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2017/02/23

環境生活委員会 2月前日委員会 「海岸漂着物処理推進法について」

この質問は、海岸で清掃活動などの環境保全活動を行うNPO法人等の団体の方々から寄せられたご意見を中心にして作成しました。

 

いわゆる「海岸漂着物処理推進法」に基づき、道では、北海道海岸漂着物対策推進協議会や11振興局に設置されている地域協議会を設置しています。

しかし、それら協議会で取り扱われている課題のほどんどが「流木対策」となっていて、「海岸ゴミ」について民間団体の皆さんに参加していただいた上での成果が大きくはないことが指摘されていました。

 

確かに「流木対策」は不可欠であります。

 

特に大雨災害時の後で河川を通じて、河川から海岸沿いに堆積する流木は、民間の力でどうすることもできないものでありますし、海に漂流し漁船の航行や漁網などに与える被害は大きく、正に行政が担わなくてはいけない課題であります。

 

一方、「海岸ゴミ」については、近隣国からの漂着物も含まれますが、その多くがまちに暮らす私たちのポイ捨てから発生していることを知らなければなりません。

 

またボランティア・奉仕活動は、言葉よりも「人間としてのパブリックトレーニング」であるとされていて、学校教育や生涯学習教育などを通じて、私たち自身に醸成していかなければならない大切な行動の一つであると言えます。

 

この質問については、今後開催される協議会の動きに注視しながら、必要とされる改革を実現させて参ります。

そして、道・自治体・民間団体が三位一体となって、法の趣旨の下で「美しい豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全」を推進できるように務めて参りたいと考えています。

 

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【海岸漂着物処理推進法について】

 

いわゆる「海岸漂着物処理推進法」は、海岸における良好な景観及び環境を保全するため、海岸漂着物の円滑な処理及び発生の抑制を図ることを目的とし、基本理念を定め、責務と連携の強化を促しています。

そして、国の基本計画を基にして、都道府県の地域計画を定めて、海岸漂着物対策推進員及び団体の参加を以って都道府県単位で「海岸漂着物対策推進協議会」を設置し、北海道においては、北海道海岸漂着物対策推進協議会の下、11振興局で「地域海岸漂着物対策推進協議会」を設置されていると伺っています。

 

 それら協議会は、「海岸漂着物等の円滑な処理」と「海岸漂着物の発生の抑制」、更に「民間団体との連携の強化」「教育の推進等」や「研究調査等」についての責務を負って活動されていると認識しております。

 

 一般的に本協議会では、流木対策がメインとなっているようで、それはその構成員からも推定することが可能です。実際に大雨・台風災害後の流木被害は広範囲に渡り大きな問題となっていることは承知しています。

しかし、幾つかのボランティア団体も構成員として参加されていて、長い間各地域の海岸清掃を地道に継続されていることは、決して小さな動きではありません。

そこで、この質問では道内における民間団体等との連携について幾つか質問をさせていただくことで、より民間団体の皆さんが活動し易くなることを、その環境を整える一助としたいと考えています。

 

    北海道海岸漂着物対策推進計画について

最初に、北海道海岸漂着物対策推進計画(第2次計画)素案がまとめられ、平成27年12月にパブリックコメントを広く道民に求め、平成28年3月に取りまとめられております。

第一次計画からの経緯並びに変更点、そして主にどのようなご意見をいただくに至って第二次計画としたのかを教えて下さい。

 

<答弁>

北海道海岸漂着物対策推進計画についてでありますが

 

  道では、平成21年に公布施行された

  いわゆる「海岸漂着物処理推進法」に基づき、

  本道の海岸における良好な景観及び環境保全を図るため、

  道内の海岸漂着物対策を

  総合的かつ効果的に推進することを目的として、

  平成23年2月に「北海道海岸漂着物対策推進計画」を策定し、

  昨年3月に、平成32年度までを計画期間とする

  第二次計画を策定したところ。

  

  第二次計画では、

  25年度、26年度に実施した

  海岸漂着物等の実態調査結果などを踏まえ、

     道内における地域別の漂着実態を新たに記載したほか、

  海域等における漂流ごみなどの回収対策を推進することや、

  海岸流木の回収・処理から有効活用までの一貫した

  「リサイクルモデル」の普及をめざすこととしたところ。

 

  また、

  計画策定にあたり実施したパブリックコメントの意見を踏まえ、

  海岸漂着物の発生要因や、

  治山、河川管理などを含めた流木の発生抑制対策についても

  新たに記載したところ。

 

   協議会について

次に、各協議会について伺います。

道の協議会、並びに11振興局の協議会は、どのような構成メンバーで組織されているのでしょうか。また民間団体等の参加は、どの位の数で、どのような経緯で成されたものなのでしょうか。伺います。

 

<答弁>

海岸漂着物対策推進協議会についてでありますが

 

  道では、

  本道における海岸漂着物対策を円滑に推進するため、

  海岸漂着物処理推進法に基づき、

  庁内の関係部局、北海道市長会・町村会や

  国土交通省北海道開発局など国の関係機関のほか、

  民間団体等で構成する「北海道海岸漂着物対策推進協議会」を

  平成21年12月に設置している。

 

  民間団体等としては、「北海道漁業協同組合連合会」をはじめ、

  「北海道環境財団」や「北海道産業廃棄物協会」など

  環境・廃棄物団体の3団体のほか、

  海岸で清掃活動などの環境保全活動を行うNPO法人等の3団体に

  参加いただいている。

 

  また、地域においても、振興局単位を基本として

  11の地域協議会を設置しており、

  市町村や国、道の関係機関、

  漁業協同組合などに参加をいただいているほか、

  後志では2団体、胆振、宗谷では各1団体、

  それぞれ環境保全活動を行NPO人等に

  参加いただいているところ。

 

  海岸漂着物対策は、

  関係する多様な主体が参加し、

  相互に情報を共有しながら連携して、

  取組を進めていくことが重要であることから、

  各協議会には、行政機関に加え

  民間団体等にも参加いただいており、

  道内各地あるいは地域単位で海岸の環境保全活動等を行っている

   NPO法人等にも呼びかけ、参加いただいているところ。

 

    協議会の構成員の参加について

民間団体等の皆さんを参加する意味合いを教えて下さい。

また、参加されている民間団体の中には、その団体の本拠地から越境してまで参加されているケースがあると伺っていますが、その経緯と必要性を伺います。

 

<答弁>

協議会への民間団体の参加などについてでありますが

 

  海岸漂着物対策は、

  関係する多様な主体の参加・連携によって

  取り組むことが重要であり、

  海岸清掃を行っているNPO法人等の民間団体の中には、

     海岸漂着物等の実態や回収方法等に関する

  知見を有しているほか、

   各地に幅広いネットワークを構築して活動を行っている団体もあり、

     海岸漂着物対策を円滑かつ効果的に推進するためには、

  こうしたNPO人等の民間団体との連携が

  欠かせないものと考えている。

 

  このため、地域協議会にもこうした団体に参加いただいており、

  例えば、後志地域の協議会では、

  海浜美化と子供たちへの道徳教育の観点から、

  毎年、継続して、後志管内の海岸の清掃活動をしている

  石狩管内の団体に参加いただいているところ。

 

    協議会の開催について

次に、協議会はいつ頃、どの程度の頻度で、開催の時間帯は、更に議題はどのような内容になっているのでしょうか。

 

<答弁>

協議会の開催状況についてでありますが

 

  全道の協議会については、

  例年、2月から3月の年度末に1回程度開催しており、

  協議会に参画する関係機関や団体と予め日程調整のうえ、

  平日の午後に開催することが多くなっている。

 

  会議では、

  道内で実施された前年度の海岸漂着物の回収・処理状況や

  発生抑制対策に係る調査結果などについて

  情報共有を行うほか、

  道の海岸漂着物対策推進計画の作成・変更に当たって

  ご意見を伺っているところ。

 

  また、地域協議会については、

  概ね年1回程度、3月から6月にかけて開催されており、

  全道の協議会と同様に平日の午後の開催が多くなっている。

 

  その内容としては、

  前年度の回収・処理の状況や開催年度の事業実施方針、

  普及啓発の具体的な方法などについて、

  意見交換や情報共有が行われているところ。

 

 

各協議会の構成員がほぼ行政側で占められている現状では慮れない実情として、協議会そのものの日中開催については、民間団体等の皆さんにとって障害となっていることも知らなくてはいけません。

ここでは海岸ゴミ対策に限って意見申し上げるが、協議会の意味合いについては、行政による協力や支援の内容や方法、より参加や実施を促すことに傾向していくものと考えます。

関係者が一堂に会することが大切なのではなく、協議会そのものを目的や役割に応じた分科会制度にすることで、ニーズとシーズに対応することが出来る協議会になるのだと思うのです。

 

    協議会の議論について

では、これまでの各協議会において、民間団体等の皆さんからどのような意見が示されたのでしょうか。

 

<答弁>

民間団体からの意見等についてでありますが

 

  これまでの協議会では、

  海岸の環境保全等に取り組むNPO等から

  多くのご意見をいただいており、

  全道の協議会では、海岸ごみの回収に係る

  ボランティア活動に対する支援を求める声があるほか、

  会議の場だけでなく、

  行政と民間団体との日常的な交流が必要であることや、

  回収した流木の有効活用を通じて、

  地域おこしにつなげることなどの

  ご意見やご提案をいただいているところ。

 

  また、地域協議会では、

   ボランティア活動では対応できない流木の処理事業の実施や

  地域協議会への参加に対する支援についての要望のほか、

  情報共有やNPO法人等の民間団体から

  直接意見を聞く場としての重要性などについて、

  ご意見をいただいているところ。

 

どうやら、道並びに各協議会における役割は、主に自治体及び漁業者による流木対策と自治体及び民間団体等の皆さんによる海岸清掃に大別することができるようです。

 私の聞き及ぶ範囲では、行政側からの各報告事項の後に、民間団体等の皆さんから華を添える程度の発言があって、意味合いとしては少ないものでしかないと考えていて、残念な、勿体ない思いが込み上げてくるのです。

 

 

    協議会における民間団体等の活性化について

これまでの各協議会においては、民間団体等の皆さんが参加される意義、ましてや越境されてまで参加していただかなければならない必要はないのではないでしょうか。

むしろ、道協議会の中に民間団体等の皆さんの相談窓口として意見・調整が可能となる「聴くセクション」を設けていくことが、より丁寧な協議会運営につながるばかりか、より多くの皆さんに感心を持って本法律趣旨に則った活動を道民の皆さんに促すことが出来ることになるのだと考えますが、見解を伺います。

 

<答弁>

協議会での民間団体等の意見把握についてでありますが

 

  地域で継続して海岸の清掃活動等を

  展開している民間団体については、

  地域の海岸漂着物対策において、

  住民主体の保全活動の推進や

  他の各主体との連携、協働のつなぎ手としての

  役割を期待しているところ。

 

  しかしながら、

  民間団体の活動エリアと異なる地域協議会に参加する場合、

  その団体に時間的・経済的な負担が生じることから、

  十分に配慮する必要があると考えるところ。

 

  このため、道としては、今後、こうした民間団体について、

  全道の協議会開催時において、

  関係する振興局とともに、

  地域での活動状況やご意見を伺うなど、負担の軽減に努める考え。

 

  また、海岸ごみの回収に取り組む

  NPO人等の民間団体の意見を伺う機会を設け、

  その内容を地域協議会の取組にフィードバックするなど、

  効果的な協議会運営について検討してまいる。

 

役割とありますが、これら協議会におけるそれは極僅かなものしかなっていないのではないでしょうか。しかし法の趣旨の下では欠かすことが出来ない存在であります。

海岸ゴミ対策にあっては、全道と地域を分ける意味が少なく、その役割を明確にすることで、より活性化することができる分野なのだと認識しています。

 

    自治体の認識について

本法律趣旨の下で各協議会に参加される自治体は、民間団体等の皆さんとの連携についてどのように認識されているのか、言い換えれば、任意な活動をどのようにして支援していかなければならないのかの認識は徹底されているものなのでしょうか。

聴くところによると、清掃活動の後の処理費などが課題となって、決して歓迎されることばかりではないことがあると伺っていて、砂の中に埋没している「ゴミ」によっては、掘り出していただかなくても結構であるとされた例があると伺ったところです。

本法には、道及び市町村に対する責任を明確にしているばかりか、政府が財政上の措置や配慮を行うことを明示しています。道の見解を伺います。

 

<答弁>

民間団体等との連携に係る自治体の認識についてでありますが

 

  海岸漂着物処理推進法では、市町村は、必要に応じ、

  海岸管理者等に協力しなければならないとされており、

  道内においても、

  市町村と地域住民や民間団体等が連携して

  海岸漂着物等を回収する取り組みが、

  実施されている地域があるところ。

 

  しかしながら、民間団体からは、

  一部において、

  民間団体との連携に対する認識が

  希薄な市町村も見受けられるとの意見もあるところ。

 

  このため、道としては、

  NPO等の民間団体の取組状況や、

  全道協議会における民間団体の意見等を地域協議会と共有し、

  各地域協議会に参画する市町村に、

  民間団体の活動や活動に対する市町村の協力の重要性について

  理解を深めてもらうとともに、関係者が緊密に連携して

  海岸漂着物対策が推進されるよう、

  必要な助言や調整などを行ってまいる。

 

自治体が求めているものは「予算」です。連携の認識が薄いということは、予算がないことに尽きるのです。答弁にある助言・調整とは、予算措置をするということであるのか、今後議論を深めて参りたいと考えています。

 

    民間団体等の活動振興について

ボランティア、奉仕活動は、言葉よりも「人間としてのパブリックトレーニング」であると言われているところでもあります。

直近では、東日本大震災などをきっかけとして「絆」の大切さ等が見直されてきている中で、私たちが先達から受け繋いできていたはずの大切な何かを失ってしまっているのではないかと気付かされることとなっています。

しかし、今の社会情勢において、即ち奉仕活動を強要することができないことは承知していますので、そこはアイディア次第なのではないでしょうか。

自治体としても四角四面で考えずに、ただゴミ袋の支給やゴミ処理費の負担を手当てすれば良いのではなく、その活動の参加者に対して「町振興クーポン」等の発行を行い、清掃活動後に域内での消費活動を促しながら繋がり易い地域振興として資する仕組み作りも十分に可能であることと考えています。

他の案も含めて、このような視点から各協議会で具体策を検討していただく事が可能であるかを含めて見解を伺います。

 

<答弁>

民間団体等の活動促進についてでありますが

 

  民間団体等が行う自主的な海岸清掃活動等は、

     海岸環境をはじめとする地域の環境保全を進める上で、

  一人ひとりの環境行動の促進だけではなく、

  地域を愛する心の広がりにもつながる大変意義のあるものと考える。

 

  こうした地域に根ざした取組を

  地域の振興にも結びつけることは、

  民間団体等のさらなる活動の活性化だけでなく、

  地域住民の理解と協力による地域の活性化にも

  寄与しうるものであり、道としては、

  他県における様々な取組事例などを調査するとともに、

  協議会の場などにおいて、関係者のご意見を伺いながら

  地域振興にもつながるよう、

  民間団体の活動を促進する方策などについても、検討してまいる。

 

    道民への周知と参加促進について

本活動は、直接的には海岸における良好な景観及び環境を保全するため、海岸漂着物の円滑な処理及び発生の抑制を図ることを目的としていますが、行政として積極的にこれらの活動を支援して、多くの道民の皆さんに活動に参加していただけることは、元来道産子として持ち得る「おおらかで北海道が大好き」等という気質の醸成に役立つものであると確信しているところでもあります。

新たな民間団体等の皆さんに参画していただけるように務めることは勿論のこと、既存民間団体等の皆さんの活動に多くの道民の皆さんに参加していただくことができるように、行政として関わっていくことも大切な責務なのだと考えています。

学校教育・生涯学習教育の一環として取り上げていくことも十分に可能であり、雰囲気を醸し出していくことや、次世代へ向けて奉仕活動を活性化していくことは、法の趣旨に完全に一致するものと判断しています。

 

最後に、環境生活部としての海岸漂着物処理推進法に係る施策の充実を含めた見解を伺いたいと思います。

 

<答弁>

民間団体等の活動促進についてでありますが

 

  民間団体等が行う自主的な海岸清掃活動等は、

     海岸環境をはじめとする地域の環境保全を進める上で、

  一人ひとりの環境行動の促進だけではなく、

  地域を愛する心の広がりにもつながる大変意義のあるものと考える。

 

  こうした地域に根ざした取組を

  地域の振興にも結びつけることは、

  民間団体等のさらなる活動の活性化だけでなく、

  地域住民の理解と協力による地域の活性化にも

  寄与しうるものであり、道としては、

  他県における様々な取組事例などを調査するとともに、

  協議会の場などにおいて、関係者のご意見を伺いながら

  地域振興にもつながるよう、

  民間団体の活動を促進する方策などについても、検討してまいる。

 

これまでの協議会における新たな視点が必要です。それを実現させるために、1,既存団体 2,新規団体 3,学校教育 4,生涯学習教育 を推進させる必要があります。

量的にも費用的にも大部分を占めてしまう流木対策については、粛々と進めてもらしかありません。

 

 

最後に指摘を申し上げておきます。

これまで質問してきたように、海岸漂着物処理は、流木対策と海岸ゴミ対策に大別することが出来ます。圧倒的に流木対策について、量的にも費用的にも費やされているのが現実です。

協議会の役割についても、この点に考慮した設えが必要となっています。全道協議会の下に文化科会の設置を提案したいと思います。

そうすることで海岸ゴミを取り扱う分科会において、NPO団体をはじめとする皆さんの活動について活発な意見交換を促すことが可能となり、ついては求められる支援の内容や方法について言及することが出来るようになり、結果として広く道民に対する環境教育に反映させることができると考えています。

また海岸ゴミの抑制は、私たちが暮らす「まちなかのゴミ」を減らす「ポイ捨て」防止から始まっていることを知らしめる、いわば学校教育における啓蒙活動や体験型授業の導入にまで広げていくことで、法の趣旨に則った目指す姿の実現につながるものと思うのです。

 

教育委員会など庁内横断的に協力を求めながら、本法律の趣旨を推進させて欲しいと申し添えて、質問を終わります。ありがとうございました。