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2019/09/19

令和元年9月 第三回定例会 一般質問 「家畜排せつ物の利用促進計画について」

この質問は、未来の私たちにとって「新・エネルギー革命」とも言える大きなテーマとなっています。

その事実に気付いて頂ければ幸いです。

この課題についても、皆さんとお約束している「北海道の元気」の為に、必ずや実現させていきたいと決意しています。

※更に、近日中に動画による質問&答弁も試みたいと考えています。乞うご期待。

 

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B、家畜排せつ物の利用促進について

 次に、北海道家畜排せつ物利用促進計画について伺います。

農水省の畜産統計や畜産物流統計、そして、道による第7次北海道酪農・肉用牛生産近代化計画などを見ると、北海道については、飼育農家戸数は減少しているものの、飼育農家の大規模化によって飼育頭数は増加傾向にあるとされています。基より、北海道が国内に向けて担うその役割は決して少ないものではなく、農業立国を目指す私たちは、効率的な大規模化を実現し「稼ぐ農業」を実現させていかなければなりません。

そのような中で、北海道家畜排せつ物利用促進計画が平成28年3月に策定され、令和3年3月には次期の見直しを予定していて、令和2年度に検討を行うと承知しています。

 

   道内の状況について

最初に、道内において飼育頭数が増加するということは、自ずとその排せつ物の増加が必然であり、その処理については適切な有効活用と循環利用が求められます。

その発生量の将来見込みについて伺います。

 

<答弁>

・平成30年における道内の家畜排せつ物の年間発生量は、

 約2千万トンと推計され、その9割が牛由来。

 

・道内の家畜の飼養頭羽数は、今後とも微増で推移すると見込まれる。

 

・家畜排せつ物の発生量についても、微増していくと見込まれる。

 

・一方、1戸当たりの飼養頭羽数は、

 経営規模の拡大に伴い、着実に増加していることから、

 排せつ物の戸当たりの発生量は増加するものと見込まれる。

 

 

   家畜種別排せつ物の処理状況と課題について

次に、その処理状況と課題について伺います。

道内の家畜、いわゆる乳用牛、肉用牛、豚そして鶏、家畜種別によって排せつ物の適切な処理方法や利用促進に向けた課題は異なります。道は、これまで以上に生産性を高めた利用促進を実現させていかなければなりません。道によると、現段階で家畜排せつ物の量的処理や処理技術等について困っている状況にはないと聞かされておりますが、現場からは決してそのような状況ではないと聞かされるところです。

家畜種別排せつ物の処理状況と課題について伺います。

 

<答弁>

・道内において発生する家畜排せつ物のうち、

 約9割を占める牛では、堆肥や液肥として、農地に還元されているが、

 近年、バイオガスプラントにより

 電気や熱に変換して活用する動きもみられ、

 平成29年度は、発生量の6%程度が利用されている。

 

・豚では、堆肥化や浄化処理など、鶏では、肥料等として利用。

 

・家畜排せつ物の課題としては、牛では、1戸当たりの飼養頭数が増加し、

 排せつ物の処理量も増えていることから、

 堆肥舎など既存の処理施設の容量不足や、

 未熟な堆肥のほ場への散布が見られること、

 また、豚では悪臭の発生などがある。

 

 

   たい肥センターについて

次に、たい肥センターについて伺います。

道内の地域によっては、たい肥センターが設置され、排せつ物の有効な利用促進が進められているとお聞きしています。たい肥センターが設置されることになる理由と、それらの現状や課題について伺います。

 

<答弁>

・道内では、畜産農家と耕種農家が連携を図り、

 主に市町村やJAが中心となって、

 家畜排せつ物や稲わら、麦かんなどを原料に、

 良質な堆肥を効率的に生産する堆肥センターが、

 平成29年3月現在、51カ所で設置。

 

・堆肥センターでは、畜産農家や、耕種農家が堆肥を利用し、

 地力の増進を図っているが、

 施設の経年劣化による修繕費の負担増や従業員の不足、

 農家の離農等に伴い、計画どおり、堆肥の原料が集まらない

 などといった課題がある。

 

 

   本計画の見直しについて

次に、計画の見直しについて伺います。

家畜排せつ物のエネルギー利用促進に向けては、道内市町村や各地の農協、農家の皆さんと情報を共有すると共に、新たな技術開発や導入を実現させていかなければなりません。

特に、家畜排せつ物を「廃棄物」としてではなく、「生産物」として付加価値化させるこによって、農業経営のコストとしてではなく、農業収入源の一つとして対応させていかなければなりません。

既にこれまで取られてきたたい肥化支援の各施策や補助金によって、農業関係者のたい肥化への依存は大きいものとなっていて、エネルギー利用へ振り向けられる関心は薄く、更に、これまでの計画内で触れられているエネルギー利用についての部分は極僅かであるに過ぎません。それらが、これら有効活用拡大の障壁となっていることは事実です。

道が掲げる新エネルギー導入の加速化を推進させていくことにより、道内における農業収益力強化の有効策として、家畜排せつ物のエネルギー利用促進は欠かすことができないものとなるに違いありません。

本計画のエネルギー利用についての積極的な見直しと検討に向けた考え方を伺います。

 

<答弁>

・道が平成28年3月に策定した本計画は、

 国の基本方針等を踏まえ、

 家畜排せつ物の管理の適正化や利用促進に向けた

 基本的な考え方や推進方向を明らかにしたもの。

 令和7年度までの10年間を計画期間。

 

・計画においては、家畜排せつ物の利用目標の一つとして、

 「エネルギーとしての利用の一層の促進」を掲げており、

 道内各地でバイオガスプラントによる

 エネルギー利用の取組が進められている中で、

 来春に改定が予定されている国の基本方針を踏まえつつ、

 道としても今後の対応を検討してまいる。

 

 

   エネルギー利用の積極的な支援について

この計画によると家畜排せつ物については、たい肥化とエネルギー利用の両立による適正な処理と利用が求められています。しかし、道内では発生量に対して6%程度しかエネルギー利用が実現しておらず、現在、道が掲げる新エネルギー導入の加速化の観点からも、そこに期待される可能性は大きなものがあると見込めます。

計画の中で、規模の拡大によって処理施設の容量が不足し、応急的な対策を余儀なくされている状況がみられるとしているように、圃場の限界に留まらず高齢化や労働力不足なども相まって、たい肥化するにも限界があることを承知しています。

これまで処理高度化施設などへの支援によって適切な処理によるたい肥化を実現してきたように、これからはエネルギー利用に向けた積極的な支援を充実させることにより、発生量の増加が見込まれる排せつ物に対して、生産性が高い有効利用を推進させなければいけません。

知事の見解を伺います。

 

 

<答弁>

・近年、畜産農家では、1戸当たりの飼養頭羽数の増加に伴い、

 家畜排せつ物の発生量が増えており、

 地域からは、貴重な有機質資源やエネルギー源となる

 排せつ物の有効活用を図るための支援が求められている。

 

・道では、良質な堆肥の生産や適切な施肥管理、

 地域の実情に応じたエネルギーとしての

 一層の利活用を図るとともに、国に対しては、

 堆肥舎やバイオガスプラントなどの施設整備等に必要な

 予算の確保などについて要請。

 

・今後とも、家畜排せつ物の有効活用を積極的に推進しながら、

 環境負荷の少ない持続可能な酪農・畜産の確立に努めていく。