
I,畜産経営安定法の見直しについて
次に、畜産経営安定法の見直しについてですが、先の我が会派の同僚議員の一般質問でも伺っておりますが、畜産経営安定法及び農畜産業振興機構法の改正による加工原料乳の生産者補給金などの制度見直しに関して示された、省令案などについて何点か伺ってまいります。
① 法の制度設計について
本年6月に畜産経営安定法及び農畜産業振興機構法の一部を改正する法律が成立し、その後、具体的な制度設計に向けて、国は、道や農業団体との意見交換を行ってきたと聞いておりますが、国に対しては、どのような提案を行ってきたのか、伺います。
<答弁>
国への提案についてでありますが、
○現行の指定生乳生産者団体制度が果たしている
「飲用向けと乳製品向けの調整」や「条件不利地域の集乳」、
「輸送コストの削減」、「乳価交渉力の確保」といった機能は、
本道の酪農経営の安定と乳業など関連産業の発展を図る上で
大変重要であると考えている。
○このため、道としては、
政省令等における具体的な制度設計に当たり、
国に対し、こうした機能が引き続き適正に発揮されるよう、
飲用牛乳の不需要期のみに余った生乳を加工用に仕向けるなどの
場当たり的な対応が排除されることや、
新たに創設される集送乳調整金の交付対象となる事業者について、
遠隔地や小規模酪農家に対して不当に安い乳価を提示したり、
貯乳タンク等の新たな施設整備を強要するなど、
実質的に生産者から契約を断らせるような事業者や、
集乳に必要なタンクローリーを確保していない、
あるいは、運送業者との契約が締結されていないといった
十分な集乳能力を持たない事業者が
指定されることのない制度となるよう、
適切な要件の設定を繰り返し求めてきたところ。
② 省令案について
今後とも、生乳の需給調整や条件不利地域における集乳など、現行の指定団体制度が果たしてきた機能の維持が求められるところですが、今回示された政省令案からは、こうした機能が維持されるような内容となっているのか、伺います。
<答弁>
政省令案についてでありますが、
○今回公表された政省令案では、
加工原料乳の生産者補給金等の交付要件である
年間販売計画の基準をはじめ、集送乳調整金の交付要件や、
指定事業者が生乳取引を拒否できる正当な理由などが定められており、
これまで、道が国に対して求めてきた、場当たり的な対応の排除や、
集送乳調整金の交付対象事業者の要件などについては、
おおむね確保されていると受け止めているところ。
○なお、年間販売計画の基準や記載項目、
事業者が生乳取引を拒否できる正当な理由の具体例など、
より詳細な内容については、
今後通知される運用等によって示されると聞いているところ。
③ 今後のスケジュールについて
国が現在パブリックコメントを求めている政省令案への意見や情報の受付は、10月5日で締め切られますが、来年4月からの新たなスタートに向けて、関係者への周知期間なども必要になりますが、道は今後、どのようなスケジュールで、どのように進めていく考えなのか、伺います。
<答弁>
今後のスケジュールなどについてでありますが、
○政省令等の公布については、
現在行われているパブリックコメントが10月5日に終了した後、
10月下旬にも行われていると聞いている。
○改正法の下では、生産者補給交付金等の交付を受けようとする事業者は、
年間を通じた用途別の需要に基づく年間販売計画を策定した上で、
年明けにも国に提出する必要があり、
さらに、集送乳調整金の交付対象者の指定も
受けようとする事業者は、法令で定める基準に即した定款や業務規程などを添えて、
都道府県に申請することが必要。
○また、来年4月の改正法の施行に向けて
事業者がこれらの事務を年度内に完了するためには、
それ以前に生産者等との契約締結をはじめ、
定款や業務規程の変更手続などを行っておかなければならない。
○このため、道としては、政省令等の公布後、
速やかに、国と連携しながら、説明会の開催や
具体的な事例集などによる制度の周知徹底を図り、
生産者や生産者団体、乳業者などの関係者が、
必要な手続を円滑に進められるよう丁寧に対応してまいる考え。
④ 道としての対応について
本道の酪農にとって、指定生乳生産者団体制度は重要な仕組みであり、今後ともその機能を維持しながら、本道の実態に即した制度にしていく必要があると考えますが、そのために、道としては、どのような対応を行っていく考えなのか、伺います。
<答弁>
道の対応についてでありますが、
○畜産経営の安定に関する法律の見直しについては、
来年4月の改正法施行後、
本道の酪農経営の実態に即して制度が運用されることが
極めて重要であると考えている。
○このため、道では、速やかな集送乳調整金の交付対象事業者の指定をはじめ、
毎月、乳業工場ごとに生乳の処理実績の検証や突合、都府県との調整などを行い、
正確かつ迅速に、加工原料乳向け生乳の数量を認定し、
国や農畜産業振興機構へ報告するなどの業務を
進めていく必要がある。
○さらに、新たに生産者補給金等の交付対象者となる事業者に向けては、
これらの手続が円滑に進むよう、
生乳処理や乳製品製造の実績報告書の記載方法や
留意点の説明など、より丁寧な対応が求められるところ。
○道としては、こうした状況を踏まえ、対象事業者や乳業工場等に対する
報告徴収や立入検査などの業務を適正に進め、
現行の指定団体制度が果たしてきた機能が引き続き発揮され、
生乳の安定取引の確保と酪農経営の安定が図られるよう努めてまいる考え。