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2017/10/5

平成29年北海道議会第三回定例会 予算特別委員会 経済部 「海外への販路拡大戦略について」

この質問は、北の元気玉が2年半前に当選させて頂いて以来、一貫して取り組んでいる課題に対しての議論になります。

 

世界の経済環境は、刻々と否応なく進化を続けていきます。

世界の北海道を自負する私たちが、高度経済成長等の「これまで」に固執して、「これから」を見誤る訳にはいきません。

 

世界と、アジアと対峙して、私たちが変化を拒むことが出来るほど、私たちが先を歩んでいる訳ではありません。

もはや、私たちには、世界をアジアを猛烈に追い上げるほどの成果が必要になっています。

汗することを厭わず、現地と力強く繋がりながら、北海道の元気のために働いて参ります。

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J,海外への販路拡大戦略について

 

 我が会派の代表質問で、人口減少問題に対峙していくためや食産業の持続的な発展を図るために、拡大する海外市場に販路を切り拓くことが必要であると質問しています。

 食イベントや商談会の実施、北海道ASEAN事務所や台湾チャレンジショップの設置等によって拡大を目指さなければならず、食の好みや食習慣を踏まえた商品開発や品揃えを充実させていく上で、海外のどさんこプラザの展開や役割は重要であるとしています。

 一昨年、海外初のどさんこプラザをシンガポールに設置したことは好評を得ているとお聞きしていて、その拡大に期待が膨らむところです。

 また、その代表質問に対する知事は、来年の10月にタイのバンコクに2つ目のどさんこプラザを設置し、食と観光が一体となった取り組みを強化していくと明言し、成長するASEANをはじめとする海外需要を一層開拓し、輸出や外国人観光客の拡大を図ることが重要と答弁されていて、道と議会が取り組む方向性に違いはないと判断しています。

 

 

   道民等との方向性の共有について

最初に、これらの取組みに対する道民等の理解について伺います。

 道と議会が、幾ら同調していたとしても、それを実行するのは道民や企業の皆さんであります。また、道と議会が、幾ら道民や企業の皆さんと一緒になって道産食品を売り込んだとしても、それを手にして口にするのは海外の消費者であることは言うまでもありません。

 私がこの機会に確認しておきたいことは、生産する側と売る側の立場と、特に買う側の立場が置き去りにされてはいないかということなのです。

 道は、何が売れるのかをマーケティング調査などを駆使しながら、何が求められているのかを把握しようとしています。

 しかし、北海道内で生産されているものを、在る物を売ることは大切なことですが、同時に求められるものを生産する、売るという着眼の転換を図り、道民や企業の皆さんに情報の提供し、私たちは、将来に渡って成長することのできる視点を共有することが必要なのだと考えています。しばらくの間は、私たちの自慢の産物と求められる商品とを両建てで生産・販売していかなければならないのです。

 私の下にも、「海外輸出云々言う前に、私たちの日々の食卓に安心で安全な食品を提供することが先だ」というご意見が寄せられています。日本の食料自給率の低さ等を嘆き、そのようなお考えになられるものと承知しています。

 しかし、冒頭でも述べたように、人口減少や少子高齢化に真っ只中で、失われていく北海道の元気を補っていくためには、避けられない取り組みであるということをお示ししていかなければなりません。

 そのためには、まずは道民や生産者そして企業の皆さんの理解が必要です。常に情報の共有が必要です。そして、私たちが目指す姿を今まで以上に明確にしていく必要があります。

 道は、これまでのマーケティング調査で、これらの視点を加えた調査を実施してきていたのか、また、道民や企業の皆さんとの情報共有をはじめとした総意としての取り組みを実現するために、どのような施策を積み重ねてきたのか伺います。

 

 

<答弁>

これまでの現地ニーズの把握などについてでありますが、

 

〇人口減少が進み、国内マーケットの縮小が懸念される中、

 道内経済を維持していくためには、

 ASEANをはじめとする海外需要の獲得が重要であることから、

 道では、シンガポール、タイなどにおいて商談会を実施するとともに、

 道内においても、海外バイヤーを招聘した商談会や現地視察を

 実施してきたところ。

 

〇また、「北海道ASEAN事務所」や「どさんこプラザシンガポール店」、

 バンコクの「北海道マーケット」を活用した

 消費者ニーズの把握にも取り組むなど、

 様々な機会を活用し、現地の市場動向の確認に努めてきたところ。

 

〇このような取組で得た情報と合わせて道の輸出戦略などについて、

 JETROをはじめとする関係機関と連携したセミナーや

 道のHPなどを通して、

 経済団体や企業、消費者などに幅広く周知するとともに、

 事業者に対する助言やフォローアップを行っているところ。

 

 

<指摘>

私は、これまで道が取り組んできた諸施策を否定するつもりはありません。しかし、これまでの取り組みに加えて、道民や生産者、そして企業の皆さんに広く理解と協力を頂きながら、国内販売の延長にある海外輸出の段階から、国外から北海道を俯瞰した私たちの未来像に向けて、私たちが変化していくことを恐れてはいけないのだと思うのです。

 経済部におかれては、関係各部と連携をより強化して、私たちが何故道産食品輸出額を伸ばしていかなければならないのかの目的を伝わりやすく磨き上げて、強いメッセージとして道民の皆さんと共有することが出来るように手段を講じて頂きたいと要請しておきます。

 

   障壁について

次に、輸出の拡大を目指す上での障壁について伺います。

輸出の拡大を目指す前提として、道が行ったマーケティング調査などから、売る側と買う側にとって、それぞれにどのような課題が存在していると受け止めているのか、何が障壁となっていると考えているのか、道の見解を伺います。

 

 

<答弁>

道産食品の輸出拡大に係る課題についてでありますが、

 

〇平成28年度の食関連企業経営意識調査などによると、

 輸出に取り組む事業者からは、

 現地ニーズにあわせた商品開発や物流コストの圧縮などが

 課題とされている一方、

 どさんこプラザのシンガポール店などにおいては、

 現地の消費者からは、新鮮で品質の高い、

 豊富な種類の道産品が人気となっており、

 道産食品の輸出拡大に向けては、輸出先国の需要に応じた商品開発や

 輸出品目の多様化、効率的な物流体制と一体となった販路開拓に加え、

 輸出先国の検疫等の規制への対応などが課題であると認識。

 

〇このため、道としては、商品開発に向けた技術支援や海外における

 テスト販売、鮮度保持技術等の実証実験と商談会の一体実施国際基準に

 対応した輸出関連施設の整備の促進などの取組を実施してきたところ。

 

 

<指摘>

 私たちにとっての障壁が何であるのかは、認識できているとのことでした。

 しかし、その課題が、部をまたがって存在している場合に、途端に歩みが止まってしまったり、打ち出した結果が「帯に短しタスキに長し」の状態に陥ってしまっている恐れはないでしょうか。

 道産食品輸出額の拡大は、未来の道民の皆さんにとって欠かすことのできない北海道の元気の柱の一つであると断言できます。

 実は、部をまたがる取組みが、より課題を成長させることが出来なくなってしまう障壁の一つになっていることを自省して頂いて、内輪のことで将来への可能性の芽を摘まむことがないように、高橋知事のリーダーシップの下でタイミングよく取り組んで下さい。

 

 

   国への陳情について

例えば、生牡蠣は欧州からシンガポールへ輸出されています。

北海道には、厚岸や佐呂間など生牡蠣のナショナルブランドは多く存在しています。それらは、欧州の生牡蠣と比べても味が劣るものではありません。むしろ、欧州の生牡蠣にはない美味しさがあると胸を張ってお勧めすることができる食材です。

しかし、日本からは輸出が出来ない現状は、全く以って残念なことであります。シンガポール国内の企業が、様々に検証しながら、僅かに冷凍牡蠣が輸入されているに留まっています。

このような検疫上の諸課題については国家間交渉事項であり、残念ながら、道として直接関与できるものではありませんでした。

道は、これまでどのように国へ陳情し、どのような情報を得ているのか、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。

 

<答弁>

検疫上の諸課題に対する道の対応についてでありますが、

 

〇食の輸出を拡大していくにあたっては、

 輸出に取り組む事業者にとって非関税障壁となる検疫条件などの輸出に

 関する規制等の緩和、撤廃とともに、道産品の品質の高さ、

 安全性に対する理解を深めていくことが重要。

 

〇道としては、これまで、一次産品の輸出事業者などの声をお聞きしながら

 検疫面での輸出規制の緩和に向けた国家間交渉の推進について

 国に対し要望を行うとともに、随時、JETROなどと連携し、

 検疫をめぐる関連情報の把握に努めてきたところ。

 

〇今後も引き続き、情報収集に努めるとともに、

 海外商談会やテスト販売等を通じて把握した市場の評価や国際認証等

 の取得などにより、安全・安心な道産品の品質の高さも示しつつ、

 引き続き、検疫条件等の輸出障壁の緩和、撤廃に向けて国への要請や

 働きかけを行ってまいりたい。

 

 

 

<指摘>

 正式ルートでの国への陳情においては見えない限界があったとしても、北海道の食材であれば何でも欲しいと求められている事実があるのです。これは、直接シンガポールで接した企業の皆さんからお伝えいただくことのできる嬉しい感想です。

 ならば、道としてシンガポール国内の、ASEAN各国における環境整備を先行して行っていくことは十分に可能なのではないでしょうか?

農産品、水産品、そして加工品と各々に関係省庁へ働き掛けなければならない今は、余りに不自由・不効率です。国に陳情を重ね、相手国との間で一日も早い実現を目指す為にも、現地で道自身による取組みとしての下準備が不可欠となります。

早速にでも、戦略戦術を組んで取り組んでいただけますように要望しておきます。

 

   物流上の課題について

次に、物流上の課題について伺います。

食材や食文化による来訪促進プロモーションは、拡大に向けた大きな動機付けになり得ます。これまでよりも更に踏み込んだ来訪客や輸出の拡大を早期に実現させていくための戦略と戦術が必要な段階にあると言えるのです。

 そのような中で、新千歳空港とチャンギ国際空港を結ぶスクートの就航から11カ月が経ちますが、搭乗率も順調に推移しているとお聞きしています。

 更に本年11月からは直行便の就航も加わり、毎日一往復となって一層の拡大効果が期待されるところです。そこで注目されるのが、物流の環境が大きく改善してくることです。

 例えば、生帆立を航空便で運ぶ場合に一枚当たりの価格に占める航空運賃は60%近くとなっていて、航空運賃の低減が企業の利益と消費者への安価な提供につながってきます。

 食の輸出拡大を目論む私たちにとって、どうしても避けることの出来ない課題でもあります。

中小企業向けの小口ロッド輸送については、HOP1など様々に取り組まれてきましたが、更に大胆な取り組みが必要です。

 道とシンガポール政府の協力の下で、航空会社に協力を求めて定量の輸送枠を確保して、安価な物流環境を整えることは出来ないでしょうか。道の見解を伺います。

 

<答弁>

物流の拡大に向けた取組についてでありますが、

 

〇道としては、人やモノの交流を促進するため、

 経済界などとも連携しながら、

 国際航空路線や海上輸送手段の誘致や拡充に取り組んできたところであり、

 特に、航空機による直行便の就航は、鮮度の保持や商品の高付加価値化に

 貢献しているところ。

 

〇近年は、国際航空路線において、一定の物流スペースを有する大型機材の

 就航が進んでおり、航空会社からは、

 安定的に収益を得ながら路線を維持していく上で、

 道内の企業や生産団体などに利用拡大を期待する声があるところ。

 

〇道としては、引き続き、流通関係事業者や相手国の関係者との情報共有や

 連携を深めながら、一層の輸送拡大に取り組んでまいる。

 

  この点に関する質問は、今後、総合政策部に向けて深堀りさせていただこうと考えています。

 

 

   北海道ASEAN事務所の拡大について

次に、北海道ASEAN事務所について伺います。

 昨年1月、北海道ASEAN事務所が7年振りに再設置されました。現地に赴任した職員、現地採用された職員、民間企業から出向されている職員、各々に大活躍されていて、シンガポール政府は勿論のことASEAN各国との橋渡し役として、北海道から輸出を考えている道内企業の皆さんにとって、心強い相談役として、支援先として、その満足度は高いものとお聞きしています。道は、その効果をどう評価しているのでしょうか。

 以前の私からの一般質問でも提案させていただいたところですが、更なる体制の強化と継承、そして幅広い活動を支える予算付けが必要です。見解を伺います。

 

<答弁>

ASEAN事務所についてでありますが、

 

〇昨年1月の開設以降、金融機関からの職員派遣により体制を強化しながら、

 道内企業の活動支援や情報交換など、

 これまで2,000件を超える案件に対応してきたほか、

 現地における北海道フェアや商談会の開催などに積極的に取り組んできた。

 

〇こうした活動を通じ、北海道ブランドが浸透し、

 本道への理解や関心が高まる中、道内企業による新たな拠点の開設に加え、

 一次産品や加工食品の取引の拡大といった動きが着実に広がってきている。

 

〇今後、政府やジェトロなど関係機関はもとより、道内からの進出企業や、

 小売、流通といった地元企業とのネットワークをさらに広げるなどして、

 事務所の機能の強化を図り、企業の海外展開が

 一層促進されるよう努めてまいる。

 

 

<指摘>

 今回の質問にあたり様々にお聞きする中で、北海道ASEAN事務所の中長期計画が策定されていない事を知りました。

 業務の安定的な継続や継承をはじめとする中長期計画の策定は、私たちが目指す姿の実現に不可欠なものであります。

 早速策定に向けての議論を開始して頂けるように要望するとともに、この課題については議会議論の場で取り上げて参りたいと思います。

 また北海道ASEAN事務所で果たさなければならない役割が、本庁の延長にある必要は無いのです。現地でダイナミックに、中長期計画によって明確にされた目的に向かって果敢に取り組んで頂きたいのです。

 私たちが北海道ASEAN事務所に期待すべき点が何なのかを授け、手厚い予算に裏打ちされる結果が必須であることは言うまでもありませんが、縦横無尽に活躍することが出来る道自身による体制強化と、活動を支える予算付けを重ねて要望しておきます。

 

   未来の北海道民を支える販路拡大政策であるために

高橋はるみ知事が掲げた「外国人観光客500万人プロジェクト」と「道産食品輸出額1500億円プロジェクト」は、必ずや北海道の未来への一歩に欠かせない政策だったと評価されるに違いありませんし、後の為政者たちによって更なる上乗せを実現させ、北海道の元気を取り戻していくための足掛かりとなるに違いないのです。

だからこそ、道庁が取り組んだことに満足するのではなく、道民や企業の皆さんと一緒になって、観光大国と農林水産畜産大国として北海道の経済を支えていくことのできる政策として、「稼ぐ」意味の大切さを広く理解して頂く必要があるのだと確信しています。

 最後に、海外への販路拡大の戦略について、「その先の、道」をお示しいただき、決意をお聞かせください。

 

<答弁>

海外への販路拡大についてでありますが、

 

〇人口減少による国内市場の縮小が懸念される中、

 外国人観光客の誘致や道産食品の輸出を促進し、

 世界の成長力を取り込むことは、

 本道経済の発展にとって極めて重要と認識。

 

〇このため、道の海外拠点などを活用して収集した現地の食習慣や嗜好などの

 市場環境を道内の関係者と共有し、

 新たに輸出に取り組もうとする事業者の拡大や、

 LCCの活用を通じ商流と物流が一体となった

 販路開拓などに取り組むとともに、

 外国人観光客への道産品の販売ノウハウを道の駅に伝えるなど、

 地域の幅広い事業者による海外需要の獲得に向けた

 取組を進めてまいる考え。  

 

〇こうした取組を通じ、世界に売り込む視点を事業者をはじめ

 道民の皆様と共有しながら、

 海外展開に挑戦する機運を道内各地に広げるとともに、

 本道の強みである食と観光が一体となりオール北海道で

 販路拡大に努めるなどして、海外の成長力を積極的に取り込んでまいる。