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2018/09/4

平成30年 環境生活委員会 九月一斉委員会 「動物愛護対策について」

この質問は、地元を廻らせて頂いている中で、地域の方からご要望を頂き、担当部局と打合せしながら質問にまとめたものです。

災害時の避難については、私たち自身は基より、動物の避難が課題となってきています。

東日本大震災や西日本豪雨等の大災害時には、実際に様々な課題が露呈しているとお聞きしました。

避難所における衛生的な問題ばかりではなく、ペットを自宅に置いて避難された被災者が、ペットのお世話をしに自宅へ戻った際に、二次被災されてしまうなど、想定されるケースは様々です。

正しく防災訓練で、その地域の実情に合わせた想定を展開し、人とペットが共生できる環境を整えておかなければなりません。

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A,動物愛護対策について

動物愛護週間は、昭和48年に制定された「動物の保護及び管理に関する法律」、更に平成11年に改正された「動物の愛護及び管理に関する法律」等によって、毎年、9月20日から26日の一週間と規定されています。
同法第4条第3項で、「国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事」を実施するように努めることになっています。
昨今では、動物愛護週間に合わせて、国や地方自治体、関係団体が協力して、動物の愛護と管理に関する普及啓発の為の各種行事が実施されているとお聞きしています。
そこで数点に渡り、質問させていただきます。

 

 

① 北海道が取り組む根拠について
最初に、北海道が動物愛護対策に取り組む根拠と、どのような体制で取組んできたのか、伺います。

<答弁>
動物愛護対策の根拠と体制についてでありますが

○ 「動物の愛護及び管理に関する法律」では、
国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関する
普及啓発に努めなければならないことや、
都道府県は、国の基本指針に即した、
動物愛護管理推進計画を定めることなどが規定されているところ。

○ また、道は、平成13年に
「動物の愛護及び管理に関する条例」を制定し、
動物の愛護及び管理に関する総合的かつ
計画的な施策を実施しており、これらの法律及び条例に基づき、
動物愛護に関する取組を進めているところ。

○ 道の体制については、本庁及び振興局において、
ペットの適正飼育に係る指導や普及啓発などの事務を
実施しているところであるが、
特にペット販売店などへの立入検査や動物に起因する
苦情対応などについては、専門的知識を有する職員を配置し、
獣医師職員がその業務に対応しているところ。

 

 

② 犬猫の殺処分数について
次に、犬猫の殺処分数について伺います。
飼育放棄され道内の保健所などで引き取られた犬や猫に、できるだけ生存の機会を与える為に新たな飼い主へ譲渡するように努めていると認識していますが、やむを得ず殺処分される犬や猫が存在していることを承知しています。
道内では、どれだけの犬や猫が殺処分されているのか、また、過去10年間の推移はどのようになっているのか、伺います。

<答弁>
犬や猫の殺処分数についてでありますが

○ 動物愛護管理法では、
飼うことのできなくなった犬や猫などの引取りが、
道のほか、指定都市の札幌市、中核市の旭川市及び函館市に
義務づけられているところ。

○ これらの機関における犬や猫の殺処分数は、
10年前の平成19年度では、8,515頭、
5年前の平成24年度では、4,329頭
直近の平成29年度では、708頭となっており、
近年、大きく減少しているところ。

 

<指摘>
いま答弁頂いた通りに、その数を大きく減らすことが出来ているとのことですから、本法の精神の下で、皆さんの取り組んできた効果が出ていることは明白です。一方で、その大半が民間団体の熱心な活動によって支えられていることも忘れてはなりません。引き続き、民間団体支援を含めた道内隅々に行き渡る政策の展開を期待して、次の質問に移ります。

 

 

 

③ 道内の動物愛護週間行事について
次に、道内における取組みについて伺います。道内各地で動物愛護に関わるイベントが開催され、住民の皆さんに向けて様々な普及啓発が行われている承知しています。どのような方々が、どのような取組みを実施されてきたのでしょうか。近年の傾向や諸課題についても併せて伺います。

<答弁>
動物愛護週間行事についてでありますが

○ 道では、本庁及び14振興局が、
獣医師会、市町村、動物愛護団体などと連携し、
昨年9月2日から10月1日の間、札幌駅前地下歩行空間をはじめ、
道内各地の公共施設、振興局庁舎、大型量販店などで、
動物のふれあい体験、犬の躾教室や健康相談のほか
動物愛護パネル展、保健所に収容された犬や猫の譲渡会、
さらには、ペットの災害対応に関するスライド上映など、
広く道民に動物愛護に関する意識を普及・啓発するための取組を、
実施してきたところ。

○ 近年、道内での犬や猫の殺処分数が大きく減少するなど、
これらの普及・啓発の効果は徐々に道民に浸透しつつあるが、
いまだ行政に犬や猫の引取りを求める飼い主が存在しており、
動物を最後まで適切に飼うことへの普及啓発や、
多頭飼育に起因する周辺環境の悪化などが課題となっているところ。

<指摘>
時に社会問題化している無責任無秩序な多頭飼育がもたらす悲惨な実態は、私たちは報道などで知ることができます。飼い主のモラルが問われることとなっていますが、一方で、行政側にもそれを避けることが出来る手段が残っていることも確かだと考えています。
例えば、多頭飼育の権利と並行して求める義務や責任の明確化など、取り組む余地が残されています。道が積極的に取り組んでよい政策であると考えますので、この際に求めておきたいと思います。

 

 

 

④ 道の災害時対応について
次に、道の災害時対応について伺います。
平成25年5月に環境省から出ている通達によると、同法第6条の動物愛護管理推進計画に定める事項の追加として、災害発生時の動物の取り扱いが必ずしも十分でなかったことを踏まえて、災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項を定めて、計画段階で災害時対応を定めるべきことが明確にされています。
避難所では、人への支援が最優先されることではありますが、避難者の中にはペットと一緒に避難したい方も一定数いることは明らかです。避難所におけるペットのスペースは、家族同然のペットと避難する方々にとって、とても大切なことと考えられます。
道では、広く道民や避難所を運営する市町村に対して、ペットの飼育スペースの確保や、その環境についてどんな役割やどのような働きかけを行ってきたのでしょうか、伺います。

<答弁>
避難所におけるペットの対応についてでありますが

○ 道では、過去の災害時の教訓を踏まえ、
「動物の愛護及び管理に関する条例」では、飼い主の遵守事項として、
ペットと一緒に避難する「同行避難」を求めるとともに、
「北海道地域防災計画」では、
避難所等におけるペットのためのスペースの確保に
努めるよう求め、市町村に対し周知を図っているところ。

○ また、道が平成28年7月に市町村向けに作成した
「北海道版避難所マニュアル」では、ペットを滞在させるスペースは、
臭いの問題等があることから、
人の居住スペースと十分な距離をとることや、
ペットを連れた避難者の受入に当たっては、
アレルギー体質の方への配慮の観点から、
指定された場所以外での飼育を禁止することなどを示し、
避難所運営が円滑に行われるよう周知に努めているところ。

 

 

⑤ 道内自治体の災害時対応の取組みについて
次に、道内自治体の災害時対応の取組みについて伺います。
道内にも、動物を家族と位置付けて、家族同然に暮らす方々が多く、特に災害時の避難対応については、東日本大震災や九州豪雨、先日の西日本豪雨などを通して、この動物愛護の考え方から諸課題が明らかになってきているところとお聞きしています。
同法第6条や同推進計画や北海道地域防災計画などでは、災害発生時における動物の避難について定めていて、飼い主が避難する際に動物を同行させる等、飼い主自らの責任によって行うこととしています。これは、避難所に「同行避難」させることを前提していて、伴って、市町村が設置する避難所には、家庭動物のためのスペースの確保に努めるものとしています。
この点に関しては、必ずしも確保を求めていることではないことと、避難者の中に衛生上の問題や動物アレルギー保持者などへの配慮から、道民ヘの理解は、いまだ整備半ばといったところであると推察されます。
現時点での、道の認識を伺うとともに、市町村との連携や災害時対応を中心に伺います。

<答弁>
災害時対応への認識などについてでありますが

○ 避難所でのペットのためのスペースの確保については、
避難所の規模や、想定される避難者の人数などのほか、
ペットの臭いや鳴き声、アレルギー体質を持つ方への配慮も
必要であることから、地域の実情に合わせて
避難所を運営管理する市町村がスペース確保の是非や、
具体的な場所等を判断していくこととなるが、
現段階では必ずしも十分な状況ではないと認識。

○ 道としては、今後とも受入体制の整備が
 進んでいない市町村に対して、速やかに、
避難所でのペットのスペースについて適切な配慮がなされるよう
求めていくとともに、避難所でのペットの受入について、
広報誌やホームページを活用するなどして、
広く地域住民に周知されるよう、働きかけてまいりたい。

 

<指摘>
避難所におけるペットの受入体制については、道内自治体の取組みが十分とは言えないとお聞きしましたし、その実態は大部分で検討されていないものと承知しています。まさに道の役割がそこにあると考えていますので、部として力を入れて速やかに働きかけるように要望しておきます。

 

 

 

⑥ フレンドリードックテストについて
次に、フレンドリードックテストについて伺います。
道内では、全日本犬訓練士連合協会の北海道地区担当となる北海道訓練士会が、「フレンドリードックテスト」の普及に尽力されていて、既に、道や各振興局、市町村と連携しながら活動に従事されていると承知しています。
これは、犬の福祉に貢献し、人との共生社会に適応した指導および教育を行うことを目的として行われているプロジェクトとなっており、飼い主の自覚や犬の躾が出来ているかを確認する試験と聞いています。
私は、災害時対応をスムースに行うためにも、これらの趣旨を飼い主に求められていることは基より、広く道民に周知させておくことこそが、災害発生時の避難所設置に伴う無用な軋轢を避けることに直結するものと確信しているところです。民間によるこれらの活動をより積極的に取り込んで、目的を達成していく必要があると考えますが、道の見解を伺います。

<答弁>
 民間による活動についてでありますが

○ 道が動物愛護週間などで実施している、
「ペットの躾教室」、「健康相談」、「動物とのふれあい体験」、
「犬猫の譲渡会」などの行事では、専門知識を有する獣医師会や、
動物愛護団体、犬の訓練士の方々など
民間団体との連携が不可欠となっているところ。

○ また、ペットの災害対策においては、
飼い主による平常時からの適正な飼育が大変重要であることから、
「躾教室」や「フレンドリードッグテスト」など
躾に関する普及啓発の取組は、
災害時の飼い主との同行避難を想定した備えとして
有効なものと考えているところ。

○ 道としては、今後とも、先ほど申し上げた民間団体などに
道が実施する動物愛護週間行事への参加を呼びかけるとともに、
団体が実施する譲渡会などの会場の確保や
広報等の協力・支援を行うなどして連携を密にし、
動物の適正飼育やペットの災害対策について、
広く道民に普及啓発を図ってまいりたい。

<指摘>
こういった民間団体の活動を積極的に支援していくことは、行政が果たし切れないことや、痒い所に手が届く施策として欠かせないものであることに違いありません。むしろ現場で携わっていただいている皆さんの知見を活かしきることができるように、今以上に踏み込んだ協働を実現させていかなければなりません。各団体との情報交換やより効果の高い取組みの発掘や開発を推進するように要請しておきたいと思います。

 

 

 

⑦ 今後の道の取組について
最後に、今後の道の取組について伺います。
これまで質問してきたように、動物愛護週間は、私たちの日常生活に深く関与している動物の適切な飼養や管理について、責任ある飼い主になってもらうことや、私たちへのルールを啓発させるために大切な機会となっています。特に、災害発生時においては、いまだ備えが不十分であることが、これまでの大災害を通して、関係者によって提起されてきているところです。
災害は、いつどこで起きるのか分かりません。平時から道民への呼び掛けは基より、避難所の適切な運営、被災動物の救護活動、災害時を想定した訓練など万全の体制を整えておくことが重要と考えています。
最後に、道は、今後、災害時のペット対策をどのように位置づけて、市町村と連携しながら、道民に広く知らしめることが出来るように取り組んでいくのか、伺います。

<答弁>
今後の道の取組についてでありますが

○ 道では、動物愛護管理法の改正や
国の基本指針などの社会情勢の変化を踏まえ、
「動物愛護推進計画」を改正して、本年3月に
第2次計画を策定したところであり、
この中で、防災訓練やペットの受入体制の整備など、
災害への対策は、動物の適正な飼育や普及啓発と同様に、
主要な施策と位置付けているところ。

○ 道としては、今後、飼い主に対し、動物愛護週間等のイベントや
道のホームページなどの広報媒体を通じて、
災害対策のさらなる普及啓発を行うとともに、
10月には、獣医師会や市町村、動物愛護団体などへ呼びかけ、
災害時に関係機関が広域的に協力、連携して
ペットの災害対策が行われるよう、同行避難を想定した図上訓練を
環境省との共催により道内で初めて実施するなど、
災害時におけるペット対策の強化を図ることとしており、引き続き、
人と動物が共生できる社会の実現に向け、取り組んでまいる。

<指摘>
道では、北海道防災総合訓練等を実施していますが、災害時における同行避難が明示されている現在では、その防災訓練のメニューの一つとして取り入れられるべきものであると考えています。関係各部と連携をとりながら、災害時のペット対策を想定した訓練を行うことによって、各自治体に留まることなく、住民の皆さんにも、私たちの暮らしに寄り添うペットの愛護と管理について考えて頂く機会を、道が積極的に提供していただけるように強く要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。