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2019/09/13

環境生活委員会 第三回定例会前日委員会 「北海道のアイヌ施策の推進について」

この質問は、アイヌ施策推進法の適切な実現とウポポイ年間来場者100万人の実現について議論させていただいたものです。

100万人の質問については、開設まで1年を切る中で、その効果を広げていくために避けて通れない「受益者」としての責務について問うと共に、一方で、現実的な目標設定を探る努力も怠ることは出来ないという思いからまとめてみました。

本件につきましては、引き続き注目して参ります。

 

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【北海道のアイヌ施策の推進について】

 

 まず、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」、以下「アイヌ施策推進法」と言いますが、今年の四月に成立しています。

 私は、この質問によって、このこと自体に主義や持論を持ち込む気はありません。

 しかし、アイヌ施策推進法によって示された幾つかの点については、関連して道の施策に大きく影響すると考えられることから、以下の質問によって議論を進めたいと思います。

 

A,アイヌ施策推進法について

 アイヌ施策推進法の成立に基づいて、「北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針」が定められています。先の委員会で説明され、パブコメが実施されました。

 パブコメに寄せられた内容を読むと、実に多様な意見が寄せられていることに安心さえ覚えるところです。

 先に示された素案によると、全ての道民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目標としています。

 よって、アイヌだけの、アイヌだけによる、アイヌだけの為の新法でないことは明白です。

 「相互」、言うなれば、日本国民としてお互いに人格と個性を尊重して共生していくことを目指したものと言えます。

 

   「アイヌの人々」について

 最初に、アイヌの人々について伺います。

 アイヌの人々という定義が曖昧であるが故に、その対象は常にあやふやです。過去の委員会質問等で、その数についても議論してきたとこでありますが、急激に減り続けている実体を不都合として、これまでその表現に苦慮してきたことは明白です。そもそもアイヌ協会が認定することになっている「アイヌの人々」という過程が不適切なのであります。

 アイヌの人々の数が減る一方であるのに対して、自らがアイヌであることを自覚しない日本国民を含めた「存在しているはず」の数を対象としたアイヌ施策の推進には、無理と無駄が生じます。

 道は、アイヌ施策推進法の成立を契機として、国に対してアイヌ協会に頼らない「アイヌの人々」の精度の高い調査や特定を求めることが必要だと考えます。見解を伺います。

 

<答弁>

 アイヌの人たちの実態把握についてでございますが、道では、道内のアイヌの人たちの生活の実態を把握するため、市町村やアイヌ協会のご協力をいただきながら、昭和47年から8回にわたり、「アイヌ生活実態調査」を実施し、アイヌの人たちの生活向上施策などの推進に努めてきたところでございます。

 また、この度のアイヌ施策推進法の審議にあたっては、衆参両院において、アイヌの人々が北海道のみならず全国で生活していることを踏まえて、施策の充実に努めることや、施策の推進に当たっては、アイヌの人々の実態等の把握に努めることなどが附帯決議されており、国の基本方針にも、その旨が盛り込まれているところでございます。

 道では、これまで、国に対しまして総合的な施策の推進を求めてきたところであり、今後におきましても、法の目的である共生社会の実現に向けて、国が主体となった先住民族施策としての総合的なアイヌ施策が一層推進されるよう求めてまいる考えでございます。

 

<指摘>

 これまで行われてきた実態調査については、北海道アイヌ協会等の聞き取りが中心となっていて、客観的な調査であるとは言い切れません。むしろバイアスが掛かった調査となってしまうことは、これまで指摘した通りです。アイヌ施策推進法の成立を契機に、未来志向の政策展開を実現していくためには、肝心なところが偏向するのは許されることではないと考えます。決して出来ない相談ではありません。国に対して強く求めていくことを改めて要望しておきます。

 

   未来志向について

 次に、未来志向という捉え方について伺います。

 これまで長きに渡り、アイヌ文化振興法等によって、アイヌの人々に対しては、生活支援や進学支援、生活全般に渡る施策を展開してきました。

 しかし、その効果や成果は限定的であり、今回の「アイヌ施策推進法」へと繋がってきたのだと認識しています。

 また、生活支援や進学支援については、国民の平均と比較して足りていないことが、繰り返し主張されてきたところでありますが、もはや優遇や配慮に過ぎることが逆差別につながっている段階へと入っていることが憂慮されていることも事実です。

 地域によっては、アイヌ民族の意向が十分に反映されていないとの批判があるとお聞きしていますが、自立の可否が問われているとも言える「アイヌ施策推進法」にあっては、地域振興や産業振興などを含めて未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進することが強調されていると考えています。

 道が想定している「未来志向」のアイヌ施策とは何を指しているのか、見解を伺います。

 

<答弁>

 未来志向によるアイヌ政策についてでございますが、道では、「北海道におけるアイヌ施策を推進するための方針(案)」におきまして、「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての道民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する」ことを目標としたところでございます。

 道といたしましては、道方針に定める目標の実現に向け、アイヌの人たちの生活向上施策や、本道にとってかけがえのない財産であるアイヌ文化の振興、さらには、将来にわたって輝き続ける北海道の実現に向けて、全道各地域の活性化、産業・観光振興などにも軸足を置いて、総合的なアイヌ施策の推進を図ってまいる考えでございます。

 

   道の方針や市町村の施策推進地域計画について

 次に、道の方針や市町村の施策推進地域計画について伺います。

 過去の委員会質問等で繰り返してきているように、私は、アイヌ文化の振興は、国や道、自治体が諸手を挙げて取り組むべきものであると考えています。アイヌ文化の振興を通じて、北海道や各地域が「北海道らしさ」を強みとして、観光産業のみならず、まちの元気に仕立て上げることが効果の高い一手であると考えているからでもあります。

 アイヌの人々も色々です。アイヌ協会等を通じて新法制定まで努力を積み重ねてきた方もいらっしゃれば、アイヌ協会とは一線を画して活動を続けられる方もいらっしゃいます。いまだ差別を感じて不自由されている方もいれば、そもそも自覚のない方もいらっしゃるものと容易に推定されます。

 北海道150年、否、それ以前からの北の大地には、私たちのご先祖様が連綿と繋がれてきた歴史が存在しています。

 アイヌ施策推進法が制定された今となっては、アイヌの人々であろうとなかろうと、日本国民として、北海道道民として、活力あふれる元気な北海道の未来ために、新法を通じて何が出来るのか、その覚悟が問われているものと確信しています。

 そのような中で、アイヌ施策推進法では、アイヌ民族の要望のみを尊重するためのものではなく、アイヌ文化をきっかけとして、地域振興や産業振興などを含め未来志向による施策の推進による双方の発展を求めているのでありますから、むしろアイヌ文化振興法では表していなかった部分、即ち、地域振興や産業振興などを通じた様々な取り組みが重要視されるべきだと考えています。本年9月中に取り決められる予定の道の方針や、その後市町村によって策定されるアイヌ施策推進地域計画においては、この点における取組に大きな関心が寄せられています。

 そもそも道として、どのように考えているのか、どのように国と共に市町村に関わっていく考えであるのか、見解を伺います。

 

<答弁>

 市町村のアイヌ施策推進地域計画についてでございますすが、アイヌ施策推進法では、市町村の地域計画に記載する事項といたしまして、アイヌ文化の保存・継承やアイヌの伝統等の理解促進、観光振興、産業振興、地域交流や国際交流の促進などの事業を掲げているところであり、道方針(案)におきましても、地域振興や産業振興などを含め未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進することとしております。

 道といたしましては、市町村が地域計画に基づく事業を効果的かつ効率的に実施できるよう、市町村との間で情報交換や協議を行うための場を確保し、国や市町村からの情報収集を行い、また、広域相談員を配置し、アイヌの人たちや地域が抱える課題などを伺いながら、地域の実情に応じた、必要な助言や協力を行うなど、本道におけるアイヌ施策の一層の推進に向けて、市町村の取組を支援してまいります。

 

 

   アイヌ協会等の関わり方について

 次に、アイヌ協会等との関わり方について伺います。

 地域振興や産業振興などを含めた未来志向によるアイヌ政策を総合的に推進するために使われる交付金や法律の特殊措置については、アイヌ協会等が認定するものでなければならないのかを確認させてください。

 北海道内に限らず、日本国内や世界には、アイヌ文化に関わる取組みは多数存在します。むしろ、アイヌ協会等と一線を画して活動する人々の支援に比重を置いて取り組むことが必要だと考えています。企業や地域・個人に至るまで、アイヌ施策推進法の趣旨に沿った多くの取組みがなされることこそが、これまでタブー視されてきた部分にも光が当たり、健全な法の趣旨を実現せしめることに至ることになると確信しています。

 この交付金や法律の特例措置について、どのような方針や手続きとなるのかの見解を伺います。

 

<答弁>

 アイヌ政策推進交付金などについてでありますが、アイヌ施策推進法では、総理大臣の認定を受けた地域計画に基づく事業を実施する市町村に対しまして、交付金の交付や、国有林野における林産物の採取、サケの捕獲許可等の配慮など、法律上の特例が定められているところでございます。

 また、アイヌ文化の保存・継承などのほか、観光振興や産業振興などの、アイヌ施策の推進に資する事業を実施しようとする者は、市町村に対しまして、地域計画を作成することを提案することができるとされており、今後、市町村によるアイヌ施策が全道各地で積極的に展開され、アイヌ文化の振興や地域の活性化などにつながっていくことが期待されているところでございます。

 

<指摘>

 今の答弁の中で、事業を推進しようとする者とあった「者」の部分ですが、くどいようですが「者」にあたる方々が、アイヌの人たちに限らないことを確認しておきます。

 そこには、アイヌの人たちであってもアイヌ協会の非会員であったり、全国の企業・地域・個人が様々に、アイヌ文化を活用した事業について、その方の地元自治体を通じて事業を展開できることとなっていると理解しています。

 私に言わせるならば、日本国民が、アイヌ文化を活用した健全な地域振興策に取り組む時に、地元自治体と協力して交付金を活用することができる、と理解することが出来るのです。

 

 ここで、あるアイヌの方のご意見を抜粋して紹介します。

 

 

 僕は、アイヌ政策の恩恵は受けていません。アイヌ協会の会員じゃないので、何の恩恵も受けません。でも、それが僕なので、恩恵は受けなくても、アイヌ文化を今の社会にリリースし共に共存したいと行動しています。道も国もアイヌを鍛えるべきです。(中略)差別だ何だと訴えて集まって来るだけです。(中略)補助金は生きたまま人を殺します。生きたまま死んでいるアイヌに僕はなりたくない。僕は日本社会の中で、補助金も無しで、ちゃんとアイヌとして、個人として、社会に必要とされ、生きていきたいだけです。アイヌ文化は北海道の社会でキチンと使われていないのです。まだ使える文化になっていない。だから関わる人たちが苦しむのです。僕は北海道のみんなに必要とされる、アイヌ文化のリリースをどうするか考えています。そんな僕なので、アイヌ政策には全く興味がないのです。アイヌ協会の人たちの為の政策です。僕はこれから、誰にも縛られないで、今を生きるアイヌとして、怒りでも恐れでもなく生きていけます。

 

 

 これは実に重い言葉です。アイヌ協会の皆さんは基より、アイヌ行政に関わる私たちは、真摯に受け止めなければならない言葉だと考えます。

 私たちは、何かをはき違えてしまっているのだと感じています。残念ながらその実態を鮮明にすることは出来ていませんが、今回のアイヌ新法の制定によって、一歩でもその実態に近づいていくことを、そして、アイヌ新法が目指す共生社会の実現を果たして参りたいと思うのです。道並びに道議会においても、タブーを恐れずに目標の実現に向けた取り組みが成されることを強く要望しておきます。

 

 

B,年間来場者100万人の実現について

 次に、ウポポイの年間来場者100万人の実現について伺います。

 この質問については、過去に三度、三年に渡り行ってきましたが、残念ながら時間を費やしただけであって、実感できる成果に辿り着けていないと地団駄を踏んでいるところです。

 2020年4月24日まで1年をきる中、多くの課題と向き合っている現実を自覚しながらも、行政の限界を感じざるを得ない状態となっています。

 

   年間来場者100万人の定義について

 最初に、年間来場者100万人の定義について伺います。

 これまでの質問で、明確にできていなかった、明確に答弁してこられなかった点です。

 年間来場者100万人の対象範囲はどこになるのでしょうか。そして、それは2021年以降も継続されることになるのでしょうか。簡潔な見解を伺います。

 

<答弁>

 来場者目標についてでありますが、目標の考え方につきまして、国に確認したところ、国立アイヌ民族博物館と国立民族共生公園からなる、いわゆる中核区域のほか、慰霊施設への来場者数を想定しているところでございます。

 また、ウポポイはアイヌの人々による歴史・伝統・文化等の継承・創造の拠点となるほか、国内外の人々のアイヌに関する理解を促進するための施設でもあることから、開業年度のみならず、翌年度以降も、より一層多くの方々にお越しいただきたいとの考えでございます。

 

   年間来場者100万人の実現責任について

 次に、その実現の責任の所在について伺います。

 私は、これまでの質問で、「主体」は国であって、道や自治体は「実体」であることは申し上げてきたところです。

 しかし、これまで道は、「国及び道、北海道アイヌ協会など、関係者の協力のもと」に様々な取組が進められるものと認識していることや、「国やアイヌ協会、アイヌ文化財団、地元白老町などと一体となって」取組を進めると答弁されてきました。更には、応援ネットワーク会議やプロジェクトチームの設置によって、100万人の実現を果たすと答えるに留まっています。果たす責任がどこにあるのか、改めて、道の見解を伺います。

 

<答弁>

 ウポポイについてでありますが、ウポポイは、我が国が誇るべきアイヌ文化を国内外の多様な人々へ発信することを通じ、アイヌ文化を復興・発展させる拠点として、また、我が国の将来に向けて、先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化をもつ活力ある社会を築いていくための象徴という、重要な意義を有する国家的プロジェクトとして白老町に整備が進められているところでございます。

 ウポポイは、本道にとっても、かけがえのない宝になるものであり、道内各地域のアイヌ文化の振興や観光をはじめとした本道全体の活性化につながるものと認識をしております。

 このため、施設の設置者である国や運営主体となるアイヌ民族文化財団はもとより、道や地元白老町、道内自治体や企業・団体など関係機関が目標を共有し、オール北海道で実現に向けて取り組むことが重要と考えており、道といたしましても、広域自治体として、しっかりと役割を果たしてまいる考えでございます。

 

   実現に向けての行動について

 次に、実現に向けての行動について伺います。

 私が捉えているのは、その実現の責任は、関係する全ての方にあるのです。これは不変の事実です。

 よって、道にも責任はあります。むしろ、その責任は少なくないものであると言えます。

 その責任を果たすための施策が脆弱過ぎると問い続けてきたのであります。それは、今日現在であっても変わりありません。誠に残念です。

 何度も言いますが、行政が出来ることを積み重ねた結果で100万人の実現が出来るならば苦労はしないのです。努力が足りていないと根性論で唱えているのではなく、実現されるための道筋が見当外れであることを訴えているのです。

 確かに、2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催年であり、訪日外国人の数が更に伸びることは容易に想像できます。2020年程ではないにしても、その後もこれまで同様に順調に推移することになるでしょう。

 しかし、100万人をセグメントした資料を要約すると、訪日外国人旅行者が50万人、国内旅行者が43万人(道内31万人、道外12万人)、修学旅行生が7万人、となります。

 残念ながら、これらは期待値です。そうなれば良いな~的なものでしかありません。100万人を埋めるための当て込みでしかないと考えています。

 何度も求めている説明は、これらの数値を実現されるに足る行動、営業が成されているか、継続されているかです。

 道は、実現させるに足る行動や営業が成されているとお考えですか。それは一体どの組織がどのように展開されているのでしょうか。道の見解と共に、具体的に教えてください。

 

<答弁>

 関係機関の取組についてでありますが、ウポポイのプロジェクトの中心となる国や財団においては、広報や準備に向けた体制強化を図りながら、アクセス道路や駐車場の整備をはじめ、アイヌ語や多言語による展示解説や最新のデジタル技術を活用した魅力あるプログラム開発などの準備を進めているほか、全国的な観点からの広報活動を担っているところでございます。

 また、白老町では、インフォメーションセンターをはじめとした観光商業ゾーンの整備や町内の周遊ルートづくりなど、地元として、観光客をおもてなす環境整備を進めているところでございます。

 道といたしましては、道内や道外、海外といった市場動向を把握しながら、ターゲットに応じた国内外でのPRや、多様なメディアを通じた情報発信に努め、認知度向上を図っているほか、開業後の具体的な誘客につなげるため、関係機関と連携し、教育旅行の誘致や旅行商品の造成に向けた働きかけ、さらには、JR特急列車の増便やバス路線の開設など、交通アクセスの確保に向けて取り組んでいるところでございます。

 今後、より一層の取組の加速が必要と考えていることから、先般、担当局長の設置など庁内の体制強化を図ったところであり、開業までの残された期間、関係機関と連携しながら、全庁一丸となって目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

 

   ウポポイの入場料とその範囲について

 先日、ウポポイの入場料が公表されました。公園及び博物館の入場料は、大人一般1200円とし、団体や年齢による割引の設定がされるようです。ちなみに、中学生以下は当面無料とされています。

 この1200円が高いのか安いのかの議論は別にして、私が注目したのはその範囲です。

「公園及び博物館」とされている入場料の対象範囲は博物館を越えて、周辺のエントランス館、学習館や交流ホールを含んだ公園部分も入場料の対象となっています。

 これは、周辺住民等が公園内を散歩したり、気軽に立ち寄る機会の逸失に繋がってしまいます。

 私は、博物館に加えて、仙台藩白老元陣屋資料館などへの周遊性を高めた上で1200円に設定する方が、100万人の実現及び継続に大きく寄与するものと考えます。

 道は、遅まきながらも国と財団に対して申入れを行う必要があると考えます。

 見解を伺います。

 

<答弁>

 周辺観光施設との連携などについてでございますが、来場者の目標達成に向けては、国内外からの誘客はもとより、地域の方々にも足を運んでいただくことが重要と認識しております。

 白老町では仙台藩白老元陣屋資料館など観光施設と連携して誘客を図る方策や、地域の方々が気軽にウポポイに訪れることができる方策について検討しているところでございます。

 道といたしましても白老町と相談しながら、国や財団と協議してまいりたいと考えております。

 

 

   在るべき姿について

 次に、実現に向けた「在るべき姿」について伺います。

 これも過去の質問の繰り返しになってしまいますが、私は、対象エリアの拡大と実現可能な数値の設定が必要だと考えています。開設まで1年をきった今となっては、それは急務に違いありません。

 対象エリアについては、中核施設のみとせず、慰霊施設や関連区域を含めては如何ですか。せめて近隣宿泊施設や日帰り温泉客を加えることに無理はありません。来場者人数についても、過去のピークが87万2千人であったことは承知していますが、直近来場者数は18万9千人にまで落ち込んでいます。期待値で煽るのではなく、必要な行動を積み上げた結果としての数値を設定する必要があります。

 100万人という設定が既に閣議決定を経ていることから、2020年の好環境を考慮すると避けることが出来ない数値設定なのかもしれません。しかし、2021年以降については十分に検討が可能です。また、それに向けての必要な行動の積み重ねも可能です。

 年間来場者数の適正化と、その継続性の担保が求められます。そして、受益者としての国、道、そして地元白老町は、それから逃れられない責任があることを自覚し、覚悟するべきです。道の見解を伺います。

 

<答弁>

 今後の取組についてでございますが、国におきましては、ウポポイが公開される次年度以降も継続して、多くの方々に訪れていただくことが大切と考えており、道といたしましても、ウポポイがアイヌ文化の振興はもとより、本道観光や経済活性化に向けた牽引役として、大きな役割を担うものと期待をしているところでございます。

 このためには、国内外に向けたPRをはじめ、お越しいただく皆さまに満足いただけるよう、交通アクセスなど受入環境の充実を図るとともに、周辺地域との連携が不可欠と考えているところでございます。

 今後、来場される顧客ニーズを的確に把握しながら、おもてなしやプログラムの充実を図るなど、継続して来場されるよう長期的な視点に立った、安定した施設運営につきまして、国や財団に対して働きかけを行っていきますとともに、道といたしましても登別や洞爺湖温泉などの観光地や道内のアイヌ文化、さらには、縄文遺跡やむかわ竜など、本道の魅力ある歴史・文化資源との連携を進め、相乗効果を高めながら、オール北海道で継続した取組を進めてまいる考えでございます。

 

 

<指摘>

 道は、直ちに、国やアイヌ文化財団、地元白老町、応援ネットワーク会議やプロジェクトチームと協力して、現実的な数値と、それに必要な行動の決定を導き出して、国と協議を開始する必要があると考えます。

 言うなれば、ウポポイは、観光立国を標榜する北海道にとって、大きなコンテンツの一つです。その評価の行く末が危ぶまれているこの段階で、指を咥えて眺めている訳にはいきません。なにも楽な道を選ぼうと勧めているのではありません。実現可能な数値に見合う予算しかかけられないことは周知の事実です。国立博物館だからと言って本関連予算執行に取り憑かれ過ぎ、本来の目的を見失うことは許されないのだということを明確にしているだけです。

 特に、道と地元白老町にとっては、獲得する予算規模に見合う行動の積み重ねが足りていないと考えています。主体が国だからと言って責任逃れに終始するのではなく、受益者として積極的に必要な行動を積み重ねることが大切です。この点は深く理解していただきたいと切望しています。

 言ってしまえば、年間来場者数設定の適正化の後に、アイディア豊富で経験十分な民間に委託してしまうことの方が、余程上積みの期待ができるとさえ思うのであります。

 

 開設まで一年はきってしまいましたが、引き続き関心をもって議論を続けたいと思いますので、何卒よろしくお願い致します。

 

以上で質問を終わります。ありがとうございました。