
一 宿泊税について
今回の質問は、昨年の第四回定例会一般質問で取り上げた「宿泊税の基金創設について」の質問と答弁を振り返りながら、本施策についての議論を深めたいと考えています。
まず、基金内において積立ては行わず、毎年度使い切る運用とされた点については、一定の前進として評価をしたいと思います。提案内容に対して折衷案的な要素は残りましたが、これから質問する数点と合わせながら、将来に拡大解釈の余地を残さぬ毅然としたルール作りに努めていただきたいと願っているところであります。

(一)誰のためなのかについて
(道見委員)
最初に、宿泊税は誰のためなのかについて、前回の質問に引き続き整理をしておきたいと思います。
宿泊税は、宿泊者のための税なのであり、特にその七割を北海道民にご負担いただいているという特性を持つ税であることを忘れてはなりません。
宿泊者が負担し、その負担が宿泊者自身の利便性や満足度の向上として直接還元されること、これこそが本税の「最大の正義」であると考えています。
なぜなら、市町村や業界からの要請、道職員の異動等、言い換えれば「時の経過」によって、基準や焦点がずれていくことが容易に想定されるからでもあります。
宿泊税が誰のために施行されるのか、その「目的」を履き違うことのないよう、どのような策を施すのかを最初に伺います。
(観光事業担当課長)
宿泊税の目的についてでございますが、道では、宿泊税が目的税であるという趣旨に鑑み、納税者の受益と負担の関係が明確であることが必要であると考えておりまして、宿泊者の受益という点で関連性が整理できる施策に、宿泊税を充当するという、「税充当の原則的なルール」によりまして、施策を検討することとしております。
このため、道では、宿泊者の方々のニーズをはじめ、市町村や事業者の方々のご意見をもとに取りまとめた、「宿泊税充当施策の基本的な考え方」に沿って、宿泊者の受益との関連性を十分考慮しながら各施策を具体化し、今般、宿泊税充当事業として提案させていただいたところであり、今後ともこうした検討過程を基本に宿泊税を活用する施策が、宿泊者の受益に繋がるものとなるよう、取り組んでまいります。
【指摘】
(道見委員)
「最大の正義」についてはですね、皆さんの後輩にあたる後の執行者たちには確実に申し送り続けることと、常に客観的に外部評価を受け続けることを、ここで明確に約束していただきたいと思っております。この点については、念を押して申し上げておきます。
(二)「ニーズの把握」や「使途の健全性の持続の担保」について
(道見委員)
次に、宿泊者のニーズの把握や使途の健全性の担保について伺います。
道は、宿泊者へのアンケート等を基礎として取りまとめながら、道がニーズを把握し、透明性を確保し、地域の課題や実態を踏まえた上で施策展開するために、市町村や事業者の皆さんと意見交換を行うと説明をしております。
この仕組みでは、いつの間にか宿泊者のニーズが、市町村や事業者側のニーズへとすり替わってしまうおそれが考えられます。
実は、市町村や事業者の皆さんは、宿泊者の意向を把握できる側にいると同時に、宿泊税を使う側でもあるために、広域的で客観的な視点を担保するには、十分とは言えない側面があるのではないでしょうか。
一体誰が、先ほど伺った「最大の正義」を確保することができるのでしょうか。
私は、次のように考えます。それは、道でも市町村や事業者の皆さんではありません。それは、制度設計の段階で徹底的に議論され、明文化されるべき「原理」として「最大の正義」があると考えるからであります。
道は、常に「最大の正義」に照らして、宿泊者のニーズの把握や使途の健全性を確保しなければならないと考えます。
道が示す「原則的なルール」も立派だとは思いますけれども、後の執行段階において拡大解釈がなされる可能性が残ります。だからこそ「最大の正義」を徹底して申し送ることが欠かせないのだと考えます。
少なくとも、宿泊者の負担と施策との関連性が客観的に説明できることを制度上の要件とすべきではないでしょうか。見解を伺います。

(観光事業担当課長)
使途の健全性の確保についてでございますが、宿泊税の充当施策は、目的税としての趣旨に鑑み、使途の検討過程については、透明性を確保することが重要と認識しております。
このため、道では、道民の皆様や宿泊者の方々へのアンケートに加え、市町村や事業者の方々との地域意見交換会を公開で開催したほか、「宿泊税充当施策の基本的な考え方」については、地域の観光を取り巻く実情や課題、ニーズの把握を行い取りまとめ道議会でのご議論を踏まえ、段階的に検討を進めてきたところでございます。
本定例会で提案した宿泊税充当事業は、目的税の趣旨であります宿泊者の受益との関連性を施策ごとに確認し、具体化したものでありまして、道といたしましては、今後の施策検討においても、こうした検討過程を基本に、施策の進捗状況や効果なども適時適切に公表するなど、健全性と透明性の確保に努めてまいります。
【指摘】※時間の都合で読上げ省略しています
(道見委員)
今の答弁で、道は「基本的な考え方」等に則り取りまとめてきたと言いますが、それでいても、実は当該業界内での賛否はいまだ分かれていると聞いています。傾向としては、観光機構や大規模事業者が賛成の立場を示し、小規模事業者では反対の声があると承知しています。この構図を道がどのように捉えているのか気になるところです。
この議論に掛けてきた時間は、決して少なくないと考えています。それだけ関係者の思惑が多岐に渡る証左だと捉えるからこそ、「最大の正義」を徹底させる仕掛けが欠かせないのです。
(三)将来の増税について
(道見委員)
次に、宿泊税の増税についても伺っておきます。
第四回定例会の質問でも申し上げました。私は、将来における宿泊税の増税について反対の立場を取るものではありません。
しかし、昨今、東京都議会で議論されている宿泊税の増税について、旅館・ホテル業界団体からの要請を契機としている点に、違和感があると申し上げているのであります。宿泊税を支払っていただく側の旅行者の皆さんからならまだしも、宿泊税を活用する側の市町村や事業者の皆さんからの要請で増税検討が始まる経緯が腑に落ちません。
将来、道においても、宿泊税の増税が視野に入ることは容易に想定ができます。しかし、それは、集まったから何に使うのかを決めるのではなく、施策の内容が決まるから、幾ら集めなければならないというのが手順であるはずです。
増税は結果論として生じるものではなく、目標とする姿の達成度を客観的に測ったうえで判断されるものでなければならない。道が、宿泊者の皆さんへのアンケート等を通じて把握し続けなければならないものと考えます。客観的指標をあらかじめ定めておくべきではないでしょうか。
満足度なのかもしれないし、道が、宿泊者負担と受益の直接的連動という原則、すなわち「最大の正義」に照らして定める計画の達成度なのかもしれません。
改めて申し上げると、増税の有無を問うているわけではありません。想定され得る増税について、今から正しく向き合うことが必要であると提案をしております。道の見解を伺います。

(観光事業担当局長)
宿泊税の見直しについてでございますが、宿泊税条例では、条例施行後5年ごとに、取組の推進状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしているところでございます。
道といたしましては、今後、将来的な見直しに向けまして、宿泊税導入後、税をご負担いただく納税者の皆様の声などをお伺いし、地域の観光を取り巻く実情や課題、ニーズの把握を行いますとともに、「北海道観光のくにづくり行動計画」におきます目標指標や、施策の進捗状況、また効果など、条例の施行状況を勘案しながら、本道観光の振興に必要な制度のあり方につきまして検討を深め、適切に対応してまいります。
【指摘】
(道見委員)
道は、本定例会で未だに議論されている最中であって、具体的な施策が決まっていないにもかかわらず、本年四月から宿泊税の徴収を開始すると公表しています。これでは目的と施策について、健全性や透明性を確保することは難しいのであります。予算ありきの施策ではなく、施策ありきの予算でなければならないことからも分かるように、早期のうちに手順の転換を実現させて頂きたいと願っています。
(四)具体的な施策の提案について
(道見委員)
最後に、これらを踏まえて具体的な施策についての提案をさせていただきます。
今回の質問では三点について伺いました。これらを制度的に担保していくために、道が、宿泊者の皆さんから聴取したアンケート結果等の公表を制度として義務付ける考えはないのか。また、今回の議論の成果を条例等に明記をし、着実に申し送っていく考えがないのかについて見解を伺います。

(観光振興監)
宿泊税の使途の検討についてでありますが、道では、宿泊税充当施策の検討に当たりましては、目的税の性質に鑑みまして、宿泊者の受益を確保しながら、地域の課題や実態を踏まえた施策の展開となりますよう取組を進めることが重要であると考えております。
こうした認識のもと、道では、宿泊税充当施策の取扱要綱、これにおきまして、納税者となる宿泊者の方々などのニーズを踏まえ、振興局ごとに市町村や事業者の方々との意見交換を行いまして、施策を検討する旨を定めまして、取り組んできたところでございます。
道としては、今後、この取扱要綱を改正いたしまして、宿泊者はもとより、道民に向けまして、宿泊者アンケートや、地域意見交換会の実施結果などを公表する考えでございまして、来年度以降も、検討過程の透明性を一層確保しながら、施策の検討にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
【指摘】
(道見委員)
宿泊税に関する議論は、十分な時間が費やされたものの、なかなか着地まで難航した印象が残ります。それは、この4月から施行されようとしている段階においても不満が燻ぶり、一方を立てればもう一方が立たずというジレンマが生じているのが現状でしょう。本来は、使途が明確にされていないのですから、四月からの徴収を遅らせても良いほどなのであります。
ここで一つ提案をしておきます。それは、第三者機関の設置についてです。宿泊者の利益や利便の確保を目的として、検討された施策の審査や施策の効果などを評価していただくための機関です。それは、市町村や事業者はもとより、道も含まない独立した機関であることが前提です。施策の健全性や透明性を道職員にのみ課すことは、人手不足の昨今では難儀なことだと思うのであります。
今回の質問に仕立てて答弁して頂くのも一手でありましたが、この点については、今後の議論に持ち越すことといたします。
引き続き宿泊税については、注目して取り扱っていくことを宣言して質問を終わります。ありがとうございました。