
本日、予算特別委員会で質問させていただきました。
この質問は特別支援学校における「給食」の意味合いを再確認し、「発達段階」にある生徒に寄り添い、楽しい時間として過ごしていただく必要性を説いたものです。
今回質問させていただいて終わりにするのではなく、年明けに教育委員会の皆さんと旭川にある先進的に取り組まれている施設を訪問させていただき、その後の議論へとつなげて参ることになります。
札幌市北区には、北海道大学、北海道教育大学、北海道医療大学を初め多くの文教施設が存在しています。
このような形で教育の充実を図ることが出来るならば本望です。
引き続き道民の皆さまから寄せられるご意見に真摯に対応して参りたいと思います。よろしくお願いいたします。
北の元気玉 道見やすのり
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特別支援学校における給食について
この質問は、ある保護者の方から特別支援学校における給食提供時のご意見を寄せていただいたことから始まっています。
このご意見を基に教育庁の皆さんと意見交換させていただいた中から質問させていただきます。
① 給食の形態について
最初に、道内には、肢体不自由を対象とする道立特別支援学校が8校、札幌市立特別支援学校が2校あると承知していますが、それらの給食における形態を伺います。
<答弁>
学校給食に関わる実施の形態についてでありますが、
○ 道立肢体不自由特別支援学校8校のうち、
校内の調理室で、道教委が採用する給食調理員により
調理を行っている学校が3校あり、
委託業者が調理を行っている学校が2校ある。
また、学校に併設される病院や施設から
給食の提供を受けている学校が3校ある。
なお、札幌市立肢体不自由特別支援学校2校については、
いずれも校内の調理室で、
札幌市が採用する給食調理員により調理が行われている。
② 別調理と再調理について
次に、生徒たちの病状によって様々に調理される給食ですが、生徒別に調理される「別調理」と生徒の病状や体調によって変化を伴い、調理室以外で行われる「再調理」が行われているとお聞きしていますが、肢体不自由を対象とする道立特別支援学校での状況を教えて下さい。。
<答弁>
調理方法の現状についてでありますが、
○ 道立肢体不自由特別支援学校では、
摂食機能に障がい等のある児童生徒一人一人に
合わせた給食を提供するため、調理方法として、
別調理と再調理が行われているところ。
〇 別調理は、調理室での調理の段階から、
食材の大きさや軟らかさを調整し、
半流動食である初期食、舌でつぶせる程度の中期食、
歯ぐきでつぶせる程度の後期食、通常の一口大の普通食、
に分けて作る調理方法である。
また、再調理は、普通食として一度調理したものを、
さらに調理バサミやミキサー、フードプロセッサー等の調理器具を
使って、大きさなどを調整する調理方法である。
〇 道立の8校では、主に、
別調理で対応している学校が3校、
再調理で対応している学校が2校、
別調理と再調理を併せて対応している学校が3校で、
札幌市立の2校では、別調理で対応しており、
各学校においては、児童生徒数や施設設備の状況、
さらには、児童生徒の体調の変化等に応じた
摂食指導の実施などを考慮し、
それぞれの調理方法で実施しているところ。
③ では、給食を直営や委託で提供されていて、生徒数が多い学校においての、特に再調理の現状をどのように把握しているか、伺います。
<答弁>
再調理の現状についてでありますが、
○ 摂食機能に障がいのある児童生徒が多く在籍する
真駒内養護学校、拓北養護学校、函館養護学校の3校では、
拓北養護学校と函館養護学校において、主食等の調理の際に別調理が一部行われているもの
の、3校においては、調理室のほか、多目的ホールや普通教室などにおいて、教職員が児童生徒の様子に配慮しながら、衛生管理に留意し再調理を行っているところ。
〇 道教委においては、こうした状況を踏まえ、
これまでも、各学校に対して、道教委が作成した
「特別支援学校における再調理のガイドライン」に基づき、
再調理に関わる実施体制や実施上の留意点、衛生管理等について
指導の徹底に努めているところ。
道立の3校、真駒内養護学校、拓北養護学校、函館養護学校では、生徒数が多いことや調理スペースの問題から、再調理においてホール等での介助が常態化していて、衛生管理上決して望ましい環境だとは言えません。
現在のような再調理を行っている状態では、保護者や来客・業者さんなどが廊下を通ることが多いですし、授業ホールでの再調理は、教員が多くの生徒と関わることとなり、インフルエンザや胃腸炎等々と感染の拡大が懸念されています。
また、これらが一因となって生徒が転校していた状況があっことをお聴きしています。最近では、転入先の定員面から受け入れて頂けていないようですが、この点から想定すると、保護者の皆さんの希望として、少ない定員環境や別調理の対応が望まれていると考えられます。
④ 給食中の介助方法について
では、給食中の介助方法について伺います。
多岐に渡る生徒の状況をどのように把握しているのでしょうか。個別に対応するにも大変複雑なものであり、生徒は基より給食の時間を挟み前後の2時間程度は、生徒に必要な再調理や食事介助が必要となり、携わる教員の負担も相当大きなものとなっているとお聞きしていて、どうしても対応が手薄になってしまうことが考えられます。見解を伺います。
<答弁>
給食提供時における配慮事項等についてでありますが、
○ 各学校では、
再調理のガイドラインに基づき、
児童生徒の摂食機能や食べ物の大きさ、軟らかさ、
食べ方・食べさせ方などについて、保護者から聞き取りを行うほか、
必要に応じて主治医等から意見を聴くなどして、
児童生徒一人一人の状況を把握している。
○ また、教員の役割としては、
食事前の再調理のほか、個別の食器類の準備や配膳、
誤嚥防止のための、児童生徒一人一人の身体の状態に合わせた
姿勢の保持や呼吸の管理などがあり、
摂食の指導と、再調理をする教職員の役割を分担するなどして、
特定の教員に負担がからないよう校内体制を工夫しながら
給食指導を行っているが、
障がいの重度・重複化など、対象となる児童生徒が増加しており、
よりきめ細かな対応が求められていると認識している。
いまの答弁からも、教員が、給食時間も含めた前後の時間で、どれだけ大変な思いをしながら職務に当たっているのかが想像できます。
また生徒たちが、給食をどれだけ楽しい時間として捉えているかに疑問が持たれるところです。
特に再調理については、改善の余地が大きいものと考えています。現場の教員たちは教育委員会によって示された「特別支援学校における再調理のガイドライン」に従って出来得る限り行っているようですが、実際には教室や廊下、手洗い場での再調理となっていて、既に人員的にも衛生的からも放置が出来ない段階なのだと考えています。
過去に保護者から度重なる要望があっても「どうにも出来ない」と回答があるのみで、ガイドラインにほぼ準じて対応されて再調理が行われているものの、学校では限られた教員や調理員によって、既に精一杯の対応をしていただいていることも事実なのです。
先に述べた市立の養護学校や整肢園では、既に生徒に合わせた食形態で給食が配膳されていますし、病院食や併設施設で対応出来る学校では、完全に個別対応が出来ています。
特に生徒数の多い道立の肢体不自由を対象とする特別支援学校においては、現場任せとなってしまっている今を良しとせずに、行政側による改善余地があるものと確信しています。
⑤ 食材や調理方法の研究について
次に、食材の研究も必要であると考えています。今では様々な加工食品が生み出されていて、これらの加工食品を積極的に活用することによって作業負担の軽減も可能です。栄養教諭に加工食品の活用を含めた研究をさせることが必要です。
また料理技能の研究などによって、より美味しく、より食べやすく、結果として楽しい給食の時間を提供することは可能だと考えていますが、見解を伺います。
<答弁>
調理方法の工夫・改善についてでありますが、
○ 肢体不自由特別支援学校においてはこれまでも、
児童生徒一人一人の障がいの状態等に応じた、
楽しく、安全で、上手に「食べる力」を育む給食の提供に
努めているところであるが、衛生管理の徹底や、
教職員の負担軽減を図るための効率的な給食の提供などの観点から、調理方法等に関して、
より一層の工夫や改善が求められているものと認識。
〇 道教委としては、こうした状況を踏まえ、
引き続き、各学校に対して、別調理や再調理の実施に関し、
ガイドラインに基づく指導を徹底するとともに、
特別支援学校栄養教諭研究協議会が実施する研修会や
北海道学校給食研究大会の分科会等において、
今後、効率的な給食の提供に向けた加工食品の活用や
別調理の導入など調理方法の工夫等についての研究や
情報交換を行うとともに、
取組事例等を取りまとめ、各学校へ情報提供するなどして、
特別支援学校における給食の提供に当たって、
今後とも不断の改善に努めてまいる。
特に、道立真駒内養護や道立拓北養護は大型校であり、何か始めるモデル校として率先して改善に取り組むことによって、他の学校でも取り入れやすくなってくることが考えられます。決して現状が正解であったり、対応限界であるという概念を捨てていただき、研究精査を進めていただきたいと思います。
言葉を発して自分の気持ちを伝えられない生徒もいます。生徒の気持ちに寄り添うことが必要となります。
ここで旭川にある社会福祉法人北海道療育園の顧問をお勤めになられ、「慈育の心を求めて」をお書きになられた江口武氏の一文を引用させて頂きます。
・季節感のある食事、家庭に近いおかずの提供に心掛けている
・調理師の身体と調理器具の衛生管理の徹底によって、提供できる食材の多様化に踏み切っている
・普通食の副食を全部ミキサーにかけて奇妙な流動食を作っている。少なくとも人間の食べ物が「餌」であって良い訳がない
ミキサー食から脱出の研究が行われた
・すべて材料段階から吟味し、手法に拘った料理の数々に、利用者からも家族からも高い評価を受けている
・ほとんどの欲望を制限され厳しい生活を管理されている利用者にとって、一日三度の食事だけが楽しみなのではないか
・よって給食人件費は削らずに、その育成に力を入れる
・それを軽視するということは、利用者を軽視すること
・料理技能コンクールで数々の入賞、常に研究を惜しまぬ栄養士さんに敬意
・40数年前にはじまった。現在に至るまで伝統に受け継がれている
理想は、生徒たちの病状に合った給食を元気に食べて、元気に育つこと、これしかないのではないでしょうか。
是非に関係者のま皆さんと一緒にこの施設を視察させていただき、学ばせていただくことで、今後も議会議論を深めていきたいと思います。必ずや給食の環境を改善することへとつなげて参りたいと考えています。よろしくお願いいたします。