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2021/03/10

令和3年北海道議会第一回定例会 一般質問 「エネルギー政策による北海道の活力の創出について」

この質問は、初当選以来、北の元気玉が「新エネルギー導入の加速化」について取り組んできた成果について鈴木知事に質したものです。

①地域産業の課題を解決しながら地域内で「再生可能エネルギー燃料」を作り出す。

②地域内で発熱電を行い、作り出した電気や熱を地域内で消費する。

③地域内で消費する分には、富を囲い込める。(流出しない)

④更に、再生可能エネルギー事業の実証試験等を呼び込みやすい政策を展開し、地域内に事業を誘致する。(雇用が生まれる)

⑤伴って地域内で消費する以上の再生可能エネルギーを作り出すことが可能となり、その分は域外に売ることが可能となる。

⑥地域外に売った再生可能エネルギーは、その地域に富を呼び込むものとなる。

これらを可能にする技術が「マイクログリット」なのです。

このマイクログリッド技術を、道自らが推進させることに舵を切ることによって、系統接続が脆弱であるが故に進まなかった

新エネルギー導入の加速化を推進させることが可能となるのです。

北の元気玉は今後も積極的に取り組み、道民の皆さんに安価で安定した「再生可能エネルギー」を使った暮らしをお届けします。

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エネルギー政策による北海道の活力の創出について

最初に、エネルギー循環型社会システムの実現が急がれる視点から、この質問をさせていただきます。

道は、昨年3月に、2050年までにゼロカーボンの実現を宣言し、更に2030年に目指す姿を具体化させています。それが、次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定であります。

新エネルギー導入の加速化については、前知事の段階から取組まれてきているものであり、それらを一層推進させていく為の道程を明らかにしているものと承知しています。

私は、これまで一般質問等の機会を通じて提案してきたところでありますし、国や道が目指す姿に同意できるものではありますが、その手段としての政策・施策が不十分であることを議論させていただいて参りました。

そこで、今回は、次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定が進むこのタイミングで、知事に質問させていただきます。

行動計画では、目指す姿の実現へ向けた「3つの挑戦」を明らかにしています。それぞれについて課題を明らかにし、達成へ必要な行政の取組みを加えて頂けるように要請させて頂きます。

①多様な地産地消の展開について

はじめに、多様な地産地消の展開について伺います。

エネルギーの多様性や循環型社会システムの構築を活かすためには、その地域でのマイクログリッド技術を確立することが必須です。それは、域内経済の自立と強化に直結します。

また、道内に限らず系統接続の脆弱性によって不自由を極めている事業環境を改善していく為には、系統インフラの整備も欠かせませんが、同時にマイクログリッドの実現による地産地消のエネルギー環境を整えることの方が、自然災害等による非常時電源確保の実体に即したものとなり得るのです。広範な送配電線網のデメリットを目の前に突き付けられたのが、2018年北海道胆振東部地震によるブラックアウトの経験だったのではないでしょうか。

これまでに何度も主張してきていますが、非常時電源の確保に躍起になるよりも、マイクログリッドの実現によって事業環境整備を推進することの方が、理に適っていることに議論の余地はありません。

道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。

<答弁>

 マイクログリッドについてでありますが、道は、次期「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」において、さまざまな新エネルギー等を活用し、地域単位でエネルギーの需給を管理し、活用する、需給一体型の分散型エネルギーシステムの構築・展開を促進することとしており、構築にあたっては、災害時を含めた電力の安定的な確保とともに、これまで域外に流出していた資金を地域内で循環させ、経済の活性化につなげていくことが重要と認識。

 このため、道としては、取組を進める上で課題となっている電力の制御技術の高度化や発電設備の立地手続きの迅速化などについて、国に対応を要望するほか、地域におけるマイクログリッドのモデル形成に向けて、計画づくりを支援し、その成果を全道に普及するなど、地域における多様な地産地消の取組を促進してまいる考え。

②「エネルギー基地北海道」の確立に向けた事業環境整備について

次に、「エネルギー基地北海道」の確立に向けた事業環境整備について伺います。

自然エネルギー源の賦存量が豊富な北海道では、さまざまな先進技術の取り込みと実証試験地としての体制整備、特区化を見込んだ政策展開が必要となります。

しかも、道内のいずれかに集積すれば良いものではなく、地域の特性を活かし、且つ地元産業の課題解決をセットにしながら、各所で実施されることが必要であると考えています。

これらの実現へ向けた厄介なポイントは、様々な規制や担当する知事部局が横断してしまう民間事業者にとっての不自由なのであります。特に、新エネルギー事業にとっては、経済部と農政部、水産林務部、時に環境生活部、カウンターパートとしての登場部署や人物が多過ぎます。既に、その産業界にとっては常識である法律や条例、規制や規則も、産業界を跨いだ新技術の確立のためには、障害でしかないことが多々見受けられるのです。

よって、さまざまな先進技術の取り込みと実証試験地としての体制整備、北海道の特区化を実現させることで、それらの障害を調整することができる環境が整うことになります。実証地はそれぞれであるべきですが、調整機関は集積させることが可能です。

道の役割は、調整機関と民間事業者が取組む事業の実現へ向けたバックアップなのであり、既に存在する規制の適応に腐心することではないのです。

道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、ここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。

<答弁>

 エネルギー関連プロジェクトの誘致などについてでありますが、次期「行動計画」においては、本道の豊かな新エネルギー資源を最大限活用し、道内はもとより、国に電力を供給し、地域経済の好循環に結び付けていくため、「エネルギー基地北海道」の確立に向けた取組を進めることとしている。

 このため、道では、本道の特性を活かした、風力発電や水素関連などの、大規模新エネルギー開発プロジェクトや国や企業などの実証事業の誘致、受入を進め道内企業に先端技術を普及していくとともに、実証事業に必要となる制度面の課題を解消するため、国に対し、規制の緩和を提案、要望していくほか、新たに、新エネルギー導入に関するワンストップ窓口を設置し、庁内関係部局が連携して、課題や要望に対応する体制を強化してまいる考え。

③省エネ促進・新エネの開発の導入と一体となった環境関連産業の振興について

次に、省エネ促進・新エネの開発の導入と一体となった環境関連産業の振興について伺います。

言うまでもなく、広大な北海道においては、その地域や根付いている産業の特性を活かした展開を欠かすことは出来ません。更に、民間事業者のみならず、自治体や地域住民の理解と協力は、定着と継続が必要なこの取組みには不可欠なのであります。

特に新エネルギーの世界では、日進月歩で技術開発が続いていて、私たちの国や地域に提案され、採用されたとしても、製造・設置・稼働した段階では、更なる新技術が生み出されていることは日常茶飯事であるのが実態です。

道は、広大な北海道であるからこそ、積極的に世界の新技術の取り込みに挑戦し易い環境を整備して、民間事業者を支援していく必要があります。

環境関連産業の振興を実現させなければならないのであるならば、道として、民間事業者と協力しながら、新旧技術のデータベース化とその経過と結果、地域のニーズの把握を行い、マッチングや事業推進支援を行わなければならないと確信しています。

これまで、経済部では、自治体が取り組む北海道新エネルギー導入加速化基金をはじめとする施策を講じてきましたが、いずれも自治体ベースとなっていて民間事業者にとっては使い勝手が悪く、技術の進歩に追い付くことの出来ない状況となってしまっています。

道の支援とは、補助金ばかりなのではなく、部局を横断できるフレキシブルさと規制の突破なのであり、もはや道自身では気付きづらく、事業者等からの要請を受付け、解決させていくことが望まれる支援となり得るのです。

道には、このような場を提供する必要があると考えていますが、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、更にここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。

<答弁>

 環境関連産業の振興についてでありますが、環境関連産業は、従来の省エネルギー、新エネルギー設備に加え、地域マイクログリッドの構築に資するデジタル制御技術といった先端技術の開発などにより、今後の市場の拡大が期待される産業であり、省エネや新エネの開発・導入と、国内外からの投資や道内企業の参入などによる環境関連産業の振興を一体的に推進し、地域経済の好循環につなげていくことが重要と認識。

 このため、道としては、省エネや新エネに関連する企業の投資や立地を促すほか、道総研などとも連携し、新たに、企業や自治体が抱える新エネ導入に関する課題や要望に対応するワンストップ窓口を設置し、道内各地における新エネを利用した取組の状況に加え、技術相談や支援制度などに関する情報提供を行い、事業化につなげていくとともに、環境関連事業に取り組む企業に対し、構想段階から技術開発、販路拡大まで総合的に支援するなどして、企業の皆様の声に耳を傾けながら、環境関連産業の振興に取り組んでまいる。

④目指す姿の実現によるエネルギーの主力産業化について

次に、目指す姿の実現によるエネルギーの主力産業化について伺います。

このマイクログリッドの技術の確立は、系統接続の脆弱性によって不自由を極めている北海道にとって、飛躍的な新エネルギー導入の加速を実現させることにつながります。

マイクログリッドの技術のほとんどは、該当する地域内の電流と電圧を制御する技術といっても過言ではありません。現在では、北海道電力が道内を一括して制御している状態ですが、その地域を独立させて制御することが出来るならば、道内のいずれの地域でも系統接続することが可能になると承知しております。

更に、FITによる売電は、設備資金の償却に大きく貢献する制度となっていますが、例えFIT制度を利用しなくとも、その地域で長期間にわたって売電できるマイクログリッドであれば、道内で販売される電気料金並みの価格を実現することが可能です。

まさしく地産地消であり、地域に根ざした産業との連携が可能であり、域内経済の強化に直結させることが出来る、目指す姿の実現がそこにはあるのです。

更に、売熱を組み合わせることによって、発電のみであれば投入したエネルギーの3割弱しか電気に変換することはできませんが、排熱とされていた6割程度の発熱を有効利用することで売電価格を低減させれば、循環型社会システムの完成を成し得ることが可能です。

現在、系統接続が出来ない道内のほとんどの地域では、結果として新エネルギーを発熱として利用することしか出来ない有様です。それは、あまりに非効率です。

これら北海道の系統接続の充実を待たずして推進できる技術が、マイクログリッドということだと確信しています。道こそが、率先してマイクログリッド技術の確立に舵を切るべきです。それらを確立させたうえで、エネルギーの主力産業化を実現させるべきと考えます。

道には、農業・観光業に続くエネルギー産業を北海道の主力産業とするために、この度の策定等において、またもや、ここにも発想の転換が求められています。知事の見解を伺います。

<答弁>

    新エネルギーの活用に向けた技術開発等についてでありますが、マイクログリッドを含む需給一体型エネルギーシステムの構築に向けては、地域特性に応じた新エネを活用した発電や、それに伴う熱の有効利用はもとより、デジタル技術を活用して電力の需要と供給を双方向で調整するといった新たな技術の開発や、太陽光発電や蓄電池などの分散型エネルギーリソースの家庭や事業所への導入促進が必要。

 このため、道総研では、木質バイオマスや温泉熱など未利用資源を活用したエネルギーの地産地消に関する技術開発や利用モデルの構築などに取り組んでいるほか、道としても、環境関連産業への参入を希望する企業の技術開発を支援するとともに、来年度新たに、家庭や事業所に向け、分散型エネルギーリソースの導入メリットを調査・PRすることとしており、地域特性に応じた需給一体型エネルギーシステムの構築と展開を促進してまいる。

⑤国内の地域新電力の取組みについて

最後に、国内の地域新電力の取組みについて伺います。

マイクログリッド技術による国内における地域新電力の取組みについては、地方自治体が主体となった地域PPSは現在30ヶ所程度が立ち上がっていて、検討されている自治体に至っては86ヶ所であると報じられています。国の意向を踏まえると、全国で100ヶ所程の地域PPS事業が立ち上がる見込みと承知しています。

この地域PPSは、新エネルギーの導入を加速化させるばかりか、電気料金等として地域外に流出している富の一部を地域内に留めるためのダム機能となるべく設立され、得られる利益相当分は、地域振興は基より、人口減少対策など公益的な事業に還元させていくことが可能です。官と民の中間のポジションを取りながら、その時々に合った地域課題に柔軟且つ民間ならではのスピード感をもった取組みを推進させていくことが出来るとされています。

これらは既に確立されている技術であり、自然エネルギー源の宝庫であることを謳ってきた私たち北海道にとっては、これまで実現できていないことが滑稽にさえ映る有り様だと考えています。

道は、地域の新エネルギーを集約して、まずは地域に提供し消費できるようにし、消費以上に生産された新エネルギーを域外にもたらすことによって「富」を獲得する取り組みを、知事と道が先頭に立って、導入し易い環境を整えていく必要があると考えています。

知事。私たちは、既に待ったなしの状態に突入している人口減少や、コロナ禍で痛み尽くしている地域経済の立て直しの為に、即効性の高い政策と施策を次々に投じていかなければならないのです。

次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定によって目指す姿を示すことも必要ではありますが、これまで質問してきたように、概念的な構想に留まるステップは、とうに過ぎているのではありませんか。

次期「省エネ・新エネ促進行動計画」の策定と同時に、既に全国で散見されている具体な事例を積極的に取り込み、賦存する自然エネルギー源を最大限に活用した北海道ならではの新エネルギー事業の振興と、それに地域PPSを組み合わせての推進が欠かせないのです。

私たちは、エネルギー政策による北海道の活力の創出を実現させなければならないのです。 知事の決断を求めます。見解を伺います。

<答弁>

 地域における新エネルギーの活用についてでありますが、道では、新エネ導入加速化基金などを活用し、市町村が実施するエネルギー地産地消の先駆的なモデルとなる取組への支援に取り組んでいるところ。

 このうち稚内市や上士幌町では、地域新電力会社を設立し、地域資源を活用した電力を地域内に供給することで、雇用創出などを図る取組が進められている。

 道としては、引き続き、こうしたエネルギー地産地消の先駆的なモデルとなる取組を支援するほか、取組から得られるノウハウのコーディネーター派遣による普及などを通じて、他の地域での課題解決につなげるとともに、来年度新たに、関係部局が連携しながら、地域が主体となって取り組む新エネ導入の掘り起こしを行うなどして、エネルギーの地産地消の取組を全道に広げ、地域経済の好循環を実現してまいる。

脱炭素社会の実現に向けては、どうしてもパラダイムシフトを変えていく必要があると考えています。言い換えるならば、既得権益にどのように横串しを刺して組み替えていくかであって、それこそが行政の役割なのであり、それが何であるのか、何を求められているのか、推進する上での不自由さを明らかにし解決していくことが重要なポイントとなるに違いありません。しかも、それらの場の提供にコストが掛かるものではないのです。

しかし、その働き掛けは、残念ながら既得権者側からは出てくることはありません。

これは、ゼロカーボン宣言を果たした鈴木知事だからこそ取り組むことの出来る政策であるに違いありません。

このエネルギーの主力産業化は、北海道にとっても、その地域にとっても決して避けることの出来ない人口減少に立ち向かう大きな原動力となり得ます。

広域でありながら系統連系が脆弱な北海道だからこそ、日進月歩で進む発熱電技術開発に遅れを取ることなく、マイクログリッド技術による循環型社会システムによる域内経済の底上げを実現させることの出来る政策・施策に仕上げて、素早く講じて頂けるように強く要請して、この質問を終わります。