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2018/05/8

平成30年 環境生活委員会 5月一斉委員会 「犯罪被害者等支援対策について」

平成30年北海道議会第一回定例会で条例化された「北海道犯罪被害者等支援条例」が制定されたことをきっかけとして、「北海道犯罪被害を考える日」が設けられることとなりました。

この質問をきっかけとして、北海道民の皆さんに本条例趣旨を理解して頂くことは勿論ですが、「〇〇の日」という様々に設けられている、いわゆる「メモリアルデー」について議論したものです。

このような日を設けることやフォーラムを開催することに留まることなく、学校教育は勿論のこと、生涯学習等の「教育」という場において、倫理観や道徳観を養っていく必要があり、それぞれについて理解を求めていくことが必要であるという考えに基づいて、質問を構成しています。

 

この質問については、引き続き第二回定例会において、教育委員会と議論を深めてまいる所存です。

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A,犯罪被害者等支援対策について

 

 犯罪被害者等の支援について、国としては平成16年に制定された「犯罪被害者等基本法」及び翌年制定された「犯罪被害者等基本計画」に基づき犯罪被害者等の支援を進めているところであり、道においても、国の計画を踏まえて、平成19年に「北海道犯罪被害者等支援基本計画」を制定し、取り組みを進めてきたところと承知しています。

 また、先の平成30年第一回定例会において、「北海道犯罪被害者等支援条例」が制定されたところであり、新年度からは、本条例に基づき、適切かつ効果的な犯罪被害者等支援を推進し、施策を講じるとしております。そこで数点伺って参ります。

 

    「北海道犯罪被害を考える日」について

本条例は、犯罪被害者等を社会全体で支え、安心して暮らすことが出来るように、犯罪被害者等の支援に関する基本理念を定めているところであります。この条例を踏まえて、道では、「犯罪被害を考える日」の制定を検討していると承知していますが、制定の経緯や考え方を伺います。

 

<答弁>

「北海道犯罪被害を考える日」についてでありますが

 ○ 道では、犯罪被害者が受けた被害の早期の回復又は

  軽減を図るとともに、犯罪被害者等を社会全体で支え、

  安心して暮らすことができる道民生活の実現を目指し、

  今般、「北海道犯罪被害者等支援条例」を制定したところ。

 

 ○ 本条例の趣旨を広く道民に浸透させるためには、

  効果的な啓発活動を展開することが必要であることから、

  市長会や町村会のほか、弁護士会や交通事故被害者の会、

  民間支援団体等で構成する犯罪被害者等支援懇談会から

  御意見を伺い、犯罪被害に関し道民の理解を深めるための取組の一つとして、

     国が定める「犯罪被害者週間」の初日である11月25日を

  「北海道犯罪被害を考える日」として制定し、関係機関・団体等と連携した

  広報・啓発活動に取り組むこととしたところ。

 

 

    「北海道犯罪被害を考える日」の啓発について

次に、「犯罪被害を考える日」を制定するだけでは不十分で、犯罪被害者等を社会全体で支えていくためには、道内市町村だけではなく、広く、道民を初めとした事業者や民間支援団体等に浸透させていくことが重要と考えます。道では、具体的にどんな取組みを展開しようとしているのか、伺います。

 

<答弁>

犯罪被害に関わる啓発等についてでありますが

 

  犯罪被害者等を社会全体で支えていくためには、

  条例の趣旨を広く浸透させ、犯罪に遭われた方の被害について考え、

  必要な支援に取り組んでいく機運を醸成していくことが

  重要であることから、条例の目的や基本理念、基本的施策等について、

    リーフレットやホームページ等を活用し、市町村や関係機関・団体はもとより、

  広く道民の皆様に対し周知を図ってまいる。

 

  また、「犯罪被害を考える日」においては、

  「犯罪被害者週間」と連動し、道警察、市町村等との連携・協力による街頭啓発や

  パネル展を実施するほか、

  犯罪被害者等への理解を促進するためのフォーラムの開催や、

  北海道弁護士会連合会や北海道臨床心理士会と連携した

  犯罪被害者のための無料相談会を実施するなど、

    様々な啓発活動等に取り組むこととしている。

 

 

    真に必要な支援について

次に、或る意味で条例制定を根拠とした、行政手段としての「犯罪被害を考える日」の制定や目的を広く周知して頂くための行事やイベントを開催することでは、それらの目的を満足させることはできないのだと考えています。

これまで、全国犯罪被害者の会(通称あすの会 2018年6月3日解散予定)等がそれらの活動を通して、犯罪被害者等基本法の成立をはじめとして、公訴時効の廃止や犯罪被害者の権利の確立、被害者参加制度等の実現に寄与されています。しかし、これでも十分とは言えないのが実情です。私たちは、時すらも解決してくれない被害があることを知らなければなりません。このような法整備や計画、条例が必要となってしまった今の社会の現実を知らなければならないのです。

 そのような中で、道、道内市町村や民間支援団体等が取り組むことの出来る、最も道民に近い取り組みとして、犯罪被害者等を社会全体で支えていくために、私たちの平素な暮らしの中に根付かせることができる体系的な「学校教育」や「生涯教育」を継続して施していかなければならないと考えています。

担当部局として、総務部学事課や教育委員会と連携協力し、犯罪被害者等支援について、さまざまな教育の機会を設けることが必要です。見解を伺います。

 

<答弁>

教育機会の充実についてでありますが

    

  犯罪被害者等が置かれている状況や、

  犯罪被害者等が受けた被害の早期回復・軽減等を

  図るための支援の重要性などについて、

  道民の理解を深めていくためには、委員ご指摘のとおり、

  学校や家庭、社会教育など様々な教育の場において、

  命の大切さや人権を尊重する意識や態度を

  育んでいくことが重要と考える。

 

   学校においては、これまでも、教育活動全体を通じ、

  生命を大切にする心や思いやりの心など、

  「豊かな心」を育む教育が展開されているほか、

  地域においても、教育関係者等を対象とした研修会や

  フォーラムの開催などよる人権教育が進められているところ。

 

  道としては、誰もが犯罪被害者となる可能性があることを

  十分踏まえ、今後、道教委や道警察など関係機関と連携し、

  広く道民に対し、犯罪被害者の権利や必要な支援等についての

  理解が深まるよう、リーフレット等を活用しながら、

   条例の趣旨等について周知を図り、

  学校や家庭、地域における人権教育の推進に取り組むなど、

  教育機会の充実に努めてまいる。

 

<指摘>

今回は「犯罪被害を考える日」をテーマとして議論させていただいておりますが、そもそも国や道、地方自治体によって制定された「〇〇の日」は多数存在しています。その中でも、道が独自に制定した日は、昭和59年に環境生活部が所管する「道民交通安全の日」をはじめとし、直近では、総合政策部が所管する「北海道みんなの日」に至るまで15程度を数えるまでになっているとお聞きしました。

私は、今回の質問についての意見交換を深める中で、先ほども申し上げましたが、行政による常套手段としての「〇〇の日」の制定や行事やイベントでは、その目的を果たすまでには至ることは叶わないと考えているのです。

これらは、個人の道徳観や倫理観が大きく影響するものであり、成長過程における教育や社会生活の中で繰り返し教育されることで養われる道民気質や地域性によるところだと考えています。

 さきほど、学校教育や社会教育の場において、意識や態度を学ぶことが大切だと答弁して頂きましたが、これは「犯罪被害を考える日」に留まることなく、少なくとも道が独自に制定した日について、所管する部局が毎年その日に向けて用意した資料を基にし、段階に応じた教育機会を提供し、家庭内は勿論のこと、学校教育や社会教育が継続的に行われることが重要だと思うのです。

 よって、この件につきましては、制定された目的を行政の責務として果たし切ることができるように、引き続き、教育委員会との議論を経ることで取り組んで参りたいと考えております。

 特に、環境生活部におかれましては、15程度のうち7つが所管する日となっています。より自覚をもって実効性の高い教育機会の充実を実現させていただくように要望しておきます。

 

    今後の取組みについて

 犯罪被害者等の支援は、犯罪そのものによるだけではなく、時に過剰な報道による被害なども手伝い、はからずも偏見と好奇の目に晒されることにより、住居や就業問題、法的支援、カウンセリング等の精神的なサポートなど多岐に渡るものと考えます。犯罪被害者等の抱えるこうした課題解決のためには、警察・法的機関や医療等、様々な機関との連携が必要です。また、犯罪被害者等が受けた被害の早期回復や軽減を図り、社会全体で犯罪被害者等を支えていくためには、道民全体に取組みの輪を広げていくことが必要です。条例の実効性をあるものとするためにも、犯罪被害者等への理解が道民に一層浸透させることができる、さきほど質問した「教育」以外でも取組みを進めることが必要と考えますが、今後の効果的な展開などについて、部長の決意を伺います。

 

<答弁>

今後の取組についてでありますが

 

  犯罪被害に遭われた方々が、様々な面で早期に被害から回復し、

  安心して暮らしや仕事を営むことができるようにしていくためには、

   全ての道民が、犯罪被害者が置かれている状況への理解を深め、

   社会全体で支える環境づくりを進めていくことが重要と考える。

 

   道としては、条例の制定を契機として、

  犯罪被害を考える日の制定や様々な啓発活動等を通じ、

  道民や事業者等に対し、犯罪被害者への支援の必要性等について

  理解を深めるとともに、道教委等と連携し、

  学校教育や社会教育において、生命を尊重する心や

  思いやりの心などを育む人権教育の充実等を図るほか、

  国や市町村、民間支援団体等との連携による

   きめ細やかな相談や情報の提供、日常生活への支援を行うなど、

  条例の実効性が高められるよう、効果的な取組を展開してまいる。