
平成29年第1回北海道議会定例会 予算特別委員会(教育庁所管)質問
二 子どもの生活習慣の定着について
子どもの健やかな成長のためには、家庭で望ましい生活習慣をしっかりと身に付けさせることが大切でありますが、近年は、家庭を取り巻く環境の変化などにより、各家庭における生活スタイルも多様化し、家庭だけで生活習慣の定着を図ることは困難な状況にあると思われます。
特に、携帯電話やスマートフォンを所有する小中学生の増加に伴い、インターネット等の利用時間も長くなってきている状況にあると思われますが、このことも生活習慣の乱れにつながっているのではないかと危惧しております。そこで伺います。
(一)子どもの睡眠時間や朝食の摂取状況について
子どもの健やかな成長にとって、何よりも毎日の睡眠や食事、特に、一日の始まりである朝食をしっかりと摂ることが大切であると考えますが、現在の道内の小・中学生の状況はどのようになっているか、伺います。
<答弁>
小・中学生の睡眠時間や朝食の摂取状況についてでありますが、
○ 今年度の全国学力・学習状況調査の結果では、
「毎日、同じくらいの時刻に寝ていますか」の問いに、
「寝ている」「どちらかといえば、寝ている」と回答した割合は、
小学生では、全国平均80.1%に対し
本道は79.3%であり、0.8ポイント、
中学生では、全国平均75.2%に対し
本道は74.3%で、0.9ポイントそれぞれ低い状況となっている。
○ また、「朝食を毎日食べていますか」の問いに、
「食べている」と回答した割合は、
小学生では、全国平均87.3%に対し
本道は84.9%であり、2.4ポイント、
中学生では、全国平均83.3%に対し
本道は81.8%で1.5ポイントそれぞれ低い状況となっている。
(二)インターネット等の利用状況について
次に、最近、大人も子どもも、スマートフォンを始めとする電子機器を使用している光景を街中で見かけます。この電子機器の使用が、生活習慣に悪影響を及ぼしていると考えておりますが、現在の道内の中学生・高校生のスマートフォンを始めとするインターネットの利用状況はどのようになっているか、伺います。
<答弁>
中高生のインターネット等の利用状況についてでありますが、
○
道教委が平成26年に
道内の中学校や高等学校等の生徒を対象に実施した
インターネットの利用状況に関する実態調査の結果からは、
中学生の77.0%、高校生の95.6%が、
自分専用のスマートフォン等の情報通信機器を所有していることや、
中学生の56.0%、高校生の74.5%が
ほぼ毎日インターネットを利用している状況が見られた。
○ また、中学生の16.6%、高校生の28.7%が、
「自分はネット依存だと思うことがある」と回答している。
(三)生活習慣の乱れによる影響について
このような生活習慣の乱れによって、子ども達にどのような悪影響を及ぼすことが懸念されるのか、伺います。
<答弁>
生活習慣の乱れによる影響についてでありますが、
○ 朝食を食べないことなど、食生活の乱れは
集中力や記憶力の低下につながり、
睡眠不足は、脳や体の発達に悪影響を及ぼすなど、
様々な健康問題の原因となることが指摘されている。
○ また、インターネットを長時間利用することにより、
視力の低下はもとより、睡眠時間や勉強・運動の時間などへの影響が
懸念されているところ。
(四)望ましい生活習慣の定着に向けたこれまでの取組について
このような状況の中で、子ども達の望ましい生活習慣の定着に向けて、道教委はどのような取組を行ってきたのか伺います。
<答弁>
望ましい生活習慣の定着に向けた取組についてでありますが、
〇 道教委では、これまで、PTA等と連携し、
子どもの生活習慣の定着に向けた全道フォーラムの開催や、
生活リズムチェックシートの活用などを進める
「早寝早起き朝ごはん」運動、
夏休みなどの長期休業中に、子どもたちに様々な体験を促す
「子ども朝活」事業などに取り組んできたところ。
〇 また、ネット利用に関しては、平成26年度から、
道教委とPTAや校長会等で構成する
「北海道子どもの生活習慣づくり実行委員会」が進める、
「どさんこアウトメディアプロジェクト」において
スマートフォン等を使ったゲームなどから離れ、体験活動や読書に
親しむことを目的とした「ノーゲームデー」の普及や、
保護者に対し、家庭におけるネット利用のルールづくりを促す
研修会の開催やリーフレットを作成し、配付するなど、
〇 望ましい生活習慣の定着に向け、
市町村教育委員会やPTA、関係団体等と連携し、
様々な取組を進めてきたところ。
(五)今後の方向性について
最後に、今後の方向性について質問します。
長時間のテレビの視聴や朝食を食べないなどの生活習慣と学力には相関関係があると承知しています。また、インターネットの長時間使用は、睡眠や勉強の時間を犠牲にするばかりでなく、健康面やコミュニケーションの悪化にもつながるのではないかと危惧しているところであります。
本道の未来を担う子ども達に、社会で活かすことのできる実践的な力を育むため、その基礎となる望ましい生活習慣の定着を図っていくことは、非常に重要なことであると考えております。また、人口減少や少子高齢化が進み、地域社会のつながりの希薄化などが指摘される中、地域全体で子ども達の成長を支えていくことも重要であります。
道教委では、これまでの取組を通じてどのような課題を認識し、今後どのように取組を進めていく考えなのか、伺います。
<答弁>
今後の取組などについてでありますが、
○ 近年、核家族化や少子高齢化が進行し、
地域社会のつながりの希薄化などが指摘される中、
子どもの望ましい生活習慣の定着に向けては、
学校・家庭・地域がそれぞれの役割を踏まえ、
連携、協力して取組を進めていくことが重要と認識。
○ こうした中、市町村等からは、これまでの取組を通じ、
子どもの生活習慣の定着を図る取組を支える地域人材の育成や、
ネット利用に関する学習機会等の充実が求められているところ。
○ このようなことから、道教委としては、様々な体験を通じて、
生活習慣の定着を促す 「子ども朝活」事業の
市町村における取組をさらに広げるとともに、
来年度より、市町村教育委員会と連携して、
地域の人材育成と地域の特色のある取組につなげる
「子ども・地域生活習慣向上プロジェクト事業」を
実施するほか、子どもと保護者がネット利用に関する課題を話し合い、
その解決に向け、ともに学ぶことができる場を設けるなど
市町村教育委員会やPTAをはじめ、関係団体等と
より一層連携を図り、学校・家庭・地域が一体となった
望ましい生活習慣の定着に向けた取組となるよう
努めてまいる。
【指摘】
文部科学省の「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進については、社会全体の問題として地域による、一丸となった取り組みが重要な課題となっています。子供の基本的生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動を積極的に推進していくこととなっています。
私は、常々、学校教育は、安定した家庭教育の基礎の上に立脚するものと認識していて、昨今の学校における様々な課題については、時にマスコミにより目に余るミスリードや、社会による過剰な反応によって迷走してしまう事案が多々見受けられると捉えています。
これは自戒の念も踏まえて申し上げておきますが、今の世代の親でさえ最低限に必要とされる生活習慣について十分に子供たちに教えたり、躾が出来ていないことが散見されていて、この点においては、短中期的な施策によってどうなるものではないことが推定されます。
しかし、これらの教育について、いつ、何時も手を緩めることは出来ません。いわば「読み、書き、算盤」は学校で習うとしても、生活習慣については家庭と地域、学校と社会が力を合わせて取り組むことで成し遂げるものと考えています。
家庭教育を学校教育に依存する、又は、家庭教育と学校教育を混同して論じてしまう風潮は、教育現場に無用な混乱を招いてしまうと考えている
教育委員会は、量・質共に安定した学校教育を力強く推進しながらも、地域や国と共に家庭教育のサポートに務めることが重要だと考えています。
私たちの誇るべき国柄、国民性を保持しつつ、日々進歩を続ける技術の恩恵や変化を踏まえながら、より踏み込んだ家庭教育を子供たちは基より、親の世代、そして道民・国民へと浸透させることのできる取組みが必要となってきます。
時に我慢をも美徳とし、惻隠の情をもって、いつの間にか置き忘れてしまっているのではないかと考えられている私たちの本質を取り戻していくために、腰を据えて定着させて、地域に、国に、世界に役立つ人材を育てていく気概をもって、各施策に色濃く反映させていただくように強く指摘して、この質問を終了します。