言うまでもなく、すそ野の広い「観光産業」は、人口減少の真っ只中にある北海道にとって、『北海道の元気を取り戻す』ためにも、『北海道を強くする』ためにも、道が、道民が、成長産業として力を入れていかなければならない最重要分野であることに違いありません。
その為には、まず私たちが変わらなければいけないと訴えさせていただいています。『変わる覚悟』を決めなければいけないのだと考えています。
今回の質問を通じて、さまざまな方からご意見を頂戴し、多くの方から応援を頂きながら議論を重ねてきたところです。
この質問で終わらせることなく、道政に民間の感覚で加勢していきたいと決意しているところです。
---------------------------------
【観光振興について】
本定例会の一般質問でも触れたところでありますが、ここでは観光振興について、少し深堀りをさせていただきたいと思います。
(一)国際環境の変動への対応について
道が5年ごとに実施している、観光産業経済効果に関する調査の平成22年度調査結果によれば、観光消費額は約1兆3千億円と推計されております。調査方法の変更によりこれまでの数値とは直接比較できないとのことでありますが、道内外からの観光客数がほぼ横ばいの中、外国人を含む道外観光客による消費額が増加していることを見れば、この間大きく伸びた外国人観光客による影響が現れていると考えられます。
22年度の調査後外国人観光客の伸びは著しく、道の外国人来訪促進計画の目標数値を計画策定後2年足らずで見直さなければならないほどであり、国においてもこの3月に策定したビジョンでは意欲的な目標数値を掲げているところであります。
こうした状況にある本道観光の振興、活性化が本道経済に大きな効果をもたらすことは当然に考えられることから、先の我が会派代表格質問において、外国人観光客数の目標数値について見直すとともに、数値見直しを踏まえた対応策を質(ただ)したところ、
知事から、明確で実現可能な目標の検討は重要であり、機を逸することなく見極めていく、また、目標達成に向けて、中長期的な課題に対応しながら満足度の高い観光地づくりに取り組んでいく、との答弁があったところであります。
① こうした議論をしている最中、イギリスがEUから離脱するというニュースを受けて、為替相場が大きく円高に振れ、外国人観光客の訪日に大きく影響することが想定されております。今のところ、300万人以上を目指して取組を進めているところでありますが、新たな状況も踏まえて、道として、緊急的な対応や中長期的な対応を見据えた手立てをどのように考えているのか、伺います。
【答弁】
国際環境の変動等への対応についてでありますが
〇 外国人観光客300万人を達成するためには、
アジアはもとより多様な国々からの更なる誘客の促進に加え、
季節や地域の偏在解消、受入体制の整備・充実といった
中長期的な課題にも対応し、地域の潜在力を最大限生かした
満足度の高い観光地づくりに向け、具体的な手立てを
機を逸することなく確実に打ち出していくことが重要。
〇 このため、道では、外国人観光客数の目標達成に向けて、
本年3月に国が新たに示した「観光ビジョン」における、
今後の取組や対策、さらには、この度のイギリスのEU離脱問題に
見られるように、為替相場等に伴う経済情勢や
国の社会情勢などの変動による観光入込みの影響なども
考慮する必要があることから、
道が設置した経営金融相談室と連携した観光業界への対応や、
より質の高い旅行商品を売り込む誘客活動といった
緊急的な対策に取り組むとともに、
国や道、関係団体等で構成し、
国の新たな目標を受けて設置している「北海道ブロック連絡会」での
検討内容や、庁内プロジェクトチームなどを活用し、
中長期的な取組について検討を進めているところ。
② 目標数値の検討について
知事答弁では、目標数値の見直し検討について、明確で、実現可能な目標を検討する、機を逸することなく見極めていく、というものでありました。どのように、また、いつまでに、検討を進めていく考えなのか、伺います。
【答弁】
目標数値の検討についてでありますが
〇 これまで相前後して明らかとなった
観光に関する道及び国の計画等を踏まえ、
道としても明確で実現可能な目標を
改めて検討していくことが重要と考えているところ。
〇 目標検討の時期については、
アジアや欧米といった各市場の規模や特性、
さらには観光客の本道観光に関するマイナスイメージを含めた
受け止め方などを十分検証のうえ、
観光入り込みの季節間格差や地域の偏在、
受入環境の整備・充実といった本道観光の課題への取組状況や、
今後明らかになると考えている国の新たなビジョンに基づく
具体的な取組や対策も踏まえながら、
機を逸することなく、見極めてまいる考え。
【指摘】
1問目でお答えいただいた「機を逸することなく確実に打ち出していく」という方針は重要です。
と同時に、民間が必要としていることは「実現可能な目標」であると共に、「目標を実現させる政策」なのであります。
決して低過ぎない目標を、必要十分な行政の決断を、早期のうちに打ち出されるように強く求めます。
③ 目標達成に向けた対応について
また、知事は、目標達成に向けて、海外からの更なる誘客、季節や地域の偏在解消、受入体制の充実といった課題に対応する、との考えを明らかにしておりますが、現在の目標300万人を超える目標を設定するとき、今の目標達成とは異なった対応が求められるものと考えられます。どのように対応を検討していこうとしているのか、伺います。
【答弁】
目標達成に向けた対応についてでありますが
〇 より多くの外国人観光客の皆様に本道観光を
楽しんでいただくためには、季節や地域の偏在解消、
受入体制の整備・充実に加え、特定の国や地域に偏らない
誘客の促進などに取り組むことが必要。
〇 このため、空港機能の強化や多言語に対応できる
人材の育成はもとより、道東や道北の広域観光周遊ルートの
形成などによる観光コンテンツの磨き上げなどに
取り組んでいるところ。
〇 明確で実現可能な目標の検討にあたっては、
この度のEU離脱問題や新興国における経済成長 の鈍化など、
経済や社会情勢の変動による短期的な観光入込みの影響などに
配慮しながら、こうした環境変化に対応していくとともに、
世界の観光市場の動向や、多様化するニーズなど、
観光をめぐる趨勢を見極め、議会議論や
「北海道ブロック連絡会」での検討結果なども踏まえながら、
目標達成に向けて、満足度の高い観光地づくりに官民一体となって
取り組んでいく必要があると考えている。
(二)広域観光と地域観光について
国が指定する広域観光周遊ルートについては、「テーマ性やストーリー性を持った、一連の魅力ある観光地を、交通アクセスを含めネットワーク化」することよって地域の活性化を図ることとし、昨年6月に道東地域を中心とした「アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道」が指定され、続いて本年6月には道北地域を中心とした「日本のてっぺん きた北海道ルート」が追加指定されたと承知しております。
これらは外国人観光客向けに、訪日旅行客の呼び込みに向けたPR活動などを国が支援する「広域観光周遊ルート」として、現在国内の11ルートが指定されています。
この大きな目的には、外国人観光客の地方分散化を進めるためや訪日の動機付けや滞在日数を伸ばすためとされています。正に私たちの北海道が、優先的に取り組んで参らなければならないことは明らかです。
④ 「数」と「額」について
そこでお聞きしますが、これらは地元の自治体や観光関係団体・民間事業者などが主体となって、地域住民の参加を促しながら実施されるものとしています。
それぞれの協議会では、この取組みによる入込客数をどのように設定しているのでしょうか。また、それによる観光消費額の目標をどのように設定しているのでしょうか、伺います。
【答弁】
目標の設定についてでありますが
〇 広域観光周遊ルートの形成計画の策定にあたっては、
国の実施要綱において、地域の状況に応じた
目標を設定することが求められており、
「プライムロードひがし北・海・道推進協議会」については、
全道の外国人延べ宿泊客数における当該エリアのシェアを
平成26年度の20パーセントから
平成31年度に22パーセントに引き上げ、
また、「きた北海道広域観光周遊ルート推進協議会」については、
札幌及び旭川以外の当該エリアでの外国人延べ宿泊客数を
平成27年度の20万人から平成32年度に40万人以上に、
引き上げるように設定しているところ。
〇 なお、観光消費額については、両協議会とも、
今後、国が行うマーケティング調査の結果などを踏まえて
それぞれのエリアに滞在する旅行者一人あたりの旅行消費額を
設定することとしている。
【指摘】
いま、「一人当たりの旅行消費額を設定する」とお答えいただいたところですが、それだけでは足りないと思うのです。来訪される国や地域、多様化する嗜好の中にあっては、考えられる指標を新たに設定し、細かくフォローしていくことが求められます。
例えば、宿泊や食事やお土産の消費額も可能ではないでしょうか。
宿泊ならば、高級・ビジネス・長期滞在・エコノミー等々と分類するだけでも意味深いものとなるはずです。今後北海道に必要となってくる超高級も一つの分類なのかもしれません。
その分野別にも、志向別にも設定は可能です。全方位の対策はとれないものの、我々のウィークポイントが明らかになってくるはずです。むしろ、それに期待したいところでもあるのです。
民間の皆さんと共に、どの位「稼ぐ」のかを意識した政策が必要です。
改めて、真正面から受け止めていただき、研究・調査していただけますようにお願いします。
⑤ 観光客のニーズについて
では、これらの広域観光周遊ルートに、何を期待してお越しになられるのかを「知る」という視点、即ち、観光客の立場に立った、観光客に必要とされる情報の拡散を実施しなくてはいけないのだと考えています。
国が指定した広域観光周遊ルートについて、道や地元協議会によって、「知る」という観点でバージョンアップを実現させながら目標を達成していかなければならないと思うのですが、道として、どのように関わっていくお考えなのか、見解を伺います。
【答弁】
道の関わりについてでありますが
〇 来道する外国人観光客の訪問目的が、多様化してきていることから、
観光客の嗜好やニーズなどを的確に把握・分析し、その結果を
踏まえたマーケティングを行っていくことが重要。
〇 このため、「ひがし北・海・道」では、昨年度、当該エリアの
宿泊施設等でのアンケート調査のほか、北海道札幌観光案内所に
おいて対面によるマーケティング調査を実施し、今年度は、
インターネットなどを活用した海外各市場の
ニーズ調査を行うこととしており、「きた北海道」においても、
同様の調査を行っていくこととしている。
〇 道としては、こうした様々な観点からのニーズ調査に基づき、
外国人観光客の多様性を認識し、国民性の違いなども踏まえ、
効果的なプロモーションを行うとともに、ニーズに沿った
観光コンテンツを磨き上げ、多くの外国人観光客の皆様に
満足していただける広域観光周遊ルートの形成を推進してまいる。
⑥ 道内未設定地域の動向について
これらの動きは、外国人観光客の激増を目論む私たちにとって歓迎されるものであることは間違いありません。では、先にお示ししたように、道東と道北を中心としたルートの指定は済んでいますが、道南についての指定は、どのような動きとなっているのでしょうか、伺います。
【答弁】
道南地域の指定についてでありますが
〇 道南地域は、食や歴史的遺産・伝統文化などを活用した
観光のテーマ性を有しており、また、本年3月に開業した
北海道新幹線による誘客効果もあることから、今後、
外国人観光客の一層の増加が見込まれる地域と認識。
〇 観光庁が推し進める「広域観光周遊ルート形成促進事業」は、
訪日外国人旅行者の周遊の促進を総合的かつ一体的に
図るための計画の策定や、広域観光に関わる自治体や団体、
交通事業者など幅広い関係者が連携・協力する
実施体制の構築が求められているところ。
〇 現在のところ、追加募集は予定されていないものの、
今後の国の動きを注視するとともに、
あわせて、道南地域における主体的な取組が重要であることから、
今後の機運の醸成に向けて必要な助言を行うなど、
地域の行政機関や観光関係者との連携を密にしてまいる。
例えば、環境省が行う「国立公園満喫プロジェクト」が挙げられます。
国内にある32の国立公園から5か所程度をモデル地区として選定することが、本年3月に発表されています。
国は国立公園利用者を、2020年までに、今の倍以上となる1000万人とする目標を掲げ、全国の国立公園に外国人観光客向けのガイドを300人育成するともしています。
道内においては、阿寒国立公園が有力とされていて、今年3月には丸川環境大臣が阿寒湖畔を中心として視察に訪れていらっしゃいました。
私が提案したいことは、道や協議会などが、周辺地域の観光周遊プランを発信することにより、同時に厚みのある提案が可能となります。
例えば、阿寒国立公園を中心に考えるならば、厚岸町では世界に誇る美味しい牡蠣やアサリが水揚げされていて、この夏からは新たな蒸留所が完成し、将来、海産物に合うスモーキーなウイスキーを味わうことが出来るようになります。
例えば、白糠町ではエゾシカの有効活用が先進的に取り組まれていて、非常に美味しいエゾシカ肉を味わえたり、そのエゾシカ肉に合う、街ぐるみで取り組むチーズを楽しむことが出来ます。
海に山にと、その地域の「自然」「気候」「文化」「食事」を堪能することが可能であり、正に世界に発信すべき宝が存在しているのです。
道東自動車道の延伸によって、道央圏からの移動に大幅な改善がなされ、移動交流人口は増加の一途を辿っているところですが、このようなのコンテンツが揃っているならば、もっと多くの道民や国内の旅行者に訪れていただく価値は、十分にあると言えるのです。
このように道内には、道民の私たちでさえ認知できていない、そこの地元の方でさえ当たり前過ぎて自覚できていない「宝の山」が溢れているのであります。
⑦ 地域観光堪能ルートの開発について
では、道の地域観光の取組みについて伺います。
地域主導のメリットがあるように、デメリットがあることも知らなくてはいけません。
「余所者・若者・馬鹿者」と例えられるように、地域と道が「リーダー役」と「マネージャー役」を上手に立ち代わり、組み合わせながら目標を達成できるようにしていかなければなりません。どちらかが担えば叶うものではありません。道民向け・国内向けにも、また高付加価値やマニア向けなどのバラエティ溢れる道認定制度の創設を視野に入れた「地域観光堪能ルート」の開発が必要ではないかと考えています。
国が取り組む「広域」版から、もう少し「地域」版に絞ったルートの開発です。
「広域」版を柱として、「地域」版がわきを固めるイメージです。多くはない複数の自治体が、あるテーマを基に堪能ルートを提案・発信することを提案しておきます。
それは、特に道民の皆さんに、それらを気軽に訪ねていただくことのできる仕組みづくりが必要です。道の地域観光の取組みについて、これまでの成果と今後の展開を伺います。
【答弁】
地域観光の取組についてでありますが
〇 広大な北海道において、各地域に
国内外からより多くの観光客の方々に訪れていただくためには、
食や自然など地域の強みを生かし、地域の関係者が連携しながら、
魅力ある滞在交流型の観光地づくりを進めていくことが重要。
〇 道では、これまで、ミシュランのグリーンガイドで
3つ星を獲得している知床と摩周湖、阿寒湖をつないだ
「3つ星街道」といった、広域連携による周遊型ルート造成や、
根室管内での野鳥観察や鮭文化体験を組み合わせた
モデルルート化など、
地域ならではの特色を生かしたルート開発を支援してきたところ。
〇 道としては、国の認定を受けた
2つの広域観光周遊ルートの取組とも連動しながら、
その周辺の地域の観光関係者とも連携して、
テーマ性のある多様な観光ルートづくりを進めるなど、
地域の魅力を堪能できる観光地づくりを促進してまいる考え。
【指摘】
意見交換させていただく中で、どうやら「着地型観光魅力づくり推進事業」というものが、この提案に近い政策ではないかと考えたところです。
この事業では、平成25年度から3年間に渡り、39の事業に支援をされてきたところと伺いました。
更に、平成28年度からは、その後継事業として「広域観光推進事業」を展開中とのことでもありました。
しかし、私たちの北海道にはまだまだ多くの魅力が存在していることは誰もが認めるところであり、点と面を様々に提案することができるように、これまでの支援の検証から始め、さらなる支援や事業の拡大を図っていただけますように強く要請しておきます。
この事業については、今後、私自身でも検証し、効果を広げる可能性を検討・議論させていただきたいと思いますので、皆さんにはお手数をお掛けすることになりますが、よろしくお願いいたします。
さて、この観光振興に関わる件に関しましては、北海道の未来を左右するほどの政策となりますので、改めて知事に直接質問したいと思いますので、委員長のお取り計らいをよろしくお願い申し上げます。