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2019/09/19

令和元年9月 第三回定例会 一般質問 「人口減少がもたらす危機について」

この課題については、予算特別委員会は基より、引き続き議論を重ねていくことになりました。皆さんに未来であっても事実をお伝えしながら、私たちが携えなければならない覚悟について、朝街頭など様々な機会を通じてお伝えして参ります。

※更に、近日中に動画による質問&答弁も試みたいと考えています。乞うご期待。

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A,人口減少がもたらす危機について

 最初に、北海道が直面している、人口減少がもたらす危機について伺います。

 この質問は、「北海道人口ビジョン」及び「北海道創生総合戦略」によって示されている将来に渡る北海道の姿について、人口動態の捉え方次第では、北海道庁は基より、時に民間企業をも巻き込んだ諸計画に、大きな影響を与えるものとなり、その振れ方によっては、私たちや子供たち、未来に対して余りに大きな衝撃をもたらすことになると考え、知事にお伺いするものです。

敢えて言葉を選ばなければ、この危機の放置は、道内179自治体の存続を危ぶみ、北海道自身の破たんを容認しているとさえ受け取ることができるのです。

 よって、以下に幾つか質問をさせていただきながら、私たちが覚悟しなければならない現実を整理した上で、新しい知事に、今後必要な政策及びその見直しを促すものとします。

 なお、この質問のベースとなっているのは、本年7月に北海道経済同友会と北海道二十一世紀総合研究所が取りまとめられた「エビデンスから北海道の未来を~北海道経済白書に向けて~」であることを冒頭に紹介しておきます。

皆さんもご承知のように、北海道は、全国一早い人口減少による生産・需要の減少や国際的な観光地としての環境整備、あるいは広域での総合交通体系整備などの課題が山積しています。

 特に、戦後に高度経済成長を遂げることができた先人と私たちは、拡大基調によって舵取りしてきたことを、それこそ拡大や成長によって幾つもの世界規模の危機を乗り越えてきたことを、成功体験として記憶しています。

しかし、これまで、先人と私たちが経験してきた成功体験とは大きく異なる現象によって、想像を遥かに上回る社会構造の混乱が既に始まっているのです。そんな縮小基調の中での舵取りがとれだけの痛みを伴い、目先の安易な選択に陥ってしまっていることが、将来に続く子孫たちに、計り知れない重荷を残していくことになるのかを覚悟しなければなりません。

 

最初に、現在の北海道のエビデンスを俯瞰しておくと、北海道の人口は、528万6千人(2000年対比93%、以下同様)、合計特殊出生率は、1.27(103%)、生産年齢人口は、58.3%(77%)、高齢化率は、30.7%(164%)、総生産額は、19兆181億円(92%)とされています。

僅か20年の変化としては、決して少なくないものと言えることが判ります。

 

 

   人口動態の危機について

まずは、人口動態の危機について伺います。

私は、6年前に初めて朝の街頭に立って以来、北海道の人口が、驚くほどに急激に減ってしまうと訴えています。僅か25~30年の間に、北海道の人口は300万人を切ってしまうさえと訴えています。200万人以上の減少です。実に札幌市1つ分以上の減少です。人数が減るということは、伴って私たちの生産力が、消費力が、経済力が失われていくことを意味します。いわゆる「北海道の元気」が失われてしまうのです。

知事は、北海道の人口減少の現実をどのように捉えているのでしょうか。

維持することを目指すということではなく、現実をどう捉えているのかお聞きします。

 

<答弁>

・急速に進行する人口減少は、道政が直面する最大のピンチであり、

  ・様々な産業における担い手の確保

  ・消費の縮小

  ・地域交通の維持

  ・税収減による住民サービスの低下

 など、幅広い分野において大きな影響を及ぼすもの

・地域社会の存亡にも関わる大変深刻な状況

 

 

   諸計画の危機について

次に、諸計画の危機について伺います。

道が描く人口の未来像については、2040年には、人口を460~450万人を維持すると「北海道人口ビジョン」等で私たちに示しています。

同時に、そのレポートの中では、社人研が示す419万人という数値を引用することで、ある意味では計画自体に幅を持たせたいのだと、私は推測しています。

 では、社人研説を用いて、2040年に419万人、2060年に308万人と覚悟した場合に、道が示してきた諸計画に与える影響はどれ程のものになるのでしょうか。

 道が策定してきた諸計画について、社人研ベースの予想値も採用しているのか、その場合の影響はどれほどであるものか、主だった計画で構いません。その差異をお示しください。

 

 

<答弁>

・人口ビジョンでは、

 2040年に「460万人から450万人の人口を維持する」との

 人口の将来見通しと合わせて、

 国の推計による2040年に419万人になるとの数値を示す

・各種計画においても、

 国の推計を計画策定の基礎資料として取り入れていることから、

 その影響はないものと考え

・そうした中、道としては、道民をはじめ、幅広い分野の方々と連携し、

 人口減少対策を進めていく

・「460万人から450万人の人口を維持する」という

 長期的な展望を現実のものとするよう、

 人口の動向を注視しながら、創生総合戦略を推進

 

 

 

   必要な覚悟の危機について

次に、必要な覚悟について伺います。

決して避けられない少子化や高齢化は、昨日今日唱えられ出したものではなく、実は30年以上前から様々に説かれてきたことなのです。

しかし、時の為政者が有効な手立てを取ってこなかったのが事実です。私は、目の前の痛みを避けて、未来へと先送りしていただけと捉えています。

この春に新しく就任された知事には、明るく元気で夢や希望の持てる北海道の姿を示して頂くことも必要ですが、それでも未来を生きる子孫の為に相当の覚悟で道民に対して勇気を以って真実を語り、道民全体の覚悟を以って経営資源の<選択と集中>を断行し、未来に渡って勝ち残ることのできる北海道を創り上げていく義務があるのです。知事は、これからの道民の姿をどのように描いていらっしゃるのでしょうか。知事の見解を伺います。

 

<答弁>

・人口ビジョンにおいて、今後、有効な対策を講じない場合として、

 2040年に本道の人口は419万人になるとの国の推計を示す

・全市町村の約半数が、現在の人口の6割以下になるという厳しい分析結果も提示

・次期創生総合戦略の策定にあたり、

・人口減少を巡る環境が依然として厳しい状況にあることを

 改めて、道民の皆様とその危機感を様々な機会を通じて共有しながら、

 人口減少に立ち向かう

・先人が幾多の困難に挑み乗り越えてきたように、

 ひるむことなく勇気を持って「挑戦」

・将来にわたり安心して暮らし続けることのできる北海道づくりに全力で取り組む

 

 

   道都札幌市の危機について

次に、札幌市の危機について伺います。

先のレポートによると、札幌市の人口減少は独特であり、異質であると分析されています。札幌市の総人口は、まもなくピークを迎え、今後40年かけて減少する見込みとなっています。道内からの流入が続くと同時に、若者の流出が続くことで、2040年には極めて危機的な高齢化に陥ってしまうとされています。

更に、生産年齢人口が52.2%(2000年対比70%)と著しく落ち込み、北海道全体よりも経済・産業活動や雇用環境に大きな影響を及ぼすことになることが判っています。

 実に40%を超える高齢化率と、2000年対比で2.6倍もの高齢者数となる現実は、有業率が示すように税収の深刻で大幅な減収を意味し、加えて医療介護費を含む義務的経費等によって、財政状況は危機的状況に陥るとさえ考えられています。

 この予測を札幌市がどう捉えているのかは知る由もありませんが、先のレポートでは、札幌市の主力産業の市場は札幌市を含む北海道であり、札幌市を除く北海道の衰退が札幌市経済を直撃してしまう北海道の人口動態を踏まえると、外で稼げる食と観光や情報通信の成長を促すことが必要と論じています。

 そのような状況であっても、札幌市が牽引役であることは変わりありません。北海道全体が運命共同体であることは変わらないのであります。

 知事は、道市懇等で、相関関係にある札幌市と協力しながら、人口減少に立ち向かう術を、どのような政策を以ってこの難局に対峙しようとしているのか、見解を伺います。

 

<答弁>

・本道の人口の3分の1以上を占める札幌市との連携は大変重要  

・これまでも、

  ・女性活躍の推進

  ・首都圏等からの移住

  ・UIターンの促進

  ・海外拠点によるアジアマーケットの開拓

 など、連携した取組を進めてきたが、

 札幌市と道、市町村が連携を更に緊密にして、

 北海道全体の魅力を高めていく必要がある

・次期総合戦略の骨子案において、人口減少対策に関する札幌市との連携強化を盛り込み、

   例えば、

  ・大学生や企業人材の交流

  ・生産から消費に至る経済活動

 などを通じ、札幌市と道内各地域とのつながりを深めるといった観点

・具体的な連携方策等について、市と危機感を共有し、協議・検討

 

 

   将来税収の危機について

次に、将来税収の危機について伺います。

先のレポートでも示されているように…、

A,総人口の減少が大きく加速し、今の2倍のペースとなること、

B,年少人口が少なくなり、出生数の向上が非常に重要となること、

C,生産年齢人口が今後20年で82万人減少すること、

とされていて、これらはいずれも今後の産業・経済活動、雇用環境、社会保障に大きな影響を及ぼすことになると論じています。

1996年にピークを迎えた道内総生産20.9兆円は、このところ17~19兆円で推移しています。国レベルでは拡大を続けている現状からすると、全国に比べて回復が遅れていると評価することが出来ます。

更に、2040年には11兆円まで減少すると見込まれています。これは衝撃的な未来の姿なのであります。

 そして、これはそのまま税収の減少を意味し、税収が2010年対比で2040年で64%、2060年で45%にまで悪化してしまうことが想定されています。道財政の環境悪化による諸計画の見直しが直ちに必要になることを自覚されています。交付金等による穴埋めは帳尻合わせの絵空事に過ぎないのです。収入が減る以上は将来に渡って支出を「増やせ」「廻せ」は通用しません。縮小の痛みは現実です。これまでの延長で図られる諸政策なのではなく、2040年以降の着地点を見据えた産業シフトの移行、言わば力点や支点を偏向させた諸政策の見直しが必要になってくると考えています。

 道の見解を伺います。

 

<答弁>

・生産年齢人口が減少する本道

・高齢化の進展に伴う非就業者の増加等により、税収が大幅に減収となる一方、

・人口一人あたりの医療費、介護給付費の増加

 など、行財政を取り巻く環境が更に悪化することが懸念

・こうした厳しい制約の下で、今後の施策の推進にあたっては、

 労働生産性の向上等を図るため、

  AIIoTや自動運転といったSociety5.0の実現に向けた未来技術の活用や、

  ・外需の取り込み

 など、人口減少にも対応しうる本道の特性を生かした取組が重要

 

 

   数値設定の危機について

次に、数値設定の危機について伺います。

これまで質問してきたことからも、目指す姿を示すことも必要ですが、厳しい現実を道民に示していくことが必要です。

よって、これからの政策決定に用いられる人口設定を始めとした諸数値は、ダブルスタンダードであっても良いのではないでしょうか。縮小基調の中で必要なのは、目指す姿と同時に、「最小達成義務」なのではないかと考えます。道の見解を伺います。

 

<答弁>

・道では、5年を期間とする総合戦略において、

 現状の数値を基準とした各種の数値目標やKPIを設定して取組を進めてきている

・こうした短中期的な見地から設定した数値目標の達成に向け、

 毎年度、進捗状況を検証しつつ臨機に必要な見直しを行い、各般の取組を着実に進める

 

 

   必要な政策と見直しの危機について

次に、必要な政策と見直しの危機について伺います。

先のレポートでは、北海道が元気になるために欠かせない絶対条件は、域際収支の改善であると唱えています。それは、他地域に先んじて結果を残すことが出来ている農業、観光、エネルギー等の分野をより成長産業化していくことであるとしています。

これらについては、道によって既に十分に取り組まれてきた産業でもあり、とられてきた政策を推進させていくことは言うまでもありません。

しかし、人口減少と高齢化が想定以上に進んでしまう中で、就業者数の減少は顕著に進んでしまいます。持続的な経済成長を図っていくためには、道内総生産が就業者数と労働生産性に分解できるのであるから、労働生産性の改善が急務であると指摘されているのです。特に、小売り、運輸や建設、そして北海道の戦略産業である観光業の労働生産性の改善が必要であるとしています。

更に、現在、域際収支が大きなマイナスとなっているのは、輸出産業の集積・生産力が全国に比べて見劣りすることが大きな要因となっていて、道外・海外から稼げる産業の発掘、育成、強化が永続的な課題となります。

こうした中で、訪日外国人観光客の急増による道内での消費増加により、サービス輸出は著しく増加しています。そのまま域際収支の改善、道内総生産の増加に寄与しているのです。

道内においては、域際収支に拘った政策の展開によって、民間投資を喚起および呼び込むための戦略的な取組みが、北海道にとって喫緊の課題であると断言できます。

圏域外から稼ぎ出す力である域際収支は、そのまま地方創生の活性を計るバロメーターであるといっても過言ではありません。

 知事は、北海道の域際収支の改善についてどのように考えているのでしょうか。

これまでの質問を通しながら、知事が捉えている危機感についてと、その危機に立ち向かう為に必要な政策とその見直しについての展望と見解を伺います。

 

 

<答弁>

・本道の強みである食や観光、エネルギーなどの地域資源を活かした産業振興や

 インバウンドによる消費拡大など域際収支の改善に寄与する地域経済の活性化

・人口減少下においても、将来にわたり、心豊かに幸せに暮らし続けられる地域の実現

 を見据えることも必要

・私としては、

  ・人口減少が地域に与える様々な課題への対応について道民の皆様と

 その危機感をしっかりと共有

  ・道内179市町村とのスクラムを一層強化

  ・ 北海道を応援してくださる多くの方々の力も取り込みながら、

 北海道創生の実現に向け、全力で取り組む