
この質問は、9月29日に質問したものです。
これまでは、一般質問や環境生活常任委員会の場で、全般に渡って質問を重ねて参りましたが、今回は建設部へ道有施設の除去計画等について具体に議論させていただきました。
在ることは公開していても、「飛散していない」ことを理由に除去を先延ばししていることは放置できません。
しかし、一度に全てを除去することも出来ないことは、道の財政難な現状から鑑みても理解できるのです。
ならば、せめて、道民の皆さんに除去計画を明示して、それが例え長期に渡る計画になったとしても、確実に遂行していくことが必要であることを共有できたと考えています。
あとは、行動あるのみです。与えられた任期の限り、しっかりとチェックしていきたいと考えています。
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C,アスベスト問題の対応について
北海道におけるアスベスト対策については、我が会派並びに他会派によって、議会議論や委員会議論が続けられてきました。また、道においても、関係各部で対応が取られていることを承知しています。
特に、平成26年6月に2つのアスベスト規制法案が改正施行されたことが分水嶺となって、建物所有者である各自治体や企業、民間の責任が直接的に問われていることは明らかです。
また、屋内型・屋外型・環境型と、それぞれの訴訟では、国や企業の賠償責任を認める内容となってきていることは、もはや他人事ではありません。
道自身が、当事者としてその責任を問われることがあってはなりません。道民の健康で安心な暮らしを想定した対策と対応が急がれていると考えています。
道内に存在するアスベスト建材の仕様が確認された道有施設は975箇所とされていますが、それぞれに点検と対策が施されていて、飛散のおそれなしと診断されてはいるのですが、肝心なのことは、点検や対策を実施した時点ではそのように判断されていたとしても、いつ何時劣化が発見されて、緊急の対応をとらなければならないことになるのかは、誰にも分らないことなのであります。
道は、現況に基づいて、その建築物の対応年数、更には昨今、施設の長寿命化が図られていることを鑑みて、アスベスト対策について道民に対する十二分な配慮が求められているのです。
これまで環境生活部に質問してきたところですが、今回は建設部が保全業務を担当している建築物について質問させて頂くこととします。
① 吹付けアスベスト対策の計画策定について
最初は、吹付けアスベスト対策の計画策定についてです。
知事部局及び各振興局等が管理し、建設部が保全業務を所管する建築物のうち、レベル1のアスベスト施工が確認されている建築物は16箇所あるとお聞きしています。
それらの周辺環境を調べてみますと…、
・市街地に建つ建築物が8施設あって、うち7施設が使用中です。
これらは建築後概ね24~50年程度経過しています。
・住宅地に建つ建築物が2施設あって、うち1施設が使用中です。
これらは建築後33年経過しています。
・近隣に住宅地がない建築物は、6施設あって、うち2施設が使用中です。
これらは建築後34~38年経過しています。
それぞれに職員や点検業者によって点検されていて、飛散の恐れなしとはお聞きしていますが、16施設のうち…、
・6施設は、大規模改修時の除去計画が必要です。
・4施設は、囲い込みや封じ込めは済んでいるようですが、それでも解体時の除去計画は必要です。
これらについての除去計画の策定状況はどのようになっているのか伺います。
<答弁>
吹付けアスベストの除去についてでありますが
○ 道有施設において使用されている吹付けアスベストについては、
環境生活部が平成19年に改訂した
「道有施設の吹付けアスベスト対策の考え方」に基づき、
吹付けアスベストの残る16施設のうち、
現在、使用している10施設では、薬剤で固める「封じ込め」処理や
建材で覆う「囲い込み」処理を行っているほか、
定期的な点検により、現時点で飛散の恐れがないことを
確認しており、使用していない6施設については、
立ち入りを制限しているところ。
○ これらの施設については、
施設管理者が、使用形態や老朽化の状況などから、
工事の緊急性などを検討して改修や解体の計画を作成し、
建設部に対し施行依頼を行い、
アスベストの除去を進めることとしているところ。
② 煙突部の対策について
次に、使用が確認されているアスベストのうち、レベル2、特にボイラー室などに設置されている煙突部については、昨年末には札幌市の給食施設におけるアスベストの劣化が露呈し、札幌市による緊急の対応が報道されたところでもあります。
建築部が担当している道有施設で、煙突部にアスベストが使用されている施設数は148施設、224本の煙突があるとお聞きしています。
これらの除去計画はどのようになっているのか伺います。
<答弁>
アスベストを含む煙突用断熱材の除去についてでありますが
○ 平成26年に改正された国の石綿障害予防規則により、
アスベストを含む煙突用断熱材等の規制が強化され、
環境生活部では、平成28年に
「道有施設における石綿含有保温材等点検マニュアル」を作成し、
アスベストを含む煙突用断熱材等を
適切に点検・管理することとしたところ。
○ 施設管理者は、本マニュアルに基づき、1年に1回点検を行い、
劣化・損傷が確認された場合は、早急に除去するとともに、
劣化・損傷が確認されない施設については、
計画的な改修工事の実施などに合わせて
除去工事を行うこととなっているところ。
③ アスベスト除去の予算規模について
これまでお聞きしてきた164施設に見込まれる予算の確保が必要となります。施設の規模や数から推定しても、その費用が少なくないものであることは容易に想定できます。まさにその時に用意すれば良い予算とは異なります。見解を伺います。
<答弁>
アスベスト除去の費用についてでありますが
○ これまでの事例によると、
平成22年度に真駒内屋内競技場において実施した
約4,600㎡の吹付けアスベストの除去では、1億5千万円程度、
平成27年度に浦河保健所において実施した
高さ15メートルの煙突のアスベストを含む煙突用断熱材の
除去では、900万円程度となっているところ。
○ 吹付アスベストやアスベストを含む煙突用断熱材の除去費用は、
施設の規模や使用状況、使用部位の形状や煙突の高さのほか、
合わせて実施する改修工事の内容などの条件により
大きく異なるため、予算規模の算出は困難でありますが、
道有施設に使用されているアスベストを全て除去するためには、
かなりの費用が掛かることが見込まれるところ。
④ 除去計画と予算計画について
今回の質問で答弁していただいたところではありますが、改めて提案させていただくならば、一度には勿論のこと、劣化が発覚してから対応するのでは、緊急扱いとなってしまいます。前出の札幌市の例では、施工業者の担い手不足は常態化していて、思うように施工が進まなかったようですし、緊急であるからには、その予算も余計に掛かってしまっていることと思われます。
劣化が発見され、飛散した後に対応することを想定しているのでは無意味でしかありません。
今もなお、財政難の局面にある道が、これらを率先して対応していくことのハードルは高いものの、しかし、アスベスト規制法の改正によって、待ったなしの状況に置かれていることも忘れてはいけません。例え20年掛かったとしても、道民の皆さんに理解を求め、計画を策定し、特に施工業者の皆さんと共有しながら地道に除去し続けていくことが必要です。
今一度、道有施設における施設管理者に対して、一日でも早い除去計画の策定と、予算想定を推進すべきであると考えています。
最後に、建設部として真正面からアスベスト対策に向き合っていく覚悟と決意をお聞かせください。
<答弁>
アスベスト対策についてでありますが
○ 多くの道民の方々が利用する道有施設については、
施設管理者がアスベスト対策の必要性を十分に認識し、
定期的に点検を行い、必要に応じ適切に除去等の措置を講じるなど
施設利用者の安全・安心を確保する観点から、
アスベスト対策を着実に進めていくことが
重要であると認識しているところ。
○ 建設部では、これまでも、
施設管理者がアスベストに関する知識を取得するため、
定期点検に関する研修会の開催や
適切な工法などの技術情報を提供するとともに、
本年8月には、各施設管理者に対し、
長期保全計画に定める施設の改修時期に合わせて
アスベスト除去を計画するよう、強く要請したところであり、
施設管理者における、計画の策定と所要額の把握が進められ、
道有施設におけるアスベスト除去工事が着実に実施されるよう、
今後とも、環境生活部と連携し、取組を強化してまいる。
<指摘>
さきほど、答弁の中で「かなりの費用」と表現されていました。
例え、推定金額であったとしても、答弁して頂けない事情は理解できます。
私は、この「かなりの費用」について、緊急を要する事態になってはじめて用意するのか、例え、長期計画となったとても積み増していくのかを問うていることをご承知いただきたいのです。
また、このアスベスト対策は、劣化し、飛散が確認されたら除去するとされている訳では無いのです。
一方で、道の多岐に渡る行政範囲、更にしばらく続く財政難の局面にあっては、右から左に用意できる単位のものでないことは明らかです。
しかも、除去計画や所要額を確保するのは、この場に居ない施設管理者である各部自身なのです。
アスベスト対策については、先延ばししたからと言って決して免れるものではありません。幸いにも劣化せずに、飛散が確認されずに使用し続けられたとしても、解体時には所要額は必要となります。
部長から各部に強く要請したと答弁頂いたのですが、それに留まることなく除去計画や所要額の把握について、一日も早くに着手するように重ねて要求して頂きたいと強く要請しておきます。