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2017/10/5

平成29年北海道議会第三回定例会 予算特別委員会 農政部 「スマート農業について」

G,スマート農業について

 

 現在、我が国では、本格的な人口減少時代を迎え、どの産業においても現場での労働力不足が顕在化しており、本道の農業地帯でも、担い手の減少や高齢化が急速に進み、労働力不足が年々深刻な状況となっています。

 このため、国では、ロボット技術やICTを活用した超省力生産や高品質生産を実現する農業の姿を「スマート農業」と位置づけて推進を図っており、道内の生産現場では、全国に先駆けて、人工衛星からの位置情報を基に作業経路を表示するGPSガイダンスシステムの導入が進むなど、先端技術が現場で活用される例が増えてきております。

こうしたスマート農業導入の流れは、若者が農業にチャレンジし定着するところまでを含めると大変大きなものがあり、来年4月の準天頂衛星「みちびき」の運用によるGPSガイダンスシステムの高精度化などにより、農業関係者から一層注目されているとのことであります。

 道においても、こうした新技術の登場に合わせ、取組の強化を図ることを検討しているものと考えておりますが、以下、伺ってまいります。

 

 

   スマート農業の現状について

 先端技術を活用したスマート農業に対する農業関係者の期待は大変大きなものがありますが、道内のスマート農業の現状について伺います。

 

<答弁>

スマート農業の現状についてでありますが

 

道内では、大規模な畑作経営や水田経営を中心に、

人工衛星からの信号をもとに正確な作業経路を表示する

GPSガイダンスシステムや作業経路の保持を自動で行う

自動操舵装置の導入が急速に進み、

28年度までに、GPSガイダンスが7000台、

 自動操舵装置が2840台導入されており、

全国に占める割合も8割以上となっている状況。

  

また、酪農経営では、搾乳作業の自動化を実現した搾乳ロボットが

今年の2月現在、191戸で312台が稼働しているほか、

ほ乳ロボットも78台導入されている。

  

〇このほか、自動的に高度な環境制御を行う園芸施設、

作業記録や労務管理を効率化する経営管理ソフトなど

幅広い技術が活用されているところ。

 

   これまでの取組と今後の課題について

 昨年の第1回定例会予算特別委員会や、その後の農政委員会で我が会派の委員から伺っておりますが、既に1年以上が経過しておりますので、スマート農業導入促進に向けたその後の取組と、そこから明らかになった成果や課題にはどのようなものがあるのか、伺います。

 

<答弁>

最近の取組とその成果や課題についてでありますが

 

〇昨年度、道では新たに、個人や団体、企業を問わず参画できる

 「北海道スマート農業推進協議体」を設置し、

 新技術の活用事例や技術情報の共有を図るとともに、

 道立農業大学校では、JAや市町村の職員等を対象にした

 「実践研修」を新設し、地域の人材育成を進めてきたところ。

  

また、11月30日から12月1日には、

 札幌で「北海道スマート農業フェア」を開催し、

 技術セミナーのほか、企業や大学など61社の幅広い技術を展示し、

 5千人の来場者に直接、先端技術に触れる機会を提供したところ。

 

これら実践研修やフェアの来場者アンケートなどから、現場では、

 GPSガイダンスやリモートセンシングなどに関心が高いものの、

 地域の営農体系にどう取り入れて活用していくか

 具体的な検討が必要との声が多く、こうした検討に役立つ先行事例や

 活用方法などの情報を全道に普及していくことの重要性が

 改めて確認できたところ。

 

 

   今後の推進について

 本道は、先進的な経営への取組が数多く進められている、我が国最大の農業地域であります。本道農業は、その規模や形態から、革新的技術の開発や導入を推進する上で一定の役割が求められ、農業の新たな可能性としてその成果を示していく立場にあると考えております。

 「ICTやGPS、ロボット技術などの最先端技術を活かし、超省力化や高品質生産を可能にするスマート農業の取組を推進する」との知事公約を力強く進めていくため、これまでの成果や課題を踏まえ、道は、若者へのアプローチなど、どのように取組を進めていこうと考えているのか、伺います。

 

<答弁>

スマート農業の今後の取組についてでありますが

 

道では今年度から、

 新技術の導入や活用に向けた各地域の検討を支援するため、

 新たに農業団体と連携・協力して、

 各地に出向くセミナーや展示を行っているところ。

 

○30年度に向けては、こうした取組を強化するほか、

 準天頂衛星やリモートセンシングなど、

 新たな技術の活用を進めるとともに、経験の浅い後継者など

 若い世代にも高いレベルの営農が可能となるよう

 道立農業大学校の教育機能を一層活用して、

 若い担い手や地域リーダーの育成強化に取り組む考え。

 

さらに、全道シンポジウムの実施や地域主体の勉強会への支援、

 ホームページやメールマガジン等を通じた情報共有など、

 地域を主役に据えた総合的な取組を着実に進め、  

 本道農業の新たな可能性を引き出すスマート農業を

 積極的に推進してまいる。