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2022/03/14

令和4年 北海道議会第一回定例会 一般質問 「企業局の行財政改革について」

3月11日に行われた一般質問で、鈴木直道知事に質問させて頂いた<内容>と<答弁>です。

この質問は、北の元気玉が7年前に当選させていただいた当初より取り組んできている課題です。

エネルギー問題は、私たちの暮らしと切っても切れない関係にあり、昨今の国際情勢の不安定さからも注目される課題となっています。

 

地域の課題「燃料」にして、地域内で創り出された「新エネルギー」を、地域内で消費する

余剰する程に新エネルギーを創出して、地域外に売り出すことで、地域内に「富(活力)」を呼び込む

 

これが、北の元気玉が皆さんにお約束した「北海道を元気にする」提案です。引き続き取り組んでまいります。

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A,企業局の行財政改革について

最初に、企業局の行財政改革について伺いたいと思います。

振り返れば、私は、平成30年の第四回定例会において、企業局に対して「新エネルギー導入の加速化について」質問を行いました。簡単にまとめるならば、より積極的に事業展開を図るべきと提案し、「稼ぐ企業局」となり得るための挑戦的な取り組みについての質問でありました。その答弁の内容では、強く同意して頂けたものと承知しております。

それから3年経過した今、その進捗を確認させて頂くと共に、改めてより具体的な質問を提案含めて行いたいと思います。

 

①進捗に進捗について

最初に、前回の質問に対しての進捗を確認させて頂きます。

その答弁の中で、「稼ぐ企業局」となり得るために、情報収集や調査研究に取り組むことや、また公営企業管理者からは、新たな事業に取り組むことについても言及して頂いたところです。まずは、それらの進捗状況について伺います。

 

<答弁>

(公営企業管理者)

 新たな事業展開に向けた企業局の取組についてでございますが、企業局では、持続可能な経営基盤の確保と財政マネジメントの強化を図るため、令和2年度に中長期的な経営指針となる経営戦略を策定し、その方策の一つとして、新たな再生可能エネルギーの導入に向けて積極的に取り組むこととしているところであります。

 これまで、企業局の強みである発電分野では、全道各地にある新たな水力発電の候補地の調査をはじめ、道内における事例を踏まえて、木材や家畜排泄物を活用したバイオマス発電などについて検討し、経済性の評価や課題の抽出を行ってきたところであります。

 引き続き、大学や道総研等と連携し、太陽光など様々な電源開発について調査研究を進め、知見を蓄積しながら、こうした取組がゼロカーボン北海道の実現につながるよう、新たな事業の可能性を見極め、対応していく所存でございます。

 

 

②「稼ぐ企業局」について

次に、「稼ぐ企業局」について伺います。

「稼ぐ企業局」になる為にも、自らの強みと弱みは冷静に分析しておくことが必須です。

企業局は、公共性と公益性を求められながらも経済性を発揮しなけれけばならないと考えています。それは、単純に利益の最大化を目指すことが目的ではないと承知しています。

しかし、私は、さまざまな危機に対応しながらも道財政への負担から脱却し、逆に寄与出来る程のチャンスが正にいま到来しているのだと考えています。

企業局は、自身の強みと弱みをどのように分析しているのでしょうか。

自らの強みを伸ばしていくことは、民間企業にとって避けることの出来ない、絶え間ない努力なのであります。時に弱みを切り離していくことさえ避けられないことがありますが、公共性と公益性を求められる企業局にとってはタブーであることとなります。

よって、弱みを凌駕する強みを持つこと、強みを如何に自覚して伸ばしていかなければならないかは、とても重要な選択であることは間違いありません。

企業局は、自らの強みと弱みをどのように自覚し分析しているのかを公営企業管理者に伺います。

 

<答弁>

(公営企業管理者)

 企業局経営の考え方についてでありますが、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー導入といった社会的要請のもと、シューパロ発電所等での固定価格買取制度、いわゆるFITの適用により、企業局における電気事業は、収益の面で安定した経営が保たれていると認識をしております。

 こうした状況のもと、ゼロカーボン北海道に向けた新エネルギーの導入を加速するうえでの企業局の役割を果たすため、改修計画や経営リスクを見据えながら、電気事業で得られた収益の一部を道の一般会計へ繰り出し、道内の再生可能エネルギーのさらなる導入拡大などに充てており、今後も、道の施策を積極的に後押しすることとしてまいります。

 企業局としましては、「経済性の発揮」や「公共の福祉の増進」という公営企業の基本原則を堅持しつつ、新たな事業への挑戦なども含め、経営の安定化に向け不断に取り組むことが重要な視点だと考えております。

 

③企業局の長期借入金等について

次に、企業局の長期借入金等について伺います。

頂いた資料によると、工水部門の未処理欠損金は、平成18年度の資産処分に伴う特別損失処理等の影響が大きかったものの、昨年度までに繰越欠損金が5億程度にまで減少しているそうです。言い換えれば、身軽になった工水部門として平成23年度には黒字化を達成していると示して頂きました。しかし、その名の通り資産を失っていることに他なりません。

確かに会計上の処理としては健全化を実現しつつあるところではありますが、工水部門と電気部門にこれから到来する施設の老朽化や設備更新に伴う膨大な費用を捻出していく為には、一難去ってまた一難といった状況なのではないかと推察しています。

更に、工水部門の長期借入金に至っては、令和2年度決算時で48億円程の未返済額が残り、そのうち近年では電気事業会計からの借り入れを繰り返す状況となっていることは深刻であり、放置できるものではありません。

企業局として、長期借入金の返済についてどのような見通しとなっているのか伺います。

 

<答弁>

(公営企業管理者)

 工業用水道事業の長期借入れについてでありますが、産業構造や社会経済情勢の変化による工水需要の減少に伴い、工水事業は一般会計や電気事業会計からの借入を余儀なくされており、厳しい経営状況となっているところでございます。

 一般会計からの借入れについては、工水3地域のうち、今後数年間で苫小牧工水の債務返済が完了するほか、石狩工水についても、新規契約による収益の増加により、借入金の返済が令和7年度から開始できるものと見込んでいるところでございまして、また、電気事業会計からの借入についても、3工水全てにおいて、計画的に返済しております。

 企業局としましては、今後とも、立地が進むエネルギーや食品関連分野などへの需要開拓を精力的に進めまして、経営基盤を強化することとともに、施設の計画的な老朽更新などに努めながら、地域経済を支える重要なインフラとして、その役割を果たしてまいります。

 

 

④企業局が作り出す新エネルギーについて

次に、企業局が電気事業で作り出している新エネルギーについて伺います。

頂いた資料によると、電気事業で作り出している販売電力量は、平成30年度には3億5761万9千kwhに上るそうです。そのうち非FIT適用となっている分は59%の2億1223万8千kwhです。令和2年度は2億9919万2千kwhに上るそうです。そのうち非FIT適用となっている分は65%の1億9527万1千kwhです。

水力発電である以上、その年の降雪量や降雨量に大きく影響されることは避けられませんが、概ね3億kwhの新エネルギーを販売していると判断することが出来ます。

企業局は、このうち4割を国のFIT制度を活用して有利に売電していると承知しています。しかし、これは期間に限りがある制度です。

ここで提案したいのは、非FIT分にあたる6割程度の発電量についてです。

企業局は、非FIT分については、電力の小売り全面自由化に伴い、一般競争入札によって売電してきました。その売電単価は、令和4年3月までは10.65円/kwhで、令和4年4月から2年間は13.46円/kwhで販売することが決まっています。

企業局の水力発電の発電原価が9円/kwh程度とお聞きしていますから、一見すると採算は合っているように見受けられます。

しかし、「稼ぐ企業局」を目指すのであれば、利益の最大化を目論むことが必要です。

私が、総務部に問い合わせして、知事部局や教育庁、警察本部が使う電力量を調べて頂いたところによると、知事部局551施設の直近3年間の総計平均で7190万kwh16億1448万円掛けて消費していて、教育庁269施設では総計平均が4530万kwh10億966万円掛けて消費していて、警察本部799施設では総計平均が2735万kwh5億7630万円掛けて消費しているのです。金額については、施設毎の入札等により単価は相違しますが、3年間の平均合計で、1619施設が1億4455万kwh32億44万円掛けて消費することになっています。

先ほど申し上げた通り、企業局の販売電力量のうち非FIT適用となっている分が2億kwh程度となっているので、全てを十分に賄えるだけの電力を生み出していることになります。

更に、電力システム改革における小売りの全面自由化に沿った形で、企業局の販売価格がその時々の入札価格以上であることを見込み、道として買取る価格が入札価格以下であることが担保できれば、双方の経済的有利性を確保することが可能になります。残りの分もダムが所在する自治体を中心に販売することが出来れば、無駄なく消費することが可能です。

但し、託送料等の費用が発生することを考慮しながら検討することを含めた企業局による経営戦略の見直しが必要となります。

因みに、本庁と赤レンガ、議会庁舎の電気調達契約は、令和2年度がkwhあたり18.2円、令和3年度が16.41円となっていることからも、十分に検討するに値する環境は整っていることが判ります。

北海道庁関係の全ての施設を、新エネルギーによって運営させることが出来るのは、ゼロカーボン北海道を掲げる私たちにとってはあるべき姿となるのではないでしょうか。

この取組みは、企業局の経営戦略上は基より、道の施策方針にも合致したものと言えるでしょう。知事と公営企業管理者の見解を伺います。

 

<答弁>

(知事)

 再エネ由来電力の調達についてでありますが、道では、事務・事業に伴い生じる温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比50%削減する目標を設定しており、その達成に向けて、現在、再エネ由来電力の調達手法や再エネ設備の導入などについて検討を進めているところであります。

 企業局が発電する再エネ電力を道有施設で活用することは、更なるCO2排出削減と、電気料金の削減にもつながる可能性がある一方、庁舎などでの電力需要と企業局からの発電供給を同量にするための需給調整が必要となるなど、様々な課題があると考えております。

 今後、企業局と一体となって道有施設での活用検討を進め、北海道にとって貴重な企業局の再エネ電力が削減目標の達成につながることを期待しているところであります。

 

(公営企業管理者)

 道有施設への電力供給についてでありますが、FITが適用されていない発電所の電力については、国の電力システム改革による小売全面自由化に伴い、令和2年度から一般競争入札により、小売電気事業者に対し売電しており、最大収益の確保に努めているところでございます。

 この電力を道有施設に売電することは、ゼロカーボン北海道のモデルとなり得る取組であるとともに、道有施設の電気料金を軽減する手立てとなるその一方で、企業局の発電量と道内全域に及ぶ約1,600の施設において複雑で高度な受給量の調整が小売電気事業者に求められるなど、様々な課題もあることと承知をしております。

 今後におきましては、小売電気事業者とのヒアリングとあわせ、関係機関からご意見を伺う場を設置し、道有施設への売電も含め、実効性ある様々な有効活用の方法について検討してまいります。

 

⑤経営戦略について

次に、経営戦略について伺います。

以前の質問でも触れていますが、道財政の逼迫が続く現下にあっては、企業局の負債は勿論のこと前向きな投資についても、企業局自身が稼ぎ出して積極的に返済や投資をしていくことが必要なのです。勢い余って道財政の改善そのものに寄与することでさえ可能だと考えています。私たちは、どれだけ稼ぎ出すことが必要なのかを知る必要があります。

世界では、私たちが想像するより遥かに進んだ技術が次々に生み出されています。

ゼロカーボン北海道を目指す私たちにとって、全国に自然エネルギー源の宝庫であることを宣言する私たちにとっても、この分野における優位的立場を保ち北海道の活力を創出していくことは絶対命題でもあると考えています。

現行の経営戦略を決して批判するものではありませんが、より野心的で重層的な戦略を展開していくことが必要です。

先に触れた長期借入金の返済や設備更新等の膨大な資金調達等を可能にする為には、返済バランスの調整と稼ぎ出す必要額の明確化させた上で、その差が前向き投資に充てられるものと承知しています。

現経営戦略は、令和2年度からの10年間を示したものと承知していますが、時に見直しは付き物であることから、これらの要素を含んだものに直ちに改定していくことが必要です。公営企業管理者の見解を伺います。

 

<答弁>

(公営企業管理者)

 経営戦略の見直しについてでありますが、現在、道におきましては、「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて、「地球温暖化防止条例」の改正や「省エネルギー・新エネルギー促進行動計画」の見直しなどに全庁を挙げて取り組む中にあって、本道の豊かな水資源を活用したクリーンなエネルギーを供給する企業局の役割は、これまで以上に大きくなるものと認識をしております。

 企業局としましては、今後とも、令和2年度からスタートした経営戦略のもと、持続可能な経営基盤の強化を図るとともに、新たな電源開発の可能性を探る取組やコロナ禍における本道経済の動向など社会情勢の変化を踏まえ、脱炭素化といった時流をとらえた先導的役割を果たすよう、経営戦略のブラッシュアップについて検討してまいります。

 

 

⑥経営戦略室の新設について

次に、経営戦略室の新設について提案します。

これまで伺ってきた点や提案させていただいたように、野心的に「稼ぐ企業局」となる為には、現時点での強みである電気事業の拡大が必須です。

しかし、やみくもに事業拡大を急いでも、公営企業としての役割を果たすことは出来ません。単純に利益を生み出せば良いだけではない責務がそこには在るものと考えています。

それは電気事業に留まることなく、道総研や民間企業と共に世界から先進的な技術の取り込みを模索し、道内外に導入される事業のコンサルタント的役割を果たすことで権利金を獲得することも十分に可能となります。

更に、世界の先進的な情報や過去の取り組みの成功例や失敗例を収集し、シンクタンク的な機能を持ち合わせることで、企業局自身や自治体や民間企業が今後取り組む企業活動の力強い根拠や支援につながると考えられます。

ゼロカーボン政策が華やかし今、自然エネルギー源の宝庫を自称するからこそ北海道がとれる立ち位置なのではないかと信じています。

私は、このような基礎的活動と共に稼ぎ出さなければならない利益をシュミレーションしたり、事業計画を立案し上申する部署が必要だと提案させていただきます。

企業局は、「工水事業部門」と「電気事業部門」を抱えるのですから、横断的に検討を重ねられるように、また道総研や民間企業と協働して世界の新技術情報に敏感になる為に、公営企業管理者直轄での経営戦略室の創設を提案します。また、先に質問した通り、この構想は道庁全体の財政やエネルギー政策に資するものでありますので、知事部局からも人材を集めた全庁横断的な組織づくりを検討すべきだと考えています。

知事と公営企業管理者の見解を伺います。

 

<答弁>

(知事)

 企業局との連携についてでありますが、道では、「ゼロカーボン北海道」の実現に向け、国内随一のポテンシャルを有する再生可能エネルギーなど本道の強みを活かし、脱炭素化に向けた様々な取組を展開することとしており、そうした中で、水力やバイオマス、太陽光など、本道の豊富なエネルギー資源の利活用や調査研究を進める企業局の果たす役割は非常に大きいものと考えております。

 これまでも企業局が有するノウハウや知見を全庁的に活用する観点から、庁内関係部局で構成するプロジェクトチームへの参画や、人事面での交流を行ってきたところであり、今後とも、企業局において、再生可能エネルギーの導入促進に向けた体制づくりが進むよう、より一層連携を深めてまいります。

 

(公営企業管理者)

 組織体制の強化についてでありますが、企業局ではこれまで、電力システム改革や産業構造の変化の荒波の中で、電気事業や工業用水道事業の安定経営のため、施設の計画的な管理運営や新たな需要開拓に取り組むとともに、地域の再生可能エネルギーの導入に向けて、「アドバイザー制度」や「小水力モデル事業」などを通じ、道内市町村への側面支援により、脱炭素化を後押ししてきたところでございます。

「ゼロカーボン北海道」を旗印に大きく舵が切られる中で、今後とも事業の安定経営に努めるとともに、地方公営企業法の基本原則のもと、「稼ぐ」という視点を持ちながら、しっかりと収支見通しを定め、収益性のある新たな事業についても積極的に検討を行ってまいります。

 こうした取組の実現に向けて、企業局としては、経営の専門家や関係する団体、企業との意見交換をはじめ、議員のご提案のように、庁内関係部局との連携強化を図りながら、企業局内に企画調整ポストを新設するなど、組織の充実に努めてまいります。

 

 

⑦知事の決断について

最後に、知事の決断について伺います。

道財政への貢献についてこれまで提案してきたように、企業局には「稼ぐ企業局」となり得るために野心的な改革を求めています。

「経営戦略室」の立上げを通じて企業局の稼ぐ力を高めると共に、生み出された収益を道の一般会計に繰り入れることで、道庁全体で、より効果的な事業を生み出し、道財政の健全化にもつなげていくことが可能だと考えています。

道では、「行財政改革の基本方針」を定め、2025年までの収支対策や財政健全化の目標を掲げていますが、企業局の収益を活用することにより、財政改革を一層加速すべきと考えます。

知事の挑戦的な英断を期待して見解を伺います。

 

<答弁>

(知事)

 今後の財政運営についてでありますが、電気事業会計においては、平成29年度からその収益の一部を一般会計へ繰り出し、道内の再生可能エネルギー導入拡大の推進などに寄与してきているところであり、今後とも、企業局と庁内関係部局がより一層連携し、電気事業の収益を活用しながら、引き続き、ゼロカーボン北海道の実現に向けた取組を進めていくことが重要であると考えています。

 こうした中、この度、改訂を予定している「行財政運営の基本方針」においても、更なる歳入の確保のほか、民間資金の積極的な活用などによる政策財源の確保に取り組むこととしているところであり、道としては、ゼロカーボン北海道をはじめとした政策展開にも適切に対応していくことができるよう、財政の健全化に向けた取組を進めてまいります。