
B,自転車の安全走行環境づくりについて
自転車活用推進法が本年5月に施行され、自転車の活用を総合的・計画的に推進されることとなりました。
その上で、地方公共団体には、国と適切に役割を分担し、実情に応じた施策を実施する責務を有するとされています。
その基本方針の中で、自転車専用道路等の整備をはじめとして14の具体的方針を示し、国土交通省内に設置された自転車活用推進本部によって計画的に取り組まれる事となりました。
道においては、議員提案による自転車活用推進条例が検討されていると承知しています。
① 道内の自転車事故の推移について
最初に自転車事故の実態と推移についてお聞きします。
道内における歩行者と自転車の接触による交通事故そして死亡事故の発生件数、更に自動車と自転車の接触による交通事故そして死亡事故の発生件数を、過去分を含めて教えて下さい。
<答弁>
自転車事故の推移についてでありますが、
○ 北海道警察の資料によりますと、全道における
歩行者と自転車による交通事故件数は、平成26年が32件、
平成27年が29件、平成28年は28件となっており、
この間における死亡事故は発生していないところ。
○ また、自動車と自転車による交通事故件数は、
平成26年が1,833件、平成27年が1,721件、
平成28年は1,474件であり、この内、死亡事故件数は、
平成26年が7件、平成27年が9件、平成28年が8件
となっているところ。
② 車道混在型の道路について
札幌市内で試験的に行われた自転車と自動車を混在とする道路、いわゆるブルーレーン等の車道混在型の路面標示が設置された箇所について、それぞれの道路管理者によって設置されしばらく経ちますが、それらの効果及び道の見解を伺います。
<答弁>
ブルーレーン等の効果についてでありますが、
○ 国や札幌市が行ってきた実証実験では、
自転車の通行位置を明示するブルーレーン等は、
自転車の車道利用への転換が進むとともに、
自転車と歩行者の錯綜が減少し、
自動車ドライバーの注意意識が向上するなど、
安全性向上の効果が確認された一方で
ブルーレーン上に駐停車している車両への対応などの課題も
多いと報告されているところ。
○ このようなことから、道としては、実証実験の結果を踏まえ、
ブルーレーン等の設置に向けた検討を進めてまいる。
現行の道路交通法では、基本的に自転車は歩道の走行を禁じられていて、歩道よりの車道を走行することとなり、危険が付きまとうことになってしまっています。よって、どうしても路肩に寄りがちな走行になってしまうのが現状だと考えられます。
また、国民・道民の意識の中で、これらの走行ルールが複雑となっている定めの下で、今日にあっても自転車を運転する方々のマナーを含めて混乱していることが容易に想像できるのです。
道は、今日より安心安全な走行環境を整えて提供する必要があるのです。
議員提案による条例制定が視野に入っていて、道においても推進計画が策定される見込みであり、これらによる体系的な取り組みについては、後の議会議論に委ねるとして、ここでは私の下に寄せられた道民の声を基に、幾つか提案しておきたいと思います。
③ 路肩の幅員について
その一つ目の具体的な提案は、路肩を許す限り広く、今より広げることに尽きています。
元々積雪期対策として、全国と比較しても広く設置されている路肩ですが、例えば、今より50cm程度は広く設置されることで、自転車が安全に走行できる環境を向上させることが可能です。道の見解を伺います。
<答弁>
路肩の幅員についてでありますが、
○ 道では、
道路の構造の技術基準等を定めた条例に基づき、
全国的に標準とされる75cmに、
雪の影響を考慮し、50cmを加えた125cmを標準として
整備を行っているところ。
○ しかしながら、過去に整備された箇所においては
路肩が狭い区間もあることから、自転車の交通量が多い箇所については、
安全な走行が可能となるよう、地域の実情を踏まえ自転車通行空間
の確保について検討してまいる。
④ 路肩の排水桝について
二つ目は、排水桝についてです。ほとんどの路肩には排水桝が設置されています。自転車が走行することを前提とした段差解消とグレーチングの向きの設定は、直ぐにでも取り組むことが出来るのではないでしょうか。道の見解を伺います。
<答弁>
路肩における段差などについてでありますが、
○ 排水桝は、路面への雨水や融雪水を排水するため、
道路の路肩部などに設置するものであり、
自動車走行や冬期の除雪作業に支障がないよう、
平坦性を考慮して整備しているが、
補修が必要な段差や破損が確認された場合は、
随時、対応しているところ。
○ 道ではこうした対応に加え、今後とも自転車の通行に配慮するよう
国の「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」などを
参考にしながら、自転車の走行の妨げとなる段差の解消方法や
タイヤの「はまり込み」を抑制する
グレーチングの格子形状の工夫などについて検討してまいる。
⑤ 実現へ向けて想定される課題について
これら二つの取り組みは、新たな予算確保を必要としない取り組みでもあります。予定される更新時期に合わせて、道が取り組む新たなルールの下で、順次施工し直していけば良いのではないでしょうか。
実現させることは十分に可能であると考えていますが、では、どんな課題が想定できるのか、道の見解を伺います。
<答弁>
課題についてでありますが、
○ 一つ目の路肩の幅員を広げるにあたっては、
車道幅員は道路構造令の規定により縮小することが出来ないことから、
歩道の縮小や、路肩拡幅に伴う新たな用地の確保などが
課題となるところ。
〇 また、二つ目の排水桝については、
自転車の走行に考慮し、路面と同じ高さに設置することにより
除雪車の除雪板が排水桝に接触する恐れや
自転車のタイヤの「はまり込み」を抑制するために、
グレーチングの向きを変更することで、
横滑りにより転倒する恐れなどの課題が想定される。
⑥ 安心安全な走行環境の提供について
道道における道路管理者は道であり、特に都市部において、これらの果たすことのできる効果は非常に大きいものであると考えています。
また、国道における北海道開発局、更に市町村道における各自治体との連携による相乗効果によって、道民への走行ルールの浸透は大きなものになるのではないでしょうか。
また、多くの国内・海外から私たちの北海道へサイクルツーリズムを満喫しにお越しになる訪問客の皆さんに安心安全な走行環境を提供することは、満足度向上や再訪の機会創出につながることに違いありません。
白線の引き方一つで、より安全な走行環境を提供することで、救うことのできる命があることを、私たちは知らなければなりません。
まずは、路肩の幅と排水桝について試験的に取り組むことが必要です。最後に、検討の開始の是非やその時期を含めて、安全な自転車の通行が出来るように今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
<答弁>
安心安全な走行環境についてでありますが、
○ 自転車は、買い物や通勤、通学など、
日常生活における身近な移動手段として
多くの人々に利用されており、健康志向の高まりや、
クリーンな交通手段としても、その利用ニーズが、
高まっていると認識しているところ。
○ 道としては、
これまでに道内で行われてきた実証実験の結果や、
国のガイドラインを参考にしながら、議会でのご議論を踏まえ、
路肩を広げるなどの自転車通行空間の確保に向けた検討を行い、
自転車が安全で快適に通行できる利用環境の創出に向け、
取り組んでまいる考え。