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2019/12/10

令和元年 第四回定例会 予算特別委員会 「動物衛生検疫協定について」 ※重要

四,動物衛生検疫協定について

 外務省の発表によると、日本産牛肉の対中輸出を再開することで、両国政府は、25日、「動物の衛生及び検疫における協力に関する日本国政府と中華人民共和国との間の協定」(以下、日中動物衛生検疫協定)に署名したと発表しています。

 中国は、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生を受けて、2001年から輸入を禁止してきました。再開されると、20年振りとなり、国内は基より道内の畜産農家にとっても朗報と言えます。

 

   動物衛生検疫協定について

まず、この動物衛生検疫協定とは、どのようなものであるのでしょうか。これまでどのような協議を経て本協定の署名に至っているのかについても教えて下さい。

 

<答弁>

動物衛生検疫協定についてでございますが、外務省の公表によりますと、本協定は、国境を越えた動物疾病の管理における、日中間の協力強化を通じ、動物及び動物由来の製品の安全な取引を促進することを目的として締結されたものでございます。

 協定の締結により、牛肉などの畜産物の対中輸出解禁に向けた両国間の調整の加速化が期待されますとともに、両国における疾病の発生等について、相互に情報を提供することが規定されており、より確実な水際検疫体制の構築に寄与するものと認識をしております。

 なお、協議経過につきましては、平成30年12月6日に第1回政府間交渉を開催して以降、これまで3回の交渉を重ね、平成31年4月14日の日中ハイレベル経済対話におきまして、日中両国政府が合意に至り、令和元年11月25日に署名されたと承知をしております。

 

 

   他国との協定締結状況について

今回は中国政府との協定ですが、他国との実績はあるのでしょうか。過去に類似の協定等が結ばれた事例について教えて下さい。

 

<答弁>

他国との協定締結実績についてでございますが、農林水産省に確認したところ、動物の衛生及び検疫における協力に関する協定につきましては、中国以外の国と類似の協定等が締結された事例はないと聞いているところでございます。

 

   他国との協定締結へ向けて

本協定は対中国との協定ですが、他国との協定に至るには、どのようなか課題が存在し、どのような対応や協議が必要で、どの位の時間を要するものであるのか、見解を伺います。

 

<答弁>

他国との協定締結についてでございますが、農林水産省によりますと、日中動物衛生検疫協定は、食肉等の安全な取引を促進するため締結したとのことであり、中国以外の国と締結した実績はございませんが、このたびの例では、第1回の政府間交渉から署名に至るまで、約1年を要しているということでございます。

 

   本協定が道内に与える影響について

道は、この協定が道内の畜産農家に与える影響についてどのように捉えているのでしょうか。見解を伺います。

 

<答弁>

畜産農家に与える影響についてでございますが、本協定の締結により、牛肉をはじめとした畜産物の対中輸出の解禁に向けた両国間の調整が始まり、様々な協議などを経て、将来的に中国への輸出が可能となれば、道産牛肉等の輸出拡大に大きく寄与することが期待されまして、畜産農家をはじめ関連産業に大きな経済波及効果があるものと認識してございます。

 

 

   道の必要な対応について

本協定を受けて、道は、国や道内の事業者に対して、どのような対応が必要となってくるのか、来年度予算措置を含めた対応について見解を伺います。

 

<答弁>

必要な対応についてでございますが、農林水産省に確認したところ、本協定により対中輸出が解禁に至るまでには、今後、中国が我が国のBSE・口蹄疫の禁止令を解除した上で、両国による食品衛生に関する評価や、と畜場などの施設の認定、輸出に関する条件や証明書の様式に関する協議等を行う必要があると聞いているところでございます。

 道では、今後、両国間の交渉の状況を注視しながら、輸出が可能となった際には、速やかに輸出が開始できるよう、必要な対応を検討してまいる考えでございます。

 

   道内のこれまでの実績について

道内では、本年10月、香港向け道産牛肉輸出のための肉処理施設の認定が行われたと承知しています。その経緯と本協定の違い、更に、取扱実績量や見込量等について教えて下さい。

 

<答弁>

香港向けの牛肉輸出施設についてでございますが、香港へ牛肉を輸出するためには、香港食物環境衛生署との協議により厚生労働省が策定をいたしております「対香港輸出牛肉の取扱要綱」に基づき、と畜場等について、国の認定を受ける必要があります。

 道内におきましては、この認定を受けるため、帯広市内で、と畜場を運営しております事業者が本年8月に申請を行い、10月3日に牛肉の香港輸出が可能な施設として道内で初めて認定を受けたところでございます。

 現在、厚生労働省では、実際の輸出開始に必要となる香港からの登録通知を待っているところでありますが、今後、事業者における道産牛肉の輸出が円滑に進んでいくよう、道としては、輸出に必要となる衛生要件の確保や食肉衛生証明書の発行等に努めてまいる考えでございます。

 

   道内で対応可能な種について

特筆すべきは、本協定には、家畜のみならず鳥獣類や野生の動物も含まれていることです。道内での対応種は多いと見込まれます。牛肉のみならず、どのようなものが見込まれることになるのか伺います。

 

<答弁>

 本協定の対象についてでございますが、本協定の対象は、動物及び動物由来の製品とされ、動物は、家畜、家きん、鳥獣類、野生の動物など、動物由来の製品は、肉、原皮、いわゆる皮だとか、内蔵などが定義されてございまして、牛肉をはじめ、豚肉、羊の肉、鶏肉、エゾシカ肉などが該当するものと考えられてございます。

 

   ジビエ対応への課題について

海外におけるジビエ需要については旺盛なニーズが期待されるところです。

特に、エゾシカの場合の課題について、どのような対応が必要になると具体的に想定されるのか、見解を伺います。

 

 

<答弁>

 エゾシカ肉の輸出についてでございますが、道では、これまで、エゾシカの有効活用を推進するため、高度な衛生管理を行うエゾシカ肉の処理施設を認証する制度を創設し、安全・安心の確保に取り組んできたところでございます。

 エゾシカを食肉として輸出するためには、相手国との合意や安全性を確認するための手続きが必要となりますが、現段階では具体的な手続き等が国から示されていない状況にありまして、今後、こうした所要の環境が整い、輸出が可能となった場合には、本道独自の衛生管理基準に基づいて処理されたエゾシカ肉の販路拡大に繋がることも期待できますことから、道としては、今後、国の動向を注視しながら、エゾシカ肉のブランド向上に努めてまいる考えでございます。

 

   道の期待と意欲について

道として、今後、道産食品輸出の拡大へ向けて、中国のみならずアジアや欧米、世界へと市場を拡大していく必要があります。

しかし、協定は政府間交渉であるために、道の一存では何も進めることが出来ません。道は、国の働き掛けや海外マーケットへの直接的なアプローチについて、今後の展望をどのように見込んでいるのか、道の期待と意欲について見解を伺います。

 

<答弁>

 道産農畜産物等の輸出の拡大についてでございますが

 先月、日本と中国の両政府は、「日中動物衛生検疫協定」に署名し、今後、動物衛生や食品衛生などの協議が進められ、牛肉などの畜産物の輸出環境が整えられることが見込まれております。

 道では、「第Ⅱ期北海道食の輸出拡大戦略」におきまして、牛肉や米などを重点品目として位置付けており、新たに米国向け輸出可能施設が認められた牛肉については、米国でのテスト販売やベトナムでの商談会の開催、昨年、中国向け輸出の精米施設等が登録された米につきましては、中国や香港、米国などでのプロモーションや商談会の開催など、販路拡大に取り組んでおります。

 道といたしましては、今後とも、国家間交渉に基づく相手国の規制の撤廃等について国に要請してまいるほか、重要な輸出先国として期待される中国などにおきまして、今後、畜産物の輸出が可能となる好機を想定し、円滑な輸出に向けた取組を先んじて進めるなど、関係団体や輸出関連企業等との連携のもと、北海道の認知度を高め、新たな市場を開拓するために、海外におけるプロモーションや商談会を積極的に開催しながら、一層の輸出拡大に努めてまいります。

 

<指摘>

ありがとうございました。一連の質問としては、これで終わりなんですが、最後にまた指摘をさせていただきます。実は今回質問することとなりました、この日中の動物衛生検疫協定、この存在を知ったのはごくごく最近でありまして、11月25日に協定署名と、このほぼ当日にですね、存在を知ることになりました。このときに驚いたわけであります。もちろん、中国というですね、14億の胃袋に対して、私たちの安心で安全な牛肉を、さらには、様々な動物と規定される様々な食品を輸出できるようになるということは、非常に大きな私たちにとっての希望、期待となるからであります。これまで様々なですね、道内業者の皆さんが挑戦しようとしてきても、実現できなかったことであります。もちろんこれは対中ということでありますが、今後、アジアに、先ほども申し上げましたけれども、欧州に、牛肉をはじめとする様々な動物を、エゾシカをはじめとする様々なジビエをですね、輸出をしていく環境を整える、これが私たちにとっての活路であると信じますので、お願いをしたいところでありますし、ひとつ気になるのはですね、答弁の最中に国の動きを注視してまいるということがたくさん出てまいりました。私はですね、注視では不足だと思うんですね。道のみなさんには、積極的で、いや、もっと前のめりでできることは今からどんどんと取り組んでまいることが必要なんだと思います。国の予算がつかなければ、道が動けない、これはナンセンスであります。予算ならば取りに行けばいい、どうしても必要なものであればですね、民間とタッグを組みながらPRをしていくことは可能であります。先手を打って、先の先を打ってですね、125億のまずは達成を、その先を、その先の道をですね、道民に示していただきたいと思うところであります。ありがとうございました。