
M,いじめ防止基本方針について
次に、いじめ防止基本方針についてですが、今年の第1回定例会のわが会派の代表質問で、いじめの防止などに向けての今後の取組について伺ったところ、教育長から、本年度「いじめ防止基本方針の改定を行う」旨の答弁がありました。
いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を侵害し、その心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与えるだけでなく、生命・身体に重大な影響を及ぼすおそれがあり、決して許されるものではありません。いじめ防止基本方針は、本道におけるいじめ防止等対策の基本的な方向や具体的な対策を示すものであり、学校や家庭、地域住民、行政その他の関係者の相互の連携協力の下、社会全体でいじめ問題を克服していくための重要な方針であると考えておりますので、以下何点か伺ってまいります。
① 道内におけるいじめの現状について
最初に、道内におけるいじめの現状についてですが、全国的に見てもいじめの認知件数は増加しておりますが、道内におけるいじめの現状はどのようになっているのか、伺います。
<答弁>
道内におけるいじめの現状についてでありますが、
○ 昨年実施した国の「平成27年度児童生徒の問題行動等
生徒指導上の諸問題に関する調査」では、
道内の公立学校のいじめの認知件数は、
全ての校種を合わせて5,537件で、
前年度の3,132件に比べ、2,405件増加しており、
1,000人当たりの認知件数は、11.2件で、
前年度の6.2件に比べ、5.0件の増加となっている。
また、いじめの解消率については、96.9%で、
前年度の95.1%に比べ、1.8ポイント上昇している状況である。
○ 昨年度の調査におけるいじめの認知件数の増加は、
全国的な傾向となっており、その要因としては、
各学校において、初期段階のいじめであっても、
いじめを把握し、解消につなげることが重要であるとの認識のもと、
各学校が積極的な認知に努めた結果と捉えているところ。
② いじめ防止基本方針改定骨子案について
先般、「いじめ防止基本方針」改定骨子案が示され、いじめの理解や、学校いじめ防止基本方針に盛り込む内容、特に配慮が必要な児童生徒に対する支援、児童生徒が発信したSOSのへの対応、重大事態への対処などが新たに追加する内容とされておりましたが、どのようなで視点で検討作業が行われているのか、伺います。
<答弁>
いじめ防止基本方針の改定の視点についてでありますが、
○ 道教委としては、改定に当たっては、
国の「いじめの防止等のための基本的な方針」の
改定内容を参酌するとともに、本道におけるいじめの防止等に関する条例施行後の
教育委員会や学校、地域における
いじめ防止等の取組状況の点検・評価の結果等を踏まえながら、
・基本方針に定めるいじめの防止等の対策が十分に機能しているか
・いじめの重大事態への対応が適切に行われているか
という2つの視点を基本として検討を進めることとしている。
③ いじめ防止等対策における課題と対応について
基本方針の改定に当たって作業を進めている中で、これまでのいじめ防止等対策においてどのような課題が明らかになり、その対応をどのように基本方針の改定に反映させようと考えているのか、伺います。
<答弁>
いじめ防止等対策における課題と対応についてでありますが、
○ 道教委としては、
いじめ防止等の取組の実態を把握するために実施したアンケート調査や、
これまでのいじめに関する国や道の独自調査の結果などから、
・市町村におけるいじめ防止基本方針の策定率が全国平均と比べて低いこと
・学校におけるいじめ防止基本方針の内容や、
いじめ対策組織の活動について児童生徒や保護者への周知が不十分であること
などが主な課題であると認識しているところ。
○ 今後、こうした課題に対応するため、
・市町村のいじめ防止基本方針の策定に向けて支援すること
・「学校いじめ防止基本方針」の内容を入学時や各年度の開始時に必ず
児童生徒、保護者、関係機関等に説明すること
・学校いじめ対策組織が、被害児童生徒を徹底して守り通すことを児童生徒から
認識されるよう取り組むこと
などを新たに基本方針に明記するなどして、道内のいじめの防止等対策が
より一層実効性を伴うものとなるよう努めてまいる考え。
④ いじめの重大事態に対する対応について
今年7月に見直された国の「自殺総合対策大綱」では、若年層の死因に占める自殺の割合が極めて高いことから、「いじめを苦にした子どもの自殺の予防や、SOSの出し方に関する教育の推進の取組]が当面の重点施策として新たに掲げられております。
全国的にもいじめを苦にしたと見られる自殺が発生しており、こうしたいじめの重大事態に係る教育委員会や学校の対応に対し、保護者等に大きな不信感を抱かせるような事案についての報道が相次いでおります。 いじめの重大事態が発生した場合には、被害児童生徒や保護者等に寄り添い、適切に対応していく必要があると考えますが、道教委として、いじめの重大事態の対応について、どのように基本方針に示していこうと考えているのか、伺います。
<答弁>
いじめの重大事態に対する対応についてでありますが、
○ 道教委では、いじめの重大事態が発生しているにもかかわらず、
不適切な対応などにより、児童生徒に深刻な被害を与えたり、
保護者等に不信感を与えたりするような事案が
発生することがあってはならないことから、
これまでも、本年3月に国が策定した
「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を踏まえた
対応について、市町村教育委員会や学校を指導してきているところ。
○ 道教委としては、今回改定する道の基本方針に改めて、
国のガイドラインに沿って、
・児童生徒や保護者から申立があった時には、重大事態があったものとして
報告・調査に当たることや、
・被害児童生徒や保護者の意向を的確に把握した上で調査を進めることなど
を明記するとともに、各種会議や研修会等の様々な機会を捉え、
周知徹底を図るなどして、国のガイドラインや道の基本方針を踏まえた対応が、
より適切に行われるよう、引き続き指導してまいる考え。
⑤ 今後の進め方について
最初にも申し上げましたが、全国的にもいじめの認知件数は増加しており、陰湿ないじめを苦にしたと見られる自殺などの報道も相次いでおります。
このような状況も踏まえ、道教委では、今後、いじめ防止基本方針の改定に向けて、どのように取組を進めていこうとしているのか、伺います。
<答弁>
今後の進め方についてでありますが、
○ 道教委では、現在、本年9月に策定した改定骨子案に基づき、
素案の検討を行っているところであるが、
今後においては、10月に全道14管内で開催する
「どさんこ☆子ども全道サミット」において、児童生徒や保護者から
いじめについての思いやいじめ防止対策などについて意見を聞き、
素案に反映させるほか、
素案策定後は、道議会で御議論をいただくとともに、
パブリックコメントの実施や関係機関等からの意見聴取などを経て、
年度内には、北海道いじめ防止基本方針を改定する予定。
○ 道教委としては、改定の検討状況を、適宜、学校に情報提供するなどして、
「学校いじめ防止基本方針」の点検・見直しが進むよう
働きかけるとともに、改定後には、新たな基本方針の内容などを掲載した
リーフレットの作成・配布などを通して、児童生徒や保護者などにも
改定の趣旨を広く周知するなどして、
本道におけるいじめ防止等の取組が一層充実するよう努めてまいる。