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2016/08/15

八月 環境生活委員会 「フロン類対策について」

平成28年8月2日、環境生活委員会にて、フロン類対策について質問させていただきました。

これは昨年7月に、同じくフロンについての質問をしていたところですが、平成28年7月末を以って「道が一年間で漏えいさせていたフロン類の量を把握できた」ことをキッカケとして、民間の皆さんと如何に協力しながら対策を講じていくのかを議論させていただいたところです。

 

道内に広く存在するフロン類への対策は、民間の皆さんの協力なしに一歩たりとも進めることは出来ないことは明白です。

であるならば、民間の皆さんが動きやすく、経済性を伴う活動として取り組んでいただくしかないと考えているのです。

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【フロン類対策について】

 

道のフロン類対策については、昨年7月の当委員会において私から質問し、引き続き本委員会で取り上げたいと申し上げていたところです。

 

先の新聞報道では、ハイドロフルオロカーボン、いわゆるHFCは、オゾン層を破壊するフロン類の代わりにエアコンなどに使用されていて、使用量が増加していますが、実は、地球温暖化への影響は二酸化炭素の数百から数千倍もあることから、生産の規制に向けて国際的な検討が進められていて、今年5月に開催された伊勢志摩サミットでは、フロン類の生産や使用を削減してきたモントリオール議定書の枠組みで規制するように年内の議定書改正を目指すこととされたところです。

 

また、国内においても、HFCを含めてフロン類の製造から廃棄までのライフサイクル全体に渡る包括的な対策が図られるように、平成25年6月に、いわゆる「フロン回収・破壊法」が改正され、「フロン排出抑制法」として平成27年4月に施行されているところです。

 

そこで伺います。

 

①    道が行ってきた周知や普及啓発について

はじめに、フロン類の排出を防止するためには、業務用エアコンや冷蔵庫など第一種特定製品の適正な管理が必要でありますが、道ではこれまで、管理者に対してどのような周知や普及啓発を行ってきたのか伺います。

 

【答弁】

 「フロン排出抑制法」の周知などについてでありますが、平成27年4月に施行された「フロン排出抑制法」では、これまでの使用済みフロン類の適正な回収・破壊処理に加え、使用中の業務用エアコンや冷凍冷蔵機器からのフロン類の漏えいを防止するため、新たに機器の管理者に対し、適切な場所への設置や点検の実施などが義務付けられたところでございます。

 このため、道では、機器の管理者や販売業者、建築物解体業者、フロン類の回収業者などで構成する「北海道フロン類適正管理推進会議」を平成27年度に設置し、法制度の趣旨や管理者などに新たに求められる対応や措置について情報共有を行うとともに、機器の管理状況を把握することを目的としたヒアリングやアンケート調査を実施したところでございます。

 また、旭川市や北見市など道内5か所で管理者や点検業者などを対象とした適正管理に関する講習会を開催するとともに、札幌市で広く道民や事業者の方々などを対象として、「フロン排出抑制法」の理解促進を目的とするシンポジウムを開催するなど、法制度の趣旨やフロン類の適正な管理の徹底について、周知と啓発を行ってきたところでございます。

 

 

わたくしは、このフロン類については、

1、道が管理し使用しているもの

2、民間で広く利活用されているもの

3、道内に広く存在してるもの(いわゆる、野良フロン)

に分けて議論を進めていく必要があると考えています。

 

②    道が管理する対象機器の現状について

そこで、まずは道が管理し使用している対象機器の現状について伺います。

改正された「フロン排出抑制法」では、一年度内に二酸化炭素換算で1千トン以上のフロン類の漏えいがある事業者は、漏えい量等について、営んでいる事業を所管する大臣に翌年度の7月末までに報告することになっています。

昨年7月の当委員会で、道としても、知事部局のほか教育庁や道警察などを含めてエアコンや冷凍冷蔵機器3950台を管理しているとのことでありましたが、まずはその時点で出力規模等が不明とされていた7台についてのその後の調査結果を伺うと共に、道が所管している機器からの漏えい量について伺います。

 

【答弁】

道が管理する対象機器の状況についてでありますが、まず、昨年7月の時点で、出力規模等が不明となっていた7台については、製造メーカーなどへの照会により、いずれも出力7.5キロワット未満であり、そのうち現在使用している4台については、法で新たに義務付けられた3ヶ月に1回以上の目視による確認などの簡易点検を行っていること、残りの3台は現在使用されていないことを確認したところでございます。

平成27年度末時点で道が管理する機器は、前年度から264台減少し、この4台を含め、合計3,686台であり、管理者別にみると、知事部局所管が1,416台、教育庁所管が1,272台、警察本部所管が981台、企業局所管が17台となっており、これらについては、全て簡易点検が必要となっております。

 これらの機器からの漏えい量については、知事部局所管で約680トン、教育庁所管で約213トン、警察本部所管で約15トン、企業局所管では漏えいがなく、それぞれ、国への報告を要しない1千トン未満であることを確認しているところでございます。

 

 

 

このことは市町村が使用しているエアコンや冷凍冷蔵機器についても、実態把握と管理が求められていると考えています。道内自治体に対しても、「北海道フロン類適正管理推進会議」への参画と、その適正な管理を求めていただくように申し添えておきます。

 

③    漏えいさせた事業者への対応について

次に、民間で広く利活用されているものについて伺います。

実は、道内に存在するほとんどのフロン類は、民間で利活用されているものだと考えられ、民間事業者や市町村が設置する対象機器からの漏えい量は、事業所管大臣に、直接、報告され、環境大臣と経済産業大臣が集計結果を都道府県に通知することになっています。

まず、その報告は誰が報告することになっているのでしょうか。そもそも1千トン漏えいさせてしまったと、どのタイミングで認識できることになっているのでしょうか。

また、今後そのような通知があった場合は、道としてどのように対応するつもりなのかを伺います。

 

【答弁】

漏えいが確認された機器等への対応についてでありますが、「フロン排出抑制法」では、業務用のエアコンや冷凍冷蔵機器に補充をしたフロン類の総量を漏えい量とみなし、一年度内の漏えい量が、二酸化炭素換算で1千トン以上となった場合、機器の管理者は、翌年度の7月末日までに、事業を所管する大臣にその漏えい量を報告することとされており、管理者は、年度内の漏えい量を算出した時点で、報告の必要の有無を認識することとなります。

また、漏えい量の報告は、国において集計され、都道府県に結果が通知されることから、道としては、通知があった事業者への立入検査などにより機器の管理状況などを確認するとともに、簡易点検や定期点検の結果を踏まえた漏えい防止措置や修理後の補充の実施など適正な管理について指導を行ってまいります。

 

 

④    漏えい実態の把握とその対応について

では次に、漏えい実態の把握とその対応について伺います。

第一種特定製品の管理者の中には、1千トン以上のフロン類の漏えいがありながら、報告をしないケースなどが考えられます。

一般的に考えると、使用している機器の不具合によってメンテナンスが必要となり、修理業者がフロン類を充填することによって漏えいしていたと判断できるならば、修理業者によって誰がどれだけ漏えいさせてしまったのかを把握することが出来ると推察できます。道は、独自にこの観点から事実を把握することが出来るのではないでしょうか。

これらについて、道としてどのように対応するつもりなのか伺います。

 

【答弁】

実態の把握などについてでございますが、フロン類の漏えい状況の把握は、管理者が行う報告によることが基本でありますことから、道といたしましては、機器の管理者が1千トン以上の漏えいを確認した場合におきまして、遅滞なく法に基づき国に報告するよう、北海道フロン類適正管理推進会議など様々な機会を通じて、一層の周知を行っていく考えでございます

一方、フロン類の回収事業等につきましては、知事への登録が必要であり、登録事業者は、毎年度、事業により回収、補充されたフロン類の量を道に報告することとなっております。このため、補充量の多い事業者から詳細な状況を聞き取ることなどにより、機器の整備の状況や追加補充量などを把握することも可能と考えられますことから、今後こうした関係事業者の協力を得て取り組むことも検討してまいります。以上でございます。

 

 

 

⑤    放置されている使用済み家電製品の対策について

次に、いわゆる野良フロンについて伺います。

家電製品である冷蔵庫などにもフロン類が使用されており、道内でも家電製品が放置されている事例があると聞いております。これらについてのフロン類対策も必要でありますが、道では放置されている家電製品の状況をどのように把握し、どのように対策してきたのでしょうか。

また、今後、不適正処理を防止するためにどのように取り組んでいくのか伺います。

 

【答弁】

家電製品の不適正処理への対応についてでありますが、使用済みの冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコンにつきましては「特定家庭用機器再商品化法」いわゆる家電リサイクル法に基づいて適正なリサイクルと廃棄物の処理が行われることとされております。

 しかしながら、未だ不用品回収業者などが回収した家電製品が野外に長期間放置されている事案や不法投棄される悪質な事案が散見されておりまして、道では、住民からの通報やヘリコプター監視などによりまして、その把握に努めているところでございます。

 こうした事案につきましては、放置されている家電製品のほとんどが家庭から排出される一般廃棄物でありますことから、市町村が主体となって原状回復や適正な処理を指導することとなりますが、家電製品が、複数の市町村から持ち込まれている場合もあるため、原因者である不用品回収業者などへの立入検査や、それぞれの事案に応じて、関係者を特定するための調査などに対しまして、道が助言や協力を行っているところでございます。

道といたしましては、引き続き毎年10月の3R推進月間をはじめとします各種のイベントを活用いたしまして、パンフレットを配布するなど、使用済み家電製品を販売店等に引き渡すよう啓発を行いますとともに、不法投棄や不適正な保管を把握した場合には、市町村等と連携いたしまして、原因者等に対し、原状回復や適正処理を指導するなどして、使用済み家電製品の不適正処理の防止に向け、取り組んでまいります。

 

 

⑥    北海道フロン類適正管理推進会議について

昨年7月の当委員会での議論でも明確にしたところでありますが、フロン類の排出と抑制におけるの役割は、法制度を広く普及させ、業界団体の皆さんと連携しながら適正な管理が図られるように取り組んでいくことだと承知しています。

しかし、それから1年以上経過して、その現状を顧みるとそれが十分であったのかは疑問が残るところであります。

先にお示ししたように民間に広く存在するフロン類を、道自らが把握し、適正な管理を実現させることは不可能なのであり、どうしても業界団体の皆さんに頼らざるを得ないことなのだと考えています。

この議論で「北海道フロン類適正管理推進会議」で行ってきた内容を説明いただいたのですが、この会議では、業界団体に所属される関係業者の皆さんと共に、法制度の趣旨に則って道内に広く存在するフロン類を使用される民間利用者の皆さんに働き掛けることが出来るように務めなければならないと考えています。

この会議では、道内の実態を把握し、法制度の周知や普及啓発を推し進めるばかりなのではなく、業界団体に所属される関係業者の皆さんが、排出抑制のための有効な経済活動ができるように、道として支援していく必要があるのです。

よくよく会議で議論を深めていただき、フロン類の排出抑制の実効性を持たせることができるように整えていただく必要があります。

この会議の設置要綱並びに運営方針の見直しを検討していただきたいと思いますが、伺います。

 

【答弁】

北海道フロン類適正管理推進会議についてでございますが、この会議は、平成27年4月の「フロン排出抑制法」の施行を受け、機器の管理者や販売業者、建築物解体業者、フロン類の回収・補充事業者などが適正な管理と処理を推進するための課題や情報を共有し、効果的な対策の実施に向けた連携、協議等を行うことを目的に昨年8月に設置したものでございます。

設置初年度は、まず、法の趣旨や新たに求められる対応等についての周知、啓発や実態の把握を中心に取り組んできたところでございます。

 フロン類の排出抑制対策を進めていくためには、法制度の理解を得るための周知はもとより、対象機器の設置状況や、管理の状況等の把握が重要であり、機器の販売や整備、回収、補充などに携わる民間事業者の協力が不可欠であると認識しているところでございます。

このため、9月に開催を予定しております推進会議におきましては、こうした民間事業者等の協力やアイディアをいただきながら、フロン類対策を効果的かつ着実に進めていくための方策や、事業者や市町村と連携した取組などについても検討してまいります。以上でございます。

 

 

⑦    最後に、環境生活部長にフロン類の排出抑制に対するの現状認識と今後の展望についての見解をお伺いします。

 

【答弁】

 フロン類の排出抑制に向けた取組についてでありますが、温室効果ガスの一つであるフロン類は、排出量全体に占める割合は低いものの、二酸化炭素と比較して非常に高い温室効果があり、今後、代替フロンの排出量の増加が予想されていることから、国は、「フロン排出抑制法」を制定し、フロン類の製造、使用、廃棄までの対策を包括的に行うこととしております。

また、フロン類の排出抑制対策を推進するためには、製造から廃棄までの包括的な対策を効果的に進めることと併せまして、「家電リサイクル法」等に基づく対策についても一体的に取り組んでいくことが重要と認識しております。

このため、道といたしましては、法の趣旨を踏まえ、道や市町村、民間施設の管理者に対し、様々な機会を通じて、フロン類の取扱いに関する周知に努めることはもとより、「北海道フロン類適正管理推進会議」におきまして、専門的知見を有する民間事業者等とも連携をして本道の特性に応じたフロン類対策について協議、検討を深めるとともに、回収、補充にあたる登録事業者の協力をいただきながら、漏えい防止方策の検討を行うなどいたしまして、実効性のある対策を推進してまいる考えでございます。

 さらに、市町村などと連携をし、引き続き、家電製品の適正なリサイクルと処理の推進を図り、本道におけるフロン類の排出抑制と適正処理が着実に進むよう、取り組んでまいります。以上でございます。

 

 

ありがとうございました。この1年間、道がですね、フロン類に対して取ってきた行動、内容というものは、方向性こそ間違ってはいないものの、でき得る量の一部でしかなかったろうというふうに私は思っている訳であります。あらためて申し上げると、この点については、道が直接的に取れる内容というのは、いくらがんばってもほんの一部でしかなく、さきほど申し上げた3つに分類したうちの、その殆ど、9割以上、99%以上が民間に存在するフロン類である以上は、民間の皆さんに積極的に行動してもらうためにも、経済活動として、大きく前進させていただくしかないものだと考えているわけであります。

道として胸襟を開き、協力を願い出て、推進会議の皆さんを中心にフロン類対策を前進させていただきたいと考えておりますので、最後にお願いを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。