
一 産業用大麻について
一般質問でわが党の議員が欧州での調査を踏まえて産業用大麻(ヘンプ)に関する質問を行ったところでございます。
産業用大麻はヨーロッパでは新たな農業作物としてその活用が2万種類以上にも及び、北海道にとっても大きな可能性を秘めた作物ではないかと考えているところであります。
質問では、地方創生や地域振興、人口減少問題への対応等の観点から、知事公約に掲げた産業用大麻の栽培に向けた今後の取り組みについて質問をし、着実に進めていくと答弁を頂いたところでもあります。
そこで、産業化に向けた振興について、伺ってまいりたいと思います。
(一)道内での取り組みについて
産業用大麻は、茎から取れる繊維や食用としての種子、更にはおがらは家畜やペットの敷料に使えるなど、本道農業の新しい可能性を秘めていると考えているところでもございますが、既に道内で栽培を行っている地域もあると聞いておりますが、その取り組み状況について、まずは伺います。
【答弁】
産業用ヘンプの道内での取組状況についてですが、
〇道内では、北見市において、
市や民間企業、試験研究機関などが参画する
「産業クラスター研究会オホーツク」に、
ヘンプの栽培・加工による地域再生をめざして、
「麻プロジェクト」を平成14年度に設立し、
海外の先進事例調査やヘンプに関する正しい理解を
普及するためのシンポジウムの開催などに取り組むとともに、
18年からは試験栽培に取り組んでいる。
〇また、東川町においては、
25年から、国内外の先進地調査やシンポジウムを開催し、
26年からは、地域の農業者が町の委託を受け、
実用的な栽培技術を確立するための栽培試験や
住宅用断熱材などへの加工試験、種子の安定生産等を
するための採種試験に取り組んでいる。
(二)道としての取り組みについて
道は産業用大麻が将来に向けて極めて可能性を秘めた作物であることから、有識者による検討会を立ち上げ、栽培に向けた検討をしていると聞いております。これまでの道としてのその取り組み状況についてご説明いただきたいと思います。
【答弁】
ヘンプの道の取組についてですが、
〇道では、平成25年度にヘンプの畑作物としての可能性を
検討するため、外部の有識者の方々に道の関係部局を交えた
「北海道産業用大麻可能性検討会」を設置の上、
道内で先進的に取り組んでいる地域の方々と連携し、
ヘンプに関する情報交換を行ってきた。
〇また、26年度からは、栃木県から有毒成分の
ほとんどない品種である「とちぎしろ」の種子を譲り受け、
道総研に委託し、生育特性や種子確保の可能性に関する
栽培試験、野生大麻との交雑調査などを行ってきている。
〇さらに、本年2月には、検討会での議論を経て、
道内の気候に適した栽培技術の確立や
具体的な活用方策などヘンプの栽培に向けた
今後の取組方向に関する工程表を取りまとめたところ。
(三)新しい動きについて
いま、道内での取組並びに道としての取組についてお伺いしましたが、そういった流れの中、道内では、また新たに大麻栽培に取り組もうとする動きがあるようにも聞いております。その内容について把握していることを具体的に伺いたいと思います。
【答弁】
ヘンプに係る道内での新たな動きについてですが、
〇網走市においては、昨年6月、市や市内の会社経営者等が
中心となって、ヘンプの栽培の普及により、
新たなヘンプ関連産業の創出を目的として
「網走市産業用ヘンプ研究会」を設立し、
ヘンプの調査研究や啓発活動などをスタートさせた。
〇また、今年度から、研究会の代表者が
網走市からの委託を受け、
実用的な栽培方法の確立を目的とした栽培試験や
種子の安定生産を目的とした採種試験に
取り組む意向があると聞いている。
(四)検討会での参加者の参画状況や役割について
これまでの答弁の中にもありました、検討会というものがありましたが、検討会には、道の関係部局や有識者が参画しているとお話いただきました。具体的に誰がどんな役割を期待され、参画しているのか伺います。
【答弁】
ヘンプに係る検討会についてですが、
〇ヘンプは、道内において、
有用な畑作物となる可能性があるものの、
法により栽培や所有等が厳しく制限され、
栽培技術や道民理解の促進といった課題もあることから、
「北海道産業用大麻可能性検討会」を設置した。
〇この検討会では、外部有識者として、
栽培を推進する立場からヘンプの栽培実践者、
道民の立場から消費者団体の代表、
大麻乱用防止の立場から道薬剤師会の代表、
技術的な助言を行う立場から農業に関する学識経験者や
農業試験場の研究員の5名を委員に委嘱するとともに、
庁内関係部局からは、関係法を所管する保健福祉部、
地域振興を担当する総合政策部、産業振興を担当する経済部、
さらには、畑作物の生産振興を担当する農政部を
構成員としている。
(五)大麻栽培の課題について
そのような検討会を経て、是非とも産業用大麻の将来を開いていただきたいと考えるところでありますが、今後、産業用ヘンプの栽培普及、そして産業化に向けての課題となるものはどのような点が考えられているのか、道としての見解を伺いたいと思います。
【答弁】
ヘンプの栽培や産業化に向けた課題についてですが、
〇これまでの道や先進的取組地域での栽培試験、
検討会における議論などからは、道民理解を得ることを基本に、
①寒冷な道内の気候において、「とちぎしろ」等を
安定栽培する技術、
②寒冷な道内の気候に適合した海外品種も含めた優良品種の
選定と安定的な確保に向けた検討、
③国内外における活用事例を参考にした
出口対策としての活用の方策、
④道内での先導的取組地域における調査・研究の取組
との密接な連携
といった課題が明らかにされたところ。
(六)産業用大麻の産業化について
次に産業化というものに、我々の場合は生産を目的とするのではなくて、産業化をしていかなければならないわけですから、その産業化についてお伺いします。
生産には、その利活用があってはじめて産業化となりますが、例えば一次加工場の設立支援など産業化に向けた川下対策が必要と考えておりますが、道の見解をお伺いいたします。
【答弁】
産業用ヘンプの産業化についてですが、
〇道では、これまで検討会を開催し、
栽培技術、品種の選定、活用方策、地域の取組といった
課題について、工程表を取りまとめたところであるが、
将来の産業化に向けては、生産されたヘンプの出口となる
活用方策が非常に重要な課題と認識している。
〇こうしたことから、今後、
麻炭を活用した商品づくりに取り組もうとする事業者をはじめ、
建材や自動車内装材を製造する事業者、
さらには、木質バイオマス資源を利用している事業者等に
材料や燃料としてのヘンプの評価や活用の可能性を
聞き取りを行うなど、
今後の活用に向けた道筋を検討してまいる考え。
(七)今後の取り組みについて
これまで道は有用な畑作物として可能性があるということから、検討会で議論を重ね知事公約に盛り込んでいただいております。栽培に向けた取り組みを推進していくため、今後どのように具体的に取り組んでいくのかを伺っておきます。
【答弁】
ヘンプの栽培に向けた今後の取組についてですが、
〇ヘンプは、法により栽培や所有等が厳しく制限され、
栽培技術の確立や道民理解の促進といった課題がある一方、
建材や自動車の内装材、バイオマス資源などとして
有用な畑作物になる可能性があることから、
道では、平成25年度に有識者による検討会を設置し、
試験栽培や野生大麻との交雑調査等に取り組んできた。
〇また、本年2月、検討会でのご議論を経て、
栽培技術、品種選定、活用方策、地域の取組の
4つの視点で、ヘンプ栽培に向けた今後の取組方向についての
工程表を取りまとめた。
〇道としては、この工程表に基づき、
道内で先進的に取り組む地域や団体の方々とも連携し、
道内に適した栽培技術や品種の選定、
海外の活用事例などの科学的知見を積み重ね、
欧州のように将来の産業化につながっていくことができるよう、
ヘンプ栽培に向けた取組を着実に進めてまいる考え。
これまで農政部の皆様から前向きなご答弁をいただいたと感じているところでございます。産業用大麻の普及に関しては、知事公約に掲げられていることもありますので、改めて知事に直接質問をしたいと考えておりますので、委員長のお取り計らいをよろしくお願い申し上げます。