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2019/12/10

令和元年 第四回定例会 予算特別委員会 「農畜産物等の輸出拡大について」

二 農畜産物等の輸出拡大について

次に、農畜産物等の輸出拡大についてですが、

道では、第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略に基づき、2023年までに道産食品の輸出額を1,500億円、そのうち農畜産物・農畜産加工品の輸出額を125億円とする目標を掲げ、現在、輸出拡大に向けて取組を進めています。

TPP11や日EU・EPAの発効、日米貿易協定の締結などグローバル化が進展していく中で、本道農業の生産力や競争力を高めながら農畜産物等の積極的な輸出拡大を図っていくことが重要と考えますので、今後の取組などについて、以下、伺います。

 

(一)農畜産物等の輸出の現状について

今年の農畜産物等の輸出実績はどのような状況なのか、品目別に伺います。また、主な国別・地域別への輸出実績についても、併せて伺います。

 

<答弁>

本年度の輸出実績の状況についてでありますが、2019年の上半期の農畜産物等の輸出額は16億4千万円となっており、米や日本酒の輸出額が伸びたことによりまして、2018年と比べて1億9千万円増加したところでございます。

 品目別では、台湾、米国、シンガポールを中心に輸出している長いもは、収量が平年をやや下回ったことから、前年と比べ、8千万円減少の6億4千万円、米は、香港、米国、台湾、ベトナムなどに加えまして、昨年、輸出向け精米工場等が登録され、10月以降、道内港から中国への輸出が開始されたことなどによりまして、前年と比べ、1億1千万円増加の2億2千万円、日本酒は、香港での日本酒の需要が拡大し、輸出量が大きく伸びたことによりまして、前年と比べ、5千万円増加の1億6千万円、ミルク等は、香港などへのLL牛乳の輸出量が伸びたことにより、前年と比べ、4千万円増加の4億7千万円、牛肉は、シンガポール、ベトナムに加え、一時停止していましたアラブ首長国連邦向けの輸出が再開したことなどによりまして、前年と比べ、2千万円増加の3千万円となったところでございます。

 また、主な輸出先である国や地域では、香港が7億1千万円、次いで、台湾が3億4千万円、米国が2億8千万円、シンガポールが1億7千万円、中国が1億円となっております。

 

 

(二)輸出拡大に向けた道や産地の取組について

道では、農畜産物等の輸出目標125億円の達成に向けて、今年度、どのような取組を進めているのか、特に、輸出に取り組む産地づくりへの支援を行っていると聞いていますが、そのような地域では、どのような取組が行われているのか、併せて伺います。

 

<答弁>

輸出拡大に向けた取組についてでありますが、道では、米・日本酒・青果物・牛肉を重点品目に設定し、品目ごとに様々な取組を実施しており、米については、中国における展示会への出展やレストランでの個別商談会の開催、日本酒につきましては、フランスや香港における展示会や商談会への参加、青果物につきましては、台湾における高級スーパーや百貨店での店頭プロモーションや、輸送の効率化に向けた実証試験、牛肉につきましては、ベトナムにおける調理方法の工夫による試食商談会の開催などに取り組んでいるところでございます。

 さらに、関係団体と連携しまして、千葉県で開催されました国内最大級の輸出商談会であります「日本の食品 『輸出EXPO』」における北海道ブースの出展や、台湾からのバイヤーの招へいなどを実施しているところでございます。

 また、道では、長いもの輸出量の拡大に向けた新品種の導入や輸送時の品質保持のための包装資材の開発、米の輸出用多収品種の研究や、玄米調製施設の改修、相手国に応じた牛肉の処理加工施設の整備や販路開拓に向けた調査など、輸出に意欲的な産地の取組を支援しているところでございます。

 

(三)台湾での農畜産物等のPR活動について

道では、先日、道内のJA関係者などとともに、台湾で道産農畜産物のPR活動等を行ったとのことですが、具体的にどのような取組を行ってきたのか伺います。

これまでも、台湾には、本道を含め多くの都道府県から様々な農畜産物が輸出されており、輸出相手国としては成熟国とも考えられますが、今後の輸出拡大に向けて、どのような課題があり、どう対応していこうと考えているのか、併せて伺います。

 

<答弁>

台湾における輸出拡大に向けた取組についてでございますが、台湾は、本道の農畜産物等の輸出額の3割を占めます重要な輸出相手国でございますことから、道では、平成28年度から台湾におきまして、量販店などでの販売促進活動や高級スーパーにおけます常設売り場の設置、百貨店におけます北海道フェアの開催などを行ってきたところでございます。

 こうした中、台湾におきましては、残留農薬基準などの検疫条件や輸出手続きへの対応、さらには、国内外の産地との競争が激しいことが課題となってございます。

 道といたしましては、こうした課題に対応いたしまして、道産農畜産物等の輸出を拡大するため、輸出規制の撤廃や緩和を国に要請しますとともに、プロモーションや商談会の開催によりまして北海道の安全・安心な農畜産物のさらなるPRに努め、輸出に取り組む産地を支援してまいります。

 

 

(四)新興産地等のPR活動について

道内の産地では、農畜産物等の輸出拡大に向けて、様々な取組が進んでいますが、輸出の取組を始めたばかりの新興の産地からは、地元産品の海外への売り込みを行おうとしても、単独では、勝手がわからずに厳しい状況があるとの声も聞かれます。

今回の台湾でのPR活動では、世界中の輸出入のバイヤーが一同に集まるイベントが開催されるとの情報をキャッチして参加したと聞いていますが、このことは、台湾だけでなく、世界中から食のプロが集結する一大イベントであり、こうしたイベントに、道内産地が結集して出展するなどの取組を進めることが、新興産地の輸出拡大のきっかけにもなると考えます。

今後、このようなイベントなどにおいて、産地の関係者と連携してPR活動を行っていくことが、農畜産物等の輸出拡大に向けた重要な取組と考えますが、道の見解を伺います。

 

<答弁>

産地と連携した輸出拡大の取組についてでありますが、新たに輸出に取り組もうとする産地におきましては、海外から求められるニーズや市場動向、検疫条件や輸出手続、輸出事業者など、様々な情報の把握が不可欠なことから、道では、国の事業などを活用して、輸出診断に基づく専門家によるアドバイスや、必要な情報の提供を行っているところでございます。

 道としましては、今後とも、関係団体や輸出関連企業等と連携し、国内外で開催される展示会や商談会、販路開拓に向けたプロモーションなど様々な機会に意欲的な産地が参加できますよう、輸出に取り組みやすい環境を整えてまいります。

 

(五)今後の対応について

台湾を始め、中国へのコメや、米国への牛肉の輸出など、新たな市場や品目が拡大している中で、一層の輸出拡大に向けて、相手国となる様々な国や地域の文化、食生活などの状況をしっかりと見極めながら、チャレンジしていくことが重要と考えます。

農畜産物等の輸出目標125億円の達成に向けて、今後、どのように取組を推進していく考えなのか、所見を伺います。

 

<答弁>

輸出拡大に向けた今後の取組についてでございますが

 日本とは異なる食文化や食習慣を有する諸外国への道産農畜産物等の輸出拡大に向けましては、その国々の嗜好に合った品目を選択して、その品目の特性を活かした調理方法や食べ方の周知と併せたプロモーションなどを実施することがさらなる需要の創出につながるものと認識してございます。

 このため、道では、「第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略」におきまして、米や青果物、牛肉、日本酒を重点品目として位置付けており、例えば、米については、炊飯方法の実演による商談会を開催するなどし、 国ごと、品目ごとに市場ニーズを分析し、ターゲットを絞りながら戦略的に輸出の拡大に取り組んでおります。

 道といたしましては、今後とも、関係団体や輸出関連企業等と連携をし、展示会や商談会などによりまして、世界から信頼される北海道ブランドの認知度を高めながら、海外市場を積極的に開拓してまいる考えでございます。

 

 

<指摘>

この質問に関しては、指摘を加えさせていただきます。

これらの問題は、台湾が、わりと出てきましたが、台湾に限った課題ではないと捉えてはおりますが、今回の質問について、理事者と意見交換をする中で、2023年まで道産食品の輸出額を1,500億円にすると、そのうち農畜産物・農畜産加工物の輸出額を125億円にする目標であるとのことは伺っております。

申し上げておきたいことは、例えば、この125億円の内訳をどの国に、何をどれだけ輸出する戦略をとっていくのか、いわゆるセグメントされた目標額を設定しなければならないということであります。

さらに言うと例えば、私たちの北海道は台湾からどれだけの台湾産食品を輸入し、農畜産物・農畜産加工物の輸入を行っているのかと問い合わせたところ、把握ができていないとのことでもありました。

輸出・輸入は、商売でもあります。それは等価でなくても相互交流であることは間違いありません。

観光客数を伸ばそうと期待する時に、さらには道産食品輸出を伸ばそうと期待する時に、一方的な増進のみを見込むことは無理があり、摩擦や軋轢を生んでしまうことに繋がります。

それは歴史が教えてくれることであります。

まずは、相手を知ること。その国から、地域からどれくらいの人と物が流れ混んでいるのかを相互に行き来があるのかを把握することが欠かせません。

その上で、何をどれだけ伸ばしていくのか国家間や地域間で相互に売り込んでいくことが必要です。

そのために必要な手立ては、戦術は千差万別であります。

ただ125億円分の輸出をしたいとPR等を重ねれば、実現すると信じることは、自己中心的な妄想でしかありません。

行政として自制してしまったり、自ら一線を画してしまうことは、攻める行政が求められる未来にとって足かせにしかならないのであります。

同時に、国内には、46都府県が存在し、それらは競合先であることを意味します。

地域間競争を勝ち抜いていかなければならず、そのような中でも北海道が優位性を保っていることに議論を待ちません。

だからこそ、道内の生産体制、相手国等の状況、情勢の変化を敏感に察知し、適宜、的確に後押ししていなければならないのです。

道は受け身であってはいけません。

これまでの行政手法に満足することなく、可能な限り、民間感覚で政策を推進していかなければ、目標の達成はおろか、その先の道を道民に示していくことはできません。

セグメントとされた個別目標に対して、必要な手段を講じることができるように国や民間そして相手国や地域と交流を深めながら、力を合わせて、元気あふれる北海道を実現して欲しいと強く要請をしておきます。