰り返しになりますが、北海道百年記念塔が持ち合わせる重要な歴史的文化的な価値を、どのように修復されると考えているのでしょうか。

まさか想定していないだとか、無理ですとか答弁されることはないと思いますが、危機管理的に考察しても、道が選択した解体開始の強硬策は、この点において致命的な欠落が明らかです。

更に、解体を強行した理由の一つに、議会議論を含めた行政手続きに落ち度はないと鈴木知事を含めて道は表明されていますが、故井口健先生に関する質問で明らかにした通り、その齟齬がいくつも明らかになりつつあることが事実です。この他の矛盾点、特に、議会への説明について、事実と異なる説明を重ねて導き出した北海道百年記念塔解体手続きであることが、今後、司法の手によって明らかにされることでしょう。

道は、北海道百年記念塔の逸失してしまった部分について、道民・国民に対してどのように責任を負うことを想定していますか。見解を伺います。

 

<答弁>

 今後の対応についてでございますが、道では、このたびの裁判におきまして、塔の解体もやむを得ないと判断をいたしました道の考え方が認められるよう、主張をしているところでございますが、今後、仮に差止請求が認められた場合には、判決の内容を精査し、顧問弁護士などの意見も踏まえた上で、適切に対応してまいる考えでございます。

 

<指摘>

今の答弁では、大切な部分が欠落しています。

例えば、この道議会庁舎を何らかの理由で解体したとしても、その再構築は可能です。しかし、北海道百年記念塔を傷付けてしまえば、元に戻すことは不可能であることは明らかです。それは、私たちが、開拓の歴史を否定することは出来ないからなのです。

だから、私たちは、この質問を通して提起しているのです。

だから、私たちは、原告の主張が通った場合に、この半年余りの道の無理強いについてどう責任をとるのかと聞いているのです。

何故急ぐのですか、何故事実を曲げてまで、議会や道民に誤った説明を繰り返すのですか。

元に戻すことが出来ないと判っているからこそ、住民訴訟が提起されたならば歩みを止めるものなのではないのですか。

それが、公平公正を普段から謳う行政としての在るべき姿なのではないでしょうか。

そこには、うがった見方をしてしまうほどに疑義の念を感じざるを得ません。本心を隠し、継ぎはぎの説明を重ねたとしても、北海道の先人に対する労苦と感謝を否定する不敬な立ち居振る舞いを通そうとすることはまかり通らないのであります。

 

本来ならば、ここは再質問として、議論を深めるべきところではありますが、冒頭更には本質問で踏み込み過ぎた点があることも認めなければなりません。今後の訴訟の成り行きなどを注視しながら、今後の議会議論に繋げて参ることを申し上げて、この質問を終わります。ありがとうございました。