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2019/12/10

令和元年 第四回定例会 予算特別委員会 「収入保険について」

三 収入保険について

次に、収入保険についてですが、

今年は、台風15号や19号、21号の本州上陸などにより、全国各地で大きな農業被害が発生しており、現在もその復旧に向けて、懸命な作業が進められています。

幸い本道では、台風等による大きな農業被害もなく、天候にも恵まれたこともあり、農作物の作柄は概ね良好となっています。

農業は、自然災害や天候などによる収穫量の減少だけでなく、農産物の需給状況などによる価格変動の影響も受けることから、国は、新たに収入保険制度を創設し、農業共済制度と併せて、農業者のリスク軽減を図ることとしています。

9月の農政委員会でも、我が会派の同僚議員が収入保険について伺いましたが、改めて、収入保険制度の現状について、何点か伺います。

 

 

(一)収入保険の加入状況について

今年1月から受付が始まった収入保険制度について、本道の加入状況はどのようになっているのか、全国の状況と併せて伺います。

 

<答弁>

収入保険の加入状況についてでありますが、農林水産省は、本年10月に、8月末現在における収入保険の加入実績について、都道府県別に、青色申告者数を基に設定された「加入推進目標」、「加入実績」、目標に対する「加入割合」をそれぞれ公表したところでございます。

 それによりますと、本道は、6,440経営体の目標に対して、1,360経営体が加入し、割合が21パーセント、全国では10万経営体の目標に対して、22,543経営体が加入し、割合が23パーセントとなっております。

 

(二)都府県における状況について

全国の状況について、都府県別に見ると、どのような地域で加入実績が高くなっているのか、また、その要因は、どのようなところにあると分析しているのか、伺います。

 

<答弁>

都府県における加入実績などについてでありますが、農林水産省の発表では、愛媛県が、2,000経営体の目標に対して実績が1,389経営体で割合が69パーセントと最も高く、次に青森県が、2,580経営体の目標に対して実績が1,627経営体で割合が63パーセント、次に島根県が、910経営体の目標に対して実績が519経営体で57パーセントとなっております。

次いで、秋田県、大分県の順となっております。

 農林水産省によりますと、加入率の高い要因としまして、愛媛県や青森県にあっては、収入保険の方が果樹共済よりも補償割合が有利であること、島根県、秋田県や大分県にあっては、今年度の共済掛金が上昇し、収入保険に割安感が出たことを挙げております。

 

(三)他制度からの移行と品目別加入状況について

これまでの共済制度やナラシ対策などから、収入保険に移行している状況はどのようになっているのか、また、収入保険の品目別の加入状況はどうなっているのか、伺います。

 

 

<答弁>

他制度からの移行状況等についてでありますが、農林水産省が公表した本年4月末現在の移行件数は、ナラシ対策からが7,811件、果樹共済からが4,573件、野菜価格安定制度からが4,427件、畑作物共済からが2,588件となっております。

また、本年8月末現在の品目別の加入状況は、米が14,494件、野菜が10,503件、果樹が6,856件、豆類が3,057件、麦類が2,974件、花きが1,253件などとなっております。

 

(四)本道の加入実績の受け止めについて

安定した農業経営を進めていく上で、収入保険を有効に活用していく必要があると考えます。

制度発足1年目ですが、本道の加入実績を、道は、どのように受け止めているのか、伺います。

 

<答弁>

加入実績の受け止めについてでございますが、本道においては、加入経営体数が1,360と全国で三番目に多い一方、目標に対する加入実績の割合は21パーセントと、全国平均の23パーセントとほぼ同水準となっております。

 本道では、共済制度やナラシ対策などの類似制度への加入率が高く、加えて、昨年は災害による共済金の支払を受けたことで、様子見となった農業者も多かったと考えられているところでございます。

 引き続き、農業者が適切な制度を選択できるよう、収入保険の周知を進めていく必要があると考えております。

 

(五)加入の促進に向けて

9月の農政委員会では、「農業者が無保険の状態とならないよう、様々な機会を捉えて、共済制度を含めて、収入保険の周知に努める」との答弁がありましたが、その後、加入促進に向けて、どのような取組を行ってきたのか、伺います。

 

<答弁>

 加入促進に向けたこれまでの取り組みについてでございますが、収入保険に関心が高かった道央・道南地域において収入保険の周知を効果的に進めるため、本年10月から11月にかけて、空知、石狩、後志、檜山、上川の各振興局において、道と農業共済組合及び北海道農業共済組合連合会との意見交換を実施し、道から共済組合に対し必要な情報提供を行うとともに、園芸施設共済とセットで収入保険の周知を行うとしたところでございます。

 また、これと併せ、収入保険を選択した農業者から、加入理由などの聞き取り調査を実施するとともに、各振興局や普及センターの職員に対し、収入保険の見直し内容などの情報共有を行ってきたところでございます。

 

(六)今後の対応について

自然災害による農業被害や、農産物等の需給緩和等による価格変動など、農業者の経営リスクを軽減するためには、収入保険は重要な制度であると認識しており、積極的な制度周知と普及を図っていくことが重要と考えます。

道では、今後、収入保険の加入促進に向けて、どのように対応していく考えなのか、所見を伺います。

 

<答弁>

 今後の対応についてでございますが、収入保険は、品目の枠にとらわれずに、自然災害による収入減少だけでなく、価格低下なども含めた様々なリスクによる収入減少を補てんする保険でございまして、近年、災害への備えの重要性が増す中で、収入保険の積極的な理解を図っていく必要があると認識をしてございます。

 国は本年9月、補償金額を小さくする代わりに、掛金の安いタイプを追加する見直しを行った中で、道といたしましては、まずは収入保険への関心が高かった道央・道南地域への重点的・効果的な普及推進活動を行い、それ以外の地域につきましても、収入保険に係る最新の動向を情報提供するなど、農業者が無保険の状態とならないよう、引き続き、様々な機会をとらえ、関係機関・団体と連携をいたしまして、共済制度を含めて、収入保険の周知に努めますととともに、北海道農業共済組合連合会などと情報交換を行いながら、必要に応じて、制度の充実などを国に求めてまいりたいと考えてございます。