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2016/11/1

十一月 環境生活委員会 ①「民族共生に向けた私たちの目指す姿について」 ②「民族共生象徴空間年間来場100万人の実現について」

本日、環境生活委員会にて質問をさせていただきました。

 

「民族共生」について身近に考えさせられる機会の少なかったことを自覚し、改めて北海道で育った者として真摯に向き合い質問させていただいたところです。

どちらかがどうと言う観点なのではなく、共に生きる私たちが未来の北海道に必要な「元気の源」として捉え直すことで、この課題に取り組んでいきたいと考えております。

 

本件に関しては、さまざまな議論が存在していることは承知しております。

世界には、同類の課題が存在していることも耳にしております。

 

しかし、正しく「共に北海道で生きる」ために必要なことは、如何にして

「共に未来を創り出す」かなのだと確信している私自身にとって、目指す姿を明確に打ち出すことでしか、過去のわだかまりは解くことが出来ないと考えているからなのであります。

 

本件に関しては、引き続き第四回定例会で取り上げていく考えです。

よろしくお願いいたします。

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環境生活委員会 11月一斉委員会 質問内容

    民族共生に向けた私たちの目指す姿について

    民族共生象徴空間年間来場100万人の実現について

 

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    民族共生に向けた私たちの目指す姿について

 

まず、民族共生に向けた私たちの目指す姿について伺います。

本年8月23日から、環境生活委員会で実施された道内視察において、白老と阿寒を視察させていただきました。それぞれの集落においてアイヌの人々や共に暮らす住民の方から有意義なお話しを伺うことができ、私なりに色々と考えるところがあったのであります。

そこで整理しておきたいこととして、改めて伺います。

 

最初に、

1, 国政におけるアイヌ政策の認識についてお聞かせください。

 

<答弁>

 国政におけるアイヌ政策の認識についてでありますが

 

 平成20年6月に衆参両院において全会一致で採択された

  「アイヌ民族を先住民とすることを求める決議」を受け、

  当時の内閣官房長官が設置した

  「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」において、

  現在のアイヌ政策を推進する基本的考え方が取りまとめられたところ。

  

 国会決議では、平成19年の

  「先住民族の権利に関する国連宣言」を踏まえ、アイヌの人々を

  我が国の先住民族として認めるとともに、

 

  「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、

  法的には等しく国民でありながらも差別され、

  貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、

 

  厳粛に受け止めなければならない。」とし、

    有識者の意見を聞きながら、アイヌ政策を推進し、

  総合的な施策の確立に取り組むこととしている。

 

 また、有識者懇談会では、今後のアイヌ政策について、

  国連宣言の意義や憲法などを踏まえ、

  アイヌの人たちのアイデンティティの尊重や

  多様な文化と民族の共生の尊重、

  さらには、国が主体となった全国的なアイヌ政策の実施という、

  三つの基本的な理念に基づき、

  アイヌ政策を総合的に展開していくべきとしている。

 

 

 私が道議会議員とならせていただいてからではありますが、様々な文献などから得た知識を基に私なりの考えをまとめると、確かに1899年に法令となり1997年に廃止された「北海道旧土人保護法」の下、更には明治政府の強制的な同化政策によって、アイヌの人々の伝統的な生活・習慣や文化は徐々に消失され、廃藩置県に基づき地租改正により土地の所有を奪われて移住を余儀なくされた方々もおられて、生活も困窮の道を辿ったと承知しております。

 また内閣官房長官談話を答弁で紹介していただいたように、「活力ある社会を形成する「共生社会」を実現することに資するとの確信のもと、アイヌ政策の推進に取り組む」と示されているのであります。私たちは、正に国が「主体」としてアイヌ政策の推進を力強く、また必要十分にリードしていただけるように要請し続けていかなければなりません。

 

 

では次に、

2,道政におけるアイヌ政策の現状ついてお聞かせください。

 

<答弁>

 アイヌ政策の現状についてでありますが

 

 道では、昭和36年度から、

  アイヌの人たちの福祉向上対策に取り組み、

  昭和49年度からは、4次にわたる「ウタリ福祉対策」と

  3次にわたる「アイヌの人たちの生活向上に関する推進方策」を策定し、

  生活向上施策の総合的な推進に取り組んできたところ。

 

 また、アイヌ文化の振興に関しては、

  「アイヌ文化振興法」に基づき、

  「公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構」を通じて、

  アイヌ語教室の開催や文化伝承者の育成、普及啓発事業など、

  アイヌ文化の振興と理解の促進を図る施策を推進し、

  アイヌの人たちの民族としての誇りが尊重される社会の実現に向けて、

  取り組んできたところ。

 

 なお、アイヌ政策に関しては、本年5月に、

  国がその根拠となる総合的な法律の検討を表明し、

  今後、既存事業の評価・検証を行うとともに、現行施策の見直しも含め、

  幅広く政策を検討する予定となっており、

  道としては、北海道アイヌ協会や関係市町村と連携しながら、

  国の検討に積極的に協力していく考え。

 

 

北海道では、アイヌの人々の社会的・経済的地位の向上を図るための施策を推進してきたと伺いました。

 これらは実に42年もの長きに渡り実施されていて、施策の効果として、多くのアイヌの人々が自立した暮らしを手にすることができるようになったともお聞きしました。

 その他にも、平成9年には「アイヌ文化振興法」が、平成20年には衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」がなされ、今日の「民族共生の象徴となる空間」の整備に向けた動きが進み、アイヌ政策の推進が加速されるに至っているのだと認識しております。

正に道が「実体」としてアイヌ政策を推進し、共生する未来を実現させなければならいないということが理解できるのであります。

 

 

次に、アイヌ人々の数についてですが、昭和47年から始まった道の調査によれば、2万3000人前後で推移しながら、2006年には23782人、2013年には16786人とされていて、減少し始めていることも事実だと承知しています。

 

3,道では、減少の理由をどう捉えているのでしょうか、更にこの先の動態の変化をどのようにみているのか、伺います。

 

<答弁>

 アイヌの人たちの数についてでありますが

 

 道では、昭和47年から、道内のアイヌの人たちを対象にした

  実態調査を7年毎に実施してきており、

  これまでの7回の調査においては、

  昭和61年の2万4,381人が最も多く、

  その後は、2万3,000人台で推移してきたが、

  直近の平成25年の調査においては、1万6,786人となり、

  これまでで、一番少ない調査対象者となったところ。

 

 この調査対象者の減少については、調査に協力いただいている

  北海道アイヌ協会の会員数が高齢化等の理由により

  減少していることや、地方在住者の都市部への転居により、

  追跡把握がむずかしくなったこと、

  さらには、個人情報保護に関する意識の高まりにより、

  調査への協力者が減少していることなどが、要因と考えられるところ。

 

 こうしたことから、今後も調査対象者の減少は見込まれるもの、

    このことは、必ずしもアイヌの人たちの人口動態を

  表したものではないと考えており、

  現在、アイヌ新法の検討を行っている国とも協議し、

  今後の調査方法について検討を行ってまいる。

 

 

 アイヌの人々の数をどのように捉えていくのかは、民族共生を推進していく立場からすると、その根拠をいつまでも他人任せにしておくことはままならないのだと考えています。自ずと向き合い、真の共生を実現させていくには、これまでの延長でいたのではバランスに欠けていて推進力を得ることが出来ないのでは懸念しているところです。

 いま答弁いただいたように、恣意に基づくことのない人口動態を把握することのできる調査方法を国と協議しながら定めていただくように強く申し入れておきます。

 

 

では次に、

 4,阿寒でアイヌの人々と意見交換をさせていただいたのは、「阿寒緑町生活館」という施設でしたが、このようなアイヌ生活館は道内に幾つ設置されているのでしょうか。またそれは誰が設置し、誰のためのものなのか、誰が維持管理していくものなのか、伺います。

 

<答弁>

 アイヌの生活館についてでありますが

 

 生活館は、アイヌの人たちが居住する地域の生活環境の

  安定向上及びその周辺地域の住民の社会的、経済的、

  文化的改善向上を図るため、

  国と道の補助金を活用し、市町村が整備を行い、

    その管理運営は、整備主体である市町村が担うこととなっている。

 

 現在、道内には、165館の生活館が設置されており、

  アイヌの人たちを含む地域の住民を対象に、生活改善指導、

  社会福祉、保健衛生などに関する相談や、

  アイヌ文化の伝承活動等に利用されているところ。

 

 

165という生活館の多さには驚いたところではありますが、その利用実態等については今後調査が必要となってくるものと考えています。

その議論は改めてさせていただくとして、さきほどの人口動態把握と生活向上施策は、単純に増えた減ったの議論や一方を支える施策の議論なのではなく、共生を推進させる「実体」として明らかにしておかなければならない課題です。

 それは、アイヌの人々が、地域別でみても決して同じ方向を向いているとは言えないことをお聞きしております。これら政策の実現を難しくしている要因の一つであると言えます。

現代に在っては先住民族として捉えて文化振興を図ることも大切でありますが、それにも増してアイヌの人々の一体感を醸成していただくことが欠かせないのだと考えています。

道政における地域別対応にも限りがあることを知っていただかなければなりません。

アイヌ新法の整備が進む現在にあっては、過去のようなに明暗をうやむやにして許される段階が過ぎていることを、共に私たちは知らなければなりません。

 

 国では、アイヌ関連政策の体系について、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重され、地位の向上が図られる社会を実現させるために、「アイヌ文化振興関連施策」と、「北海道アイヌ生活向上関連施策」が、それぞれ推進されることとなっています。

私は、「相互理解と協力を推し進める為のアイヌ文化振興」と「決して無制限ではないアイヌ生活向上」として区別されることが重要なのだと考えています。

 

しかし一方では、今を以って生活保護率や大学進学率などにいまだ格差が認められるというバイアスのかかった見解からか、更なる生活向上のための要望があることも承知しています。多くの道民感情とバランスのとれた施策が必要であることは明らかです。

 

今後共生を目指す中にあっては、アイヌの人々と共生していくために、慎重なバランス感覚が必要なのではないかと確信しているところです。

 

 

では、「アイヌ文化振興関連」としても位置付けることのできる幾つかの施策についてお聞きします。

 

5, 北海道150年事業について

 まずは、北海道150年事業についてです。

 150年という節目に、先人たちによる北海道の開拓の歴史に敬意と思いを馳せながら、私たちの北海道が目指す姿を明確にするとともに、アイヌの人々との共生の未来を、共に歩む次なる50年を示す必要もあるかと思いますが、道の見解をお伺いします。

 

<答弁>

 北海道150年事業についてでありますが

 

 本事業は、本道が「北海道」と命名されてから150年目となる

  2018年を節目と捉え、積み重ねてきた歴史や先人の偉業を振り返り、

  感謝し、道民・企業・団体など様々な主体が一体となって

  マイルストーンとして祝うとともに、未来を展望しながら、

  互いを認め合う共生の社会を目指して、次の50年に向けた

  北海道づくりに継承することを基本理念としている。

 

 本道の開拓の歴史においては、

  開拓者にも、先住民族であるアイヌの人たちにも

  様々な面で、多くの困難な出来事や労苦があった中、

  ときには、助け合い、

  共に今日の北海道の礎を築いてきたものと認識しており、

  道としては、この150年事業を契機に、

  全ての道民が、共生社会の構築を目指し、

  未来に向けて、新たな一歩を踏み出す必要があると考える。

 

 

6, 北海道博物館について

 次に、北海道博物館についてです。今年の2月に現地を視察させていただいたところであります。特に大幅にリニューアルされたアイヌ文化に注目された展示は素晴らしい内容でもあり、多くの来訪者に見学していただきたいと考えたところであります。

 しかし、北海道博物館におけるそれはカテゴリーの一つであり、あくまでも150年の開拓の歴史と共に北海道の姿を展示することが本線なのであると考えています。

 多くの来訪客の皆さまにお越しいただくことのできる施設としてあるために、道の今後の運営方針をお聞かせください。

 

<答弁>

 北海道博物館についてでありますが

              

  北海道博物館は、昭和46年に北海道の歴史と先人の遺産を

   後世に伝える開拓記念館として開館し、

   北海道の生い立ちや開拓の足跡を示す資料の収集・保存、

   調査研究や展示、教育普及活動などに取り組んできた。

 

 〇 昨年4月には、アイヌ民族文化研究センターと統合し、

   北海道の自然環境に関する展示も加えるなど

   北海道の総合博物館として、名称も「北海道博物館」と改め、

   リニューアルオープンした。

 

 〇 オープンに当たっては、

   本道の豊かな自然や歴史、アイヌ文化をはじめとした

   特色ある文化などを紹介する総合博物館として、

 

   道内各地域の博物館等とネットワークを築くこと、

   情報の発信力を高め地域の活性化に貢献すること、

   来訪者が繰り返し訪れ、親しまれる博物館を目指すことなどを、

   運営の基本方針として定めた。

 

 

 〇 また、オープン後には、有識者からなる「北海道博物館協議会」を

   新たに設け、さまざまなご意見をいただきながら、

   展示内容等の充実に努めてきたところ。

 

  道としては、今後とも、こうした有識者や来館者など

   様々な方々のご意見等を伺いながら、展示内容の充実に努め、

   広く道民に理解を深めていただくとともに、

   国内外に北海道の魅力が一層伝わるよう、取り組んでまいる。

 

 

7,国立公園満喫プロジェクトについて

 次に、この度、環境省から阿寒国立公園が指定をうけた「国立公園満喫プロジェクト」について伺います。

 本プロジェクトは、観光政策の一環なのであり、この地域に外国人観光客来訪のみならず、多くの国内観光客にもお越しいただくことができるように施設環境を整えるものと承知しています。

 先日発表された整備計画素案によると、遊歩道の再整備や公衆トイレの改修のほか、誘導看板の設置や道路景観の確保などが明記されているようです。

道の見解をお伺いします。

 

<答弁>

 国立公園満喫プロジェクトについてでありますが

 

 国立公園満喫プロジェクトは、全国8ヵ所の国立公園をモデルとして

  外国人観光客の受け入れ環境の整備を集中的に実施するもので、

  選定にあたっては、

 

  自然や文化など地域の独自性や観光資源とあわせ、

  地元の取り組む熱意などが、考慮されたものと伺っている。

 

 阿寒国立公園は、火山と森、多様な湖沼群が

  見事な景観を織りなすとともにアイヌの伝統文化が融合した地域であり、

  国の有識者会議においても、

 

  そのテーマ性などが高く評価されたことから、

  プロジェクトではこうした資質を磨き上げて、

  世界に発信していくことが重要と考えている。

 

 今後、道としては国や地元自治体、

  観光団体などと設置した地域協議会において、

  公園の様々な魅力に触れ、実感できるような

 

  具体的な手法などの検討を進め、

  国内外の誘客促進はもとより、自然公園を核とした

  地域の活性化に向けてしっかりと取り組んでまいる。

 

 

確かにこの地域においてのアイヌ文化は、有力な地域資源の一つであります。しかし本プロジェクトにおいて優先的に優遇されるものではないと捉えています。過度な、或いは当然としての期待は不要な混乱を招く事にもつながります。

 整備計画は、12月にとりまとまるとのことでありますので、十分に注目していきたいと考えていますし、くれぐれもバランスのとれた整備計画とされることを期待しています。

 

8,つきましては、これらの政策等を踏まえながら、私は、ここに提案したいと思います。

道と知事は、150年を契機として道民へ、アイヌの人々へ、国内外の皆さんへ、民族共生の実現へ向けた前向きなメッセージを発信すべきではないでしょうか。

現在に在っては、50年100年、そしてその先を目指すスタンスの共有が必要だと考えています。

それは決してどちらかに偏ったものではなく、力を合わせ、その先の道を共に切り拓く意思の共有のために明確なメッセージを発信し、人口減少の最中にある私たちは、第二の開拓を共に成し遂げていく一助としなければならないのだと思うのです。

 道の見解を伺います。

 

<答弁>

 メッセージについてでありますが

 

 北海道150年事業は、先ほど答弁した基本理念を踏まえ、

  道民一人ひとりが、それぞれの立場で新たな一歩を踏み出し、

  アイヌ文化をはじめとする歴史や芸術・文化に加え、

  豊かな自然環境や産業技術など、

  先人から受け継いだ貴重な財産を次の世代に引き継ぎ

  北海道の多様な魅力を国内外に向けて発信し、

  世界中の人たちと交流を広げることをテーマとしているところ。

 

 今後、150年にふさわしい事業の展開に向け、

  有識者や経済界、関係団体などで構成される実行委員会において

  具体的な検討が進められる予定となっており、

  委員からのご提案については、

  関係部局にお伝えしてまいりたい。

 

 

小玉部長から答弁いただいたところではありますが、関係部局をまたぐ内容となることもお聞きしています。ついては、この件は引き続き第4回定例会で議論させていただきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

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    民族共生象徴空間年間来場100万人の実現について

次に、民族共生象徴空間年間来場100万人の実現について質問します。

知事は、先の定例会で我が会派の代表質問において、本施設はアイヌ文化の復興に寄与し、観光や産業振興などにつながるものとして位置付けて、開設効果を全道に広げるとされています。

また応援組織を立ち上げて機運を高めて、その実現を目指して、アクセスの改善、PR活動、情報発信を行うとされています。

 

1, その応援組織とは具体的になにを指すのでしょうか、年間100万人の来場を目指す目的はなんですか、それらを実現させなければならない主体は誰でしょうか、伺います。

 

<答弁>

 応援組織についてでありますが

              

〇 道では、2020年に白老町に整備が予定されている

  国立の民族共生象徴空間の開設に向けて、

  誘客の取組をオール北海道で推進していく応援組織として、

  今月9日に、仮称ではあるが、

 「民族共生象徴空間交流促進官民応援ネットワーク」を、

 

  関係市町村、北海道アイヌ協会をはじめ、

  経済団体などの参画を得て、設立することとしている。

 

〇 国においては、象徴空間に、

  年間100万人の来場者目標を掲げており、

  その実現を図ることは、アイヌ文化の復興に寄与するとともに、

  道内各地域のアイヌ文化の振興はもとより、

  観光や産業振興などにも繋がるものであることから、

 

  道としては、象徴空間の開設による様々な効果を、

  全道へ広げていくことが重要と考えているところ。

  

 道では、こうしたことを踏まえ、

  象徴空間官民応援ネットワークに参画をいただく皆様とともに、

  国が掲げる来場者目標100万人の実現に向け、

  官民一体となった取組を進めていく考え。

 

 

これらは前の質問でも触れたところでありますが、主体が国であることに拘るのは理解できますが、あくまでも受益者は私たち道であることに代わりはありません。

 また、先日の報道でもあったように、公益財団アイヌ文化振興・研究推進機構が一般財団法人アイヌ民族博物館を吸収合併して、新法人として象徴空間の運営団体を目指すこととされています。

 正に、この新法人が国と共に「主体」となるのだと考えられます。それと道や道民やアイヌの人々応援組織が連携を図り、取り組みを進めながら目的を実現させるために努力を積み重ねなければならないのだと確信しています

 

では次に、

2, 実現させる手段としては、先に示されたアクセスの改善、PR活動、情報発信だけでは実現できないことは明らかです。肝心で必要なことは他にあると考えますが、如何にお考えか伺います。

 

<答弁>

 年間来場者100万人の実現についてでありますが

 

 現在、国では、アイヌ政策推進会議作業部会の

  有識者やアイヌの人たち、関係自治体及び関係団体などにより、

  象徴空間の整備及び管理運営に関する検討を行っているところであり、

 

  その中で、年間来場者100万人に対応した

  施設整備や事業運営などの検討が進められているところ。

 

 道としては、これらの検討が早期に進むよう、

  また、来場者にとって魅力ある施設・運営となるよう、

  地元白老町やアイヌの人たちなどとも連携して、

  引き続き、国の検討に協力してまいる。

 

〇 また、国では、来年度に、象徴空間を一括管理・運営する

  一つの運営主体を指定することとしており、指定され次第、

  その法人による国内外への誘客プロモーション活動などが

  展開される予定となっている。

 

〇 道としては、この新法人と連携を密にするとともに、

  先程ご答弁した「象徴空間官民応援ネットワーク」を活用し、

  誘客促進の強化に努めてまいる。

 

 

 新法人には、100万人の誘致の責任が第一義的に有していることを認識し、「主体」として国や道や道民やアイヌの人々や応援組織との連携を実現させながら必要な取り組みを推進していただけるように、国と道で明確に位置付けられるようにお願いしておきます。

 

では次に、

3, 来訪100万人の内訳、分析について伺います。

 

<答弁>

 来場者100万人の内訳についてでありますが

 

 民族共生象徴空間の年間来場者については、

  国のアイヌ政策推進会議において、

  昨年10月に、はじめて来場者100万人の目標が掲げられ、

  本年5月には、座長である菅内閣官房長官から、

  100万人の来場者実現に向け、

  ふさわしい空間となるよう準備を加速させる旨の発言があったところ。

 

〇 また、国は、同会議において、目標来場者の内訳として、

  訪日外国人旅行者を、延べ40から60万人、

  道内を含む国内旅行者を、延べ35から50万人、

  修学旅行生を、延べ7万人などとする、考え方を示しており、

 

  これは、ピーク時には、約87万人の来場者を数えた、

  白老町で現在、運営されている

  アイヌ民族博物館のこれまでの利用状況などを勘案して、

  分析、算出されたものと承知。

 

〇 道としては、こうした国の考え方などを踏まえながら、

  訪日外国人旅行者拡大の取り組みや、

  アイヌ文化伝承活動が盛んな地域との広域連携などを進め、

  道内外からの旅行者の増加に繋げるなど、

  庁内関係部による連携のもと、

  先程の新法人とも協力して、取り組みを進めてまいる。

 

 

既に公表されている数値でありますが、内閣官房によって示された数値は数値として、実現可能な数値の振分け設定が必要ではないかと考えています。今一度、新法人と道で区分別の目標数値案を練り上げて、区分別に必要な施策や行動を早速にでもとるべきと考えています。むしろそれは遅い位であると言っても間違いではないでしょう。

 一般公開まで三年半と迫るこの時期から、100万人の実現によって地元自治体は基より、北海道が目指す来訪客の増加による「果実」を享受し続けていくためには、根拠の明確な計画と、それを裏打ちする実働が必要であることは論ずるまでもありません。

 

 更には、先日、菅官房長官によって「来場者は200万人も期待できるのではないか」と発言されたと報じられています。私自身、驚いたところでもあります。

 北海道が観光の最先端として期待されることは歓迎すべきことではありますが、一方では現実を見定めながら順を追って実現させていかなければならない課題なのであり、尚更「100万人実現」を夢物語で終わらせることができないのだと決意するところであります。

 

では最後に、

4, 先の質問で示した「実体」として道の役割をどう捉えているのか、伺います。

 

<答弁>

 道の役割についてでありますが

 

 「民族共生象徴空間」は、

  国が主体となって、整備・運営するものであるが、

  地元自治体である道としては、象徴空間の開設効果を

  全道各地や様々な分野に広げていくため先頭に立ち、

 

  開設機運の醸成や象徴空間への誘客促進を図るとともに、

  アイヌ文化の国内外への情報発信に

  取り組む必要があると考えるところ。

 

 このため、道としては、北海道アイヌ協会や

  道内各地のアイヌ文化の振興に意欲的な市町村との連携を

  一層強めるとともに、「象徴空間官民応援ネットワーク」に参画する

  民間企業や団体などのアイデアやご支援もいただきながら、

 

  開設までの3年半という限られた期間の中、

  効果的なPR活動の検討や受入体制の整備など、

  様々な課題はあるが、来場者100万人の実現をめざし、

  積極的に取り組んでまいる考え。

 

 

既に開設まで約3年半となり、ロードマップに示された工程を実現させることが出来るように内閣官房アイヌ総合政策室と連携して必要な予算をしっかりと付けていただき、道が自ら「実体」として、実施体制として機能していくタイミングに入っていると考えています。既に腰が引けていて良い段階ではありません。

まずは、先の質問でも触れた民族的融和をアイヌの人々に強く求めてアイヌの人々の責任において実現させていただくことです。ついては広域関連区域としての関連付けを実現させ、来訪100万人の効果を享受することのできるよう、道として、周辺自治体として、アイヌの人々として、そして道民全体として、国に対して必要十分な予算措置を求めながら環境を総合的に整えていただけるように強く求めます。

 

以上で質問を終わります。ありがとうございました。