
昨日、平成30年度の決算特別委員会が開会しました。
北の元気玉が三年半前に当選させて頂いて以来、初めての配属となりました。
第一分科会の委員長を拝命しております。その模様は別途ご報告させていただきます。
分科会の開会に先立ち、本委員会で企業局に質問をさせて頂く機会を得ましたので、
先輩諸氏のご指導を頂きながら「電気事業会計」と「工業用水事業会計」について質問せて頂きました。
特に、この工業用水道事業会計では、道が経営する「室蘭工水」「苫小牧工水」「石狩湾新港工水」の決算状況をチェックするとともに、それらが果たす役割を確認しました。
また、工業用水が単に産業を支える役割に留まることなく、新エネルギーの一翼を担うことのできる重要なインフラであることを指摘し、今後の議論につなげてまいることとしました。
是非、ご覧ください!
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二 工業用水道事業会計について
(一)平成29年度の決算について
次に平成29年度の工業用水道事業について伺います。まず、工業用水道事業の平成29年度の収支や未処理欠損金など、決算の状況がどのようになっているのか、この決算に対する認識も含め伺います。
<答弁>
平成29年度の決算についてでありますが
○ まず、収入については、契約水量の増加などがあった一方で、
平成18年度から借り入れた未稼動資産等整理債の償還が前年度に終了したことに伴い、
一般会計からの補助金が減少したことなどにより、経常収益は約20億8千万円となったところ。
○ また、支出については、減価償却費が増加した一方で、
未稼動資産等整理債の利息の減などにより、
経常費用が約18億8千万円となった結果、経常利益は約2億円となり、
さらに、今年度は特別利益が発生しなかったことから、
純利益も同額の約2億円となったところ。
○ この結果、7期連続で黒字決算となり、
今年度も一定の経営改善を図ることができたものと受け止めている。
○ しかしながら、ご指摘のあった未処理欠損金は、
平成29年度末で約86億4千万円と、
前年度と比べ約24億4千万円減少したものの、
依然として多額であり、厳しい経営状況にあるものと認識している。
(二)経営健全化計画の進捗状況について
未処理欠損金がなお多額に上るなど厳しい経営状況が続いていますが、企業局では、工業用水道事業の経営基盤の強化に向けて、平成27年度から31年度までの5年間を計画期間とした「北海道工業用水道事業経営健全化計画」に取り組んでいます。平成29年度はこの計画の中間年度にあたりますが、平成29年度までの進捗状況について伺います。
<答弁>
経営健全化計画の進捗状況についてでありますが
○ 現在、取り組んでいる「北海道工業用水道事業経営健全化計画」では、
平成27年度から31年度までの5年間の計画期間中、
全ての年度で純利益を計上することと、
未処理欠損金を可能な限り低減することを目標としているところ。
○ また、計画においては、契約水量、契約率、純利益、
経常収支比率、未処理欠損金の5項目について、年度毎の目安を設定しているところ。
○ 平成29年度決算においては、工業用水道事業全体で、
契約水量については、目安の25万6,594トンに対し、
実績は25万6,052トンと542トン及ばず、
このため、契約率は目安の78.5パーセントを0.2ポイント下回る
78.3パーセントとなっている。
○ 一方、純利益については、8千万円に対し約2億円、
経常収支比率は、104パーセントに対し110.6パーセント、
未処理欠損金は、約91億4千万円に対し約86億4千万円と、
それぞれ目安を上回る結果となっており、
目標については、計画初年度の平成27年度から3期連続で、
概ね達成できたものと考えている。
(三)経営改善に向けた取組とその成果について
経営健全化計画においては、工業用水の供給能力に対する料金収入の基礎となる契約水量が占める割合、すなわち契約率がなかなか伸びない状況を踏まえ、新規需要の開拓や支出抑制の取組を進めていくとしていますが、平成29年度までにどのような取組を行い、どのような成果が挙げられたのか伺います。
<答弁>
経営改善に向けた取組などについてでありますが
○ まず、需要開拓の取組として、知事部局や関係機関と連携して、
企業立地イベントへの出展や企業への個別の営業活動を行っており、
平成29年度は新たに
「北洋銀行ものづくりテクノフェア」への出展を行ったほか、
今年度は金融機関との情報交換会や、
近年、工業用水の問い合わせが増えているバイオマス発電の
事業者に対し、幹部によるトップセールスを行ったところであり、
こうした取組などを通じ、計画開始からこれまでに
9,880トンの使用申込があったところ。
○ 次に、支出抑制の取組として、運転管理業務について
単年度委託から4年間の包括委託への見直しを進めてきたほか、
企業債の借入について、利息の低減が図られる借入方法に
改めるなどの取組により、これまで約684万円を削減したところ。
○ 企業局としては、引き続き、需要拡大の取組を積極的に行うとともに、
可能な限りの経費節減に努めながら、経営健全化を着実に推進していく考え。
(四)契約率の動向について
工業用水道事業は多額の設備投資が必要となるため、契約率が一定水準を確保することが重要であり、経営基盤強化に向けた重要な指標と考えます。そこで、室蘭地区、苫小牧地区及び石狩湾新港地域における工業用水の契約率は、近年どのように推移しているのか伺います。
<答弁>
契約率の推移についてでありますが
○ 道営工業用水道事業が国の制度に基づき
平成18年度から取り組んだ、
「経営健全化計画」の最終年度である平成26年度と、
企業局が独自に策定し、取り組んでいる
現在の「経営健全化計画」の中間年度に当たる
平成29年度を比較すると、工業用水全体では、給水能力32万7千トンに対し、
契約率は77パーセントから78.3パーセントへと、1.3ポイント上昇した。
○ 同様の比較を工水別に行うと、
室蘭工水では、給水能力11万5千トンに対し、
契約率は93.7パーセントで横ばいとなっているものの、
苫小牧工水では、給水能力20万トンに対し、
契約率は2.1ポイント上昇の72.7パーセント、
石狩工水では、給水能力1万2千トンに対し、
契約率は0.6ポイント上昇の24.6パーセントと、
両工水では上昇で推移している状況。
(五)石狩工水の契約率について
室蘭工水では9割、苫小牧工水では7割を超える契約率を維持しているものの、石狩工水については、契約率が3割を切るなど依然として厳しい経営状況にあるとのことです。石狩工水の契約率について、今後どのように見通しているのか伺います。
<答弁>
石狩工水の今後の見通しについてでありますが
○ 石狩湾新港地域は、物流拠点としての産業集積が進み、
これまで工業用水を多く使用する企業の立地が伸びなかったことなどから、
給水能力1万2千トンに対し、平成29年度末の契約水量は2,952トン、
契約率は24.6パーセントにとどまり、抜本的な経営改善に向けては、
需要の拡大が最も重要な課題と考えているところ。
○ そうした中、北海道電力が、平成27年度から
同地域で液化天然ガスによる発電所の建設を進めており、
現在の契約水量600トンは今後段階的に増え、
平成42年度までに1,600トンとなる予定であるほか、
事業環境の変化などから使用開始時期は、ずれ込む可能性があるが、
他のエネルギー関連企業からも、平成33年3月から3,480トンの
使用申込を受けており、これらを考慮すると、
契約率は約64パーセントとなる見込である。
(六)室蘭工水について
室蘭工水の大口ユーザーであるJXTGエネルギー株式会社が、室蘭製造所における石油製品等の製造を停止する方針が報道されて以来約1年が経過しました。JXTGエネルギーの契約水量は室蘭工水の4分の1を超え、仮に契約水量の全量が契約解除となった場合、工業用水道事業の経営に大きな影響が生じると考えます。企業局は、JXTGエネルギーによるこの度の経営方針についてどのような説明を受けており、工業用水道事業経営にどのように影響すると考えているのか、また、今後どう対応する考えか合わせて伺います。
<答弁>
室蘭工水についてでありますが
○ 室蘭工水は、鉄鋼関連企業など7社に対し、
日量10万7,710トンの工業用水を供給しており、
給水能力11万5千トンに対し、93.7パーセントと高い契約率となっている。
〇 こうした中、JXTGエネルギー株式会社から、
昨年9月、室蘭地区でこれまで行ってきた石油製品の製造を停止し、
平成31年4月以降は、北海道を中心とした
石油製品の物流拠点として事業を再編すると発表があったところ。
〇 その後企業局では、同社から、事業再編は
競争力強化を図るための全国的な生産・供給体制見直しの結果
必要な措置であるとの説明を受けるとともに、
本年3月には、改めて同社から、今後の水使用についての相談があり、
現在、事業再編後の工業用水の使用目的や水量などについて、
確認を行っているところ。
〇 同社は室蘭工水の契約水量の26.5パーセントを占める
大口ユーザーであり、その動向は、室蘭工水の経営に
大きな影響を及ぼすことも考えられることから、
将来の収支見通しなど様々な検討を進めているところ。
(七)需要拡大の取組について
経営基盤の強化に向けては、契約水量の増加を図ることがなによりも重要です。経営健全化計画の達成に向けて、新規需要の開拓や契約水量の増加に、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
<答弁>
需要拡大の取組についてでありますが
〇 需要拡大に向けては、企業の皆様に
工業用水の利点を理解していただくことが重要であるため、
昨年度から「北洋銀行ものづくりテクノフェア」への出展を行っているほか、
今年度から新たに「ビジネスEXPO(エキスポ)」に出展し、来場者に対し、
良好な水質や上水道に比べ安価な料金をPRするとともに、
最新の企業情報の収集を図ることとしているところ。
○ また、近年は、食品関連のほか、新エネルギーによる発電や熱供給においても、
工業用水利用の動きがあることから、今後は、これらの分野にも重きを置いて
新規需要開拓を行っていく必要があると考えているところ。
○ このため、企業局としては、
庁内関係部と企業誘致や水需要に関する情報の共有を図るとともに、
道内金融機関とも連携して進出企業の情報を収集するほか、
外部有識者による経営懇談会において、
専門的な視点からのアドバイスを受けながら
工業用水の新規・増量ニーズをいち早く掴み、
需要開拓に活かしていく考え。
(八)北海道胆振東部地震への対応について
苫小牧工水では、北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた苫東厚真発電所などのユーザーに対して工業用水を供給していますが、苫小牧を含め、今回の地震による送水への影響など各地区の状況はどうだったのか伺います。
<答弁>
地震への対応についてでありますが
○ 企業局においては、9月6日未明の地震発生後、
各管理事務所において、ただちにダムや取水施設、配水管など
全ての施設について点検を実施したところ。
○ その結果、苫小牧地区では、浄水場の被害は無かったものの
配水管の2カ所で漏水を確認したため、
送水を継続しながら配水管の補修を行い、
9月21日には、補修を完了したところ。
○ また、室蘭地区は、貯水ダム本体及びゲートなどの関連施設、
配水管路への被害は無く、
石狩湾新港地域も、浄水場、配水管ともに被害は無かったことから、
3工水ともに、地震に伴う送水への直接的な影響は無かったところ。
○ しかしながら、その後も余震が続いていることから、
企業局では施設の設置場所で、震度3以上の地震があった場合には、
点検を行っており、引き続き送水に万全を期してまいる考え。
(九)配水管路の耐震化計画について
今回の地震では配水管路からの漏水が発生しているとのことですが、昭和40年代から50年代にかけて整備された企業局の工業用水道施設では、老朽化及び耐震化対策が大きな課題であると考えます。災害に強い施設としていくため、配水管路の耐震化をどのように進めていく考えか伺います。
<答弁>
配水管路の耐震化についてでありますが
○ 配水管路の老朽化が進む中、地震等の自然災害に備えるためには、
配水管路の老朽更新、耐震化は重要な課題と認識しており、
これまでも順次、耐震性の高い配水管への更新を行ってきたところ。
○ こうした中、室蘭工水では、平成31年度までの
第三期改修事業の完了により、耐震性が低く老朽化も進み
早急に対応しなければならない区間の改修については、
概ね完了する予定となっているところ。
○ また、苫小牧工水では、今後行う第二期改修事業で、
耐震性の低いコンクリート管の更新を行う予定であり、
これにより過去の地震において漏水が発生した区間の耐震化が図られる見通し。
○ 一方、平成11年度から給水を開始している石狩工水については、
他の事業者から譲渡を受けた区間を除き、耐震基準を満たしている。
○ 企業局としては、工業用水の安定的な供給に向け
今後とも耐震化率の向上に計画的に取り組んでまいる考え。
(十)施設の耐震化に向けた取組について
配水管路以外のダムや浄水場などの設備については、昨年度の決算特別委員会においても、耐震診断を行いその結果を踏まえて計画的に耐震化を進めるということでしたが、この度の地震も踏まえて、今後の耐震化をどのように進めていく考えなのか伺います。
<答弁>
施設の耐震化についてでありますが
○ 工水の安定供給を図るためには、配水管の耐震化のみならず、
施設設置後40年以上が経過し、老朽化が進んでいる
貯水ダムや取水施設、浄水場などの耐震化も重要であり、
平成28年度に着手した耐震診断について、
これまで平成34年度としていた完了予定を平成31年度に前倒しするなど、
耐震化に向けた取組を加速させているところ。
○ 耐震診断の結果、室蘭工水の幌別ダムでは、
将来にわたる最も大規模な地震動の際、
貯水ダム本体の貯水機能は維持できるものの、
ゲートの操作に課題があるとされ、
現在、可能な限り早期の耐震化に向け、鋭意検討を進めているところ。
○ また、苫小牧及び石狩工水は、
来年度までに浄水場などの耐震診断を完了し、
その結果を受け、速やかに耐震化に向けた検討を進めることとしている。
(十一)今後の施設整備のあり方について
工業用水の供給を将来にわたり安定的に継続していくためには、ライフサイクルコストの最適化が図られるよう中長期的な見通しに立って整備計画を策定することが求められます。さらに、人口減少社会にあっては企業の経済活動に伴う工業用水の需要も今後大幅な増加は見込めないものと考えます。こうした状況を踏まえた将来予測に基づいて工業用水道施設の整備を行う必要があります。また、着実、適切に工事を発注していく事も重要です。今後の施設整備にあたっての企業局の考え方を伺います。
<答弁>
今後の施設整備についてでありますが
○ 工業用水道は、本道の産業振興にとって不可欠なインフラであり、
厳しい経営環境の中においても、安定供給を維持するためには、
施設の計画的な維持管理や整備が必要不可欠である。
○ このため、設備の更新の際は、管路については腐食度合いの調査、
機械類については定期的な点検結果に基づき
ライフサイクルコストの最適化を目的とした更新計画を策定するなどして、
長寿命化を図ってきたところ。
〇 また、今後の施設整備に当たっては、
将来の水需要を見通し、減少が見込まれる場合には
例えば管路の更新時には、管径を縮小するスペックダウンや、
非常用電源設備の更新時には、装置の発電能力を下げる
ダウンサイジングなどの検討を行うことも必要であると考えており、
企業局としては、こうした取組を通じて、経営の健全化にも
十分留意しながら、適切な施設整備に努めてまいる。
○ なお、工事等の発注にあたっては、
可能な限り事業量の平準化に努めるとともに、
道内建設業界の動向にも留意しながら、計画的な発注に努めてまいる。
<指摘>
重ねてお話しすることになりますが、とても重要なことですので、あえて指
摘を加えておきます。
さきほど「可能な限り事業量の平準化に努めるとともに、道内建設業界の動
向にも留意しながら、計画的に発注してまいる」と答弁していただきました。
企業局が有する排水管路や各施設は、特に1972年の札幌オリンピックを
契機として進んだ道内の開発から約50年という耐用年数を一気に迎えるこ
とになります。そこには膨大な工事量があるのです。
それに対して、それらの更新や耐震化は、少しずつでしか進められていない
のが現実の姿なのです。
企業局は、今後発生する必要工事量を把握し、それが前倒しになろうとも、
長寿命化策を施しながら後ろ倒しになろうとも、全体工事量の平準化を図ら
なければなりません。
平準化と言っても、ただ均せばいいものではありません。
道内の工事会社で施工可能な範囲での平準化が欠かせません。
昨今の人手不足の解消や、関係業界の皆さんによる工法や低コストのための
技術開発も欠かすことは出来ません。
平準化と道内業界との情報の共有とは、その実態を正確に把握し、行政と民
間が課題を共有し、いまから有効な策を打ち出していくことが必要です。
また、その予算は膨大なものとなることは明確です。
国や道から落ちてくる分をアテにするだけではなく、自ら稼ぎ出すことで、
自主性を以って財源確保に努めるくらいの覚悟で、事にあたっていただきた
いと強く要請しておきます。
(十二)大規模停電の影響について
今回の地震では、全道の電力が失われるブラックアウトが発生しました。企業局は、ブラックアウトの引き金となった道内最大量の発電を行っている苫東厚真発電所に工業用水を供給していますが、仮に火力発電所への工業用水の供給が停止すると運転に支障を来し、設備の安全性も損なわれる恐れがあります。今回の大規模停電により苫東厚真発電所への給水にはどのような影響があったのか、また、苫東厚真発電所を抱える苫小牧地区のほか、室蘭地区及び石狩湾新港地域における火力発電所への給水状況と大規模停電の影響についても併せて伺います。
<答弁>
大規模停電の影響についてでありますが
○ 北海道電力苫東厚真発電所に用水を供給している
苫小牧工水では、停電と同時に送水に不可欠な加圧ポンプの電源を
非常用電源に切り替え運転を行ったものの、停電が長時間にわたったため、
非常用電源の燃料が不足する懸念があったところ。
○ このため、企業局では、苫東厚真発電所への給水を
維持する重要性から、北海道電力などの協力を得て、
最優先で燃料を確保し、給水を継続したことから、
苫東厚真発電所などの火力発電所をはじめ
地区内への給水には影響が無かったところ。
○ 一方、室蘭工水では、停電により送水のための加圧ポンプが停止したが、
幌別ダムからの自然流下による水圧で送水を一定量、維持することができ、
地区内の火力発電設備を含めた受水企業には影響が無かったところ。
○ さらに、石狩工水でも、苫小牧工水と同様に
加圧ポンプの電源を非常用電源に切り替えて運転を行ったが、
停電当日の昼頃には、その後の燃料調達が困難になると判断し、
全ユーザーの了解を得た上で、16時過ぎから23時間にわたり
給水を停止したものの、
停電の影響で地区内の多くの企業が操業停止していたことから、
断水による大きな影響は無かったところ。
(十三)大規模停電時における工業用水の安定供給について
道民生活、道内経済のライフラインである電力供給を工業用水が支えている実態があり、仮にこの度の大規模停電のような状況が再び発生したとしても、速やかに復旧するためには、停電時にも安定して工業用水を供給することが不可欠であると考えます。企業局としては、電力供給に必要な工業用水道の供給に今後どのように取り組んで行く考えか伺います。
<答弁>
安定供給に向けた対策についてでありますが
○ 今回の停電では非常用電源の燃料が不足し、
石狩工水では、受水企業には影響が無かったものの、
工水の供給を一時停止する事態も生じたところであり、
今後、長時間の停電にも対応できる非常用電源の確保が、
課題として認識されたところ。
○ このため、企業局としては、非常用電源の確保に当たっては、
電源設備の更新に合わせて、
長時間運転できる効率的な発電装置を導入するとともに、
燃料確保が困難になったことを踏まえ、
燃料タンクの容量の増加についても検討を行ってまいる考え。
(十四)強靭化に向けた取組について
工業用水道は重要な産業インフラであり、施設の老朽更新を進め地震等の自然災害に備えるなどして、将来にわたり安定供給を維持することが事業者としての重要な責務です。特に、道内における電力供給に大きな役割を果たす火力発電所の運転に必要な水を供給する企業局の工業用水道事業は、間接的ではありますが道民生活を支える重要なインフラでもあり、厳しい経営状況にあるとはいえ、道民の安心・安全を守るため必要な施設更新・改修は行わなければなりません。施設の強靱化に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。
<答弁>
施設の強靭化についてでありますが
○ 委員ご指摘のとおり、工業用水道は重要な産業インフラであり、
将来にわたり安定的な供給を維持することは、
工業用水道事業者として最も重要な責務であると認識しているところ。
○ とりわけ、今回の地震を踏まえ、
災害時における道民の皆様の安心・安全を確保する観点から、
火力発電所に対する給水の安定性の確保には、
最優先で取り組む必要があると考えるところ。
○ このため、苫東厚真発電所へ給水する苫小牧工水においては、
耐震性の低いコンクリート管の更新を加速化するため、
第二期改修事業の前倒しについて検討を進めることとしたところ。
○ また、平成28年度から行っている耐震診断の結果を受け、
現在進めている貯水ダムのゲートや浄水場の耐震化についても、
可能な限り早期に立案・実行できるよう検討を進めていくほか、
停電対策についても、非常用電源設備の更新などの検討を
急ぐこととしているところ。
○ これらの対策には、多額な費用を要することから、
工水事業の厳しい経営状況や受水企業の経営負担に鑑み、
計画的な整備を図るとともに、
国に対し補助制度の拡充などを強く働きかけるなど、
必要な財源の確保に努めてまいる。
(十五)工業用水道事業の持続可能な経営について
契約率の低迷、災害対策、老朽更新などの課題を抱え、工業用水道事業の経営は今後も厳しい状況が続くと考えますが、そのような中にあっても、道内経済・道民生活そのものを支えるインフラとして、将来にわたり持続可能な事業の構築が求められます。工業用水道事業が抱える様々な課題を踏まえ、今後、どのように経営に取り組んで行く考えか伺います。
<答弁>
工業用水道事業の経営についてでありますが
○ 工業用水道を巡る状況は経済のグローバル化に伴う産業の空洞化や
水のリサイクル技術向上などによる需要の減少など、
事業開始時に比べ大きく変化しており、
道営工業用水道事業においても厳しい経営状況が続いているところ。
○ このような中にあっても、エネルギー、食関連産業など
新たな分野での利用も始まってきていることから、
こうした様々な企業ニーズに的確に応えていくことが、
受水企業の裾野を広げ、需要の開拓に繋がるものと考えており、
今後とも、知事部局や関係機関と連動した機動的な営業活動に
力を入れてまいる。
○ また、このたびの北海道胆振東部地震においては、
大規模停電時においても火力発電施設などへの
給水を維持することができ、
工水の安定供給の重要性について、改めて思いを強くしたところ。
○ 私としては、地域経済を支えるインフラとしての役割はもとより、
道民生活や道内経済の活性化に欠かせない電力供給を支えている
工水の重要な役割をしっかりと果たすため、
施設の早急かつ計画的な老朽更新や耐震化を最重要課題として
取り組んでまいる考え。
○ また、中長期的な経営を見据えて、
最も効率的な施設整備のあり方を検討するとともに、
費用の平準化や財源の確保などにも努め、
工水の安定供給と経営基盤の強化に最善を尽くしてまいる考え。
<指摘>
さきほど質問した電気事業についても同じことが言えると思うのですが、道
や企業局が自ら「稼ぐ」ことを強く意識しないことには、これから迎える人
口減少危機をはじめとする難局に立ち向かうことは出来ません。
北海道が北海道らしく、北海道に住む皆さんが幸せで元気な大地を創り出し、
後世に希望をつないでいく責務がある私たちは、この「稼ぐ」ことから逃れ
ることは出来ないのだと信じています。
特に、新エネルギー導入の加速化を推し進める私たちには、北海道という優
位性を活かした多くの手段が存在していることを自覚し、積極的に民間の活
力を取り込んだ推進力を手に入れなければなりません。
知事をはじめとする道庁職員の皆さんと、公営企業管理者をはじめとする企
業局の皆さん、そして多くの民間事業者の皆さん、それぞれがこれまでの概
念を打ち破ってでも踏み込んでいかなければならない時が、すぐそこまでや
ってきているのだと考えています。
私自身も積極的に情報収集にあたりながら、決して議論するのみを善しとせ
ず、実行動を以って北海道の元気を皆さんと力を合わせて創り出していきた
いと考えています。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。