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2021/10/8

令和3年度北海道議会第三回定例会 終日委員会 環境生活委員会 「エゾシカの捕獲について」

【エゾシカの捕獲について】

エゾシカの捕獲について、以下数点質問させていただきます。

言うまでもなく、北海道内におけるエゾシカ生体数の管理は、共存共生への第一歩となります。

直近の調査によると、道内には、67万頭生息しているとされていて、東部に32万頭、西部に35万頭、それとは別枠で南部に3~15万頭と推定されています。

交付金の対象となる捕獲については、農水省や環境省等の交付金を活用して市町村単位で取り扱われていますが、実質地元の猟友会次第となっていて、部外者にとって極めてハードルが高いものとなっています。越境を含めた区域外からの参画は実質困難となっています。

しかし、それは捕獲が許可されている道内における有資格者の高齢化や猟友会自体の会員数の減少などが大きく影響していて、ニーズとの乖離は大きいものと承知しています。

 

①捕獲関連交付金について

最初に、エゾシカの計画的な捕獲に対する交付金の状況を伺います。

<答弁>

エゾシカの捕獲に関する交付金の状況についてでございますが、捕獲関連の交付金の総額は、令和元年度から前年度比で増加しておりまして、令和2年度は、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金事業で、約7万7千頭捕獲し、約5億4千4百万円、環境省の指定管理鳥獣等捕獲事業などで、835頭捕獲し、約6千4百万円、また、道の地域づくり総合交付金事業では、交付金額は約4千8百万円で、捕獲頭数につきましては、市町村独自の捕獲事業への支援に加え、一部国の交付金事業への上乗せ分もありますため、延べ頭数となりますが、約6万5千頭でございました。 

②市町村の交付状況について

次に、道内179市町村の交付状況はどのようになっているのか伺います。

<答弁>

市町村の交付状況についてでございますが、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金事業によりますエゾシカの緊急捕獲対策に関し、令和2年度、道内の市町村の交付金の「エゾシカ管理計画」における地域別の執行状況は、東部地域では、捕獲数は約4万頭で、総額で約2億5千9百万円、西部地域では、捕獲数は約3万5千頭で、総額で約2億6千9百万円、南部地域では、捕獲数は約2千頭で、総額で約1千5百万円となっておりまして、東部及び西部地域に比べ、南部地域では、捕獲、交付金とも少ない状況にございます。

 

 

昨今では胆振や南部地域における生息数が増加の一途であることを現場で耳にしています。それは、単純に増加数と捕獲数のバランスが取れていないことが主因であると容易に想像できます。

③南部地域の実態調査について

そこで、南部地域の実態調査について伺います。

4年前にも当委員会で質問してある点ですが、南部地域における生息数は、調査方法の確立が困難であることを理由に、おおよその推定値扱いでしかありません。

その後に調査方法の確立が為されることなく、生息数の増加を許してきた現実があります。結果として、エゾシカ行政が目指す姿と実態の乖離が大きくなってきています。

これ以上の放置は許されるものではありません。

道は、南部地域における生息実態数の調査方法の確立を急ぎ、計画的な捕獲数の設定を行う必要があります。見解を伺います。

<答弁>

南部地域の捕獲目標についてでございますが、道内では、平成30年に発生いたしました狩猟死亡事故に伴う狩猟規制などの影響により、捕獲数が伸びませんでした。

 捕獲目標の設定に必要となる推定生息数は、ライトセンサス調査の目撃数や捕獲数などにより算出いたしますが、エゾシカの捕獲数が伸びなかったことに伴い、推定値の精度が低くなったものと考えているところでございます。

 道では、各種調査結果や捕獲実績などを踏まえて、南部地域の目標数を徐々に上げ、現在、6千頭に設定し、対策を進めておりますが、今後更に、推定生息数の精度を上げるためには、有識者の方々の御意見もいただきながら、補足調査の方法などについての検討を進める必要があると考えているところでございまして、こうしたことを踏まえ、道といたしましては、地域の実情に即した捕獲目標について、可能な限り早い時期に設定できるよう、取り組んでまいる考えです。

<指摘>

いま答弁を頂いたところですが、一点指摘を加えておきます。

実は、冒頭に述べましたが、道内に生息するエゾシカの生息総数は67万頭ではありません。別枠になっている南部地域を加えた82万頭と表現しても決して間違いではないのです。

この数のインパクトは決して少なくはなく、調査方法の確度を理由に別枠にしてきたことによって、南部地域のエゾシカの生息数の激増を見過ごしてきたことは否めません。

「可能な限り早い時期」と答弁を頂きましたが、現実はさほど待てる状況ではないことを道は知る必要があります。

早々に対策会議の関係者にこの意向をお伝えして、直近の対策会議で南部地域の総数の設定を行うことが必要です。再来年とは言わず来年の猟期開始の頃には示して頂けるように要請しておきます。

 

 

④市町村の捕獲交付金申請等について

次に、市町村の捕獲交付金申請等について伺います。

先の二番目の質問で伺った内容を基にすると、特に南部地域における市町村の取組みを三番目の質問にある実態調査を根拠として適正な捕獲を継続する必要があり、道は、該当市町村に対して国の交付金を活用しながら捕獲数を維持する為の協議助言していかなければならないと考えています。同時に市町村は、地元猟友会に限ることなく、狩猟や有害捕獲を行う有資格者の活用を広く実現させなければなりませんし、一方で、市町村は計画上の捕獲数を十分なだけ確保する必要があり、それらは、誰がどのように行うことになるのか伺います。また、道は何にどのような立場で関わっていくことになるのか明確にしてください。

<答弁>

捕獲等に関する有資格者の活用についてでございますが、鳥獣被害防止総合対策交付金に関しましては、市町村が設置する対策協議会が交付金の受け皿となり、地元ハンターを中心に体制を構築し、捕獲を実施しておりますが、外部の有資格者を参画させて、捕獲サポート体制を構築することについても同交付金の支援対象とされているところです。

 市町村におきましては、エゾシカの捕獲を円滑に推進するため、地元の農業関係者や捕獲協力者の理解の基に見回りや追い払い、わな・緩衝帯設置などの役割分担について調整を行っているために、外部有資格者の活用を進める場合は、地元関係者と十分な調整を図る必要があるものと考えます。

 現在、道では、全市町村に対しまして、これまでの実績を上回る目標を示し、来年度事業の捕獲目標を増やすよう、協力要請しているところでございます。

また、今後、高齢化や過疎化によりまして、地域の捕獲従事者の不足が想定されるために、振興局の鳥獣対策協議会を通じ、外部有資格者の活用も含めまして、捕獲体制の充実を図る方法を市町村に積極的に周知するとともに、南部地域など被害の拡大が懸念される地域におけるエゾシカ対策の着実な推進に取り組んでまいる考えです。

<指摘>

ここでも指摘を加えます。先ほどもお話ししましたが、南部地域の生息数の激増を鑑みると、南部地域における市町村の有害捕獲数の設定が不足していることが主因であると考えられます。増加数と捕獲数のバランスが著しく取れていないのです。完全に後手にまわってしまっています。

それは、道や振興局による積極的な周知だけで解決できる課題ではないと承知しています。

エゾシカ行政の考え方が、市町村毎に異なる状況にあっては、数の相談だけに留まらない支援が必要です。今一度南部地域におけるエゾシカ行政のあり方については精査していただく必要があると考えています。この点を強く要請しておきます。

⑤エゾシカ行政の今後について

次に、エゾシカ行政の今後について伺います。

私たちは、古い過去にエゾシカを乱獲し生息数の著しい減少を招いています。その後の保護政策等を経て今に至るのですが、生息数の管理だけではなく、狩猟したり有害捕獲されたエゾシカ肉の利活用を同時に推進することができるように施策を講じなければなりません。

道のエゾシカ行政の、これまでと、今後の受け止めについて、部長の見解と抱負を伺います。

<答弁>

エゾシカ対策についてでございますが、エゾシカにつきましては、過去の保護政策に伴う生息数の増加を受けまして、市町村、関係機関との協力体制を築きながら、捕獲対策を推進した結果、平成23年度をピークに減少傾向を示しておりましたが、30年に発生した狩猟事故に伴う銃猟規制などの影響により、捕獲数が減少し、昨年度、再び上昇に転じたところでございます。

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、エゾシカ肉の需要にも影響が生じておりますことから、捕獲と有効活用を進めることが喫緊の課題と認識しております。

 道といたしましては今後とも、市町村への的確な情報提供や助言などを行い、連携を強化し、捕獲の推進や人材の育成に努めますとともに、道内外の飲食店などにおける、安全・安心な食材としてのエゾシカ肉の消費拡大や、ペットフード、皮革製品などの幅広い分野での利用を含め、ポストコロナも視野において、認証施設数の増加や需要の拡大に向けた取組を進めるなど、捕獲と有効活用の両面からエゾシカ対策の一層の推進に取り組んでまいる考えです。

 

 

<指摘>

最後に、一点お伝えしておきます。

この質問については、一年後位に改めてお聞きしたいと考えています。

一年後にお聞きした際には、生息数や捕獲数、特に南部地域については、積極的な利活用の手応えが実感できる答弁を返して頂けるように実務にあたって頂けますようにお願いしておきます。

よろしくお願いいたします。ありがとうございました。