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2024/11/7

令和六年 北海道議会 第三回定例会 一般質問「北海道における津波避難施設について」

我らが日本は言うまでもなく地震大国であり、災害は常に起こるものとして自覚しておかなければならないと承知しております。

 

国土強靭化の一環として、当たり前にある身の回りの「安心」として設備される様々なことに対して、私たちが出来得る政策を配しておかなければなりません。

 

しかし、それらは行政が一方的に行えば良いものではなく、地域住民一人ひとりが取り組むことも欠かせないものであることを知らなければならないし、それが何であるのかを地域住民一人ひとりが自覚してこそ活かされる政策であることを、私は訴えて参ります。

 

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二、北海道における津波避難施設について

 

先日行われた建設委員会の道内調査において釧路町を訪ね、津波避難タワーの整備状況をお聞きすることが出来ました。早速、その内容等を含めて質問させていただきます。

津波避難施設については、近い将来発生が予測されている巨大地震による津波に対し、避難困難地域に居住する住民の命を守る為に避難施設を整備し、対策の強化を図るものであります。そして、津波避難施設には既存建築物を活用する「津波避難ビル」と避難に特化して築造される「津波避難タワー」に分類されると承知をしております。

この質問では、「津波避難タワー」について絞って質問させて頂きます。

 

(一)津波避難タワーの推進について

最初に、津波避難タワーの整備の推進について伺います。

特に、日本海溝・千島海溝周辺巨大地震では、津波の到達が早く、甚大な浸水被害が懸念される特別強化地域が道内39市町村に及んでおり、いち早く対策を進めることが重要です。

このため、関係市町村や北海道、そして我が会派の国土強靭化推進本部を含め、関係省庁への要請活動を行ってきたことを承知しておりますが、現在は、39市町のうち、着手しているのが16市町ということですので、今後、更に市町の数が増えていくことにより、その予算規模も拡大していくことが必須であります。

また、津波避難タワーは、今では、全国に500棟以上整備されてきましたが、地域毎に特色をもって設置されているそうであります。北海道においては、積雪寒冷地でもあり厳寒期の避難も想定されていることから、その仕様においては配慮が必要となり、建設コストも嵩みます。

道では、関係市町による津波避難タワーの設置計画が遅滞することのないように、どのように対応していくのか伺っておきます。

 

 

 

<答弁>(建設部長)

津波避難施設の整備についてでありますが、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する特別措置法により、特別強化地域に指定された道内39の市町のうち、16の市町では、津波避難対策緊急事業計画の策定や国の補助事業や道独自の財政支援を活用し、津波から住民の生命を守るため、津波避難施設の整備などを進めているところでございます。

 市町が緊急事業計画に位置付けた事業を着実に進めるためには、予算の十分かつ安定的な確保が不可欠であるため、本年2月と6月、当初予算枠の拡大や補正予算等の確保について、国土交通省等への要請活動を行ってきたところでございます。

 また、積雪寒冷な道内においては防寒機能が必要となるなど、他県に比べ整備費用が高額となることも想定されるほか、今後も新たに事業に着手する市町が見込まれますことから、道としては、引き続き、関係する市町と連携しながら、必要な予算の確保が図られるよう、あらゆる機会を通じて国に強く要望してまいります。

 

 

(二)道の役割について

次に、整備の推進における道の役割について伺います。

先ほどの質問で触れたように、いまだ23市町が策定中ということであり、遅れというよりかは、市町の地域毎による背景が推進を難しくしていることが想定されています。

背景とは、予算確保面ばかりではなく、発災時に限ることのない平時における地域住民との関わりについても課題は明らかなようであります。

津波避難施設については、当該市町が整備を進めることになりますが、予算の確保や施設の利活用策について、国との懸け橋になるだけに留まらず、津波関連の諸計画策定の推進をはじめとした津波避難施設の設置に対して、道は市町の支援にあたる必要があります。

 

特に、平時の地域住民による利用検討については、ネガティブリストだけを明らかにしておいて、あとは地域の「まちのちから」に期待することが必要だと私は考えています。

道では、津波関連の諸計画策定の推進のみならず、津波避難施設の利活用促進対策が遅滞することのないように、どのように対応していくのか伺います。

 

<答弁>(建設部長)

平時における津波避難施設の利活用についてでありますが、津波避難施設は、平時において、常設展示を主目的とした博物館や、健康増進を目的とした体育館などの利用は認められておりませんが、防災に関する研修や啓発活動などのほか、避難を阻害しない範囲において防災活動以外の利用を妨げるものではないとされており、道としては、地域が津波避難施設を利用して防災に関する研修や、訓練を実施する場合には、積極的に協力することとしております。

また、他県におきましては、平時の利活用手法として、海の景色や工場夜景を眺めることができる展望台としての、利用のほか、花火大会の鑑賞やライトアップのイベントなどで利用されている事例があるところでございます。

道としては、こうした事例など、効果的な利活用手法について北海道開発局と連携し、「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震津波避難対策推進会議」等の場において、関係市町と情報共有や意見交換を行うなど、津波避難施設の平時の利活用に向けた検討が進むよう、取り組んでまいります。

 

 

(三)地域と津波避難施設の関わりについて

次に、整備が進む津波避難タワーに関し、その地域との関わりについて伺います。

津波避難タワーには、発災時において速やかに活用される施設として期待が持たれます。命を守ることが最優先の施設ではありますが、私は、地域に在ればいいのではなく、平時からの地域住民の意識へ、どのように関わるのが適切なのかを想定しておかなければならないのだと考えますし、発災時にしか出入りすることをせず、放っておかれることは避けなければならないのであります。

今回の建設委員会視察の意見交換で明らかになったことは、特に、津波避難タワーは発災時のみの利用が前提となっているようで、平時の地域住民による利用検討が滞っているとのことでありました。

折角の施設が、地域の中で守護神のように見守るだけということでは、その効果が限定的過ぎるのではないかと感じたところであります。

常日頃から施設に出入りすることにより、住民自らが、そこに逃げ場所があることを体感できるようにすることに加えて、津波避難タワーがいつでも利用できる健全な状態として保てるように、防災備蓄や清掃・雪かきなど維持管理の課題などを含めて、地域住民と自治体が知恵を出し合って積極的な利活用を促し、皆が頼れる施設にしていくことが重要なものと考えます。

安心安全の確保において、物理的な側面は勿論のこと、「地域の連帯」の維持を合わせた「まちのちから」に期待をし、それを欠かすことは出来ません。

地域住民がこれらの施設を利活用することについて、当該自治体と力を合わせ、国に対して、道がどのように対応を進めていくのか、知事の見解を求めます。

 

 

<答弁>(知事)

津波避難施設の利活用促進についてでありますが、津波避難施設は、津波による危険が切迫した状況において、住民等の生命の安全の確保を目的とした緊急一時避難施設でありますが、平時には、防災に関する研修や啓発活動などのほか、避難を阻害しない範囲において防災活動以外の利用を妨げるものではないとされているところであります。

また、平時から施設を積極的に利活用することは、津波避難施設に地域住民などが、出入りする機会を増やすことにも繋がり、災害時の円滑な避難に資するものと認識しております。

このため、道としては、これまでも防災活動以外の利用について、近隣住民の休憩所としての活用など、地域からの提案や相談に丁寧に対応してきたところであり、今後は、関係する市町や北海道開発局とともに、道内4地域に設置している推進会議等の場において、効果的な利活用手法について情報共有や意見交換を行うなど、北海道開発局と連携し、関係する市町における津波避難施設の平時の利活用に向けた検討が進むよう取り組んでまいります。