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2018/12/5

平成30年 北海道議会第四回定例会 一般質問 「新エネルギー導入の加速化について」「事業継続計画等について」

平成30年第4回定例会 一般質問

 

●新エネルギー導入の加速化について

新エネルギー導入の加速化については、会派や定例会、委員会を問わず、様々に議論されてきたところでありますが、今回は、私が民間と実際に取り組みながら、具体的に感じた課題や問題点などを引き合いに出しながら質問を展開します。

 

 

  エネルギー地産地消スタートアップ支援事業について

(1)支援事業の状況について

まず、「エネルギー地産地消スタートアップ支援事業」の状況について伺います。

 道は、昨年度の「新エネルギー導入加速コーディネート事業」に続き、本年度「エネルギー地産地消スタートアップ支援事業」を行っています。

 まず、本事業のこれまでの経過と、本年度事業の状況について伺うと共に、成果について伺います。

 

<答弁>

地域に対する支援事業についてでありますが

 

〇 道では、身近な地域で自立的に確保が可能なエネルギー資源を

効果的に活用する取組が、より一層、道内各地で進められるよう

エネルギーの地産地消に関するコーディネーターを

希望する市町村に派遣し、必要な助言や情報提供を行っているところであり、

昨年度は14市町村に対し、今年度は、これまでに10市町村への派遣を実施し、

  引き続き、派遣要請を受け付けているところ。

 

〇 これまでの派遣により、調査資料の作成や地域の合意形成に向けた支援を行い、

八雲町では新エネルギー導入に向けた設計に着手するといった

市町村の取組が促進されているところ。

 

(2)市町村の実態について

次に、調査対象となっている市町村の実態について伺います。

市町村が具体的な取組みに至れない理由は、昨年度のコーディネート事業のアンケート結果からも判明しているように、資金不足と人材不足であることは明白です。

よって、道庁が自治体のみを相手に、いくら調査を続けて「つもり」を把握できたとしても、それが事業となって実現していくまでに至るには、遠回りな時間と労力が必要となってしまっているのではないでしょうか。見解を伺います。

 

<答弁>

市町村に対する取組についてでありますが

 

 道が行った、アンケート調査では、

 9割以上の市町村が補助金など費用面での支援を望み、

4割以上が専門人材の派遣などを望んでいるところであり、

 また、市町村からの聞き取りによると、

 導入検討を行う際の相談相手が分からないといった、

 専門人材の不足を挙げる例が多かったところ。

 

〇 道としては、こうした課題の解決に向け、

 市町村に対し、先進事例など必要な情報の提供や

事業推進に向けた専門的な知見に基づく助言を行うなどして

事業の掘り起こしを図っているところであり

こうした支援を通じ、身近な地域で自立的に確保できる

エネルギーの効果的な活用に向け、市町村が企業と連携して

取り組んでいけるよう、努めてまいる。     

 

 

(3)事業の対象について

次に、この事業の対象について伺います。

本事業は、自治体またはコンソーシアムが対象となっていますが、いま申し上げた通りに、自治体が新エネルギー事業に着手していくために必要な資金と人材は民間に在るのであって、この民間力をいかに活用できるのかが加速化のポイントになると考えます。

よって、本事業の役割は、自治体やコンソーシアムの意向調査に留まることなく、それらと新エネルギー事業を予定する民間事業者への意向調査を広く求め、それらをマッチングさせることによって、具体的な事業の実現を果たすことができるようになります。

知事は、本事業の対象者に民間企業を加えて、それらをマッチングさせることを事業の柱とすることで、より着手しやすい環境を生み出さなければなりません。

今回の提案についての見解を伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの導入促進についてでありますが

 

〇 エネルギーの地産地消を推進するためには、

地域において自立的に確保が可能なエネルギー資源の

効果的な活用に向けて、民間企業の持つノウハウを活かすとともに、

地域が一体となって取り組むことが必要。

 

〇 このため、道では「地域新エネルギー導入コーディネーター」の

派遣により、市町村を中心に民間企業や団体を含む

コンソーシアムなどへの支援を行っているところであり、

本事業の実施にあたっては民間団体などを通じた周知を行い、

積極的な活用を促しているもの。

 

〇 道としては、本事業によるコーディネーターの助言を通じて、

民間企業を含めた、地域におけるエネルギー地産地消の取組の

掘り起こしなどに努めるほか、市町村に対し、民間企業の情報提供や

意見交換を行うなど、民間事業者の幅広い参入を促進しながら

新エネルギーの導入加速化を図ってまいる考え。

 

  エネルギー地産地消事業化モデル支援事業について

 次に、「エネルギー地産地消事業化モデル支援事業」について伺います。

道は、平成28年度に新エネルギー導入加速化基金を創設して、その財源を基として、平成29年度から、エネルギー地産地消モデル事業に取組み、これまでに5カ所の事業を採択してきました。

まず、本事業のスキームについて伺います。この事業の補助は、事業期間5年以内で、総額5億円とされています。

この事業は、モデル事業であるからこそ、さまざまなトライ&エラーを繰り返すことのできるものであらなければならず、道が高い確実性を求めるならば、それは「モデル」である必要はありません。

例えば、特定目的会社などの事業体が、使い勝手の良いモデル事業の補助金として、市町村に拠出することを前提とするならば、特定目的会社が必要とする用地代金や後の固定資産税等の減免資金として使うことが出来るように設えて、支給金額も1億円程度に圧縮することで、採択件数を増やすことの方が、本事業の目的である「導入の加速化」に資することになると考えています。次年度以降に向けた、事業の見直しが必要です。知事の見解を伺います。

 

<答弁>

モデル事業についてでありますが

 

 地産地消を促進するためには、地域における需要に

 見合った事業規模や効率的な設備設計などの検討をもとに

 地域が一体となって取組を進めることが必要。

 

 こうした事業化に至るまで時間を要する

 エネルギーの地産地消の取組を促進するため、

 道では、地域の特性に応じたエネルギー資源を効果的・効率的に利用し、

 エネルギーの地産地消の事業化に向けたモデルとなる取組に対し、

 複数年にわたり、継続的な支援を行っているところであり、

 こうしたモデル事業の推進とともに、

 

 設計や設備導入など取組の段階に応じた支援を行うなど

 地域や企業の皆様と連携しながら、

 エネルギーの地産地消の取組を全道に広げてまいる。

 

  自治体の現状について

 次に、道内自治体の現状について伺います。

 新エネルギー導入に向けて、地域が抱える課題は様々です。その地域資源を活用し、その地域の産業となり得る仕組みを構築しなければなりません。

 政策メニューとしての「新エネルギー導入の加速化」については、国や道によって優先順位高い政策として取り上げられ、交付金や補助金が付き易く、自治体にとって手の出しやすい政策であると捉えられています。

 一方で、過去にその地域で起きた環境問題や新エネルギー事業に対する失敗や破たん例などが、ブレーキを踏ませてしまっていることも強く感じたところです。

 

 自治体は、地域をまとめることができません。いわゆる「よそ者」に対する反応は、必ずしも歓迎の雰囲気になるとは限らないからです。

 

 先見の明がある首長自らが、先頭に立って政策をけん引する場合はまだしも、持ち込まれた施策として石橋を叩いても渡らない自治体をその気にさせていくことは、かなりハードルの高い作業となります。

 道もそうであるように、自治体でも部局を渡る政策・施策に対する縦割りな行政体質が、更にハードルを高くしていることも事実です。

 知事は、この現状をどのように捉えていて、自治体と一緒にどのように政策を更に推進させていく考えであるのか、また、必要とされる人材をどのように確保していく考えであるのか、見解を伺います。

 

 

<答弁>

新エネルギー導入に係る自治体の状況についてでありますが

 

 道内には、エネルギー資源に恵まれていながら

 必要な専門人材の不足や、相談先が分からないなどの理由で

 新エネルギー導入に向けた具体的な取組に至らない市町村もあり、

 地域の取組を促進するためには、専門人材の関与が必要と認識。

 

〇 このため、道では、希望する市町村に対し、

 「地域新エネルギー導入コーディネーター」を派遣し、

 エネルギー地産地消にかかる事業計画の策定や

 地域の連携体制の構築などの支援を行っており、

 地域省エネ新エネ導入推進会議やセミナーなどを活用し、

 地域の人材のノウハウ習得と交流促進に努めているところ。

 

    今後とも、こうした取組を通じて、

 地域における専門人材が育まれるよう取り組んでまいる。

 

  民間力の活用について

 次に、民間力の活用について伺います。

 これまで述べたように、新エネルギー事業に対する膨大な知見や経験は、民間にあるのです。国内に限らず欧州を先進とした世界に、実に興味深い実例が存在しています。

 国内における北海道の位置付けは、知事も「新エネルギー源の宝庫」として自負しているように、優位性が保たれているように、私も感じていましたが、視野を広げ、国内や世界の先進技術やビジネスモデルの視察等を通して学ぶと、むしろ道内における新エネルギー事業は、孤立した環境、いわゆる「ガラパゴス化」しているように思えてくるのです。

 

 新エネルギー源に恵まれているからこそ、知恵や努力が足りなくなってしまっているのが、北海道の現実であることを思い知らされています。

 国内や世界の新エネルギー事業に対する市場の投資欲は衰えていません。道内においても民間による多くの取組みや、旺盛な模索例をよく耳にします。

 新エネルギー事業に必要な設備費は決して少ないものではなく、中小規模事業者が安易に取り組めるものではありません。

 まして、系統接続の容量が極端に限られている道内事情にあっては、事業着手に欠かせない三種の神器と言われている用地と地域資源は用意できても、送配電線との接続がままならず、意欲はあっても断念せざるを得ない例を山ほど見聞きしてきました。

 自治体の積極的な本政策への着手を果たしていく為には、道によって、いかに民間が参入しやすい環境を整えていくかが鍵となります。

 これまで質問してきた内容も踏まえて、各事業の見直し、そして実質的な導入の加速化を実現させなければなりません。必要とされている視点を見定めた上で、事業の見直しが必要です。知事の見解を伺います。

 

<答弁>

新エネルギー導入に向けた取組についてでありますが

 

 本道に豊富に賦存するさまざまなエネルギーを活用し、

 活力ある地域社会の実現に寄与していくことは重要であり、

 新エネルギー導入加速化基金を活用し、

 民間のノウハウも活かした事業の推進を図るため、

 市町村のほか、市町村と団体、民間企業を含む

 コンソーシアムに対して支援しているところ。

 

 道としては、自立的に確保できるエネルギー資源を、

 熱や電気など多面的に利用する多様なモデルの創出を図るなど

 本道における新エネルギーの効果的な活用に向け、

 事業メニューの工夫なども行いながら、

 地域や企業の皆様と連携した取組を進めてまいる考え。

 

  系統接続について

次に、系統接続について伺います。

北海道内の系統接続状況については、道央圏の一部に限って系統接続が可能となっているのみで、道内のほぼ全域に渡って系統接続が出来ない状況が続いています。

これらの接続可否については、基本的に、北海道電力のホームページ等で公開されている地域別の「系統接続空容量一覧表」を参考にしながら、その接続箇所を担当する北海道電力の支店等で確認することとなります。

しかし、その一覧表に表されている空容量は特別高圧連系のものであり、高圧連系については「事前相談」の申し込みによって初めて知らされるものであり、事業者が事業検討をするにあたって右往左往しなければならないことが課題となっています。

また、本年10月1日から系統空容量一覧表の書式が全国的に変更されていて、改善は認められるものの、未だに道内における新エネルギー導入の加速化にとって、大きな障害になっていることは明らかです。

そのような中で、本年10月の報道によると、経済産業省は、再生可能エネルギーの核となっている太陽光発電の「固定価格買取制度」を大幅に見直すことを発表しています。

 

 

(1)空き容量の情報公開について

まず、空容量の情報公開の方法について伺います。

先ほど述べた空容量の情報公開の方法や事業着手を諦めた業者が放棄した容量については、早い者勝ちの状態で引き渡されているのが現状です。

これでは、いつまで経っても道内における新エネルギー導入の加速化が、鈍化したままとなってしまいます。

道は、国と北海道電力と協議を進めながら、事業者にとって分かりやすい空容量情報の公開を目指すことが必要です。見解を伺います。

 

<答弁>

送電線の空容量の情報についてでありますが

 

○ 国では、電力系統を利用している発電設備設置者にとって、

 系統に関する情報は極めて重要との考えに基づき

 「系統情報の公表の考え方」を示しているところであり、

 北電においても、この「考え方」に基づき、ホームページにおいて

 系統接続検討における参考資料として、

 「系統空容量マップ」と「系統空容量一覧表」を公開し

 現在、道内の多くの地域において

 系統接続に必要な空容量がないとしているところ。

 

○ 道としては、新エネルギーの導入に取り組もうとする

 事業者に送電線の空容量に関する情報を

 分かりやすく提供することは重要と考えており、今後とも北電に対し、

 空容量の情報公開を的確に行うよう求めてまいる。

 

(2)空き容量の有効活用について

次に、空容量の有効活用について伺います。

空き容量情報について、なかなか適切な情報が掴めない事業者に、公正で公平な機会を提供する役割が道にあると考えています。

よって、系統別の空容量と今後の国の方針や、事業着手断念によって出てくる空容量について、北海道電力任せにするのではなく、国と道も加わって一括管理し、系統接続権を先ほど論じたスタートアップ支援事業等で、その地域の市町村と民間企業等をつなぐことにより、導入の加速化を実現していくことが出来ます。

 例えば、私に言わせれば、その系統接続権を入札によって分配することができるのではないでしょうか。その落札金額については、北海道新エネルギー導入加速化基金に繰り入れて、道内における導入の拡大につなげることが出来ればよいと考えています。

入札については別の議論を待つことになりますが、少なくとも北海道電力だけに任せて、早い者勝ちにしておくことは好ましい状態とは言えません。見解を伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの導入拡大についてでありますが

 

 本道では、メガソーラーに関する事業計画が急速に進む中、

 多くの地域で、系統接続に必要な送電線の容量が不足しているところ。

 

 このため、道では、系統容量の確保に向け、国に対し、

 太陽光などFIT認定済み未稼働案件の見直しなどを求める、

 地域資源を活用しながら取り組む出力変動の少ないバイオマス発電などの

 優先接続に向けた制度の早急な整備を働きかけているところ。

 

 加えて、本道の豊富で多様なエネルギー資源が、

 我が国全体のエネルギーミックスの実現にも貢献しうる

 との観点から北本連系線をはじめとする送電インフラの整備などを

 国に要請するとともに、北電に対し電力の安定供給と

 系統接続などをはじめ、再エネへの積極的な取組を求め、引き続き

 本道における新エネルギーの導入拡大に向けて取り組んでまいる。

 

 

  企業局による新エネルギー事業への取組みについて

 次に、企業局による取組みについて伺います。

 企業局では、水力発電による電気事業と工業用水道事業に取り組んでいることを承知しています。

私は、より積極的に事業展開を図るべきであると考えたところですし、その機会に恵まれていることを自覚しなければいけません。企業局は、自身でより稼ぎ出すことに注力することが必要です。企業局が抱える工業用水道事業における累積赤字は深刻さを増していて、将来的に発生することが避けられない管渠や管路、浄水場等の更新や改修といった資産的投資についても、膨大な費用が見込まれているところであって、それらの費用の工面に四苦八苦していることは自明です。

 

(1)積極的な事業展開について

まず、企業局による事業展開について伺います。

企業局が、自ら財源を確保する手段として事業の展開を図ることは、ひっ迫する道財政の負担軽減に直結することであり、なんら引き留められる理由が見当たらないのだと考えています。

あくまでも地方公営企業法の枠の中で、新エネルギー事業に取り組むこと、地域電源や地域資源の活用により、公的使命を果たすことが出来るように、固定価格買取制度を活用した電気事業や水道事業の展開を図ることが必要です。

その中でも、小水力やバイオマスなど比較的安定した、定格で稼働が可能な発電事業に取り組む考えはないのでしょうか。見解を伺います。

 

<答弁>

企業局による事業の展開についてでありますが

 

 これまで、企業局では、

 道内への電力の安定供給の一端を担うため電気事業を運営するとともに、

 産業のインフラとして工業用水を安定的に供給するため

 工業用水道事業の運営を行ってきたところ。

 

 こうした中、電気事業については、固定価格買取制度いわゆるFITを活用し、

 当面は安定的な収益を確保することが見込めるものの、工業用水道事業については、

 需要の減少などにより厳しい経営状況となっているところ。

 

 このため、企業局としては、将来に向け、

 より安定した経営基盤を確立するため、

 電気事業については、引き続きFITを有効に活用し、

 FITの適用を見込むことができる新たな電源開発についても

 検討するなどして安定経営に取り組んでまいるとともに、

 工業用水道事業については、より一層の収益の確保に向け

 電気、工水両事業の連携なども視野に入れながら、これまで取り組んでいなかった

 新たな分野についても研究を進める必要があると考える。

 

(2)熱エネルギーの活用について

次に、熱エネルギーの活用について伺います。

もともと水道事業で水資源を取り扱うことに慣れている企業局だからこそ、着手しやすいものに熱エネルギーがあります。発電時に発生する膨大な熱エネルギーを、水で転換して売熱することが可能です。熱エネルギーは、さまざまな施設で使用されていて、現状では化石燃料によって生み出されているものと承知しています。それを転換していくことも環境保全の観点から推奨されるべきことだと考えています。工業用水道事業を行っている工業団地内には、さまざまな企業が立地されています。顧客は既に存在しています。

バイオマス発電などよって生み出した電力を固定価格買取制度で販売し、同時に生み出されている熱力で工業用水を媒介とした熱エネルギーを隣接する企業に販売することが可能です。

是非にも、取り組んでいただきたいビジネスモデルであると考えていますが、見解を伺います。

 

<答弁>

熱エネルギーの活用についてでありますが

 

 現在、道内においては、上士幌町での家畜糞尿を主体とした

 バイオガスによる電気・熱供給や、南富良野町での、

 木質バイオマスによるバイナリー発電と熱供給など

 地域の再生可能エネルギーを利用した

 熱の有効活用を図る取組が進められていると承知しているところ。

                  

 企業局としては、今後とも持続的な経営を行いながら、

 再生可能エネルギーの利用を推進していくためには、

 これまで取り入れていなかった熱エネルギーの活用について、

 検討することも重要であると考えており、  

 今後、事業への導入可能性について検討するため、

 まずは、これらの取組をはじめ、様々な事例について、

 情報収集に取り組んでまいりたい。

 

(3)企業局の新たな役割について

次に、企業局の新たな役割について伺います。

私は、賦存していても活用できていない木質資源の代用として、畜産糞尿や食品残渣から製造できる発熱電向けのバイオマス燃料の製造など、ガラパゴス化が進んでしまっている道内の新エネルギー向け技術に、新たな活路を見い出す役割も、企業局にあるものと考えています。

例えば、畜産バイオマス発熱電に必要なメタンガスは、運搬することが出来ないために、酪農家などの原料調達先から、そう遠くないところでの場所を選択するしか出来ませんでした。

一方で、道央を中心とした都市部でしか系統接続は実現できませんが、そうしたところでは環境や臭気の課題などが付きまとい、事業の実現になかなか到達できない例が、山ほどあったことを承知しています。

しかし、私が先日視察してきた最新の技術によると、畜産糞尿や食品残渣、道路脇の雑草や街路樹を剪定した枝葉、さらに木質バイオマス資源として不向きとされるバークでさえも、バイオマス発熱電原料として加工することが可能であることが判りました。その原料はほぼ無臭化することができて、運搬することも可能です。この技術は、はっきり言って驚きでした。

さらに、既に固定価格買取制度で事業着手されていて、間伐材や未利用材などの木質原料確保に苦慮し、一般材や廃材、化石燃料混合を原料としている事業者が、この原料を使用する手続きを済ませることで、電力の販売価格が1.6~2.2倍程度にまで改善させることができることを確認しています。言わばこれは道内における革命にも等しい技術であると捉えています。

 いま紹介した新技術に留まることなく、工業試験場と連携することで、北海道に世界の技術を取り込み、稼ぎ出す役割が企業局にはあると考えています。見解を伺います。

 

<答弁>

 企業局の役割についてでありますが

 

 企業局では、自らが、電力を安定的に供給することはもとより、

 発電事業を通じて培った技術やノウハウを活用した

 地域の再生可能エネルギーの普及促進に取り組んできたところ。

 

 そうした中、増大する自然災害や環境保全の要請など、

 近年の社会情勢の変化にも適切に対応するためには、

 再生可能エネルギーの普及促進のための

 新たな技術や当局が取り入れていない既存技術などを

 活用していくことも必要であると考えており、

 企業局としては、今後、こうしたことについて、

 専門的な知識を有する試験研究機関などとも連携しながら、

 調査研究を行ってまいりたい。

 

 

(4)企業局が稼ぐ仕組みの必要性について

次に、企業局が稼がなければならない理由について伺っておきます。

これまで述べた中でも触れていますが、更新や改修に必要な費用や、赤字の総額は明確になっています。

しかし、その全てを税金で賄っていくほど道財政に余裕はありません。

 まさしく、企業局が自ら稼ぎ出して、それらに投資していかなければならないのです。

 よって、その全てではないにしても、しっかりとした計画や目標を持って、その必要額を稼ぎ出していくことを求めているのです。

 企業局はその使命を果たすために、地方公営企業法の枠の中で、胸を張って事業展開を実現させることが必要です。公営企業管理者の見解を伺います。

 

<答弁>

今後の事業展開についてでありますが

 

 近年、企業局を取り巻く経営環境は、

 電力システム改革や産業構造の変化などによる水需要の減少、

 施設の老朽化や耐震化に伴う更新投資の増大など、一層厳しさを増しており、

 安定した事業運営を行うためには、収益性の向上をはじめ、経営基盤の強化などを進め、

 議員ご提案のとおり、まさに稼ぐことが重要であると考える。

 

 一方で、再生可能エネルギーの普及促進に向けては、

 企業局自らが新たな事業に取り組むことも重要であると考えている。

 

 このため、企業局としては、既存の水力発電事業や工業用水道事業を

 安定的かつ効率的に運営していくことはもとより、

 「経済性の発揮」と「公共の福祉の増進」という

 地方公営企業法の経営の基本原則を踏まえた上で、

 再生可能エネルギーを活用した新たな事業も含めた

 様々な事業展開の可能性について、積極的に検討してまいりたい。

 

  道の役割と未来像について

 次に、道の役割と未来像について伺います。

道が推進している「新エネルギー導入の加速化」には、いまだ多くの大きな課題が山積しています。

道が掲げる政策を、道の力でのみ推進することは出来ませんし、民間の力のみで加速化させていくにも規制や制約が多い現状では、加速化までには至っていないのが現状であると考えています。

道は、なにが障害となっているのか、なにが留まらせる原因となっているのかを民間事業者と一体となって検証し、そのハードルを乗り越えていく手段を編み出す役割があるのだと信じています。

新エネルギーの分野にあっては、道の、より積極的な姿勢が必要です。自ら取組み、民間と一緒になって新エネルギー大国の実現を果たさなければなりません。

 民間がより参入しやすい市場づくりを実現させるための道の新エネルギー政策について、知事の新たな覚悟と決意を伺います。

 

<答弁>

新エネルギーの導入についてでありますが

 

 出力変動やコストなどの課題を有する

 新エネルギーの一層の導入拡大を図るためには、

 民間事業者等の幅広い参入を促進しながら

 地域の特性に応じた事業性のあるモデルを創出していくことが重要。

 

 本道は、系統に制約がある一方、バイオマスをはじめ身近な地域で、

 自立的に確保できるさまざまなエネルギー資源を有しており、

 道としては、今後、本道の特性や再生可能エネルギーの

 主力電源化を目指した国の動きを的確に捉えながら

 北海道を次世代の新エネルギーの活用に向けて、

 「多様な自立モデルの実証・実践の地」とするとの新たな考え方を加え

  新エネルギー導入加速化基金を活用し、地域に賦存する

 エネルギーを複合的に活用し熱や電気などの多面的な利用を

 図る取組の普及を進め、地域や企業の皆様と連携した

 エネルギー地産地消の取組を加速してまいる。

 

●事業継続計画等について

①道の事業継続計画について

  次に、道の事業継続計画についてであります。

 道は、地震をはじめとする大規模災害等により、道民生活に深刻な影響を与える事態が発生し、道自身が被災した場合にも、優先度の高い業務の継続などが可能となるよう「北海道庁業務継続計画」、いわゆる道庁版BCPを策定していますが、この計画で想定する災害は、札幌周辺の大規模地震や洪水となっており、道庁本庁舎が自然災害の直撃を受ける事態を想定したものとなっています。しかし、この度のような札幌から比較的離れた地域で発生した地震などをきっかけとする大規模停電も、道の業務継続に大きな影響を与えることが明らかとなりました。道では、現在進めている検証委員会の検証結果等を踏まえ、道の事業継続計画の見直しを行うものと考えますが、その際には、自然災害とは関係なく発生する可能性のある大規模停電も想定災害として位置付け、道の事業継続計画の実効性を高めるべきと考えます。道の見解を伺います。

 

<答弁>

道の業務継続計画についてでありますが

 

 道では、地震や洪水など大規模な自然災害を想定し、

 災害発生時における職員の参集体制や優先して行う業務などについて、

 北海道庁業務継続計画として定めているところ。

 

○ このたび発生した胆振東部地震では、

 地震に加え、道内全域に及ぶ大規模停電により、職員の登庁に支障が生じるなど、

 業務遂行にあたって、一定程度の影響が及んだところ。

 

〇 このため、道としては、今後、自然災害に加え、

 新たに大規模停電の発生についても想定するほか、

 来年度の早い時期にとりまとめられる災害対応の検証結果を踏まえ、

 速やかに業務継続計画を見直すとともに、様々な事象を想定し、

 訓練を繰り返し実施するなど、非常時において、

 必要な業務が的確に遂行できるよう努めてまいる考え。

 

②市町村の事業継続計画について

 次に、市町村の業務継続計画についてであります。

 市町村においても、道と同様に事業継続計画の策定を行っていますが、計画内容が不十分であったり、この度の大規模停電では、非常用電源がないか、あっても十分な機能を果たせず、業務継続に支障が生じたケースが相当数に上ったと聞いています。

 市町村は、自然災害等が発生した場合には、住民の避難や復旧・復興対策など災害対策全般の中心とならなければならない重要な機関であるにもかかわらず、非常時の備えが充分でないことは、憂慮すべき事態であるといわざるを得ません。職員数が限られる市町村では、BCPの策定まで手が回らないとの声も聞きますが、道は、こうした市町村の状況をどのように受け止め、今後どう対応していく考えか伺います。

 

<答弁>

市町村の業務継続計画についてでありますが

 

 市町村は、災害発生時には、災害対策本部を設置するとともに、

 庁舎が、被災者支援の拠点ともなることから、予め計画を策定のうえ、

 たとえ被災した場合でも、優先的に実施すべき業務の継続性などを

 確保しておく必要があると認識。

 

 しかしながら、道内では、全ての市町村において、計画は策定されているものの、

  非常用発電機の確保や非常時優先業務の整理など国が特に重要な要素として示している

 6項目全てを満たしているのは、21市町村にとどまっているところ。

 

 このため、道としては、市町村を対象に

 研修会を年度内に開催するとともに、国の支援制度の活用をはじめ、

 それぞれの市町村の状況を踏まえ、様々な助言を行うなど

 早期に、業務継続計画が適切に整備され、道内市町村における災害時の業務が

 円滑に遂行できるよう努めてまいる。

 

 最後に、今回質問させて頂いた各項目については、引き続き各委員会等で議論を深めて、確実な成果として参る決意と覚悟を申し添えて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。