最新情報

2016/06/30

平成28年北海道議会第二回定例会 一般質問させていただきました。

昨日、午前10時より、高橋はるみ知事に対しまして、一般質問にて道政上の課題につきまして質問させていただきました。

昨年4月に当選させていただいて以来、三度目となる一般質問です。

より良い道政実現の為に、多くの皆さまと議論を重ねながら準備を重ねて参りました。

今回の一般質問は、一般質問で終わることなく、そのまま本定例会の予算特別委員会にて、深掘りして参ることになっています。

 

皆さんの暮らしに元気をお届けするために、あなたの暮らしに元気をお届けするために、その元気、実現して参ります!!!!

---------------------------------

平成28年北海道議会第二回定例会 一般質問

 

皆さん、おはようございます。早速、通告に従い順次質問させていただきます。

 

A、観光振興について

 

最初に、私たち北海道民の覚悟について質問させていただきます。

この質問は、先日、読ませていただいた本の影響を大きく受けた内容となっています。

正に北海道の観光政策における、根本に関わる問題提起となると、感銘を受けたところです。

そこで、「外国人観光客300万人戦略」の方向性について一石を投じながら、本道における観光政策に、再提起させていただきたいと思います。

DSC_0037

日本を訪れる外国人観光客は、2000年と2015年を比べると、約4.5倍となっています。同様に、北海道を訪れる外国人観光客は、約10倍にまで伸びているのです。

 

ここまで外国人観光客の数が伸びてきた、主な理由として考えられるのは、ビザ発給の条件緩和や、円安・新興国の経済成長などが挙げられていて、各地域が取り組む観光政策の充実が、十分な効果を上げているとまでは言い切れないのだと考えています。

 

言わば、これは「自然増」なのであって、国策として打ち出された手段が功を奏して伸びたと考えることが自然です。

 

現在、日本政府は、2020年には、その数を4000万人へと、2030年には6000万人へと観光戦略を立てているところと承知しております。

 

そこで、現在、私たちが打ち出している諸政策が、その目的に向かって適切なのだろうかという疑問に突き当たることになります。

 

私は、私たちの政策に足りていない重要な要素は、北海道民の皆さんの理解や覚悟だと思うのです。

私たちが実現させなければならない観光とは、異文化を受け入れることであり、年間に20万人程度お越しいただいていた時代とは大きく異なり、その時点での北海道の人口よりも多くの方々にお越しいただき、北海道を堪能して喜んでいただくことで、私たちの経済力の維持を図る一策とするのであれば、自ずと私たちが大きな変化を伴うことは明らかなのであります。

 

①    価値観・ニーズの把握について

では最初に、観光客の価値観とニーズの把握について伺います。

まずは、「来ていただく」という視点から、「来る人」が求めていることを「知る」ということであります。

私たちは、これまで「自然は一流、サービスは三流」と揶揄されてきました。

これまでのような既存型の観光、大量消費型の私たちの価値観を押し付けることでは、観光客のリピートにつながるものとは期待できません。北海道民や国民を「大量にさばく」観光から脱却しなければいけません。

私たちが出来ることを挙げて、それらの対策を講じていても、それが目的に適っていることだとは限りません。求められていることを適えて、初めて次へつながることとなるのではないでしょうか。

私たちは、外国人観光客の国・地域別で旅に対する価値観やニーズを、定期的に把握し直していく必要があるのではないでしょうか。 見解を伺います。

 

【答弁】

 観光客のニーズ等の把握についてでありますが

 

 〇 本道には、アジアなど多くの国や地域から観光客が訪れ、

  訪問目的や移動手段も多様化しており、動向やニーズを的確に

  把握・分析し、その結果を観光施策に反映することは、極めて重要。

 

 〇 このため、道では、定期的な観光入込みや各地の宿泊者の

  動向調査のほか、昨年度は、国ごとの旅行動向、嗜好などの実態を

  ビッグデータにより調査・分析し、私達の日常では気づきにくい、

  例えば、遅い時期に開花する「桜」や、地域の方々が作り上げる

  「祭り」といった身近な素材に関心があることも把握できたところ。

 

 ○ 今年度、これらの調査に加え、観光客の期待度や満足度などの

  動態や、新たに欧米観光客の嗜好などについてヒアリング調査を

  行うこととしており、道としては、こうした取組を通じて誘致対象国の

  観光客の皆様のニーズに応じた、きめ細やかな誘客や

  世界に通用する満足度の高い観光地づくりにつなげてまいる考え。

 

②    北海道の魅力の発信について

次に、北海道の魅力の発信について伺います。

私たちは、北海道民にさえ「北海道の魅力」を伝えきれていないのではないでしょうか。

これまで放っておいても「行ってみたい」「住んでみたい」と高く評価を頂くことが出来た私たちは、本当に「自然」「気候」「文化」「食事」に象徴される、北海道の魅力を自覚できているのでしょうか。知らなければ伝えることは出来ません。伝えることが出来なければ、来ていただくことは出来ません。

そのためには、道民に北海道の魅力を実感していただくことが大切なので、多くの道民の方に道内を周遊していただけるように、知事からメッセージを発信していただくなど、この観点から積極的な施策展開が必要ではないでしょうか。 見解を伺います。

 

【答弁】

 道内観光客の旅行の促進などについてでありますが

 

 ○ 多くの道民の皆様に、広く道内を周遊し、

  食や自然景観、体験プログラムなど、

  各地の多様な魅力を国内外に向けて発信していただくことは、

  本道への観光客誘致に、大変有効と考えているところ。

 

 ○ このため、道では、本年新たに民間企業との協力連携協定により、

  道内向け観光雑誌に広域観光の情報を掲載し、

  道内周遊を促すとともに、観光振興機構と共同で、

  SNSを通じて、観光客の方々に

  地域の魅力を発信していただく取組などを行っているところ。

 

 ○ 私としては、こうした取組に加え、道民の皆様に向け、

  様々なメディアと連携して、道内の旅行需要を喚起するほか、

  隠れた観光資源の情報発信に努めていただくなどしながら、

  北海道の観光振興につなげてまいる考え。

 

③    観光の生産額について

次に、観光産業による成長を示す目標設定について伺います。

私たちは、これまでの「数」なのではなく、「額」を意識しなくてはいけないのではないでしょうか。「沢山の方々に来ていただく観光」から「たくさんのお金を使っていただく観光」へと変化させていかなければならないのです。

その為には、わざわざ北海道までお越しいただくための「距離」と「時間」の関係を読み解く必要があると考えています。

そして、「どこから」受け入れるのか。中国やASEANからお越しいただく時の「距離」と「時間」や、欧米・欧州からお越しいただく時の「距離」と「時間」は、タイプが異なります。

それらの好例として受け止められているのが、先日ルスツにオープンした外資系高級ホテル「ウエスティン ルスツリゾート」であります。

一泊20万円以上の部屋が当たり前のホテルが道内に、そして札幌市内ではなく留寿都村に開業したという事実を、私たちは真摯に学び、受け入れて、変化を遂げなければいけないと考えます。模範とすべき成功例は、海の向こうにあるのではありません。山の向こう、すぐそこにあるのです。

 

外国人観光客を増やしていく目的は、人口減少の最中にあっても私たちの経済力を、維持していくためのものであるはずです。一方では「数」を、一方では「稼ぐ」ことを意識して戦略を立てていかなければなりません。「数」と同時に、「額」も示すことが必要ではないでしょうか。

国では、現在、日本版DMOの取組みを促進していることから、道としても、具体的で分かりやすい観点からの目標設定が必要と考えています。 見解を伺います。

 

【答弁】

 観光消費額の目標の設定についてでありますが

 

 〇 観光産業は、産業としての裾野が広く、

  雇用の創出や経済の活性化に資することから、

  より多くの外国人観光客を誘致し観光消費の拡大を図ることは、

  地域の「稼ぐ力」を引き出していく上で、重要と考えているところ。

 

〇 このため、道では、観光振興機構と連携して、

  交流人口の拡大や観光消費額の増加に向け、

  地域の観光産業の舵取り役となる日本版DMOの確立を

  促進するとともに、道東や新たに認定された

  道北の広域観光周遊ルートの形成などに取り組んでいるところ。

 

 ○ また、今年度、観光消費による経済波及効果調査を行い、

  観光審議会の意見なども伺いながら、来年度、新たに策定予定の

     外国人観光客来訪促進計画などにおいて、

  官民が戦略的に取り組むための指標づくりに努めてまいる考え。

 

④    今後の取組みについて

最後に、私たちの覚悟について伺います。

真の観光立国を実現するには、多言語対応やガイド機能の充実をはじめとして、お越しいただく観光客の皆さんが求める「高い満足が得られる」観光を提供する、私たちの覚悟が必要なのです。

 

観光関連産業は、北海道経済をリードする大きな力であることから、観光立国に向けて、北海道民へメッセージ性の高い政策を掲げながら、北海道民と一丸となってどのように取り組んでいく考えなのか、見解を伺います。

 

【答弁】

 今後の取組についてでありますが

 

  〇 観光産業を本道のリーディング産業として、

  さらに発展させていくためには、豊かな食や雄大な自然景観など

  北海道の優位性を最大限生かし、

  外国人観光客の皆様の旺盛な旅行需要を取り込み、

  本道経済の活性化につなげていくことが重要と考えているところ。

 

 〇 このため、私としては、国内外のトップセールスをはじめ、

  世界市場の動向や多様化する外国人観光客のニーズに

  的確に対応しながら、広域観光周遊ルートの形成といった

  戦略的な誘客プロモーション、さらには、

  滞在交流型の観光地づくりや空港機能の強化、

  多言語人材の育成など、必要なハードとソフト両面からの

        受皿づくりを推進し、道内の多分野にわたる産業と

        密接に連携しながら、道民の皆様とと もに、

  世界が憧れる観光立国北海道の実現を目指してまいる考え。

DSC_0049

 

B,札幌丘珠空港の利活用について

 

次に、札幌丘珠空港の利活用について伺います。

平成28年6月4日午後1時45分、札幌丘珠空港からFDAのピンク色のジェット旅客機が飛び立ちました。

3年前の試験運行から始まり、チャーター便の実績を積み重ね、満を持して「札幌丘珠空港と富士山静岡空港」間の定期便の就航が実現したのであります。

 

出発に先立ち行われた「FDA静岡定期便初便出発式」に、挨拶で立たれた秋元札幌市長は、札幌丘珠空港滑走路の延長に言及され、札幌商工会議所観光委員会の加森委員長は、北海道547万人と静岡375万人の交流が積極的に行われ、お互いの活性化に役立つ路線になって欲しいとエールを送られたのであります。いよいよ札幌市も札幌丘珠空港の利活用に向けて、その歩みを確実に進めるものと期待が高まったところです。

 

それは、防災上の観点からも、道内空港民営化の動きからも、新千歳空港の更なる利活用に向けた立場からも、札幌丘珠空港が担うことのできる可能性が、余りに大きなものであるからに違いありません。

 

道内空港の民営化の動きについては、私自身も注目して推移を見守っているところですが、早晩この札幌丘珠空港についても、複合的あるいは単独での「民営化」の議論を深めていかなければなりません。

確かに、共用空港として複雑な管理形態をとる札幌丘珠空港ではありますが、札幌市の194万人を背景に持つこの空港の利用価値を見過ごしていいほど、私たちが直面している危機が生易しいものではないことは明らかではないでしょうか。私たちは、この虎の子を温存させたまま、北海道の人口減少に立ち向かっていく政策展開を図る余裕など無いはずです。

 

いずれにしても「民営化」が道内空港の抱える全ての問題を解決してくれるものでないことは明らかなのであります。

地方空港存続を実現させていくためには、「民営化」の議論よりも先に、地元の血を滲むような努力が欠かせないことは言うまでもありません。

 

①    札幌丘珠空港の利活用について

それでは、この利活用に向けた状況について質問させていただきます。

先日開催された北海道・札幌市行政懇談会においても、札幌丘珠空港の利用促進については意見が交わされたと聞いております。どのような内容であったのか伺います。

また、札幌市が順次進めるまちづくりを見極めつつ、北海道においても札幌市と連携をとりながら、札幌丘珠空港の利活用に期待する方針を打ち出して、札幌市や関係団体に道の考え方を伝え、調整していく時期が近付いていると考えられますが、今後どのように取り組んでいく考えなのか、合わせて見解を伺います。

 

【答弁】

 丘珠空港の利活用についてでありますが

 

○ 先日開催した「北海道・札幌市行政懇談会」において、

 市長から、空港の更なる利活用に向け、

 道と札幌市を中心とした協議の場の設置について提案があり、

 国など関係機関の協力も得ながら、

 連携して取り組むことを合意したところ。

 

○ また、意見交換では、観光やビジネスの振興、医療体制の確保、

 さらには防災拠点の観点からも

 丘珠空港は大変重要であるといった議論があったところ。

 

○ 丘珠空港は、市街地と直結する優れた立地条件を有するとともに、

 道内の航空ネットワークの充実強化を図っていく上で

 重要な役割を担うものと認識しており、

 道としては、近く設置される協議の場において、

 全道的視点から丘珠空港の一層の利活用について、

 検討し、協議、調整を行ってまいる考え。

DSC_0020

 

C,道職員の企業等派遣研修について

 

次に、道職員の企業等派遣研修について質問させていただきます。

私は、大学卒業後に民間企業に勤めました。その後、家業に戻り企業経営の経験もさせていただきました。また、社団法人札幌青年会議所に入会させていただき、「まちづくり」を通しながら貴重な経験を積むこともできました。これらの貴重な「失敗や成功の体験」、そして多くの人との出会いが、北海道議会議員としての職責を果たすベースとして活かされていることは言うまでもありません。

そのような中で先日、東京である企業の方から北海道庁が行っている企業等派遣研修についてのご意見を伺うことが出来ました。

 

①    企業等派遣研修の現状について

そこで、お聞きしますが、北海道では、昭和59年から企業等派遣研修を始められ、これまでシンクタンクや商社をはじめ、製造や情報・流通といった幅広い分野で企業派遣を行ってきており、現在では在職5年以上、原則34歳未満の職員を対象として、これまで106事業所に対し、377名の職員を派遣してきたと承知しております。

最初に、どのような基準で派遣先を選定してきたのか伺います。

 

【答弁】

派遣先企業についてでありますが、道では、企業における実務を体験させることにより、職員の意識改革や資質の向上等を図ることを目的にこれまで、金融、商社、流通、製造など、様々な分野の道内外の企業に職員を派遣してきており、本年度においては、政府系金融機関、商社、旅行代理店などの道内1、道外4の計5企業に派遣しているところ。

派遣先企業については、様々な実務研修の機会が得られるよう、同一企業への派遣は、原則として連続3回を上限としながら、先進的な取組の有無や道の政策との関連などにも留意しつつ、道庁とは異なる仕事の進め方や民間ならではの経営感覚に触れられるといった研修効果の高い業務体験の場を提供いただける企業を選定しているところ。

 

 

②    研修成果の活用について

次に、本事業は長年に渡り当該研修を行ってきたものと承知しています。それらは派遣された職員個人の資質向上に留まることなく、多くの方々と共に業務に携わり、知り合うことによって出来る人脈や、限られた職域だけでは手に入れることのできない視野や発想、即ち経験を手に入れられたことと容易に想定することが出来ます。

それは道庁として代々引き継がれ、活用されるべきものと考えています。報告書として記録に残すばかりではなく、また、職員の資質の向上という尺度が当て嵌めにくいものばかりではなく、それを経験した彼らが、道政上の課題解決のツールとして役割を担うことができるように、設えることが可能ではないでしょうか。

研修修了者の民間における経験を、道における様々な業務の推進にどのように活かしていく考えか、見解を伺います。

 

【答弁】

企業派遣研修の活用についてでありますが、道では、派遣職員から研修状況の定期的な報告を求め、派遣終了後の人事配置や、新たな派遣先選定などの基礎資料としているほか、派遣職員の貴重な経験を、幅広い行政運営の場で活かすため、派遣終了時の研修成果報告書を庁内イントラネットに掲示し、活動実績や研修で得られた知見・ノウハウなどを庁内に周知し、助言や情報提供のきっかけとしているところ。

今後は、派遣職員が研修で得られた経験等を様々な職場が、より活用し易くなるよう、これまでの派遣先企業、派遣者、業務内容等をデータベース化して、庁内に情報発信するほか、派遣経験者と派遣を希望する職員との情報交換の場を設けるなど研修成果がこれまで以上に活かされるよう取り組んでまいる考え。

 

 

③    派遣先の選定について

次に、派遣される職員の派遣先についてお聞きします。

派遣された職員は、定められた期間内で、派遣企業の一部署で職務につかれると承知しています。企業では営利を目的とする訳ですから、行政のそれとは大きく異なる行動基準が求められることになります。

そのものが貴重な体験であることは間違いありませんが、同時に派遣先や取引企業、多様なお付き合いの中から育まれる人脈は、それにも勝る道庁にとっての財産になっていくものと確信しています。

こうした観点から、研修先の選定にあたっては、人脈形成の観点から研修先を戦略的に選定していくべきではないでしょうか。見解を伺います。

 

【答弁】

派遣先企業の選定についてでありますが、本道が直面する様々な課題について、市町村はもとより、企業や各種団体など多様な主体と連携して対応していくことが求められている中、道と企業等との信頼関係の構築に努めることは、大変重要なことと認識しており、こうした連携の際には、企業派遣研修による実務経験を通じた人的ネットワークが、大きな力になることが期待される。

このため、派遣先企業の選定にあたっては、職員の能力開発の観点とともに、道政上の重点課題に沿った人的・組織的なネットワークの構築といった観点についても重要な要素として十分に考慮してまいる考え。

 

 

④    派遣対象職員の拡大について

次に、より効果の高い職員派遣についてお聞きします。

確かに若いうちに外の世界を知り、様々な刺激を受けることは有益だと思われますし、道庁に戻られてから、当初の目的を発揮されるには十分なことなのだと判断できます。

しかし、派遣先の企業が、時にカウンターパートナーとして、決断や実行を伴う内容を求めていることも事実であることを知らなくてはいけません。派遣先の業務内容に基づく即戦力としては基より、道庁に戻って、政策実現の手段として、即座に反映できるものをイメージして、企業側が接してくることも飲み込んでおく必要があるのではないでしょうか。

言わば、年齢制限を引き上げるなどして、管理職直前の方々向けに、より政策の深層部分について必要な知識や人脈を得ることが出来る研修としても、活用することができるのではないでしょうか。お考えを伺います。

 

【答弁】

企業派遣の対象職員についてでありますが、企業派遣研修は、将来が期待される若手職員の長期にわたる人材育成の一環として実施してきており、原則34歳未満の職員を対象としているところ。

また、派遣にあたって企業側からは、受け入れる職員の研修内容の設定や、配属先などの処遇の都合もあり、比較的若手職員の派遣を希望するとのご意見もいただいている。

一方で、様々な地域課題に、道と民間が連携して、スピード感をもって対応することが重要となってきている中、派遣職員には、企業で得た経験を、関連する道の業務において、直ちに活かせる職場に配置することが必要な場合もあるところ。

こうした状況を勘案し、議員ご提案の点も含め、今後とも、企業側の意向を十分踏まえながら、企業派遣研修をより一層効果的に実施するための人選のあり方について検討してまいる。

DSC_0035

 

⑤    道内自治体への派遣先紹介について

次に、人口減少に苦しみ、多くの来訪客を受け入れ、まちの経営を左右するほどのアイディアを渇望する北海道や道内の自治体にとって、この企業等派遣研修は欠かすことのできない事業であると思われます。

しかし、その派遣先の確保や、派遣先の企業との関係維持については、相当な手間と努力が必要であることは十分に想定できます。

これまで北海道が派遣を実現させてきた企業は基より、今後新たに派遣させたい企業などについて、国や都府県の協力を仰ぎながらストックしておいて、道内自治体に情報公開する中で、道内自治体が希望する企業とのマッチングを実現させていくことはできないでしょうか。総合政策部と連携した、北海道が提供する魅力的な自治体へのサービスとしてあるべきと考えますが、お考えを伺います。

 

【答弁】

市町村への情報提供についてでありますが、道内の市町村においては、職員の資質の向上や組織の活性化に向け、道や国への派遣のほか、企業などへの派遣研修が実施されているものの、企業派遣の実績は限られていると伺っている。

このため、企業派遣研修に実績のない市町村が、職員に多様な経験を積ませ、企業との人的つながりを得ようと派遣研修に取組む場合に参考となるよう、道がこれまで蓄積してきた派遣実績や派遣成果について派遣先企業の了承をいただいた上で、市町村に提供するとともに、企業派遣研修を希望している市町村から寄せられた相談にきめ細かに対応するなど、市町村の企業派遣研修を支援してまいる考え。

 

 

⑥    企業等派遣研修の展望について

このように企業等派遣研修については、これまでの経験をより活かし切るために、更には厳しい環境下にあっても、私たちの北海道が成長し続けていくためにも、欠かせぬ先行投資事業であることは明白なのであります。

これまでの本研修事業の目的に加えて、これからの本研修事業の目的には、より目的が精鋭化された、将来への効果の高い結果が求められているのではないでしょうか。

そこで最後に、本研修事業について、これまで質問申し上げた点を踏まえて、企業等派遣研修の認識と今後の展望についてお伺いして、この質問を終わります。

 

【答弁】

職員の民間企業への派遣研修についてでありますが、道では、昭和59年に制度を創設して以来、様々な分野の企業に職員を派遣し、民間の経営感覚に直接触れ、人的ネットワークなどを得た多くの職員が道政の中枢を支える幹部職員として活躍してきたところ。

現在、道政を取り巻く課題が多様化・複雑化し、市町村や企業などと連携した対応がますます求められている中、職員が企業派遣で得た様々な経験は、企業との包括連携の拡大など多くの場で活かされていると認識。

道としては、今後とも意欲ある職員を派遣し、その経験が道政の各分野で活用されるよう、研修成果を庁内に広く情報発信するとともに、研修が活かされる人事配置を中長期的に進めるほか、重点政策の推進を念頭に置いた派遣先企業の選定など、企業派遣研修が道政運営に幅広く資するよう、より効果的・効率的な研修に取り組んでまいる。

DSC_0050

 

D,道のアスベスト問題の対応ついて

 

次に、北海道においてのアスベスト対策については、我が会派並びに他会派によって、議会議論や委員会議論が繰り広げられているところであります。

そのような中で、平成26年6月に2つのアスベスト規制法案が改正施行されたことが分水嶺となって、各自治体や企業、民間の建物所有者の責任が改めて問われることとなってきています。

 

環境省所管の「大気汚染防止法」では、建物の解体などでアスベスト粉じんを発生させる作業の届出が「施工者」から「発注者」に変更され、建物所有者の責任がより明確になっています。

厚労省所管の「石綿障害予防規則」では、損傷・劣化したアスベストを含む保温材等については、レベルを問わず除去や封じ込め等の対策が新たに必要となったところです。

 

平成26年10月に大阪泉南アスベスト訴訟を皮切りとして、翌11月には九州の建築現場での訴訟の、更には平成27年2月には近隣住民が製造会社を相手取る訴訟の判決が下り、屋内型・屋外型、そして環境型とそれぞれの訴訟で、国や企業の賠償責任を認める内容となっているのです。

これは、国や製造会社の責任が認められ、法改正に伴い建物所有者にもその責任があることになったと判断することができます。

 

それに伴って、各地でNPO法人や地域住民が、アスベストが放置されている施設への指摘を行い、各所で問題が表面化してきているものであり、また熊本地震の倒壊建物からのアスベスト飛散問題などで民意が高まるとともに、総務省からの再調査勧告が出ているところなのであります。

 

①    アスベストを取り巻く社会情勢について

そこで、アスベストを取り巻く社会情勢が厳しさを増していることについて伺います。平成26年10月に大阪アスベスト訴訟で、初めて一部国の責任を認める判決が出て以来、ここ一年半でアスベスト訴訟は、国やアスベスト製造会社の敗訴判決が続いています。

これからは、アスベストの存在を放置していると、建物所有者である自治体や企業が訴えられる可能性があると想定できますが、見解を伺います。

 

【答弁】

 アスベストを取り巻く社会情勢についてでありますが

 

 ◯ 平成17年にアスベストによる重大な健康被害が

  明らかになったことを受け、

  国においては、石綿障害予防規則の制定や、

  大気汚染防止法の改正などが行われ、

  最近では、平成26年にアスベスト除去工事における

  飛散防止対策の徹底を図るため、発注者責任の明確化や

  石綿含有建材の追加などの規制強化がなされたところ。

 

〇 建物所有者等は、これらの法令を遵守し、石綿含有建材の

  使用状況の把握や、解体時における適切な作業などにより、

  アスベストの飛散防止措置を講ずることが求められているところ。

 

〇 道としては、道有施設のアスベスト対策に

  万全を期すとともに、市町村や民間の建物の所有者等に対し、

  関係法令に基づく、適切な対応について指導してまいる。

 

 

日本、そして北海道にはまだまだアスベストが残っている建物は多いのです。

日本では、平成18年に全面使用禁止となりましたが、アスベストが使用されている可能性のある建物は、約3000万棟以上と言われています。

吹付アスベストだけではなく、これまで規制の対象外であった内外装の塗装材や煙突の断熱材や配管の保温材、折板屋根の裏打ち材なども規制の対象となってきました。

 

②    アスベストの再調査について

そこで、アスベストの再調査について伺います。

天井裏やエレベーターシャフトなどの再調査、さらに煙突の断熱材や配管の保温材、折板屋根の裏打ち材などのレベル2やレベル3建材の劣化状況を含めた再調査が必要ではないでしょうか。

これまでに、本来存在しないとされていたり、劣化していないとされていたものから暴露例が出てきていることも事実なのです。第三者による調査を行うことを前提に、その見解を伺います。

 

【答弁】

 アスベストの調査についてでありますが

 

 ◯ 道では平成17年の規制の強化を受け、

  吹付けアスベストの使用状況の調査を行い、毎年度、その状態や

  除去、封じ込めなどの措置状況の確認を行っているところ。

 

〇 アスベスト含有保温材など、

  いわゆるレベル2建材については、平成26年に文部科学省が

  学校施設等の使用状況調査を実施し、

  道においては、昨年度から国交省のマニュアルを踏まえた

  実施要領に基づき、道有施設の調査を行っており、

  必要に応じて第三者による分析も行っているところ。

 

〇 今後、それらの調査対象施設の劣化状態や

  その後の措置状況などについて

  フォローアップしていくこととしている。

 

〇 なお、アスベスト含有成形板など、

     飛散性が低い、いわゆるレベル3建材については、

     建物所有者等に対し除去作業などに関する留意事項について、

     周知するとともに、

  現在、国において解体工事の実態に則した

  所要の改善措置が検討されていることから、

  こうした動きも踏まえて、適切に対応してまいる考え。

DSC_0055

 

③    アスベストの「無害化封じ込め」や「無害化飛散防止処理除去」について

次に、全国の自治体や企業の中には、アスベスト処理の最新工法を既に活用しているところもあり、私としては、最新工法でのリスクヘッジをとるべきと考えています。

アスベストの危険性への危機意識を持ち、薬剤によりアスベストを固めて、人体に対して無害化するアスベスト無害化処理工法を採用している実態が全国的にあり、それが、法改正に対応した建物所有者のリスクヘッジとなっているとの見方が可能だからです。

また、直ちにアスベストが除去できない状況下にある建物は、一日でも早い「無害化封じ込め処理」を行うことで、いつでも近隣や関係者へ、人体に対して「無害化処理」されていることの説明責任を果たせるようにしておくことが重要です。

更には、今後も維持・継続する建物や設備については、「無害化封じ込め」を行うことや、解体・改修する建物や設備には、「無害化飛散防止処理除去」を行うことについて、道の見解を伺います。

 

【答弁】

 アスベストの処理についてでありますが

 

○ 道では、道有施設において使用されている

  吹付けアスベストについては、国の石綿障害予防規則に基づき、

  原則除去することとし、利用状況により除去ができない場合には、

  アスベストを薬剤で固める「封じ込め」処理や

  建材で覆う「囲い込み」処理を行ってきたところ。

 

○  規制強化された保温材等についても、

  損傷や劣化状況に応じて、同様に対処することとしており、

  アスベストの封じ込めや除去については、

  人体に安全な形状に固めて処理する

  いわゆる無害化処理工法など、

  公的機関の認証を受けた様々な技術が開発されていることから、

  道としては、国や他の自治体の取組状況について

  情報を収集するとともに、施設の状況、コスト、施工性等を

  考慮したうえで、適切に処理してまいる考え。

 

 

髪の毛の5000分の1と言われる微細なアスベスト繊維を全て取り除くことは事実上不可能なのです。だからこそ除去中の飛散抑制と、除去した面に最終的に無害化飛散防止剤で飛散防止処理をしてから、建物の改修や解体を行うことが必要なのだと考えているのです。

 

これまで行ってきたアスベスト除去では、近隣や関係者、作業者にアスベスト暴露のリスクが高いことを認識し、他の自治体に先んじた対策を北海道が率先して取り組むことは、環境問題を先進的に取り組む自治体として、非常に大きなアピールになると思うのです。

民間に範を示す意味でも、積極的に行政が安心・安全な方法で、対策を率先して取り組むことを望みます。

 

 

以上で、私からの質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。